定着装置および画像形成装置
【課題】小型化の妨げとなることなく、簡単な構成で、定着部材と加圧部材との圧接力および加圧部材とクリーニング部材との圧接力を解除することができる定着装置を提供する。
【解決手段】定着部材(15)と加圧部材(16)とクリーニング部材(14)とが筐体17に収納されて構成された定着装置10である。圧力伝達部材20と圧力解除部材30とを有し、圧力解除部材30の作動により、加圧部材と定着部材との圧接力と加圧部材とクリーニング部材の圧接力とが解除される向きに圧力伝達部材20を作動させるように構成するとともに、圧力解除部材30は、圧力伝達部材20に対する揺動により筐体17と係合し、その係合箇所を中心とする筐体17に対する回動により、加圧部材と定着部材との圧接力が解除される向きであるとともに加圧部材とクリーニング部材との圧接力が解除される向きに、回動中心位置をずらしつつ圧力伝達部材20を回動させる。
【解決手段】定着部材(15)と加圧部材(16)とクリーニング部材(14)とが筐体17に収納されて構成された定着装置10である。圧力伝達部材20と圧力解除部材30とを有し、圧力解除部材30の作動により、加圧部材と定着部材との圧接力と加圧部材とクリーニング部材の圧接力とが解除される向きに圧力伝達部材20を作動させるように構成するとともに、圧力解除部材30は、圧力伝達部材20に対する揺動により筐体17と係合し、その係合箇所を中心とする筐体17に対する回動により、加圧部材と定着部材との圧接力が解除される向きであるとともに加圧部材とクリーニング部材との圧接力が解除される向きに、回動中心位置をずらしつつ圧力伝達部材20を回動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着部材とその定着部材に圧接する加圧部材とを有し、定着部材と加圧部材との間にトナー像を担持した記録媒体を通過させることにより当該トナー像を記録媒体に定着させる定着装置、およびその定着装置を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリあるいはこれらの少なくとも2つの機能を備えた複合機などとして構成される画像形成装置に、上記形式の定着装置を採用することが知られている。また、上記形式の定着装置では、画像形成装置に対する高画質化の要求に応えるために、加圧部材にクリーニング部材を圧接させる構成とすることも周知である。
【0003】
この形式の定着装置では、定着部材と加圧部材とが互いに圧接されているので、これらの間に記録媒体が詰まったとき、圧接力を解除して詰まった記録媒体を容易に取り出せるように構成する必要がある。なお、圧接力を解除するとは、互いに当接した定着部材と加圧部材との圧接力を弱めるか、または両者を互いに離間させることを意味する。
【0004】
このような圧接力の解除のために、圧力伝達部材と圧力解除部材とが設けられた定着装置が知られている(特許文献1参照)。この定着装置では、圧力伝達部材が、筐体に対して可動に支持された加圧部材に加圧力を加えるものとされ、圧力解除部材が、自身の揺動に伴って筐体を押圧することにより、その反力を利用して加圧力を軽減する向きに圧力伝達部材を作動させる構成とされている。この定着装置では、圧力解除部材が揺動されると、圧力伝達部材が定着装置の筐体に対する支持箇所を中心として回動することにより、加圧部材への圧接力が解除される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記した定着装置に、加圧部材にクリーニング部材を圧接させる構成を採用すると、そのクリーニング部材が加圧部材を圧接しているため、圧接力の解除の際、クリーニング部材による加圧部材への圧接力も解除する必要がある。この圧接力の解除の操作を容易なものとするために、圧力解除部材への圧接力の解除操作によりクリーニング部材による加圧部材への圧接力も解除可能な構成とすることが望ましい。
【0006】
ところが、支持箇所を中心として回動する圧力伝達部材を利用してクリーニング部材による加圧部材への圧接力も解除する構成とすると、圧力伝達部材の回動中心の近傍位置にクリーニング部材を配置した場合、クリーニング部材を十分に移動することができず、クリーニング部材と加圧部材との圧接力を十分に解除することができなくなってしまう。このため、クリーニング部材が加圧部材の移動を妨げてしまい、定着部材と加圧部材の圧接力が十分に解除できず、定着装置に詰まった記録紙が容易に取り出せなくなってしまう。他方、圧力伝達部材の回動量を大きくしたり圧力伝達部材の回動中心から離間した位置にクリーニング部材を配置したりすると、クリーニング部材を十分に移動することができても、クリーニング部材の移動のために必要な空間が大きくなってしまい、定着装置ひいては画像形成装置の小型化の妨げとなってしまう。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、小型化の妨げとなることなく、簡単な構成で、定着部材と加圧部材との圧接力および加圧部材とクリーニング部材との圧接力を解除することができる定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の定着装置は、定着部材と、該定着部材に圧接する加圧部材と、該加圧部材に圧接するクリーニング部材とが筐体に収納されて構成され、前記定着部材と前記加圧部材との間にトナー像を担持した記録媒体を通過させることにより前記トナー像を前記記録媒体に定着し、前記クリーニング部材が前記加圧部材に圧接することにより前記加圧部材の表面付着物を除去する定着装置であって、前記筐体に対して可動に支持されていて前記加圧部材を前記定着部材に押圧する加圧力を前記加圧部材に伝達する圧力伝達部材と、該圧力伝達部材に可動に支持された圧力解除部材とを有し、該圧力解除部材の作動により、前記加圧部材と前記定着部材との圧接力と前記加圧部材と前記クリーニング部材の圧接力とが解除される向きに前記圧力伝達部材を作動させるように構成するとともに、前記圧力解除部材は、前記圧力伝達部材に対する揺動により前記筐体と係合し、その係合箇所を中心とする前記筐体に対する回動により、前記加圧部材と前記定着部材との圧接力が解除される向きであるとともに前記加圧部材と前記クリーニング部材との圧接力が解除される向きに、回動中心位置をずらしつつ前記圧力伝達部材を回動させるように構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の定着装置は、請求項1に記載の定着装置であって、前記圧力解除部材は、前記圧力伝達部材における回動中心位置を、回動中心から見た半径方向の長さ寸法を減らす方向へとずらすことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の定着装置は、請求項1または請求項2に記載の定着装置であって、前記圧力解除部材は、前記記録媒体を案内するガイド部材と一体に形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の定着装置は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の定着装置であって、前記圧力解除部材は、前記圧力伝達部材に揺動可能に支持されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の定着装置は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の定着装置であって、前記圧力解除部材は、前記圧力伝達部材に嵌合することにより該圧力伝達部材に揺動可能に組み付けられ、かつ前記筐体によって前記圧力伝達部材からの脱落が防止されていることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の定着装置は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の定着装置であって、前記圧力解除部材は、画像形成装置本体の本体カバーの開放動作に連動して作動することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の定着装置は、請求項3に記載の定着装置であって、前記圧力解除部材は、画像形成装置本体の本体カバーの開放動作に連動して前記ガイド部材と共に作動することを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の画像形成装置は、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の定着装置を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の定着装置では、圧力解除部材を揺動させると圧力伝達部材が回動中心位置をずらしつつ回動するので、圧力解除部材の作動によって定着部材と加圧部材との圧接力を解除することにより、クリーニング部材の移動のために必要な空間の増大を抑制しつつクリーニング部材の十分な移動量を確保することができ、定着部材と加圧部材との圧接力および加圧部材とクリーニング部材との圧接力を解除することができる。
【0017】
また、圧力伝達部材と圧力解除部材とを設けるだけであることから、簡易な構成とすることができる。
【0018】
上記した構成に加えて、前記圧力解除部材は、前記圧力伝達部材における回動中心位置を、回動中心から見た半径方向の長さ寸法を減らす方向へとずらすこととすると、クリーニング部材の移動のために必要な空間をより小さくしつつクリーニング部材における加圧部材との圧接力を解除するのに十分な移動量を確保することができる。
【0019】
上記した構成に加えて、前記圧力解除部材は、前記記録媒体を案内するガイド部材と一体に形成されていることとすると、圧力復帰動作とガイド部材の閉鎖動作とを1回の操作で行うことができるとともに、圧力解除動作とガイド部材の開放動作とを1回の操作で行うことができるので、操作性を高めることができる。
【0020】
上記した構成に加えて、前記圧力解除部材は、前記圧力伝達部材に揺動可能に支持されていることとすると、圧力解除部材の圧力伝達部材に対する揺動操作を容易なものとすることができる。
【0021】
上記した構成に加えて、前記圧力解除部材は、前記圧力伝達部材に嵌合することにより該圧力伝達部材に揺動可能に組み付けられ、かつ前記筐体によって前記圧力伝達部材からの脱落が防止されていることとすると、圧力伝達部材から圧力解除部材が脱落することを防止する特別の手段を設ける必要がないため、簡易な構成とすることができるとともにコストを効果的に低減することができる。
【0022】
上記した構成に加えて、前記圧力解除部材は、画像形成装置本体の本体カバーの開放動作に連動して作動することとすると、本体カバーを開けると定着部材と加圧部材との圧接力および加圧部材とクリーニング部材との圧接力を解除することができることから、操作者はより容易にジャム紙を処理することができるとともに、本体カバーを閉めると定着部材と加圧部材とを圧接させることができかつ加圧部材とクリーニング部材とを圧接させることができることから、操作者はより容易に復帰操作をすることができる。
【0023】
上記した構成に加えて、前記圧力解除部材は、画像形成装置本体の本体カバーの開放動作に連動して前記ガイド部材と共に作動することとすると、本体カバーを開けると定着部材と加圧部材との圧接力および加圧部材とクリーニング部材との圧接力を解除することができるとともにガイド部材を開放することができることから、操作者はより容易にジャム紙を処理することができるとともに、本体カバーを閉めると定着部材と加圧部材とを圧接させることができかつ加圧部材とクリーニング部材とを圧接させることができるとともにガイド部材を閉鎖することができることから、操作者はより容易に復帰操作をすることができる。
【0024】
上記した構成の定着装置を有する画像形成装置では、上記した効果を得ることができるとともに、クリーニング部材が加圧部材に圧接して回転することから、加圧部材の表面の付着物を除去するとともに、定着部材の表面の付着物も除去することができるので、画像形成装置で生成する記録媒体上の画像における高い画質を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る実施例1の定着装置10を搭載した画像形成装置の概略断面図である。
【図2】定着装置10とその周辺部を模式的に示す断面図である。
【図3】定着装置10を概略的に示す外観斜視図であり、圧力伝達部材20を筐体17に取り付けるときの様子を示す説明図である。
【図4】圧力伝達部材20と圧力解除部材30とを筐体17に組み付けた状態を概略的に示す斜視図である。
【図5】圧力伝達部材20の構成を説明するための説明図である。
【図6】定着ローラ15と加圧ローラ16との圧接を解除したときの様子を示す図2と同様の断面図である。
【図7】筐体17に対する圧力伝達部材20と圧力解除部材30との組み付け状態を説明するための説明図である。
【図8】圧力伝達部材20と圧力解除部材30との作用を説明するための説明図である。
【図9】実施例2の画像形成装置1Aの構成を説明するための模式的な断面図である。
【図10】実施例2の画像形成装置1Aにおいて本体カバー1Abが開放された様子を示す図9と同様の断面図である。
【図11】実施例3の定着装置10Bの構成を説明するための図2と同様の断面図である。
【図12】実施例3の定着装置10Bの構成を説明するための図6と同様の断面図である。
【図13】実施例4の画像形成装置1Cの構成を説明するための模式的な断面図である。
【図14】実施例4の画像形成装置1Cにおいて本体カバー1Cbが開放された様子を示す図13と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明に係る定着装置の各実施例について図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0027】
本発明に係る定着装置10を有する画像形成装置1の一例を、図1ないし図7を用いて説明する。図1は、実施例1の定着装置10が搭載された画像形成装置1の一例を示す概略断面図である。この実施例1の画像形成装置1においては、画像形成装置本体1a内に配置された感光体2が反時計方向に回転される。このとき、感光体2では、帯電装置3によって感光体表面が均一に帯電される。この感光体2の帯電面には、レーザ光学系4から出射するレーザ光Lが照射され、これにより感光体2上に静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置5を通ることにより、トナー像として可視像化される。
【0028】
一方、感光体2の下方に配置された給紙カセット6には、例えば転写紙より成る記録媒体Pが収容されている。この給紙カセット6からは、給紙ローラ7の回転により、最上位の記録媒体Pが転写装置8と感光体2との間に送り込まれる。その間を記録媒体Pが通過することにより、その記録媒体Pに感光体2上のトナー像が転写される。この感光体2では、トナー像の転写後に付着する転写残トナーが、クリーニング装置9により除去される。
【0029】
トナー像T(図2参照)が転写された記録媒体Pは、さらに上方に搬送されて定着装置10を通過し、このときトナー像Tが記録媒体Pに定着される。定着装置10を出た記録媒体Pは、ガイド部材12と他のガイド部材とに案内され、排紙ローラ対13によって排紙トレイ11上に排出される。
【0030】
定着装置10は、拡大された図2に示すように、クリーニング部材の一例であるクリーニングローラ14と、定着部材の一例である定着ローラ15と、加圧部材の一例である加圧ローラ16とを有する。この各ローラ14、15、16は、定着装置10の筐体17に対して回転自在に支持され、動作時にはそれぞれ図2に矢印A1、A2、A3で示す方向に回転する。この定着ローラ15の内部には、ヒータ18が設けられ、このヒータによって定着ローラ15がトナー像Tの定着に適した温度に加熱される。
【0031】
加圧ローラ16は、定着ローラ15に対して、後述する圧力伝達部材20からの押圧力を受けることにより圧接した状態と、その圧接力を解除した状態と、の間で移動可能とされている。この圧接力を解除するとは、互いに当接した定着ローラ15と加圧ローラ16との圧接力を弱めるか、または両者を互いに離間させることをいう。
【0032】
また、クリーニングローラ14は、加圧ローラ16に対して、図示を略す付勢手段から付勢されることにより圧接した状態と、その圧接力を解除した状態と、の間で移動可能とされている。この圧接力を解除するとは、定着ローラ15と加圧ローラ16との圧接力の解除のための加圧ローラ16の移動を可能とすべく、互いに当接したクリーニングローラ14と加圧ローラ16との圧接力を弱めるか、または両者を互いに離間させることをいう。このクリーニングローラ14は、後述するように、各圧力解除部材30からの回転付勢により加圧ローラ16からの離間方向へと各圧力伝達部材20(そのローラ嵌合部22)で押圧されていない状態では、図示を略す付勢手段からの付勢により加圧ローラ16に圧接している。
【0033】
この定着装置10では、感光体2から転写されたトナー像Tを担持した記録媒体Pが、そのトナー像Tを定着ローラ15に接する向きで、その定着ローラ15と加圧ローラ16との間に送り込まれる(矢印A4参照)。定着ローラ15と加圧ローラ16の間では、トナーが加熱されるとともに加圧されることにより、トナー像Tが記録媒体Pに定着される。
【0034】
このとき、クリーニングローラ14は、加圧ローラ16に圧接して回転することにより、加圧ローラ16の表面付着物を除去する。この表面付着物は、基本的には加圧ローラ16と記録媒体Pの記録面(トナー像Tが定着される面)の裏側(裏面)との接触により、記録媒体Pから加圧ローラ16の表面に移動した付着物であるが、定着ローラ15と記録媒体Pの記録面との接触により、記録媒体Pから定着ローラ15の表面を経由して加圧ローラ16の表面へ移動した付着物も含まれる。このことから、クリーニングローラ14は、加圧ローラ16の表面の付着物を除去するとともに、定着ローラ15の表面の付着物も除去する機能も有する。
【0035】
このように、定着装置10は、定着部材としての定着ローラ15と、そこに圧接する加圧部材としての加圧ローラ16と、を有し、定着ローラ15と加圧ローラ16との間にトナー像Tを担持した記録媒体Pを通過させることにより、そのトナー像Tを記録媒体Pに定着するように構成されている。また、定着装置10は、クリーニング部材としてのクリーニングローラ14が、定着ローラ15の表面付着物および加圧ローラ16の表面付着物を除去することができるので、画像形成装置1で生成する記録媒体P上の画像における高画質を維持することができる。
【0036】
加圧ローラ16は、上述したように、圧力伝達部材20からの押圧力を受けることにより定着ローラ15に圧接されるとともに、その圧接力が解除可能な構成とされている。その圧力伝達部材20は、実施例1の定着装置10では対を為して設けられている(図3等参照)。一対の圧力伝達部材20は、定着装置10を概略的に示す外観斜視図である図3に示すように、定着装置10の筐体17に形成された挿入口19に挿入されて(図4参照)設けられている。この一対の圧力伝達部材20およびそれが挿入される挿入口19の周辺の構成は、双方が等しいものであることから、図2および図6では一方のみを示し、他方は省略している。なお、図2は、図3のI−I線に沿って得られた断面図に相当する。この挿入口19は、定着装置10の筐体17の長手方向で見た各端部領域に、スリット状に形成されている。
【0037】
この各挿入口19の上方には、嵌合凹所17aが設けられている。この嵌合凹所17aは、後述する圧力解除部材30の嵌合突起部33の嵌合を可能とする凹所であり、奥側(図3を正面視して左斜め上方側)で立ち上がる立壁部17bと、下面を形成する水平壁部17cと、側面を形成する側壁部17dと、立壁部17bの上端から前方(図3を正面視して右斜め手前側)へと突出された鍔壁部17eと、を有する。嵌合凹所17aでは、後述する圧力解除部材30が揺動されると、その嵌合突起部33を鍔壁部17eに係合させ、その当接(係合)箇所を中心として嵌合突起部33を回転させ、当該嵌合突起部33を下方へと押し下げつつ嵌合突起部33の先端を立壁部17bに当接させるように、嵌合突起部33を嵌合させる機能を有する。
【0038】
この嵌合凹所17aの前方には、水平壁部17cと側壁部17dとにより区画されて挿入口19よりも拡径された空間Sが形成されている。この空間Sは、各圧力伝達部材20が挿入口19に挿入された状態において、圧力伝達部材20に揺動自在に設けられる後述する圧力解除部材30が配置される箇所となる。
【0039】
各圧力伝達部材20は、全体に板状を呈し、図5に示すように、下端の係合部21と、その上方のローラ嵌合部22と、上端部の取付孔23と、上端のバネ受け突起部24と、押圧面25と、を有する。この各圧力伝達部材20は、加圧ローラ16と定着ローラ15とを圧接させるべく、加圧ローラ16に大きな加圧力を与えるものである。このため、各圧力伝達部材20は、高い強度が要求されるので、金属材料により形成することが望ましい。
【0040】
圧力伝達部材20の係合部21は、筐体17に固定されたピン26との係合を可能とすべく切り欠かれて形成されている(図2参照)。この係合部21は、下端面21aと上端面21bとの間でのピン26(図2参照)の相対的な移動を許容しつつ係合可能とされており、下端面21aにピン26を当接(係合)させた状態(図2参照)で各圧力伝達部材20をピン26回りに回転自在とすることが可能とされているとともに、上端面21bにピン26を当接(係合)させた状態(図6参照)で各圧力伝達部材20をピン26回りに回転自在とすることが可能とされている。この係合部21は、下端面21aと上端面21bとの間が、後述する圧力伝達部材20における回動中心位置の移動量に応じて設定されている。各圧力伝達部材20は、挿入口19を通して挿入された状態において(図4参照)、係合部21がピン26に係合される(図2参照)。
【0041】
ローラ嵌合部22は、クリーニングローラ14の各軸端部14aの遊嵌を可能とすべく切り欠かれて形成されている(図2参照)。このローラ嵌合部22に設けられた各軸端部14aに対する遊び分は、後述するように、各圧力伝達部材20が下端面21aにピン26を当接させた状態から上端面21bにピン26を当接させた状態へと移行しつつピン26回りに回動される(回動中心位置をずらしつつ回動される)ことから、その移行状態におけるローラ嵌合部22の描く軌跡と各軸端部14aの描く軌跡とのズレを許容するためのものである。
【0042】
取付孔23は、後述する圧力解除部材30のピン32(図3参照)が回転自在に嵌合される箇所である。このため、後述する圧力解除部材30は、圧力伝達部材20に対して揺動可能とされる。
【0043】
バネ受け突起部24は、引張ばね41の一端が係止される箇所である(図2参照)。この引張ばね41は、図2に示すように、加圧ローラ16を定着ローラ15に押圧する加圧力を、各圧力伝達部材20を介して加圧ローラ16へと付与するための付勢部材である。この引張ばね41の他端は、筐体17に係止されている。各圧力伝達部材20は、後述する各圧力解除部材30から下方への付勢力を受けていない状態において、引張ばね41からの付勢力を受けて、係合部21の下端面21aにピン26を当接させた状態で当該ピン26回りに揺動付勢されることにより、加圧ローラ16を押圧する。
【0044】
押圧面25は、引張ばね41により付勢されている圧力伝達部材20において、加圧ローラ16を定着ローラ15に押圧すべく、加圧ローラ16へと加圧力を伝達する箇所である。この押圧面25は、加圧ローラ16の各軸端部16aに嵌合された軸受16bに各圧力伝達部材20が当接(圧接)する箇所となる。各圧力伝達部材20は、引張ばね41からの付勢により図2における反時計方向に揺動付勢されることにより、押圧面25で軸受16bを押圧して加圧ローラ16を定着ローラ15に対して圧接させる。
【0045】
上述したように、各圧力伝達部材20は、定着装置10の筐体17に対して可動に支持されていて、加圧ローラ16を定着ローラ15に押圧する加圧力を加圧ローラ16に伝達する機能を有する。実施例1では、各圧力伝達部材20は、筐体17に対してピン26回りに揺動可能に支持されている。このような構成によって、加圧ローラ16が定着ローラ15に対して圧接し、これらの定着ローラ15と加圧ローラ16との間を通る記録媒体P上のトナー(トナー像T)を加圧することができる。このとき、クリーニングローラ14は、図示を略す付勢手段により加圧ローラ16に圧接している。この圧力伝達部材20から加圧ローラ16への押圧力の伝達すなわち加圧ローラ16と定着ローラ15との圧接力と、クリーニングローラ14と加圧ローラ16との圧接力と、を解除すべく、各圧力解除部材30が設けられている。
【0046】
各圧力解除部材30は、図3に示すように、対を為す圧力伝達部材20のそれぞれに設けられている。この圧力解除部材30は、操作レバー部31と、ピン32と、嵌合突起部33と、を有する。圧力解除部材30は、操作者が手で触れるものであることから、操作性の観点と自身の加熱を抑える観点とから、樹脂材料により形成することが望ましい。
【0047】
圧力解除部材30の操作レバー部31は、加圧ローラ16と定着ローラ15との圧接力およびクリーニングローラ14と加圧ローラ16との圧接力を解除するために、圧力解除部材30を揺動させるべく操作する箇所である。ピン32は、圧力伝達部材20に設けられた取付孔23に回転自在に嵌合することにより、圧力解除部材30を圧力伝達部材20に対して回転自在に支持させるものである。嵌合突起部33は、圧力解除部材30がピン32回りに揺動された際、嵌合凹所17aの鍔壁部17eに係合し、その鍔壁部17eとの当接(係合)箇所を中心とする回転力により、下方へと押し下げられつつ先端を嵌合凹所17aの立壁部17bに当接させるように、嵌合凹所17aに嵌合する機能を有する。以下では、この動作(作用)を、圧力解除部材30の嵌合突起部33が、嵌合凹所17aへと嵌合することにより回転する、ともいう。
【0048】
この圧力解除部材30は、各圧力伝達部材20が挿入口19に挿入された状態(図4参照)において、嵌合凹所17aの前方で水平壁部17cと側壁部17dとにより区画されて挿入口19よりも拡径された空間Sに位置される。このため、圧力解除部材30は、図7に示すように、空間Sにおいて、圧力伝達部材20と筐体17の側壁部17dとの間に位置されている。これにより、圧力伝達部材20の取付孔23に嵌合された圧力解除部材30のピン32が、取付孔23から脱落することを側壁部17dで防止することができる。よって、圧力解除部材30のピン32と圧力伝達部材20の取付孔23との嵌合構造において、特別な脱落防止手段を設けることなく、圧力伝達部材20から圧力解除部材30が脱落することを防止できる。換言すると、定着装置10の筐体17によって、圧力伝達部材20から圧力解除部材30が脱落することを防止できる。ここで、圧力伝達部材20は、引張ばね41によって加圧ローラ16に近接する方向すなわち当該空間S内に位置することを維持する方向への付勢力を常に受けているので、圧力解除部材30は、圧力伝達部材20に組み付けられることにより、確実に脱落が阻止される(図2参照)。このように、圧力伝達部材20から圧力解除部材30が脱落することを防止する特別の手段を設ける必要がないため、定着装置10を簡易な構成とすることができるとともに定着装置10ひいては画像形成装置1のコストを効果的に低減することができる。
【0049】
このように、各圧力解除部材30は、各圧力伝達部材20にそれぞれ回転自在に支持されており、実施例1では各圧力解除部材30は、その周辺の構成により各圧力伝達部材20に対して揺動自在に支持されていることとなる。
【0050】
各圧力解除部材30は、嵌合突起部33が筐体17の嵌合凹所17aに嵌合していない状態では、図2に示すように、各圧力伝達部材20を拘束しておらず換言すると各圧力伝達部材20に対して何らの付勢をしておらず、各圧力伝達部材20が引張ばね41からの付勢により、下端面21aにピン26を当接(係合)させた状態でピン26回りに揺動付勢されて押圧面25で軸受16bを押圧し、加圧ローラ16が定着ローラ15に対して圧接される。
【0051】
ここで、定着ローラ15と加圧ローラ16との間に記録媒体が詰まり、画像形成装置1の作動が停止してこれらのクリーニングローラ14、定着ローラ15および加圧ローラ16の回転が止められたとき、その詰まった記録媒体(以下、ジャム紙という)を除去する必要がある。この場合、実施例1の画像形成装置1では、図1に示すように、ユーザやサービスマンなどの操作者は、画像形成装置本体1aに対してピン42を介して回動開閉可能に支持されたその本体カバー1bを矢印A5方向に回動させて当該本体カバー1bを開き、定着装置10を外部に対して露出させる。次いで、操作者は、操作レバー部31を引っ張り操作することにより、各圧力解除部材30をピン32回りに図2に矢印A6で示す方向に回動させる。すると、各圧力解除部材30では、その嵌合突起部33が筐体17の嵌合凹所17aに嵌合することにより、操作レバー部31への操作力が、嵌合突起部33と嵌合凹所17aとの係合(当接)箇所を中心とする回転力として作用する。詳細には、各圧力解除部材30は、嵌合突起部33が嵌合凹所17aの鍔壁部17eと係合して、その係合箇所を中心として回転することにより、筐体17に対して右斜め下方(本体カバー1bのピン42(図1参照)へと向かう方向)へと押し下げられつつ嵌合突起部33の先端が嵌合凹所17a内の立壁部17bに近接する方向へと移動して、嵌合突起部33が嵌合凹所17aに嵌合する。これにより、ピン32を介して各圧力解除部材30が連結された圧力伝達部材20は、引張ばね41の付勢力およびクリーニングローラ14の図示を略す付勢手段の付勢力に抗して、右斜め下方へと押し下げられる。すると、圧力伝達部材20は、筐体17に固定されたピン26に係合部21の下端面21aを当接させた状態から係合部21の上端面21bにピン26を当接させた状態へと移行しつつピン26回りに回動される。すなわち、圧力伝達部材20は、自身における回動中心位置を、係合部21の内方で下端面21aをピン26に当接させた状態から、同じく上端面21bをピン26に当接させた状態へと移行させつつ、ピン26回りに回動される。このため、各圧力伝達部材20は、図6に示すように、加圧ローラ16すなわち定着ローラ15から遠ざかる向きにピン26回りに回動し、軸受16bに対する押圧面25での押圧力が弱まる、もしくは軸受16bと押圧面25とが離間する。これにより、圧力伝達部材20から加圧力が伝達されることによる定着ローラ15と加圧ローラ16との圧接力を解除することができる。すなわち、定着ローラ15と加圧ローラ16との圧接力が弱められる、または両ローラが互いに離間する。このように、各圧力解除部材30の作動(実施例1では揺動)によって、加圧ローラ16と定着ローラ15との圧接力が解除される向きに圧力伝達部材20が作動する。
【0052】
このとき、圧力伝達部材20は、各軸端部14aをそれが遊嵌されたローラ嵌合部22で押圧することにより、クリーニングローラ14を定着ローラ15に圧接する位置にある加圧ローラ16から離間するように移動させて、クリーニングローラ14と加圧ローラ16との圧接力を解除する。なお、実施例1では、加圧ローラ16と定着ローラ15との圧接力が解除された状態において、クリーニングローラ14が加圧ローラ16から離間するように移動されている。このため、各圧力解除部材30を作動(実施例1では揺動)した際、クリーニングローラ14と加圧ローラ16との圧接力を十分に解除することができ、圧力伝達部材20からの加圧力が弱められることによる加圧ローラ16の定着ローラ15に圧接された状態からの移動を、クリーニングローラ14が阻害することを防止することができるので、加圧ローラ16と定着ローラ15との圧接力を十分に解除することができる。
【0053】
その後、実施例1では、筐体17にピン43を介して回動可能に支持されたガイド部材12を図6に矢印A7で示した方向に回動させることにより、定着ローラ15と加圧ローラ16との間の上方の開口(図示せず)が開放される。これにより、操作者は、定着ローラ15と加圧ローラ16との間から、ジャム紙(図示せず)を容易に除去することができる。この画像形成装置1では、上記した手順と逆の手順(操作)を行うことにより、再び加圧ローラ16を定着ローラ15に圧接させることができる。
【0054】
上述したように、圧力解除部材30は、その揺動により定着装置10の筐体17の嵌合凹所17aと嵌合し、その際の係合箇所を中心とする回転(回転力)によって、クリーニングローラ14と加圧ローラ16との圧接力を解除する向きであるとともに加圧ローラ16と定着ローラ15との圧接力を解除する向きに、圧力伝達部材20を作動させるように構成されている。このため、定着装置10では、圧力解除部材30により圧力伝達部材20を確実に作動させて、定着ローラ15と加圧ローラ16との圧接力を解除することができる。
【0055】
このように、本発明に係る実施例1の定着装置10では、各圧力解除部材30の操作レバー部31を引っ張り操作(図2の矢印A6参照)するだけで、クリーニングローラ14と加圧ローラ16との圧接力を解除するとともに加圧ローラ16と定着ローラ15との圧接力を解除する向きに、圧力伝達部材20を作動させることができる。これについて以下で図8を用いて詳細に説明する。この図8では、ピン26、回動中心位置がずれて回動した後の圧力伝達部材20、圧力解除部材30およびクリーニングローラ14(軸端部14a)を実線で示し、回動前の様子(圧接力が解除される前)を二点鎖線で示し、回動中心位置をずらすことなく回動した場合を一点鎖線で示している。上述したように、操作レバー部31が引っ張り操作されると、嵌合突起部33が筐体17の嵌合凹所17aに嵌合することにより、嵌合突起部33と嵌合凹所17aとの係合箇所を中心として各圧力解除部材30が回転する。この回転により、ピン32を介して各圧力解除部材30に連結された圧力伝達部材20が、右斜め下方へと押し下げられて、回動中心位置を係合部21の内方で下端面21aをピン26に当接させた状態から上端面21bをピン26に当接させた状態へと移行させつつ、ピン26回りに回動される。ここで、圧力伝達部材20では、回動中心位置がずれると押圧面25における軸受16bへの当接位置がずれるが、押圧面25が軸受16bと当接することによる押圧力の伝達状態は維持されている。すなわち、圧力伝達部材20では、基本的に、回動中心位置のずれに拘らず、ピン26回りの回動姿勢(回動角度位置)の変化に伴う押圧面25の回動方向への移動量(符号l1参照)に応じて、定着ローラ15と加圧ローラ16との圧接力を調整(変化)させることとなる。他方、圧力伝達部材20では、回動中心位置をずらしつつピン26回りに回動されることにより、ローラ嵌合部22に嵌合される各軸端部14aすなわちクリーニングローラ14の移動量が、係合部21の下端面21aにピン26に当接させた状態での圧力伝達部材20のピン26回りの回動姿勢(回動角度位置)の変化に伴う移動分(符号l3参照)と、回動中心位置のずれに伴う当該ずれ方向への移動分(符号l4参照)と、を合成することによる移動量(符号l2参照)となる。すなわち、圧力伝達部材20の回動中心位置がずれることにより、定着ローラ15と加圧ローラ16との圧接力の解除に必要な押圧面25の移動量の分だけ圧力伝達部材20を回動させるだけで、単にピン26回りに圧力伝達部材20を回動させた場合(符号l3参照)に比較して、ローラ嵌合部22すなわちクリーニングローラ14の移動量(符号l2参照)を増加させることができ、定着ローラ15と加圧ローラ16との圧接力を解除するのに十分なクリーニングローラ14の移動量を確保することができる。これにより、クリーニングローラ14と加圧ローラ16との圧接力を確実に解除しつつすることができ、加圧ローラ16と定着ローラ15との圧接力を確実に解除する位置まで圧力伝達部材20を作動させることができる。
【0056】
また、実施例1の定着装置10では、圧力伝達部材20における回動中心位置をずらすことにより、クリーニングローラ14における加圧ローラ16との圧接力を解除するのに十分な移動量を確保するものであることから、回動中心(実施例1ではピン26)を一定のまま回動する圧力伝達部材20でクリーニングローラ14を押圧する構成と比較して、クリーニングローラ14の移動のために必要な空間を小さくすることができ、定着装置10ひいては画像形成装置1の小型化に大いに貢献することができる。ここでいうクリーニングローラ14の移動のために必要な空間とは、圧力伝達部材20の回動のための空間と、クリーニングローラ14の移動前後の位置と圧力伝達部材20の回動中心とにより囲まれる空間と、をいう。すなわち、圧力伝達部材20の回動中心の近傍位置でクリーニングローラ14を押圧する構成とすると、圧力伝達部材20の回動量を大きくする必要があり、他方、圧力伝達部材20の回動中心から離間させた位置でクリーニングローラ14を押圧する構成とすると、圧力伝達部材20の回動量は小さくすることができるがクリーニングローラ14の移動前後の位置と回動中心とにより囲まれる空間が大きくなってしまうことから、実施例1の定着装置10に比較して、小型化の妨げとなってしまう。特に、定着装置10では、圧力伝達部材20における回動中心位置を、回動中心から見た半径方向の長さ寸法を減らす方向へとずらすことにより、クリーニングローラ14における加圧ローラ16との圧接力を解除するのに十分な移動量を確保するものであることから、クリーニングローラ14の移動のために必要な空間をより小さくすることができ、定着装置10ひいては画像形成装置1の小型化に大いに貢献することができる。
【0057】
さらに、実施例1の定着装置10では、筐体17に鍔壁部17eを有する嵌合凹所17aを設けるとともに、上記した機能を有するように筐体17に回動中心位置のずれを可能としつつ回動自在に支持された各圧力伝達部材20と、そこに揺動自在に支持された各圧力解除部材30と、を設けるだけであるので、簡単な構成で、クリーニングローラ14と加圧ローラ16との圧接力を確実に解除しつつすることができ、加圧ローラ16と定着ローラ15との圧接力を確実に解除する位置まで圧力伝達部材20を作動させることができる。
【0058】
実施例1の定着装置10では、圧力解除部材30の嵌合突起部33が嵌合されることにより、当該圧力解除部材30を斜め下方へと回転させるように、筐体17に鍔壁部17eを有する嵌合凹所17aを設けるとともに、各圧力伝達部材20の係合部21を下端面21aと上端面21bとの間でのピン26の相対的な移動を許容しつつ係合可能な構成とするだけであることから、簡易な構成で圧力伝達部材20の回動中心位置を、回動中心から見た半径方向の長さ寸法を減らす方向へとずらすことができる。
【0059】
実施例1の定着装置10では、クリーニングローラ14が加圧ローラ16に圧接して回転することから、加圧ローラ16の表面の付着物を除去するとともに、定着ローラ15の表面の付着物も除去することができるので、搭載された画像形成装置1で生成する記録媒体P上の画像における高い画質を維持することができる。
【0060】
したがって、本発明に係る実施例1の定着装置10では、小型化の妨げとなることなく、簡単な構成で、定着ローラ15(定着部材)と加圧ローラ16(加圧部材)との圧接力、および加圧ローラ16(加圧部材)とクリーニングローラ14(クリーニング部材)との圧接力を解除することができる。
【0061】
なお、上記した実施例1では、筐体17に鍔壁部17eを有する嵌合凹所17aが設けられ、かつ各圧力解除部材30に嵌合突起部33が設けられていたが、圧力解除部材30がピン32回りに揺動された際、圧力解除部材30が筐体17に係合し、その係合箇所を中心とする筐体17に対する回転により、圧力伝達部材20における回動中心位置を回動中心から見た半径方向の長さ寸法を減らす方向へとずらすように圧力解除部材30を下方へと押し下げるものであればよく、上記した実施例1に限定されるものではない。
【0062】
また、上記した実施例1では、圧力解除部材30のピン32が円筒形状とされているが、圧力伝達部材20に対して圧力解除部材30を回転自在に支持させるものであればよく、上記した実施例1に限定されるものではない。例えば、ピン32をカム形状とすることにより、圧力伝達部材20の可動範囲を広げることができ、軸受16bの移動範囲すなわち加圧ローラ16の移動範囲を大きくすることができる。
【実施例2】
【0063】
次に、本発明の実施例2に係る画像形成装置1Aについて説明する。この実施例2は、実施例1と同様の定着装置10を搭載しているが、画像形成装置本体1Aaの本体カバー1Abの構成が異なる例である。この実施例2の画像形成装置1Aは、基本的な構成は上記した実施例1の定着装置10および画像形成装置1と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図9は、実施例2の画像形成装置1Aの構成を説明するための模式的な断面図であり、図10は、実施例2の画像形成装置1Aにおいて本体カバー1Abが開放された様子を示す図9と同様の断面図である。
【0064】
実施例2に係る画像形成装置1Aでは、図9および図10に示すように、画像形成装置本体1Aaの本体カバー1Abに、開放側係合爪51と、閉鎖側係合爪52と、が設けられている。開放側係合爪51は、本体カバー1Abを開くとき、定着装置10の圧力解除部材30の操作レバー部31に係合することにより、操作レバー部31を引っ張り操作すなわち圧力解除部材30を解除方向へと揺動させる(図10の矢印A8参照)。また、閉鎖側係合爪52は、開成状態の本体カバー1Abを閉じるとき、定着装置10の圧力解除部材30の操作レバー部31に係合することにより、操作レバー部31を押し込み操作すなわち圧力解除部材30を押圧方向へと揺動させる(図10の矢印A8とは逆の方向)。
【0065】
実施例2の画像形成装置1Aおよび定着装置10では、基本的に実施例1の画像形成装置1および定着装置10と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0066】
それに加えて、実施例2の画像形成装置1Aでは、本体カバー1Abを開けると定着ローラ15(定着部材)と加圧ローラ16(加圧部材)との圧接力、および加圧ローラ16(加圧部材)とクリーニングローラ14(クリーニング部材)との圧接力を解除することができるので、操作者はより容易にジャム紙を処理することができる。
【0067】
また、実施例2の画像形成装置1Aでは、本体カバー1Abを閉めると定着ローラ15(定着部材)と加圧ローラ16(加圧部材)とを圧接させることができるとともに、加圧ローラ16(加圧部材)とクリーニングローラ14(クリーニング部材)とを圧接させることができるので、操作者はより容易に復帰操作をすることができる。
【0068】
したがって、実施例2の定着装置10では、小型化の妨げとなることなく、簡単な構成で、定着ローラ15(定着部材)と加圧ローラ16(加圧部材)との圧接力、および加圧ローラ16(加圧部材)とクリーニングローラ14(クリーニング部材)との圧接力を解除することができる。
【実施例3】
【0069】
次に、本発明の実施例3に係る定着装置10Bについて説明する。この実施例3は、実施例1とは定着装置10Bの構成が異なる例である。この実施例3の定着装置10Bは、基本的な構成は上記した実施例1の定着装置10と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図11は、実施例3の定着装置10Bの構成を説明するための図2と同様の断面図であり、図12は、実施例3の定着装置10Bの構成を説明するための図6と同様の断面図である。
【0070】
実施例3に係る定着装置10Bでは、図11および図12に示すように、実施例1における圧力解除部材30とガイド部材12とが一体的な構成とされた圧力解除部材30Bが設けられている。この圧力解除部材30Bでは、実施例1のガイド部材12に相当するガイド部53が、操作レバー部31B、ピン32に相当するピン(図示せず)および嵌合突起部33Bと一体的に設けられて構成されていることを除くと、実施例1の圧力解除部材30と同様である。このため、定着装置10Bでは、圧力解除部材30Bの操作レバー部31Bを引っ張り操作すると、嵌合突起部33Bの嵌合凹所17aへの嵌合に伴い圧力伝達部材20の回動中心位置がずれつつピン26回りに回動することにより、クリーニングローラ14と加圧ローラ16との圧接力を解除するとともに加圧ローラ16と定着ローラ15との圧接力を解除する向きに、圧力伝達部材20を作動させることができるとともに、ガイド部53を図12に矢印A9で示した方向に回動させることができ、定着ローラ15と加圧ローラ16との間の上方の開口(図示せず)を開放することができる。
【0071】
実施例3の定着装置10Bでは、基本的に実施例1の定着装置10と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0072】
それに加えて、実施例3の定着装置10Bでは、圧力解除部材30Bの操作レバー部31Bを引っ張り操作すると、定着ローラ15(定着部材)と加圧ローラ16(加圧部材)との圧接力、および加圧ローラ16(加圧部材)とクリーニングローラ14(クリーニング部材)との圧接力を解除することができるとともに、定着ローラ15と加圧ローラ16との間の上方の開口(図示せず)を開放することができるので、操作者はより容易にジャム紙を処理することができる。換言すると、定着装置10Bでは、圧力解除動作とガイド部材開放動作とを、1回の操作で行うことができるので、操作性を高めることができる。
【0073】
また、実施例3の定着装置10Bでは、圧力解除部材30Bの操作レバー部31Bを押し込み操作すると、定着ローラ15(定着部材)と加圧ローラ16(加圧部材)とを圧接させることができるとともに、加圧ローラ16(加圧部材)とクリーニングローラ14(クリーニング部材)とを圧接させることができ、かつ定着ローラ15と加圧ローラ16との間の上方の開口(図示せず)を閉鎖することができるので、操作者はより容易に復帰操作をすることができる。換言すると、定着装置10Bでは、圧力復帰動作とガイド部材閉鎖動作とを、1回の操作で行うことができるので、操作性を高めることができる。
【0074】
したがって、実施例3の定着装置10Bでは、小型化の妨げとなることなく、簡単な構成で、定着ローラ15(定着部材)と加圧ローラ16(加圧部材)との圧接力、および加圧ローラ16(加圧部材)とクリーニングローラ14(クリーニング部材)との圧接力を解除することができる。
【実施例4】
【0075】
次に、本発明の実施例4に係る画像形成装置1Cについて説明する。この実施例4は、実施例3と同様の定着装置10Bを搭載しているが、画像形成装置本体1Caの本体カバー1Cbの構成が異なる例である。この実施例4の画像形成装置1Cは、基本的な構成は上記した実施例3と同様の定着装置10Bおよび実施例1の画像形成装置1と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図13は、実施例4の画像形成装置1Cの構成を説明するための模式的な断面図であり、図14は、実施例4の画像形成装置1Cにおいて本体カバー1Cbが開放された様子を示す図13と同様の断面図である。
【0076】
実施例4に係る画像形成装置1Cでは、図13および図14に示すように、画像形成装置本体1Caの本体カバー1Cbに、開放側係合爪54と、閉鎖側係合爪55と、が設けられている。開放側係合爪54は、本体カバー1Cbを開くとき、定着装置10Bの圧力解除部材30Bの操作レバー部31Bに係合することにより、操作レバー部31Bを引っ張り操作すなわち圧力解除部材30Bを解除方向へと揺動させる(図14の矢印A10参照)。また、閉鎖側係合爪55は、開成状態の本体カバー1Cbを閉じるとき、定着装置10Bの圧力解除部材30Bの操作レバー部31Bに係合することにより、操作レバー部31Bを押し込み操作すなわち圧力解除部材30Bを押圧方向へと揺動させる(図14の矢印A10とは逆の方向)。
【0077】
実施例4の画像形成装置1Cおよび定着装置10Bでは、基本的に実施例1の画像形成装置1および定着装置10と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0078】
それに加えて、実施例4の画像形成装置1Cでは、本体カバー1Cbを開けると定着ローラ15(定着部材)と加圧ローラ16(加圧部材)との圧接力、および加圧ローラ16(加圧部材)とクリーニングローラ14(クリーニング部材)との圧接力を解除することができるとともに、定着ローラ15と加圧ローラ16との間の上方の開口(図示せず)を開放することができるので、操作者はより容易にジャム紙を処理することができる。換言すると、定着装置10Bでは、本体カバー開放動作と圧力解除動作とガイド部材開放動作とを、1回の操作で行うことができるので、操作性をより高めることができる。
【0079】
また、実施例4の画像形成装置1Cでは、本体カバー1Cbを閉めると定着ローラ15(定着部材)と加圧ローラ16(加圧部材)とを圧接させることができるとともに、加圧ローラ16(加圧部材)とクリーニングローラ14(クリーニング部材)とを圧接させることができるとともに、定着ローラ15と加圧ローラ16との間の上方の開口(図示せず)を閉鎖することができるので、操作者はより容易に復帰操作をすることができる。換言すると、定着装置10Bでは、本体カバー閉鎖動作と圧力復帰動作とガイド部材閉鎖動作とを、1回の操作で行うことができるので、操作性をより高めることができる。
【0080】
したがって、実施例4の定着装置10Bでは、小型化の妨げとなることなく、簡単な構成で、定着ローラ15(定着部材)と加圧ローラ16(加圧部材)との圧接力、および加圧ローラ16(加圧部材)とクリーニングローラ14(クリーニング部材)との圧接力を解除することができる。
【0081】
なお、上記した各実施例では、本発明に係る定着装置について説明したが、定着部材とそこに圧接する加圧部材とそこに圧接するクリーニング部材とが筐体に収納されて構成され、定着部材と加圧部材との間にトナー像を担持した記録媒体を通過させることによりトナー像を記録媒体に定着し、クリーニング部材が加圧部材に圧接することにより加圧部材の表面付着物を除去する定着装置であって、筐体に対して可動に支持されていて加圧部材を定着部材に押圧する加圧力を加圧部材に伝達する圧力伝達部材と、圧力伝達部材に可動に支持された圧力解除部材とを有し、圧力解除部材の作動により、加圧部材と定着部材との圧接力と加圧部材とクリーニング部材の圧接力とが解除される向きに圧力伝達部材を作動させるように構成するとともに、圧力解除部材は、圧力伝達部材に対する揺動により筐体と係合し、その係合箇所を中心とする筐体に対する回動により、加圧部材と定着部材との圧接力が解除される向きであるとともに加圧部材とクリーニング部材との圧接力が解除されるように、回動中心位置をずらしつつ圧力伝達部材を回動させるように構成された定着装置であればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
【0082】
また、上記した各実施例では、圧力伝達部材20が、全体に板状を呈し、係合部21とローラ嵌合部22と取付孔23とバネ受け突起部24と押圧面25とを有する構成とされていたが、筐体に対して可動に支持されていて加圧部材を定着部材に押圧する加圧力を加圧部材に伝達するものであって、圧力解除部材の作動により加圧部材と定着部材との圧接力と加圧部材とクリーニング部材の圧接力とが解除される向きに作動されるものであればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【0083】
さらに、上記した各実施例では、圧力解除部材30(30B)が、操作レバー部31(31B)とピン32と嵌合突起部33(33B)とを有する構成とされていたが、圧力伝達部材に可動に支持され、圧力伝達部材に対する揺動により筐体と係合し、その係合箇所を中心とする筐体に対する回動により、加圧部材と定着部材との圧接力が解除される向きであるとともに加圧部材とクリーニング部材との圧接力が解除されるように、回動中心位置をずらしつつ圧力伝達部材を回動させるものであればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【0084】
以上、本発明の撮影装置を実施形態および各実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの各実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【0085】
1、1A、1C 画像形成装置
1a、1Aa、1Ca 画像形成装置本体
1b、1Ab、1Cb 本体カバー
10、10B 定着装置
14 (クリーニング部材としての)クリーニングローラ
15 (定着部材としての)定着ローラ
16 (加圧部材としての)加圧ローラ
17 筐体
17a (筐体において圧力解除部材との係合箇所となる)嵌合凹所
17e (筐体において圧力解除部材との係合箇所となる)鍔壁部
20 圧力伝達部材
30、30B 圧力解除部材
P 記録媒体
T トナー像
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】
【特許文献1】特許第4094822号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着部材とその定着部材に圧接する加圧部材とを有し、定着部材と加圧部材との間にトナー像を担持した記録媒体を通過させることにより当該トナー像を記録媒体に定着させる定着装置、およびその定着装置を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリあるいはこれらの少なくとも2つの機能を備えた複合機などとして構成される画像形成装置に、上記形式の定着装置を採用することが知られている。また、上記形式の定着装置では、画像形成装置に対する高画質化の要求に応えるために、加圧部材にクリーニング部材を圧接させる構成とすることも周知である。
【0003】
この形式の定着装置では、定着部材と加圧部材とが互いに圧接されているので、これらの間に記録媒体が詰まったとき、圧接力を解除して詰まった記録媒体を容易に取り出せるように構成する必要がある。なお、圧接力を解除するとは、互いに当接した定着部材と加圧部材との圧接力を弱めるか、または両者を互いに離間させることを意味する。
【0004】
このような圧接力の解除のために、圧力伝達部材と圧力解除部材とが設けられた定着装置が知られている(特許文献1参照)。この定着装置では、圧力伝達部材が、筐体に対して可動に支持された加圧部材に加圧力を加えるものとされ、圧力解除部材が、自身の揺動に伴って筐体を押圧することにより、その反力を利用して加圧力を軽減する向きに圧力伝達部材を作動させる構成とされている。この定着装置では、圧力解除部材が揺動されると、圧力伝達部材が定着装置の筐体に対する支持箇所を中心として回動することにより、加圧部材への圧接力が解除される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記した定着装置に、加圧部材にクリーニング部材を圧接させる構成を採用すると、そのクリーニング部材が加圧部材を圧接しているため、圧接力の解除の際、クリーニング部材による加圧部材への圧接力も解除する必要がある。この圧接力の解除の操作を容易なものとするために、圧力解除部材への圧接力の解除操作によりクリーニング部材による加圧部材への圧接力も解除可能な構成とすることが望ましい。
【0006】
ところが、支持箇所を中心として回動する圧力伝達部材を利用してクリーニング部材による加圧部材への圧接力も解除する構成とすると、圧力伝達部材の回動中心の近傍位置にクリーニング部材を配置した場合、クリーニング部材を十分に移動することができず、クリーニング部材と加圧部材との圧接力を十分に解除することができなくなってしまう。このため、クリーニング部材が加圧部材の移動を妨げてしまい、定着部材と加圧部材の圧接力が十分に解除できず、定着装置に詰まった記録紙が容易に取り出せなくなってしまう。他方、圧力伝達部材の回動量を大きくしたり圧力伝達部材の回動中心から離間した位置にクリーニング部材を配置したりすると、クリーニング部材を十分に移動することができても、クリーニング部材の移動のために必要な空間が大きくなってしまい、定着装置ひいては画像形成装置の小型化の妨げとなってしまう。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、小型化の妨げとなることなく、簡単な構成で、定着部材と加圧部材との圧接力および加圧部材とクリーニング部材との圧接力を解除することができる定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の定着装置は、定着部材と、該定着部材に圧接する加圧部材と、該加圧部材に圧接するクリーニング部材とが筐体に収納されて構成され、前記定着部材と前記加圧部材との間にトナー像を担持した記録媒体を通過させることにより前記トナー像を前記記録媒体に定着し、前記クリーニング部材が前記加圧部材に圧接することにより前記加圧部材の表面付着物を除去する定着装置であって、前記筐体に対して可動に支持されていて前記加圧部材を前記定着部材に押圧する加圧力を前記加圧部材に伝達する圧力伝達部材と、該圧力伝達部材に可動に支持された圧力解除部材とを有し、該圧力解除部材の作動により、前記加圧部材と前記定着部材との圧接力と前記加圧部材と前記クリーニング部材の圧接力とが解除される向きに前記圧力伝達部材を作動させるように構成するとともに、前記圧力解除部材は、前記圧力伝達部材に対する揺動により前記筐体と係合し、その係合箇所を中心とする前記筐体に対する回動により、前記加圧部材と前記定着部材との圧接力が解除される向きであるとともに前記加圧部材と前記クリーニング部材との圧接力が解除される向きに、回動中心位置をずらしつつ前記圧力伝達部材を回動させるように構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の定着装置は、請求項1に記載の定着装置であって、前記圧力解除部材は、前記圧力伝達部材における回動中心位置を、回動中心から見た半径方向の長さ寸法を減らす方向へとずらすことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の定着装置は、請求項1または請求項2に記載の定着装置であって、前記圧力解除部材は、前記記録媒体を案内するガイド部材と一体に形成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の定着装置は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の定着装置であって、前記圧力解除部材は、前記圧力伝達部材に揺動可能に支持されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の定着装置は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の定着装置であって、前記圧力解除部材は、前記圧力伝達部材に嵌合することにより該圧力伝達部材に揺動可能に組み付けられ、かつ前記筐体によって前記圧力伝達部材からの脱落が防止されていることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の定着装置は、請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の定着装置であって、前記圧力解除部材は、画像形成装置本体の本体カバーの開放動作に連動して作動することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の定着装置は、請求項3に記載の定着装置であって、前記圧力解除部材は、画像形成装置本体の本体カバーの開放動作に連動して前記ガイド部材と共に作動することを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の画像形成装置は、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の定着装置を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の定着装置では、圧力解除部材を揺動させると圧力伝達部材が回動中心位置をずらしつつ回動するので、圧力解除部材の作動によって定着部材と加圧部材との圧接力を解除することにより、クリーニング部材の移動のために必要な空間の増大を抑制しつつクリーニング部材の十分な移動量を確保することができ、定着部材と加圧部材との圧接力および加圧部材とクリーニング部材との圧接力を解除することができる。
【0017】
また、圧力伝達部材と圧力解除部材とを設けるだけであることから、簡易な構成とすることができる。
【0018】
上記した構成に加えて、前記圧力解除部材は、前記圧力伝達部材における回動中心位置を、回動中心から見た半径方向の長さ寸法を減らす方向へとずらすこととすると、クリーニング部材の移動のために必要な空間をより小さくしつつクリーニング部材における加圧部材との圧接力を解除するのに十分な移動量を確保することができる。
【0019】
上記した構成に加えて、前記圧力解除部材は、前記記録媒体を案内するガイド部材と一体に形成されていることとすると、圧力復帰動作とガイド部材の閉鎖動作とを1回の操作で行うことができるとともに、圧力解除動作とガイド部材の開放動作とを1回の操作で行うことができるので、操作性を高めることができる。
【0020】
上記した構成に加えて、前記圧力解除部材は、前記圧力伝達部材に揺動可能に支持されていることとすると、圧力解除部材の圧力伝達部材に対する揺動操作を容易なものとすることができる。
【0021】
上記した構成に加えて、前記圧力解除部材は、前記圧力伝達部材に嵌合することにより該圧力伝達部材に揺動可能に組み付けられ、かつ前記筐体によって前記圧力伝達部材からの脱落が防止されていることとすると、圧力伝達部材から圧力解除部材が脱落することを防止する特別の手段を設ける必要がないため、簡易な構成とすることができるとともにコストを効果的に低減することができる。
【0022】
上記した構成に加えて、前記圧力解除部材は、画像形成装置本体の本体カバーの開放動作に連動して作動することとすると、本体カバーを開けると定着部材と加圧部材との圧接力および加圧部材とクリーニング部材との圧接力を解除することができることから、操作者はより容易にジャム紙を処理することができるとともに、本体カバーを閉めると定着部材と加圧部材とを圧接させることができかつ加圧部材とクリーニング部材とを圧接させることができることから、操作者はより容易に復帰操作をすることができる。
【0023】
上記した構成に加えて、前記圧力解除部材は、画像形成装置本体の本体カバーの開放動作に連動して前記ガイド部材と共に作動することとすると、本体カバーを開けると定着部材と加圧部材との圧接力および加圧部材とクリーニング部材との圧接力を解除することができるとともにガイド部材を開放することができることから、操作者はより容易にジャム紙を処理することができるとともに、本体カバーを閉めると定着部材と加圧部材とを圧接させることができかつ加圧部材とクリーニング部材とを圧接させることができるとともにガイド部材を閉鎖することができることから、操作者はより容易に復帰操作をすることができる。
【0024】
上記した構成の定着装置を有する画像形成装置では、上記した効果を得ることができるとともに、クリーニング部材が加圧部材に圧接して回転することから、加圧部材の表面の付着物を除去するとともに、定着部材の表面の付着物も除去することができるので、画像形成装置で生成する記録媒体上の画像における高い画質を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る実施例1の定着装置10を搭載した画像形成装置の概略断面図である。
【図2】定着装置10とその周辺部を模式的に示す断面図である。
【図3】定着装置10を概略的に示す外観斜視図であり、圧力伝達部材20を筐体17に取り付けるときの様子を示す説明図である。
【図4】圧力伝達部材20と圧力解除部材30とを筐体17に組み付けた状態を概略的に示す斜視図である。
【図5】圧力伝達部材20の構成を説明するための説明図である。
【図6】定着ローラ15と加圧ローラ16との圧接を解除したときの様子を示す図2と同様の断面図である。
【図7】筐体17に対する圧力伝達部材20と圧力解除部材30との組み付け状態を説明するための説明図である。
【図8】圧力伝達部材20と圧力解除部材30との作用を説明するための説明図である。
【図9】実施例2の画像形成装置1Aの構成を説明するための模式的な断面図である。
【図10】実施例2の画像形成装置1Aにおいて本体カバー1Abが開放された様子を示す図9と同様の断面図である。
【図11】実施例3の定着装置10Bの構成を説明するための図2と同様の断面図である。
【図12】実施例3の定着装置10Bの構成を説明するための図6と同様の断面図である。
【図13】実施例4の画像形成装置1Cの構成を説明するための模式的な断面図である。
【図14】実施例4の画像形成装置1Cにおいて本体カバー1Cbが開放された様子を示す図13と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明に係る定着装置の各実施例について図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0027】
本発明に係る定着装置10を有する画像形成装置1の一例を、図1ないし図7を用いて説明する。図1は、実施例1の定着装置10が搭載された画像形成装置1の一例を示す概略断面図である。この実施例1の画像形成装置1においては、画像形成装置本体1a内に配置された感光体2が反時計方向に回転される。このとき、感光体2では、帯電装置3によって感光体表面が均一に帯電される。この感光体2の帯電面には、レーザ光学系4から出射するレーザ光Lが照射され、これにより感光体2上に静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置5を通ることにより、トナー像として可視像化される。
【0028】
一方、感光体2の下方に配置された給紙カセット6には、例えば転写紙より成る記録媒体Pが収容されている。この給紙カセット6からは、給紙ローラ7の回転により、最上位の記録媒体Pが転写装置8と感光体2との間に送り込まれる。その間を記録媒体Pが通過することにより、その記録媒体Pに感光体2上のトナー像が転写される。この感光体2では、トナー像の転写後に付着する転写残トナーが、クリーニング装置9により除去される。
【0029】
トナー像T(図2参照)が転写された記録媒体Pは、さらに上方に搬送されて定着装置10を通過し、このときトナー像Tが記録媒体Pに定着される。定着装置10を出た記録媒体Pは、ガイド部材12と他のガイド部材とに案内され、排紙ローラ対13によって排紙トレイ11上に排出される。
【0030】
定着装置10は、拡大された図2に示すように、クリーニング部材の一例であるクリーニングローラ14と、定着部材の一例である定着ローラ15と、加圧部材の一例である加圧ローラ16とを有する。この各ローラ14、15、16は、定着装置10の筐体17に対して回転自在に支持され、動作時にはそれぞれ図2に矢印A1、A2、A3で示す方向に回転する。この定着ローラ15の内部には、ヒータ18が設けられ、このヒータによって定着ローラ15がトナー像Tの定着に適した温度に加熱される。
【0031】
加圧ローラ16は、定着ローラ15に対して、後述する圧力伝達部材20からの押圧力を受けることにより圧接した状態と、その圧接力を解除した状態と、の間で移動可能とされている。この圧接力を解除するとは、互いに当接した定着ローラ15と加圧ローラ16との圧接力を弱めるか、または両者を互いに離間させることをいう。
【0032】
また、クリーニングローラ14は、加圧ローラ16に対して、図示を略す付勢手段から付勢されることにより圧接した状態と、その圧接力を解除した状態と、の間で移動可能とされている。この圧接力を解除するとは、定着ローラ15と加圧ローラ16との圧接力の解除のための加圧ローラ16の移動を可能とすべく、互いに当接したクリーニングローラ14と加圧ローラ16との圧接力を弱めるか、または両者を互いに離間させることをいう。このクリーニングローラ14は、後述するように、各圧力解除部材30からの回転付勢により加圧ローラ16からの離間方向へと各圧力伝達部材20(そのローラ嵌合部22)で押圧されていない状態では、図示を略す付勢手段からの付勢により加圧ローラ16に圧接している。
【0033】
この定着装置10では、感光体2から転写されたトナー像Tを担持した記録媒体Pが、そのトナー像Tを定着ローラ15に接する向きで、その定着ローラ15と加圧ローラ16との間に送り込まれる(矢印A4参照)。定着ローラ15と加圧ローラ16の間では、トナーが加熱されるとともに加圧されることにより、トナー像Tが記録媒体Pに定着される。
【0034】
このとき、クリーニングローラ14は、加圧ローラ16に圧接して回転することにより、加圧ローラ16の表面付着物を除去する。この表面付着物は、基本的には加圧ローラ16と記録媒体Pの記録面(トナー像Tが定着される面)の裏側(裏面)との接触により、記録媒体Pから加圧ローラ16の表面に移動した付着物であるが、定着ローラ15と記録媒体Pの記録面との接触により、記録媒体Pから定着ローラ15の表面を経由して加圧ローラ16の表面へ移動した付着物も含まれる。このことから、クリーニングローラ14は、加圧ローラ16の表面の付着物を除去するとともに、定着ローラ15の表面の付着物も除去する機能も有する。
【0035】
このように、定着装置10は、定着部材としての定着ローラ15と、そこに圧接する加圧部材としての加圧ローラ16と、を有し、定着ローラ15と加圧ローラ16との間にトナー像Tを担持した記録媒体Pを通過させることにより、そのトナー像Tを記録媒体Pに定着するように構成されている。また、定着装置10は、クリーニング部材としてのクリーニングローラ14が、定着ローラ15の表面付着物および加圧ローラ16の表面付着物を除去することができるので、画像形成装置1で生成する記録媒体P上の画像における高画質を維持することができる。
【0036】
加圧ローラ16は、上述したように、圧力伝達部材20からの押圧力を受けることにより定着ローラ15に圧接されるとともに、その圧接力が解除可能な構成とされている。その圧力伝達部材20は、実施例1の定着装置10では対を為して設けられている(図3等参照)。一対の圧力伝達部材20は、定着装置10を概略的に示す外観斜視図である図3に示すように、定着装置10の筐体17に形成された挿入口19に挿入されて(図4参照)設けられている。この一対の圧力伝達部材20およびそれが挿入される挿入口19の周辺の構成は、双方が等しいものであることから、図2および図6では一方のみを示し、他方は省略している。なお、図2は、図3のI−I線に沿って得られた断面図に相当する。この挿入口19は、定着装置10の筐体17の長手方向で見た各端部領域に、スリット状に形成されている。
【0037】
この各挿入口19の上方には、嵌合凹所17aが設けられている。この嵌合凹所17aは、後述する圧力解除部材30の嵌合突起部33の嵌合を可能とする凹所であり、奥側(図3を正面視して左斜め上方側)で立ち上がる立壁部17bと、下面を形成する水平壁部17cと、側面を形成する側壁部17dと、立壁部17bの上端から前方(図3を正面視して右斜め手前側)へと突出された鍔壁部17eと、を有する。嵌合凹所17aでは、後述する圧力解除部材30が揺動されると、その嵌合突起部33を鍔壁部17eに係合させ、その当接(係合)箇所を中心として嵌合突起部33を回転させ、当該嵌合突起部33を下方へと押し下げつつ嵌合突起部33の先端を立壁部17bに当接させるように、嵌合突起部33を嵌合させる機能を有する。
【0038】
この嵌合凹所17aの前方には、水平壁部17cと側壁部17dとにより区画されて挿入口19よりも拡径された空間Sが形成されている。この空間Sは、各圧力伝達部材20が挿入口19に挿入された状態において、圧力伝達部材20に揺動自在に設けられる後述する圧力解除部材30が配置される箇所となる。
【0039】
各圧力伝達部材20は、全体に板状を呈し、図5に示すように、下端の係合部21と、その上方のローラ嵌合部22と、上端部の取付孔23と、上端のバネ受け突起部24と、押圧面25と、を有する。この各圧力伝達部材20は、加圧ローラ16と定着ローラ15とを圧接させるべく、加圧ローラ16に大きな加圧力を与えるものである。このため、各圧力伝達部材20は、高い強度が要求されるので、金属材料により形成することが望ましい。
【0040】
圧力伝達部材20の係合部21は、筐体17に固定されたピン26との係合を可能とすべく切り欠かれて形成されている(図2参照)。この係合部21は、下端面21aと上端面21bとの間でのピン26(図2参照)の相対的な移動を許容しつつ係合可能とされており、下端面21aにピン26を当接(係合)させた状態(図2参照)で各圧力伝達部材20をピン26回りに回転自在とすることが可能とされているとともに、上端面21bにピン26を当接(係合)させた状態(図6参照)で各圧力伝達部材20をピン26回りに回転自在とすることが可能とされている。この係合部21は、下端面21aと上端面21bとの間が、後述する圧力伝達部材20における回動中心位置の移動量に応じて設定されている。各圧力伝達部材20は、挿入口19を通して挿入された状態において(図4参照)、係合部21がピン26に係合される(図2参照)。
【0041】
ローラ嵌合部22は、クリーニングローラ14の各軸端部14aの遊嵌を可能とすべく切り欠かれて形成されている(図2参照)。このローラ嵌合部22に設けられた各軸端部14aに対する遊び分は、後述するように、各圧力伝達部材20が下端面21aにピン26を当接させた状態から上端面21bにピン26を当接させた状態へと移行しつつピン26回りに回動される(回動中心位置をずらしつつ回動される)ことから、その移行状態におけるローラ嵌合部22の描く軌跡と各軸端部14aの描く軌跡とのズレを許容するためのものである。
【0042】
取付孔23は、後述する圧力解除部材30のピン32(図3参照)が回転自在に嵌合される箇所である。このため、後述する圧力解除部材30は、圧力伝達部材20に対して揺動可能とされる。
【0043】
バネ受け突起部24は、引張ばね41の一端が係止される箇所である(図2参照)。この引張ばね41は、図2に示すように、加圧ローラ16を定着ローラ15に押圧する加圧力を、各圧力伝達部材20を介して加圧ローラ16へと付与するための付勢部材である。この引張ばね41の他端は、筐体17に係止されている。各圧力伝達部材20は、後述する各圧力解除部材30から下方への付勢力を受けていない状態において、引張ばね41からの付勢力を受けて、係合部21の下端面21aにピン26を当接させた状態で当該ピン26回りに揺動付勢されることにより、加圧ローラ16を押圧する。
【0044】
押圧面25は、引張ばね41により付勢されている圧力伝達部材20において、加圧ローラ16を定着ローラ15に押圧すべく、加圧ローラ16へと加圧力を伝達する箇所である。この押圧面25は、加圧ローラ16の各軸端部16aに嵌合された軸受16bに各圧力伝達部材20が当接(圧接)する箇所となる。各圧力伝達部材20は、引張ばね41からの付勢により図2における反時計方向に揺動付勢されることにより、押圧面25で軸受16bを押圧して加圧ローラ16を定着ローラ15に対して圧接させる。
【0045】
上述したように、各圧力伝達部材20は、定着装置10の筐体17に対して可動に支持されていて、加圧ローラ16を定着ローラ15に押圧する加圧力を加圧ローラ16に伝達する機能を有する。実施例1では、各圧力伝達部材20は、筐体17に対してピン26回りに揺動可能に支持されている。このような構成によって、加圧ローラ16が定着ローラ15に対して圧接し、これらの定着ローラ15と加圧ローラ16との間を通る記録媒体P上のトナー(トナー像T)を加圧することができる。このとき、クリーニングローラ14は、図示を略す付勢手段により加圧ローラ16に圧接している。この圧力伝達部材20から加圧ローラ16への押圧力の伝達すなわち加圧ローラ16と定着ローラ15との圧接力と、クリーニングローラ14と加圧ローラ16との圧接力と、を解除すべく、各圧力解除部材30が設けられている。
【0046】
各圧力解除部材30は、図3に示すように、対を為す圧力伝達部材20のそれぞれに設けられている。この圧力解除部材30は、操作レバー部31と、ピン32と、嵌合突起部33と、を有する。圧力解除部材30は、操作者が手で触れるものであることから、操作性の観点と自身の加熱を抑える観点とから、樹脂材料により形成することが望ましい。
【0047】
圧力解除部材30の操作レバー部31は、加圧ローラ16と定着ローラ15との圧接力およびクリーニングローラ14と加圧ローラ16との圧接力を解除するために、圧力解除部材30を揺動させるべく操作する箇所である。ピン32は、圧力伝達部材20に設けられた取付孔23に回転自在に嵌合することにより、圧力解除部材30を圧力伝達部材20に対して回転自在に支持させるものである。嵌合突起部33は、圧力解除部材30がピン32回りに揺動された際、嵌合凹所17aの鍔壁部17eに係合し、その鍔壁部17eとの当接(係合)箇所を中心とする回転力により、下方へと押し下げられつつ先端を嵌合凹所17aの立壁部17bに当接させるように、嵌合凹所17aに嵌合する機能を有する。以下では、この動作(作用)を、圧力解除部材30の嵌合突起部33が、嵌合凹所17aへと嵌合することにより回転する、ともいう。
【0048】
この圧力解除部材30は、各圧力伝達部材20が挿入口19に挿入された状態(図4参照)において、嵌合凹所17aの前方で水平壁部17cと側壁部17dとにより区画されて挿入口19よりも拡径された空間Sに位置される。このため、圧力解除部材30は、図7に示すように、空間Sにおいて、圧力伝達部材20と筐体17の側壁部17dとの間に位置されている。これにより、圧力伝達部材20の取付孔23に嵌合された圧力解除部材30のピン32が、取付孔23から脱落することを側壁部17dで防止することができる。よって、圧力解除部材30のピン32と圧力伝達部材20の取付孔23との嵌合構造において、特別な脱落防止手段を設けることなく、圧力伝達部材20から圧力解除部材30が脱落することを防止できる。換言すると、定着装置10の筐体17によって、圧力伝達部材20から圧力解除部材30が脱落することを防止できる。ここで、圧力伝達部材20は、引張ばね41によって加圧ローラ16に近接する方向すなわち当該空間S内に位置することを維持する方向への付勢力を常に受けているので、圧力解除部材30は、圧力伝達部材20に組み付けられることにより、確実に脱落が阻止される(図2参照)。このように、圧力伝達部材20から圧力解除部材30が脱落することを防止する特別の手段を設ける必要がないため、定着装置10を簡易な構成とすることができるとともに定着装置10ひいては画像形成装置1のコストを効果的に低減することができる。
【0049】
このように、各圧力解除部材30は、各圧力伝達部材20にそれぞれ回転自在に支持されており、実施例1では各圧力解除部材30は、その周辺の構成により各圧力伝達部材20に対して揺動自在に支持されていることとなる。
【0050】
各圧力解除部材30は、嵌合突起部33が筐体17の嵌合凹所17aに嵌合していない状態では、図2に示すように、各圧力伝達部材20を拘束しておらず換言すると各圧力伝達部材20に対して何らの付勢をしておらず、各圧力伝達部材20が引張ばね41からの付勢により、下端面21aにピン26を当接(係合)させた状態でピン26回りに揺動付勢されて押圧面25で軸受16bを押圧し、加圧ローラ16が定着ローラ15に対して圧接される。
【0051】
ここで、定着ローラ15と加圧ローラ16との間に記録媒体が詰まり、画像形成装置1の作動が停止してこれらのクリーニングローラ14、定着ローラ15および加圧ローラ16の回転が止められたとき、その詰まった記録媒体(以下、ジャム紙という)を除去する必要がある。この場合、実施例1の画像形成装置1では、図1に示すように、ユーザやサービスマンなどの操作者は、画像形成装置本体1aに対してピン42を介して回動開閉可能に支持されたその本体カバー1bを矢印A5方向に回動させて当該本体カバー1bを開き、定着装置10を外部に対して露出させる。次いで、操作者は、操作レバー部31を引っ張り操作することにより、各圧力解除部材30をピン32回りに図2に矢印A6で示す方向に回動させる。すると、各圧力解除部材30では、その嵌合突起部33が筐体17の嵌合凹所17aに嵌合することにより、操作レバー部31への操作力が、嵌合突起部33と嵌合凹所17aとの係合(当接)箇所を中心とする回転力として作用する。詳細には、各圧力解除部材30は、嵌合突起部33が嵌合凹所17aの鍔壁部17eと係合して、その係合箇所を中心として回転することにより、筐体17に対して右斜め下方(本体カバー1bのピン42(図1参照)へと向かう方向)へと押し下げられつつ嵌合突起部33の先端が嵌合凹所17a内の立壁部17bに近接する方向へと移動して、嵌合突起部33が嵌合凹所17aに嵌合する。これにより、ピン32を介して各圧力解除部材30が連結された圧力伝達部材20は、引張ばね41の付勢力およびクリーニングローラ14の図示を略す付勢手段の付勢力に抗して、右斜め下方へと押し下げられる。すると、圧力伝達部材20は、筐体17に固定されたピン26に係合部21の下端面21aを当接させた状態から係合部21の上端面21bにピン26を当接させた状態へと移行しつつピン26回りに回動される。すなわち、圧力伝達部材20は、自身における回動中心位置を、係合部21の内方で下端面21aをピン26に当接させた状態から、同じく上端面21bをピン26に当接させた状態へと移行させつつ、ピン26回りに回動される。このため、各圧力伝達部材20は、図6に示すように、加圧ローラ16すなわち定着ローラ15から遠ざかる向きにピン26回りに回動し、軸受16bに対する押圧面25での押圧力が弱まる、もしくは軸受16bと押圧面25とが離間する。これにより、圧力伝達部材20から加圧力が伝達されることによる定着ローラ15と加圧ローラ16との圧接力を解除することができる。すなわち、定着ローラ15と加圧ローラ16との圧接力が弱められる、または両ローラが互いに離間する。このように、各圧力解除部材30の作動(実施例1では揺動)によって、加圧ローラ16と定着ローラ15との圧接力が解除される向きに圧力伝達部材20が作動する。
【0052】
このとき、圧力伝達部材20は、各軸端部14aをそれが遊嵌されたローラ嵌合部22で押圧することにより、クリーニングローラ14を定着ローラ15に圧接する位置にある加圧ローラ16から離間するように移動させて、クリーニングローラ14と加圧ローラ16との圧接力を解除する。なお、実施例1では、加圧ローラ16と定着ローラ15との圧接力が解除された状態において、クリーニングローラ14が加圧ローラ16から離間するように移動されている。このため、各圧力解除部材30を作動(実施例1では揺動)した際、クリーニングローラ14と加圧ローラ16との圧接力を十分に解除することができ、圧力伝達部材20からの加圧力が弱められることによる加圧ローラ16の定着ローラ15に圧接された状態からの移動を、クリーニングローラ14が阻害することを防止することができるので、加圧ローラ16と定着ローラ15との圧接力を十分に解除することができる。
【0053】
その後、実施例1では、筐体17にピン43を介して回動可能に支持されたガイド部材12を図6に矢印A7で示した方向に回動させることにより、定着ローラ15と加圧ローラ16との間の上方の開口(図示せず)が開放される。これにより、操作者は、定着ローラ15と加圧ローラ16との間から、ジャム紙(図示せず)を容易に除去することができる。この画像形成装置1では、上記した手順と逆の手順(操作)を行うことにより、再び加圧ローラ16を定着ローラ15に圧接させることができる。
【0054】
上述したように、圧力解除部材30は、その揺動により定着装置10の筐体17の嵌合凹所17aと嵌合し、その際の係合箇所を中心とする回転(回転力)によって、クリーニングローラ14と加圧ローラ16との圧接力を解除する向きであるとともに加圧ローラ16と定着ローラ15との圧接力を解除する向きに、圧力伝達部材20を作動させるように構成されている。このため、定着装置10では、圧力解除部材30により圧力伝達部材20を確実に作動させて、定着ローラ15と加圧ローラ16との圧接力を解除することができる。
【0055】
このように、本発明に係る実施例1の定着装置10では、各圧力解除部材30の操作レバー部31を引っ張り操作(図2の矢印A6参照)するだけで、クリーニングローラ14と加圧ローラ16との圧接力を解除するとともに加圧ローラ16と定着ローラ15との圧接力を解除する向きに、圧力伝達部材20を作動させることができる。これについて以下で図8を用いて詳細に説明する。この図8では、ピン26、回動中心位置がずれて回動した後の圧力伝達部材20、圧力解除部材30およびクリーニングローラ14(軸端部14a)を実線で示し、回動前の様子(圧接力が解除される前)を二点鎖線で示し、回動中心位置をずらすことなく回動した場合を一点鎖線で示している。上述したように、操作レバー部31が引っ張り操作されると、嵌合突起部33が筐体17の嵌合凹所17aに嵌合することにより、嵌合突起部33と嵌合凹所17aとの係合箇所を中心として各圧力解除部材30が回転する。この回転により、ピン32を介して各圧力解除部材30に連結された圧力伝達部材20が、右斜め下方へと押し下げられて、回動中心位置を係合部21の内方で下端面21aをピン26に当接させた状態から上端面21bをピン26に当接させた状態へと移行させつつ、ピン26回りに回動される。ここで、圧力伝達部材20では、回動中心位置がずれると押圧面25における軸受16bへの当接位置がずれるが、押圧面25が軸受16bと当接することによる押圧力の伝達状態は維持されている。すなわち、圧力伝達部材20では、基本的に、回動中心位置のずれに拘らず、ピン26回りの回動姿勢(回動角度位置)の変化に伴う押圧面25の回動方向への移動量(符号l1参照)に応じて、定着ローラ15と加圧ローラ16との圧接力を調整(変化)させることとなる。他方、圧力伝達部材20では、回動中心位置をずらしつつピン26回りに回動されることにより、ローラ嵌合部22に嵌合される各軸端部14aすなわちクリーニングローラ14の移動量が、係合部21の下端面21aにピン26に当接させた状態での圧力伝達部材20のピン26回りの回動姿勢(回動角度位置)の変化に伴う移動分(符号l3参照)と、回動中心位置のずれに伴う当該ずれ方向への移動分(符号l4参照)と、を合成することによる移動量(符号l2参照)となる。すなわち、圧力伝達部材20の回動中心位置がずれることにより、定着ローラ15と加圧ローラ16との圧接力の解除に必要な押圧面25の移動量の分だけ圧力伝達部材20を回動させるだけで、単にピン26回りに圧力伝達部材20を回動させた場合(符号l3参照)に比較して、ローラ嵌合部22すなわちクリーニングローラ14の移動量(符号l2参照)を増加させることができ、定着ローラ15と加圧ローラ16との圧接力を解除するのに十分なクリーニングローラ14の移動量を確保することができる。これにより、クリーニングローラ14と加圧ローラ16との圧接力を確実に解除しつつすることができ、加圧ローラ16と定着ローラ15との圧接力を確実に解除する位置まで圧力伝達部材20を作動させることができる。
【0056】
また、実施例1の定着装置10では、圧力伝達部材20における回動中心位置をずらすことにより、クリーニングローラ14における加圧ローラ16との圧接力を解除するのに十分な移動量を確保するものであることから、回動中心(実施例1ではピン26)を一定のまま回動する圧力伝達部材20でクリーニングローラ14を押圧する構成と比較して、クリーニングローラ14の移動のために必要な空間を小さくすることができ、定着装置10ひいては画像形成装置1の小型化に大いに貢献することができる。ここでいうクリーニングローラ14の移動のために必要な空間とは、圧力伝達部材20の回動のための空間と、クリーニングローラ14の移動前後の位置と圧力伝達部材20の回動中心とにより囲まれる空間と、をいう。すなわち、圧力伝達部材20の回動中心の近傍位置でクリーニングローラ14を押圧する構成とすると、圧力伝達部材20の回動量を大きくする必要があり、他方、圧力伝達部材20の回動中心から離間させた位置でクリーニングローラ14を押圧する構成とすると、圧力伝達部材20の回動量は小さくすることができるがクリーニングローラ14の移動前後の位置と回動中心とにより囲まれる空間が大きくなってしまうことから、実施例1の定着装置10に比較して、小型化の妨げとなってしまう。特に、定着装置10では、圧力伝達部材20における回動中心位置を、回動中心から見た半径方向の長さ寸法を減らす方向へとずらすことにより、クリーニングローラ14における加圧ローラ16との圧接力を解除するのに十分な移動量を確保するものであることから、クリーニングローラ14の移動のために必要な空間をより小さくすることができ、定着装置10ひいては画像形成装置1の小型化に大いに貢献することができる。
【0057】
さらに、実施例1の定着装置10では、筐体17に鍔壁部17eを有する嵌合凹所17aを設けるとともに、上記した機能を有するように筐体17に回動中心位置のずれを可能としつつ回動自在に支持された各圧力伝達部材20と、そこに揺動自在に支持された各圧力解除部材30と、を設けるだけであるので、簡単な構成で、クリーニングローラ14と加圧ローラ16との圧接力を確実に解除しつつすることができ、加圧ローラ16と定着ローラ15との圧接力を確実に解除する位置まで圧力伝達部材20を作動させることができる。
【0058】
実施例1の定着装置10では、圧力解除部材30の嵌合突起部33が嵌合されることにより、当該圧力解除部材30を斜め下方へと回転させるように、筐体17に鍔壁部17eを有する嵌合凹所17aを設けるとともに、各圧力伝達部材20の係合部21を下端面21aと上端面21bとの間でのピン26の相対的な移動を許容しつつ係合可能な構成とするだけであることから、簡易な構成で圧力伝達部材20の回動中心位置を、回動中心から見た半径方向の長さ寸法を減らす方向へとずらすことができる。
【0059】
実施例1の定着装置10では、クリーニングローラ14が加圧ローラ16に圧接して回転することから、加圧ローラ16の表面の付着物を除去するとともに、定着ローラ15の表面の付着物も除去することができるので、搭載された画像形成装置1で生成する記録媒体P上の画像における高い画質を維持することができる。
【0060】
したがって、本発明に係る実施例1の定着装置10では、小型化の妨げとなることなく、簡単な構成で、定着ローラ15(定着部材)と加圧ローラ16(加圧部材)との圧接力、および加圧ローラ16(加圧部材)とクリーニングローラ14(クリーニング部材)との圧接力を解除することができる。
【0061】
なお、上記した実施例1では、筐体17に鍔壁部17eを有する嵌合凹所17aが設けられ、かつ各圧力解除部材30に嵌合突起部33が設けられていたが、圧力解除部材30がピン32回りに揺動された際、圧力解除部材30が筐体17に係合し、その係合箇所を中心とする筐体17に対する回転により、圧力伝達部材20における回動中心位置を回動中心から見た半径方向の長さ寸法を減らす方向へとずらすように圧力解除部材30を下方へと押し下げるものであればよく、上記した実施例1に限定されるものではない。
【0062】
また、上記した実施例1では、圧力解除部材30のピン32が円筒形状とされているが、圧力伝達部材20に対して圧力解除部材30を回転自在に支持させるものであればよく、上記した実施例1に限定されるものではない。例えば、ピン32をカム形状とすることにより、圧力伝達部材20の可動範囲を広げることができ、軸受16bの移動範囲すなわち加圧ローラ16の移動範囲を大きくすることができる。
【実施例2】
【0063】
次に、本発明の実施例2に係る画像形成装置1Aについて説明する。この実施例2は、実施例1と同様の定着装置10を搭載しているが、画像形成装置本体1Aaの本体カバー1Abの構成が異なる例である。この実施例2の画像形成装置1Aは、基本的な構成は上記した実施例1の定着装置10および画像形成装置1と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図9は、実施例2の画像形成装置1Aの構成を説明するための模式的な断面図であり、図10は、実施例2の画像形成装置1Aにおいて本体カバー1Abが開放された様子を示す図9と同様の断面図である。
【0064】
実施例2に係る画像形成装置1Aでは、図9および図10に示すように、画像形成装置本体1Aaの本体カバー1Abに、開放側係合爪51と、閉鎖側係合爪52と、が設けられている。開放側係合爪51は、本体カバー1Abを開くとき、定着装置10の圧力解除部材30の操作レバー部31に係合することにより、操作レバー部31を引っ張り操作すなわち圧力解除部材30を解除方向へと揺動させる(図10の矢印A8参照)。また、閉鎖側係合爪52は、開成状態の本体カバー1Abを閉じるとき、定着装置10の圧力解除部材30の操作レバー部31に係合することにより、操作レバー部31を押し込み操作すなわち圧力解除部材30を押圧方向へと揺動させる(図10の矢印A8とは逆の方向)。
【0065】
実施例2の画像形成装置1Aおよび定着装置10では、基本的に実施例1の画像形成装置1および定着装置10と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0066】
それに加えて、実施例2の画像形成装置1Aでは、本体カバー1Abを開けると定着ローラ15(定着部材)と加圧ローラ16(加圧部材)との圧接力、および加圧ローラ16(加圧部材)とクリーニングローラ14(クリーニング部材)との圧接力を解除することができるので、操作者はより容易にジャム紙を処理することができる。
【0067】
また、実施例2の画像形成装置1Aでは、本体カバー1Abを閉めると定着ローラ15(定着部材)と加圧ローラ16(加圧部材)とを圧接させることができるとともに、加圧ローラ16(加圧部材)とクリーニングローラ14(クリーニング部材)とを圧接させることができるので、操作者はより容易に復帰操作をすることができる。
【0068】
したがって、実施例2の定着装置10では、小型化の妨げとなることなく、簡単な構成で、定着ローラ15(定着部材)と加圧ローラ16(加圧部材)との圧接力、および加圧ローラ16(加圧部材)とクリーニングローラ14(クリーニング部材)との圧接力を解除することができる。
【実施例3】
【0069】
次に、本発明の実施例3に係る定着装置10Bについて説明する。この実施例3は、実施例1とは定着装置10Bの構成が異なる例である。この実施例3の定着装置10Bは、基本的な構成は上記した実施例1の定着装置10と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図11は、実施例3の定着装置10Bの構成を説明するための図2と同様の断面図であり、図12は、実施例3の定着装置10Bの構成を説明するための図6と同様の断面図である。
【0070】
実施例3に係る定着装置10Bでは、図11および図12に示すように、実施例1における圧力解除部材30とガイド部材12とが一体的な構成とされた圧力解除部材30Bが設けられている。この圧力解除部材30Bでは、実施例1のガイド部材12に相当するガイド部53が、操作レバー部31B、ピン32に相当するピン(図示せず)および嵌合突起部33Bと一体的に設けられて構成されていることを除くと、実施例1の圧力解除部材30と同様である。このため、定着装置10Bでは、圧力解除部材30Bの操作レバー部31Bを引っ張り操作すると、嵌合突起部33Bの嵌合凹所17aへの嵌合に伴い圧力伝達部材20の回動中心位置がずれつつピン26回りに回動することにより、クリーニングローラ14と加圧ローラ16との圧接力を解除するとともに加圧ローラ16と定着ローラ15との圧接力を解除する向きに、圧力伝達部材20を作動させることができるとともに、ガイド部53を図12に矢印A9で示した方向に回動させることができ、定着ローラ15と加圧ローラ16との間の上方の開口(図示せず)を開放することができる。
【0071】
実施例3の定着装置10Bでは、基本的に実施例1の定着装置10と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0072】
それに加えて、実施例3の定着装置10Bでは、圧力解除部材30Bの操作レバー部31Bを引っ張り操作すると、定着ローラ15(定着部材)と加圧ローラ16(加圧部材)との圧接力、および加圧ローラ16(加圧部材)とクリーニングローラ14(クリーニング部材)との圧接力を解除することができるとともに、定着ローラ15と加圧ローラ16との間の上方の開口(図示せず)を開放することができるので、操作者はより容易にジャム紙を処理することができる。換言すると、定着装置10Bでは、圧力解除動作とガイド部材開放動作とを、1回の操作で行うことができるので、操作性を高めることができる。
【0073】
また、実施例3の定着装置10Bでは、圧力解除部材30Bの操作レバー部31Bを押し込み操作すると、定着ローラ15(定着部材)と加圧ローラ16(加圧部材)とを圧接させることができるとともに、加圧ローラ16(加圧部材)とクリーニングローラ14(クリーニング部材)とを圧接させることができ、かつ定着ローラ15と加圧ローラ16との間の上方の開口(図示せず)を閉鎖することができるので、操作者はより容易に復帰操作をすることができる。換言すると、定着装置10Bでは、圧力復帰動作とガイド部材閉鎖動作とを、1回の操作で行うことができるので、操作性を高めることができる。
【0074】
したがって、実施例3の定着装置10Bでは、小型化の妨げとなることなく、簡単な構成で、定着ローラ15(定着部材)と加圧ローラ16(加圧部材)との圧接力、および加圧ローラ16(加圧部材)とクリーニングローラ14(クリーニング部材)との圧接力を解除することができる。
【実施例4】
【0075】
次に、本発明の実施例4に係る画像形成装置1Cについて説明する。この実施例4は、実施例3と同様の定着装置10Bを搭載しているが、画像形成装置本体1Caの本体カバー1Cbの構成が異なる例である。この実施例4の画像形成装置1Cは、基本的な構成は上記した実施例3と同様の定着装置10Bおよび実施例1の画像形成装置1と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。図13は、実施例4の画像形成装置1Cの構成を説明するための模式的な断面図であり、図14は、実施例4の画像形成装置1Cにおいて本体カバー1Cbが開放された様子を示す図13と同様の断面図である。
【0076】
実施例4に係る画像形成装置1Cでは、図13および図14に示すように、画像形成装置本体1Caの本体カバー1Cbに、開放側係合爪54と、閉鎖側係合爪55と、が設けられている。開放側係合爪54は、本体カバー1Cbを開くとき、定着装置10Bの圧力解除部材30Bの操作レバー部31Bに係合することにより、操作レバー部31Bを引っ張り操作すなわち圧力解除部材30Bを解除方向へと揺動させる(図14の矢印A10参照)。また、閉鎖側係合爪55は、開成状態の本体カバー1Cbを閉じるとき、定着装置10Bの圧力解除部材30Bの操作レバー部31Bに係合することにより、操作レバー部31Bを押し込み操作すなわち圧力解除部材30Bを押圧方向へと揺動させる(図14の矢印A10とは逆の方向)。
【0077】
実施例4の画像形成装置1Cおよび定着装置10Bでは、基本的に実施例1の画像形成装置1および定着装置10と同様の構成であることから、基本的に実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0078】
それに加えて、実施例4の画像形成装置1Cでは、本体カバー1Cbを開けると定着ローラ15(定着部材)と加圧ローラ16(加圧部材)との圧接力、および加圧ローラ16(加圧部材)とクリーニングローラ14(クリーニング部材)との圧接力を解除することができるとともに、定着ローラ15と加圧ローラ16との間の上方の開口(図示せず)を開放することができるので、操作者はより容易にジャム紙を処理することができる。換言すると、定着装置10Bでは、本体カバー開放動作と圧力解除動作とガイド部材開放動作とを、1回の操作で行うことができるので、操作性をより高めることができる。
【0079】
また、実施例4の画像形成装置1Cでは、本体カバー1Cbを閉めると定着ローラ15(定着部材)と加圧ローラ16(加圧部材)とを圧接させることができるとともに、加圧ローラ16(加圧部材)とクリーニングローラ14(クリーニング部材)とを圧接させることができるとともに、定着ローラ15と加圧ローラ16との間の上方の開口(図示せず)を閉鎖することができるので、操作者はより容易に復帰操作をすることができる。換言すると、定着装置10Bでは、本体カバー閉鎖動作と圧力復帰動作とガイド部材閉鎖動作とを、1回の操作で行うことができるので、操作性をより高めることができる。
【0080】
したがって、実施例4の定着装置10Bでは、小型化の妨げとなることなく、簡単な構成で、定着ローラ15(定着部材)と加圧ローラ16(加圧部材)との圧接力、および加圧ローラ16(加圧部材)とクリーニングローラ14(クリーニング部材)との圧接力を解除することができる。
【0081】
なお、上記した各実施例では、本発明に係る定着装置について説明したが、定着部材とそこに圧接する加圧部材とそこに圧接するクリーニング部材とが筐体に収納されて構成され、定着部材と加圧部材との間にトナー像を担持した記録媒体を通過させることによりトナー像を記録媒体に定着し、クリーニング部材が加圧部材に圧接することにより加圧部材の表面付着物を除去する定着装置であって、筐体に対して可動に支持されていて加圧部材を定着部材に押圧する加圧力を加圧部材に伝達する圧力伝達部材と、圧力伝達部材に可動に支持された圧力解除部材とを有し、圧力解除部材の作動により、加圧部材と定着部材との圧接力と加圧部材とクリーニング部材の圧接力とが解除される向きに圧力伝達部材を作動させるように構成するとともに、圧力解除部材は、圧力伝達部材に対する揺動により筐体と係合し、その係合箇所を中心とする筐体に対する回動により、加圧部材と定着部材との圧接力が解除される向きであるとともに加圧部材とクリーニング部材との圧接力が解除されるように、回動中心位置をずらしつつ圧力伝達部材を回動させるように構成された定着装置であればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
【0082】
また、上記した各実施例では、圧力伝達部材20が、全体に板状を呈し、係合部21とローラ嵌合部22と取付孔23とバネ受け突起部24と押圧面25とを有する構成とされていたが、筐体に対して可動に支持されていて加圧部材を定着部材に押圧する加圧力を加圧部材に伝達するものであって、圧力解除部材の作動により加圧部材と定着部材との圧接力と加圧部材とクリーニング部材の圧接力とが解除される向きに作動されるものであればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【0083】
さらに、上記した各実施例では、圧力解除部材30(30B)が、操作レバー部31(31B)とピン32と嵌合突起部33(33B)とを有する構成とされていたが、圧力伝達部材に可動に支持され、圧力伝達部材に対する揺動により筐体と係合し、その係合箇所を中心とする筐体に対する回動により、加圧部材と定着部材との圧接力が解除される向きであるとともに加圧部材とクリーニング部材との圧接力が解除されるように、回動中心位置をずらしつつ圧力伝達部材を回動させるものであればよく、上記した各実施例に限定されるものではない。
【0084】
以上、本発明の撮影装置を実施形態および各実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの各実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【符号の説明】
【0085】
1、1A、1C 画像形成装置
1a、1Aa、1Ca 画像形成装置本体
1b、1Ab、1Cb 本体カバー
10、10B 定着装置
14 (クリーニング部材としての)クリーニングローラ
15 (定着部材としての)定着ローラ
16 (加圧部材としての)加圧ローラ
17 筐体
17a (筐体において圧力解除部材との係合箇所となる)嵌合凹所
17e (筐体において圧力解除部材との係合箇所となる)鍔壁部
20 圧力伝達部材
30、30B 圧力解除部材
P 記録媒体
T トナー像
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】
【特許文献1】特許第4094822号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定着部材と、該定着部材に圧接する加圧部材と、該加圧部材に圧接するクリーニング部材とが筐体に収納されて構成され、前記定着部材と前記加圧部材との間にトナー像を担持した記録媒体を通過させることにより前記トナー像を前記記録媒体に定着し、前記クリーニング部材が前記加圧部材に圧接することにより前記加圧部材の表面付着物を除去する定着装置であって、
前記筐体に対して可動に支持されていて前記加圧部材を前記定着部材に押圧する加圧力を前記加圧部材に伝達する圧力伝達部材と、該圧力伝達部材に可動に支持された圧力解除部材とを有し、
該圧力解除部材の作動により、前記加圧部材と前記定着部材との圧接力と前記加圧部材と前記クリーニング部材の圧接力とが解除される向きに前記圧力伝達部材を作動させるように構成するとともに、
前記圧力解除部材は、前記圧力伝達部材に対する揺動により前記筐体と係合し、その係合箇所を中心とする前記筐体に対する回動により、前記加圧部材と前記定着部材との圧接力が解除される向きであるとともに前記加圧部材と前記クリーニング部材との圧接力が解除される向きに、回動中心位置をずらしつつ前記圧力伝達部材を回動させるように構成したことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記圧力解除部材は、前記圧力伝達部材における回動中心位置を、回動中心から見た半径方向の長さ寸法を減らす方向へとずらすことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記圧力解除部材は、前記記録媒体を案内するガイド部材と一体に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記圧力解除部材は、前記圧力伝達部材に揺動可能に支持されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項5】
前記圧力解除部材は、前記圧力伝達部材に嵌合することにより該圧力伝達部材に揺動可能に組み付けられ、かつ前記筐体によって前記圧力伝達部材からの脱落が防止されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項6】
前記圧力解除部材は、画像形成装置本体の本体カバーの開放動作に連動して作動することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項7】
前記圧力解除部材は、画像形成装置本体の本体カバーの開放動作に連動して前記ガイド部材と共に作動することを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の定着装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
定着部材と、該定着部材に圧接する加圧部材と、該加圧部材に圧接するクリーニング部材とが筐体に収納されて構成され、前記定着部材と前記加圧部材との間にトナー像を担持した記録媒体を通過させることにより前記トナー像を前記記録媒体に定着し、前記クリーニング部材が前記加圧部材に圧接することにより前記加圧部材の表面付着物を除去する定着装置であって、
前記筐体に対して可動に支持されていて前記加圧部材を前記定着部材に押圧する加圧力を前記加圧部材に伝達する圧力伝達部材と、該圧力伝達部材に可動に支持された圧力解除部材とを有し、
該圧力解除部材の作動により、前記加圧部材と前記定着部材との圧接力と前記加圧部材と前記クリーニング部材の圧接力とが解除される向きに前記圧力伝達部材を作動させるように構成するとともに、
前記圧力解除部材は、前記圧力伝達部材に対する揺動により前記筐体と係合し、その係合箇所を中心とする前記筐体に対する回動により、前記加圧部材と前記定着部材との圧接力が解除される向きであるとともに前記加圧部材と前記クリーニング部材との圧接力が解除される向きに、回動中心位置をずらしつつ前記圧力伝達部材を回動させるように構成したことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記圧力解除部材は、前記圧力伝達部材における回動中心位置を、回動中心から見た半径方向の長さ寸法を減らす方向へとずらすことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記圧力解除部材は、前記記録媒体を案内するガイド部材と一体に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記圧力解除部材は、前記圧力伝達部材に揺動可能に支持されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項5】
前記圧力解除部材は、前記圧力伝達部材に嵌合することにより該圧力伝達部材に揺動可能に組み付けられ、かつ前記筐体によって前記圧力伝達部材からの脱落が防止されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項6】
前記圧力解除部材は、画像形成装置本体の本体カバーの開放動作に連動して作動することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項7】
前記圧力解除部材は、画像形成装置本体の本体カバーの開放動作に連動して前記ガイド部材と共に作動することを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の定着装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−186348(P2011−186348A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−53971(P2010−53971)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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