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定着装置、画像形成装置、及び定着ローラの製造方法
説明

定着装置、画像形成装置、及び定着ローラの製造方法

【課題】電子写真方式の定着装置では、定着ローラを定着に必要な所定の温度まで加熱して使用するが、この温度に達するまでの立上げ時間を短縮するためには、円筒状芯金の肉厚を薄くする必要があるが、肉厚を薄くすると、強度が維持できないという問題があった。
【解決手段】ハロゲンランプ19によって加熱される定着ローラ11と、定着ローラ11に圧接する加圧ローラ12とを備えた定着装置10において、定着ローラ10は、内周面に鎖線状のリブ51を備えた円筒状の芯金11aを備え、加圧ローラ11と接触部において、軸方向の接触領域内に2個以上のリブが存在するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真プリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置に関し、特に画像形成装置に装着され、記録媒体上に形成されたトナー画像を定着する定着装置、及び定着装置に装着される定着ローラの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の定着装置としては、加熱された定着ローラと加圧ローラを圧接させ、用紙を両ローラで挟持搬送しなから記録用紙上に形成されたトナー画像を加熱溶融して定着を行う熱ロール方式のものが広く用いられている。熱ロール方式の定着装置では、定着ローラ内部に定着ヒータとしてのハロゲンランブ等を備え、このハロゲンランプで定着ローラを加熱するものが主流であった。また、上記構成の装置において、室温から定着に必要な所定の温度まで加熱する際の立上げ時間の短縮のために、定着ローラの芯金肉厚を薄くして熱容量を減らす方法も行なわれている。
(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2004−361839号公報(段落0021、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の装置において定着ローラの芯金肉厚を薄くすると、ローラの機械強度が弱くなり、加圧ローラと接触するニップ部分においてローラが弓なりに撓んで中央部の接触圧が弱くなり、ニップが減少して定着性が低下する問題や、ローラのつぶれによりローラが振れ、結果として定着性が低下し、用紙スキューやしわが発生し易くなるといった問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による定着装置は、熱源によって加熱される定着ローラと、該定着ローラに圧接する加圧ローラとを備えた定着装置において、
前記定着ローラは、内周面に鎖線状のリブを備えた円筒状の芯金を備え、前記加圧ローラと接触部において、軸方向の接触領域内に2個以上のリブが存在するように構成されていることを特徴とする。
【0006】
本発明による定着ローラの製造方法は、内周面に螺旋状のリブが形成された円筒状芯金を備えた定着ローラの製造方法であって、
加熱したアルミニウム合金の鋳塊ピレットをコンテナに入れ、前記円筒状芯金の略断面形状の口金の穴から押し出して押出し素管を形成する押出し工程と、前記押出し素管を、室温にて外径工具と内径工具の間を引張ながら通すことによって所望の断面形状の素管を得る引抜き工程とを有し、
前記引抜き工程において、前記素管を回転しながら引抜くことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、円筒状芯金の強度を保ったまま、その肉厚を薄くできるので、定着ローラの立上げ時間の短縮に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明による定着装置を備えた実施の形態1のプリンタの要部構成を示す構成図である。
【図2】実施の形態1において、定着装置の内部構成を示す要部断面図である。
【図3】実施の形態1において、定着装置を記録用紙の搬送方向の上流側(図2の矢印A方向)からみた要部正面図である。
【図4】実施の形態1において、円筒状芯金の外観斜視図であり、内部の状態を確認できるように、円周部を一部切り欠いた状態で示している。
【図5】(a)は、図4におけるG−G断面図であり、(b)はその部分拡大図である。
【図6】本発明による実施の形態2の円筒状芯金の内部形状を示す、軸方向の面での断面図である。
【図7】実施の形態2において、回転角速度(ω)とリード角βの関係を示すグラフである。
【図8】実施の形態2において、長さ4000mmの押出し素管の位置(横軸に)と、各位置での引抜き治具(キャレッジ)の回転角速度(縦軸)の関係を示すグラフである。
【図9】実施の形態2において、長さ4000mmの押出し素管の位置(横軸に)と、各位置でのリード角β(縦軸)の関係を示すグラフである。
【図10】本発明による実施の形態3の円筒状芯金の内部形状を示す、軸方向の面での断面図である。
【図11】実施の形態3において、円筒状芯金を備えた定着ローラ、回転軸受け、及び定着ギヤの係合関係を説明するため、これらを斜め下方から見た斜視図である。
【図12】実施の形態3において、定着ローラに定着ギヤが装着され、加圧ローラ、及び駆動ギヤと共にプリンタに配設された際の、互いの位置関係を示す動作説明図である。
【図13】(a)は、定着ギヤと円筒状芯金を備えた定着ローラとを図12の矢印F方向からみた正面図であり、同図(b)は、同図(a)における、定着ギヤの凸部と円筒状芯金のU字溝との係合部の部分拡大図である。
【図14】実施の形態3において、長さ4000mmの押出し素管の位置(横軸に)と、各位置での引抜き治具(キャレッジ)の回転角速度(縦軸)の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、本発明による定着装置を備えた実施の形態1のプリンタの要部構成を示す構成図である。
【0010】
図1に示すように、画像形成装置としてのプリンタ1には、積層した記録媒体としての記録用紙2を収納する給紙カセット3がプリンタ1の底部に着脱自在に装着されている。給紙カセット3の用紙取り出し側の上部には、積層した記録用紙2が当接する位置にピックアップローラ4が配置されている。そのピックアップローラ4の近傍には、ピックアップローラ4によって給紙カセット3から繰り出された記録用紙2を、1枚ずつ上方(用紙搬送方向の下流側)へと繰り出すための給紙ローラ5及びリタードローラ6が、対向して配設されている。尚、図1には、搬送される記録用紙2の搬送経路及び搬送方向が一点鎖線と矢印で示されている。
【0011】
給紙ローラ5及びリタードローラ6によって一枚ずつ繰り出された記録用紙2は、搬送経路に沿って配置された搬送ローラ対7及び8によって画像形成部9に送られる。
【0012】
画像形成部9は、トナーカートリッジ9a、記録ヘッド9b、感光ドラム9c、転写ローラ9d等により構成されており、搬送される記録用紙2に対して記録データに応じたトナー画像を転写する。そして、画像形成部9の搬送方向下流側には定着装置10が配設されている。定着装置10は、記録用紙2に転写されたトナー画像を加熱溶融により記録用紙2に定着させるもので、定着ローラ11、これに圧接する加圧ローラ12、及び定着ローラ内部に配設された熱源としてのハロゲンランプ19により構成される。
【0013】
定着装置10の搬送方向下流側には、搬送経路に沿って、順に搬送ローラ対13及び14が設けられ、トナー画像が定着されて定着装置10から排出された記録用紙2を、プリンタ1の上部に配設された排紙トレイ15に排出する。この排紙トレイ15には、印刷された記録用紙2が順次積載される。そして、搬送される記録用紙2の搬送位置を検出するため、搬送ローラ対8の直前にセンサ16が、搬送ローラ対8と転写ローラ9dの間にセンサ17が、そして定着部10と搬送ローラ対13の間にセンサ18がそれぞれ配されている
【0014】
尚、ピックアップローラ4、給紙ローラ5、リタードローラ6、搬送ローラ対7,8,13,14、及び感光ドラム9cは、図示しない駆動手段によって回転駆動されるものである。
【0015】
図2は、定着装置10の内部構成を示す要部断面図であり、図3は、定着装置10を記録用紙の搬送方向の上流側(図2の矢印A方向)からみた要部正面図である。
【0016】
図2、図3において、定着ローラ11は、厚さ0.4mmのアルミニウムから形成され、後述するように内周面にリブ51(図4参照)を形成した円筒状芯金11aと、円筒状芯金11aを被覆する、PFA(パーフルオロアルコキシ)若しくはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂から成る厚さ20μmの離型層l1bとにより構成されており、円筒状芯金11aは、その両端部において、サイドプレート22に固定された一対の回転軸受け21,21によって回転自在に保持されている。また定着ローラ11は、その円筒状芯金11aの片側に定着ギヤ23が設置され、図示せぬ駆動系から駆動ギヤ24(図12参照)を介して動力が付与されることで、回転運動が可能となる。
【0017】
加圧ローラ12は、鉄から形成された外径12mmの円柱状芯金12aと、円柱状芯金12aを被覆する、耐熱性の高い硬度JIS−A約16°、厚さ約8.0mmのシリコーンゴムから成る弾性層12bと、更に弾性層を被覆する、PFA(パーフルオロアルコキシ)若しくはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂から成る厚さ30μmの離形層12cとにより構成されている。
【0018】
円柱状芯金12aは、その両端部に径小の軸部を有し、この軸部が、一対の回転軸受け25,25によって回転自在に保持されている。一対の回転軸受け25,25は、サイドプレート22によって、定着ローラ11に対して離接する方向、即ち矢印B,C方向にスライド移動可能に保持され、更にスプリング等の付勢部材20,20によって、定着ローラ11に接近する方向に付勢されている。即ち、加圧ローラ12は、定着ローラ11に所定の圧力で圧接するように構成されている。また、定着ローラ11の円筒状芯金11aの内部中心には、その回転軸方向に延在して、定着ローラ11の加熱源となるハロゲンランプ19が配設されている。
【0019】
定着ローラ11の円筒状芯金11aについて更に説明する。図4は、円筒状芯金11aの外観斜視図であり、内部の状態を確認できるように、円周部を一部切り欠いた状態で示し、図5(a)は、円筒状芯金11aの軸に垂直な断面図、即ち図4におけるG−G断面図であり、図5(b)はその部分拡大図である。
【0020】
図4、図5に示すように、円筒状芯金11aの内周面には、面に沿って軸方向に螺旋状に延設された6系統のリブ51〜51(特に区別する必要がない場合には単にリブ51と称す場合がある)が、内周を6等分するように等間隔で形成されている。図5(b)に示すように各リブ51は、下辺2mm、上辺1mm、高さ0.3mmの台形形状の断面を有し、螺旋のリード角βは、ここでは60°となっている。また円筒状芯金11aの一方の端部には、後述するように、設置される定着ギア23(図2参照)と係合するU字溝11cが形成されている。
【0021】
尚、ここでのリード角βは、リブ51と、円筒状芯金11aの軸方向に直角な平面とがなす角度とする。
【0022】
次に定着ローラ11の製造方法について説明する。
ここでは、円筒状芯金11aの成形工程→回転軸受け及び定着ギヤに対応するための両端部の加工工程→加熱源からの吸熱効果を上げるための黒色粉体塗料等の内面塗装工程→サンドブラスト等の外周面の粗面化工程→フッ素樹脂等の粉体塗料の塗装等の離形層11bの成形工程→ローラ面の研磨工程、の各工程を順に行うことにより定着ローラ11を製造する。
【0023】
このうち、円筒状芯金11aの成形工程では、まず、400〜500℃に加熱した円柱状のA5052などのアルミニウム合金の鋳塊ピレットをコンテナに入れ、円筒状芯金11aの略断面形状(リブ51の形状も含む)の口金(ダイス)の穴から押し出す熱間加工法の押出し工程、続く、押出し素管を室温にて精密な外径工具(ダイス)と内径工具(リブ51の形状も備えたプラグ)の間を引張りながら通すことによって精密な断面形状の素管を得る引抜き工程にてローラ素管を形成する。次に、ロール矯正機にて管の曲がりを矯正し、任意の長さに切断することで、筒状の芯金が成形される。
【0024】
本実施の形態では、この引抜き工程において、素管を一定の速度で回転しながら引抜くことで、リブの断面形状に加工した口金の形状が素管内周面に沿って螺施状に成形される。例えば、芯金内径28mm、抜き速度150mm/秒、回転角速度354°/秒、とした場合、リブのリード角βは60°に成形される。
【0025】
以上のように、内周面にリブ51を形成した円筒状芯金11aを備えた定着装置10を採用して行なった印刷実験の結果について、リブを形成しない場合と比較しながら以下に説明する。
【0026】
例えば図2、図3に示す定着装置10に、リブ51が形成されていない芯金肉厚0.4mmの円筒状芯金を備えた定着ローラを実装すると、加圧ローラ12に圧接されたときに撓みd(図3に一点鎖線で示す定着ローラ中央部での下面変位)を生じてしまう。これによって定着性の低下、用紙スキューやシワの発生、記録画像にジッターの発生などの問題が生じる。このような単純円筒形の円筒状芯金を備えた定着ローラで撓みを無視できる範囲とするためには、芯金肉厚が約0.8mmを要する。尚、この時の加圧ローラ12による圧接力は、上記した本実施の形態の定着ローラ11では変形が発生せず、正常な定着が実施可能な程度に設定している。
【0027】
ここで、肉厚0.8mmの単純円筒形の円筒状芯金を備えた定着ローラを図2、図3示すような構成のヒータ内蔵方式の定着装置で実験したところ、ローラ表面温度が室温から定着に必要な170℃に達するまでの立上げ時間は約15秒となった。尚、ローラ材質はアルミニウム、ローラ外径は28mmである。また、このときのハロゲンランプ19への入力電力は850Wである。一方、上記した本実施の形態による定着ローラ11を採用する図2、図3に示す構成の定着装置10では、同じ条件で測定した立上げ時間は、約10秒であった。
【0028】
肉厚0.8mmの単純円筒形の円筒状芯金を備えた定着ローラ又は上記した本実施の形態による定着ローラ11を備えた定着装置10を採用したプリンタ1によって、印刷性能を評価したところ、定着性の低下、用紙スキューやシワの発生、記録画像にジッター発生などの問題の発生はなく、このことから、これらの定着ローラでは、撓みおよびつぶれ変形が無視できる範囲内に収まっていることがわかる。
【0029】
円筒状芯金11aの肉厚を、例えば本実施の形態での0.4mmの如く薄く設定したまま、定着ローラの変形を防止して正常な定着を可能にする強度を得るために、円筒状芯金11aは、加圧ローラ12との接触部において、軸方方向の接触領域内に常に2箇所以上のリブ51が存在している状態が好ましい。このように、接触部に常に2箇所以上のリブ51を存在させることによって、撓みが発生し易い定着ローラ中央部の近傍(少なくとも中央部から全長の1/4の距離以内)に常にリブが存在することになるため、強度が保ち易くなる。
【0030】
このように、加圧ローラ12との接触部において、軸方方向の接触領域内に常に2箇所以上のリブ51を存在させるためには、
芯金内径をd[mm]、リブ本数をn、
ローラ接触部幅をw[mm]、
リブの最大リード角をβmax[rad]としたとき、
tan(βmax)=(w/2)/(πd/n)…(1)
となり、
(βmax)=tan−1((w/2)/(πd/n))…(2)
となる。例えばここで、d=28mm、n=6、w=210mmとしたとき、リブのリード角の最大値βmaxは1.43rad=82°となる。
【0031】
尚、印刷速度やトナーの温度特性に応じて、必要とされる、定着ローラに対する加圧ローラの押し付け力は異なるため、最終的にリード角、リブの本数、リブの形状等を決定する際には、実験による定着性確認、通紙による用紙しわの未発生確認以外に、使用されるローラ素材の機械的特性を基にした実使用条件でのローラのたわみ量、ローラ各部の応力等の強度計算を、有限要素法等を利用した機械強度解析で確認し、安全率を加味して決定されることが好ましい。
【0032】
以上のように、本実施の形態の定着装置によれば、定着ローラ11の円筒状芯金11aに、内周面に螺旋状のリブを設けたことで、必要なローラ強度を維持したまま定着ローラの薄肉化が可能となり、これにより必要な温度に達するまでの定着ローラの立上げ時間の短縮も可能となった。また、筒状のローラ芯金成形時にリブ成形も同時に実施されるため、工程が増加するという問題も発生しない。
【0033】
実施の形態2.
図6は、本発明による実施の形態2の円筒状芯金111aの内部形状を示す、軸方向の面での断面図である。尚、説明を容易にするため、本来6系統形成されたリブ151のうち、1系統のリブ151のみを示している。
【0034】
この円筒状芯金111aを採用する画像形成装置が、前記した例えば図4に示す実施の形態1の円筒状芯金11aと主に異なる点は、内周面に形成されたリブ151のリード角βの角度、及び円筒状芯金の厚みのみである。従って、この円筒状芯金111aを採用する画像形成装置が、前記した実施の形態1のプリンタ1(図1)と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いて説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。尚、本実施の形態の画像形成装置の要部構成は、円筒状芯金111a以外において図1に示す実施の形態1のプリンタ1の要部構成と共通するため、必要に応じて図1、図2を参照する。
【0035】
円筒状芯金111aの軸方向と垂直な断面形状は、前記した実施の形態1の図5に示す円筒状芯金11aの断面形状に対して、リブ151部分以外の厚みが、0.3mm(実施の形態1の円筒状芯金11aでは0.4mm)に形成されている以外は同一である。
【0036】
図6に示すように、リブ151のリード角βは、円筒状芯金111aの軸方向端部のリード角β1よりも中央部のリード角β2のほうが小さく設定され、中央部のリブの密度が端部のリブの密度よりも高い構成となっている。
【0037】
円筒状芯金111aの形成工程は、引抜き工程において、素管の回転速度を変化させながら引抜く点を除いて、前記した実施の形態1で説明した、円筒状芯金11aの形成工程と同じである。尚、ここでは、引抜き工程に投入される押出し素管の長さは約4,000mmであり、最終的に300mm毎に切断して円筒状芯金111aを形成する。
【0038】
ここで、引抜き工程での引抜き速度(V)を例えば150mm/秒(一定)とし、引抜き治具(キャレッジ)の回転角速度(ω)を変化させたときの、回転角速度(ω)とリード角βの関係を図7に示す。このように、引抜き時の回転角速度(ω)を変えることによってリード角βを変更することができる。
【0039】
一方、図2、図3に示す構成の定着装置10では、一般に、加圧ローラ12とのニップ時の負荷による定着ローラ11の撓み、つぶれが、ローラ端部よりもローラ中央部の方で発生し易く、中央部の強度をより高くすることが望ましいことが知られている。そこで、本実施の形態では、図8に示すように、長さ4000mmの押出し素管を引抜き工程に投入する際に、1本目〜13本目の各円筒状芯金に相当する各領域において、両端部より中央部での回転角速度(ω)が速くなるように周期的に連続的に変化させた。即ち、図8のグラフにおいて、横軸は長さ4000mmの押出し素管の位置を示し、縦軸には、各位置での引抜き治具(キャレッジ)の回転角速度(ω)を示している。
【0040】
その結果、1本目〜13本目の各円筒状芯金に相当する各領域において、内周面に形成されるリブ151のリード角βの変化は、図9に示すように、各円筒状芯金の両端部より中央部でのリード角βが小さく形成される。即ち、図9のグラフでは、横軸は長さ4000mmの押出し素管の位置を示し、縦軸には、各位置でのリード角βを示している。
【0041】
従って、引抜き工程を経た後、長さ4000mmの押出し素管を円筒状芯金111aの所定の長さ(ここでは300mm)に切断することで、端部よりも中央部のリブの密度が高い円筒状芯金111aが13本成形される。尚、図8、図9では、横軸の、切断箇所に相当する位置を点線で示している。
【0042】
例えば、芯金内径28mm、引抜き速度150mm/秒の場合、円筒状芯金111aの各端部での回転角速度(ω)を354°/秒とするとその位置でのリブ151のリード角は60°となり、円筒状芯金111aの各中央部に対する回転角速度(ω)を614°/秒とするとその位置でのリブ151のリード角は45°となる。
【0043】
尚、ここではリード角βの変化を一定の割合での増加減少する例で説明したが、端部よりも中央部のリブの密度を高くする構成であれば、段階的な変化、或いは連続的な変化の何れでも構わない。図6の円筒状芯金111aは、リード角βを段階(2段階)的に変化させた例を示すものである。
またここではリード角成型の調整を、引抜き時の引抜き治具(キャレッジ)の回転角速度の変化で実現したが、角速度一定のもとで、引抜き速度を増減することでも実現可能である。
【0044】
以上のように、両端部のリブ151のリード角が60°で、中央部のリード角が45°となるように、一定の割合でリード角βが変化するように6系統のリブ151を形成した円筒状芯金111aを備えた定着装置10を採用して行なった印刷実験の結果について、以下に説明する。尚、円筒状芯金111aのローラ材質はアルミニウム、ローラ外径は28mmである。
【0045】
本実施の形態による円筒状芯金111aを備えた定着ローラ11を、図2、図3に示す構成のヒータ内蔵方式の定着装置10に実装したところ、ローラ表面温度が170℃に達するまでの立上げ時間は、約8秒となった。尚、この時のハロゲンランプ19の入力電力は850Wとしている。
【0046】
また、円筒状芯金111aによる定着ローラ11を備えた定着装置10を採用したプリンタ1によって、印刷性能を評価したところ、定着性低下、用紙スキューやシワの発生、記録画像にジッター発生などの問題の発生はなく、このことから、中央部のリブの密度を高くしたことによって、定着ローラの撓みおよびつぶれ変形が無視できる範囲内に収まっていることがわかる。尚、この時の加圧ローラ12による圧接力は、上記した実施の形態1の定着ローラ11では変形が発生せず、正常な定着が実施可能な程度に設定している。
【0047】
以上のように本実施の形態の定着装置によれば、定着ローラ11の円筒状芯金111aに、内周面に螺旋状のリブを設けるのに際し、中央部の密度が端部の密度よりも高くなるようにリブを形成して、効率的にリブによる補強を行った結果、例えば実施の形態1の場合と端部におけるリード角が同じであったとしても実施の形態1の場合よりもローラ強度が高まるため、実施の形態1の場合よりも更なる薄肉化が可能となり、これにより必要な温度に達するまでの定着ローラの立上げ時間を更に短縮することが可能となる。
【0048】
実施の形態3.
図10は、本発明による実施の形態3の円筒状芯金211aの内部形状を示す、軸方向の面での断面図である。尚、説明を容易にするため、本来6系統形成されたリブ251のうち、1系統のリブ251のみを示している。
【0049】
この円筒状芯金211aを採用する画像形成装置が、前記した例えば図4に示す実施の形態1の円筒状芯金11aと主に異なる点は、内周面に形成されたリブ251の両端部における形状である。従って、この円筒状芯金211aを採用する画像形成装置が、前記した実施の形態1のプリンタ1(図1)と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いて説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。尚、本実施の形態の画像形成装置の要部構成は、円筒状芯金211a以外において図1に示す実施の形態1のプリンタ1の要部構成と共通するため、必要に応じて図1、図2を参照する。
【0050】
円筒状芯金211aでは、内周面に形成されたリブ251が端部において、軸方向に対して平行に形成され、6系統形成されるリブ251〜251のうち、1系系統のリブ、例えば図10に示すように、リブ251の、軸方向に対して平行に形成された端部251aがU字溝211cの一方の側壁部211dに沿うように形成されている。尚、このU字溝211cの一対の側壁部は、軸方向に平行に形成されており、U字溝211c自体の形状は、前記した実施の形態1のU字溝11cと同じである。
【0051】
図11は、円筒状芯金211aを備えた定着ローラ11、回転軸受け21、及び定着ギヤ23の係合関係を説明するため、これらを斜め下方から見た斜視図である。
【0052】
定着ローラ11は、図3において説明したように、サイドプレート22に固定された一対の回転軸受け21,21によって回転自在に保持され、片側に定着ギヤ23が設置されるが、この定着ギヤ23は、定着ローラ11が嵌入できるようにリング状に形成され、内周部には、定着ローラ11に形成されたU字溝211cに嵌入してこれと係合する凸部23aが形成されている。
【0053】
図12は、定着ローラ11に定着ギヤ23が装着され、加圧ローラ12、及び駆動ギヤ24と共にプリンタ1に配設された際の、互いの位置関係を示す動作説明図である。このとき、定着ローラ11は、一対の回転軸受け21によって定着装置10本体に回転自在に保持されると共に、その両端部が図示しない規制部材によって、軸方向移動が規制され、加圧ローラ12は、図2、図3の説明で記したように、定着ローラ11に所定の圧力で圧接するように構成されている。
【0054】
定着ギヤ23と噛合するように定着装置内に回転自在に配置された駆動ギヤ24は、図示しない駆動部としての定着用モータの回転が伝達されると矢印D方向に回転し、定着ローラ11を矢印E方向に回転駆動する。尚、同図中の矢印Aは、トナー画像が転写された記録用紙2(図2参照)の搬入方向を示している。
【0055】
図13(a)は、定着ギヤ23と円筒状芯金211aを備えた定着ローラ11とを図12の矢印F方向からみた正面図であり、同図(b)は、同図(a)における、定着ギヤ23の凸部23aと円筒状芯金211aのU字溝211cとの係合部の部分拡大図である。
【0056】
図13に示すように、定着ギヤ23が矢印E方向に回転するとき、定着ギヤ23の凸部23aは、円筒状芯金211aのU字溝211cの一方の側壁部211dを押圧する。この側壁部211dには、前記したように、リブ251の、軸方向に対して平行に形成された端部251aが沿うように形成されている。このように、軸方向に対して平行に形成された端部251aは、円筒状芯金211aのU字溝211cの、定着ギヤ23の凸部23aによる回転付加が加わる側の側壁部211dに沿って形成されるものである。
【0057】
ここで、リブ251の形成方法について説明する。本実施の形態では、図14に示すように、長さ4000mmの押出し素管を引抜き工程に投入する際に、1本目〜13本目の各円筒状芯金に相当する各領域において、両端部での回転角速度(ω)を0(ゼロ)とした。即ち、図14のグラフにおいて、横軸は長さ4000mmの押出し素管の位置を示し、縦軸には、各位置での引抜き治具(キャレッジ)の回転角速度(ω)を示している。
【0058】
その結果、1本目〜13本目の各円筒状芯金に相当する各領域において、内周面に形成されるリブ251のリード角βは、両端部で90°となり、軸方向と平行になる。即ち、引抜き工程を経た後、長さ4000mmの押出し素管を円筒状芯金211aの所定の長さ(ここでは300mm)に切断することで、リブ251の端部251aが軸方向に形成された円筒状芯金211aが成形される。ここでは、芯金内径28mm、抜き速度150mm/秒、端部以外の中央部での回転角速度354°/秒とし、リブの端部以外でのリード角βを60°に成形している。尚、図14では、横軸の、切断箇所に相当する位置を点線で示している。
【0059】
更に本実施の形態では、後工程の両端部の加工工程において、前記したU字溝211cを、定着ギヤ23の凸部23aによる回転付加が加わる側の側壁部211dが例えばリブ251の端部251aに沿うように形成する。
【0060】
以上の構成において、前記したように、図示しない定着モータを起動して定着ギヤ23を矢印E方向に回転駆動すると、定着ギヤ23の凸部23aが、円筒状芯金211aのU字溝211cの一方の側壁部211dを押圧するが、この側壁部211dにはリブ251の端部251aが沿うように形成されているため、接触面積を拡大することができる。
【0061】
ちなみに、側壁部211dにリブ251の端部251aが沿うように形成されていない場合、定着ローラ11の円筒状芯金211aは薄く形成されているため、U字溝211cと定着ギヤ23の凸部23aとの接触面積が小さくなり、定着ギヤ23から円筒状芯金211aに加わる負荷を分散させることができず、U字溝211cと凸部23aとの係合部が変形したり、破損したりして、定着ローラ11及び定着装置10の耐久性が低くなってしまう。また、同時に、定着ギヤ23の凸部23aへ剪断の力が集中して、凸部23aが破断しやすくなる。
【0062】
本実施の形態による円筒状芯金211aを備えた定着ローラ11を、図2、図3に示す構成のヒータ内蔵方式の定着装置10に実装したところ、ローラ表面温度が170℃に達するまでの立上げ時間は、約10秒となった。尚、この時のハロゲンランプ19の入力電力は850Wとした。
【0063】
また、円筒状芯金211aによる定着ローラ11を備えた定着装置10を採用したプリンタ1によって、印刷性能を評価したところ、定着性低下、用紙スキューやシワの発生、記録画像にジッター発生などの問題の発生はなく、このことから、中央部のリブの密度を高くしたことによって、定着ローラの撓みおよびつぶれ変形が無視できる範囲内に収まっていることがわかる。尚、この時の加圧ローラ12による圧接力は、上記した実施の形態1の定着ローラ11では変形が発生せず、正常な定着が実施可能な程度に設定している。
【0064】
以上のように、本実施の形態の定着装置によれば、前記した実施の形態1の定着装置と同様の効果を得ることができる。更に、円筒状芯金211aのU字溝211cと定着ギヤ23の凸部23aの接触面積が拡大するため、定着ローラ円筒状芯金211a及び定着ギヤ23の凸部23aの相互への負荷が分散され、装置の耐久性を向上させることができる。
【0065】
尚、本実施の形態では、定着ギヤ23の凸部23aと、定着ローラ11の円筒状芯金211aのリブ251の端部251aの接触面を、円筒状芯金211aの軸方向に形成した例を示したが、リード角βが90°つまり芯金軸と平行でなくとも、そのリード角に沿ってU字構の形成をし、定着ギヤの凸部もその角度に合わせて形成した場合、或いはリブの一部を横断するようにU字溝を形成した場合においても、同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
前記した各実施の形態では、本発明をヒータ内蔵式の定着ローラに適用した例を説明したが、本発明はヒータ内蔵方式の定着ローラに限定されるものではない。ヒータ内蔵方式以外にも、ヒータをローラ外部に配置する方式、ローラ周面に抵抗発熱層を設けた直接加熱方式、或いは誘導加熱方式の定着ローラに本発明を適用することが可能である。いずれの加熱方式においても、本発明により螺旋状のリブを設けることによってローラ強度を大幅に向上させることができるので、定着ローラの薄肉化が可能となり、定着ローラの立上げ時間を短縮できる。
【符号の説明】
【0067】
1 プリンタ、 2 記録用紙、 3 給紙カセット、 4 ピックアップローラ、 5 給紙ローラ、 6 リタードローラ、 7 搬送ローラ対、 8 搬送ローラ対、 9 画像形成部、 9a トナーカートリッジ、 9b 記録ヘッド、 9c 感光ドラム、 9d 転写ローラ、 10 定着装置、 11 定着ローラ、 11a 円筒状芯金、 l1b 離型層、 11c U字溝、 12 加圧ローラ、 12a 円柱状芯金、 12b 弾性層、 12c 離形層、 13 搬送ローラ対、 14 搬送ローラ対、 15 排紙トレイ、 16 センサ、 17 センサ、 18 センサ、 19 ハロゲンランプ、 20 付勢部材、 21 回転軸受け、 22 サイドプレート、 23 定着ギヤ、 23a 凸部、 24 駆動ギヤ、 25 回転軸受け、 51 リブ、 111a 円筒状芯金、 151 リブ、 211a 円筒状芯金、 211c U字溝、 211d 側壁部、 251 リブ、 251a 端部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源によって加熱される定着ローラと、該定着ローラに圧接する加圧ローラとを備えた定着装置において、
前記定着ローラは、内周面に鎖線状のリブを備えた円筒状の芯金を備え、
前記加圧ローラと接触部において、軸方向の接触領域内に2個以上のリブが存在するように構成されている
ことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記螺旋状のリブのリード角が、前記定着ローラの端部より中央部の方が小さいことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
【請求項3】
該螺旋状のリブのリード角が、前記定着ローラの端部から中央部に向かって単調減少となるように構成したことを特徴とする請求項2の定着装置。
【請求項4】
前記円筒状の芯金がアルミニウム合金であることを特徴とする請求項1の定着装置。
【請求項5】
前記円筒状の芯金は、駆動力を伝達する定着ギアと係合するためのU字溝を備え、前記前記U字溝の一方の側壁部が前記リブに沿って形成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の定着装置。
【請求項6】
前記螺旋状のリブは、複数系統形成されることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の定着装置。
【請求項7】
内周面に螺旋状のリブが形成された円筒状芯金を備えた定着ローラの製造方法であって、
加熱したアルミニウム合金の鋳塊ピレットをコンテナに入れ、前記円筒状芯金の略断面形状の口金の穴から押し出して押出し素管を形成する押出し工程と、
前記押出し素管を、室温にて外径工具と内径工具の間を引張ながら通すことによって所望の断面形状の素管を得る引抜き工程と
を有し、
前記引抜き工程において、前記素管を回転しながら引抜くことを特徴とする定着ローラの製造方法。
【請求項8】
前記素管を回転しながら引抜く際の回転速度を変化することを特徴とする請求項7記載の定着ローラの製造方法。
【請求項9】
前記引抜き工程において、前記素管の回転を一時停止することを特徴とする請求項7又は8記載の定着ローラの製造方法。
【請求項10】
熱源によって加熱される定着ローラと、該定着ローラに圧接する加圧ローラとを備えた定着装置を備えた画像形成装置であり、
前記定着ローラは、内周面に鎖線状のリブを備えた円筒状の芯金を備え、
前記加圧ローラと接触部において、軸方向の接触領域内に2個以上のリブが存在するように構成されている定着装置
を備えたことを特徴とする画像形成装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−68906(P2013−68906A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209251(P2011−209251)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】