説明

定着装置、加熱ローラ及びその製造方法

【課題】 通紙幅に関係なく軸方向で均一な温度分布を容易に得ることができ且つ剛性を確保すると同時に薄肉化に伴う立上り時間の短縮化を実現することができ、しかも加工性並びに汎用性を向上させることができる加熱ローラ、その製造方法及び該加熱ローラを備える定着装置を提供する
【解決手段】 第一加熱ローラ17の第一ローラ芯金22の軸線方向に沿って設定された通紙領域Lにおける中央部をその肉厚が該中央部の両側の肉厚より薄い薄肉部24aにし、第二加熱ローラ18の第二ローラ芯金23の軸線方向に沿って設定された通紙領域Lにおける両端部をその肉厚が該両端部間の中央部の肉厚より薄い薄肉部26aにし、各加熱ローラ17,18の各ローラ芯金22,23内に、熱源27,28を各薄肉部24a,26aに対応するように配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ及び電子写真プリンタ等の電子写真記録装置において、記録媒体面上に形成された加熱溶融性の未定着トナーからなる画像を加熱して定着するために用いられる加熱定着方式の定着装置、該定着装置に組み込まれる加熱ローラ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真記録装置の画像形成装置では、紙やフィルム等の記録媒体上に形成した未定着トナー画像を定着させる方法として、一般に、熱によりトナーを溶着して記録媒体上に定着させる加熱定着方式が用いられている。このような加熱定着方式のうち、熱効率が高くしかも安全である等の理由から、熱ローラ方式が最も広く使われている。
【0003】
この熱ローラ方式に用いられる定着装置1は、図8に示すように、定着ローラ2及び加圧ローラ3により該両ローラ間に規定されるニップ部4で、無端状の定着ベルト5を介してトナーsを加熱、加圧し、これにより、該トナーを記録媒体S上に定着させる。
【0004】
定着ベルト5の記録媒体Sに当接する表面5a(トナーsが付着する面)には、フッ素樹脂等からなる離型層が形成されている。定着ベルト5は、熱源6aを有する加熱ローラ6と定着ローラ2とを巡るように、テンションローラ7により付与される張力で両ローラ2,6間に張架されている。定着ベルト5は、熱源6aにより加熱された加熱ローラ6を介して、前述の定着に必要な温度まで加熱される。加熱ローラ6の熱源6aには、加熱ローラ6の軸線に沿って設けられるハロゲンランプやセラミックスヒータ等が用いられる。定着ベルト5の表面5aには、加熱ローラ6に対応した位置で温度センサ8が当接しており、該温度センサの検知温度結果に基づいてニップ部4の温度が適切なトナー定着温度に維持されるように、熱源6aへの電力供給量が制御されている。
【0005】
熱ローラ方式の定着装置1では、熱源6aからの加熱効率の関係から熱伝導性及び剛性を確保するように、加熱ローラ6にはアルミニウム合金を芯金としたものが用いられる。
【0006】
このアルミニウム合金の芯金の形成では、アルミニウム合金材から円筒状の長尺円筒管を押出し、引抜き成形し、この長尺円筒管を所定の長さに切断することにより軸線方向に一様な外形及び内径を有する図示しないローラ芯金が形成される。更に、ローラ芯金の外周面にダイヤモンドバイトを使用した外径切削加工を施すことにより、ローラ芯金は所定の肉厚まで薄肉化される。更に、切削等により表面を均一化させた後、一般的に、定着ベルト5との空スベリを抑制するために、ローラ芯金の外周面をフッ素樹脂のような樹脂材料からなる樹脂層で被覆され、あるいは、樹脂層に代えて、ローラ芯金の外周面にアルマイト処理又はサンブラスト等の表面処理が施される。加熱ローラ6には、必要に応じて、循環する定着ベルト5のヨリや蛇行を抑制するための寄り止め部材が設けられる。
【0007】
ところで、近年における省エネルギー化や低コスト化の要望から、加熱ローラ6には、熱伝導性を向上させるために更なる薄肉化が要求されている。すなわち、ローラ芯金の薄肉化により、定着可能な温度に達するまでの時間(定着ローラ2の立上り時間又はウォームアップ時間と称される。)を短縮して、複写機等の省電力化を進めることが望まれている。
【0008】
しかしながら、ローラ芯金を薄肉化すると、ローラ芯金の剛性が低下し、これにより定着ベルト5に空スベリ、ヨリ又は蛇行等の搬送不具合が生じる。また、ローラ芯金を薄肉化すると、加熱ローラ6自体の熱容量が小さくなるため、加熱ローラ6に熱を蓄え難くなる。このため、例えばA3用紙対応機でA4用紙を縦に連続して通紙したときのように、ローラ芯金の軸線方向に沿って設定された通紙領域の前記軸線方向の幅よりも狭い幅の紙を連続して通紙したとき、通紙により熱が奪われることによって温度が低下した定着ベルト5の通紙部分である該定着ベルトの幅方向の中央部の温度をトナーsが定着可能な温度まで上昇させるべく加熱ローラ6を熱源6aで加熱すると、定着ベルト5の温度が低下していない通紙外部分である両端部の温度が通紙部分の温度よりも上昇してしまう。
【0009】
そこで、図9に示すように、加熱ローラ6のローラ芯金内に、加熱ローラ6の中央部を加熱するためのハロゲンヒータ9aと、加熱ローラ6の両端部を加熱するためのハロゲンヒータ9bとを配置し、該各ハロゲンヒータの温度をそれぞれ独立に制御する方式が提案されている(例えば、特許文献1乃至5参照。)。
【0010】
この方式によれば、通紙領域の幅よりも狭い幅の紙を連続して通紙することにより温度が低下した定着ベルト5の中央部の温度をトナー定着温度まで上昇させる場合、加熱ローラ6の両端部の温度を上昇させることなくその中央部の温度を上昇させることができる。これにより、定着ベルト5の両端部の温度が中央部の温度よりも上昇することを抑制することができる。
【0011】
また、上記した方式とは別に、図示しないが、定着装置1の入口に予熱室を設け、記録媒体へのトナーの定着前に記録媒体を予め加熱する方式が提案されている(例えば、特許文献6参照。)。
【0012】
この方式によれば、記録媒体が定着装置に搬送される前に予熱室内を通過することによって加熱されることから、記録媒体の通紙時に該記録媒体が定着ベルトの中央部から奪う熱量が減るため、定着ベルトの中央部の温度低下を抑制することができる。これにより、通紙によって温度が低下した定着ベルトの中央部の温度をトナー定着温度まで上昇させるための熱源による加熱量が減るため、定着ベルトの両端部の温度上昇を抑制することができる。
【0013】
更に、上記した各方式以外に、図示しないが、定着ベルトの両端部の温度上昇を抑制するために、定着ローラに伝熱部材を当接させることにより定着ローラを通過する定着ベルトの両端部の熱を吸収したり、定着ローラに電極部材を設けることにより定着ローラを通過する定着ベルトの両端部の熱を放出したりする方式が提案されている(例えば、特許文献7乃至9参照。)。
【特許文献1】特開2001−201978号(第4−7頁、図1)
【特許文献2】特開2001−318557号(第3−4頁、図1)
【特許文献3】特開平11−202673号(第2−3頁、図7)
【特許文献4】特許3446828号(第5−9頁、図1)
【特許文献5】特開平11−24469号(第5−8頁、図1)
【特許文献6】特開平9−34283号(第4−6頁、図1)
【特許文献7】特開平9−127811号(第6頁、図1)
【特許文献8】特開平10−123873号(第4−6頁、図1)
【特許文献9】特開平10−115993号(第3−4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、加熱ローラの中央部を加熱するためのハロゲンヒータと、加熱ローラの両端部を加熱するためのハロゲンヒータとをローラ芯金内に配置する方式では、ローラ芯金内に一つのハロゲンヒータを配置する場合に比べてローラ芯金の内径が大きくなるため、加熱ローラ自体の熱容量が増大し、加熱ローラの温度が所定の温度まで上昇するのに長い時間を要する。このため、加熱ローラの熱が定着ベルトを介して定着ローラに伝わるまでの時間が長くなり、定着ローラの温度がトナー定着温度まで上昇するまでの時間すなわち立上り時間を短縮することが困難になる。また、この方式以外の前記した各方式でも、立上り時間の短縮やローラ芯金の剛性の強化を図ることができない。
【0015】
このように、定着ベルトの端部温度上昇の抑制と定着ローラの立上り時間の短縮とは相反する関係にあり、両者を満足する技術が望まれている。
【0016】
本発明の目的は、通紙幅に関係なく軸方向で均一な温度分布を容易に得ることができ且つ剛性を確保すると同時に薄肉化に伴う立上り時間の短縮化を実現することができ、しかも加工性並びに汎用性を向上させることができる加熱ローラ、その製造方法及び該加熱ローラを備える定着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、互いに並列的に配置される第一及び第二の加熱ローラと、定着ローラとを巡る無端状の定着ベルトに沿って搬送される記録媒体上の未定着トナーを前記定着ローラ及び加圧ローラにより該両ローラ間で前記定着ベルトを介して前記記録媒体上に圧接することにより該記録媒体上に前記トナーを定着させる定着装置であって、前記各加熱ローラは、それぞれ筒状のローラ芯金を備え、前記第一前記加熱ローラの前記ローラ芯金の軸線方向に沿って設定された通紙領域における中央部は、その肉厚が該中央部の両側の肉厚より薄い薄肉部であり、前記第二加熱ローラのローラ芯金の軸線方向に沿って設定された通紙領域における両端部は、その肉厚が該両端部間の中央部の肉厚より薄い薄肉部であり、前記各加熱ローラの前記各ローラ芯金内には、それぞれ熱源が前記各薄肉部に対応して設けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、第一加熱ローラと第二加熱ローラとが個別に配置されており、該各加熱ローラの各ローラ芯金内には、それぞれ熱源が設けられている。これにより、従来のように加熱ローラの中央部及び両端部のそれぞれを加熱するための一組の熱源を単一のローラ芯金内に配置する場合に比べて各ローラ芯金の内径を小さくすることができるため、各ローラ芯金の低熱容量化を図ることができる。また、第一加熱ローラのローラ芯金の通紙領域の中央部と、第二加熱ローラのローラ芯金の通紙領域の両端部とがそれぞれ薄肉部であり、各加熱ローラの各ローラ芯金内には、それぞれ熱源が各薄肉部に対応して設けられていることから、各熱源からの各ローラ芯金の吸熱効率を高めることができる。
【0019】
従って、各ローラ芯金の温度が所定の温度まで上昇するのにかかる時間が従来よりも短縮されるため、各熱源で加熱された各ローラ芯金から定着ローラを介して定着ローラに熱が伝わるまでの時間が短縮される。これにより、定着ローラの立上り時間を確実に短縮することができる。また、各ローラ芯金の低熱容量化を測ることができ、且つ各熱源からの各ローラ芯金の吸熱効率を高めることができることから、消費電力を低減させることができる。
【0020】
また、第一加熱ローラのローラ芯金の通紙領域の中央部及び第二加熱ローラのローラ芯金の通紙領域の両端部に対応して熱源がそれぞれ設けられている。これにより、通紙領域の幅よりも狭い幅の紙を連続して通紙することにより温度が低下した定着ベルトの中央部の温度をトナー定着温度まで上昇させる必要が生じた場合、定着ベルトの両端部の温度を上昇させることなく第一加熱ローラによって定着ベルトの中央部の温度を上昇させることができる。従って、第一及び第二加熱ローラにより定着ベルトの必要な部位を適宜加熱することができるため、定着ベルトの幅方向の温度分布を均一に保つことができる。
【0021】
更に、第一加熱ローラのローラ芯金の薄肉部以外の部分すなわちローラ芯金の通紙領域内での両端部や、第二加熱ローラのローラ芯金の薄肉部以外の部分すなわちローラ芯金の通紙領域内での中央部をそれぞれ肉厚に形成することができる。これにより、各ローラ芯金の薄肉化による各加熱ローラの剛性の低下を確実に抑制することができる。
【0022】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第二加熱ローラは、前記定着ローラから前記定着ベルトの循環方向へみて前記第一加熱ローラより遠い位置に配置されることを特徴とする。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、通紙領域の中央部が薄肉部である第一加熱ローラのローラ芯金よりも剛性が強い第二加熱ローラが定着ローラから定着ベルトの循環方向へみて第一加熱ローラより遠い位置に配置されることから、定着ローラと第二加熱ローラとの間で定着ベルトの張りを確実に保持することができる。これにより、定着ベルトに空スベリやヨリ等の搬送不具合が生じることを確実に防止することができる。
【0024】
請求項3に記載の発明は、請求項1乃至2に記載の発明において、前記両加熱ローラの前記各ローラ芯金は、それぞれマンガン系アルミニウム合金から成ることを特徴とする。
【0025】
請求項3に記載の発明によれば、第一及び第二加熱ローラの各金属円筒体を、熱伝導率が他のアルミニウム合金より高く且つクリープ性が高いマンガン系アルミニウム合金で形成することができる。これにより、各金属円筒体の加工を容易に行うことができる。
【0026】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3に記載の発明において、前記第一加熱ローラと前記第二加熱ローラとの間には、前記定着ベルトに張力を付与すべく該定着ベルトに当接するテンションローラが配置されており、該テンションローラは、その軸線方向の熱伝導率が高い材料から成ることを特徴とする。
【0027】
請求項4に記載の発明によれば、第一及び第二加熱ローラの間にテンションローラを配置することにより、定着ベルトにはテンションローラから一定の圧力が作用するため、定着ベルトにその駆動によるヨレ、寄り又は浮きのような搬送ムラが生じることを確実に防止することができる。また、テンションローラがその軸線方向の熱伝導率が高い材料から成ることから、第一及び第二加熱ローラから伝熱された定着ベルトがテンションローラを通過したとき、定着ベルトの第一加熱ローラによって加熱された部分と第二加熱ローラによって加熱された部分との温度差が緩和される。これにより、定着ベルトの温度ムラが緩和されるため、例えばA4用紙を縦に連続して通紙した直後にA3用紙を縦に通紙したときのように通紙サイズが変更したときでも、記録媒体上へのトナーの定着性を均一にすることができる。
【0028】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4に記載の定着装置に用いられる加熱ローラであって、前記第一加熱ローラの前記ローラ芯金の前記薄肉部は、前記ローラ芯金の軸線を横切る中央縦断面に関して対称的に形成されており、前記薄肉部の前記ローラ芯金の軸線方向の幅は、前記通紙領域の前記ローラ芯金の軸線方向の幅の3/4以下の長さであることを特徴とする。
【0029】
請求項5に記載の発明によれば、記録媒体の通紙によって奪われる熱を補充するために定着ベルトを加熱する際に定着ベルトの幅方向の温度分布の偏りを生じさせることなく必要な部位を適宜加熱することができるため、定着ベルトの温度分布を確実に均一に保つことができる。
【0030】
請求項6に記載の発明は、熱源により加熱される筒状のローラ芯金であってその内周面の前記ローラ芯金の軸線方向に沿って設定された通紙領域内に、周方向へ伸長し、前記内周面から前記ローラ芯金の内方へ突出する周回凸部が形成されたローラ芯金を備える加熱ローラの製造方法であって、金属円筒体の内周面に周回凸部が形成されるように前記金属円筒体の外周面に該外周面を陥没させる周回凹部を形成した後、前記金属円筒体の外周面から前記周回凹部が削除されるように前記外周面を研削することを特徴とする。
【0031】
請求項6に記載の発明によれば、金属円筒体の内周面に周回凸部が形成されるように金属円筒体の外周面に該外周面を陥没させる周回凹部を形成した後、金属円筒体の外周面から凹部が削除されるように外周面を研削することにより、本発明に係る加熱ローラを容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、熱容量を小さくすることにより立上り時間を短縮した剛性の高いローラ芯金を容易に得ることができ、これにより、剛性を確保すると同時に薄肉化による立上り時間の短縮化を実現することができる加熱ローラ及び該加熱ローラを備える定着装置をそれぞれ提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明を図示の実施例に沿って説明する。
【0034】
<実施の形態1>
図1は、画像形成装置10に本発明に係る定着装置11が組み込まれた例を示す。画像
形成装置10は、図1に示す例では、駆動ローラ12a及び従動ローラ12bを巡る無端
の搬送ベルト12によって規定される搬送路に沿って、その搬送方向へ向けて4つの作像
ユニット10Y、10M、10C及び10Bkが順次配列された従来よく知られたタンデ
ム型フルカラー画像形成装置である。各作像ユニット10Y、10M、10C及び10Bk作像ユニットは、それぞれイエロー、マジェンタ、シアン及びブラックの色トナー画像を形成する作像ユニットである。給紙機構13から搬送ベルト12上を搬送される記録紙のような記録媒体14上に各トナー画像を形成するように、各作像ユニット10Y、10M、10C及び10Bkは、前記搬送路上に整列して配置されている。
【0035】
各作像ユニット10Y、10M、10C及び10Bkは、相互に同様な基本構成を有し、それぞれ感光ドラムのような像担持体(1Y、1M、1C及び1Bk)と、該各像担持体の回りにその回転方向に沿って順次配置された帯電ローラのような帯電手段(2Y、2M、2C及び2Bk)、ビーム走査系のような走査結像装置からなる潜像形成手段(3Y、3M、3C及び3Bk)、現像手段(4Y、4M、4C及び4Bk)、転写ローラのような転写手段(5Y、5M、5C及び5Bk)及びクリーニング手段(6Y、6M、6C及び6Bk)とを有する。
【0036】
各作像ユニット(10Y、10M、10C及び10Bk)では、従来よく知られているように、対応する像担持体(1Y、1M、1C及び1Bk)の表面が帯電手段(2Y、2M、2C及び2Bk)からの正または負のいずれか一方の電荷によって均一に帯電する。帯電した像担持体(1Y、1M、1C及び1Bk)上には、対応する各潜像形成手段(3
Y、3M、3C及び3Bk)の光走査によって静電潜像が形成される。各像担持体(1Y、1M、1C及び1Bk)上の静電潜像は、対応する各現像手段(4Y、4M、4C及び4Bk)から供給されるそれぞれの色トナーの付着によって顕像化される。顕像化された各色トナーによる画像は、該画像が形成された各像担持体(1Y、1M、1C及び1Bk)と、これに対応する転写手段(5Y、5M、5C及び5Bk)との間を搬送ベルト12と共に通過する記録媒体14上に、順次多重的に転写される。
【0037】
転写後、像担持体(1Y、1M、1C及び1Bk)上に残存する色トナーは、対応する
クリーニング手段(6Y、6M、6C及び6Bk)により除去される。これにより像担持
体(1Y、1M、1C及び1Bk)は、新たな画像形成サイクルの反復のために、再び帯
電手段(2Y、2M、2C及び2Bk)による帯電を受ける。
【0038】
他方、前記搬送路に沿って各作像ユニット(10Y、10M、10C及び10Bk)を
経ることにより、記録媒体14上に多重的に転写されたカラー画像は、定着装置11によって記録媒体14上に定着される。
【0039】
本発明に係る定着装置11は、図2に示す例では、加熱定着方式であり、定着ローラ15と、加圧ローラ16と、互いに並列的に配置される第一及び第二加熱ローラ17,18とを備え、定着ローラ15及び各加熱ローラ17,18を巡って定着ベルト19が張架されている。
【0040】
この熱ローラ方式に用いられる定着装置11は、従来よく知られているように、定着ローラ15及び加圧ローラ16によって該両ローラ間に規定されるニップ部20で定着ベルト19を介してトナーsを記録媒体14上に加熱、加圧し、この加熱、加圧によって記録媒体14上にトナーsが融着し、これによりトナー画像が記録媒体14に定着される。
【0041】
加圧ローラ16の内方には、従来におけると同様な熱源(ハロゲンヒータ)21がそれぞれ配置されている。また、加圧ローラ16には、該加圧ローラの外表面温度を検出する温度センサ16aが配置されており、該温度センサからの検出信号によって、外表面温度を適正に維持すべく従来におけると同様に、加圧ローラ16内の熱源21への電力供給が制御されている。
【0042】
加圧ローラ16は、未定着トナーsで形成されたカラー画像が転写された記録媒体14を定着ベルト19を介して定着ローラ15に押圧すべく、図示しない付勢手段で定着ローラ15に向けて押圧されている。
【0043】
トナーsが付着する記録媒体14の表面に当接する定着ベルト19は、図2で見て時計まわり方向へ循環している。定着ベルト19の表面19aには、図示しないがフッ素樹脂等からなる離型層が形成されている。必要に応じて、定着装置11に従来と同様な図示しない分離爪を設けることができる。この分離爪は、トナーsを定着した記録媒体14が定着装置11から排出されるとき、この記録媒体14が定着ベルト19に巻付くことを防止すべく、記録媒体14を定着ベルト19から強制的に剥離するために該定着ベルトの循環方向でみて定着ローラ15よりも下流側で定着ベルト19の表面19aに当接する。これにより記録媒体14の定着ベルト19への巻き付きにより生じるいわゆるジャムの発生を確実に防止することができる。
【0044】
第一加熱ローラ17は、図2に示すように、ニップ部20から定着ベルト19の循環方向へ見て第二加熱ローラ18よりも近い位置に配置されている。すなわち、第二加熱ローラ18は、ニップ部20から定着ベルト19の循環方向へみて第一加熱ローラ17よりも遠い位置に配置されている。第一及び第二加熱ローラ17,18は、図3に示すように、それぞれ筒状の第一及び第二ローラ芯金22,23と、該各ローラ芯金の各外表面に設けられた図示しない樹脂層とを備える。第一及び第二ローラ芯金22,23は、その両端の各支持部25aで、軸受25を介して図示しない支持枠体に回転可能に支持されており、これにより第一及び第二加熱ローラ17,18はそれぞれ該各加熱ローラを巡る定着ベルト19の循環に応じて回転する。
【0045】
第一及び第二ローラ芯金22,23には、それぞれの軸線に沿って通紙領域Lが設定されている。第一ローラ芯金22の通紙領域Lの中央部は、図3(a)に示すように、その肉厚が該中央部の両側の肉厚よりも薄い薄肉部24aである。また、第二ローラ芯金23の通紙領域Lの両端部は、図3(b)に示すように、その肉厚が該両端部間の中央部の肉厚よりも薄い薄肉部26aである。
【0046】
第一及び第二ローラ芯金22,23の各薄肉部24a,26aは、各ローラ芯金22,23の各通紙領域L内で、各軸線を横切る中央横断面に関して対称的にそれぞれ形成されており、これにより各薄肉部24a,26aは各ローラ芯金22,23の軸線方向へ各通紙領域L内で左右均等に振り分けられて形成されている。また、各薄肉部24a,26aの各ローラ芯金22,23の軸線方向の長さは、各通紙領域Lの各ローラ芯金22,23の軸線方向の幅の3/4以下となるように設定されている。
【0047】
具体的には、第一及び第二ローラ芯金22,23は、それぞれマンガン系アルミニウム合金からなり、各ローラ芯金22,23の各軸受25で支持される両端の各支持部25aを除く概略形状は、外径20mm、長さ350mm、厚肉部の肉厚tが10.6mm、各薄肉部24a,26aの肉厚t2が0.2mmである。本実施の形態では、マンガン系アルミニウム合金材料は、住友軽金属株式会社製の商品名“CM10”材を用いている。このマンガン系アルミニウム合金は、高温域での耐クリープ特性に富んだ材料であり、各ローラ芯金22,23の強度を向上することが可能である。第一及び第二加熱ローラ17,18のそれぞれの通紙領域Lが320mm程度(一般的な領域)である場合、各薄肉部24a,26aの各ローラ芯金22,23の軸線方向の幅は、図示の例では、200mm幅内に設定されている。
【0048】
また、第一及び第二ローラ芯金22,23内には、各薄肉部24a,26aに対応して熱源27,28がそれぞれ配置されている。各熱源27,28には、図示の例では、それぞれハロゲンヒータが用いられている。また、第一及び第二加熱ローラ17,18には、該各加熱ローラの各外表面温度を検出する前記したと同様の温度センサ29がそれぞれ配置されている。
【0049】
第一ローラ芯金22を形成する際、図4(a)に示すように、マンガン系アルミニウム合金から成る金属円筒体401を形成する。
【0050】
この金属円筒体401はその軸線方向に一様な内径及び外径を有し、その両端には図3に示した軸受25に支持される支持部25aが形成されている。金属円筒体401の肉厚tは、第一ローラ芯金22の肉厚t1と、該第一ローラ芯金の薄肉部24aを形成するために金属円筒体401の内周面に該内周面から金属円筒体401の内方へ突出する周回凸部30を形成するための押込み量Hとを考慮し、少なくとも、これら肉厚t1と押込み量Hとを加算した厚さ以上とされる。本実施の形態では、肉厚が1.2mmの金属円筒体401を用いた。
【0051】
次に、図4(b)に示すように金属円筒体401をNC旋盤(図示せず)に固定した状態
で、このNC旋盤の刃物台に固定された絞り工具402(ローラ工具)を回転させながら、絞り工具402を金属円筒体401の外周面に押接する。この際の絞り工具402による金属円筒体401ヘの押接位置は、通紙領域L内における両端部24bであり、これにより金属円筒体401の外周面が凹陥されることにより周回凹部31が形成されると同時に、図4(c)に示すように、金属円筒体401の内周面に一対の周回凸部30が突出して、これにより一対の周回凸部30が形成される。
【0052】
この絞り加工では、押接による押込み量Hを0.4mmとすることで、周回凹部31と周回凸部30との差が所定の0.3mmとなり、前記した所望の肉厚差(0.6mmと0.3mmとの差)を得ることができた。この時の絞り工具402の主軸回転数は1000rpmで、押接時の押込み速度をφ0.1mm/revとし、絞り工具402にはローラ状の工具をシャンクに設けた軸受によって回転機構を有するものを用いた。
【0053】
この絞り加工を行った後、図4(d)に示すように、切削バイト(ダイヤモンドバイト)404を金属円筒体401の軸線方向に沿って移動させることによって、この金属円筒体401の外周面を数回切削して凹陥すなわち周回凹部31を除去する。これにより、図7(e)に示すように、軸線方向へ一様な外径を有し、内周面の通紙領域Lにおける中央部に所定の相当肉厚t2を有する薄肉部24aが形成された第一ローラ芯金22が形成される。
【0054】
このように、金属円筒体401から第一ローラ芯金22を形成するにあたり、ローラ工具として汎用的な加工機であるNC旋盤を用いて加工することができるので、専用機を導入する必要が無く、また、繰り返し精度についても安定した製造が可能である。
【0055】
第二ローラ芯金23を形成するときは、金属円筒体401への絞り工具402の押接位置を通紙領域Lの中央部にすることにより、通紙領域Lの両端部26に所定の肉厚を有する薄肉部26aが形成された第二ローラ芯金23を形成することができる。本実施の形態によれば、前記したように、第一加熱ローラ17と第二加熱ローラ18とが個別に配置され、該各加熱ローラの各ローラ芯金22,23内にそれぞれ熱源27,28が設けられていることから、従来のように一組の熱源をローラ芯金内に一緒に挿入する場合に比べて各ローラ芯金22,23の内径を小さくすることができるため、該各ローラ芯金の低熱容量化を図ることができる。また、第一加熱ローラ17の第一ローラ芯金22の通紙領域Lの中央部と、第二加熱ローラ18の第二ローラ芯金23の通紙領域Lの両端部とがそれぞれ薄肉部24a,26aであり、各加熱ローラ17,18の各ローラ芯金22,23内には、それぞれ熱源27,28が各薄肉部24a,26aに対応して設けられていることから、各熱源27,28からの各ローラ芯金22,23の吸熱効率を高めることができる。
【0056】
従って、各ローラ芯金22,23の温度が所定の温度まで上昇するのにかかる時間が従来よりも短縮されるため、各熱源27,28で加熱された各ローラ芯金22,23から定着ローラ15を介して定着ローラ15に熱が伝わるまでの時間が短縮される。これにより、定着ローラ15の立上り時間を確実に短縮することができる。また、各ローラ芯金22,23の低熱容量化を測ることができ、また、各熱源27,28からの各ローラ芯金22,23の吸熱効率を高めることができることから、消費電力を低減させることができる。
【0057】
また、前記したように、第一加熱ローラ17のローラ芯金の通紙領域Lの中央部及び第二加熱ローラ18のローラ芯金の通紙領域Lの両端部に対応して熱源27,28がそれぞれ設けられていることから、通紙領域Lの幅よりも狭い幅の紙を連続して通紙することにより温度が低下した定着ベルト19の中央部の温度をトナー定着温度まで上昇させる必要が生じた場合、定着ベルト19の幅方向の両端部の温度を上昇させることなく第一加熱ローラ17によって定着ベルト19の幅方向の中央部の温度を上昇させることができる。従って、第一及び第二加熱ローラ17,18により定着ベルト19の必要な部位を適宜加熱することができるため、定着ベルト19の幅方向の温度分布を均一に保つことができる。
【0058】
更に、第一加熱ローラ17のローラ芯金22の薄肉部24a以外の部分すなわち第一ローラ芯金22の通紙領域L内での両端部や、第二加熱ローラ18のローラ芯金23の薄肉部26a以外の部分すなわち第二ローラ芯金23の通紙領域L内での中央部を肉厚に形成することができるため、各ローラ芯金22,23の薄肉化による各加熱ローラ17,18の剛性の低下を確実に抑制することができる。
【0059】
また、前記したように、通紙領域Lの中央部が薄肉部24aである第一加熱ローラ17のローラ芯金22よりも剛性が強い第二加熱ローラ18が定着ローラ15から定着ベルト19の循環方向へみて第一加熱ローラ17より遠い位置に配置されることから、定着ローラ15と第二加熱ローラ18との間で定着ベルト19の張りを確実に保持することができる。これにより、定着ベルト19に空スベリやヨリ等の搬送不具合が生じることを確実に防止することができる。
【0060】
また、前記したように、第一及び第二加熱ローラ17,18の各ローラ芯金22,23の各薄肉部24a,26aは、各ローラ芯金22,23の軸線を横切る中央縦断面に関して対称的に形成されていることから、記録媒体14の通紙によって奪われる熱を補充するために定着ベルト19を加熱する際に定着ベルト19の幅方向の温度分布の偏りを生じさせることなく必要な部位を適宜加熱することができるため、定着ベルト19の温度分布を確実に均一に保つことができる。
【0061】
更に、第一及び第二加熱ローラ17,18の製造方法によれば、前記したように、熱伝導率が他のアルミニウム合金より高く且つクリープ性が高いマンガン系アルミニウム合金から成る金属円筒体401の内周面に周回凸部30が形成されるように金属円筒体401の外周面に該外周面を陥没させる周回凹部31を形成した後、金属円筒体401の外周面から凹部31が削除されるように外周面を研削することにより、本発明に係る第一及び第二加熱ローラ17,18をそれぞれ容易に形成することができる。
【0062】
〈実施の形態2〉
次に、本発明の定着装置11の実施の形態2を以下に示す。この実施の形態2において、実施の形態1で示した定着装置11の第一及び第二加熱ローラ17,18を含めた構成は同一であるため、その図示(一部援用開示)および説明は省略する。
【0063】
本実施の形態では、定着ローラ15と第一及び第二加熱ローラ17,18とに張架された定着ベルト19にテンション力Fを付加するためのテンションローラ32が設けられている。
【0064】
テンションローラ32は、図5(a)に示すように、第一加熱ローラ17と第二加熱ローラ18との間に定着ベルト19の表面19aに当接するように配置されている。テンションローラ32は、図示の例では、アルミニウム合金のように軸線方向の熱伝導率が高い材料で形成されており、その径の大きさは、14mmに設定されている。また、テンションローラ32は、定着ベルト19に付加する張力Fが10Nになるように図示しない付勢部材により定着ベルト19によって付勢されている。
【0065】
本実施例に用いるテンションローラ32の材料であるアルミニウム合金の熱伝導率は、230W/mkであり、この値は鉄の熱伝導率50〜76W/mkの3〜4倍である。 従って、本実施の形態によれば、第一及び第二加熱ローラ17,18の間にテンションローラ32を配置することにより、定着ベルト19にはテンションローラ32から一定の圧力が作用するため、定着ベルト19にその駆動によるヨレ、寄り又は浮きのような搬送ムラが生じることを確実に防止することができる。また、テンションローラ32がその軸線方向の熱伝導率が高い材料から成ることから、第一及び第二加熱ローラ17,18から伝熱された定着ベルト19がテンションローラ32を通過したとき、定着ベルト19の第一加熱ローラ17によって加熱された部分と第二加熱ローラ18によって加熱された部分との温度差を緩和することができる。これにより、例えばA4用紙を縦に連続して通紙した直後にA3用紙を縦に通紙したときのように通紙サイズが変更したときでも定着ベルト19の温度ムラが緩和されるため、記録媒体14上へのトナーsの定着性を均一にすることができる。
【0066】
〈実施の形態3〉
次に、本発明の定着装置11の実施の形態2を図5(b)に沿って説明する。本実施の形態では、実施の形態2で示したテンションローラ32を定着ベルト19の裏面19bに当接するように配置したものであり、テンションローラ32が第一及び第二加熱ローラ17,18の間に配置されていることを含む構成は実施の形態2と同一であるため構成の説明は省略する。
【0067】
本実施の形態によれば、テンションローラ32が定着ベルト19の裏面19bに当接するように配置されていることから、テンションローラ32が定着ベルト19の表面19aに当接することによる該表面のキズ付きを防止することができる。これにより、定着ベルト19の耐久性を向上させることができる。また、記録媒体14へのトナーsの定着時にトナーsの一部が加圧ローラ16に付着して取り去られるいわゆるオフセットにより堆積したトナーsが溶け出すことによる画像不良を防止することができる。
【実施例】
【0068】
上記した実施の形態1乃至3に記載の本発明の実施例を用いて温度特性を評価した結果を表1に示す。本実施例では、線速が162mm/sであり、定着温度が150℃である中速機クラスの定着条件での立上り時間と、A4縦及びA5縦を100枚通紙したときの定着ベルト19の端部温度とを評価した。
【0069】
図6に示すように、定着ベルト19の温度を測定するための温度センサ29をニップ部20の第二加熱ローラ18側の近傍に設け、図7に示すように、温度センサ29を定着ベルト19の幅方向に沿って中央1〜3及び端部4〜5の計5箇所の部位に移動させて、定着ベルト19の各部位の温度を測定した。本実施例では、温度センサ29に接触式温度センサ(E型熱電対)を用いた。
【0070】
表1に示す端部温度は、A5サイズの紙を通紙したときは、中央2又は3の測定温度の最大値であり、A4サイズの紙を通紙したときは、端部4又は5の測定温度の最大値である。端部温度は、定着温度のホットオフセット領域の200℃以下が望ましい。また、表1に示す温度差は、定着温度(150℃)と端部温度との差であり、その値は小さいほど良い。
【0071】
本実施例では、第一ローラ芯金22の通紙領域Lの中央部すなわち薄肉部24aの肉厚が0.3mmであり、該薄肉部の両側の肉厚が0.6mmである第一加熱ローラ17と、第二ローラ芯金23の通紙領域Lの両端部すなわち薄肉部26aの肉厚が0.3mmであり、該薄肉部間の中央部の肉厚が0.6mmである第二加熱ローラ18(各ローラ芯金の外径は、いずれも20mm)とを用いた。また、第一及び第二加熱ローラ17,18との比較対照となる従来の加熱ローラには、ローラ芯金の外径が30mmであり、肉厚が0.6mmである加熱ローラを用いた。また、第一及び第二加熱ローラ17,18に設けられる熱源27,28には、総電力が900Wのハロゲンヒータを用いており、その他の部品には、同一の部品を用いている。
【0072】
表1は実施の形態1乃至3に記載の本発明の実施例を用いて温度特性を評価した結果である。
【0073】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係る画像形成装置を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る定着装置を示す模式図である。
【図3】(a)は、図2のA−A線に沿った第一加熱ローラの縦断面図を示し、(b)は、図2のB−B線に沿った第二加熱ローラの縦断面図を示す。
【図4】本発明に係る加熱ローラの製造方法を示す縦断面図であり、(a)〜(e)はローラ芯金の形成方法を時系列で示した説明図である。
【図5】(a)は、本発明の実施の形態2に係る定着装置を示す模式図であり、(b)は、本発明の実施の形態3に係る定着装置を示す模式図である。
【図6】本発明の実施例の評価方法を示す模式図である。
【図7】図6のD−D線に沿った縦断面図である。
【図8】従来技術に係る定着装置を示す概略図である。
【図9】従来技術に係る定着装置を示す概略図である。
【符号の説明】
【0075】
17 第一加熱ローラ
18 第二加熱ローラ
15 定着ローラ
19 定着ベルト
14 記録媒体
s トナー
11 定着装置
22,23 ローラ芯金(第一ローラ芯金、第二ローラ芯金)
L 通紙領域
24a 中央部(第一ローラ芯金の薄肉部)
24b 両側(第一ローラ芯金の通紙領域内での両側)
26a 両端部(第二ローラ芯金の薄肉部)
26b 中央部(第二ローラ芯金の通紙領域内での中央部)
27,28 熱源(加熱ローラの熱源)
32 テンションローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに並列的に配置される第一及び第二の加熱ローラと、定着ローラとを巡る無端状の定着ベルトに沿って搬送される記録媒体上の未定着トナーを前記定着ローラ及び加圧ローラにより該両ローラ間で前記定着ベルトを介して前記記録媒体上に圧接することにより該記録媒体上に前記トナーを定着させる定着装置であって、前記各加熱ローラは、それぞれ筒状のローラ芯金を備え、前記第一加熱ローラの前記ローラ芯金の軸線方向に沿って設定された通紙領域における中央部は、その肉厚が該中央部の両側の肉厚より薄い薄肉部であり、前記第二加熱ローラのローラ芯金の軸線方向に沿って設定された通紙領域における両端部は、その肉厚が該両端部間の中央部の肉厚より薄い薄肉部であり、前記各加熱ローラの前記各ローラ芯金内には、それぞれ熱源が前記各薄肉部に対応して設けられていることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記第二加熱ローラは、前記定着ローラから前記定着ベルトの循環方向へみて前記第一加熱ローラより遠い位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記第一加熱ローラ及び前記第二加熱ローラの前記各ローラ芯金は、それぞれマンガン系アルミニウム合金から成ることを特徴とする請求項1乃至2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記第一加熱ローラと前記第二加熱ローラとの間には、前記定着ベルトに張力を付与すべく該定着ベルトに当接するテンションローラが配置されており、該テンションローラは、その軸線方向の熱伝導率が高い材料から成ることを特徴とする請求項1乃至3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記第一加熱ローラの前記ローラ芯金の前記薄肉部は、前記ローラ芯金の軸線を横切る中央縦断面に関して対称的に形成されており、前記薄肉部の前記ローラ芯金の軸線方向の幅は、前記通紙領域の前記ローラ芯金の軸線方向の幅の3/4以下の長さであることを特徴とする請求項1乃至4に記載の定着装置に用いられる加熱ローラ。
【請求項6】
熱源により加熱される筒状のローラ芯金であってその内周面の前記ローラ芯金の軸線方向に沿って設定された通紙領域内に、周方向へ伸長し、前記内周面から前記ローラ芯金の内方へ突出する周回凸部が形成されたローラ芯金を備える加熱ローラの製造方法であって、金属円筒体の内周面に周回凸部が形成されるように前記金属円筒体の外周面に該外周面を陥没させる周回凹部を形成した後、前記金属円筒体の外周面から前記周回凹部が削除されるように前記外周面を研削することを特徴とする加熱ローラの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−11061(P2006−11061A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−188364(P2004−188364)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】