説明

定着固形癌の治療におけるラクトフェリン

【課題】定着固形癌を治療する為の薬剤の提供。
【解決手段】ラクトフェリンの組成物単独で、定着固形癌を治療する為の薬剤。さらに、このような組成物と標準的な抗癌療法と組み合わせて投与することにより、定着固形癌を治療する薬剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラクトフェリンの組成物を単独でまたは標準的な抗癌療法と組合せて投与することにより過剰増殖性疾患を治療する方法に関する。ラクトフェリン組成物は、経口投与、静脈内投与、腫瘍内投与、または局所投与することができる。
【背景技術】
【0002】
目下、多くの一般的な種類の癌の治療に対して有効な選択の自由はほとんどない。個々の治療の方針は、診断、疾患が進んでいる段階、年齢、性別などの要因、および患者の総合的な健康状態によってかわってくる。癌の治療において最も一般的に選択されるのは、外科手術、放射線療法、および化学療法である。外科手術は、癌の診断および治療において中心的な役割を果たす。典型的に、外科手術法は、生検および増殖癌患部の除去に必要である。しかし、癌が転移したり、広がったりすると、外科手術により治癒をもたらすのは困難になり、他の手法をとる必要がある。外科手術の副作用には、構造または器官の機能の減少、および感染、出血、または凝血塊に関連する合併症の危険性の増加がある。放射線療法、化学療法、生物(学的)療法および免疫療法は、癌の外科的処置のかわりとなる(Mayer, 1998; Ohara, 1998; Ho他, 1998)。これらの代わりの療法の多くが有する欠点は副作用であり、それは、骨髄抑制、皮膚刺激、嚥下困難、口渇、嘔吐、下痢、抜け毛、体重減少、およびエネルギー消耗を含みうる(Curran, 1998; Brizel, 1998)。
【0003】
ラクトフェリンは、単鎖の金属結合糖タンパク質である。多くの種類の細胞、例えば、単球、マクロファージ、リンパ球、および腸刷子縁細胞は、ラクトフェリン受容体を有することが知られている。ラクトフェリンがBリンパ球およびTリンパ球の両方にとって必須の増殖因子であることに加え、ラクトフェリンは、宿主の一次防御機構に関連する各種の機能を有する。例えば、ラクトフェリンは、ナチュラルキラー(NK)細胞を活性化すること、コロニー刺激活性を誘発すること、多形核好中球(PMN)を活性化すること、顆粒球形成を調節すること、抗体依存性細胞の細胞毒性を増強すること、リンホカイン活性化キラー(LAK)細胞の活性を刺激すること、およびマクロファージの毒性を強化することが報告されている。
【0004】
最近、ウシラクトフェリン(bLF)が、腫瘍形成および/または定着腫瘍に対する予防剤として使用された。本発明は、定着腫瘍に対し、予防剤としてではなく、治療剤としてラクトフェリンを始めて使用するものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Mayer, Radiat Oncol Investig. 6:281-8, 1998
【非特許文献2】Ohara, Acta Oncol. 37:471-4, 1998
【非特許文献3】Ho他, 1998
【非特許文献4】Curran, 1998
【非特許文献5】Brizel, 1998
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、過剰増殖性疾患を治療するための方法に関する。この治療方法は、ラクトフェリンの経口投与、静脈内投与、局所投与および/または腫瘍内投与を用いる。
【0007】
本発明の特定の態様は、過剰増殖性疾患を治療する方法であって、対象において過剰増殖性疾患の改善をもたらすのに足る量でヒトラクトフェリン組成物を対象に経口投与する工程を含む方法である。より具体的には、投与される組成物の量は、1日あたり約1mg〜約100g、より好ましくは1日あたり20mg〜約10gである。さらなる態様は、ヒトラクトフェリン組成物と組合せて制酸剤を投与することを含む。
【0008】
特定の態様において、ヒトラクトフェリン組成物は、薬学的に許容される担体中に分散されている。より具体的には、ヒトラクトフェリンは組換えヒトラクトフェリンである。
【0009】
過剰増殖性疾患はさらに癌であるとして定義され、そこにおいて癌は新生物を含む。該新生物は、黒色腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺肝細胞癌、網膜芽腫、星状細胞腫、グリア芽腫、白血病、神経芽腫、扁平上皮細胞癌、頭部癌、頸部癌、歯肉部癌、舌癌、乳癌、すい臓癌、前立腺癌、腎臓癌、骨癌、精巣癌、卵巣癌、中皮腫、肉腫、子宮頸癌、胃腸癌、リンパ腫、脳腫瘍、大腸癌、および膀胱癌からなる群より選ばれる。より特定的には、該新生物は造血新生物である。例えば、該造血新生物は、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄単球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、多発性骨髄腫、および慢性リンパ性白血病からなる群より選ばれる。
【0010】
さらなる態様において、過剰増殖性疾患は、慢性関節リウマチ、炎症性の腸疾患、変形性関節症、平滑筋腫、腺腫、脂肪腫、血管腫、線維腫、血管閉塞、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、前新生物性の病変、上皮内癌、口腔毛髪状白斑、および乾癬からなる群より選ばれる。
【0011】
他の態様は、胃腸管におけるヒトラクトフェリンの量を増やすことにより対象において粘膜免疫系を補う工程を含む、過剰増殖性疾患を治療する方法である。該ヒトラクトフェリンは、経口投与され、インターロイキン-18の産生および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)の産生を刺激する。
【0012】
さらに他の態様は、対象の胃腸管における粘膜免疫応答を増強する方法であって、該対象にヒトラクトフェリンを経口投与する工程を含む方法である。該ヒトラクトフェリンは、胃腸管においてインターロイキン-18およびGM-CSFを刺激する。IL-18は、免疫細胞、例えばTリンパ球またはナチュラルキラー細胞の産生、成熟、移動または活性を刺激する。Tリンパ球は、CD4+、CD8+およびCD3+細胞からなる群より選ばれる。GM-CSFもまた、免疫細胞、例えば樹状細胞および他の抗原提示細胞の産生、成熟、移動または活性を刺激する。さらなる態様には、化学療法、生物学的療法、免疫療法、外科手術または放射線療法と組合せてヒトラクトフェリン組成物を対象に経口投与することを含む、過剰増殖性疾患の治療が含まれる。さらに特定的には、該化学療法は、シスプラチンのような白金系の化学療法、または、ドセタキセルのようなタキサン系の化学療法である。
【0013】
他の態様は、対象において新生物の増殖を低下させる方法であって、該対象において新生物の増殖を減少させるのに十分な量でヒトラクトフェリン組成物を該対象に経口投与する工程を含む方法である。さらに、該ラクトフェリン組成物は、化学療法、生物学的療法、免疫療法、外科手術または放射線療法と組合せて投与してもよい。
【0014】
さらに他の態様は、過剰増殖性疾患を治療する方法であって、該過剰増殖性疾患の改善をもたらすのに十分な量でラクトフェリン組成物を対象に静脈内投与する工程を含む方法である。投与される該組成物の量は、1日あたり約0.1μg〜約10gである。より特定的に、ラクトフェリンは哺乳動物のラクトフェリンであり、例えば、ヒトまたはウシのものである。また、ラクトフェリンは組換えラクトフェリンであってもよい。
【0015】
他の態様は、過剰増殖性疾患を治療する方法であって、体循環におけるラクトフェリンの量を増やすことにより対象において全身性の免疫系を補う工程を含む方法からなる。該ラクトフェリンは静脈内投与される。さらに、ラクトフェリン組成物は、化学療法、生物学的療法、免疫療法、外科手術または放射線療法と組合せて投与される。
【0016】
さらに他の態様は、ラクトフェリン組成物を対象に静脈内投与する工程により、全身性の免疫応答を増強する方法である。該ラクトフェリンはインターロイキン-18およびGM-CSFを刺激する。意図するところによれば、インターロイキン-18は、免疫細胞、例えばTリンパ球またはナチュラルキラー細胞の産生または活性を刺激し、そして、CM-CSFは、樹状細胞およびその他の抗原提示細胞を含む免疫細胞の移動および成熟を促進する。
【0017】
さらに他の態様は、過剰増殖性疾患を治療する方法であって、該過剰増殖性疾患の改善をもたらすのに十分な量でラクトフェリン組成物を対象に局所投与する工程を含む方法である。投与される該組成物の量は1日あたり約0.1μg〜約10gである。該組成物は、約0.01%〜約20%のラクトフェリン濃度を有する局所用ゲル、溶液、カプセル、または錠剤とすることができる。より特定的には、該ラクトフェリンは哺乳動物のラクトフェリンであり、例えば、ヒトまたはウシのものである。また、該ラクトフェリンは組換えラクトフェリンであってもよい。
【0018】
他の態様は、化学療法、生物学的療法、免疫療法、外科手術または放射線療法と組合せてラクトフェリン組成物を局所投与することにより過剰増殖性疾患を治療する方法である。
【0019】
さらに他の態様は、ラクトフェリン組成物を対象に局所投与する工程により、局所的または全身性の免疫応答を増強する方法である。該ラクトフェリンは、角化細胞(ケラチノサイト)によるインターロイキン-18および/またはGM-CSFの産生を刺激する。意図するところによれば、インターロイキン-18は、免疫細胞、例えばTリンパ球またはナチュラルキラー細胞の産生または活性を刺激し、そして、GM-CSFは、樹状細胞およびその他の抗原提示細胞を含む免疫細胞の移動および成熟を促進する。
【0020】
本発明のさらに他の態様は、対象にラクトフェリン組成物を投与することにより、インターロイキン-18および/またはGM-CSFを刺激、増強またはアップレギュレーションする方法である。
【0021】
上記は、以下に述べる本発明の詳細な説明がより良く理解されるように、本発明の特徴および技術上の利点をかなり大まかに概説したものである。本発明のさらなる特徴および利点は、以下に記載され、それらは、本願特許請求の範囲の主題を構成する。当業者に明らかなことであるが、本明細書に開示する概念および特定の態様は、同じ本発明の目的を果たすため、他の構造を変更または設計する際の基礎としてすぐに利用できる。また当業者に明らかなことであるが、そのような等価な構築物は添付の特許請求の範囲に示す本発明の精神および範囲から逸脱しない。その構成と実施法の両方に関して本発明に特有であると考えられる新規な特徴は、さらなる目的および利点と共に、以下の説明を添付の図面と一緒に考慮することにより、より良く理解されるだろう。ただし、当然のことながら、各図面は本発明を例示し説明するためだけにあるのであって、各図面は本発明の範囲を限定するものではない。
【0022】
本発明のより完全な理解のため、添付の図面を参照しつつ、以下の説明を行っていく。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】組換えヒトラクトフェリンの経口投与、静脈内投与および腫瘍内投与の有無と扁平上皮癌の増殖を示す。
【図2】ラクトフェリン、シスプラチンおよびシスプラチンと組合せたラクトフェリンを接種する動物における腫瘍増殖阻害パーセントを示す。
【図3】種々の用量のシスプラチンと組合せてラクトフェリンを用いた場合の腫瘍増殖阻害パーセントを示す。
【図4】ラクトフェリンで処置した後のNK活性を示す。
【図5】1日1回または2回、組換えラクトフェリンを腫瘍内投与した場合およびしない場合の扁平上皮癌の増殖を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
当業者に明らかなとおり、本発明の範囲および精神を逸脱することなく本願に開示される本発明に対し種々の具体化および改変をなすことができる。
【0025】
ここで使用する語「a」または「an」は、用語「を含む(comprising)」とともに特許請求の範囲および/または明細書で使用されるとき、「一つの」を意味しうるが、それはまた、「一つ以上」、「少なくとも一つ」および「一つまたは複数の」の意味とも一致する。
【0026】
ここで使用する用語「過剰増殖性疾患」は、正常な組織の増殖よりも速く細胞が増殖する任意の病気または障害を指す。従って、過剰増殖性細胞は、正常な細胞よりも早く増殖している細胞である。
【0027】
ここで使用する用語「非経口投与」は、腸を介する吸収を伴うことなく対象に化合物が吸収される任意の投与形態を含む。本発明において使用される非経口投与の例には、筋肉内投与、静脈内投与、腹腔内投与、腫瘍内投与、眼内投与、または関節内投与があるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
ここで使用する用語「静脈内投与」は、静脈注射または静脈注入(点滴)を介して体循環にラクトフェリン組成物を送達するためのあらゆる手法を包含する。
【0029】
ここで使用する用語「腫瘍内投与」は、注射、エレクトロポレーション、クリーム、ローション剤または他の投与形態を含む、腫瘍の部位にラクトフェリン組成物を送達するためのあらゆる技法を包含する。
【0030】
ここで使用する用語「経口投与」は、経口投与、口腔粘膜投与、腸内投与、または胃内投与を包含する。
【0031】
ここで使用する用語「局所投与」は、皮膚の表面、表皮の表面、皮下の表面、または粘膜の表面への塗布を包含する。
【0032】
ここで使用する用語「薬学的に許容される担体」は、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング類、抗菌剤、抗真菌剤、浸透圧調節剤、吸収遅延剤などを包含する。医薬活性物質へのそのような媒質および薬剤の使用は、当該技術ではよく知られている。通常の媒質または薬剤は、それが本発明のベクターまたは細胞と適合しない場合を除き、治療用組成物への使用が意図される。組成物には補助活性成分も組み込むことができる。
【0033】
ここで使用する用語「ラクトフェリン」または「LF」は、天然の(本来の)ラクトフェリンまたは組換えラクトフェリンを指す。天然のラクトフェリンは、哺乳動物の乳もしくは初乳または他の天然の供給源から精製することによって得ることができる。組換えラクトフェリン(rLF)は、遺伝子改変した動物、植物、真菌、細菌、または他の原核生物種もしくは真核生物種における組換え発現または直接的生産により、あるいは、化学合成を介して、製造することができる。
【0034】
ここで使用する用語「対象」は、ここに記載する方法に従ってラクトフェリン組成物が投与される、あらゆる哺乳動物の対象を意味するものと解釈される。特定の態様において、本発明の方法は、ヒトを対象として治療するため用いられる。他の態様は、過剰増殖性疾患の患者を治療することを含む。
【0035】
ここで使用する用語「治療上有効な量」は、病気の症状または状態の改善または矯正をもたらす量を指す。
【0036】
ここで使用する用語「治療する」および「治療」は、治療上有効な量のラクトフェリン組成物を対象に投与することにより該対象の病気が改善されることを指す。該改善は、症状の任意の改善または矯正である。該改善は、観察できるまたは測定できる改善である。従って、当業者に了解されるとおり、治療は、症状を改善しうるものであればよく、病気の完全な治療でなくともよい。具体的に、癌の患者における改善は、腫瘍の安定化、腫瘍の収縮、進行にかかる時間の増加、延命、または生活の質の向上を含みうる。また、有益な効果は、CD4+細胞、CD8+細胞、NK細胞およびCD40+細胞のような循環免疫細胞の数および活性によって測定される患者の免疫系の改善に反映しうる。
【0037】
ここで使用する用語「近傍」は、腫瘍および/または過剰増殖性疾患の領域または部位の中または周りをさす。例えば、「腫瘍の近傍」は、腫瘍の中または周りの領域または腫瘍の周縁をさす。近傍は、腫瘍に隣接する領域、腫瘍をおおう領域、腫瘍の下の領域、腫瘍の周縁の領域、または腫瘍の周縁の領域に隣接する領域を含む。
【0038】
A.医薬組成物
本発明に従って使用されるラクトフェリンは、天然の供給源、例えば、哺乳動物の乳(これに限定されるものではない)から単離および精製することにより得ることができる。ラクトフェリンは、哺乳動物のラクトフェリン、例えばウシまたはヒトのラクトフェリンが好ましい。好ましい態様において、ラクトフェリンは、当該技術においてよく知られかつ使用される遺伝子工学の手法(例えば、遺伝子改変した動物、植物、または真核生物における組換え発現または直接的生産)を用いて組換えにより生産されるヒトラクトフェリン、あるいは化学合成を用いて製造されるヒトラクトフェリンである(米国特許出願第5,571,896、5,571,697および5,571,691号参照。この引用により、これらの内容は本明細書に記載されたものとする)。
【0039】
本発明によるラクトフェリン組成物の投与は、任意の一般的な経路、経口、非経口、または局所を介することができる。投与経路の例には、経口、鼻腔、口腔、直腸、膣内、筋肉内、腹腔内、静脈内、動脈内、腫瘍内、または経皮があるが、これらに限定されるものではない。そのような組成物は、通常、本明細書に記載されるような薬学的に許容される組成物として投与することができる。
【0040】
本発明の組成物は、中性または塩の形態で製剤化することができる。薬学的に許容される塩には、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基を用いて形成されるもの)が含まれ、酸付加塩は、例えば塩酸またはリン酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸を用いて形成される。遊離カルボキシル基を用いて形成される塩はまた、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウムまたは水酸化第二鉄などの無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から誘導することができる。
【0041】
滅菌した注射用溶液は、必要量のラクトフェリンを、適当な溶媒中で、上に列挙した他のさまざまな成分と必要に応じて混合した後、ろ過滅菌することによって調製される。一般に、分散液は、基礎分散媒と上に列挙したものから選択される他の必要な成分とを含む滅菌した媒質にさまざまな滅菌した活性成分を混合することによって調製される。滅菌した注射用溶液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥技術であり、これにより、活性成分+先に滅菌ろ過したその溶液に由来する所望の追加成分の粉末が得られる。
【0042】
さらに本発明によれば、経口投与に適した本発明の組成物は、不活性な希釈剤を用いたまたは用いない薬学的に許容される担体として提供される。担体は、同化(吸収)可能または食可能であるべきであり、液体、半固体(すなわちペースト)、または固体の担体を含む。任意の通常の媒質、薬剤、希釈剤または担体は、受容者またはその中に含まれるラクトフェリン調製物の治療効果に有害でないかぎり、本発明の方法を実施するため、経口投与可能なラクトフェリンに使用することは適当である。担体または希釈剤の例には、脂肪、油、水、生理食塩水、溶液、脂質、リポソーム、樹脂、結合剤、充填剤など、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0043】
本発明に従って、組成物は、任意の一般的かつ実用的な態様で、すなわち、溶液、懸濁、乳化、混合、カプセル化、マイクロカプセル化、吸収などにより、担体と組み合わされる。そのような手順は当業者にとって日常的なことである。
【0044】
本発明の具体的態様において、粉末形態の組成物は、半固体または固体の担体と入念に複合または混合される。混合は、任意の一般的な態様、例えばグラインディングにおいて行うことができる。治療活性の損失(例えば胃中での変性による)から組成物を保護するため、混合工程において安定化剤を加えることができる。経口投与可能な組成に使用するための安定化剤には、例えば、緩衝剤、胃酸の分泌に対する拮抗物質、グリシンおよびリシンのようなアミノ酸、デキストロース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、ソルビトール、マンニトールなどの糖質、タンパク質分解酵素阻害剤などがある。より好ましくは、経口投与組成物のため、安定化剤は、胃酸の分泌に対する拮抗薬をさらに含むことができる。
【0045】
また、半固体または固体の担体と組合された経口投与用組成物は、硬殻ゼラチンカプセルもしくは軟殻ゼラチンカプセル、錠剤または丸剤に製剤化することができる。ゼラチンカプセル剤、錠剤または丸剤に、腸溶性被膜を施すことがより好ましい。腸溶性被膜は、pHが酸性である胃または腸上部で組成物が変性するのを防ぐ(例えば米国特許第5,629,001号参照)。小腸に到達すると、その塩基性のpHにより、該被膜は溶解され、組成物は、放出されるようになり、特定の細胞、例えば上皮腸細胞およびパイエル斑M細胞により吸収されるようになる。
【0046】
他の態様において、粉末組成物は、安定化剤とともにまたは安定化剤なしで、液体の担体、例えば水または生理食塩水溶液と組合される。
【0047】
本発明に使用できる特定の製剤の一つは、カリウムを含まない低張性リン酸塩系緩衝液におけるラクトフェリンの溶液であり、ここで該緩衝液の組成は以下のとおりである:6mMのリン酸ナトリウム(一塩基性一水和物)、9mMのリン酸ナトリウム(二塩基性七水和物)、50mMの塩化ナトリウム、pH7.0±0.1。低張性緩衝液中のラクトフェリンの濃度は、10マイクログラム/mlから100ミリグラム/mlとすることができる。この製剤は、任意の投与経路を介して投与することができ、例えば、限定されることなく、腫瘍内投与にて投与できる。
【0048】
また、半固体の担体と組合された局所投与用組成物は、ゲル軟膏剤に製剤化することができる。ゲル軟膏剤形成用の好ましい担体は、ゲルポリマーである。本発明のゲル組成物を製造するため使用される好ましいポリマーは、例えばカルボポール、カルボキシメチルセルロース、およびプルロニックポリマーである。具体的には、皮膚上または皮膚下の過剰増殖性疾患の治療用として皮膚に塗布するため、粉末のラクトフェリン組成物を、カルボポール(Carbopol)980のような重合剤を0.5%〜5%重量/体積(w/v)の濃度で含む水性ゲルと混合する。
【0049】
製剤化が終わったら、溶液剤は、その剤形に適合した態様で、症状の改善または矯正をもたらすため治療上有効であるような量で投与される。製剤は、経口摂取可能な溶液、薬物放出カプセル剤などのさまざまな剤形で、容易に投与される。治療される対象の状態に応じて用量にはある程度の変動が生じる。いずれにせよ、投薬責任者は個々の対象に適した用量を決定することができる。さらに、ヒトへの投与の場合、調製物は、FDAの生物学的基準によって要求される滅菌性、一般的安全性および純度の基準を満たすべきである。
【0050】
B.過剰増殖性疾患の治療
本発明によれば、上述した薬学的担体のいずれかにおいて提供されたラクトフェリン組成物を、過剰増殖性疾患の疑いのあるまたは過剰増殖性疾患を有する対象に投与する。当業者は、いくつかの考慮すべき事柄、例えば吸収、代謝、送達の方法、年齢、体重、疾患の重症度、および治療に対する反応に基づいて、対象に投与すべきヒトラクトフェリンの治療上有効な量を決定することができる。
【0051】
投与経路は、患部の位置および性質によって必然的にかわってくる。投与経路には、 例えば皮内、経皮、非経口、静脈内、筋肉内、鼻腔内、皮下、経皮、気管内、腹腔内、腫瘍内、灌流、洗浄、直接的注射、および経口投与がある。
【0052】
ラクトフェリン組成物の経口投与には、経口投与、口腔粘膜投与、腸内投与、または胃内投与がある。組成物を食品添加物として用いることも考えられる。例えば、摂取する前に、組成物を食品に振りかけるか液体に添加する。
【0053】
ラクトフェリン組成物の腫瘍内投与には、腫瘍内注射、エレクトロポレーション、または外科手術もしくは内視鏡による埋め込み(注入)がある。腫瘍内注射、または腫瘍の脈管構造への注射は、特に、個々の固形の接触可能な腫瘍に対して採用できる。局所投与、局部投与、または全身投与も適当となりうる。
【0054】
過剰増殖性疾患は、新生物を含むが、これに限定されるものではない。新生物は、異常な組織の増殖であり、一般的に、正常な組織の成長より速い細胞増殖によって成長する異質な塊を形成する。新生物は、正常組織との構造的組織化および機能的協調が部分的または全体的に欠けている。これらは、大きく三つの主な種類に分類することができる。上皮構造から生じる悪性の新生物は癌腫と呼ばれる。結合組織、例えば筋肉、軟骨、脂肪組織または骨から生じる悪性の新生物は、肉腫と呼ばれる。免疫系の構成物を含む造血構造(血液細胞の形成に関係する構造)を冒す悪性の腫瘍は、白血病、リンパ腫、および骨髄腫と呼ばれる。腫瘍は、新生物増殖の癌疾患である。ここで使用する用語「新生物」(「腫瘍」ともいう)は、固形の新生物はもちろん造血新生物も包含するよう解釈される。新生物の例には、黒色腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺癌、肝細胞癌、網膜芽腫、星状細胞腫、グリア芽腫、歯肉部癌、舌癌、白血病、神経芽腫、頭部癌、頸部癌、乳癌、すい臓癌、前立腺癌、腎臓癌、骨癌、精巣癌、卵巣癌、中皮腫、肉腫、子宮頸癌、胃腸癌、リンパ腫、脳腫瘍、大腸癌、膀胱癌、骨髄腫、または他の悪性または良性の新生物があるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
他の過剰増殖性疾患には、神経線維腫症、慢性関節リウマチ、ヴァーグナー肉芽腫症、川崎病、ループスエリテマトーデス、正中肉芽腫、炎症性の腸疾患、変形性関節症、平滑筋腫、腺腫(アデノーマ)、脂肪腫、血管腫、線維腫、血管閉塞、再狭窄、アテローム(性動脈)硬化(症)、前新生物性の病変、上皮内癌、口腔毛髪状白斑、または乾癬、ならびに前白血病、過剰な芽細胞を伴う貧血、および骨髄異形成症候群があるが、これらに限定されるものではない。
【0056】
本発明において特に重要な新生物には、造血新生物があるが、これに限定されるものではない。例えば、造血新生物は、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄単球性白血病、若年性骨髄単球性白血病、多発性骨髄腫、慢性リンパ性白血病、または他の血液起源の悪性腫瘍を含み得る。
【0057】
本発明の好ましい態様において、ラクトフェリン組成物は、腫瘍の増殖を低下、減少、阻害、または停止させるための有効量で投与される。ラクトフェリン組成物の量は、約0.1μg〜約100gの範囲でかわりうる。経口投与されるラクトフェリン組成物は、1日あたり1mg〜100gの範囲が好ましく、1日あたり約20mg〜約10gの範囲がより好ましく、最も好ましい用量は1日あたり4.5gである。静脈内投与されるラクトフェリンは、1日あたり0.1μg〜約10gの範囲とすることができ、1日あたり約0.1μg〜約1mgの範囲がより好ましく、最も好ましい用量は1日あたり250mgである。腫瘍内投与されるラクトフェリン組成物は、1日あたり0.1μg〜10gの範囲が好ましく、最も好ましい用量は1日あたり100μgである。局所用のラクトフェリンの量は、約1μg〜約100gの範囲でかわりうる。好ましくは、局所用ゲル、溶液、カプセル剤、または錠剤は、約0.01%〜約20%のラクトフェリン濃度を有する。より好ましくは、局所用ゲル、溶液、カプセル剤、または錠剤は、約1%〜約8.5%のラクトフェリン濃度を有しうる。
【0058】
治療の投薬計画は、様々であり得、また、しばしば、腫瘍の種類、腫瘍の位置、疾患の進行、ならびに患者の健康状態および年齢によってかわってくる。明らかに、ある種類の腫瘍はより積極的な治療が必要になり、一方、同時にある患者は、より負担の重いプロトコルに耐えられないであろう。臨床医は、治療製剤の既知の効果および毒性(もしあれば)に基づき、そのような決定をするのに最もふさわしいであろう。
【0059】
所定の態様において、治療される腫瘍は、少なくとも最初は切除不可能なものでありうる。ラクトフェリン組成物による治療は、境界部における収縮のため、あるいは、ある特に侵襲的な部分の排除により、腫瘍の切除可能性を高めることができる。治療の後、切除が可能になりうる。切除の後のさらなる治療は、腫瘍部位における微細な残存する患部を除去するのに役立ちうる。
【0060】
一方、本発明は、外科手術のときに用いることができ、かつ/または、その後、残存するまたは転移性の疾患を治療することができる。例えば、切除された腫瘍の基底部に、ラクトフェリン組成物を含む製剤を注射または灌流することができる。灌流は、例えば、外科手術の部位に差し込んだカテーテルを残しておくことにより、切除後も続けることができる。周期的な外科手術後の治療も意図するところである。
【0061】
適当な場合、例えば、腫瘍を摘出し、腫瘍の基底部を治療して残存する微細な患部を除去する場合、連続的な投与を適用することもできる。注射器またはカテーテル法による送達が好ましい。そのような連続的灌流は、治療の開始後、約1〜2時間から、約6〜12時間、約12〜24時間、約1〜2日、または約1〜2週間まで、あるいはそれより長く、行うことができる。一般に、連続的灌流による治療組成物の用量は、1回または複数回の注射によって投与される用量と同等とすることができ、それを、灌流を行う期間にわたって調節することができる。また意図したところによれば、特に黒色腫および肉腫の治療において、本発明の治療組成物を投与するため、肢灌流を用いてもよい。
【0062】
特定の態様において、ラクトフェリン組成物は、1回または複数回の用量で投与される。1回の用量を、毎日、1日複数回、または1週間に複数回、毎月、または1ヶ月に複数回投与することができる。さらなる態様において、ラクトフェリン組成物は、一連の用量で投与される。この一連の用量は、毎日、1日複数回、毎週、または1週間に複数回、毎月、または1ヶ月に複数回投与することができる。
【0063】
本発明のさらなる態様は、胃腸管におけるラクトフェリンの量を増やすことにより粘膜免疫系を補う工程を含む、過剰増殖性疾患を治療する方法である。ラクトフェリンは、経口投与することが好ましい。
【0064】
更なる態様は、対象の胃腸管における粘膜免疫応答を増強する方法であって、ラクトフェリン組成物、好ましくはヒトラクトフェリンを該対象に経口投与する工程を含む方法である。意図するところによれば、ラクトフェリンは、胃腸管においてインターロイキン-18およびGM-CSFを刺激し、それらは、免疫細胞を増強する。例えばインターロイキン-18は、Tリンパ球またはナチュラルキラー細胞を増強し、また、GM-CSFは、樹状細胞および他の抗原提示細胞を含む免疫細胞の成熟および移動を促進する。具体的態様において、インターロイキン-18(IL-18)は、CD4+、CD8+およびCD3+細胞を増強する。当業者の知るところによれば、IL-18は、Th1サイトカインであり、それは、リンパ球IFN−ガンマ産生の刺激において、インターロイキン-12およびインターロイキン-2と相乗的に作用するものである。他のサイトカイン、例えば、IL-1b、IL-12またはIFN−ガンマを増強することもできる。さらに意図するところによれば、経口投与後、ラクトフェリンはインターロイキン-18を刺激し、それは、血管新生を阻害し、それにより新生血管形成に依存する腫瘍細胞に対して活性を有する。
【0065】
本発明のさらなる態様は、過剰増殖性疾患を治療する方法であって、体循環におけるラクトフェリンの量を増やすことにより全身性の免疫系を補う工程を含む方法である。好ましくは、ラクトフェリン組成物は静脈内投与される。意図するところによれば、ラクトフェリンは、該組織においてインターロイキン-18およびGM-CSFを刺激し、それらは、免疫細胞を増強する。例えばインターロイキン-18は、Tリンパ球またはナチュラルキラー細胞を増強し、また、GM-CSFは、樹状細胞および他の抗原提示細胞を含む免疫細胞の成熟および移動を促進する。具体的態様において、インターロイキン-18(IL-18)は、CD4+、CD8+およびCD3+細胞を増強する。当業者の知るところによれば、IL-18は、Th1サイトカインであり、それは、リンパ球IFN−ガンマ産生の刺激において、インターロイキン-12およびインターロイキン-2と相乗的に作用するものである。他のサイトカイン、例えば、IL-1b、IL-12またはIFN−ガンマを増強することもできる。さらに意図するところによれば、静脈内投与後、ラクトフェリンはインターロイキン-18を刺激し、それは、血管新生を阻害し、それにより新生血管形成に依存する腫瘍細胞に対して活性を有する。
【0066】
本発明の更なる態様は、腫瘍の近傍におけるラクトフェリンの量を増やすことにより局所的または全身性の免疫系を補う工程を含む、過剰増殖性疾患を治療する方法である。腫瘍の近傍は、腫瘍の一般的な領域をさし、例えば、ラクトフェリンは、腫瘍の中または上に直接投与することができ、あるいは、腫瘍の中に直接的にではなく、腫瘍の一般的な領域に投与することができる。この一般的な領域は、周辺領域または腫瘍の周辺領域の近くもしくは近傍を含みうる。ラクトフェリン組成物は、腫瘍内投与することが好ましい。意図するところによれば、ラクトフェリンは、局所的な組織においてインターロイキン-18およびGM-CSFを刺激し、それは、免疫細胞を増強する。例えばIL-18は、Tリンパ球またはナチュラルキラー細胞を増強し、また、GM-CSFは、樹状細胞および他の抗原提示細胞を含む免疫細胞の成熟および移動を促進する。具体的態様において、インターロイキン-18(IL-18)は、CD4+、CD8+およびCD3+細胞を増強する。当業者の知るところによれば、IL-18は、Th1サイトカインであり、それは、リンパ球IFN−ガンマ産生の刺激において、インターロイキン-12およびインターロイキン-2と相乗的に作用するものである。他のサイトカイン、例えば、IL-1b、IL-12またはIFN−ガンマを増強することもできる。さらに意図するところによれば、腫瘍内投与後、ラクトフェリンはインターロイキン-18を刺激し、それは、血管新生を阻害し、それにより新生血管形成に依存する腫瘍細胞に対して活性を有する。
【0067】
本発明の更なる態様は、過剰増殖性疾患を治療する方法であって、腫瘍の近傍の皮膚におけるラクトフェリンの量を増やすことにより局所的または全身性の免疫系を補う工程を含む方法である。好ましくは、ラクトフェリン組成物は局所投与される。上述したように、腫瘍の近傍での投与は、腫瘍周辺近くでの投与または腫瘍周辺に隣接した投与、または腫瘍の周辺領域への直接的な投与を含む。意図するところによれば、ラクトフェリンは、局所的な組織(例えば角化細胞(ケラチノサイト))においてインターロイキン-18およびGM-CSFを刺激し、それは、免疫細胞を増強する。例えばIL-18は、Tリンパ球またはナチュラルキラー細胞を増強し、また、GM-CSFは、樹状細胞および他の抗原提示細胞を含む免疫細胞の成熟および移動を促進する。具体的態様において、インターロイキン-18(IL-18)は、CD4+、CD8+およびCD3+細胞を増強する。当業者の知るところによれば、IL-18は、Th1サイトカインであり、それは、リンパ球IFN−ガンマ産生の刺激において、インターロイキン-12およびインターロイキン-2と相乗的に作用するものである。他のサイトカイン、例えば、IL-1b、IL-12またはIFN−ガンマを増強することもできる。さらに意図するところによれば、腫瘍内投与後、ラクトフェリンはインターロイキン-18を刺激し、それは、血管新生を阻害し、それにより新生血管形成に依存する腫瘍細胞に対して活性を有する。
【0068】
C.組合せ治療
本発明のヒトラクトフェリン組成物の有効性を高めるため、過剰増殖性疾患の治療に有効な他の薬剤、例えば抗癌剤、または手術を、本発明の組成物と組み合わせることが望ましい場合がある。「抗癌」剤(「抗癌」因子)は、対象において、癌に負に作用することができ、例えば、そのような作用は、癌細胞を殺す、癌細胞においてアポトーシスを誘発する、癌細胞の増殖速度を低下させる、転移の出現率または数を減らす、腫瘍のサイズを小さくする、腫瘍の成長を阻害する、腫瘍または癌細胞への血液の供給を減らす、癌細胞または腫瘍に対する免疫応答を促進する、癌の進行を阻止または阻害する、あるいは、癌を有する対象の寿命を延ばすことによるものである。抗癌剤(抗癌因子)は、生物学的薬剤(生物学的作用因子)(生物療法)、化学療法剤、および放射線療法剤(放射線療法因子)を含む。より一般的には、これらの他の組成物は、細胞の増殖を止めるか阻害するのに効果的な組み合わせの量で供給されるだろう。このプロセスは、本発明のヒトラクトフェリン組成物および一つ以上の薬剤または複数の因子を同時に投与することを含みうる。これは、両剤(両因子)を含む単一の組成物または薬理学的製剤を投与することにより、あるいは、異なる二種の組成物または製剤(一方の組成物はヒトラクトフェリン組成物を含み、他方は第二の薬剤(因子)(類)を含む)を同時にまたはその効果が重なるよう十分に近い時期に投与することにより達成することができる。
【0069】
その代わりに、本発明のラクトフェリン組成物を、数分間〜数週間の期間をおいて、他の抗癌剤(抗癌因子)による治療の前または後に用いることができる。他の抗癌剤(抗癌因子)およびラクトフェリン組成物が別々に細胞に投与または適用される態様では、一般に、各配達の間で顕著な時間が過ぎることなく、該薬剤(因子)とラクトフェリン組成物とが、依然として有利に複合的効果を細胞に確実に及ぼすことができるようにする。そのような場合、意図するところによれば、両モダリティーをそれぞれ細胞に約1〜14日以内に、より好ましくは約12〜24時間以内に接触させるまたは投与することができる。しかし、ある状況では、治療のための期間を顕著に引き延ばすことが望ましい場合もあり得、その場合、それぞれの投与の間に数日(2、3、4、5、6または7)〜数週間(2、3、4、5、6、7または8)が経過する。
【0070】
1.化学療法
また、癌の治療法には種々の化学薬品を用いた治療がある。以下に限定されるものではないが、化学療法剤の具体例には、抗生物質の化学療法剤、例えばドキソルビシン、ダウノルビシン、アドリアマイシン、マイトマイシン(ムタマイシンおよび/またはマイトマイシン-Cとしても知られる)、アクチノマイシンD(ダクチノマイシン)、ブレオマイシン、プリコマイシン(Plicomycin)、植物アルカロイド類、例えばタキソール、ビンクリスチン、ビンブラスチン、その他種々の薬剤、例えば白金系薬剤(例えばシスプラチン(CDDP))、エトポシド(VP16)、腫瘍壊死因子、およびアルキル化剤、例えばカルムスチン、メルファラン(アルケラン、L-フェニルアラニンマスタード、フェニルアラニンマスタード、L-PAM、またはL-サルコリシンとしても知られる)(ナイトロジェンマスタードのフェニルアラニン誘導体)、シクロホスファミド、クロラムブシル、ブスルファン(マイレランとしても知られる)、タキサン系薬剤(例えばドセタキセル)およびロムスチンがある。
【0071】
以下に限定されるものではないが、他の薬剤の具体例には、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロエタミン、イリノテカン、トポテカン、イホスファミド、ニトロソ尿素(Nitrosurea)、エトポシド(VP16)、タモキシフェン、ラロキシフェン、トレミフェン、イドシキフェン、ドロロキシフェン、TAT-59、ジンドキシフェン(Zindoxifene)、トリオキシフェン(Trioxifene)、ICI 182、780、EM-800、エストロゲン受容体結合剤、ゲムシタビン、ナベルビン、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、トランスプラチナ(Transplatinum)、5−フルオロウラシル、過酸化水素、およびメトトレキサート、テマゾロミド(Temazolomide)(DTICの水性形)、マイロターグ(Mylotarg)、ドラスタチン-10、ブリオスタチン、または上記の類似体もしくは誘導体変形体がある。
【0072】
2.放射線療法の作用因子
放射線療法の作用因子およびファクターには、DNA損傷を誘発する放射線および波長があり、例えば、γ線照射、X線、UV照射、マイクロ波、電子射出、放射性同位体などがある。上記形態の放射線を局所的にできた腫瘍部位に照射することにより、治療を行うことができる。これらの因子のすべてが、DNA、DNAの前駆体、DNAの複製および修復、ならびに染色体の構築および維持に広範囲の損傷をもたらしうる。
【0073】
X線について線量の範囲は、1日あたり50〜200レントゲンで長期間(3〜4週間)から1回の線量で2000〜6000レントゲンにわたる。放射線同位体についての用量の範囲は、広範囲にわたり、そして、同位体の半減期、放射される放射線の強さおよび種類、ならびに新生物細胞による取り込みによってかわってくる。
【0074】
外科手術
癌の患者のおよそ60%が、予防的手術、診断用手術またはステージング手術、治療手術および緩和手術を含む、何らかの種類の外科手術をうけることになる。治療手術は、癌の治療であり、他の治療法、例えば、本発明の治療、化学療法、放射線療法、ホルモン療法、遺伝子治療、免疫療法および/またはその他の治療法と組合せて用いることができる。
【0075】
治療手術には切除術が含まれ、癌組織の全部または一部が物理的に除去、摘出、および/または破壊される。腫瘍の切除は、腫瘍の少なくとも一部を物理的に除去することを指す。腫瘍の切除のほか、外科手術による治療には、レーザー外科手術、凍結外科手術、電気外科手術、および顕微鏡によりコントロールされる手術(モース氏手術)が含まれる。さらに意図するところによれば、本発明は、表在性癌の除去、前癌の除去、または付随的な量の正常組織の除去とともに用いることができる。
【0076】
癌細胞、組織または腫瘍の一部またはすべてを摘出すると、からだ(本体)に空洞が形成されうる。当該領域にさらなる抗癌療法を灌流、直接的な注射または局所的な塗布によって施すことにより、治療を達成させてもよい。そのような治療は、例えば、1、2、3、4、5、6、または7日ごとに、あるいは1、2、3、4、および5週間ごとに、あるいは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12ヶ月ごとに繰り返してもよい。それらの治療は、同様に用量をかえることができる。
【0077】
4.他の生物療法因子
意図するところによれば、治療上の効果を高めるため、他の生物学的な作用因子を本発明と組合せて用いることができる。以下に限定されるものではないが、それらのさらなる因子には、細胞表面の受容体およびGAP接合のアップレギュレーションに作用する因子、静細胞因子(静細胞剤)および分化因子、細胞接着の阻害剤、過剰増殖性細胞のアポトーシスインデューサーへの感受性を高める因子、またはその他の生物学的因子、さらには温熱療法のような生物療法が含まれる。
【0078】
温熱療法は、患者の組織を高温(106゜Fまで)にさらす処置である。局所的な、部分的な、あるいは全身的な温熱療法の適用において、外的または内的な加熱装置(手段)を用いることができる。局所的温熱療法は、小さな領域、例えば腫瘍に対する加熱を伴う。熱は、からだの外にある装置から腫瘍をねらった高周波により外部から生成させることができる。内的加熱には、細い加熱線(電熱線)を含む滅菌プローブ、あるいは温水が満たされる中空管、移植されるマイクロ波アンテナ、または高周波電極を使用することができる。
【0079】
患者の器官または肢を局所治療のため加熱する。それは、マグネットのような高いエネルギーを発生させる装置を用いて達成される。その代わりに、内的に加熱される領域に灌流する前に、患者の血液を取り出し、加熱してもよい。癌が体のいたるところに広がっている場合、体全体の加熱も行うことができる。そのような目的のため、温水ブランケット、ホットワックス、誘導コイル、およびサーマルチャンバを使用することができる。
【0080】
本発明と組合せてホルモン療法を用いてもよい。ある特定のホルモン、例えばテストステロンまたはエストロゲンのレベルを下げるかまたはその作用を遮断するため、乳癌、前立腺癌、卵巣癌または子宮頸癌のような所定の癌の治療にホルモンを用いることができ、それは、しばしば転移の可能性を低下させる。
【0081】
本発明と組合せてアジュバント療法を用いてもよい。使用するアジュバントまたは免疫調節剤には、腫瘍壊死因子、インターフェロンα、β、およびγ、IL-2および他のサイトカイン、F42Kおよび他のサイトカイン類似体、またはMIP-1、MIP-1ベータ、MCP-1、RANTES、および他のケモカイン類が含まれるが、それらに限定されるものではない。
【0082】
5.免疫療法
免疫療法は、一般に、癌細胞を標的にして破壊するため、免疫エフェクター細胞および分子を使用することによるものである。例えば、免疫エフェクターは、腫瘍細胞の表面にある何らかのマーカーに対して特異的な抗体とすることができる。抗体は、単独で治療のエフェクターとして働くことができ、あるいは、他の細胞を動員して実際に細胞の死滅をもたらすことができる。また、抗体は、薬剤または毒素(化学療法薬、放射性核種、リシンA鎖、コレラ毒素、百日咳毒素など)と接合させることができ、そして、単にターゲティング剤として用いることができる。一方、エフェクターは、腫瘍細胞のターゲットと直接的または間接的に相互作用する表面分子を保持するリンパ球であってもよい。種々のエフェクター細胞には、細胞障害性T細胞およびNK細胞が含まれる。
【0083】
意図するところによれば、癌を治療するため使用されるワクチン類を、治療の効果を高めるため本発明と組合せて用いることができる。そのようなワクチン類には、ペプチドワクチンまたは樹状細胞ワクチンが含まれる。ペプチドワクチンは、細胞溶解性Tリンパ球によって認識される任意の腫瘍特異的抗原を含みうる。さらに当業者の理解するところによれば、樹状細胞の予防接種は、ペプチドまたは抗原でパルスされた樹状細胞を用い、そして、パルスされた樹状細胞が患者に投与される。
【0084】
黒色腫のワクチンとして使用される腫瘍特異的抗原の具体例には、gp100またはMAGE-3があるが、これらに限定されるものではない。これらの抗原は、ペプチドワクチンとしておよび/または樹状細胞ワクチンとして投与される。
【実施例】
【0085】
D.実施例
本発明の好ましい態様を例示するために、以下に実施例を記載する。当業者に明らかなとおり、以下の実施例に開示する技術は、本発明者が見出した本発明の実施に際しうまく機能する技術を表し、従って、その実施の好ましい形態を構成するとみなすことができる。しかし、ここに開示する具体例には数多くの変更を加えることができ、それでもなお本発明の精神および範囲から逸脱することなく、よく似たまたは同類の結果が得られることは、本明細書の開示に照らして、当業者には明らかなことである。
【0086】
<実施例1>
rhLFによる腫瘍増殖の阻害
ヒト扁平上皮細胞癌(O12)を用いた。該細胞を無胸腺ヌードマウスの右側腹に注射した。腫瘍内(49匹、1回あたり0.05μg〜125μgの用量で7回)、静脈内(7匹、125μg/1回の用量)、または経口(7匹、20mg/1回の用量)のいずれかでrhLFを投与した。対照動物はビヒクルのみで処置した。rhLFを対照動物には投与しなかった。定着腫瘍を形成させるべく腫瘍細胞を接種して11日後から、rhLFを1日2回で5日間(静脈内の群)または8日間(その他のすべての群)投与した。
【0087】
実験中および実験の終わりに固形腫瘍のサイズを測定することにより、処置の効果を評価した。また、腫瘍の測定時に体重も測定した。図1および表1に示すように、rhLFでの処置によって、腫瘍増殖の割合は対照に対して46%〜80%減少した。実際、20mgのrhLFによる経口処置は、最も顕著に腫瘍の増殖を減らし、対照と比べて80%減少させた(P=0.0073)。
【0088】
【表1】

【0089】
この実験の結果から、マウスにおける扁平上皮細胞癌モデルでは、複数の経路から投与されたrhLFによって腫瘍の増殖が有意に阻害され、経口投与が最も効果的であることがわかった。これらの結果に基づき、経口ラクトフェリンは、免疫細胞活性を増強することにより腫瘍に作用することがさらに予想された。
【0090】
<実施例2>
腫瘍の種類に対するrhLFの評価
広範囲にわたる種類の腫瘍細胞を無胸腺ヌードマウスの右側腹に注射する。動物には、rhLF、本来のhLF、またはウシLFのいずれかを経口投与する。対照動物はビヒクルのみで処理する。対照動物にはrhLFを投与しない。定着腫瘍を形成させるべく腫瘍細胞を接種して約11日後から、1、5、7、もしくは14日間または8日間、1日1回または2回、rhLFを投与するか、あるいは、標準的または公開された投薬法で一般に行われるような他の時期にrhLFを投与する。
【0091】
実験中および実験の終わりに固形腫瘍のサイズを測定することにより、処置の効果を評価する。また、腫瘍の測定時に体重も測定する。循環器系および腸におけるサイトカイン類、T細胞およびNK細胞の量を測定することにより、免疫応答を測定する。
【0092】
<実施例3>
rhLFおよびbLFの経口投与の効果
組換えヒトラクトフェリンおよびウシラクトフェリンをマウスに経口投与し、そして、小腸におけるIL-18の産生を測定した。
【0093】
1日あたり65mg/kg/日のrhLFで3日間、300mg/kg/日のrhLFで3日間、または300mg/kg/日のbLFで3日間、マウスを処置した。対照として、マウスに薬剤担体のみを投与した。LFまたは対照の3日間の投与の後24時間で、動物の体重を測定し、血液および血清を採取した。血清はサイトカインELISAアッセイに用いた。
【0094】
また、これらの時点において、動物をと殺し、更なる分析のため小腸組織を取り出した。PBS、1%ノニデットP-40、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、および10μg/mlフッ化フェニルメチルスルホニル含有0.1%ドデシル硫酸ナトリウムからなる溶解緩衝液を用いて、小腸の上皮をホモジナイズした。ホモジェネートを15,000rpmで10分遠心分離し、上清をIL-18のレベルについて試験するまで-80℃で保存した。
【0095】
表2および表3に示すとおり、rhLFの投与によって、いずれの用量においても、血清および腸抽出物の両方でIL-18の量が顕著に増えた。ウシLFの場合、腸のIL-18レベルの増加はより少なく、IL-18の血清レベルは増加しなかった。
【0096】
【表2】

【0097】
【表3】

【0098】
<実施例4>
インビボでのNK活性における経口rhLFの効果
Balb/cナイーブマウスにrhLFまたはプラセボを1日1回、3日間、経口投与した(表4参照)。
【0099】
【表4】

【0100】
4日目、マウスをと殺し、そして脾臓を採取した。磁気ビーズ細胞選別アッセイ(MACS抗NK-DX5)を用いてNK細胞を分離し、カウントした。次に、乳酸脱水素酵素(LDH)放出試験を用いて、YACターゲットに対するNK活性についてインビトロで細胞を試験した。
【0101】
表5から明らかなとおり、経口rhLF処置によって、YACターゲット細胞に対するエキソビボでのNK活性は有意に増加した(10%@30:1対2.8%の対照群)。プラセボ処置マウスにおいて、NK活性に有意な変化は認められなかった。
【0102】
【表5】

【0103】
<実施例5>
rhLF経口投与のGM-CSFに対するインビボでの効果
組換えヒトラクトフェリンまたはプラセボをマウスに経口投与し、GM-CSFの小腸における産生を測定した。
【0104】
マウス(1群あたり5匹)を、1日あたり300mg/kg/日のrhLFで、3日間処置した。対照として、薬剤担体のみをマウスに投与した。LFまたはプラセボの3日間の投与の後24時間で、動物をと殺し、小腸組織を更なる分析のため取り出した。PBS、1%ノニデットP-40、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、および10μg/mlフッ化フェニルメチルスルホニル含有0.1%ドデシル硫酸ナトリウムからなる溶解緩衝液を用いて、小腸の上皮をホモジナイズした。ホモジェネートを15,000rpmで10分遠心分離し、その上清を、ELISAキットを用いてGM-CSFレベルの試験をするまで、-80℃で保存した。
【0105】
表6に示すとおり、プラセボ処置動物に比べて、rhLFでの処置は、重要な免疫刺激サイトカインGM-CSFの小腸における産生を増加させた。
【0106】
【表6】

【0107】
<実施例6>
hLFの化学療法との組合せ
ネズミ扁平上皮癌細胞株(SCCVII)を、免疫担当C3Hマウスの頸部皮膚を介して口底に注射した(0日目)。腫瘍細胞の移植後5日で(5日目)、頸下部において皮膚の切開を行い、外科的解剖により腫瘍が定着したことを確認した。腫瘍をキャリパスで三次元的に測定した。
【0108】
腫瘍を保持するマウスを無作為に対照群とrhLFおよび/またはシスプラチンを摂取する7つの群に分けた。rhLF(4mg、200mg/kg)を、1日1回、経口胃管栄養法により、5日目から12日目にかけて8日間投与した。シスプラチンは、5mg/kgの単回で、rhLF療法のrhLF開始(5日目)、中間(8日目)または終わり(12日目)のいずれかに、腹腔内投与した。移植後12日目に動物をと殺し、残存する腫瘍塊を測定し、後のさらなる分析のため処理した。
【0109】
【表7】

【0110】
rhLF単独、シスプラチン単独、または両薬剤のいずれかで処置したマウスは、プラセボ動物に比して腫瘍増殖阻害(TGI)を示した。最大の阻害は、両方での治療を受けた群で認められた(表7および図2)。
【0111】
すべての場合において、rhLF+シスプラチンを摂取した動物は、シスプラチン単独を摂取した関連群に比してTGIを示した。分析のためプールした場合、rhLF+シスプラチンを摂取した動物は、プラセボ動物に比して77%TGIを示し(p<0.0001)、rhLF単独に比して66%TGIを示し(p<0.01)、シスプラチン単独に比して63%TGIを示した(p<0.01)。
【0112】
rhLFの開始直前にシスプラチンを投与すること(rhLF+CP-5)またはrhLF投与の期間中にシスプラチンを投与すること(rhLF+CP-8)は、rhLF療法が終了した後シスプラチンを投与した場合(rhLF+CP-12)よりも、より大きな増強効果をもたらした。しかし、両方をともに用いる療法(rhLF+CP-8)のみが、シスプラチン単独(8日目でのCP)に対して77%の統計的に有意なTGIの向上(P<0.01)をもたらした。
【0113】
【表8】

【0114】
<実施例7>
化学療法との組合せhLFの用量依存
実施例6に記載するように、ネズミ扁平上皮癌細胞株(SCCVII)を、免疫担当C3Hマウスの頸部皮膚を介して口底に注射した(0日目)。最初の移植後5日目で、腫瘍をベースラインとして測定し、次いで、シスプラチン単独(8日目、i.p.、5mg/kg)またはシスプラチン+3種の用量の経口rhLF(毎日、胃管栄養法により5日目から11/12日目にかけて7〜8日間)のいずれかで処置した。11/12日目で動物をと殺し、そして腫瘍を測定した。図3に示すように、シスプラチン単独を摂取した動物と比較して、rhLFとシスプラチンの両方を摂取した動物では、用量に依存する腫瘍増殖阻害があった。
【0115】
<実施例8>
hLFのドセタキセルとの組合せ
実施例7に記載するように、ネズミ扁平上皮癌細胞株(SCCVII)を、免疫担当C3Hマウスの頸部皮膚を介して口底に注射した(0日目)。最初の移植後5日目で、腫瘍をベースラインとして測定し、次いで、経口プラセボ単独(1日1回、5日目から12日目まで、6匹)、プラセボとドセタキセル(i.v.ボーラス31.3mg/kgドセタキセル、8日目、9匹)、またはドセタキセル+経口rhLF(200mg/kg、胃管栄養法により1日1回、5日目から12日目まで投与、9匹)のいずれかで処置した。14日目に動物をと殺し、そして腫瘍を測定した。プラセボと比較して、ドセタキセル単独は、腫瘍増殖の阻害を引き起こし、そして、rhLFとドセタキセルとの組合せは、さらなる増殖阻害を引き起こした。阻害およびp値(片側検定)を表9に示す。
【0116】
【表9】

【0117】
<実施例9>
hLFの放射線療法との組合せ
ネズミ扁平上皮癌細胞株(SCCVII)を、免疫担当C3Hマウスの頸部皮膚を介して口底に注射した(0日目)。腫瘍細胞移植後5日(5日目)で、頸下部において皮膚の切開を行い、外科的解剖により腫瘍が定着したことを確認した。腫瘍をキャリパスで三次元的に測定した。
【0118】
以下に示すように、腫瘍を担持するマウスをrhLF(200mg/kg)および/または放射線療法を受ける6群に無作為に分けた。rhLF(4mg、200mg/kg)を経口胃管栄養法により1日1回、5日目から12日目にかけて8日間投与した。放射線療法を2Grayの線量で1回、rhLF療法の最初に(5日目)またはrhLF療法の最中(8日目)に行った。処置後14日目に動物をと殺し、残存する腫瘍塊を測定し、後のさらなる分析のため処理した。
【0119】
【表10】

【0120】
プラセボ処置マウスに対し、rhLF単独、放射線療法単独、または組合せ治療をうけたマウスは、有意な腫瘍増殖阻害(TGI)を示した。rhLFおよび放射線の両方をうけたマウスは、rhLFによる単独療法に対しTGIのほどほどの増加(28%、p<0.05)を示し、放射線による単独療法に対してもTGIのほどほどの増加(15%、P=0.1207)を示した。
【0121】
【表11】

【0122】
従ってラクトフェリンは免疫系を刺激した。さらに、シスプラチン、ドセタキセルおよび放射線とラクトフェリンとの組合せは、腫瘍増殖の阻害をもたらした。
【0123】
<実施例10>
hLFのヒトにおける経口投与
四カ国(アルゼンチン、ブラジル、チリ、米国)における複数の医療センターで行った二つの異なる研究において、標準的な化学療法が不成功に終わったある範囲の種類にわたる転移性癌のヒト患者に組換えヒトラクトフェリンを経口投与した。rhLFを、1日あたり1.5〜9グラムの用量で2回に分けて14日おきに14のサイクルで投与した。
【0124】
腫瘍サイズの経過を可能なところではCTスキャンおよび腫瘍マーカーを介してモニターした。CTスキャンは、ベースラインにおいて行うとともに、治療を始めてから8週間後ごとに行い、さらに研究の登録前に行ったプレベースラインスキャンと比較した。腫瘍マーカーは4週間ごとに測定した。血液試料を採集し、サブクラスの循環リンパ球およびNK細胞活性を測定した。血漿、血清および血液細胞抽出試料を採集し、循環IL-18、IL-1、IL-2、ならびにIL-4、IL-5、IL-10、IL-12およびIFN-γを測定した。
【0125】
19人の評価可能な患者(ベースラインCTスキャンをうけ、さらに少なくとも一回治療後にスキャンをうけた患者)のうち、9人の患者(47%)は、RECIST基準により第1回の治療後スキャン時に、安定した疾患を示した。腫瘍の種類が広範囲にわたる複数の患者で、ラクトフェリン投与からの有利な効果が示された。
【0126】
表12は、腫瘍の種類が異なる5人の患者の腫瘍に対する応答を示す。すべての場合において、rhLH治療前の腫瘍サイズの増殖パーセント(該当する期間を括弧内に示す)およびその後の二つの期間における腫瘍の増殖をCTによって測定した結果、腫瘍増殖の割合の減少または実際の収縮が明らかになった。
【0127】
【表12】

【0128】
<実施例11>
ヒトにおける経口hLFでの組合せ治療
組換えヒトラクトフェリンをヒト患者に経口投与し、単独でまたは標準的な抗癌投薬法と組合せて腫瘍の増殖を阻害する。
【0129】
簡単に説明すると、実施例10に明らかにした最適な投薬法および用量を用いてrhLFを投与し、選択した腫瘍の種類に対する一以上の標準的な抗癌投薬法を組合せ治療の一部として用いる。追加の抗癌療法の投与経路および投薬法は、そのような症状に対してFDAが承認しているようなものであるか、論文審査のある刊行物に記載されるようなものである。
【0130】
腫瘍サイズの経過は、可能であればCTスキャンおよび腫瘍マーカーによりモニターする。CTスキャンは、ベースラインにおいて行うともに、治療を始めてから8週間後ごとに行う。腫瘍マーカーは、治療を始めてから4週間ごとに測定する。血液試料を採集し、サブクラスの循環リンパ球およびNK細胞活性を測定する。血漿、血清および血液細胞抽出試料を採集して、循環IL-18、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-10、およびIL-12ならびにIFN-γを測定する。
【0131】
<実施例12>
経口rhLFの投与後の免疫刺激
Balb/cナイーブマウスにrhLFまたはプラセボを1日1回、3日間、経口投与した。1日後(4日目)、マウスをと殺し、そして脾臓を採取した。磁気ビーズ細胞選別アッセイ(MACS抗NK-DX5)を用いてNK細胞を分離し、カウントした。次に、乳酸脱水素酵素(LDH)放出試験を用いて、YACターゲットに対するNK活性についてインビトロで細胞を試験した。
【0132】
図4に示すように、経口rhLF処置によって、YACターゲット細胞に対するエキソビボでのNK活性は有意に増加した。30:1のE:T比で、rhLFの投与により、プラセボ処置動物に対し、243%の相対的増加が得られた(2.86%から9.81%、p<0.05)。
【0133】
<実施例13>
静脈内投与の効果
組換えラクトフェリン、ウシラクトフェリンおよび天然のラクトフェリンを、動物、好ましくはラットに、静脈内投与し、そして、IL-18、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-10、IL-12およびIFN-ガンマの血漿、血清および血液内細胞における産生を測定する。
【0134】
簡単に説明すると、ラットを連続14日間、1回あたり0.05μg〜1000μgの用量で処置する。対照として、薬剤担体のみをラットに投与する。LFまたは対照の投与後、0日、2日、3日、5日、9日、および14日の所定の時点に、動物の体重を測定し、その血液および血清を採取する。採取した血液から、CD4+、CD8+およびNK細胞のレベルを計測する。血漿、血清および血液細胞の抽出物をサイトカインELISAアッセイに使用する。
【0135】
また、24日の時点で、動物をと殺し、さらなる分析のため組織を取り出す。PBS、1%ノニデットP-40、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、および10μg/mlフッ化フェニルメチルスルホニル含有0.1%ドデシル硫酸ナトリウムからなる溶解緩衝液を用いて、組織をホモジナイズする。ホモジェネートを15,000rpmで10分遠心分離し、その上清を、サイトカイン類IL-18、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-10、IL-12およびIFN-ガンマについて試験するまで、-80℃で保存する。
【0136】
<実施例14>
静脈内rhLFの他の薬剤との組合せ化学療法
試験すべき腫瘍細胞を、無胸腺ヌードマウスの右側腹に注射する。動物にrhLFを単独でまたは他の抗癌投薬法と組合わせて、実施例13のように静脈内投与する。対照動物をビヒクルのみで処置する。対照動物にはrhLFを投与しない。実施例13に記載した試験において最適と判断される投薬計画を用いてrhLFを投与する。標準的または公知の投薬法を用いて抗癌治療を行う。定着腫瘍を形成させるべく腫瘍細胞を接種してから約11日後に治療を開始するか、あるいは、標準的または公知の投薬法で一般に行われるような他の時期に治療を開始する。
【0137】
実験の最中および終わりに固形腫瘍のサイズを測定することにより、単独治療および組合せ治療の効果を評価する。腫瘍の測定時に体重も測定する。
【0138】
<実施例15>
hLFのヒトにおける静脈内投与
腫瘍増殖を阻害するため、組換えラクトフェリンを患者に静脈内投与する。
【0139】
簡単に説明すると、切除不可能なまたは転移性の癌の患者に、rhLFを1日あたり500mgの用量で8日間投与する。あるいは、転移性癌の患者にrhLFを1日の用量として0.1、1、10、100、および1000mg、1〜8日間投与する。投与は静脈内で行う。
【0140】
腫瘍サイズの経過は、可能であればCTスキャンおよび腫瘍マーカーによりモニターする。CTスキャンは、ベースラインにおいて行うともに、治療を始めてから8週間後ごとに行う。腫瘍マーカーは4週間ごとに測定する。血液試料を採集し、サブクラスの循環リンパ球およびNK細胞活性を測定する。血漿、血清および血液細胞抽出試料を採集して、循環IL-18、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-10、IL-12、およびIFN-γを測定する。
【0141】
<実施例16>
静脈内hLFによる組合せ治療
組換えラクトフェリンを患者に静脈内投与し、単独でまたは標準的な抗癌投薬法と組合せて腫瘍の増殖を阻害する。
【0142】
簡単に説明すると、実施例15で明らかにした最適な投薬法および用量を用いてrhLFを投与し、選択した腫瘍の種類に対する一以上の標準的な抗癌投薬法を組合せ治療の一部として用いる。追加の抗癌療法の投与経路および投薬法は、そのような症状に対してFDAが承認しているようなものであるか、論文審査のある刊行物に記載されるようなものである。
【0143】
腫瘍サイズの経過は、可能であればCTスキャンおよび腫瘍マーカーによりモニターする。CTスキャンは、ベースラインにおいて行うともに、治療を始めてから8週間後ごとに行う。腫瘍マーカーは、治療を始めてから4週間ごとに測定する。血液試料を採集し、サブクラスの循環リンパ球およびNK細胞活性を測定する。血漿、血清および血液細胞抽出試料を採集して、循環IL-18、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-10、IL-12、およびIFN-γを測定する。
【0144】
<実施例17>
腫瘍内rhLFの活性
O12ヒト口腔咽頭扁平上皮細胞癌の腫瘍細胞を無胸腺ヌードマウスの右側腹に注射した。組換えヒトラクトフェリンおよびビヒクル対照を腫瘍内注射により投与した。各動物には、異なる濃度のrhLFを50μLで投与した。該50μLは、異なる方向および角度(ほぼS/N/E/W)からの約12.5μLの4回の注射に分け、該用量が腫瘍のいたるところに確実に一様に分配(ファンニング)されるようにした。
【0145】
【表13】

【0146】
表13は、各実験群で行われる投薬法および1群の各動物に対する注射あたりのrhLFの用量を示す。この実験では、rhLFを腫瘍中に直接投与した。突出した腫瘍を外からキャリパスで測定することにより、各動物を、毎日、腫瘍増殖について追跡した。
【0147】
このモデルを使用すると、対照動物に対し、両方のrhLF処置群において、腫瘍増殖の顕著な減少が明らかであった。群AおよびCからのプールしたプラセボ試料に関する腫瘍サイズのメジアンに対し、rhLFを単回投与された動物(群A)における腫瘍増殖の割合は、rhLFの投与後、11日目で50%減少した(p<0.05)。1日2回投与された動物(群C)における腫瘍増殖の割合は、プールした対照群と比較して56%減少した(p<0.01)(図5参照)。
【0148】
<実施例18>
腫瘍内rhLF後の免疫刺激
正常なC3H/HeJマウスに、実施例17記載の方法により、二種類のマウス腫瘍のうちのいずれかを移植した。使用した腫瘍はSCCVIIおよびRIFマウス腫瘍細胞株であった。マウスにおいて腫瘍を定着させた後、1用量あたり250または500μgのrhLFまたはビヒクル対照物を、毎日、4日間、腫瘍内に注射した。最後の腫瘍内注射の後24時間で動物をと殺し、その血液をリンパ球の集団について調べた。循環リンパ球の数は、プラセボ処置対照動物に対し34%〜56%増加した(表14)。
【0149】
【表14】

【0150】
<実施例19>
hLFの他の薬剤との組合せ化学療法
試験すべき腫瘍細胞を、無胸腺ヌードマウスの右側腹に注射する。動物にrhLFを単独でまたは他の抗癌投薬法と組合わせて、実施例1または実施例17記載のように腫瘍内投与する。対照動物をビヒクルのみで処置する。対照動物にはrhLFを投与しない。標準的または公知の投薬法を用いて抗癌治療を行う。定着腫瘍を形成させるべく腫瘍細胞を接種してから約11日後に治療を開始するか、あるいは、標準的または公知の投薬法で一般に行われるような他の時期に治療を開始する。
【0151】
実験の最中および終わりに固形腫瘍のサイズを測定することにより、単独治療および組合せ治療の効果を評価する。腫瘍の測定時に体重も測定する。
【0152】
<実施例20>
hLFの腫瘍内投与
腫瘍増殖を阻害するため、組換えラクトフェリンを患者に腫瘍内投与する。
【0153】
簡単に説明すると、切除不可能なまたは転移性の癌の患者に、rhLFを1日あたり1000μgの用量で8日間投与する。あるいは、転移性癌の患者にrhLFを1日の用量として10、50、100、500、および1000μg、1〜8日間投与する。投与は腫瘍内で行う。
【0154】
腫瘍サイズの経過は、可能であればCTスキャンおよび腫瘍マーカーによりモニターする。CTスキャンは、ベースラインにおいて行うともに、治療を始めてから8週間後ごとに行う。腫瘍マーカーは4週間ごとに測定する。血液試料を採集し、サブクラスの循環リンパ球およびNK細胞活性を測定する。血漿、血清および血液細胞抽出試料を採集して、循環IL-18、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-10、IL-12、およびIFN-γを測定する。
【0155】
<実施例21>
腫瘍内hLFによる組合せ治療
組換えラクトフェリンを患者に腫瘍内投与し、単独でまたは標準的な抗癌投薬法と組合せて腫瘍の増殖を阻害する。
【0156】
簡単に説明すると、実施例20で明らかにされる最適な投薬法および用量を用いてrhLFを投与し、選択した腫瘍の種類に対する一以上の標準的な抗癌投薬法を組合せ治療の一部として用いる。追加の抗癌療法の投与経路および投薬法は、そのような症状に対してFDAが承認しているようなものであるか、論文審査のある刊行物に記載されるようなものである。
【0157】
腫瘍サイズの経過は、可能であればCTスキャンおよび腫瘍マーカーによりモニターする。CTスキャンは、ベースラインにおいて行うともに、治療を始めてから8週間後ごとに行う。腫瘍マーカーは、治療を始めてから4週間ごとに測定する。血液試料を採集し、サブクラスの循環リンパ球およびNK細胞活性を測定する。血漿、血清および血液細胞抽出試料を採集して、循環IL-18、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-10、IL-12、およびIFN-γを測定する。
【0158】
<実施例22>
ヒトにおけるhLFの局所投与
腫瘍増殖を阻害するため、組換えラクトフェリンをゲル製剤で患者に投与する。
【0159】
簡単に説明すると、1%、2.5%または8.5%の濃度のrhLFゲルを転移性疾患の患者の皮膚または皮下癌患部に1日2回塗布する。rhLFゲルの塗布は腫瘍が進行する間続ける。
【0160】
転移性疾患のサイズの経過は、可能であればCTスキャンおよび腫瘍マーカーによりモニターする。CTスキャンは、ベースラインにおいて行うともに、治療を始めてから8週間後ごとに行う。腫瘍マーカーは4週間ごとに測定する。血液試料を採集し、サブクラスの循環リンパ球およびNK細胞活性を測定する。血漿、血清および血液細胞抽出試料を採集して、循環IL-18、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-10、IL-12、およびIFN-γを測定する。
【0161】
<実施例23>
局所hLFによる組合せ治療
組換えラクトフェリンをゲル製剤で患者に投与し、単独でまたは標準的な抗癌投薬法と組合せて腫瘍の増殖を阻害する。
【0162】
簡単に説明すると、実施例22で明らかにされる最適な投薬法および用量を用いてrhLFを投与し、選択した腫瘍の種類に対する一以上の標準的な抗癌投薬法を組合せ治療の一部として用いる。追加の抗癌療法の投与経路および投薬法は、そのような症状に対してFDAが承認しているようなものであるか、論文審査のある刊行物に記載されるようなものである。
【0163】
転移性疾患のサイズの経過は、可能であればCTスキャンおよび腫瘍マーカーによりモニターする。CTスキャンは、ベースラインにおいて行うともに、治療を始めてから8週間後ごとに行う。腫瘍マーカーは、治療を始めてから4週間ごとに測定する。血液試料を採集し、サブクラスの循環リンパ球およびNK細胞活性を測定する。血漿、血清および血液細胞抽出試料を採集して、循環IL-18、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-10、IL-12、およびIFN-γを測定する。
【0164】
参照文献
本明細書に記載するすべての特許および刊行物は、本発明に関し、当業者の技術水準を示すものである。すべての特許および刊行物は、引用することによって、その内容が具体的かつ個々に本明細書に記載されたものとする。
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本発明およびその利点を詳細に説明してきたが、勿論、添付の特許請求の範囲に規定する本発明の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな変更、置換、および改変を施すことができる。さらに、本願の範囲は、本明細書に記載した特定の態様のプロセス、装置、製品、組成物、手段、方法および工程に限定されるものではない。本発明の開示から当業者には明らかなように、本明細書に記載した対応する態様と実質的に同じ機能を果たすか、または実質的に同じ結果をもたらす、既存のまたは将来開発されるプロセス、装置、製品、組成物、手段、方法または工程を、本発明に従って用いることができる。従って、そのようなプロセス、装置、製品、組成物、手段、方法または工程もまた、添付の特許請求の範囲に包含するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平上皮細胞癌、乳癌、黒色腫、卵巣癌、胃癌、および肺癌からなる群より選択される定着固形癌を治療する為の癌治療薬であって、ヒトラクトフェリンを該癌治療薬の有効成分として含有する経口医薬組成物を含む癌治療薬。
【請求項2】
前記ヒトラクトフェリンが、前記経口医薬組成物において、薬学的に許容される担体中に分散されている、請求項1記載の癌治療薬。
【請求項3】
該ヒトラクトフェリンが組換えヒトラクトフェリンである、請求項1または2記載の癌治療薬。
【請求項4】
前記ヒトラクトフェリンを該癌治療薬の有効成分として含有する経口医薬組成物に、さらに化学療法用薬剤を組合せてなる、請求項1から3までのいずれかに記載の癌治療薬。
【請求項5】
前記化学療法用薬剤が、白金系の薬剤を含む、請求項4記載の癌治療薬。
【請求項6】
前記白金系の薬剤がシスプラチンである、請求項5記載の癌治療薬。
【請求項7】
前記ヒトラクトフェリンを該癌治療薬の有効成分として含有する経口医薬組成物の投与が、シスプラチン投与前あるいはシスプラチン投与と同時に行われる、請求項6記載の癌治療薬。
【請求項8】
前記化学療法用薬剤が、タキサン系の薬剤を含む、4から7までのいずれかに記載の治療薬。
【請求項9】
前記タキサン系の薬剤が、ドセタキセルである、請求項8記載の癌治療薬。
【請求項10】
前記ヒトラクトフェリンを該癌治療薬の有効成分として含有する経口医薬組成物の投与が、ドセタキセル投与前あるいはドセタキセル投与と同時に行われる、請求項9記載の癌治療薬。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−79858(P2011−79858A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274944(P2010−274944)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【分割の表示】特願2004−506847(P2004−506847)の分割
【原出願日】平成15年5月9日(2003.5.9)
【出願人】(300041608)エイジェニックス・インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】AGENNIX,INC.
【Fターム(参考)】