説明

定着装置及びそれを用いた画像形成装置

【課題】転写材上の液体現像剤像を定着強度ムラ、光沢ムラの発生を防止して定着する定着装置とそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】定着装置において、転写手段により液体現像剤像が転写された転写材を定着する第1の定着ローラと、前記第1の定着ローラで定着された転写材を定着するn(n≧2の整数)個の定着ローラと、を有し、前記第1の定着ローラはローラの軸方向に延在とする溝を有する基部と、前記基部上に配された樹脂層または弾性材層を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写材に転写された液体現像剤像を加熱定着する定着装置とそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
転写材上に転写された液体現像剤像を熱定着するための定着装置として、転写材搬送方向の上流側から下流側方向に順に、溶媒析出手段としてのプレ加熱部、キャリア除去手段としてのキャリア除去部、加熱定着手段としての加熱定着部を配した定着装置が提案されている。
【特許文献1】特開2003−167456号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来技術の定着装置においては、プレ加熱手段の表層がフッ素コート系、PVFEコートなどの表面エネルギーの低い材料で形成されているため、ムラ状にキャリアが噴出し、キャリア浸透量にムラを生じ、加熱定着部を通過後に定着強度ムラ、または、光沢ムラが発生する場合がある。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、転写材上の液体現像剤像を定着強度ムラ、光沢ムラの発生を防止して定着する定着装置とそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本第1発明は、定着装置において、転写手段により液体現像剤像が転写された転写材を定着する第1の定着ローラと、前記第1の定着ローラで定着された転写材を定着するn(n≧2の整数)個の定着ローラと、を有し、前記第1の定着ローラはローラの軸方向に延在とする溝を有する基部と、前記基部上に配された樹脂層または弾性材層を有することを特徴とする。第1の定着ローラの加熱によりキャリアを析出させるとともに、第1の定着ローラの表層に形成された溝により析出したキャリアをローラ端部に掻き出すことにより転写材上にキャリアが斑状に残ることを防止できる。その結果、定着後に斑状のムラが残ることがなく良好な画像を得ることができる。また、下流の定着によりトナーを十分に溶融させることで定着率を確保できる。
【0006】
本第2発明は、本第1発明の定着装置において、前記溝の形状を1方向の螺旋状としたものである。連続的に溝が存在するため、キャリアの掻き出し効率が向上し、キャリアの掻き出し効果を高めることができる。
【0007】
本第3発明は、本第1発明の定着装置において、前記溝の形状を両方向の螺旋状としたものである。キャリアの掻き出しがローラの両端部方向に行われるため、キャリアの掻き出し効果を高めることができる。
【0008】
本第4発明は、本第1発明の定着装置において、前記溝の形状をクロスハッチ形状としたものである。キャリアの掻き出し効率が向上し、キャリアの掻き出し効果を高めることができる。
【0009】
本第5発明は、本第1〜第4発明のいずれかの定着装置において、前記樹脂層または弾性材層の厚さを前記溝の深さより厚くしたものである。第1の定着ローラの表面は、空転時平滑でローラの摩耗を少なくすることができ、通紙時は押圧によって溝形状が浮き出しキャリアをローラ端部に掻き出すことができる。
【0010】
本第6発明は、本第1〜第5発明のいずれかの定着装置において、前記第1の定着ローラ表面の液体現像剤に対する接触角を、下流の定着ローラ表面の液体現像剤に対する接触角より小さくしたものである。析出キャリアが第1の定着ローラ表面と馴染みやすくなり、キャリアの掻き出し効率が向上する。
【0011】
本第7発明は、本第1、第2、第4〜第6発明のいずれかの定着装置において、前記第1の定着ローラは駆動伝達手段有し、該第1の定着ローラの溝形をキャリアが駆動側とは逆方向に流れるようにしたものである。転写材上に析出したキャリアを駆動側とは逆方向に流すことにより、キャリアが駆動部のギア列等を浸漬し、ギアを劣化させることを回避することができる。
【0012】
本第8発明は、画像形成装置において、回転可能に設けられかつ静電潜像が形成される潜像担持体と、前記静電潜像を液体現像剤で現像して前記潜像担持体上に液体現像剤像を形成する現像装置と、前記潜像担持体上の液体現像剤像を中間転写ベルトに転写する一次転写装置と、前記中間転写ベルト上の液体現像剤像を転写材に転写する二次転写装置と、転写材上の液体現像剤像を定着する定着装置と、を少なくとも備え、前記定着装置として、本第1〜7発明のいずれかの転写装置を搭載し、かつ、前記中間転写ベルトにキャリア回収機構を配したことを特徴とする。中間転写ベルトのキャリア回収機構により、中間転写ベルト上のトナー層含有キャリア量を低減することができ、その後、二次転写、定着でのムラ状キャリアの噴出を低減でき、定着装置で析出したキャリアをローラ端部に掻き出すことにより転写材上にキャリアが斑状に残ることを防止できる。その結果、定着後に斑状のムラが残ることがなく良好な画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は、本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の一例を模式的にかつ部分的に示す図である。
【0014】
図1に示すように、この例の画像形成装置は、タンデムに配置されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の潜像担持体である感光体200Y,200M,200C,200Kを備えている。ここで、各感光体200Y,200M,200C,200Kにおいて、200Yはイエローの感光体、200Mはマゼンタの感光体、2C00はシアンの感光体、200Kはブラックの感光体を表す。また、他の部材についても同じように、部材の符号にそれぞれ各色のY,M,C,Kを添えて各色の部材を表す。各感光体200Y,200M,200C,200Kは、図1に示す例ではいずれも、感光体ドラムから構成されている。画像形成ステーションの構成は同様であるので、以下、イエロー画像形成ステーションについて説明する。
【0015】
感光体200Yは、作動時に図1に矢印aで示すように時計回りに回転するようにされている。感光体200Yの周囲には、それぞれ、それらの回転方向上流側から順に、帯電部材300Y、露光装置400Y、現像装置180Y、感光体スクイーズ装置360Y、一次転写装置390Y、除電装置800Yが配されている。
【0016】
また、画像形成装置は、中間転写媒体である無端状の中間転写ベルト100を備えている。この中間転写ベルト100は図示しないモータの駆動力が伝達される駆動ローラ162および従動ローラ492に張架されて図1において矢印bに示される反時計回りに回転可能に設けられている。また、駆動ローラ162と従動ローラ492は互いに各感光体200(Y,M,C,K)のタンデム配置方向に沿って離間して配設されている。更に、中間転写ベルト100は従動ローラ492に所定のテンションが付与されて、たるみが除去されるようになっている。
【0017】
一次転写装置390Yより中間転写ベルト100の回転方向下流側の一次転写装置390Yの近傍には、中間転写ベルトスクイーズ装置110Yが配設されている。更に、中間転写ベルト100のベルト駆動ローラ162側には二次転写装置160が設けられ、また中間転写ベルト100の従動ローラ492側には中間転写ベルトクリーニング装置490が設けられている。
【0018】
なお、図示しないが、この例の画像形成装置は、二次転写を行う従来の一般的な画像形成装置と同様に、二次転写装置160より用紙搬送方向上流側に例えば紙等の用紙を収納する用紙収納装置と、この用紙収納装置からの用紙を二次転写装置160へ搬送供給するレジストローラ対とを備えている。また、この画像形成装置は、二次転写装置160より用紙搬送方向下流側に定着装置500および排紙トレイを備えている。
【0019】
帯電部材300Yは、図示しない電源装置から液体現像剤の帯電極性と同極性のバイアスがそれぞれ印加される。そして、帯電部材300Yは、感光体200Yを帯電するようになっている。また、露光装置400Yは、それぞれ、帯電された感光体200Y上に、例えばレーザ走査光学系等からレーザ光を照射することによって静電潜像を形成するようになっている。
【0020】
現像装置180Yは、現像剤供給部と、現像ローラ184Yと、トナー帯電用コロナ帯電器186Yを備えている。
【0021】
現像剤供給部は、トナー粒子および不揮発性液体キャリアからなる液体現像剤を収納する現像剤容器と、攪拌ローラ182Yと、アニロクスローラ183Yと、現像剤規制ブレード185Yとを備えている。
【0022】
現像剤容器内に収納される液体現像剤において、トナーとしては、トナーに使用される公知の熱可塑性樹脂中へ同じく公知の顔料等の着色剤を分散させた例えば平均粒径1μmの粒子を用いることができる。液体キャリアとして、高粘性高濃度の液体現像剤の場合は、例えば、シリコーンオイル、鉱物油など、トナーの帯電を逃がさない絶縁油であればどのようなものを使用しても良い。
【0023】
攪拌ローラ182Yは、現像剤容器内の液体現像剤を均一に攪拌しアニロクスローラ183Yに供給するローラである。アニロクスローラ183Yは、円筒状の部材で表面に微細かつ一様に螺旋状の溝を形成したローラである。溝の寸法は、例えば、溝ピッチが約170μm、溝深さが約30μmに設定される。もちろん、溝の寸法はこれらの値に限定されることはない。アニロクスローラ183Yは、現像ローラ184Yと同じ方向で図1において矢印で示す反時計まわりに回転するようにされている。なお、アニロクスローラ183Yは、現像ローラ184Yと連れ回りで回転するようにすることもできる。すなわち、アニロクスローラ183Yの回転方向は、限定されず任意である。
【0024】
現像剤規制ブレード185Yは、それぞれ、アニロクスローラ183Yの表面に当接して設けられている。現像剤規制ブレード185Yは、アニロクスローラ183Yの表面に当接する、ウレタンゴム等からなるゴム部と、このゴム部を支持する金属等の板とから構成されている。そして、現像剤規制ブレード185Yは、アニロクスローラ183Yの溝部以外の表面に付着する液体現像剤をゴム部で掻き落として除去する。したがって、アニロクスローラ183Yは、溝部内に付着する液体現像剤のみを現像ローラ184Yに供給するようになっている。
【0025】
現像ローラ184Yは、例えば鉄等金属シャフトの外周部に、導電性ウレタンゴム等の弾性体と樹脂層やゴム層を備えたものである。現像ローラ184Yは感光体200Yに当接され、かつ図1において矢印で示すように反時計まわりに回転するようにされている。
【0026】
トナー帯電用コロナ帯電器186Yは、電圧を印加されて、固形分トナー粒子のプラス帯電促進、及び現像ローラ184Y上に固形分トナー粒子を押し付ける機能を有する。
【0027】
感光体スクイーズ装置360Yは、感光体200Yと現像ローラ184Yとの当接部(ニップ部)より感光体200Yの回転方向下流側に設置されている。そして、感光体スクイーズ装置360Yは、感光体200Y上の液体キャリアを除去するようになっている。
【0028】
一次転写装置390Yは、中間転写ベルト100を感光体200Yに当接させる一次転写用のバックアップローラを備えている。バックアップローラは、トナー粒子の帯電極性と逆極性の例えば約−200Vが印加されて、感光体200Y上のイエローナー像(液体現像剤像)を中間転写ベルト100に一次転写する。
【0029】
除電装置800Yは、矢印方向に光照射を行い、感光体200Yの残留電荷を除去する。
【0030】
中間転写ベルトスクイーズ装置110Yは、中間転写ベルトスクイーズローラ112Yに、中間転写ベルト100を介してバックアップローラ111Yが当接した構成であり、中間転写ベルトスクイーズローラ112Yに固形分トナーと同極性のバイアスを印加し、固形分トナーを中間転写ベルト100に押し付ける仕組みになっている。中間転写ベルトスクイーズローラ112Yに付着したキャリアを不図示のブレードで掻き取り、キャリア分は回収し、不図示の装置でトナー貯留槽181Yに戻す。
【0031】
Y、M、C、K色毎に順次一次転写を実施し、中間転写ベルト100上にフルカラーの液体現像剤像を形成する。
【0032】
図示しない給紙カセットから用紙が給紙され、矢印c方向へ二次転写装置160に突入し、フルカラーの液体現像剤像が中間転写ベルト100から用紙に転写される。
【0033】
二次転写後の中間転写ベルト100をクリーニングするために、従動ローラ492側に中間転写ベルトクリーニング装置490が配置される。中間転写ベルトクリーニングローラ491が中間転写ベルト100を介して従動ローラ492に当接する。中間転写ベルトクリーニングローラ491には、バイアスが印加され、中間転写ベルト100上の残留トナーを静電吸着により除去する。
【0034】
矢印d方向に排出された用紙上のフルカラーの液体現像剤像は定着装置500を通過して、矢印f方向に定着、排出される。
【0035】
図2は、本発明の定着装置500の一実施形態を示す図である。定着装置500は、液体現像剤像1が転写された転写材2の搬送方向の上流側に配された第1定着ローラ501と、第1加圧ローラ511から構成される第1の定着手段と、その下流側に配された第2定着ローラ521と第2加圧ローラ531から構成される第2定着手段を有する。この実施形態では、第2定着手段であるが、定着をより完全に実施するための第3・・第n定着手段を配置しても良い。
【0036】
第1定着ローラ501(直径60mm、有効長さ330mm)は、第1定着ローラ芯金504(アルミ合金、2mm厚)上にフッ素樹脂コート502を塗装焼成し、第1定着ローラ芯金504内に第1定着ローラ加熱源505(ハロゲンランプ、700W)が配されたハードローラである。第1定着ローラ芯金504は、アルミ合金以外、例えば、アルミ、ステンレス、鉄等の材料で形成しても良い。
【0037】
第1加圧ローラ511(直径60mm、有効長さ330mm)は、第1加圧ローラ芯金514(アルミ合金、2mm厚)に第1加圧ローラ弾性層513(シリコーンゴム、2mm厚)、第1加圧ローラ表層512(PFA、100um厚)が被覆され、第1加圧ローラ芯金514内に第1加圧ローラ加熱源515(ハロゲンランプ、300W)が配される。
【0038】
第2定着ローラ521(直径60mm、有効長さ330mm)は、第2定着ローラ芯金524(アルミ合金、2mm厚)に第2定着ローラ弾性層523(シリコーンゴム、2mm厚)、第2定着ローラ表層522(PFA、100um厚)が被覆され、第2定着ローラ芯金524内に第2定着ローラ加熱源525(ハロゲンランプ、700W)が配される。
【0039】
第2加圧ローラ531(直径60mm、有効長さ330mm)は、第2加圧ローラ芯金534(アルミ合金、2mm厚)に第2加圧ローラ弾性層533(シリコーンゴム、2mm厚)、第2加圧ローラ表層532(PFA、100um厚)が被覆され、第2加圧ローラ芯金534内に第2加圧ローラ加熱源535(ハロゲンランプ、300W)が配される。
【0040】
図3は、第1定着ローラ501の第1定着ローラ芯金504の表面には軸方向に延在する溝3が刻設され、その上に溝3に深さより厚いフッ素樹脂コート502がコーティングされている。
【0041】
図4に示されるように、通紙がない空転時は、フッ素樹脂コート502は平滑な状態で摩擦も少なく対向する第1加圧ローラ511との摩擦も少なく、第1加圧ローラ511の摩耗を低減することができる。
【0042】
図5に示されるように、通紙時は、第1定着ローラ501の表面のフッ素樹脂コート502が押圧され、第1定着ローラ芯金504の表面に刻設された軸方向に延在する溝3が浮き出し、析出したキャリアをローラ端部に掻き出すことにより転写材上にキャリアが斑状に残ることを防止できる。その結果、定着後に斑状のムラが残ることがなく良好な画像を得ることができる。また、下流の定着によりトナーを十分に溶融させることで定着率を確保できる。
【0043】
第6図(a)(b)は、第1定着ローラ501の第1定着ローラ芯金504に刻設される溝3の形状を連続した螺旋形状とした実施形態を示す。溝3の深さは5um、溝3のピッチは40umとしている。溝3の形状を連続した螺旋形状とすることにより、第1定着手段において転写材2上の液体現像剤像2から押圧加熱により析出したキャリアをローラの一方の端部側に掻き出すことができ、定着後に斑状のムラが残ることがなく良好な画像を得ることができる。
【0044】
第7図は、第1定着ローラ501の第1定着ローラ芯金504に刻設された溝3の形状を異なる方向の2つの連続した螺旋形状とした実施形態を示す。溝3の形状を異なる方向の2つの連続した螺旋形状とすることにより、第1定着手段において転写材2上の液体現像剤像2から押圧加熱により析出したキャリアをローラの両方の端部側に掻き出すことができ、定着後に斑状のムラが残ることがなく良好な画像を得ることができる。
【0045】
図8(a)(b)は、第1定着ローラ501の第1定着ローラ芯金504に刻設された溝3の形状をクロスハッチ形状とした実施形態を示す。溝3の形状をクロスハッチ形状とすることにより、第1定着手段において転写材2上の液体現像剤像2から押圧加熱により析出したキャリアをローラの両方の端部側に掻き出すことができ、定着後に斑状のムラが残ることがなく良好な画像を得ることができる。
【0046】
図2において、第1定着ローラ501の表面の液体現像剤に対する接触角を第2定着ローラ521の表面の接触角より小さくする。第1定着ローラ501の表面の液体現像剤に対する接触角を小さくすることにより、析出したキャリアが第1定着ローラ501の表面と馴染みやすくなり、キャリアの掻き出し効率が向上する。定着後に斑状のムラが残ることがなく良好な画像を得ることができる。図9は、固体と液体の接触角について説明する図であり、図10は、キャリアの種類と固体の種類に応じた接触角を示す。接触角の測定は、協和界面化学株式会社のドロップマスター500を用いた。滴下液体は液体
現像剤であり、0.5ul、1秒後のデータを採用した。
【0047】
図11は、定着装置500の上面図である。表面に連続した螺旋形状の溝3が形成された第1定着ローラ501は、駆動モータ4の駆動ギア5と噛合して回転駆動される。また、第2定着ローラ521は、駆動モータ6の駆動ギア7と噛合して回転駆動される。第1定着ローラ501の回転により転写材2上の液体現像剤像1から析出したキャリアは、連続した螺旋状の溝3に沿って第1定着ローラ501の一方の端部に掻き出される。その際、キャリアが掻き出される一方の端部側を駆動モータ4の配置側と反対側の端部となるように溝3の形状を設定する。図2、図6、図8、図9に示される溝3の形状でも同様である。但し、図7に示される溝3の形状では、析出したキャリアは第1定着ローラ501の両端部に掻き出されるので除外する。
【0048】
転写材2上に析出したキャリアを駆動モータ4とは逆方向に流すことにより、キャリアが駆動ギア5等を浸漬し、ギアを劣化させることを回避することができる。
【0049】
以上のように本発明の定着装置の構成により、第1の定着ローラの第1定着ローラ芯金504に刻設された溝により析出したキャリアをローラ端部に掻き出すことにより転写材上にキャリアが斑状に残ることを防止できる。その結果、定着後に斑状のムラが残ることがなく良好な画像を得ることができる。また、下流の定着によりトナーを十分に溶融させることで定着率を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態を示す図である。
【図2】本発明の実施形態を示す図である。
【図3】本発明の実施形態を示す図である。
【図4】本発明の実施形態を示す図である。
【図5】本発明の実施形態を示す図である。
【図6】本発明の実施形態を示す図である。
【図7】本発明の実施形態を示す図である。
【図8】本発明の実施形態を示す図である。
【図9】本発明の実施形態を示す図である。
【図10】本発明の実施形態を示す図である。
【図11】本発明の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
10:画像形成装置、200(Y、M、C、K):感光体、400(Y、M、C、K):露光装置、300(Y、M、C、K):帯電部材、180(Y、M、C、K):現像装置、100:中間転写ベルト、160:二次転写装置、500:定着装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写手段により液体現像剤像が転写された転写材を定着する第1の定着ローラと、
前記第1の定着ローラで定着された転写材を定着するn(n≧2の整数)個の定着ローラと、
を有し、
前記第1の定着ローラはローラの軸方向に延在とする溝を有する基部と、
前記基部上に配された樹脂層または弾性材層を有することを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記溝の形状を1方向の螺旋状とした請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記溝の形状を両方向の螺旋状とした請求項1に記載の定着装置。
【請求項4】
前記溝の形状をクロスハッチ形状とした請求項1に記載の定着装置。
【請求項5】
前記樹脂層または弾性材層の厚さを前記溝の深さより厚くした請求項1〜4のいずれか1つに記載の定着装置。
【請求項6】
前記第1の定着ローラ表面の液体現像剤に対する接触角を、下流の定着ローラ表面の液体現像剤に対する接触角より小さくした請求項1〜5のいずれか1つに記載の定着装置。
【請求項7】
前記第1の定着ローラは駆動伝達手段有し、該第1の定着ローラの溝形をキャリアが駆動側とは逆方向に流れるようにした請求項1、2、4〜6のいずれか1つに記載の定着装置。
【請求項8】
回転可能に設けられかつ静電潜像が形成される潜像担持体と、
前記静電潜像を液体現像剤で現像して前記潜像担持体上に液体現像剤像を形成する現像装置と、
前記潜像担持体上の液体現像剤像を中間転写ベルトに転写する一次転写装置と、
前記中間転写ベルト上の液体現像剤像を転写材に転写する二次転写装置と、
転写材上の液体現像剤像を定着する定着装置と、
を少なくとも備え、
前記定着装置として、前記請求項1〜7のいずれか1つに記載の転写装置を搭載し、
かつ、前記中間転写ベルトにキャリア回収機構を配したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−204911(P2009−204911A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−47342(P2008−47342)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】