説明

定着装置および画像形成装置

【課題】定着装置の組み立て作業において、作業者が、誤って間違った引っ掛け部に加圧スプリングを引っ掛けるのを防止する。
【解決手段】加圧スプリング23と、工場組み立て時に加圧スプリング23の一端のリング状のフック部23aが引っ掛けられる初期引っ掛け部222aと、加圧力を変更するときに引っ掛けられる第2引っ掛け部222bとを備えたバネ受け部材22と、加圧スプリング23の他端のフック部23bが引っ掛けられる引っ掛け部212を備え、定着装置の加圧ローラ42を加圧する加圧レバー21とを備えた加圧機構20を有している。バネ受け部材22の初期引っ掛け部222aと第2引っ掛け部222bとの間には、加圧スプリング23の一端のフック部23aが引っ掛けられるよう鉤状の形状をし、フック部23aの直径よりも大きな部分を有する阻止部223が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置において、記録紙上に転写されたトナー像を定着する定着装置として熱定着方式の定着装置が用いられている。この熱定着方式の定着装置は、内部に熱源を有した加熱部材たる加熱ローラと、加熱ローラに当接する加圧部材たる加圧ローラとを備え、二つのローラ部材を圧接回転させる構成である。このような構成により、二つのローラ部材の圧接部が形成する加熱ニップを通過する用紙上の未定着トナー像を加熱加圧して定着する。
【0003】
定着性能や用紙搬送性を調整するために、加熱ローラに対する加圧ローラの圧接力を調整できるようにした定着装置が知られている(例えば、特許文献1)。
図16は、従来の定着装置140の一例を示す概略構成図である。
図16に示すように、従来の定着装置140のフレーム143内には、加熱ローラ141及び加圧ローラ142が回転自在に支持されている。また、この定着装置140には、加圧ローラ142を加熱ローラ141側へ加圧するための加圧レバー145が設けられている。加圧レバー145の一端は、フレーム143内に設けられた軸146に揺動可能に支持され、他端側は、フレーム143の外側に突出している。また、加圧レバー145の他端側には、第1引っ掛け部145aと、第2引っ掛け部145bが、並んで設けられている。また、フレーム143の外面には、第1引っ掛け部144aと第2引っ掛け部と144bが並んで設けられたバネ受け部144が設けられている。そして、加圧レバー145の複数の引っ掛け部145a,145bの一つに加圧スプリング147の一端のフック部を引っ掛け、バネ受け部144に設けられた複数の引っ掛け部144a,144bの一つに加圧スプリング147の他端のフック部を引っ掛ける。これにより、加圧ローラ142が加圧レバー145を介して加圧スプリング147により加熱ローラ141へ圧接される。
【0004】
工場出荷時の初期設定時においては、図16に示すように加圧スプリング147は、バネ受け部144の第1引っ掛け部144aと加圧レバー145の第1引っ掛け部145aとに引っ掛けられている。具体的には、まず、加圧スプリング147の一端のフック部を加圧レバー145に通して、加圧レバー145の第1引っ掛け部145aにフック部を引っ掛ける。次に、加圧スプリング147を引っ張って、加圧スプリング147の他端のフック部をバネ受け部144に通して、バネ受け部144の第1引っ掛け部144aに他端のフック部を引っ掛ける。そして、装置のメンテナンス時にサービスマンなどによって、加圧スプリング147の引っ掛ける箇所を例えば、引っ掛け部144bと145bとにすることで、加圧スプリング147の作用長が長くなって加圧ローラ142の加熱ローラ141に対する加圧力が大きくなり、加圧力を調整することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の定着装置140においては、第1引っ掛け部に加圧スプリングのフック部を引っ掛けるときと同じ作業手順で、第2引っ掛け部に加圧スプリングのフック部を引っ掛けることができる。このため、定着装置製造時の組み立て作業において、誤って間違った引っ掛け部(第1引っ掛け部ではなく、第2引っ掛け部)に加圧スプリング147を引っ掛けてしまう場合があった。その結果、このような間違いを検査する必要があり、製造コストが嵩むという課題があった。また、作業者は、誤って間違った引っ掛け部に引っ掛けてしまわないように、気をつけながら組み立て作業を行う必要があり、作業効率が低下するという課題があった。
【0006】
本発明は以上の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、定着装置の組み立て作業において、作業者が、誤って間違った引っ掛け部に加圧スプリングを引っ掛けるのを防止することができる定着装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、定着部材と、該定着部材に圧接してニップ部を形成する加圧部材と、該定着部材に熱を供給する熱供給手段と、揺動自在に支持され、前記加圧部材を前記定着部材側へ加圧する加圧レバーと、一端が、バネ受け部材に設けられた引っ掛け部に引っ掛けられ、他端が、前記加圧レバーに設けられた引っ掛け部に引っ掛けられて、前記加圧レバーを、加圧部材側へ加圧する加圧スプリングとを備え、前記ニップ部に未定着画像を担持する記録体を通過させて定着を行う定着装置において、前記バネ受け部材および前記加圧レバーの少なくとも一方の部材に複数の引っ掛け部を設け、前記複数の引っ掛け部のうち、当該装置の組み立て時に前記加圧スプリングの端部が引っ掛けられる初期引っ掛け部以外の他の引っ掛け部に加圧スプリングの一端を引っ掛けるとき、前記初期引っ掛け部に加圧スプリングの一端を引っ掛けるときと同じ作業手順では、前記他の引っ掛け部に前記加圧スプリングの一端を引っ掛けることができないよう構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、初期引っ掛け部に加圧スプリングの一端を引っ掛けるときと同じ作業手順では、他の引っ掛け部に加圧スプリングの一端を引っ掛けることができないので、装置の組み立て時に間違って、他の引っ掛け部に加圧スプリングの一端部に引っ掛けてしまうのを防止することができる。これにより、作業者は、初期引っ掛け部に正しく引っ掛けていることを気にしながら装置の組み立てを行う必要がない。よって、初期引っ掛け部に正しく引っ掛けていることを気にしながら装置の組み立てを行う場合に比べて、作業効率を高めることができる。また、間違った引っ掛け部に引っ掛けていないかを検査する作業が不要になり、装置の製造コストの削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図2】定着装置の斜視図。
【図3】図2のA−A断面図。
【図4】図2のB−B断面図。
【図5】加圧機構の概略構成図。
【図6】加圧機構と加熱ローラと加圧ローラとを示す概略構成図。
【図7】定着装置の一部を示す外観斜視図。
【図8】加圧スプリングの概略構成図。
【図9】従来の加圧機構の概略構成図。
【図10】従来の加圧機構において、加圧スプリングのフック部を第2引っ掛け部に引っ掛けた様子を示す図。
【図11】本実施形態の加圧機構の寸法関係について説明する図。
【図12】第2引っ掛け部と加圧レバーの引っ掛け部とに加圧スプリングを取り付けるときの手順を説明する図。
【図13】各引っ掛け部の近傍に加圧スプリングのフック部を引っ掛ける順序を示す番号を表示した実施例を示す図。
【図14】第2引っ掛け部を穴形状にした実施例を示す図。
【図15】第2引っ掛け部を穴形状にした実施例の加圧スプリングを示す図。
【図16】従来の定着装置の一例を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照にして本発明の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。図1に示すように、画像形成装置は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、黒(K)の複数色からなるカラートナー像が形成される像担持体である中間転写体としての中間転写ベルト1と、カラートナー像用の各色トナーを補給するトナーボトル2Y,2C,2M,2Kとを、画像形成装置本体内に収納するように構成されている。中間転写ベルト1は張架ローラ1aや中間転写ベルト駆動ローラ1bなどにより回転可能に張架されており、中間転写ベルト駆動ローラ1bが図中反時計回りに回転することで中間転写ベルト1も図中反時計回りに回転する。
【0011】
また、画像形成装置は、画像形成装置本体の下部の給紙トレイ8に積載されて収納された記録紙Sを、中間転写ベルト1に対向する二次転写位置に所定のタイミングで搬送し、中間転写ベルト1上のカラートナー像を記録紙Sに転写しさらに記録紙S上のカラートナー像を定着させて、定着後の記録紙Sを上部から排出するように構成されている。すなわち、画像形成装置の下部から上部に掛けて、1枚の記録紙Sをフィードする給紙コロ7と、トナー像転写用の搬送タイミングを確保するレジストローラ対6と、中間転写ベルト1に接するように中間転写ベルト駆動ローラ1bと対向配置され中間転写ベルト1との間に所定圧を確保した二次転写ニップを形成した2次転写ローラ5と、所定に加熱および加圧する定着装置4と、記録紙Sを装置外部に排出する排紙ローラ対3とが配置されており、記録紙Sに対して、これらのコロやローラによって形成した搬送経路を搬送する過程で、順次、二次転写ニップにより中間転写ベルト1からトナー像を転写し、定着装置4により記録紙S上に転写したトナー像を定着している。
【0012】
カラー画像を形成するための各色を担当してその色のトナー像を形成する4つのカラー画像形成部である画像ステーションとしてプロセスカートリッジ101Y,101C,101M,101Kは、図中の斜め左上がりに傾斜して配設された中間転写ベルト1の長手方向に沿って配置されている。これらのプロセスカートリッジ101Y,101C,101M,101Kからなる各画像ステーションには、像担持体として感光体ドラム13Y,13C,13M,13Kをそれぞれ有している。
【0013】
また、各感光体ドラム13Y,13C,13M,13Kは、中間転写ベルト1を介して一次転写ローラ11Y,11C,11M,11Kに所定圧を確保して接している。感光体ドラム13Y,13C,13M,13Kの回りには、それぞれ専用の帯電装置15Y,15C,15M,15Kと、現像手段としての現像装置10Y,10C,10M,10Kと、感光体をクリーニングするクリーニング手段としての感光体クリーニング装置14Y,14C,14M,14Kとを有している。
【0014】
プロセスカートリッジ101Y,101C,101M,101Kの下方には、各感光体ドラム13Y,13C,13M,13Kの表面をレーザー光によって所定に露光させて静電潜像を書き込む書き込みユニット9が配置されている。
【0015】
また、中間転写ベルト1の長手方向の一方の端部側には、中間転写ベルト1上の残留トナーを収集してクリーニングするクリーニング手段であるベルトクリーニング装置12が、中間転写ベルト1を介して張架ローラ1aに対向して設けられている。
【0016】
現像装置10Y,10C,10M,10Kにトナーを供給するトナーボトル2Y,2C,2M,2Kは、装置内の上部で図中の左側から右側に順次、複数個、配置され、画像形成装置本体に着脱して交換可能に設けられている。これら複数のトナーボトル2Y,2C,2M,2Kそれぞれには、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、黒のトナーが充填されている。各トナーボトル2Y,2C,2M,2Kから図示しない搬送経路を介して、各トナーボトル2Y,2C,2M,2Kに対応した各色の現像装置10Y,10C,10M,10Kにトナー供給可能に接続され、所定の補給量だけ各色のトナーが補給される。
【0017】
このように構成された画像形成装置では、記録紙Sが給紙コロ7でフィードされ、その先端がレジストローラ対6まで到達すると、記録紙Sの先端が図示しないセンサによって検知される。そして、この検出信号に基づき同期のタイミングを取りながら、レジストローラ対6によって記録紙Sを2次転写ローラ5と中間転写ベルト1とにより形成したニップに搬送し、中間転写ベルト1から記録紙Sに中間転写ベルト1上に形成した画像を2次転写する。
【0018】
感光体ドラム13Y,13C,13M,13Kは、あらかじめ帯電装置15Y,15C,15M,15Kによって一様に帯電され、次に書き込みユニット9によって画像データに基づいてレーザー光が露光走査され、感光体ドラム13Y,13C,13M,13K上に静電潜像が作られる。各静電潜像は、それぞれ各色の現像装置10Y,10C,10M,10Kにより現像され、これにより感光体ドラム13Y,13C,13M,13Kの表面にイエロー、シアン、マゼンタ、黒のトナー像が形成される。次に、一次転写ローラ11Y,11C,11M,11Kに電圧が印加され各感光体ドラム13Y,13C,13M,13K上のトナーが、中間転写ベルト1上に順次転写されていく。このとき、各色の作像動作は、そのトナー像が中間転写ベルト1の同じ位置に重ねて転写されるように、中間転写ベルト1の送り方向における上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。中間転写ベルト1上に形成されたトナー画像は、2次転写ローラ5が対向する二次転写位置まで搬送され、記録紙Sに2次転写される。各色からなるカラートナー像が転写された記録紙Sは定着装置4に搬送されてそのトナー像が圧力と熱とにより定着され、排紙ローラ対3で排紙される。
【0019】
図2は、定着装置4の斜視図であり、図3は図2のA−A断面図であり、図4は、図2のB−B断面図である。
図3に示すように、定着装置4は、ケース44内部に定着部材たる加熱ローラ41と、加熱ローラ41に圧接してニップ部としての定着ニップを形成する加圧部材たる加圧ローラ42とを備えている。これらのローラ41,42は定着装置4のケース44に対して回転自在に支持され、それぞれ図3に矢印で示す方向に回転する。また、加熱ローラ41の内部には加熱ローラ41に熱を供給する熱供給手段としてのヒータ43が設けられ、このヒータ43によって加熱ローラ41がトナー像の定着に適した温度に加熱される。また、定着装置4は、加圧ローラ42を加熱ローラ41へ向けて加圧する加圧機構20を備えている。このように、定着装置4は、加熱ローラ41と、加熱ローラ41に圧接する加圧ローラ42とを有し、加熱ローラ41と加圧ローラ42との間にトナー像を担持した記録紙Sを通過させることによりトナー像を記録紙Sに定着するように構成されている。
【0020】
図5は、加圧機構20の概略構成図である。図6は、加圧機構20と加熱ローラ41と加圧ローラ42を示す概略構成図であり、図7は、定着装置4の一部を示す外観斜視図である。図8は、加圧スプリング23の概略構成図である。
加圧機構20は、ケース44の軸方向に直交する両側面に設けらており、加圧レバー21と、バネ受け部材22と、加圧スプリング23とを備えている。
図4に示すように加圧ローラ42の軸42aの両端部は、軸受部材45に回転自在に支持されており、軸受部材45は、ケース44の側面に設けられた略矩形状の孔部44a(図7参照)にスライド可能に支持されており、軸受部材45の軸受部と反対側には、加圧レバー21が当接している。
【0021】
図5、図6に示すように、バネ受け部材22は、板金からなり、定着ニップに搬送される記録紙Sの紙面に直交する方向に延びる取り付け部22aと、記録紙搬送方向に延びるバネ受け部22bとを備えた略L字形状を有している。バネ受け部材22の取り付け部22aには、ケース側面から外側に向けて突出する位置決め突起44bにはめ込まれる位置決め孔221aが設けられている。また、取り付け部22aは、ケース44の側面から外側に突出した外縁部44cの段差に沿うように形成された段差部221bを有している。バネ受け部材22のバネ受け部22bの先端には、加圧スプリング23の一端のフック部23aを引っ掛けるための凹状の2個の引っ掛け部222a,222bを設けている。バネ受け部22bは、外縁部44cに設けられた切り欠き44dに挿入され、先端の2個の引っ掛け部222a,222bが、外縁部44cよりも外側に突出して、ケース44に取り付けられる。
【0022】
加圧レバー21は、板金からなり、一端にケース側面から内側に突出した円柱状の支持ピン44eの形状に沿って当接する半円形状に窪んだ凹部211が形成され、他端に加圧スプリング23の他端のフック部が引っ掛かる凹状の引っ掛け部212が設けられている。
【0023】
図8に示すように、加圧スプリング23は、引っ張りバネであり、両端にリング状のフック部23a,23bが形成されている。そして、一端のフック部23aが、バネ受け部材22のいずれかの引っ掛け部222a,222bに引っ掛けられ、他端のフック部23bが、加圧レバー21の引っ掛け部212に引っ掛けられている。
【0024】
加圧スプリング23の取り付けは、以下のように行う。すなわち、まず、加圧スプリング23の他端に設けられたリング状のフック部23bを、加圧レバー21の先端から通して、加圧レバー21の引っ掛け部212にフック部23bを引っ掛ける。次に、加圧スプリング23を引っ張って、加圧スプリング一端のリング状のフック部23aを、バネ受け部材22のバネ受け部22b先端に通して、引っ掛け部222aに引っ掛ける。
【0025】
バネ受け部材22は、加圧スプリング23により、位置決め突起44bを中心して、図中時計回りに回転させるような付勢力を受けるが、バネ受け部材22の取り付け部22aの段差部221bおよびバネ受け部22bのケース外縁部44cの切り欠き44dと対向する箇所が、ケース44の外縁部44cに突き当る。これにより、バネ受け部材22は、ケース側面に位置決め固定される。
【0026】
一方、加圧レバー21は、加圧スプリング23により、支持ピン44eを中心として反時計回りに回転させるような付勢力を受ける。これにより、加圧レバー21に当接する軸受部材45が、加圧レバー21により加熱ローラ41側へ押圧され、加圧ローラ42が、加熱ローラ41側へ加圧される。これにより、加圧ローラ42が、加熱ローラ41に対して所定の加圧力で当接する。
【0027】
図9は、従来の加圧機構20Aの概略構成図である。
図に示すように、従来の加圧機構20Aは、バネ受け部材22に設けられた2個の引っ掛け部222a,222bは、並んで設けられており、先端側に設けられた引っ掛け部222a(以下、初期引っ掛け部という)へも、初期引っ掛け部222aに並んで設けられた引っ掛け部222b(以下、第2引っ掛け部という)へも、加圧スプリングの他端のフック部を加圧レバー21の引っ掛け部212に引っ掛けた状態で加圧スプリング23の一端のフック部23aを引っ掛けることができる構成となっている。上記初期引っ掛け部222aは、工場出荷時に加圧スプリング23のフック部23aが引っ掛けられる箇所であり、この初期引っ掛け部222aに加圧スプリング23のフック部23aを引っ掛けることにより、加圧ローラ42は、初期設定の加圧力で加熱ローラ41に当接することができる。また、他の引っ掛け部である第2引っ掛け部222bは、装置のメンテナンス時になどにおいて、加圧力を変更するときに加圧スプリング23のフック部23aが引っ掛けられる箇所であり、この第2引っ掛け部222bに加圧スプリング23のフック部23aが引っ掛けられることにより、加圧スプリング23の作用長が長くなって加圧ローラ42の加熱ローラ41に対する加圧力が大きくなり、加圧力を調整することができる。
【0028】
しかしながら、従来の加圧機構20Aは、初期引っ掛け部222aに加圧スプリング23の一端のフック部23aを引っ掛けるときと同じ作業手順で、第2引っ掛け部222bにフック部23aを引っ掛けることができる構成である。このため、工場での組み立て作業時において、加圧スプリング23の一端を加圧レバー21の引っ掛け部212に引っ掛けた後、加圧スプリング23を引っ張って、バネ受け部材22の初期引っ掛け部222aに加圧スプリング23のフック部23aを引っ掛けるときに、ほんの少し加圧スプリング23の取り付け姿勢がローラ側に傾いただけで、加圧スプリング23のフック部23aが本来の引っ掛ける箇所ではない第2引っ掛け部222bに引っ掛けてしまうおそれがあった(図10参照)。このため、作業者は、第2引っ掛け部222bに加圧スプリング23のフック部23aを引っ掛けてしまわないよう、注意して作業したり、加圧スプリング23のフック部23aを引っ掛けた後、初期引っ掛け部222aに正しくフック部23aが引っかかっているかを目視で確認したりする必要があり、作業効率が悪かった。
【0029】
そこで、本実施形態の加圧機構20は、加圧スプリング23の他端のフック部23bを加圧レバー21の引っ掛け部212に引っ掛けた状態で、第2引っ掛け部222bに加圧スプリング23の一端のフック部23aに引っ掛けることができないよう構成した。
【0030】
具体的には、図5に示すように、初期引っ掛け部222aと第2引っ掛け部222bとの間に、第2引っ掛け部222bへの引っ掛けを阻止する阻止部223を設けたものである。
【0031】
この阻止部223は、バネ受け部22bの先端よりも突出しており(図11に示すB<C)、先端223aが第2引っ掛け部222bの一部を覆うように、バネ受け部22bの先端から離間する方向へ延びた鉤状の形状をしている。また、図11に示すように、バネ受け部22bの加圧レバー側側面から阻止部223の先端部までの長さCを、図8に示すフック部23aの直径Aをよりも大きくしている(A<C)。これにより、加圧スプリング23の他端のフック部23bを、加圧レバー21の引っ掛け部212に引っ掛けた状態で、加圧スプリング23の一端のフック部23aを第2引っ掛け部222bに引っ掛けようとしても、阻止部223によりフック部23aの移動を阻止し、フック部23aが、第2引っ掛け部222bまで通されることはない。これにより、工場での組み立て時において、加圧スプリング23の他端のフック部23bを、加圧レバー21の引っ掛け部212に引っ掛けた状態で、加圧スプリング23の一端のフック部23aを初期引っ掛け部222aに引っ掛けるよう作業仕様書などにより指示することにより、第2引っ掛け部222bにフック部23aを引っ掛けるのを防止することができる。よって、第2引っ掛け部222bに加圧スプリング23のフック部23aを引っ掛けてしまわないよう、注意して作業したり、加圧スプリング23のフック部23aを引っ掛けた後、初期引っ掛け部222aにフック部23aが引っかかっているかを目視で確認したりする必要がなくなり、作業効率を向上させることができる。
【0032】
また、装置のメンテナンス時になどで、初期引っ掛け部222aから第2引っ掛け部222bへフック部23aの引っ掛け箇所を変更する場合は、次のようにして、加圧スプリング23を各引っ掛け部212,222bに引っ掛ければよい。すなわち、まず、加圧スプリング23をバネ受け部22bの延びる方向と平行にして、フック部23aを、阻止部223の先端223aに通し、阻止部223にフック部23aを引っ掛ける。阻止部223は、上述したように、鉤形状をしており、フック部23aが引っ掛けられるような形状となっている。
【0033】
このように、阻止部223の先端223aにフック部23aを通して、フック部23aを阻止部223に引っ掛けたら、図12に示すように、加圧スプリング23のフック部23aの阻止部223との当接箇所Aを支点にして図中時計回りに回転させ、フック部23aをバネ受け部22bの先端に通す。図11に示すように、加圧スプリング23の回転の支点A(フック部23aの阻止部223との当接箇所)から、バネ受け部22bの先端までの距離Dを、フック部23aの直径Aよりも短くしている(D<A)ので、フック部23aをバネ受け部22bの先端から、第2引っ掛け部223へ通すことができる。
【0034】
本実施形態においては、阻止部223を鉤状の形状にして、阻止部223にフック部23aが引っ掛けられる箇所を設けることで、当接箇所Aを支点にして加圧スプリングを回転させているときに、フック部23aが阻止部223を移動して、阻止部223から外れてしまうのを防止することができる。
【0035】
フック部23aを第2引っ掛け部223に通して、フック部23aを第2引っ掛け部223に引っ掛けたら、加圧スプリング23を引っ張って、加圧スプリング23の他端のフック部23bを、加圧レバー21の先端から、加圧レバー21の引っ掛け部212へ通して、加圧レバー21の引っ掛け部212に引っ掛ける。これにより、加圧スプリング23を、加圧レバー21の引っ掛け部212と第2引っ掛け部222bとの引っ掛けることができ、加圧ローラ42の加熱ローラ41に対する加圧力を変更することができる。
【0036】
また、バネ受け部の先端の長さBを他の部分よりも短くしたので、初期引っ掛け部222aに加圧スプリングの一端を引っ掛けるとき、加圧スプリング23のフック部23aを容易にバネ受け部22bの先端に通すことができ、容易にフック部23aを初期引っ掛け部222aに引っ掛けることができる。
【0037】
本実施形態のバネ受け部材22の寸法の関係をまとめると、B<D<A<Cの関係となっている(図11参照)。バネ受け部材22の寸法関係をB<D<A<Cの関係とすることで、加圧レバーの引っ掛け部に加圧スプリングのフック部を引っ掛けた状態で、バネ受け部材の第2引っ掛け部に引っ掛けることをできなくし、かつ、初期引っ掛け部には、容易に引っ掛けることができる。また、図12に示すように、阻止部223に加圧スプリング23のフック部23aを引っ掛けて加圧スプリング23を回転させることで、フック部23aをバネ受け部22bの先端から、第2引っ掛け部222bへ通して、フック部23aを第2引っ掛け部222bに引っ掛けることができる。
【0038】
また、図13に示すように、加圧スプリング23のフック部23a,23bを引っ掛ける順序を示す番号を、各引っ掛け部212,222a,222bの近傍に表示してもよい。これにより、装置のメンテナンス時に加圧スプリング23の他端のフック部23bを加圧レバー21の引っ掛け部212に引っ掛けてから、第2引っ掛け部222bに一端のフック部23aを引っ掛けようとするような事態を回避することができる。これにより、第2引っ掛け部222bに一端のフック部23aを引っ掛けることができずに悩んだり、強引に第2引っ掛け部222bに引っ掛けようとして、装置を破損してしまったりするのを抑制することができる。
【0039】
また、図14に示すように、第2引っ掛け部222bを穴形状にし、図15に示すように加圧スプリング23の一端のフック部23aを、リング状の一部を切り欠いたような鉤状の形状にしてもよい。この場合、初期引っ掛け部222aに加圧スプリング23の一端のフック部23aを引っ掛けるときは、上述と同様に、加圧スプリング23を引っ張り、フック部23aをバネ受け部22bの先端に通して、加圧スプリング23の引っ張りを解除することで、フック部23aを初期引っ掛け部222aに引っ掛けることができる。一方、第2引っ掛け部222bにフック部23aを引っ掛けるときは、加圧スプリング23を引っ張りながら、フック部23a先端を穴形状の第2引っ掛け部222bに通すことで、第2引っ掛け部222bにフック部23aを引っ掛けることができる。このような構成でも、初期引っ掛け部222aにフック部23aを引っ掛けるときと、第2引っ掛け部222bにフック部23aを引っ掛けるときとで、作業手順を異ならせることができる。よって、工場での組み立て作業において、作業者が誤って第2引っ掛け部222bに加圧スプリング23のフック部23aを引っ掛けてしまうのを防止できる。従って、第2引っ掛け部222bに加圧スプリング23のフック部23aを引っ掛けてしまわないよう、注意して作業したり、加圧スプリング23のフック部23aを引っ掛けた後、初期引っ掛け部222aにフック部23aが引っかかっているかを目視で確認したりする必要がなくなり、作業効率を向上させることができる。
【0040】
本実施形態においては、阻止部223を加圧レバー21から離間する方向に延ばしているが、バネ受け部22bの初期引っ掛け部222aと第2引っ掛け部222bとの間に加圧スプリング23のフック部23aの直径よりも大きな部分を設けてあれば、加圧レバー21の引っ掛け部212に加圧スプリング23の他端のフック部23bを引っ掛けた状態で、加圧スプリング23の一端のフック部23aを、バネ受け部22bの第2引っ掛け部222bに引っ掛けるのを阻止することができる。例えば、図9に示すような構成において、バネ受け部22bの初期引っ掛け部222aと第2引っ掛け部222bとの間に紙面と直交する方向に突出するように阻止部を設けてもよい。阻止部のバネ受け部22bからの突出量(高さ)をフック部23aの直径よりも大きくする。これにより、加圧レバー21の引っ掛け部212に加圧スプリング23の他端のフック部23bを引っ掛けた状態で、バネ受け部22bに一端のフック部23aを通していったとき、阻止部をフック部23aが通らないので、第2引っ掛け部222bにフック部23aを引っ掛けてしまうことはない。また、第2引っ掛け部222bに加圧スプリング23の一端のフック部23aを引っ掛ける場合は、阻止部にフック部23aを引っ掛けた後、フック部23aの阻止部との当接箇所を支点にして加圧スプリング23を紙面と直交する方向に回転させて、フック部23aをバネ受け部22bに通す。このときも、阻止部とフック部との当接箇所からバネ受け部の先端までの距離を、フック部23aの直径よりも短くすることにより、フック部23aをバネ受け部22bの先端から第2引っ掛け部222bに通すことができる。これにより、第2引っ掛け部222bに加圧スプリング23のフック部23aを引っ掛けることができる。
【0041】
また、本実施形態においては、バネ受け部材22に複数の引っ掛け部を設け、加圧レバー21に一つの引っ掛け部を設けた構成であるが、加圧レバーに複数の引っ掛け部を設け、バネ受け部材に一つの引っ掛け部を設けた構成でもよい。また、本実施形態においては、バネ受け部材に引っ掛け部を2つ設けた構成であるが、3個以上設けた構成であってもよい。さらに、加圧レバー、バネ受け部材それぞれに複数の引っ掛け部を設けた構成でもよい。この場合、加圧レバーとバネ受け部材の先端側にそれぞれ初期引っ掛け部を設け、初期引っ掛け部と第2引っ掛け部との間にそれぞれ阻止部を設ける。工場出荷時においては、加圧レバーの初期引っ掛け部とバネ受け部材の初期引っ掛け部とに引っ掛ける。装置のメンテナンス時においては、装置の状態により、加圧レバーの第2引っ掛け部とバネ受け部材の初期引っ掛け部とに加圧スプリングを引っ掛けるか、バネ受け部材の第2引っ掛け部と加圧レバーの初期引っ掛け部に引っ掛けるかすることで、加圧力を調整することができる。
【0042】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(1)
加熱ローラなどの定着部材と、定着部材に圧接してニップ部を形成する加圧ローラなどの加圧部材と、定着部材に熱を供給するヒータなどの熱供給手段と、揺動自在に支持され、加圧部材を定着部材側へ加圧する加圧レバーと、一端が、加圧レバーに設けられた引っ掛け部に引っ掛けられ、他端がバネ受け部材に設けられた引っ掛け部に引っ掛けられて、加圧レバーを、加圧部材側へ加圧する加圧スプリングとを備え、ニップ部に未定着画像を担持する記録紙などの記録体を通過させて定着を行う。また、バネ受け部材および加圧レバーの少なくとも一方の部材(本実施形態においてはバネ受け部材)に複数の引っ掛け部を設け、複数の引っ掛け部のうち、当該装置の組み立て時に加圧スプリングの端部が引っ掛けられる初期引っ掛け部以外の他の引っ掛け部(本実施形態では、第2引っ掛け部)に加圧スプリングの一端を引っ掛けるとき、初期引っ掛け部に加圧スプリングの一端を引っ掛けるときと同じ作業手順では、他の引っ掛け部に引っ掛けることができないよう構成した。かかる構成を備えることで、上述したように、定着装置の組み立て作業において、作業者が間違って他の引っ掛け部に加圧スプリングを引っ掛けてしまうのを防止することができる。これにより、作業者は、初期引っ掛け部に正しく引っ掛けていることを気にしながら、装置の組み立てを行う必要が無くなり、初期引っ掛け部に正しく引っ掛けていることを気にしながら、装置の組み立てを行う場合に比べて、作業効率を高めることができる。また、間違った引っ掛け部に引っ掛けていないかを検査する作業が不要になり、装置の製造コストの削減を図ることができる。
【0043】
(2)
また、上記(1)に記載の態様において、バネ受け部材および前記加圧レバーのいずれか一方の部材(本実施形態では、バネ受け部材)に複数の引っ掛け部があり、他方の部材(本実施形態では、加圧レバー)は、引っ掛け部が一つ設けられたものであって、一方の部材に設けられた他の引っ掛け部には、他方の部材の引っ掛け部に加圧スプリングの他端部を引っ掛けた状態で、加圧スプリングの一端部を引っ掛けることができないように構成した。これにより、工場での組み立て作業時においては、引っ掛け部が一つ設けられた他方の部材の引っ掛け部に加圧スプリングの他端を引っ掛けてから、一方の部材の初期引っ掛け部に加圧スプリングの一端を引っ掛けるようにすれば、工場での組み立て時において、初期引っ掛け部以外の引っ掛け部に加圧スプリングの一端を引っ掛けてしまうのを防止することができる。
【0044】
(3)
また、上記(2)に記載の態様において、加圧スプリングの一端は、リング状のフック部を有しており、複数の引っ掛け部は、一方の部材に並べて設けられており、初期引っ掛け部は、他の引っ掛け部よりも前記一方の部材の端部側に設けられ、加圧スプリングのフック部を、一方の部材の初期引っ掛け部が形成された側の端部から初期引っ掛け部へ通すことで、フック部が、初期引っ掛け部に引っ掛けられるよう一方の部材を構成し、初期引っ掛け部と初期引っ掛け部に隣接する他の引っ掛け部との間にフック部の直径よりも長い部分有し、一方の部材に通されたフック部が、他の引っ掛け部へ移動するのを阻止する阻止部を設けた。これにより、引っ掛け部が一つ設けられた他方の部材の引っ掛け部に加圧スプリングの他端を引っ掛けてから、一方の部材の引っ掛け部に加圧スプリングの一端を引っ掛ける場合、初期引っ掛け部以外の引っ掛け部に引っ掛けようとしても、阻止部によりフック部が初期引っ掛け部以外の引っ掛け部まで移動する阻止ことができる。よって、他方の部材の引っ掛け部に加圧スプリングの他端部を引っ掛けた状態で、一方の部材に設けられた他の引っ掛け部に、加圧スプリングの一端部を引っ掛けることができないようにすることができる。
【0045】
(4)
また、上記(3)に記載の態様において、一方の部材の阻止部に、加圧スプリングのフック部を引っ掛けることができる箇所が設けられており、加圧スプリングのフック部を阻止部に引っ掛けて、加圧スプリングのフック部の阻止部との当接箇所を支点にして回転させることで、他の引っ掛け部にフック部を通すことができるよう一方の部材を構成した。これにより、他の引っ掛け部に加圧スプリングのフック部を引っ掛けることができる。
【0046】
(5)
また、上記(4)に記載の態様において、加圧スプリングを回転させるときの支点から、一方の部材の初期引っ掛け部が形成された側の端部までの距離を、フック部の直径以下にした。かかる構成とすることにより、加圧スプリングのフック部の阻止部との当接箇所を支点にして回転させることで、加圧スプリングのリング状のフック部を、他の引っ掛け部へ通して、他の引っ掛け部に引っ掛けることができる。
【0047】
(6)
また、上記(4)または(5)に記載の態様において、阻止部は、先端が、初期引っ掛け部が形成された側の端部から離間する方向に延設した鉤形状をしており、阻止部の先端の長さを、フック部の直径以下にした。阻止部を鉤形状にすることにより、フック部の阻止部との当接箇所を支点にして回転させるとき、フック部がスライドして阻止部から外れるのを防止することができる。また、阻止部の先端の長さを、フック部の直径以下とすることにより、フック部を容易に阻止部に通し、フック部を阻止部に引っ掛けることができる。
【0048】
(7)
また、上記(1)乃至(6)いずれかに記載の態様において、一方の部材の初期引っ掛け部が形成された側の端部を他の部分よりも短くした。これにより、一方の部材の先端から容易に加圧スプリングのフック部を通すことができ、容易に初期引っ掛け部にフック部を引っ掛けることができる。
【0049】
(8)
上記(1)に記載の態様において、初期引っ掛け部を切り欠き形状にし、その他の引っ掛け部を孔形状にした。かかる構成にしても、その他の引っ掛け部に加圧スプリングの一端を引っ掛ける場合と、初期引っ掛け部に加圧スプリングの一端を引っ掛ける場合とで、引っ掛け易さを異ならせることができ、定着装置の組み立て作業において、作業者が間違った引っ掛け部に加圧スプリングを引っ掛けてしまうのを抑制することができる。
【0050】
(9)
上記(3)乃至(7)に記載の態様において、加圧スプリングを引っ掛け部に引っ掛ける順序を、引っ掛け部の近傍に表示した。これにより、作業者は、加圧スプリングの引っ掛け部に引っ掛ける順序を確認しながら、加圧スプリングの端部を引っ掛け部に引っ掛けることができる。これにより、加圧スプリングの他端を他方の部材の引っ掛け部に引っ掛けた状態で、一方の部材のその他の引っ掛け部に引っ掛けようとすることを抑制することができる。これにより、その他の引っ掛け部に引っ掛けることができず、悩んだり、無理にその他の引っ掛け部に引っ掛けようとして、装置を破損してしまったりするのを抑制することができる。
【0051】
(10)
記録紙などの記録部材にトナー像を形成するトナー像形成手段と、記録部材に形成された未定着トナー像を記録部材に定着させる定着装置などの定着手段とを備えた画像形成装置において、上記定着手段として、上記(1)乃至(9)いずれかに記載の態様の定着装置を用いた。なお、本実施形態においては、上記トナー像形成手段を、4つのプロセスカートリッジ、書き込みユニット、中間転写ベルト、4つの一次転写ローラ、2次転写ローラ5で構成した。
かかる構成を備えることで、初期不良のない良好な画像を得ることができる。
【符号の説明】
【0052】
1:中間転写ベルト
4,140:定着装置
5:2次転写ローラ
9:書込みユニット
20,20A:加圧機構
21,145:加圧レバー
22:バネ受け部材
22a:取り付け部
22b,144:バネ受け部
23,147:加圧スプリング
23a,23b:フック部
41,141:加熱ローラ
42,142:加圧ローラ
43:ヒータ
44:ケース
44a:孔部
44b:位置決め突起
44c:外縁部
44d:切り欠き
44e:支持ピン
45:軸受部材
101:プロセスカートリッジ
144:バネ受け部
144a,145a:第1引っ掛け部
144b,145b:第2引っ掛け部
211:凹部
212:引っ掛け部
221a:位置決め孔
221b:段差部
222a:初期引っ掛け部
222b:第2引っ掛け部
223:阻止部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0053】
【特許文献1】特開平8−006426号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定着部材と、
該定着部材に圧接してニップ部を形成する加圧部材と、
該定着部材に熱を供給する熱供給手段と、
揺動自在に支持され、前記加圧部材を前記定着部材側へ加圧する加圧レバーと、
一端が、バネ受け部材に設けられた引っ掛け部に引っ掛けられ、他端が、前記加圧レバーに設けられた引っ掛け部に引っ掛けられて、前記加圧レバーを、加圧部材側へ加圧する加圧スプリングとを備え、
前記ニップ部に未定着画像を担持する記録体を通過させて定着を行う定着装置において、
前記バネ受け部材および前記加圧レバーの少なくとも一方の部材に複数の引っ掛け部を設け、前記複数の引っ掛け部のうち、当該装置の組み立て時に前記加圧スプリングの端部が引っ掛けられる初期引っ掛け部以外の他の引っ掛け部に加圧スプリングの一端を引っ掛けるとき、前記初期引っ掛け部に加圧スプリングの一端を引っ掛けるときと同じ作業手順では、前記他の引っ掛け部に前記加圧スプリングの一端を引っ掛けることができないよう構成したことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
請求項1の定着装置において、
前記バネ受け部材および前記加圧レバーのいずれか一方の部材に複数の引っ掛け部を設け、他方の部材に一つの引っ掛け部を設け、
前記一方の部材に設けられた前記他の引っ掛け部には、前記他方の部材の引っ掛け部に前記加圧スプリングの他端を引っ掛けた状態で、前記加圧スプリングの一端を引っ掛けることができないように構成したことを特徴とする定着装置。
【請求項3】
請求項2の定着装置において、
前記加圧スプリングの一端は、リング状のフック部を有しており、
前記複数の引っ掛け部は、前記一方の部材に並べて設けられており、
前記初期引っ掛け部は、前記他の引っ掛け部よりも前記一方の部材の端部側に設けられ、
前記加圧スプリングのフック部を、前記一方の部材の前記初期引っ掛け部が形成された側の端部から前記初期引っ掛け部へ通すことで、前記フック部が、前記初期引っ掛け部に引っ掛けられるよう前記一方の部材を構成し、
前記初期引っ掛け部と前記初期引っ掛け部に隣接する他の引っ掛け部との間に前記フック部の直径よりも長い部分有し、前記一方の部材に通された前記フック部が、前記他の引っ掛け部へ移動するのを阻止する阻止部を設けたことを特徴とする定着装置。
【請求項4】
請求項3の定着装置において、
前記一方の部材の阻止部に、前記加圧スプリングのフック部を引っ掛けることができる箇所が設けられており、
前記加圧スプリングのフック部を前記阻止部に引っ掛けて、前記加圧スプリングのフック部の前記阻止部との当接箇所を支点にして回転させることで、前記他の引っ掛け部に前記フック部を通すことができるよう前記一方の部材を構成したことを特徴とする定着装置。
【請求項5】
請求項4の定着装置において、
前記加圧スプリングを回転させるときの支点から、前記一方の部材の前記初期引っ掛け部が形成された側の端部までの距離を、前記フック部の直径以下にしたことを特徴とする定着装置。
【請求項6】
請求項4または5の定着装置において、
前記阻止部は、先端が、前記初期引っ掛け部が形成された側の端部から離間する方向に延設した鉤形状をしており、前記阻止部の先端の長さを、前記フック部の直径以下にしたことを特徴とする定着装置。
【請求項7】
請求項3乃至6いずれかの定着装置において、
前記一方の部材の前記初期引っ掛け部が形成された側の端部を他の部分よりも短くしたことを特徴とする定着装置。
【請求項8】
請求項1の定着装置において、
前記初期引っ掛け部を切り欠き形状にし、その他の引っ掛け部を孔形状にしたことを特徴とする定着装置。
【請求項9】
請求項3乃至7いずれかの定着装置において、
前記加圧スプリングを引っ掛け部に引っ掛ける順序を、前記引っ掛け部の近傍に表示したことを特徴とする定着装置。
【請求項10】
記録部材にトナー像を形成するトナー像形成手段と、記録部材に形成された未定着トナー像を記録部材に定着させる定着手段とを備えた画像形成装置において、
上記定着手段として、請求項1乃至9いずれかの定着装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−7979(P2013−7979A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142365(P2011−142365)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】