説明

定着ローラーの製造方法、定着ローラー、画像形成装置

【課題】高速定着の条件下でも充分な耐摩耗性、耐久性を有する離型層を有する電子写真画像形成装置に用いる定着ローラーの製造方法、この製造方法により製造した定着ローラー及び画像形成装置の提供。
【解決手段】基体の上に少なくとも1層の離形層を設けた電子写真方式の画像形成装置に使用する定着ローラーの製造方法において、前記離形層が活性エネルギー線硬化型モノマーと、反応性金属酸化物微粒子と、ラジカル重合性不飽和結合部を有するフッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂とを有する離形層形成用塗布液を塗布した後、活性エネルギー線を照射し形成することを特徴とする定着ローラーの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に使用する定着ローラーの製造方法、定着ローラー及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、レーザープリンタなどの電子写真方式の画像形成装置は、近年では高画質フルカラー化、高品質化の要求が強く求められている。電子写真方式の画像形成装置は、従来から知られている様に、感光体を一様に帯電する帯電部材、感光体上に静電潜像を形成する露光部材、静電潜像をトナー像で現像する現像部材、転写体に転写する転写部材、トナー像を転写体上に定着させる定着部材、感光体上の残留トナーをクリーニングするクリーニング部材、感光体上の静電潜像を除去する除電部材等の構成部材を有している。
【0003】
電子写真方式の画像形成装置は、帯電したトナーを感光体上の静電潜像に接触或いは非接触で供給し、静電潜像を顕像にする現像過程を経て形成したトナー像を転写工程で中間転写体に一次転写した後、転写材(例えば紙)に二次転写し、更に定着して最終画像を形成するものである。
【0004】
電子写真方式の画像形成装置における転写材上への画像定着法として、熱ローラー定着方式が知られている。熱ローラー定着方式は、熱定着ローラーに内蔵されているヒーターの発熱により転写材に仮着されたトナーを溶融定着させると共にプレスローラーにより加圧して定着を強固にし、それによって転写材上にトナーによる画像を形成するものである。
【0005】
熱定着ローラーの構成としては、熱定着ローラーと転写材との接触面積を大きくするため、一般的に芯材/弾性層/離型層よりなる構成を有している。
【0006】
離形層としては、例えば、特開平9−96987号公報、特開2003−84598号公報、特開2003−255742号公報、特開2001−125413号公報等に記載されている様に各種のフッ素樹脂が使用されている。
【0007】
この様な熱ローラー定着法による場合、熱定着ローラーの転写材との接触面積を大きくして、トナーを転写材に溶融定着させるためには圧力負荷を高めることが必要となる。更に、近年、通紙速度がl0枚/分(A4判横送り)を越えると、ローラー間の圧力負荷も増大しなければならず、そのため熱定着ローラー表面のトナー離形層の摩耗及び熱定着ローラー表面から定着後の転写材を分離する分離爪の接触に伴う摩耗が大きくなり、耐久性に問題があった。
【0008】
これらの、離形層の耐久性に関してこれまでに検討が成されてきた。例えば、離型層に短時間溶融させたフッ素樹脂を使用した定着ローラーが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0009】
特許文献1に記載の定着ローラーは次の欠点を有していることが判った。
1.離型層のフッ素樹脂の硬度が高くないため、摩耗を生じやすい。
2.摩耗してしまうことから離型層の膜厚を厚くしているため、定着の熱エネルギーのロスが大きい。
【0010】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ポリエチレンフルオロビニルエーテル共重合(PFA)、ポリ四フッ化エチレン、ポリ三フッ化塩化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、又は、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体等のフッ素樹脂を使用し、表面を構成するフッ素樹脂の融点以上に加熱し、圧接ローラーで圧接した離型層が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0011】
特許文献2に記載の定着ローラーは次の欠点を有していることが判った。
1.離型層のフッ素樹脂の硬度が高くないため、摩耗を生じやすい。
2.摩耗すると規定した表面粗さが変化してしまうため、効果を維持できない。
3.離型層の膜厚を厚くしているため、定着の熱エネルギーのロスが大きい。
4.焼成工程が入るため、生産コストが大きい。
【0012】
この様な状況から、高速定着の条件下でも充分な耐摩耗性、耐久性を有する離型層を有する電子写真画像形成装置に用いる定着ローラーの製造方法、定着ローラー及び画像形成装置の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平7−239624号公報
【特許文献2】特開2004−151446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記状況に鑑みなされたものであり、その目的は高速定着の条件下でも充分な耐摩耗性、耐久性を有する離型層を有する電子写真画像形成装置に用いる定着ローラーの製造方法、この製造方法により製造した定着ローラー及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の上記目的は下記の構成により達成された。
【0016】
1.基体の上に少なくとも1層の離形層を設けた電子写真方式の画像形成装置に使用する定着ローラーの製造方法において、
前記離形層が活性エネルギー線硬化型モノマーと、反応性金属酸化物微粒子と、ラジカル重合性不飽和結合部を有するフッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂とを有する離形層形成用塗布液を塗布した後、活性エネルギー線を照射し形成することを特徴とする定着ローラーの製造方法。
【0017】
2.前記離形層形成用塗布液が、前記活性エネルギー線硬化型モノマー100質量部に対して、前記反応性金属酸化物微粒子を15体積部から250体積部有し、前記フッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂を50体積部から400体積部有し、且つ、前記反応性金属酸化物微粒子を、前記活性エネルギー線硬化型モノマーと前記フッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂と該反応性金属酸化物微粒子の合計に対して、10体積%以上、40体積%以下有することを特徴とする前記1に記載の定着ローラーの製造方法。
【0018】
3.基体の上に離形層を設けた電子写真方式の画像形成装置に使用する定着ローラーにおいて、前記離形層が前記1又は2に記載の製造方法により形成されていることを特徴とする定着ローラー。
【0019】
4.前記3に記載の定着ローラーを使用したことを特徴とする画像形成装置。
【0020】
本発明者は、定着ローラーの表面の離型層にフッ素樹脂を使用しても、通紙速度が20枚/分(A4判横送り)以上の高速定着での耐摩耗性、耐久性が劣るかを検討した結果、以下のことが判明した。
【0021】
定着時に定着ローラーの耐摩耗性、耐久性に影響を及ぼす因子として次の因子が挙げられる。
1.熱:転写材の上に転写されたトナーを溶融し、定着するための熱であり、加圧ローラーにより圧接されることで離型層と下層との接着性劣化が生じ離型層が剥離する。
2.圧:転写材の上に転写されたトナーを均一に溶融するため、定着ローラーの幅手方向に加圧ローラーから加熱した状態で長時間押圧が掛けられることで応力集中が生じ離型層と下層との接着性劣化が生じ離型層が剥離する。
3.摩擦:定着後の転写体を定着ローラーから分離するための分離爪との接触に伴う離型層の摩擦に伴う摩耗で離型層が剥離する。
4.スリキズ:分離爪と定着ローラーとの間にゴミが挟まることに伴い、相対的に離型層が移動することでゴミにより離型層が削られキズが発生する。
【0022】
上記1から4に示す現象は、長時間の使用に伴い離型層の滑り性が低下しているためと推定した。
【0023】
何故、長時間の使用に伴い離型層の滑り性が低下するのか更に検討した結果、離型層に掛けられる負荷(上記1から4参照)による摩擦などにより減耗しているためと推定した。
【0024】
これらのことから、定着時の加圧ロールによる押圧、定着体上のトナーを溶融するための加熱に伴う離型層と下層との接着性劣化に伴う剥がれ、分離爪による摩耗に対する耐摩耗性を上げ、分離爪と転写体との間に挟まったゴミによる擦り傷への耐傷性を同時に上げるには離型層の強度を向上させることが重要であることが判った。
【0025】
更に検討した結果、熱、圧、分離爪による剥がれや摩耗に対して強度を上げるために、離型層を構成している各材料が一体構造となり緻密な架橋構造をとる様にすることで本願発明の目的効果を達成出来ることが判り、本発明に至った次第である。
【発明の効果】
【0026】
高速定着の条件下でも充分な耐摩耗性、耐久性を有する離型層を有し、電子写真画像形成装置に用いる定着ローラーの製造方法、この製造方法により製造した定着ローラー及び画像形成装置を提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】定着装置に定着ローラーを使用した電子写真方式の画像形成装置の一例を示す概略断面構成図である。
【図2】図1に示す定着ローラーの部分拡大概略断面図である。
【図3】図2に示す定着ローラーを製造する概略製造工程図である。
【図4】図3に示す硬化処理工程で使用している離型層(保護層)の硬化処理装置の一例を示す概略図である。
【図5】図4に示す硬化処理工程で使用している離型層の硬化処理装置の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施の形態を図1から図4を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0029】
図1は、定着ローラーを使用した電子写真方式の画像形成装置の一例を示す概略断面構成図である。尚、本図はフルカラー画像形成装置の場合を示している。
【0030】
図中、1はフルカラー画像形成装置を示す。フルカラー画像形成装置1は、複数組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、転写部としての無端ベルト状中間転写体形成ユニット7と、記録媒体Pを搬送する無端ベルト状の給紙搬送手段21及び定着手段としてのローラー式定着装置24とを有する。フルカラー画像形成装置1の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
【0031】
各感光体1Y、1M、1C、1Kに形成される異なる色のトナー像の1つとして、イエロー色の画像を形成する画像形成ユニット10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Y、感光体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写手段としての一次転写ローラー5Y、クリーニング手段6Yを有する。
【0032】
又、別の異なる色のトナー像の1つとして、マゼンタ色の画像を形成する画像形成ユニット10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、感光体1Mの周囲に配置された帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラー5M、クリーニング手段6Mを有する。
【0033】
又、更に別の異なる色のトナー像の1つとして、シアン色の画像を形成する画像形成ユニット10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、感光体1Cの周囲に配置された帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラー5C、クリーニング手段6Cを有する。
【0034】
又、更に他の異なる色のトナー像の1つとして、黒色画像を形成する画像形成ユニット10Kは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1K、感光体1Kの周囲に配置された帯電手段2K、露光手段3K、現像手段4K、一次転写手段としての一次転写ローラー5K、クリーニング手段6Kを有する。
【0035】
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラーにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体として無端の中間転写ベルト70を有する。
【0036】
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kより形成された各色の画像は、一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Kにより、回動する無端の中間転写ベルト70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された記録媒体として用紙等の記録媒体Pは、給紙搬送手段21により給紙され、複数の中間ローラー22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラー5Aに搬送され、記録媒体(転写材)P上にカラー画像が一括転写される。
【0037】
カラー画像が転写された記録媒体(転写材)Pは、定着装置24により定着処理され排紙ローラー25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。24aは定着装置24の筐体を示す。定着装置24に関しては図2で説明する。
【0038】
一方、二次転写ローラー5Aにより記録媒体(転写材)Pにカラー画像を転写した後、記録媒体(転写材)Pを曲率分離した無端の中間転写ベルト70は、クリーニング手段6Aにより残留トナーが除去される。
【0039】
画像形成処理中、一次転写ローラー5Kは常時、感光体1Kに圧接している。他の一次転写ローラー5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに圧接する。
【0040】
二次転写ローラー5Aは、ここを記録媒体(転写材)Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状中間転写体70に圧接する。
【0041】
又、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。筐体8は、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写体形成ユニット7とを有する。
【0042】
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Kの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラー71、72、73、74、76を巻回して回動可能な無端の中間転写ベルト70、一次転写ローラー5Y、5M、5C、5K及びクリーニング手段6Aとを有している。
【0043】
筐体8の引き出し操作により、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Kと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とは、一体となって、本体Aから引き出される。
【0044】
この様に感光体1Y、1M、1C、1Kの外周面上を帯電、露光し外周面上に潜像を形成した後、現像によりトナー像(顕像)を形成し、無端ベルト状の中間転写体70上で各色のトナー像を重ね合わせ、一括して記録媒体(転写材)Pに転写し、定着装置24で加圧及び加熱により固定して定着する。尚、本発明で像形成時とは潜像形成、トナー像(顕像)を記録媒体Pに転写し最終画像を形成することを含む。
【0045】
トナー像を記録媒体Pに転移させた後の感光体1Y、1M、1C、1Kは、各感光体1Y、1M、1C、1Kに配設されたクリーニング手段6Y、6M、6C、6Kで転写時に感光体に残されたトナーを清掃した後、上記の帯電、露光、現像のサイクルに入り、次の像形成が行われる。
【0046】
本発明は、定着装置24に使用される定着ローラーの製造方法、及びこの方法により製造した定着ローラーに関するものである。
【0047】
図2は、図1に示す定着装置の拡大概略図である。図2(a)は、図1に示す定着装置のSで示される部分の拡大概略図である。図2(b)は、図2(a)のTで示される部分の拡大概略図である。
【0048】
定着装置24は、内部に加熱源24b1が配設されている定着ローラー24bと、定着ローラー24bに圧接しながら回動する押圧ローラー24cとを有している。定着ローラー24bと、押圧ローラー24cとの間に定着ニップ部Nを形成する様になっている。
【0049】
定着ローラー24bの内部には加熱源24b1が配置されている。加熱源24b1としては特に限定はなく、例えば、ハロゲンランプ、赤外線ヒーター等が挙げられる。
【0050】
定着ローラー24bの外周には、残余トナー及び紙粉等を除去するクリーニング手段(不図示)、分離爪24b2、及びサーミスタ等の温度検知手段24b3等が配置されている。定着ローラー24bの温度は温度検知手段24b3による測定温度によりコントローラ(不図示)で加熱源24b1のON−OFF制御を行っている。
【0051】
分離爪24b2は、回転する定着ローラー24bの外周面に対し近接、或いは当接する様用紙搬送方向に直交する幅方向に渡って複数本が配設され、定着ローラー24bから記録媒体(転写材)Pの先端部を分離する。
【0052】
記録媒体(転写材)Pは、トナー像P1が形成された面を上向きにして定着ニップ部Nの間を移動することで熱と圧力の作用を受けて加熱溶融され、記録媒体(転写材)P上に定着される。P2はトナー像P1が定着され形成された像を示す。
【0053】
定着ローラー24bは定着後の記録媒体(転写材)Pを定着ローラー24bの上から離すことが出来れば層構成は特に限定はないが、例えば円筒状基体24b4と、弾性層24b5と、離型層24b6とを有する構成が挙げられる。離型層24b6の詳細は後述する。弾性層24b5がない構成でも構わない。尚、各層間には、接着性を高めるためプライマー層を設けても構わない。
【0054】
Hは離型層24b6の厚さを示す。厚さHは、熱伝達性、可撓性、耐久性等を考慮し、1μmから10μmが好ましく、1μmから5μmがより好ましい。離型層24b6の厚さは、渦電流式膜厚計((株)フィッシャー・インストルメンツ製)により測定した値を示す。
【0055】
離型層24a3の硬度はユニバーサル硬度(HU)(DIN 50359)で、耐久性、可撓性、離型性、トナーオフセット性等を考慮し、50MPaから800MPaが好ましい。
【0056】
離型層24b6の硬度は、超微小硬度計「H−100V((株)フィッシャー・インストルメンツ製)」を用いて下記条件で測定した値を示す。
【0057】
測定条件
測定機:微小硬度計「H−100V((株)フィッシャー・インストルメンツ製)」
圧子形状:ビッカース圧子(a=136°)
測定環境:20℃、60%RH
最大試験荷重:2mN
荷重速度:2mN/10sec
最大荷重クリープ時間:5秒
除荷速度:2mN/10sec
尚、測定はアルミニウム板上に厚さ2μmとなる様に塗布・硬化し、ランダムに10点から30点測定した。それらの平均値をユニバーサル硬度(HU)とする。
【0058】
離型層24b6の摩擦係数は、離型性、トナーオフセット性、耐久性等を考慮し、0.25以下であることが好ましい。
【0059】
摩擦係数は、ポータブル摩擦計「ミューズ TIPE:94i−II(新東科学株式会社製)」を用いて測定した値を示す。
【0060】
尚、測定は離型層24b6上を、ランダムに10点から30点行い、それらの平均値を摩擦係数(μ)とする。
【0061】
定着ローラー24bの幅、直径は画像形成装置の仕様に応じて適宜決めることが可能である。
【0062】
本図に示す定着ローラーの製造方法に関しては図4及び図5で説明する。
【0063】
図3は図1に示す他の方式の定着装置の概略図である。図3(a)は、図1に示す他の方式の定着装置の概略拡大図である。図3(b)は、図3(a)のUで示される部分の概略拡大図である。
【0064】
定着装置24′は、定着ローラー24′bと、定着ローラー24′bに圧接しながら回動する押圧ローラー24′cとを有している。定着ローラー24′bと、押圧ローラー24′cとの間に定着ニップ部Nを形成する様になっている。
【0065】
定着ローラー24′bは外筒24′b1と、内筒24′b2と、フランジ(不図示)とを有し回転自在に定着装置の筐体24a(図1参照)に配設されている。
【0066】
内筒24′b2は、軸と一体に形成された鉄心(コア)24′b21と、鉄心24′b21に巻き付けられた誘導コイル24′b22とからなり磁界発生手段を構成している。誘導コイル24′b22はリード線(不図示)により、交流電源(不図示)に接続されている。
【0067】
外筒24′b1は内筒24′b2の外周を囲む様に同心的に配設され、その両側には、フランジ(不図示)が設置され、ネジ等で結合されている。このフランジ(不図示)は、内筒24′b2の鉄心24′b21の軸に軸受を介して回転自在に支持されており、フランジの片方には駆動ギヤが設けられ、駆動ギヤを介してモーターと接続されている。従って、定着ローラー24′bは内筒24′b2が固定で、外筒24′b1のみが回転する様になっている。
【0068】
押圧ローラー24′cは、シリコーンゴム等の弾性体を芯金上に形成したものを用い、定着ローラー24′bと所定の圧力で接触することで熱ローラー対を形成し、ニップ部Nを形成している。
【0069】
定着ローラー24′bの外周表面には、残余トナー及び紙粉等を除去するクリーニング手段(不図示)、分離爪24′b2、サーミスタ等の温度検知手段24′b3が設置されている。定着ローラー24′bの温度は、温度検知手段24′b3により外筒24′b1の表面温度が検知され、制御手段(不図示)により交流電源(不図示)の出力電流を制御することにより所望の温度に制御することが可能となっている。
【0070】
分離爪24′b2は、回転する定着ローラー24′の外筒24′b1の外周面に対し近接、或いは当接する様用紙搬送方向に直交する幅方向に渡って複数本が配設され、外筒24′b1から記録媒体(転写材)Pの先端部を分離する。
【0071】
記録媒体(転写材)Pは、トナー像P1が形成された面を上向きにして定着ニップ部Nの間を移動することで熱と圧力の作用を受けて加熱溶融され、記録媒体(転写材)P上に定着される。P2はトナー像P1が定着され形成された像を示す。
【0072】
外筒24′b1は、金属等の導電体からなり、内筒24′b2の誘導コイル誘導コイル24′b22が交流電源(不図示)により励磁されると、外筒24′b1の内壁に交流渦電流が誘起され、ジュール熱により内壁近傍が発熱する。発生した熱は、外筒24′b11の半径方向外側に向かって伝わり、表面が加熱される。
【0073】
外筒24′b1は、導電性の円筒状基体24′b11と、非導電性耐熱支持層24′b12と、導電性発熱層24′b13と、離型層24′b14とを有している。離型層24′b14の詳細は後述する。尚、各層間には、接着性を高めるためプライマー層を設けても構わない。
【0074】
Mは離型層24′b14の厚さを示す。厚さMは、熱伝達性、可撓性、耐久性等を考慮し、1μmから10μmが好ましく、1μmから5μmがより好ましい。離型層24′b14の厚さは、渦電流式膜厚計((株)フィッシャー・インストルメンツ製)により測定した値を示す。
【0075】
離型層24′b14の硬度は耐久性、可撓性、離型性、トナーオフセット性等を考慮し、50MPaから800MPaが好ましい。
【0076】
離型層24′b14の硬度は、ユニバーサル硬度(HU)(DIN 50359)で、図2に示す定着ローラー24bの離型層24b6の硬度測定と同じ方法で測定することが出来る。
【0077】
定着ローラー24′bの幅、直径は画像形成装置の仕様に応じて適宜決めることが可能である。
【0078】
次に図3に示す定着ローラー24′bの製造方法の概略を示す。
【0079】
定着ローラー24′bの外筒24′b1としてアルミニウム若しくは鉄系の金属製芯金の表面をテープ研磨、サンドブラスト法等により平坦化した円筒状基体が製造される、この円筒状基体の上に外筒24′b1を構成する非導電性耐熱支持層24′b12と、導電性発熱層24′b13と、離型層24′b14とが一体になる様材料を選定し、加工する。具体的には、非導電性耐熱支持層24′b12の表面に、導電性発熱層24′b13として金属、例えばニッケル、金、銀をメッキやコーティング、蒸着等の方法により薄層で形成し、その上に、離型層24′b14を形成する。離型層24′b14の形成方法は図2に示す定着ローラー24bの離形層24b6と同じ方法で形成することが可能である。離型層24′b14を形成した後、内筒24′b2を取り付けたフランジ(不図示)に取り付けることで定着ローラー24′bを形成することが出来る。
【0080】
図4は図2に示す定着ローラーを製造する概略製造工程図である。図4(a)は図2に示す定着ローラーを製造する概略フロー図である。図4(b)は図4(a)に示される塗布工程で使用する円筒状基体の表面に離型層形成用塗布液を塗布する塗布装置の一例を示す概略図である。以下に、円筒状基体の上に弾性層が形成された円筒状基体を使用し、弾性層の上に離型層形成用塗布液を塗布する方法に付き説明する。尚、弾性層も本図に示す塗布装置を使用し塗布し乾燥することで形成することが可能である。
【0081】
本発明の離型層を有する定着ローラーの製造工程9は、基体としての円筒状基体を製造する基体製造工程9aと、製造された円筒状基体の表面に弾性層形成用塗布液を塗布する第1塗布工程9bと乾燥工程9cと、弾性層形成用塗布液調製工程9dと、形成された弾性層の上に離型層形成用塗布液を塗布する第2塗布工程9eと、第2塗布工程9eで形成された離型層形成用塗布膜を硬化する硬化処理工程9fと、離型層形成用塗布液調製工程9gとを有している。
【0082】
基体製造工程9aではアルミニウム若しくは鉄系の金属製芯金の表面をテープ研磨、サンドブラスト法等により平坦化が行われ、図2に示す円筒状基体24b4が製造される。
【0083】
第1塗布工程9bでは円筒状基体24b4の上に弾性層形成用塗布液が塗布され、弾性層形成用塗膜が形成される。弾性層形成用塗布液の塗布方法は離型層形成用塗布液の塗布方法と同じ方法で塗布することが可能である。
【0084】
弾性層形成用塗布液調製工程9dでは弾性層形成用塗布液が調製され第1塗布工程9bへ供給される。
【0085】
離型層形成用塗布液調製工程9gは、離型層層形成用塗布液調製容器9g1と、攪拌機9g2と、調製された離型層形成用塗布液を浸漬塗布装置9e1の塗布液供給タンク9e5に送る送液管9g3とを使用している。
【0086】
離型層形成用塗布液調製工程9gで調製される離型層形成用塗布液は、活性エネルギー線硬化型モノマーと、反応性金属酸化物微粒子と、ラジカル重合性不飽和結合部を有するフッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂とを有する組成となっている。離型層形成用塗布液に付いての詳細の説明は後述する。
【0087】
第2塗布工程9eは浸漬塗布装置9e1を使用している。浸漬塗布装置9e1は塗布部9e2と、円筒状基体の供給部9e3とを有している。
【0088】
塗布部9e2は塗布槽9e2aと、塗布槽9e2aの開口部9e2a1から溢れる塗布液を受けるため塗布槽9e2aの上部に配設されたオーバーフロー液の受け槽9e4と、塗布液供給タンク9e5と、送液ポンプ9e6とを有している。
【0089】
塗布槽9e2aは底部9e2a2と、底部9e2a2の周面から立ち上げられ側壁9e2a3を有し、上部が開口部9e2a1となった構造となっている。9e2a4は塗布槽9e2aの底部9e2a2に設けられた送液ポンプ9e6から送られてくる離型層形成用塗布液の塗布液供給口を示す。塗布槽9e2aは開口部9e2a1の径と底部9e2a2の径とが同じ円筒の形状をしている。
【0090】
9e41はオーバーフロー液の受け槽9e4の蓋を示し、中央に孔9e42を有している。9e43はオーバーフロー液の受け槽9e4の塗布液を塗布液供給タンク9e5に戻す塗布液戻し口を示す。Sは離型層形成用塗布液を示す。9e8は塗布液供給タンク9e5に設けられた攪拌用の羽根を示す。
【0091】
供給部9e3は、ボールネジ9e3aと、ボールネジ9e3aを回転させる駆動部9e3bと、ボールネジ9e3aの回転速度を制御する制御部9e3cと、ボールネジ9e3aに螺合されている昇降部材9e3dと、ボールネジ9e3aの回転に伴い昇降部材9e3dを上下方向(図中の矢印方向)に移動させるガイド部材9e3eとを有している。9e3fは昇降部材9e3dに取り付けられた定着ロールの円筒状基体の保持部材を示す。
【0092】
保持部材9e3fは、保持された定着ロールの円筒状基体24b4(図2参照)が塗布槽9e2aのほぼ中央に位置する様に昇降部材9e3dに取り付けられている。
【0093】
ボールネジ9e3aの回転に伴い、昇降部材9e3dが上下方向に移動することで、昇降部材9e3dに取り付けられた保持部材9e3fに保持された弾性層弾性層24b5(図2参照)が形成されている円筒状基体24b4(図2参照)は、塗布槽9e2aの中の離型層形成用塗布液Sに浸漬され、その後引き上げられることで円筒状基体24b4(図2参照)の表面に形成されている弾性層24b5(図2参照)の上に離型層形成用塗布液が塗布される。
【0094】
円筒状基体24b4(図2参照)の引き上げる速度は、使用する離型層形成用塗布液Sの粘度により適宜変更する必要があり、例えば離型層形成用塗布液の粘度が10mPa・sから200mPa・sの場合は、塗布均一性、塗布膜厚、乾燥等を考慮し、0.5mm/secから15mm/secが好ましい。図4に示す浸漬塗布装置を使用し、円筒状基体24b4(図2参照)の弾性層24b5(図2参照)の上に離型層形成用塗布液Sを塗布した後は、硬化処理工程9fで活性エネルギー線を照射することで離型層形成用塗膜を硬化することで離型層24b6(図2参照)が形成される。
【0095】
本図は、浸漬塗布方法に付き説明したものであるが、円筒状基体24b4(図2参照)の表面に弾性層形成用塗布液及び離型層形成用塗布液Sを塗布する方法は特に限定はなく公知の塗布方法適用することが出来る。例えば、環状塗布槽を使用した環状塗布方法、スプレイ塗布方法、超音波アトマイザーによる塗布方法等が挙げられる。
【0096】
硬化処理工程9fは硬化処理装置2(図5参照)を使用している。硬化処理工程9fで離型層形成用塗膜に活性エネルギー線を照射することで硬化処理が行われ、図2に示す離型層24b6が形成される。硬化処理装置2に付いては図5で説明する。
【0097】
図5は図4に示す硬化処理工程で使用している離型層の硬化処理装置の一例を示す概略図である。図5(a)は図4に示す硬化処理工程で使用している離型層の硬化処理装置の一例を示す概略斜視図である。図5(b)は図5(a)に示すA−A′に沿った概略拡大断面図である。
【0098】
図中、2は定着ローラー24b(図2参照)の離型層形成用塗膜3の硬化処理装置を示す。硬化処理装置2は活性エネルギー線照射装置201と、離型層層形成用塗布膜を有する円筒状基体24b4の保持装置202とを有している。活性エネルギー線照射装置201は円筒状基体24b4と対向する位置に配設されており、円筒状基体24b4の上に形成された離型層形成用塗布膜に対して活性エネルギー線を照射する様になっている。離型層形成用塗膜に活性エネルギー線を照射することで硬化処理が行われ、図2に示す離型層24b6が形成される。
【0099】
活性エネルギー線照射装置201は筐体201aと、筐体201aの内部に納められた活性エネルギー線源201bと、活性エネルギー線源201bのエネルギー制御装置(不図示)とを有している。活性エネルギー線照射装置201は硬化処理装置2のフレーム(不図示)に固定して配設されている。201cは筐体201aの底部(円筒状基体24b4の表面と対向する面)に設けられた活性エネルギー線の照射口を示す。
【0100】
Lは照射口201cと円筒状基体24b4上の離型層形成用塗膜3の表面までの距離を示す。距離Lは、活性エネルギー線の強度、離型層形成用塗膜の種類等により適宜設定することが可能となっている。
【0101】
保持装置202は第1保持台202aと、第2保持台202bと、駆動用モーター202cとを有している。
【0102】
駆動用モーター202cは第1保持台202a上に配設されており、円筒状基体24b4は、円筒状基体24b4の取り付け軸と接続部材を介して駆動用モーター202cの回転軸に接続されている。
【0103】
第2保持台202bには円筒状基体24b4の他方の取り付け軸を受ける軸受部202dが配設されており、これにより、活性エネルギー線照射装置201により活性エネルギー線を照射する時、駆動用モーター202cの回転により円筒状基体24b4を回転させながら保持することが可能となっている。
【0104】
活性エネルギー線を照射する時の円筒状基体24b4の回転速度(周速度)は、硬化ムラ、硬度、硬化時間等を考慮し、10mm/sから300mm/sが好ましい。
【0105】
本図は活性エネルギー線照射装置201を固定し、円筒状基体24b4を回転させ活性エネルギー線を照射する場合を示しているが、円筒状基体24b4を固定し、円筒状基体24b4周囲に沿って活性エネルギー線照射装置201を移動させる方式であってもよい。又、本図は円筒状基体24b4を横置きにした場合を示しているが、円筒状基体24b4を縦置きにしても勿論構わない。
【0106】
本発明に使用することが出来る活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、γ線等で、形成された活性エネルギー線硬化型樹脂を活性化させるエネルギー源であれば制限なく使用出来るが、紫外線、電子線が好ましい。特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用出来る。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。又、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプ又はシンクロトロン放射光等も用いることが出来る。スポット状の活性エネルギー線を照射するには紫外線レーザーを使用することが好ましい。
【0107】
又、電子線も同様に使用出来る。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50keVから1000keV、好ましくは100keVから300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることが出来る。
【0108】
照射条件はそれぞれの光源によって異なるが、照射光量は、硬化ムラ、硬度、硬化時間、硬化速度等を考慮し、100mJ/cm以上が好ましく、更に好ましくは、120mJ/cmから200mJ/cmであり、特に好ましくは、150mJ/cmから180mJ/cmである。照射光量は、UIT250(ウシオ電機(株)製)で測定した値を示す。
【0109】
活性エネルギー線の照射時間は0.5秒から5分が好ましく、活性エネルギー線硬化性樹脂の硬化効率、作業効率等から更に好ましくは、3秒から2分である。
【0110】
本発明においては、活性エネルギー線照射の時の雰囲気中の酸素濃度は、硬化ムラ、硬化時間等を考慮し、5%以下、特に1%以下であることが好ましい。該雰囲気にするには窒素ガス等を導入することが有効である。
【0111】
酸素濃度は、雰囲気ガス管理用酸素濃度計OX100(横河電機(株)製)で測定した値を示す。
【0112】
又、本発明においては、活性エネルギー線の硬化反応を効率的に進めるため、円筒状基体24b4を加熱することも出来る。加熱方法としては、特に制限はないが、例えば加熱風の吹き付けが挙げられる。加熱温度としては、使用する活性エネルギー線硬化型樹脂の種類により一概には規定出来ないが、定着ローラー24(図2参照)の離型層24b6(図2参照)へ影響を与えない温度範囲であることが好ましく、40℃から100℃が好ましく、更に40℃から80℃が好ましく、特に好ましくは40℃から60℃である。
【0113】
尚、図3に示す定着ローラー24′の離型層24′b14も本図に示す離型層形成用塗膜の硬化処理装置2を使用し、図2に示す離型層24b6の形成と同じ方法で形成することが出来る。
【0114】
次に離型層形成用塗布液に付き説明する。本発明に使用する離型層形成用塗布液は、活性エネルギー線硬化型モノマーと、反応性金属酸化物微粒子と、ラジカル重合性不飽和結合部を有するフッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂とを有する組成となっている。
【0115】
離型層形成用塗布液は、耐キズ性、耐摩耗性、離型性、トナーオフセット性等を考慮し、活性エネルギー線硬化型モノマー100体積部に対して、反応性金属酸化物微粒子15体積部から250体積部と、フッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂50体積部から400体積部から構成されており、且つ、反応性金属酸化物微粒子の量が、活性エネルギー線硬化型モノマーとフッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂と反応性金属酸化物微粒子の合計に対して、10体積%以上、40体積%以下であることが好ましい。尚、離形層形成用塗布液には、必要に応じて通常使用されている重合開始剤、連鎖移動剤を使用することも可能である。
【0116】
〔活性エネルギー線硬化型モノマー〕
活性エネルギー線硬化型モノマーは、金属酸化物微粒子のラジカル重合性官能基と反応するモノマーであり、炭素・炭素二重結合を有する各種モノマーを用いることが出来る。
【0117】
活性エネルギー線硬化型モノマーは、紫外線や電子線等の活性エネルギー線照射により重合(硬化)し樹脂となるラジカル重合性モノマーが好適であり、ラジカル重合性モノマーでは特に、スチレン系モノマー、アクリル系モノマー、メタアクリル系モノマー、ビニルトルエン系モノマー、酢酸ビニル系モノマー、N−ビニルピロリドン系モノマーが好ましい。中でも、少ない光量或いは短い時間での硬化が可能であることからアクリロイル基又はメタクリロイル基を有するアクリル系モノマーが特に好ましい。
【0118】
本発明においては、これらのラジカル重合性モノマーを単独で用いても、混合して用いてもよい。
【0119】
以下にラジカル重合性モノマーの内、アクリル系モノマーの一例を示す。アクリル系モノマーとは、アクリロイル基(CH=CHCO−)又はメタクリロイル基(CH=CCHCO−)を有する化合物である。又、以下に言うAc基数(アクリロイル基数)とはアクリロイル基又はメタクリロイル基の数を表す。
【0120】
【化1】

【0121】
【化2】

【0122】
【化3】

【0123】
【化4】

【0124】
【化5】

【0125】
【化6】

【0126】
【化7】

【0127】
但し、上記においてR及びR′はそれぞれ下記で示される。
【0128】
【化8】

【0129】
尚、本発明外の化合物ではあるが、従来よく知られているオキサタン化合物としては、下記のものがある。
【0130】
【化9】

【0131】
【化10】

【0132】
本発明においては、アクリル系モノマーは官能基が2以上であること好ましく、4以上が特に好ましい。又、前記アクリル系モノマーでは、前記アクリロイル基又はメタクリロイル基を有する化合物の分子量Mと該アクリロイル基又はメタクリロイル基数Acの比(Ac/M、アクリロイル基又はメタクリロイル基数/分子量)が0.005より大きい化合物が好ましい。その様な化合物を用いた構成とし、重合反応率を上げることによりAc/Mを大きくすると、膜密度の高い定着ローラーの離形層を形成することが出来る。
【0133】
Ac/Mが0.005より大きい化合物としては、例えば例示化合物中、No.1から19、21、23、26、28、30、31から33、35、37、40から44が挙げられる。
【0134】
更に、前記アクリル系モノマーが、反応性メタクリロイル基を有し、且つ、そのAc/Mが、0.005より大きく、0.012より小さい条件を満たす範囲が特に好ましい。
【0135】
この関係範囲で用いることにより、架橋密度が高くなり、定着ローラーの離形層の耐摩耗性が向上する。
【0136】
尚、本発明においては、官能基密度の異なる2種類以上の硬化性化合物を混合して使用してもよい。
【0137】
〔反応性金属酸化物微粒子〕
本願発明に使用する反応性金属酸化物微粒子とは、ラジカル重合性官能基を有する化合物により表面処理された金属酸化物微粒子を言い、金属酸化物微粒子がラジカル重合性官能基を有する化合物で表面処理することにより得ることが出来る。
【0138】
〔金属酸化物微粒子〕
本願発明に用いられる金属酸化物微粒子は、遷移金属も含めた金属酸化物微粒子であればよく、例えば、シリカ(酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、酸化錫、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウム等の金属酸化物微粒子が例示されるが、中でも、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、酸化錫等の粒子が好ましく、特に酸化チタン、アルミナが好ましい。
【0139】
これらの金属酸化物微粒子は、気相法、塩素法、硫酸法、プラズマ法、電解法等の一般的な製造法で作製されたものが用いられる。
【0140】
金属酸化物の数平均一次粒径は1nmから300nmの範囲が好ましい。特に好ましくは3nmから100nmである。粒径が小さい場合は耐摩耗性が十分でなく、又粒径が大きい場合には書き込み光を散乱させたり、粒子が光硬化を阻害し耐摩耗性が十分でなくなる可能性がある。
【0141】
金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡(日本電子製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除いた)を自動画像処理解析装置LUZEX AP((株)ニレコ)ソフトウェアバージョン Ver.1.32を使用して数平均一次粒径を算出した値を示す。
【0142】
金属酸化物微粒子の表面処理に用いるラジカル重合性官能基を有する化合物について説明する。
【0143】
金属酸化物微粒子の表面処理に用いるラジカル重合性官能基を有する化合物としては、炭素・炭素二重結合を有する官能基と、金属酸化物微粒子表面の水酸基とカップリングするアルコキシ基等の極性基を同一分子中に有する化合物が好ましい。
【0144】
ラジカル重合性官能基を有する化合物は、紫外線や電子線等の活性エネルギー線照射により重合(硬化)して、ポリスチレン、ポリアクリレート等の樹脂となる官能基を有する化合物が好適であり、中でも、少ない光量或いは短い時間での硬化が可能であることから反応性アクリロイル基又はタクリロイル基を有するシラン化合物が特に好ましい。
【0145】
本発明で用いられるラジカル重合性官能基を有する化合物により表面処理された金属酸化物微粒子は、例えば、下記式(1)として表される化合物を、金属酸化物微粒子と反応させて製造することが出来る。
【0146】
【化11】

【0147】
(式中、Rは水素原子、炭素数1から10のアルキル基、炭素数1から10のアラルキル基、Rは反応性二重結合を有する有機基、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、アミノキシ基、フェノキシ基を示し、nは1から3の整数である。)
以下に、上記式(1)で示される化合物例を挙げる。
【0148】
S−1 CH=CHSi(CH)(OCH
S−2 CH=CHSi(OCH
S−3 CH=CHSiCl
S−4 CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
S−5 CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−6 CH=CHCOO(CHSi(OC)(OCH
S−7 CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−8 CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−9 CH=CHCOO(CHSiCl
S−10 CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−11 CH=CHCOO(CHSiCl
S−12 CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−13 CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−14 CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−15 CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−16 CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−17 CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−18 CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl2
S−19 CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−20 CH=CHSi(C)(OCH
S−21 CH=C(CH)Si(OCH
S−22 CH=C(CH)Si(OC
S−23 CH=CHSi(OCH
S−24 CH=C(CH)Si(CH)(OCH
S−25 CH=CHSi(CH)Cl
S−26 CH=CHCOOSi(OCH
S−27 CH=CHCOOSi(OC
S−28 CH=C(CH)COOSi(OCH
S−29 CH=C(CH)COOSi(OC
S−30 CH=C(CH)COO(CHSi(OC
又、前記式(1)の化合物以外でも、下記のラジカル重合性官能基を有するシラン化合物を用いてもよい。
【0149】
【化12】

【0150】
尚、本発明外の化合物ではあるが、従来よく用いられてきたエポキシ系化合物として、下記のものがある。
【0151】
【化13】

【0152】
これらのシラン化合物は単独で又は2種以上を混合して使用することが出来る。
【0153】
〔反応性金属酸化物微粒子の製法〕
次に、ラジカル重合性官能基を有する化合物により表面処理された金属酸化物微粒子(反応性金属酸化物微粒子)の製法を、式(1)等で表されるシラン化合物を用いた場合を例に説明する。表面処理するに際し、金属酸化物微粒子100質量部に対し、シラン化合物を表面処理剤として0.1質量部から200質量部、溶媒50質量部から5000質量部を用いて湿式メディア分散型装置を使用して処理することが好ましい。
【0154】
又、金属酸化物微粒子とシラン化合物を含むスラリー(固体粒子の懸濁液)を湿式粉砕することにより、金属酸化物微粒子を微細化すると同時に金属酸化物微粒子の表面処理が進行する。その後、溶媒を除去して粉体化するので、均一でより微細なシラン化合物により表面処理された金属酸化物微粒子を得ることも出来る。
【0155】
ラジカル重合性官能基を有する化合物の表面処理量(ラジカル重合性官能基を有する化合物の被覆量)は、金属酸化物微粒子に対し0.1質量%以上60質量%以上であることが好ましい。特に好ましくは5質量%以上40質量%以下である。
【0156】
このラジカル重合性官能基を有する化合物の表面処理量は、表面処理後の金属酸化物微粒子を550℃で3時間熱処理し、その強熱残分を蛍光X線にて定量分析し、Si量から分子量換算で求めたものである。
【0157】
湿式メディア分散型装置とは、容器内にメディアとしてビーズを充填し、更に回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクを高速回転させることにより、金属酸化物微粒子の凝集粒子を砕いて粉砕・分散する工程を有する装置であり、その構成としては、金属酸化物微粒子に表面処理を行う際に金属酸化物微粒子を十分に分散させ、且つ表面処理出来る形式であれば問題なく、例えば、縦型・横型、連続式・回分式等、種々の様式が採用出来る。具体的にはサンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミル等が使用出来る。これらの分散型装置は、ボール、ビーズ等の粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、専断、ズリ応力等により微粉砕、分散が行われる。
【0158】
サンドグラインダーミルで用いるビーズとしては、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料としたボールが使用可能であるが、特にジルコニア製やジルコン製のものが好ましい。又、ビーズの大きさとしては、通常、直径1mmから2mm程度のものを使用するが、本発明では0.3mmから1.0mm程度のものを用いるのが好ましい。
【0159】
湿式メディア分散型装置に使用するディスクや容器内壁には、ステンレス製、ナイロン製、セラミック製など種々の素材のものが使用出来るが、本発明では特にジルコニア又はリコンカーバイドといったセラミック製のディスクや容器内壁が好ましい。
【0160】
以上の様な湿式処理により、ラジカル重合性官能基を有する式(1)のシラン化合物により表面処理された金属酸化物微粒子を得ることが出来る。
【0161】
〔ラジカル重合性不飽和結合部を有するフッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂〕
ラジカル重合性不飽和結合部とは、炭素原子・炭素原子間の不飽和結合を意味する。本発明に用いられるラジカル重合性不飽和結合部を有するフッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂とは、少なくともフッ素原子を含有する繰り返し単位とシロキサン構造を有する繰り返し単位を有する共重合体を言う。例えば、ウレタン結合を介してラジカル重合性不飽和結合部分を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A)(以下、単に、ラジカル重合性フッ素樹脂と称することがある)2質量%から70質量%と、一般式(1)及び/又は一般式(2)で示される片末端ラジカル重合性ポリシロキサン(B)、ラジカル重合反応条件下において、ウレタン結合を介してラジカル重合性フッ素樹脂(A)と、二重結合による重合反応以外には反応しないラジカル重合性単量体(C)(以下、非反応性ラジカル重合性単量体と称することがある)15質量%から94質量%を共重合してなるグラフト共重合体が挙げられる。
【0162】
グラフト共重合体の分子量は特に限定されるものではないが、その重量平均分子量は、成膜性、耐候性、架橋密度等を考慮し、ポリスチレン換算のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、好ましくは約5,000から2,000,000(より好ましくは約10,000から1,000,000)の範囲である。
【0163】
【化14】

【0164】
[式中、Rは水素原子又は炭素原子数1から10の炭化水素基であり、R、R、R、R、及びRは互いに同一でも異なっていてもよい水素原子又は炭素原子数1から10の炭化水素基であり、nは2以上の整数である]
【0165】
【化15】

【0166】
[式中、Rは水素原子又は炭素原子数1から10の炭化水素基であり、R、R、R10、R11、及びR12は互いに同一でも異なっていてもよい水素原子又は炭素原子数1から10の炭化水素基であり、pは0から10の整数であり、qは2以上の整数である]
本発明に用いられるウレタン結合を介してラジカル重合性不飽和結合部分を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A)は、例えば、水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A−1)とイソシアネート基を有するラジカル重合性単量体(A−2)とを反応させることによって得ることが出来る。
【0167】
水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A−1)は、その構成成分として少なくとも水酸基含有単量体部分とポリフルオロパラフィン部分とを含むものであれば特に限定されるものではないが、例えば、繰り返し単位として、一般式(3)、一般式(4)で表される繰り返し単位を含むものが挙げられる。
【0168】
【化16】

【0169】
〔式中、R21及びR22は、各繰り返し単位毎に独立して、且つ、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、又は塩素原子)、炭素数1〜10のアルキル基(例えば、メチル基、又はエチル基)、炭素数6から8のアリール基(例えば、フェニル基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)1個又は複数個で置換された炭素数1から10のアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、又はトリクロロメチル基)、或いはハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)1個又は複数個で置換された炭素数6から8のアリール基(例えば、ペンタフルオロフェニル基)であり、xは2以上の整数である〕
【0170】
【化17】

【0171】
〔式中、R23は、繰り返し単位毎に独立して、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)、炭素数1から10のアルキル基(例えば、メチル基、又はエチル基)、炭素数6〜8のアリール基(例えば、フェニル基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)1個又は複数個で置換された炭素数1から10のアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、又はトリクロロメチル基)、或いはロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)1個又は複数個で置換された炭素数6から8のアリール基(例えば、ペンタフルオロフェニル基)であり、R24は、繰り返し単位毎に独立して、OR25a基、CHOR25b基、及びCOOR25c基から選択した2価の基であり、R25a、R25b、及びR25cは、炭素数1から10のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、又はヘキサメチレン基)、炭素数6から10のシクロアルキレン基(例えば、シクロへキシレン基)、炭素数2から10のアルキリデン基(例えば、イソプロピリデン基)、及び炭素数6から10選択した2価の基であり、yは2以上の整数である〕
更に、水酸基を有する有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A−1)は、その構成成分として場合により、例えば、一般式(5)で表される繰り返し単位を含むことが出来る。この一般式(5)で表される繰り返し単位を含むことにより、有機溶剤に対する溶解性を向上することが出来る。
【0172】
【化18】

【0173】
〔式中、R26は、各繰り返し単位毎に独立して、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、又は塩素原子)、炭素数1から10のアルキル基(例えば、メチル基、又はエチル基)、炭素数6から10のアリール基(例えば、フェニル基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)1個又は複数個で置換された炭素数1から10のアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、又はトリクロロメチル基)、或いはハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)1個又は複数個で置換された炭素数6から10のアリール基(例えば、ペンタフルオロフェニル基)であり、R27は、繰り返し単位毎に独立して、OR28a基又はOCOR28b基であり、R28a及びR28bは、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)、炭素数1から10のアルキル基(例えば、メチル基、又はエチル基)、炭素数6から10のアリール基(例えば、フェニル基)、炭素数6から10のシクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)1個又は複数個で置換された炭素数1から10のアルキル基(例えば、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、又はトリクロロメチル基)、或いはハロゲン原子(例えば、フッ素原子又は塩素原子)1個又は複数個で置換された炭素数6から10のアリール基(例えば、ペンタフルオロフェニル基)であり、zは2以上の整数である〕
有機溶剤可溶性フッ素樹脂(A−1)は、単独で使用するか又は2種類以上を混合して使用することが出来る。
【0174】
イソシアネート基を有するラジカル重合性単量体(A−2)は、イソシアネート基とラジカル重合性を有する部分とを含む単量体であれば特に限定されるものではないが、イソシアネート基を有し、それ以外の官能基(例えば、水酸基又はポリシロキサン鎖)を有していないラジカル重合体単量体を用いるのが好ましい。好適なイソシアネート基を有するラジカル重合性単量体(A−2)としては、例えば一般式(6)、一般式(7)で表されるラジカル重合性単量体が挙げられる。
【0175】
【化19】

【0176】
〔式中、R31は水素原子又は炭素原子数1から10の炭化水素基、例えば、炭素原子数1から10のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、又はヘキシル基)、炭素原子数6から10のアリール基(例えば、フェニル基)、又は炭素原子数3から10のシクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基であり、R32は酸素原子又は炭素原子数1から10の直鎖状又は分岐状の2価炭化水素基、例えば、炭素原子数1から10のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、又はテトラメチレン基)、炭素原子数2から10のアルキリデン基(例えば、イソプロピリデン基)、又は炭素原子数6から10のアリーレン基(例えば、フェニレン基、トリレン基、又はキシリレン基)、又は炭素原子数3から10のシクロアルキレン基(例えば、シクロヘキシレン基)である〕
【0177】
【化20】

【0178】
〔式中、R41は水素原子又は炭素原子数1から10の炭化水素基、例えば、炭素原子数1から10のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、又はヘキシル基)、炭素原子数6から10のアリール基(例えば、フェニル基)、又は炭素原子数3から10のシクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基であり、R42は酸素原子又は炭素原子数1から10の直鎖状又は分岐状の2価炭化水素基、例えば、炭素原子数1から10のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、又はテトラメチレン基)、炭素原子数2から10のアルキリデン基(例えば、イソプロピリデン基)、又は炭素原子数6から10のアリーレン基(例えば、フェニレン基、トリレン基、又はキシリレン基)、又は炭素原子数3から10のシクロアルキレン基(例えば、シクロヘキシレン基)である〕
上記、一般式(1)から一般式(7)に記載の化合物は、特開2000−119354号公報に記載の化合物であり、これらの化合物を使用して、ラジカル重合性不飽和結合部を有するフッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂の製造も特開2000−119354号公報に記載の方法により製造される。
【0179】
市販されているフッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂としては、富士化成工業(株)製ZXシリーズが挙げられる。例えば、ZX−001、ZX−007−C、ZX−017、ZX−022、ZX−022−H、ZX−212、ZX−201、ZX−202、ZX−214−A、ZX−101、ZX−058−A等が挙げられる。
【0180】
(離形層形成用塗布液の調製方法)
次に、離形層形成用塗布液の調製方法を説明する。離形層形成用塗布液は活性エネルギー線硬化型モノマー100体積部に対して、反応性金属酸化物微粒子15体積部から250体積部と、フッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂50体積部から400体積部を反応性金属酸化物微粒子が、活性エネルギー線硬化型モノマーとフッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂と反応性金属酸化物微粒子の合計に対して、10体積%以上、40体積%以下に調製した後、湿式メディア分散型装置で分散することで調製することが可能である。
【0181】
湿式メディア分散型装置とは、容器内にメディアとしてビーズを充填し、更に回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクを高速回転させることにより、金属酸化物微粒子の凝集粒子を砕いて解砕・分散する工程を有する装置であり、例えば、縦型・横型、連続式・回分式等、種々の様式が採用出来る。具体的にはサンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミル等が使用出来る。これらの分散型装置は、ボール、ビーズ等の粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、専断、ズリ応力等により微粉砕、分散が行われる。
【0182】
サンドグラインダーミルで用いるビーズとしては、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、フリント石などを原材料としたボールが使用可能であるが、特にジルコニア製やジルコン製のものが好ましい。又、ビーズの大きさとしては、通常、直径1mmから2mm程度のものを使用するが、本発明では0.3mmから1.0mm程度のものを用いるのが好ましい。
【0183】
湿式メディア分散型装置に使用するディスクや容器内壁には、ステンレス製、ナイロン製、セラミック製など種々の素材のものが使用出来るが、本発明では特にジルコニア又はシリコンカーバイドといったセラミック製のディスクや容器内壁が好ましい。
【0184】
分散の終点は、分散液を、PETフィルム上にワイヤーバーで塗布した液を自然乾燥後、405nmの光透過率の1時間前との変化率が3%以下となる分散状態が好ましい。更に望ましくは、1%以下が好ましい。
【0185】
以上の様な分散処理により、離形層形成用塗布液を得ることが出来る。
【0186】
次に、図2、図3に示される定着ローラーを構成している材料に付き説明する。
【0187】
(定着ローラーの基体)
定着ローラーの基体としては円筒状、円柱状の基体が上げられ、材料としてアルミニウム、アルミニウム合金、鉄合金、銅合金等が挙げられる。
【0188】
(図3に示す定着ローラーの円筒状基体)
非導電性耐熱支持層
強度的に劣る導電性発熱層が変形を受けない様支持する役目を果たし、非導電性、非磁性の、例えば、ガラス、PI(ポリイミド)樹脂やPBI(ポリベンズイミダゾール)樹脂等の熱硬化性耐熱樹脂、セラミックス等を用いる。又、熱容量の小さい材質を用いたり、熱伝導率の小さな材質を用いて立ち上げ時間を阻害しない様にすることが望ましい。
【0189】
導電性発熱層
金属の薄膜や炭素繊維を編んだもの等の導電性を有する材料からなり、熱容量が小さくなる様薄くしたものを用いる。
【0190】
(弾性層)
弾性層は、記録媒体上のトナー像の凹凸に追従して、定着ベルト表面がトナー像に密着する役割を担う層である。特に、カラー画像を形成する場合、弾性層により、記録媒体及びトナー像の加熱ムラ及び光沢ムラが抑制された画像が得られる。又、弾性層が加圧部材との接触領域内で変形し、低荷重でも接触幅が得られことから、プロセス速度(記録媒体の搬送速度)が速くなってもトナー像への熱の受け渡しがこのて定着が行われ、白黒画像を形成する場合でも、高速化が実現される。弾性層とは、100Paの外力印加により変形させても、もとの形状に復元する材料から構成される層であることを意味する。
【0191】
弾性層を構成する材料としては、公知の弾性材料が挙げられる。弾性材料としては、例えば、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱性のゴムを用いることが望ましい。この耐熱性のゴムとしては、例えば、東レダウコーニングシリコーン社製の液状シリコーンゴムSE6744や、DuPont Dow elastmers社製のバイトンB−202等が挙げられる。
【0192】
離形層を活性エネルギー線硬化型モノマーと、反応性金属酸化物微粒子と、ラジカル重合性不飽和結合部を有するフッ素樹脂/シロキサングラフト共重合体とを有する離形層形成用塗布液を塗布した後、活性エネルギー線を照射し形成することで次の効果が挙げられる。
【0193】
1.活性エネルギー線硬化型モノマーと、反応性金属酸化物微粒子と、ラジカル重合性不飽和結合部を有するフッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂の3つを含有すると、反応性金属酸化物微粒子、活性エネルギー線硬化型モノマー、ラジカル重合性不飽和結合部を有するフッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂のそれぞれの反応点が結合しあうことにより、架橋密度が高くなり、高硬度、高架橋密度、高靱性な塗膜を形成出来る。その結果、耐摩耗性が向上し、長期間の使用による削れやキズが低減出来る。
【0194】
2.ラジカル重合性不飽和結合部を有するフッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂を含有することで、定着ローラーの表面エネルギーが小さくなり、摩擦係数が低減出来るため、トナーの離型性が向上する。
【実施例】
【0195】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0196】
実施例1
図2に示す基体/弾性層/離型層の構成を有する定着ローラーを以下に示す方法で作製した。
【0197】
(円筒状基体の準備)
直径100mm、長さ360mm、厚さ0.8mm、表面粗さRaが0.1μmのアルミニウム製の円筒状基体を準備した。尚、表面粗さRaは(株)ミツトヨ製 表面粗さ測定機サーフテストSV−3100で測定した値を示す。
【0198】
(金属酸化物微粒子の準備)
表1に示す金属酸化物微粒子の種類を変えた金属酸化物微粒子No.aからeを準備した。金属酸化物微粒子の数平均一次粒径は、走査型電子顕微鏡(日本電子製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除いた)を自動画像処理解析装置LUZEX AP((株)ニレコ)ソフトウェアバージョン Ver.1.32を使用して数平均一次粒径を算出した値を示す。
【0199】
【表1】

【0200】
(反応性金属酸化物微粒子の準備)
準備した金属酸化物微粒子No.aからeの表面を処理するラジカル重合性官能基を有する化合物として表2に示す化合物No.AからHを準備した。
【0201】
【表2】

【0202】
準備したラジカル重合性官能基を有する化合物No.AからHを使用し、準備した金属酸化物微粒子No.aからeの表面処理を以下に示す方法で行い、表3に示す反応性金属酸化物微粒子No.1−Aから1−Qを準備した。
【0203】
【表3】

【0204】
〔反応性金属酸化物微粒子の製造〕
金属酸化物微粒子100質量部に対し、ラジカル重合性官能基を有する化合物を表面処理剤として15質量部、溶媒(トルエン:イソプロピルアルコール=1:1の混合溶媒)400質量部を用いて湿式メディア分散型装置を使用して分散した後、溶媒を除去してラジカル重合性官能基を有する化合物で表面を処理した反応性金属酸化物微粒子を製造した。
【0205】
製造された反応性金属酸化物微粒子のラジカル重合性官能基を有する化合物の表面処理量(ラジカル重合性官能基を有する化合物の被覆量)は、金属酸化物微粒子に対し12質量%であった。
【0206】
ラジカル重合性官能基を有する化合物の表面処理量は、表面処理後の金属酸化物微粒子を550℃で3時間熱処理し、その強熱残分を蛍光X線にて定量分析し、Si量から分子量換算で求めた値を示す。
【0207】
〔フッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂の調製〕
<ラジカル重合性フッ素樹脂A1の合成>
機械式撹拌装置、温度計、コンデンサー、及び乾燥窒素導入口を備えたガラス製反応器に、セフラルコートA690X(不揮発分55%、セントラル硝子(株)製)181質量部(固形分換算99.6質量部)、及び2−イソシアナトエチルメタクリレート(0.4質量部)を入れ、乾燥窒素雰囲気下で80℃に加熱した。80℃で2時間反応し、サンプリング物の赤外吸収スペクトルによりイソシアネートの吸収が消失したことを確認した後、反応混合物を取り出し、ラジカル重合性フッ素樹脂A1(不揮発分55.1%)を得た。
【0208】
<ラジカル重合性フッ素樹脂A2の合成>
ラジカル重合性フッ素樹脂A1の合成例に記載のセフラルコートA690Xに代えて、ルミフロンLF710F(99.6質量部、旭硝子(株)製)及び溶剤としての酢酸ブチル81.4質量部を用いる他は製造例1と同様にして、ラジカル重合性フッ素樹脂A2(固形分の水酸基価48、不揮発分55.1%)を得た。
【0209】
<フッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂溶液No.G−1の調製>
機械式撹拌装置、温度計、コンデンサー、及び乾燥窒素導入口を備えたガラス製反応器に、ラジカル重合性フッ素樹脂A1(45質量部(固形分換算24.8質量部))、t−ブチルメタクリレート(60質量部)、2−エチルヘキシルアクリレート(10質量部)、サイラプレーンFM−0721(5質量部)、パーブチルO(5質量部)、酢酸ブチル(80質量部)を入れ、窒素雰囲気中で90℃まで加熱した後、90℃で8時間保持することによって、不揮発分が50%であるフッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂溶液を得た。
【0210】
<フッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂溶液No.G−2から4の調整>
ラジカル重合性フッ素樹脂、溶剤、ラジカル重合性単量体及びラジカル重合性ポリシロキサンの仕込み量及び種類を表4に記載のように変更したこと以外はS−1と同様にして、フッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂溶液を得た。
【0211】
【表4】

【0212】
a*サイラプレーンFM−0721:チッソ(株)製
b*MMA:メチルメタクリレート
c*TBMA:t−ブチルメタクリレート
d*EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
e*HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
f*パーブチルO:t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製)
g*酢酸ブチル
<市販のフッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂の準備>
又、市販のフッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂、ZX−212(不揮発分47%、富士化成工業(株)製)を準備した。
【0213】
(離型層形成用塗布液の調製)
準備した反応性金属酸化物微粒子No.1−Aから1−Qと、活性エネルギー線硬化型モノマーと、フッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂溶液No.G−1からG−4及びZX−212とを溶媒(メチルイソブチルケトン)と混合し、横型循環分散機(ディスパーマット:英弘精機)にて、φ0.5mmのジルコニアビーズを充填率80%となるように仕込み、1000rpmで分散を行った。分散液に、光重合開始剤(イルガキュアー379:BASFジャパン)を混合し、表5、表6に示すNo.1−1から1−63の離型層形成用塗布液を調製した。
【0214】
【表5】

【0215】
【表6】

【0216】
(離型層形成用塗布液の塗布)
準備した円筒状基体の表面に図4に示す塗布装置を使用し、浸漬塗布方法で調製した各離型層形成用塗布液No.1−1から1−63を乾燥膜厚が2μmとなる様に離型層形成用塗布膜を形成した後、活性エネルギー線として紫外線を使用し、図5に示す硬化処理装置で離型層形成用塗布膜を硬化し離型層を形成し中間転写ベルトを作製し試料No.101から163とした。尚、紫外線を照射する時、光源を固定し、中間転写ローラーを保持した円筒状基体を周速度60mm/sで回転しながら行った。
【0217】
塗布条件
塗布液供給量:1l/min
引き上げ速度:4.5mm/min
紫外線照射条件
光源の種類:高圧水銀ランプ(H04−L41:アイグラフィックス(株)製)
照射口から離型層形成用塗膜の表面までの距離:100mm
照射光量:1mJ/cm
照射時間(基体を回転させている時間):240秒
評価
作製した試料No.101から163に付き、耐摩耗性、耐久性の代用特性として定着分離性(離型性、トナーオフセット性)、耐傷性、耐摩耗性について以下に示す方法で評価し、以下に示す評価ランクに従って評価した結果を表7、表8に示す。
【0218】
定着分離性の評価方法
作製した試料No.101から163をコニカミノルタビジネステクノロジーズ社製bizhub PRO C6500(レーザー露光・反転現像・中間転写体のタンデムカラー複合機)を評価が行える様に改造し、搬送方向に対して垂直方向に5cm幅のベタ黒帯状画像を有するA4画像を縦送りで搬送した際における画像側の定着ローラーと紙との分離性を下記の評価基準により判定した。
【0219】
◎:紙がカールすることなく分離爪に触れずに定着ローラーと分離する。
【0220】
○:紙が定着ローラーと分離爪で分離するが、画像上に分離爪の跡はない。
【0221】
△:紙が定着ローラーと分離爪で分離するが、画像上の分離爪の跡はほとんど目立たない。
【0222】
×:紙が定着ローラーと分離爪で分離し、画像上に分離爪跡が残る、もしくは定着ローラーに巻きついてしまい定着ローラーと分離できない。
【0223】
耐傷性の評価方法
作製した試料No.101から163をコニカミノルタビジネステクノロジーズ社製bizhub PRO C6500(レーザー露光・反転現像・中間転写体のタンデムカラー複合機)を評価が行える様に改造し、20℃、50%RHでYMCKの各色印字率2.5%のA4画像を中性紙に100万枚印刷出力前後に定着ローラーの表面状態を観察し、100mm×100mmの範囲内に発生したキズの状態を評価した。
【0224】
耐傷性の評価ランク
◎:100万枚印字後に表面傷発生なし
○:100万枚印字後に表面傷1箇所以上から6箇所未満発生
△:100万枚印字後に表面傷6箇所以上から11箇所未満発生
×:100万枚印字後に表面傷11箇所以上発生
耐摩耗性の評価方法
耐傷性の評価と同じ方法で100万枚の画出しを行い、初期の定着ローラーの膜厚と100万枚後の定着ローラーの膜厚さで評価した。定着ローラーの膜厚は均一膜厚部分(両端は膜厚が不均一になりやすいので、少なくとも両端3cmは除く)をランダムに10ヶ所測定し、その平均値を定着ローラーの膜厚とする。膜厚測定器は渦電流方式の膜厚測定器EDDY560C(HELMUT FISCHER GMBTE CO社製)を用いて行い、実写試験前後の定着ローラーの膜厚の差を膜厚減耗量とする。
【0225】
耐摩耗性の評価ランク
◎:膜厚減耗量が0.5μm未満
○:膜厚減耗量が0.5μm以上から1μm未満
△:膜厚減耗量が1μm以上から2μm未満
×:膜厚減耗量が2μm以上
【0226】
【表7】

【0227】
【表8】

【0228】
活性エネルギー線硬化型モノマーと、反応性金属酸化物微粒子と、ラジカル重合性不飽和結合部を有するフッ素樹脂/シロキサングラフト共重合体とを有する離形層形成用塗布液を塗布した後、活性エネルギー線を照射し離形層形成用活性エネルギー線硬化型モノマーと、塗膜を硬化し離型層を形成した試料No.101から154は、定着分離性、耐傷性、耐摩耗性何れも優れた性能を有することを確認した。
【0229】
活性エネルギー線硬化型モノマーと、反応性金属酸化物微粒子とで構成される離形層を有する試料No.158、160、163、は定着分離性が劣ることを確認した。
【0230】
反応性金属酸化物微粒子と、フッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂とで構成される離形層を有する試料No.157、159、161は、本発明の試料No.130、138、154に比べ耐キズ性、耐摩耗性とが劣ることを確認した。
【0231】
活性エネルギー線硬化型モノマーと、フッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂とで構成される離形層を有する試料No.155、156、162は本発明の試料No.101から130、136、138、144、146、152に比べ耐傷性、耐摩耗性とが劣ることを確認した。本発明の有効性が確認された。
【符号の説明】
【0232】
1 フルカラー画像形成装置
24、24′ 定着装置
24b、24′b 定着ローラー
24b1 加熱源
24b4、24′b11 円筒状基体
24b5 弾性層
8、24a、201a 筐体
24b6、24′b14 離型層
24′b1 外筒
24′b2 内筒
24′b21 鉄心(コア)
24′b22 誘導コイル
24′b12 非導電性耐熱支持層
24′b13 導電性発熱層
9e1 浸漬塗布装置
9e2a 塗布槽
2 硬化処理装置
201 活性エネルギー線照射装置
201b 活性エネルギー線源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体の上に少なくとも1層の離形層を設けた電子写真方式の画像形成装置に使用する定着ローラーの製造方法において、
前記離形層が活性エネルギー線硬化型モノマーと、反応性金属酸化物微粒子と、ラジカル重合性不飽和結合部を有するフッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂とを有する離形層形成用塗布液を塗布した後、活性エネルギー線を照射し形成することを特徴とする定着ローラーの製造方法。
【請求項2】
前記離形層形成用塗布液が、前記活性エネルギー線硬化型モノマー100質量部に対して、前記反応性金属酸化物微粒子を15体積部から250体積部有し、前記フッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂を50体積部から400体積部有し、且つ、前記反応性金属酸化物微粒子を、前記活性エネルギー線硬化型モノマーと前記フッ素樹脂/シロキサングラフト型樹脂と該反応性金属酸化物微粒子の合計に対して、10体積%以上、40体積%以下有することを特徴とする請求項1に記載の定着ローラーの製造方法。
【請求項3】
基体の上に離形層を設けた電子写真方式の画像形成装置に使用する定着ローラーにおいて、前記離形層が請求項1又は2に記載の製造方法により形成されていることを特徴とする定着ローラー。
【請求項4】
請求項3に記載の定着ローラーを使用したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−58566(P2012−58566A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−202806(P2010−202806)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】