説明

定着用部材、定着装置および定着方法

【課題】 オイルレス定着方式のワックス含有トナーに対して、紙巻きつきやトナーオフセットを起こさない、トナー離型性に優れたゴム離型層を有する定着用部材を提供する。
【解決手段】 表面層として、フッ素ゴムとジメチルシリコーンゴムの混合物を有するゴム離型層が形成され、該ゴム離型層が、該フッ素ゴムの連続相に該ジメチルシリコーンゴムが島状に分散相を形成した構造を有しており、該ゴム離型層の断面における分散相の平均粒子径が20μm以下であり、かつ該フッ素ゴムと該ジメチルシリコーンゴムの配合割合が、体積比で20:80〜80:20の範囲にあることを特徴とする定着用部材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機及びLBPの如き電子写真画像形成装置における定着技術の分野において利用され、特にオイルレス定着方式でトナーを記録材上に定着可能なゴム製の離型層を有する定着用部材、定着装置および定着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成装置には、紙などの記録材上に形成されたトナー画像を加熱定着するために定着用部材が組み込まれている。かかる定着用部材には、トナー離型性が要求される。トナー離型性とは、記録材上に静電的に形成されたトナー画像を熱と圧力により定着させる際に、定着用部材の表面にトナーがいかに付着しないかということである。トナーが定着用部材表面に付着する、つまりトナーオフセットが生じると、記録材上に形成されたトナー画像に部分的な欠けが生じたり、またオフセットしたトナーが次の記録材の上に再定着されたりして、画像が悪化するという問題が生じることがある。したがって、トナー離型性に優れた材料を定着用部材の表面、つまり離型層に用いることは部材の性能上重要である。
【0003】
このような定着用部材としては、円筒軸体の外周に少なくとも一層の離型層が形成されており、その離型層がフッ素樹脂で形成されたものが一般的に用いられている。フッ素樹脂は表面エネルギーが低く、非粘着性であり、トナー離型性に優れている。しかしながら、樹脂であるが故に硬度が高く、静電的に形成されたトナー画像を熱と圧力により定着させる際に、トナー粒子を必要以上に押しつぶしてしまい、微細な線が広がり重なり合うことがあり、小さな文字が読みづらくなるなど高画質な画像を得にくいことがある。
【0004】
これに対して弾性体であるゴムで離型層を形成したものは、樹脂に比べて柔軟性があり、トナー粒子を必要以上に押しつぶさず、高画質な画像を得やすいという利点がある。しかしながら、一般的にゴムはフッ素樹脂に比べると表面エネルギーが高く、トナー離型性に劣ることがある。特に、カラーオイルレス定着においては、離型層に用いる材料として実用化されているのはフッ素樹脂のみであり、ゴムを有する離型層(以下、「ゴム離型層」ともいう)を有する定着用部材は現在まで実用化されていない。高画質な画像を得るために、硬質な樹脂を有する離型層ではなく、柔軟なゴムを有する離型層が望まれている。
【0005】
定着用部材は200℃程度の高温で使用されるため、離型層に用いるゴムには耐熱性が要求される。このような耐熱性を有するゴム種としては、フッ素ゴムやシリコーンゴムがある。
【0006】
フッ素ゴムとは、部分的にフッ素化された炭化水素鎖からなる各種フッ素ゴムポリマー(以下、フルオロポリマーともいう)に架橋剤、架橋助剤または補強性配合剤などを添加し、ポリアミン架橋、またはポリオール架橋、あるいは有機過酸化物架橋の如き架橋によって、三次元網目構造を形成させ、弾性体であるゴムとしたものである。
【0007】
これまでフッ素ゴムは、カラー機において変性シリコーンオイルを外部から供給するオイル塗布系の離型層として主に用いられている。フルオロポリマーの種類としては、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレンの二元共重合体、あるいはビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレンの三元共重合体からなるフルオロポリマーに金属含有充填剤、または補強性充填剤を配合したものをポリアミン架橋あるいはポリオール架橋したものが主に使用されている。
【0008】
また、シリコーンゴムとは、メチルビニルシロキサン、またはメチル基の一部をフェニル基に置換したメチルフェニルビニルシロキサン単位からなるポリマーなどの生ゴムに、必要に応じて各種フィラーを配合したものを、付加反応架橋または有機過酸化物架橋の如き架橋によって、三次元網目構造を形成させ、弾性体であるゴムとしたものである。一般的に、シリコーンゴムは耐熱性に優れていることから、主に離型層の下層の熱伝導性弾性体層として用いられている。また、離型層としては、カラー機においてジメチルシリコーンオイルを外部から供給するオイル塗布系において、主に用いられてきた。
【0009】
最近ではトナーの離型性を確保するために、トナー粒子中に離型補助効果を有するワックスを内添させ、前述したように外部からオイル塗布を行わないオイルレス定着方式がフッ素樹脂製の離型層で実用化されている。
【0010】
高画質な画像を得る目的で、フッ素樹脂に替えてフッ素ゴムを離型層に用いると、トナー中のワックスとフッ素ゴムとの親和性が低く、ワックスによる離型補助効果が十分に発揮されない。そのため、トナーが離型層から剥がれないことにより生じる紙巻きつきや、あるいはトナーオフセットが起きることがあった。また、離型層にジメチルシリコーンゴムを用いると、トナー粒子中のワックスとジメチルシリコーンゴムの親和性は高いが、親和性が高すぎるためにトナー離型性に何らかの悪影響を及ぼし、フッ素ゴムの場合と同様に、紙巻きつき、あるいはトナーオフセットが起きることがあった。
【0011】
カラー機用のオイルレス定着において、トナーが少なくともワックスを含有するトナー粒子を有するトナー(以下、ワックス含有トナーともいう)であり、定着装置のうち記録材上の未定着トナー像に接触する側の定着部材表面には、ワックスと親和性の高いフッ素ゴムからなる離型層を具備させたことを特徴とする画像記録装置について提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、トナーが、少なくとも、結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するトナー粒子を有するトナーであり、ワックスの重量平均分子量(Mw)が400〜4000であって、且つ数平均分子量(Mn)が200〜4000であり、且つ、加熱定着部材の最外表面に設けられている離型層が、フッ素ゴムと、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体との混合物とによって形成され、且つ離型層の水に対する接触角が80〜103°の範囲内に調整されていることを特徴とする定着装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0012】
上記特許文献1では、ワックス親和性の高いフッ素ゴムからなる離型層が提案されているが、さらなるトナー離型性の向上が望まれる。
【0013】
また、上記特許文献2では、ワックスとの親和性を損なわない目的で、フッ素ゴムと、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体との混合物からなる離型層が提案されている。しかしながら、これはゴム単体ではなく、ゴムと樹脂との混合物であり、その柔軟性はゴム単体に比べると低いことがある。
【特許文献1】特開2000−242115号公報
【特許文献2】特許第3055119号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、オイルレス定着方式に用いられるワックス含有トナーに対して、トナーオフセットを起こさず、トナー離型性に優れたゴム離型層を有する定着用部材を提供することである。本発明の別の目的は、このような定着用部材を備えた定着方法および定着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の上記目的は以下の発明により達成される。
【0016】
(1)表面層として、フッ素ゴムとジメチルシリコーンゴムの混合物を有するゴム離型層が形成され、該ゴム離型層が、該フッ素ゴムの連続相に該ジメチルシリコーンゴムが島状に分散相を形成した構造を有しており、該ゴム離型層の断面における分散相の平均粒子径が20μm以下であり、かつ該フッ素ゴムと該ジメチルシリコーンゴムの配合割合が、体積比で20:80〜80:20の範囲にあることを特徴とする定着用部材である。フッ素ゴムにジメチルシリコーンゴムを細かく分散することで、ワックスとの親和性を適度に高めることができる。
【0017】
(2)フッ素ゴムが、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルの三元共重合体である(1)に記載の定着用部材である。
【0018】
(3)ゴム離型層が、シリコーン系界面活性剤を含有する(1)または(2)に記載の定着用部材である。フルオロポリマーとジメチルシリコーンゴムの両方に対して親和性を有するシリコーン系界面活性剤を配合することで、フルオロポリマー中へのジメチルシリコーンゴムの分散性を向上することができる。
【0019】
(4)シリコーン系界面活性剤が疎水性であるポリジメチルシロキサン部分と親水性であるポリオキシアルキレン部分が交互に繰り返した構造を有する(3)に記載の定着用部材である。このような構造を持つシリコーン系界面活性剤を用いることで、分散性向上効果をより高めることができる。
【0020】
(5)シリコーン系界面活性剤の配合量が、フッ素ゴムとジメチルシリコーンゴムの合計の質量に対して、0.1〜5.0質量%である(3)または(4)に記載の定着用部材である。この範囲とすることで、ジメチルシリコーンゴムの分散性を向上することができる。
【0021】
(6)ゴム離型層中のフッ素ゴムとジメチルシリコーンゴムが共に有機過酸化物架橋したものである(1)〜(5)のいずれかに記載の定着用部材である。フッ素ゴムとジメチルシリコーンゴムの架橋を統一することができ、ブレンドゴムの強度を高めることができる。
【0022】
(7)有機化酸化物架橋がフッ素ゴムとジメチルシリコーンゴムに対し同時に行なわれたものである(6)に記載の定着用部材である。同時に有機過酸化物架橋が行われると連続相と分散相の界面においても架橋されるので、ブレンドゴムのより強度を高めることができる。
【0023】
(8)定着用部材が、ローラの形態である(1)〜(7)のいずれかに記載の定着用部材である。
【0024】
(9)定着用部材が、ベルトの形態である(1)〜(7)のいずれかに記載の定着用部材である。
【0025】
(10)(1)〜(9)のいずれかに記載されている定着用部材が配置されているオイルレス定着方式の定着装置である。このような定着装置を用いることで、高画質な画像を得ることができる。
【0026】
(11)定着用部材が、定着ローラであることを特徴とする(10)に記載のオイルレス定着方式の定着装置である。
【0027】
(12)定着用部材が、定着ベルトであることを特徴とする(10)に記載のオイルレス定着方式の定着装置である。
【0028】
(13)定着用部材が、加圧ローラであることを特徴とする(10)に記載のオイルレス定着方式の定着装置である。
【0029】
(14)定着用部材が、加圧ベルトであることを特徴とする(10)に記載のオイルレス定着方式の定着装置である。
【0030】
(15)(10)〜(14)のいずれかに記載されている定着装置を用いて、転写材にトナー画像を定着させるオイルレス定着方式の定着方法である。このような定着方法を用いることで、高画質な画像を得ることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の定着用部材は、定着装置に組み込んで使用すると、オイルレス定着方式のワックス含有トナーに対して、紙巻きつきやトナーオフセットを起こさず、トナー離型性、柔軟性に優れている。したがって、オイルレス定着方式の電子写真画像形成装置として、本発明の定着用部材を組み込んでなる定着装置を配設したものは、得られるトナー画像は高画質である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
フッ素ゴムのワックス親和性を適度に高める手段として、ジメチルシリコーンゴムを島状に分散させることが考えられる。ワックスとの親和性の低いフッ素ゴムに、ワックスとの親和性の高いジメチルシリコーンゴムを分散することで、フッ素ゴムのワックス親和性を高めることができる。また、フッ素ゴムにジメチルシリコーンゴムが島状に分散していても、ゴム離型層の断面における分散相の平均粒子径が20μmを超える場合には、ゴム表面にジメチルシリコーンゴムが存在せず、ワックス親和性を高められないことがあるので望ましくない。また、一般的に平均粒子径が10μm以下であるワックス含有トナーに対して、ゴム離型層の断面における分散相の平均粒子径が20μmを超える場合には、フッ素ゴムのワックス親和性を均一に高めることができないことがあるので、望ましくない。なお、加工の容易性の面から、ゴム離型層の断面及び表面における分散相の平均粒子径は、1μm以上が好ましい。
【0033】
本発明において、分散相の平均粒子径は、以下のように測定する。
【0034】
ゴム離型層表面に対して垂直方向の断面における分散相を形成している各粒子について、粒子の最大径の部分を長軸方向として固定し、粒子の面積が等しくなるように短軸を新たに設定することで楕円形に設定したときの、長軸の長さと短軸の長さの平均値を算出したものをその粒子の粒子径とする。さらに無作為に選び出した粒子100個の粒子径を測定し、平均値を求めたものをゴム離型層の断面における分散相の平均粒子径とした。ここで、ゴム離型層のフッ素ゴムとジメチルシリコーンゴムの分散状態は、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)を備えた走査型電子顕微鏡(SEM、日本電子株式会社製 JSM−5910LV型)を用い、加速電圧:20kV、測定モード:高真空モード、測定倍率:300倍、検出器:エネルギー分散型(EDS)、マッピング元素:F,Siによる元素マッピングを行うことにより調べたものである。また、ゴム離型層の表面における分散相の平均粒子径も同様の測定方法を用いて求めることができる。
【0035】
フッ素ゴムとジメチルシリコーンゴムの配合割合については、体積比で20:80〜80:20であり、ジメチルシリコーンゴムが、体積比で20/100未満であると、ワックスとの親和性を十分に高めることができないので、望ましくない。また、ジメチルシリコーンゴムが体積比で80/100を超えると、ワックスとの親和性を高めすぎることがあり、トナー離型性に悪影響を及ぼすことがあるので、望ましくない。
【0036】
従来、フッ素ゴムにジメチルシリコーンゴムを分散させる試みとして、単にフッ素ゴムにジメチルシリコーンゴムを混ぜるだけでは、両者の親和性が低いために、分散状態が粗くなり、ゴム離型層の断面における分散相の粒径は数百μmオーダーになってしまうことが多かった。そこで本発明では、フッ素ゴムのポリマー種として、エーテル基を有するビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルの三元共重合体を選択し、かつ、このフルオロポリマーとジメチルシリコーンゴムの両方に親和性のあるシリコーン系界面活性剤を配合することによって、ジメチルシリコーンゴムの分散性をより向上することができることを見出した。
【0037】
シリコーン系界面活性剤とは、疎水基がジメチルポリシロキサン、親水基がポリオキシアルキレンから構成される非イオン系の界面活性剤であることが好ましい。シリコーン系界面活性剤は、シロキサン骨格をもっているため、揮発性が低く、熱安定性に優れているので、高温で使用される定着用部材で用いることに適している。また、フルオロポリマーとジメチルシリコーンゴムの両者を溶解することができるケトン系の有機溶剤に対してもある程度の溶解性を示すので、両者の界面活性剤として機能することができる。
【0038】
本発明で配合しているシリコーン系界面活性剤は、疎水性であるジメチルポリシロキサン部分がジメチルシリコーンゴムと親和性が高く、親水性であるポリオキシアルキレン部分がフルオロポリマーと親和性があり、両者の界面活性剤として機能することで、ジメチルシリコーンゴムの分散性を向上することができると考えられる。
【0039】
本発明で使用するフッ素ゴムポリマー(フルオロポリマーとも称する)の種類としては特に限定されるものではないが、一般的なビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレンの二元共重合体、あるいはビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレンの三元共重合体よりも、エーテル基を有するビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルの三元共重合体の方が、シリコーン系界面活性剤のエーテル基を有するポリオキシアルキレンとの親和性が高いと考えられるので、本発明ではビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルの三元共重合体の方が好ましい。
【0040】
本発明に用いられるシリコーン系界面活性剤は、下記式(1)〜(3)で示される構造を有する化合物であることが好ましい。
【0041】
すなわち、下記式(1)で示されるジメチルポリシロキサン骨格の側鎖にポリオキシアルキレンが結合した構造からなる側鎖変性型のシリコーン系界面活性剤、下記式(2)で示されるジメチルポリシロキサン骨格の末端にポリオキシアルキレンが結合した構造からなる末端変性型のシリコーン系界面活性剤、および、下記式(3)で示されるジメチルポリシロキサンとポリオキシアルキレンが交互に繰り返し結合した構造からなる共重合型のシリコーン系界面活性剤である。このなかで、式(3)で示される共重合型のシリコーン系界面活性剤が、フルオロポリマーにジメチルシリコーンゴムを分散する効果がより高いので、好ましい。なお、下記式(1)〜(3)で示される構造を有する化合物において、Rはそれぞれ独立して置換または無置換のアルキル基、R’はそれぞれ独立して置換または無置換のアルキレン基を示し、a、b、m及びnはそれぞれ独立して正の整数を示す。
【0042】
【化1】

【0043】
【化2】

【0044】
【化3】

【0045】
シリコーン系界面活性剤の配合量としては、フッ素ゴムとジメチルシリコーンゴムの合計に対して、0.1〜5.0質量%の範囲であることが十分な分散性向上の効果が得られるため好ましい。
【0046】
次に、フッ素ゴムとジメチルシリコーンゴムのそれぞれの架橋については特に限定されるものではないが、ともに有機過酸化物架橋したものとすることで、連続相と分散(島)相の界面においても架橋され、ブレンドゴムの強度を高めることができ、耐久性に優れたゴム離型層を形成することができるので、好ましい。
【0047】
具体的には、フッ素ゴムは、分子鎖末端又は側鎖にヨウ素または臭素を導入したタイプのもので、有機過酸化物による架橋は、ヨウ素または臭素原子の引き抜き反応と架橋助剤のアリル基へのラジカル反応等により行われる。また、ジメチルシリコーンゴムは、ジメチルポリシロキサン骨格の末端または側鎖にビニル基を導入したタイプのもので、有機過酸化物による架橋は、ビニル基へのラジカル反応等により行われる。ただし、本発明では溶液コーティングにより表面層を形成した後、加熱し、架橋させるのであるが、有機過酸化物架橋はオーブン架橋等の常圧熱気架橋を行うと、空気中に存在する酸素により硬化阻害が生じることがある。硬化阻害の原因となる酸素を遮断するために、加熱状態のオイル、例えばシリコーンオイル、フッ素オイルに浸漬して架橋させるのが好ましい。シリコーンオイルとフッ素オイルは耐熱性に優れているので、高温で使用するのに適している。シリコーンオイルは、フッ素ゴム上に化学結合によりシリコーンポリマー最表層を形成することができる(特開2003−215969号公報)ので、さらに好ましい。
【0048】
本発明のゴム離型層を有する定着用部材は、例えば以下のようにして製造することができる。まず、反応基として分子内にヨウ素または臭素を含有するビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルの三元共重合体からなるフルオロポリマーと、反応基としてビニル基を含有するジメチルポリシロキサンからなるシリコーンポリマーを体積比で50:50、架橋助剤としてトリアリルイソシアヌレートをフルオロポリマーとシリコーンポリマーの合計に対して4.0質量%、架橋剤として有機過酸化物であるベンゾイルパーオキサイドを3.0質量%、シリコーン系界面活性剤1.0質量%をケトン系溶剤に溶解し、ケトン系溶液を得る。そのケトン系溶液をよく攪拌した後、ブレードコートなどにより、予めプライマーを均一に塗布し、乾燥させたローラ状あるいはベルト状の基材(必要によりその上に形成されている弾性層)の上に、コーティングする。その後加熱状態のジメチルシリコーンオイルに浸漬して加熱することによる一次架橋、オーブン中での二次架橋の工程を経ることにより製造することができる。弾性層が熱伝導性シリコーンゴムからなるときは、架橋剤と架橋助剤が弾性層のシリコーンゴム中へ移行し、離型層中の含有量が減少することがあるので、あらかじめ架橋剤と架橋助剤を弾性層シリコーンゴムへの移行量を見込んで、上記標準量の数倍配合することが望ましい。なお、プライマー層は公知のものを使用すればよく、その厚みは特に限定されないが、通常1〜10μm程度である。
【0049】
このようにして得られる定着用部材の層構成の断面図を図1(単層構成)、図2(2層構成)に示す。
【0050】
図1において、ローラ状あるいはベルト状の基材1の上面に、フッ素ゴムが連続相、ジメチルシリコーンゴムが島状の分散相である構造を有しており、ゴム離型層の断面における分散相の平均粒子径が20μm以下であるゴム離型層2が形成されている。
【0051】
ゴム離型層の厚さは必要に応じて適宜決めればよいが、通常、十分な耐キズ・耐摩耗性を確保するために10μm以上であることが好ましい。また、熱伝導性等の点から500μm以下であることが望ましい。
【0052】
図2は2層構成の定着用部材に関するものであり、ローラ状あるいはベルト状の基材1の上に、まず、従来のシリコーンゴム等からなる熱伝導性弾性層3が形成されており、この弾性体層3の上に、本発明のゴム離型層2が形成されている。
【0053】
ここで用いるシリコーンゴムのポリマー種としては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン等をあげることができる。熱導電性弾性層はこれに熱伝導性充填剤を配合させたものから形成されていることが好ましい。このような弾性層は公知の方法、例えばシリコーンゴム材料を成形型内に注入し、加熱硬化する方法、あるいはコーティングによりシリコーンポリマー層を形成し、加熱オーブンなどで硬化させる方法等で作製することができる。
【0054】
熱伝導性弾性層の厚さは、紙などの記録材に対する追従性を確保するため等の理由から50μm以上が好ましく、熱伝導性等の点から5mm以下であることが好ましい。
【0055】
なお、この場合も、単層構成の定着用部材の場合と同様、ゴム離型層の厚さも適宜決めればよく、好ましい範囲も同様である。
【0056】
本発明の定着用部材は上記の単層あるいは2層構成の定着用部材に限定されるものではなく、3層以上の多層構成であってもよく、またその形体も定着ベルト、定着ローラ、加圧ベルト、あるいは加圧ローラなどでもよい。
【0057】
次に、本発明の定着装置について説明する。
【0058】
本発明の定着装置は、電子写真画像形成装置に用いる定着装置であって、前述の定着用部材が定着ベルトあるいは定着ローラ、および/または加圧ベルトあるいは加圧ローラとして配置されているものである。電子写真画像形成装置としては、感光体、潜像形成手段、形成した潜像をトナーで現像するための現像手段、現像したトナー像を転写材に転写するための転写手段、および、転写材上のトナー像を定着するための定着手段等を有する電子写真画像形成装置が挙げられる。
【0059】
本発明の定着装置の一例について、図3に構成図を示す。
【0060】
定着装置には、図3において上側に記載されているローラである定着ローラ11および下側に記載されているローラである加圧ローラ12が配置されている。この定着ローラ11と、加圧ローラ12の少なくともいずれか一方に本発明の定着用部材が用いられる。そして、定着ローラ11と、加圧ローラ12の少なくともいずれか一方の中心には例えばハロゲンランプからなるヒータ4、4’が組込まれている。
【0061】
定着ローラ11は矢印方向に所定の周速度で回転駆動し、加圧ローラ12もそれに合わせて矢印方向に回転駆動する。そして、紙などの記録材13上に形成されたトナー画像は、ヒータ4、4’からの熱と、定着ローラ11と加圧ローラ12とのニップ圧力により定着される。
【0062】
トナー定着温度は、定着ローラ11の表面温度をサーミスタ14により測定された温度をもとに、ヒータ4、4’の出力が制御され、設定温度に保たれている。定着ローラ11の表面温度(定着温度)は特に限定されないが、通常、130〜220℃程度である。
【0063】
なお、ここでは、定着及び加圧ローラの定着装置を例としてあげたが、本発明の定着装置は本発明の定着用部材を定着ベルトあるいは定着ローラ、および/または加圧ベルトあるいは加圧ローラとして有していればよく、図3に示したものに限られない。
【実施例】
【0064】
以下、実施例により本発明の詳細を説明する。なお、本発明はこれら実施例によってなんら限定されるものではない。
【0065】
フッ素ゴムとジメチルシリコーンゴムの分散状態は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)で元素マッピングを行うことにより調べた(SEM:日本電子株式会社製 JSM−5910LV型、加速電圧:20kV、測定モード:高真空モード、測定倍率:300倍、検出器:エネルギー分散型(EDS)、マッピング元素:F、Si)。
【0066】
また、フッ素ゴムとジメチルシリコーンゴムの配合割合である体積比は、それぞれの配合量と、フッ素ゴムの比重1.8g/cm3、ジメチルシリコーンゴムの比重1.0g/cm3から算出した。
【0067】
なおワックス含有トナーの未定着画像は、キヤノン株式会社製のカラープリンター「LBP−2510」(商品名)の定着装置を取り除き、画像を出力することにより作成した。この未定着画像を本発明の定着用部材を組み込んだ定着装置(図3)を、前述したLBP−2510に配置し、定着側表面温度180℃設定、プロセススピード90mm/secの条件で通紙することにより定着後画像を得た。
【0068】
<実施例1>
反応基として分子内にヨウ素を含有するビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテルの三元共重合体からなるフルオロポリマー(商品名:ダイエルLT302、ダイキン工業株式会社製)90.0gと、反応基としてビニル基を含有するジメチルポリシロキサンからなるシリコーンポリマー50.0g、架橋助剤としてトリアリルイソシアヌレート(商品名:TAIC、日本化成株式会社製)17.0g、架橋剤として有機過酸化物であるベンゾイルパーオキサイド(25%含水品、キシダ化学社製)11.0gおよびジメチルポリシロキサンとポリオキシアルキレンが交互に繰り返し結合した構造からなる共重合型のシリコーン系界面活性剤(商品名:FZ−2207、日本ユニカー社製)1.4gを、ケトン系溶剤であるメチルイソブチルケトン525mlに溶解してケトン系溶液を得た。
【0069】
基材として用いたアルミニウムシリンダー上に、厚み1.5mmのシリコーンゴムからなる熱伝導性弾性層を形成する。その熱伝導性弾性層の表面にあらかじめプライマー(商品名:GLP−103SR、ダイキン工業株式会社製)を厚み1μmとなるように、均一に塗布、乾燥させたローラ(外径35mm)を得る。そのローラの外周に、上記調製したケトン系溶液をよく攪拌した後に、乾燥後の厚みが100μmのゴム離型層となるようにブレードコートし、乾燥させたローラを200℃のジメチルシリコーンオイル(商品名:KF−96SS−300cs、信越化学工業株式会社製)に1時間浸漬して一次架橋する。次いでオーブン中での二次架橋(180℃、24時間)して、定着用部材を仕上げた。
【0070】
この定着用部材を定着ローラ11として本発明の一形態である定着装置(図3)に使用し、この定着装置に、ワックス含有トナーの未定着画像を通紙した。
【0071】
また、上記離型層ゴムの分析用サンプルを作製し、このサンプルの表面と断面の分散形態を調べた。その結果、ともにフッ素ゴムが連続相、ジメチルシリコーンゴムが島状に分散いた分散相である構造を有しており、ゴム離型層の断面における分散相の平均粒子径は20μmであった。また、ゴム離型層の表面における分散相の平均粒子径は15μmであった。
【0072】
<実施例2>
ゴム離型層に用いたゴムの一次架橋を、200℃のジメチルシリコーンオイルに浸漬して行う代わりに、200℃のフッ素オイル(商品名:デムナムS−65、ダイキン工業株式会社製)に1時間浸漬して加熱すること以外は実施例1と同様にして定着用部材を仕上げた。
【0073】
この定着用部材を定着ローラ11として、定着装置(図3)に使用し、ワックス含有トナーの未定着画像を通紙した。
【0074】
また、上記離型層ゴムの分析用サンプルを作製し、このサンプルの表面と断面の分散形態を調べた。その結果、ともにフッ素ゴムが連続相、ジメチルシリコーンゴムが分散相である構造を有しており、ゴム離型層の断面における分散相の平均粒子径は20μmであった。また、ゴム離型層の表面における分散相の平均粒子径は15μmであった。
【0075】
<実施例3>
フルオロポリマーを36.0g、シリコーンポリマーを80.0g、トリアリルイソシアヌレートを14.0g、ベンゾイルパーオキサイドを9.3g、シリコーン系界面活性剤を1.2g、メチルイソブチルケトンを435mlにしてケトン系溶液を得たこと以外は実施例2と同様にして定着用部材を仕上げた。
【0076】
この定着用部材を定着ローラ11として、定着装置(図3)に使用し、ワックス含有トナーの未定着画像を通紙した。
【0077】
また、上記離型層ゴムの分析用サンプルを作製し、このサンプルの表面と断面の分散形態を調べた。その結果、ともにフッ素ゴムが連続相、ジメチルシリコーンゴムが分散相である構造を有しており、ゴム離型層の断面における分散相の平均粒子径は20μmであった。また、ゴム離型層の表面における分散相の平均粒子径は20μmであった。
【0078】
<実施例4>
フルオロポリマーを144.0g、シリコーンポリマーを20.0g、トリアリルイソシアヌレートを19.7g、ベンゾイルパーオキサイドを13.1g、シリコーン系界面活性剤を1.6g、メチルイソブチルケトンを615mlにしてケトン系溶液を得たこと以外は実施例2と同様にして定着用部材を仕上げた。
【0079】
この定着用部材を定着ローラ11として、定着装置(図3)に使用し、ワックス含有トナーの未定着画像を通紙した。
【0080】
また、上記離型層ゴムの分析用サンプルを作製し、このサンプルの表面と断面の分散形態を調べた。その結果、ともにフッ素ゴムが連続相、ジメチルシリコーンゴムが分散相である構造を有しており、ゴム離型層の断面における分散相の平均粒子径は20μmであった。また、ゴム離型層の表面における分散相の平均粒子径は15μmであった。
【0081】
<比較例1>
フルオロポリマーを18.0g、シリコーンポリマーを90.0g、トリアリルイソシアヌレートを13.0g、ベンゾイルパーオキサイドを8.6g、シリコーン系界面活性剤を1.1g、メチルイソブチルケトンを405mlにしてケトン系溶液を得たこと以外は実施例2と同様にして、定着用部材を仕上げた。
【0082】
この定着用部材を定着ローラ11として、定着装置(図3)に使用し、この定着装置に、ワックス含有トナーの未定着画像を通紙した。
【0083】
また、上記離型層ゴムの分析用サンプルを作製し、このサンプルの表面と断面の分散形態を調べた。その結果、断面はフッ素ゴムが連続相、ジメチルシリコーンゴムが分散相である構造を有しているが、ゴム離型層の断面における分散相の平均粒子径は40μmであった。また、ゴム離型層の表面における分散相の平均粒子径は25μmであった。
【0084】
<比較例2>
フルオロポリマーを162.0g、シリコーンポリマーを10.0g、トリアリルイソシアヌレートを20.6g、ベンゾイルパーオキサイドを13.8g、メチルイソブチルケトンを645mlにしてケトン系溶液を得たこと以外は、実施例2と同様にして、定着用部材を仕上げた。
【0085】
この定着用部材を定着ローラ11として、定着装置(図3)に使用し、この定着装置に、ワックス含有トナーの未定着画像を通紙した。
【0086】
また、上記離型層ゴムの分析用サンプルを作製し、このサンプルの表面と断面の分散形態を調べた。その結果、ともにフッ素ゴムが連続相、ジメチルシリコーンゴムが分散相である構造を有しており、ゴム離型層の断面における分散相の平均粒子径は20μmであった。また、ゴム離型層の表面における分散相の平均粒子径は15μmであった。
【0087】
<比較例3>
シリコーン系界面活性剤を配合しないこと以外は実施例2と同様にして、定着用部材を仕上げた。
【0088】
この定着用部材を定着ローラ11として、定着装置(図3)に使用し、この定着装置に、ワックス含有トナーの未定着画像を通紙した。
【0089】
また、上記離型層ゴムの分析用サンプルを作製し、このサンプルの表面と断面の分散形態を調べた。その結果、断面はフッ素ゴムが連続相、ジメチルシリコーンゴムが分散相である構造を有しているが、表面はフッ素ゴムのみ存在した。ゴム離型層の断面における分散相の平均粒子径は80μmであった。
【0090】
実施例1〜4および比較例1〜3の配合割合等を表1に示す。
【0091】
【表1】

【0092】
次に、実施例1〜4および比較例1〜3の評価結果を表2に示す。
【0093】
【表2】

【0094】
実施例1〜4では、フッ素ゴム(A)とジメチルシリコーンゴム(B)の配合割合が、体積比で(A):(B)=20:80〜80:20の範囲内であり、かつ、ゴム離型層の表面、断面ともにフッ素ゴムが連続相、ジメチルシリコーンゴムが分散(島)相である構造を有しており、ゴム離型層の表面と断面ともに分散相の平均粒子径が20μm以下になっている。そして、この定着用部材を定着ローラとする定着装置を用い、ワックス含有トナーの未定着画像を通紙したところ、トナー離型性は良好であり、1万枚通紙した時点でも定着後画像にトナーオフセットによる画像抜けは認められなかった。また、1万枚通紙した時点でのトナー画像も高画質なものであった。
【0095】
一方、比較例1については、ジメチルシリコーンゴムの配合割合が多く、ゴム離型層の表面、断面ともにフッ素ゴムが連続相、ジメチルシリコーンゴムが分散(島)相である構造を有しているが、ゴム離型層の表面と断面ともに分散相の平均粒子径が20μmを超えている。そして、この定着用部材を定着ローラとする定着装置を用い、ワックス含有トナーの未定着画像を通紙したところ、トナー離型性は不十分であり、100枚通紙した時点で定着後画像にトナーオフセットによる画像抜けが発生し、定着性能を満足するものではなかった。次に比較例2については、ゴム離型層の表面、断面ともにフッ素ゴムが連続相、ジメチルシリコーンゴムが分散(島)相である構造を有しており、ゴム離型層の表面と断面ともに分散相の平均粒子径が20μm以下になっているが、ジメチルシリコーンゴムの配合割合が10体積%と実施例1〜4に比べて少ない。この定着用部材を定着ローラとする定着装置を用い、ワックス含有トナーの未定着画像を通紙したところ、トナー離型性は不十分であり、1枚目で定着後画像にトナーオフセットによる画像抜けが発生し、定着性能を満足するものではなかった。また、比較例3については、ゴム離型層の表面にはジメチルシリコーンゴムが存在せず、ゴム離型層の断面の分散相の平均粒子径は80μmであり、この定着用部材を定着装置に組み込んだ場合のワックス含有トナー未定着画像通紙試験では、比較例1の時よりもトナー離型性が不十分であり、1枚目でトナーが離型層から剥がれないことにより生じる紙巻きつきが起こった。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】単層構造の定着用部材の断面図である。
【図2】2層構造の定着用部材の断面図である。
【図3】定着装置の一形態の概略構成図である。
【符号の説明】
【0097】
1 基材
2 ゴム離型層
3 熱伝導性弾性層
4、4’ ヒータ(ハロゲンランプ)
11 定着ローラ
12 加圧ローラ
13 記録材(紙)
14 サーミスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面層として、フッ素ゴムとジメチルシリコーンゴムの混合物を有するゴム離型層が形成され、該ゴム離型層が、該フッ素ゴムの連続相に該ジメチルシリコーンゴムが島状に分散相を形成した構造を有しており、該ゴム離型層の断面における分散相の平均粒子径が20μm以下であり、かつ該フッ素ゴムと該ジメチルシリコーンゴムの配合割合が、体積比で20:80〜80:20の範囲にあることを特徴とする定着用部材。
【請求項2】
該フッ素ゴムが、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルの三元共重合体である請求項1に記載の定着用部材。
【請求項3】
さらに、該ゴム離型層がシリコーン系界面活性剤を含有する請求項1または2に記載の定着用部材。
【請求項4】
該シリコーン系界面活性剤がポリジメチルシロキサン部分とポリオキシアルキレン部分が交互に繰り返した構造を有する請求項3に記載の定着用部材。
【請求項5】
該シリコーン系界面活性剤の配合量が、該フッ素ゴムと該ジメチルシリコーンゴムの合計の質量に対して、0.1〜5.0質量%である請求項3または4に記載の定着用部材。
【請求項6】
該ゴム離型層中のフッ素ゴムとジメチルシリコーンゴムが共に有機過酸化物架橋したものである請求項1〜5のいずれかに記載の定着用部材。
【請求項7】
該有機化酸化物架橋がフッ素ゴムとジメチルシリコーンゴムに対し同時に行なわれたものである請求項6に記載の定着用部材。
【請求項8】
該定着用部材が、ローラの形態である請求項1〜7のいずれかに記載の定着用部材。
【請求項9】
該定着用部材が、ベルトの形態である請求項1〜7のいずれかに記載の定着用部材。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載されている定着用部材が配置されているオイルレス定着方式の定着装置。
【請求項11】
該定着用部材が、定着ローラであることを特徴とする請求項10に記載のオイルレス定着方式の定着装置。
【請求項12】
該定着用部材が、定着ベルトであることを特徴とする請求項10に記載のオイルレス定着方式の定着装置。
【請求項13】
該定着用部材が、加圧ローラであることを特徴とする請求項10に記載のオイルレス定着方式の定着装置。
【請求項14】
該定着用部材が、加圧ベルトであることを特徴とする請求項10に記載のオイルレス定着方式の定着装置。
【請求項15】
請求項10〜14のいずれかに記載されている定着装置を用いて、転写材にトナー画像を定着させるオイルレス定着方式の定着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−48028(P2006−48028A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−196206(P2005−196206)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】