説明

定着装置及び画像形成装置

【課題】記録媒体の分離性を向上させた定着装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着ベルトと、加圧ローラと、定着ベルトの内周側に配置されるニップ形成部材と、ニップ形成部材をニップ部とは反対側から支持する補強部材と、定着ベルトにおけるニップ部上流側の所定領域を加熱する加熱手段と、定着ベルトの軸方向端部の内周部に挿入されその外周面が該定着ベルトの端部近傍を回転可能に保持する円筒部28a及びフランジ部28bからなるフランジ部材28と、を備え、フランジ部材28における円筒部28aの外周面の断面形状として、定着ベルトが加熱手段により加熱される領域に対応する加熱対応領域63’が定着ベルトの半径に対応した所定半径の円弧形状であるとともに、該円弧の中心63a’がニップ形成部材の記録媒体搬送方向の中心線26cに対して記録媒体搬送方向上流側に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱と圧力により記録媒体にトナーを定着させる定着装置及び該定着装置を備える電子写真方式、静電記録方式等を利用したFAX、プリンタ、複写機またはそれらの複合機等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複写機、プリンタ等の画像形成装置として、電子写真方式を利用した画像形成装置が種々考案されており公知技術となっている。その画像形成プロセスは、像担持体である感光ドラムの表面に静電潜像を形成し、感光ドラム上の静電潜像を現像剤であるトナー等によって現像して可視像化し、現像された画像を転写装置により記録紙に転写して画像を担持させ、圧力や熱等を用いる定着装置によって記録紙上のトナー画像を定着する過程により成立している。
【0003】
この定着装置では、対向するローラもしくはベルトもしくはそれらの組み合わせにより構成された定着部材及び加圧部材が当接してニップ部を形成するように配置されており、該ニップ部に記録紙を挟みこみ、熱および圧力を加え前記トナー像を記録紙上に定着することを行っている。
【0004】
前記定着装置の一例を挙げると、複数のローラ部材に張架された定着ベルトを定着部材として用いる技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような定着ベルトを用いた装置は、定着部材としての定着ベルト(無端状ベルト)204、定着ベルト204を張架・支持する複数のローラ部材、複数のローラ部材202,203のうち1つのローラ部材202に内設されたヒータ201、加圧ローラ(加圧部材)205、等で構成されている(図21)。ヒータは、ローラ部材を介して定着ベルトを加熱する。そして、定着ベルトと加圧ローラとの間に形成されたニップ部に向けて搬送された記録媒体上のトナー像は、ニップ部にて熱と圧力とを受けて記録媒体上に定着される(ベルト定着方式)。
【0005】
また、上述した画像形成装置に用いられる定着装置において、回転体である定着部材の内面に摺接する固定部材を有している定着装置がある。
例えば、特許文献2では、発熱体としてのセラミックヒータ211と、加圧部材としての加圧ローラ212との間に耐熱性フィルム(定着フィルム)213を挟ませて定着ニップ部Nを形成させ、前記定着ニップ部Nのフィルム213と加圧ローラ212との間に画像定着すべき未定着トナー画像を形成担持させた被記録材を導入して、フィルム213と一緒に挟持搬送させることで、ニップ部Nにおいてセラミックヒータ211の熱がフィルム213を介して被記録材に与えられ、また定着ニップ部Nの加圧力にて未定着トナー画像を被記録材面に熱圧定着させるフィルム加熱方式の定着装置が開示されている(図22)。このフィルム加熱方式の定着装置は、セラミックヒータ及びフィルムとして低熱容量の部材を用いてオンデマンドタイプの装置を構成することができるとともに、画像形成装置の画像形成実行時のみ熱源としてのセラミックヒータに通電して所定の定着温度に発熱させた状態にすればよく、画像形成装置の電源オンから画像形成実行可能状態までの待ち時間が短く(クイックスタート性)、スタンバイ時の消費電力も大幅に小さい(省電力)等の利点がある。
【0006】
また、特許文献3,4では、表面が弾性変形する回転可能な加熱定着ロールと、前記加熱定着ロールに接触したまま走行可能なエンドレスベルト(加圧ベルト)と、前記エンドレスベルトの内側に非回転状態で配置されて、前記エンドレスベルトを前記加熱定着ロールに圧接させ、前記エンドレスベルトと前記加熱定着ロールとの間に記録紙が通過させられるベルトニップを設けると共に、前記加熱定着ロールの表面を弾性変形させる加圧パッドとを具備してなる加圧ベルト方式の画像定着装置が提案されている。この定着方式によれば、下の加圧部材をベルトにし、用紙とロールの接触面積を広げることで熱伝導効率を大幅に向上させ、エネルギー消費を抑制すると同時に小型化を実現することが可能となっている。
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1記載の定着装置は、定着ローラを用いた装置に比べて装置の高速化に適しているものの、ウォームアップ時間(プリント可能な温度に達するまでに要する時間である。)やファーストプリント時間(プリント要求を受けた後にプリント準備を経てプリント動作をおこない排紙が完了するまでの時間である。)の短縮化に限界があった。
【0008】
これに対して、特許文献2記載の定着装置は、低熱容量化によりウォームアップ時間やファーストプリント時間の短縮化が可能になるとともに、装置の小型化も可能になる。しかし、特許文献2記載の定着装置では、耐久性の問題と、ベルト温度安定性の問題があった。すなわち、熱源であるセラミックヒータとベルト内面の摺動による耐磨耗性が不十分であり、長時間運転すると連続摩擦を繰り返す面が荒れて摩擦抵抗が増大し、ベルトの走行が不安定になる、もしくは定着装置の駆動トルクが増大する等の現象が生じ、その結果、画像を形成する転写紙のスリップが生じ画像のずれが生じる、または駆動ギヤに係る応力が増大し、ギヤの破損を引き起こすという不具合が発生した(課題1)。
また、フィルム加熱方式の定着装置では、ベルトをニップ部で局所的に加熱しているため回転するベルトがニップ入口に戻ってくる際に、ベルト温度は最も冷えた状態になり、(特に高速回転を行うと)定着不良が出やすいという問題があった(課題2)。
【0009】
一方、特許文献3では、圧力パッドの表層に低摩擦シート(シート状摺動材)としてPTFEを含浸させたガラス繊維シート(PTFE含浸ガラスクロス)を用い、ベルト内面と固定部材の摺動性の問題を改善する手段が開示されている。しかし、このような加圧ベルト方式の定着装置(特許文献3,4)では、定着ローラの熱容量が大きく、昇温が遅いため、ウォームアップにかかる時間が長いという問題があった。(課題3)。
【0010】
以上のような課題1〜3に対して、特許文献5では、無端状の定着ベルトの内周側に配置される略パイプ状の対向部材(金属熱伝導体、加熱部材、支持部材)と、前記対向部材の内周側に配置され該対向部材を加熱するセラミックヒータ等の抵抗発熱体とを設けることにより、定着ベルト全体を温めることを可能にし、ウォームアップ時間やファーストプリント時間を短縮することができ、かつ高速回転時の熱量不足を解消することのできる定着装置が提案されている。
【0011】
しかしながら、特許文献5記載の定着装置では、定着ベルト側に加圧部材である加圧ローラを押圧して形成するニップ部を金属熱伝導体で支持する構成であるため、ニップ部におけるニップ幅、圧力などが不安定なものとなっていた。
【0012】
そこで、特許文献6では、定着ベルトと加圧ローラとによるニップ部やパイプ状の支持部材の状態、形状、位置などを保持して安定させるため、ニップ部が形成される部位に対応させてニップ形成部材(当接部材、固定部材)及び補強部材などを設ける構成が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、このような支持部材は、定着部材と密着して該定着部材を加熱し、また記録媒体の分離性を確保する等、所定の機能を得るために所定の断面形状であることが望ましいが、支持部材は薄肉の金属板をプレス加工して製作しているため、外形寸法を高精度に維持することが困難であった。また、支持部材の寸法精度がばらつくことで性能にもバラツキが生じ、例えばニップ部下流側で定着部材と支持部材が非接触状態となって定着部材の挙動が不安定となり、記録媒体の分離性が悪化した。
また、特許文献2で示されるような支持部材を用いずに定着フィルム(定着ベルト)のみを回転させる構成においても、ニップ部出口における該定着フィルム(定着ベルト)の形状が安定せずに、記録媒体の分離性が悪化する課題があった。
【0014】
本発明は、以上の従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、記録媒体の分離性を向上させた定着装置及び該定着装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するために提供する本発明は、以下の通りである。なお、カッコ内に本発明を実施するための形態において対応する部位及び符号等を示す。
〔1〕 回転可能な無端状ベルトの定着部材(定着ベルト21)と、前記定着部材の外周側に該定着部材と圧接可能に配置される加圧部材(加圧ローラ31)と、前記定着部材の内周側に配置され、前記定着部材を介して前記加圧部材と圧接してニップ部(ニップ部27)を形成するニップ形成部材(ニップ形成部材26)と、前記定着部材の内径部に固設され、前記ニップ形成部材を前記ニップ部とは反対側から支持する補強部材(補強部材23)と、前記定着部材における前記ニップ部上流側の所定領域を直接または間接的に加熱する加熱手段(加熱手段25)と、前記定着部材の軸方向端部の内周部に挿入されその外周面が該定着部材の端部近傍を直接または間接的に回転可能に保持する円筒部(円筒部28a)及び当該定着装置のフレームに固設されるフランジ部(フランジ部28b)からなるフランジ部材(フランジ部材28)と、を備え、前記フランジ部材の円筒部は、その円周上の一部に前記ニップ形成部材を収納する切欠き部(切欠き部28a1)を有しており、
前記フランジ部材における円筒部の外周面の断面形状として、前記定着部材が加熱手段により加熱される領域に対応する領域(加熱対応領域63’)が前記定着部材の半径に対応した所定半径の円弧形状(支持部材60の内周部の半径と略同一半径の円弧形状、定着ベルト21の内周部の半径と略同一半径の円弧形状)であるとともに、該円弧の中心(円弧中心63a’)が前記ニップ形成部材の記録媒体搬送方向の中心線(中心線26c)に対して記録媒体搬送方向上流側に位置していることを特徴とする定着装置(定着装置20、図2,図16,図20)。
〔2〕 前記フランジ部材における円筒部の外周面の断面形状として、前記ニップ形成部材の記録媒体搬送方向の中心線に対して、前記ニップ部入口領域(加熱対応領域63’)の方が前記ニップ部出口領域(分離対応領域64’)よりも円筒直径外側方向に張り出していることを特徴とする前記〔1〕に記載の定着装置(図16)。
〔3〕 前記フランジ部材における円筒部の外周面の断面形状として、前記ニップ部出口領域(分離対応領域64’)よりも前記定着部材の回転方向下流側に平坦な逃げ対応領域(逃げ対応領域65’)を備えることを特徴とする前記〔2〕に記載の定着装置(図16)。
〔4〕 前記定着部材の内周側に前記加熱手段により加熱される状態で配置され、外周面が該定着部材の内周面と摺接して前記定着部材を加熱するとともに該定着部材の回転を支持する略円筒状の支持部材(支持部材60)を備え、前記フランジ部材は、前記円筒部を前記支持部材の軸方向端部の内周部に挿入してその外周面で前記支持部材の軸方向端部近傍の形状を保持することを特徴とする前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の定着装置(図2,図13)。
〔5〕 前記支持部材は、前記ニップ部の前記定着部材の回転方向上流側に形成されるとともに前記加熱手段により加熱される加熱領域(加熱領域63)と、前記ニップ部の前記定着部材の回転方向下流側に形成されるとともに記録媒体が前記定着部材から分離される分離領域(分離領域64)と、前記分離領域の前記回転方向下流側に連続して形成されるとともに前記加熱領域に連続する中間領域(中間領域66)とを備え、前記加熱領域は、断面形状として前記定着部材の半径と略同一半径の円弧形状であるとともに、前記加熱領域の円弧中心(円弧中心63a)は前記ニップ形成部材の記録媒体搬送方向の中心線(中心線26c)に対して記録媒体搬送方向上流側に位置し、前記分離領域は断面形状として円弧形状であるとともに、前記分離領域の円弧中心(円弧中心64a)は、前記加熱領域の円弧中心に対して記録媒体搬送方向下流側かつ前記ニップ部側に位置し、前記加熱領域と前記分離領域との間の最大外径が前記支持部材の最大外径(最大外径18)であるとともに前記定着部材の内径より大きくされており、前記フランジ部材における円筒部(円筒部28a)の外周面の断面形状として、少なくとも前記定着部材が加熱手段により加熱される領域に対応する領域(加熱対応領域63’)が前記支持部材の加熱領域における円筒内周部分と略同一形状とされていることを特徴とする前記〔4〕に記載の定着装置(図2,図16)。
〔6〕 前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の定着装置(定着装置20)を備えることを特徴とする画像形成装置(画像形成装置1、図1)。
【発明の効果】
【0016】
本発明の定着装置によれば、フランジ部材の円筒部の外周面が所定の形状を有することにより、定着部材の軸方向両端部近傍が適正な形状に保持されるので、記録媒体、特に広幅の記録媒体の分離性を向上させることができる。
本発明の画像形成装置によれば、本発明の定着装置を備えているので、ジャムを発生させることなく安定して画像形成を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の定着装置を搭載した画像形成装置を示す概略の構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る定着装置の中央縦断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る定着装置の支持部材、外保持部材および内保持部材を分解した状態を示す中央縦断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る定着装置の支持部材を示す斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る定着装置の支持部材の寸法を示す概略の正面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る定着装置のニップ形成部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る定着装置のニップ形成部材の裏側を示す斜視図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る定着装置の補強部材を示す斜視図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る定着装置のフランジ部材を示す斜視図である。
【図10】面状発熱体からなる加熱手段を示す断面図である。
【図11】図5に示す支持部材と直径30mmの定着ベルトを利用した場合の周長差と摩擦力および温度との関係を示すグラフである。
【図12】本発明の第1実施形態に係る定着装置の支持部材とフランジ部材と側板とを示す断面図である。
【図13】支持部材へのフランジ部材の挿入の様子を示す斜視図である。
【図14】一対のフランジ部材の外観形状を示す斜視図である。
【図15】本発明の定着装置に用いられるフランジ部材の詳細構成を示す斜視図である。
【図16】図15のフランジ部材における円筒部の形状及び寸法を示す正面図である。
【図17】図15のフランジ部材に支持部材等を組み付けた状態を示す正面図である。
【図18】本発明の第1実施形態に係る定着装置のニップ形成部材の詳細構成を示す断面図である。
【図19】図18のニップ形成部材の形状を設定するための説明図である。
【図20】本発明の第2実施形態に係る定着装置の中央縦断面図である。
【図21】従来のベルト定着方式の定着装置を示す概略構成図である。
【図22】従来のフィルム加熱方式の定着装置を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
まず、図1を参照して本発明の実施の形態に係る画像形成装置1について説明する。
図1に示すように、画像形成装置1は、タンデム型カラープリンタである。画像形成装置本体1の上方にあるボトル収容部101には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つのトナーボトル102Y、102M、102C、102Kが着脱自在に設置されている。このため、これらの4つのトナーボトル102Y、102M、102C、102Kは、ユーザなどによって交換自在になっている。
ボトル収容部101の下方には中間転写ユニット85が配設されている。その中間転写ユニット85の中間転写ベルト78に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部4Y、4M、4C、4Kが並設されている。
【0019】
各作像部4Y、4M、4C、4Kには、それぞれ、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kが配設されている。また、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの周囲には、それぞれ、帯電部75、現像部76、クリーニング部77、不図示の除電部などが配設されている。そして、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)が行われて、各感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に各色の画像が形成されることになる。
【0020】
感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kは、不図示の駆動モータによって図1中の時計方向に回転駆動される。そして、帯電部75の位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面が一様に帯電される(帯電工程である。)。その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、露光部3から発せられたレーザ光Lの照射位置に達して、この位置での露光走査によって各色に対応した静電潜像が形成される(露光工程である。)。
【0021】
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、現像装置76との対向位置に達して、この位置で静電潜像が現像されて、各色のトナー像が形成される(現像工程である。)。その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、中間転写ベルト78および1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kとの対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上のトナー像が中間転写ベルト78上に転写される(第1転写工程である。)。このとき、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上には、僅かながら未転写トナーが残存する。
【0022】
その後、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、クリーニング部77との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上に残存した未転写トナーがクリーニング部77のクリーニングブレードによって機械的に回収される(クリーニング工程である。)。
最後に、感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kの表面は、不図示の除電部との対向位置に達して、この位置で感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の残留電位が除去される。こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上で行われる一連の作像プロセスが終了する。
【0023】
その後、現像工程を経て各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト78上に重ねて転写する。こうして、中間転写ベルト78上にカラー画像が形成される。ここで、中間転写ユニット85は、中間転写ベルト78、4つの1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79K、2次転写バックアップローラ82、クリーニングバックアップローラ83、テンションローラ84、中間転写クリーニング部80、などで構成される。中間転写ベルト78は、3つのローラ82〜84によって張架および支持されるとともに、1つのローラ82の回転駆動によって図1中の矢印方向に無端移動される。
【0024】
4つの1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kは、それぞれ、中間転写ベルト78を感光体ドラム5Y、5M、5C、5Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。そして、1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kに、トナーの極性とは逆の転写バイアスが印加される。そして、中間転写ベルト78は、矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ79Y、79M、79C、79Kの1次転写ニップを順次通過する。こうして、感光体ドラム5Y、5M、5C、5K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト78上に重ねて1次転写される。
【0025】
その後、各色のトナー像が重ねて転写された中間転写ベルト78は、2次転写ローラ89との対向位置に達する。この位置では、2次転写バックアップローラ82が、2次転写ローラ89との間に中間転写ベルト78を挟み込んで2次転写ニップを形成している。そして、中間転写ベルト78上に形成された4色のトナー像は、この2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体P上に転写される。このとき、中間転写ベルト78には、記録媒体Pに転写されなかった未転写トナーが残存する。その後、中間転写ベルト78は、中間転写クリーニング部80の位置に達する。そして、この位置で、中間転写ベルト78上の未転写トナーが回収される。こうして、中間転写ベルト78上で行われる一連の転写プロセスが終了する。
【0026】
ここで、2次転写ニップの位置に搬送された記録媒体Pは、装置本体1の下方に配設された給紙部12から、給紙ローラ97やレジストローラ対98などを経由して搬送されたものである。詳しくは、給紙部12には、転写紙などの記録媒体Pが複数枚重ねて収納されている。そして、給紙ローラ97が図1中の反時計方向に回転駆動されると、一番上の記録媒体Pがレジストローラ対98のローラ間に向けて給送される。
【0027】
レジストローラ対98に搬送された記録媒体Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対98のローラニップの位置で一旦停止する。そして、中間転写ベルト78上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対98が回転駆動されて、記録媒体Pが2次転写ニップに向けて搬送される。こうして、記録媒体P上に、所望のカラー画像が転写される。
【0028】
その後、2次転写ニップの位置でカラー画像が転写された記録媒体Pは、定着装置20の位置に搬送される。そして、この位置で、定着スリーブ21および加圧ローラ31による熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像が記録媒体P上に定着される。その後、記録媒体Pは、排紙ローラ対99のローラ間を経て、装置外へと排出される。排紙ローラ対99によって装置外に排出された被転写Pは、出力画像として、スタック部100上に順次スタックされる。こうして、画像形成装置1における一連の画像形成プロセスが完了する。
【0029】
次に、本実施の形態に係る定着装置20の構成について説明する。
(第1実施形態)
図2に示すように、定着装置20は、回転可能で可撓性を有する無端状の定着ベルト21と、定着ベルト21の径方向外側に設けられるとともに定着ベルト21を径方向内側に押圧する加圧部材31と、定着ベルト21の径方向内側に設けられるとともに定着ベルト21を挟んで加圧部材31と互いに押圧するニップ形成部材26と、定着ベルト21および加圧部材31の間にトナー像Tを担持した記録媒体Pを挟み込むニップ部27と、定着ベルト21の内周側に設けられるとともに定着ベルト21を回転可能に支持する管状(略円筒状、パイプ形状)の支持部材(加熱部材ともいう)60と、支持部材60を加熱して定着ベルト21に伝熱させる加熱手段25と、支持部材60を画像形成装置1に支持させる補強部材23と、定着装置20の長手方向の両端部に設けられたフランジ部材28と、両端部に設けられたフランジ部材28をそれぞれ支持する図12に示すフレームである側板42とを備えている。
【0030】
定着ベルト21は、内径30mmの筒状で、厚さ30〜50μmの鉄製の基材21aと、その表面側に形成された離型層21bと、基材21aの裏面側に形成された塗膜21cとを備えている。また、基材21aと離型層21bとの間には、厚さ100〜300μmのシリコーンゴムからなる弾性層が設けられている。
基材21aを形成する材料としては、鉄に限られず、コバルト、ニッケル、ステンレス、あるいはこれらの合金などの伝熱性のよい金属材料、もしくはポリイミドなどの合成樹脂材料を用いることができる。
【0031】
離型層21bは、記録媒体P上のトナー像Tに対して離型性を高めるために設けられている。離型層21bは、厚さ10〜50μmのPFA(4フッ化エチレンバーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂)製としている。離型層21bを形成する材料としては、PFAに限られず、PTFE(4フッ化エチレン樹脂)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、PES(ポリエーテルサルファイド)などを用いることができる。離型層21bを設けることで、トナー像Tに対する離型性が担保される。
【0032】
塗膜21cは、支持部材60との摩擦抵抗を小さくするために設けられている。塗膜21cは、テフロン(登録商標)のコーティングとしている。塗膜を形成する材料としては、テフロン(登録商標)に限られず、メッキ、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、ガラスコートなどの表面コートを用いることができる。
【0033】
支持部材60は、図3〜図5に示すように、厚さ0.1〜1mmの鉄などの金属製の断面略C字形状のパイプとされている。支持部材60は、ニップ形成部材26を収容してニップ部27の一部を形成するニップ凹部61と、ニップ凹部61の定着ベルト21の回転方向上流側に連続して設けられる導入領域62と、この導入領域62に連続して設けられる加熱領域63と、ニップ凹部61の定着ベルト21の回転方向下流側に形成される分離領域64と、この分離領域64に連続して設けられる平坦な逃げ領域65と、この逃げ領域65の回転方向下流側に連続して形成されるとともに加熱領域63に連続する中間領域66とを備えている。支持部材60はプレス成型により形成される。
【0034】
加熱領域63は、ニップ凹部61の回転方向上流側から連続する半径14.5mmの断面円弧形状であって、加熱手段25により加熱される領域としている。また、加熱領域63の円弧中心63aは、ニップ形成部材26の記録媒体搬送方向(図2中、白抜き矢印で示す)の中心線26cに対して記録媒体搬送方向上流側に3.4mm離隔するようにしている。これにより、定着ベルト21は記録媒体搬送方向下流側に引っ張られることから、定着ベルト21が加熱領域63から離れ難くなる。また、支持部材60の内面、特に加熱領域63は黒色塗装されている。これにより、加熱手段25からの輻射熱の輻射率が向上する。
【0035】
導入領域62は、断面形状として加熱領域63の円弧中心63aからの距離が加熱領域63の半径14.5mmより小さくなるようにして形成されている。すなわち、導入領域62は曲率の小さい平坦な形状であって、ニップ凹部61と加熱領域63とを連続するようにしている。これにより、ニップ部27の近傍における定着ベルト21の支持部材60からの浮き上がりを抑制できる。
【0036】
分離領域64は、断面形状として加熱領域63の半径14.5mmよりも小さい半径13mmの円弧形状であり、ニップ部27を抜けた記録媒体Pから定着ベルト21を急激に引き離すことで記録媒体Pが定着ベルト21から分離される領域となっている。また、分離領域64の円弧中心64aは、加熱領域63の円弧中心63aに対して記録媒体搬送方向下流側に2.7mmかつニップ部27側に2mm離隔するようにしている。これにより、加熱領域63と分離領域64との各円弧中心63a、64aを結ぶ最大外径18が支持部材60の最大外径となるとともに、この最大外径18は30.86mmとなって定着ベルト21の内径30mmより大きくなる。これにより、定着ベルト21は加熱領域63と分離領域64との間で引っ張られるようになり、定着ベルト21が加熱領域63から離れ難くなる。さらに、ニップ形成部材26を組み付けた支持部材60の外周長をL1、定着ベルト21の内周長をL2とすると、周長差L2−L1が0.7mmであるようにしている。
【0037】
中間領域66は、断面形状として加熱領域63と同一半径および同一中心63aの円弧形状となっている。これにより、加熱領域63と中間領域66とを同じ曲率で形成することができるので、支持部材60の加工が容易に行われる。
【0038】
逃げ領域65は、分離領域64の円弧中心64aから記録媒体搬送方向下流側に11.5mm離れた平面で、中間領域66と分離領域64との間に形成されている。これにより、逃げ領域65において支持部材60と定着ベルト21とが非接触になるので、摩擦抵抗が低減される。
【0039】
図2に示すように、支持部材60の外面は塗膜60aでコートされている。塗膜60aは、定着ベルト21との摩擦抵抗を小さくするために設けられている。塗膜60aは、テフロン(登録商標)のコーティングとしている。塗膜60aを形成する材料としては、テフロン(登録商標)に限られず、メッキ、DLC、ガラスコートなどの表面コートを用いることができる。また、支持部材60と定着ベルト21との間にはグリスが塗布されている。これにより、支持部材60と定着ベルト21との摩擦抵抗が小さくなる。
【0040】
図3に示すように、ニップ凹部61は、支持部材60の内側に向けて平行に延びる一対の側壁67と、各側壁67の先端を結ぶ底壁68と、底壁68に形成された開口69とを備えている。ニップ凹部61には、ニップ凹部61の外側、すなわち支持部材60の内側に設けられた略コ字形状の外保持部材70と、ニップ凹部61の内側、すなわち支持部材60の外側に設けられた略コ字形状の内保持部材71とが装着されている。これら外保持部材70と内保持部材71とは、支持部材60のニップ凹部61の側壁67および底壁68を挟持してねじ止めされている。これら外保持部材70と内保持部材71との装着により、ニップ凹部61の形状が維持される。また、外保持部材70の長手方向の両端部には取付部70aが形成されている。取付部70aは、フランジ部材28により支持部材60に対して固定されている。
【0041】
図2、図6、図7に示すように、ニップ形成部材26は、内保持部材71の内側に設けられている。ニップ形成部材26は、LCP(液晶ポリマー)や、ポリイミド樹脂、PAI(ポリアミドイミド樹脂)などの耐熱性を有する樹脂部材であり、支持部材60の長手方向に沿った略角棒状としている。このニップ形成部材26は、加圧部材31に対向する本体26aと、本体26aの背面で補強部材23に当接して支持される支持突起26bと、本体26aの周囲に設けられた膜部材29とを備えている。
【0042】
本体26aが加圧部材31により押圧された際は、支持突起26bが補強部材23に当接して支持されることで、加圧部材31により押し込まれることが防止される。
このニップ形成部材26の加圧部材31側の面は平面状に形成されている。なお、加圧部材31の表面に沿うような凹形状としても良い。
【0043】
膜部材29は、PTFE繊維の織物からなり、定着ベルト21との摩擦抵抗を低減している。膜部材29は、本体26aに巻かれ、支持突起26bの近傍にねじ止めされた止着部材19と本体26aとに挟まれて固定されている。ニップ形成部材26は、フランジ部材28により支持部材60に対して固定されている。
【0044】
図2および図8に示すように、補強部材23は、支持部材60の長手方向に沿った金属製の略角棒状で、高い剛性を有する本体23aと、ニップ形成部材26の支持突起26bに当接する受け突起23bと、加熱手段25に対向する反射板22とを備えている。受け突起23bは、ニップ形成部材26の支持突起26bに当接し、加圧部材31により押圧されたニップ形成部材26を背後から支持する。反射板22は、加熱手段25からの輻射熱を反射して、補強部材23の本体23aに逃げてしまう熱量を低減している。補強部材23は、フランジ部材28により支持部材60に対して固定されている。
【0045】
加熱手段25は、支持部材60の長手方向に沿って内部に設けられる線状発熱体であり、本実施の形態ではハロゲンヒータとしている。加熱手段25は、加熱領域63の内側に設置されている。このため、加熱領域63は、加熱手段25からの熱が補強部材23に遮られずに輻射される輻射領域となる。また、加熱領域63の適宜位置には、定着ベルト21の温度を検出する温度センサが設けられている。
【0046】
図9に示すように、フランジ部材28は、支持部材60の軸方向両端部の内径部に挿入され支持部材60の端部近傍の形状を保持する円筒部28aと、当該定着装置20の側板42に固設されるフランジ部28bと、からなり、ニップ形成部材26、外保持部材70、補強部材23、加熱手段25をそれぞれ保持して固定している。また、フランジ部材28は、鍔部28cにより、定着ベルト21の軸方向への移動を規制している。
【0047】
なお、支持部材60は、前述のように、加熱領域63において定着ベルト21と密着して定着ベルト21を効率的に加熱し、分離領域64において記録媒体Pの分離性を確保する等、所定の機能を得るために所定の断面形状としているが、支持部材60は薄肉の金属パイプであるため、加工上の形状のばらつきがあったり、定着ベルト21の摺動を受けて変形したりして所期の機能を損なう傾向にある。そこで、フランジ部材28の円筒部28aの外周面が支持部材60の端部近傍の形状を前述したような形状となるように保持し、所期の機能が安定して得られるようにしている(詳細は後述)。そのため、円筒部28aの外周面と支持部材60の端部の内周面とのクリアランスは、0.15mm以下となっている。
【0048】
加圧部材31は、外径が30mmの加圧ローラであって、金属製のパイプ状の中心軸32と、その周囲に設けられた耐熱性のシリコーンゴムからなる弾性層33と、表面に形成されたPFA製の離型層34とを備えている。弾性層33は、厚さ2〜4mmとなっている。離型層34は、厚さ50μmのPFAチューブを被覆して形成されている。また、中心軸32には必要に応じてハロゲンヒータなどの発熱体を内蔵してもよい。
【0049】
また、加圧部材31は、図示しない加圧機構によりニップ形成部材26に向けて定着ベルト21を介して押し当てられている。加圧部材31が定着ベルト21を介してニップ形成部材26に押圧されることにより、ニップ部27が形成される。加圧部材31は、定着ベルト21を押圧した状態で図示しない駆動機構により回転される(図2中、矢印方向)。この回転に伴って、定着ベルト21が回転するとともに、ニップ部27で記録媒体Pが加圧されつつ搬送される。
【0050】
次に、作用について説明する。
ユーザが操作パネルあるいはコンピュータなどを操作して印刷要求を出す。この印刷要求により画像形成装置が出力信号を受けると、駆動機構によって加圧部材31が回転され、定着ベルト21も連れ回りする。
【0051】
ここで、加熱領域63の円弧中心63aはニップ形成部材26の記録媒体搬送方向の中心線に対して記録媒体搬送方向上流側に位置するので、定着ベルト21は記録媒体搬送方向下流側、すなわち加熱領域63と反対側に引っ張られることから、加熱領域63における支持部材60と定着ベルト21との密着性が高まるとともに、定着ベルト21が支持部材60から離れ難くなる。また、加熱領域63は断面形状として定着ベルト21の半径15mmと略同一の半径14.5mmの円弧形状であるので、加熱領域63では定着ベルト21に変形力が殆ど作用することなく支持部材60に密着するようになり、支持部材60と定着ベルト21との密着性が高まる。さらに、加熱領域63と分離領域64との間の最大外径18の30.86mmが定着ベルト21の内径30mmより大きいので、定着ベルト21は加熱領域63と分離領域64との間で引っ張られるようになり、加熱領域63における支持部材60と定着ベルト21との密着性が高まるとともに、定着ベルト21が支持部材60から離れ難くなる。これらの理由から、加熱領域63において定着ベルト21が支持部材60に密着して摺動するようになる。
【0052】
一方、加圧部材31の回転と同期して、加熱手段25が通電されて発熱する。加熱手段25の熱は加熱領域63に輻射されて、加熱領域63が急激に加熱される。なお、加圧部材31の回転と加熱手段25による加熱は必ずしも同時に開始する必要はなく、適宜時間差を設けても良い。そして、温度センサにより定着ベルト21の温度が検出され、ニップ部27が定着に必要な温度まで昇温された後、温度を保持したまま記録媒体Pの通紙が開始される。ニップ部27を通過した記録媒体Pでは、記録媒体P上のトナー像Tがニップ部27の圧力と熱により定着される。
【0053】
以上のように、本実施の形態に係る画像形成装置によれば、加熱領域63における支持部材60と定着ベルト21との密着性がより高まるとともに定着ベルト21が支持部材60から離れ難くなるので、支持部材60から定着ベルト21への熱伝導率が高くなって、支持部材60が過熱することを抑制して、塗膜60a、21cの劣化を防止できるようになる。また、支持部材60と定着ベルト21との密着性がより高まることにより、ウォームアップ時間やファーストプリント時間を短縮することができ、省エネ性を向上することができる。
【0054】
そして、本実施の形態によれば、分離領域64は断面形状として加熱領域63の半径よりも小さい半径の円弧形状であるので、定着ベルト21が記録媒体Pから急激に引き離される。よって、ニップ部27を通過した後の記録媒体Pでの定着ベルト21からの分離性を向上することができる。
【0055】
また、本実施の形態によれば、ニップ形成部材26を組み付けた支持部材60の外周長をL1、定着ベルト21の内周長をL2とすると、周長差L2−L1が0.5〜0.9mmであるようにしている(図11)。ここで、周長差が0.9mmを超える場合は、定着ベルト21は支持部材60に対して緩く巻かれるので、定着ベルト21が浮き上がって支持部材60の一部に過熱部分が生じて塗膜の耐久性が劣化しやすくなる。また、周長差が0.5mm未満の場合は、定着ベルト21は支持部材60に対してきつく巻かれるので、定着ベルト21と支持部材60との摩擦力が大きくなって定着ベルト21が回転し難くなり、加圧部材31および記録媒体Pが定着ベルト21に対してスリップしやすくなる。このため、本実施の形態のように周長差L2−L1が0.5〜0.9mmであると、定着ベルト21が支持部材60から浮き上がることが無く支持部材60の過熱を防止できるとともに、定着ベルト21の支持部材60への巻き付きがきつすぎずに記録媒体Pのスリップを抑制できるようになる。
【0056】
また、本実施の形態によれば、定着ベルト21は加熱領域63と分離領域64との間で引っ張られるので、定着ベルト21の停止時であっても加熱領域63において支持部材60と定着ベルト21との密着性が高まる。これにより、停止していた定着装置20を起動して定着ベルト21を静止加熱する際に、支持部材60を過熱することなく定着ベルト21を効率的に加熱できるようになる。
【0057】
さらに、本実施の形態によれば、加熱手段25は支持部材60の長手方向に沿って内部に設けられる線状発熱体であるので、線状発熱体は組み付け構造が簡易であることから、定着装置20の構成を簡素化することができる。しかも、支持部材60の内面は黒色塗装されているので、支持部材60での輻射率が向上して、ウォームアップ時間やファーストプリント時間を短縮することができ、省エネ性を向上することができる。
【0058】
また、本実施の形態によれば、加熱領域63とニップ形成部材26の間に、断面形状として加熱領域63の円弧中心63aからの距離が加熱領域63の半径14.5mmより小さい導入領域62が設けられているので、導入領域62において定着ベルト21が支持部材60の外周面から浮き上がってしまうのを抑制することができ、支持部材60が過熱することを防止できるようになる。
【0059】
そして、本実施の形態によれば、中間領域66は、断面形状として加熱領域63と同一半径および同一中心63aの円弧形状であるので、加熱領域63と中間領域66とを同じ曲率で形成することができる。したがって、支持部材60の加工を容易にすることができ、製造コストを低減することができる。
【0060】
また、本実施の形態によれば、中間領域66と分離領域64との間に、平坦な逃げ領域65が設けられているので、逃げ領域65において支持部材60と定着ベルト21とが非接触となり、これらの間の摩擦抵抗が減少して定着ベルト21と記録媒体Pとの間の摩擦抵抗より更に小さくなり、定着ベルト21に対する記録媒体Pのスリップを抑制することができる。また、支持部材60を形成するための材料を短くすることができるので、材料コストを低減することができる。
【0061】
さらに、本実施の形態によれば、定着ベルト21の内面と支持部材60の外面とがいずれも塗膜21c、60aでコートされているとともに、これらの間にグリスが塗布されているので、支持部材60と定着ベルト21との間の摺動部分の摩擦抵抗が低減して定着ベルト21と記録媒体Pとの間の摩擦抵抗より小さくなるので、定着ベルト21に対する記録媒体Pのスリップを抑制することができる。
【0062】
なお、本実施の形態に係る画像形成装置においては、本発明における定着装置20のニップ形成部材26を組み付けた支持部材60の外周長をL1、定着ベルト21の内周長をL2とすると、周長差L2−L1を0.7mmとしたが、これに限定されるものではない。
【0063】
すなわち、定着ベルト21の内周長と支持部材60の外周長との差が0.9mmを超える場合は、定着ベルト21は支持部材60に対して緩く巻かれるので、定着ベルト21が浮き上がって支持部材60の一部に過熱部分が生じて塗膜の耐久性が劣化することがある。また、定着ベルト21の内周長と支持部材60の外周長との差が0.5mm未満の場合は、定着ベルト21は支持部材60に対してきつく巻かれるので、定着ベルト21と支持部材60との摩擦力が大きくなって定着ベルト21が回転し難くなり、加圧部材31および記録媒体Pが定着ベルト21に対してスリップしやすくなる。
【0064】
このため、定着ベルト21の内周長と支持部材60の外周長との周長差としては、0.5〜0.9mmであればよく、より好ましくは0.6〜0.8mmであり、最も好ましくは0.7mmであり、これらの範囲であれば、支持部材60の過熱を防止しつつ、記録媒体Pのスリップを抑制することができるようになる。なお、塗膜21c、60aやグリスの有無、あるいは、各部の形状や寸法により、周長差は0.5〜0.9mmにも限られず、適宜設定することができる。
【0065】
また、本実施の形態に係る画像形成装置においては、本発明における定着装置20の支持部材60の中間領域66は断面形状として加熱領域63と同一半径および同一中心63aの円弧形状であるものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば補強部材23と干渉しなければ、断面形状として加熱領域63の円弧中心63aからの距離が加熱領域63の半径より小さいものとしてもよい。この場合、中間領域66では支持部材60と定着ベルト21とが非接触になるので、これらの間の摩擦抵抗が減少して定着ベルト21と記録媒体Pとの間の摩擦抵抗より更に小さくなり、定着ベルト21に対する記録媒体Pのスリップを抑制することができる。また、支持部材60を形成するための材料を短くすることができるので、材料コストを低減することができる。
【0066】
また、本実施の形態に係る画像形成装置においては、本発明における定着装置20の定着ベルト21は直径30mmのものとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、直径15〜120mm、特に25mmとしてもよい。
【0067】
さらに、本実施の形態に係る画像形成装置においては、本発明における定着装置20の加熱手段25をハロゲンヒータなどの線状発熱体としたが、これに限定されるものではなく、例えば、図2に想像線で示すように、加熱手段25は支持部材60の長手方向に沿って内周面に接して設けられる面状発熱体であるようにしてもよい。
【0068】
面状発熱体は、例えば、図10に示すように、定着ベルト21の軸方向および周方向に対応して所定の幅及び長さをもち可撓性のある発熱シート52sを備えている。この発熱シート52sは、絶縁性を有する基層52aと、耐熱性樹脂中に導電性粒子が分散されてなる抵抗発熱層52bと、この抵抗発熱層52bに電力を供給する電極層52cとを備えている。基層52a上には、抵抗発熱層52bと隣接する別の給電系統の電極層52cとの間や発熱シート52sの縁部分と外部との間を絶縁する絶縁層52dが設けられている。また、この面状発熱体は、発熱シート52sの端部で電極層52cに接続され、給電線から供給される電力を電極層52cに供給する電極端子を備えている。なお、面状発熱体としては、上述の構成に限られず、他の構成であってもよい。
【0069】
面状発熱体を適用するとともに線状発熱体を省略することで、加熱領域63は面状発熱体からなる加熱手段25からの熱が伝導される接触領域となる。これによれば、面状発熱体は支持部材60を効率よく加熱することができるので、ウォームアップ時間やファーストプリント時間を短縮することができ、省エネ性を向上させることができる。
【0070】
あるいは、加熱手段25は、支持部材60の外部または内部に設けられて支持部材60に対して誘導加熱を行う誘導コイルであるようにしてもよい。この場合、加熱領域63は、加熱手段25に対向して誘導加熱される対向領域となる。これによれば、誘導加熱では支持部材60以外は直接加熱されないので、線状発熱体のように支持部材60以外に例えば補強部材23まで加熱されることはなく、支持部材60を効率的に加熱することができる。
【0071】
(実施例)
上述した実施の形態と同条件で、図5に示す寸法および形状の支持部材60を用い、ニップ形成部材26を組み付けた支持部材60の外周長L1と定着ベルト21の内周長L2との周長差L2−L1のみを異ならせて、各種の測定を行った。測定は、周長差と支持部材60の表面温度との関係、ならびに周長差と支持部材60および定着ベルト21の摩擦力との関係について行った。
【0072】
その結果を図11に示す。図11に示すように、周長差が0.9mmを超える場合は、支持部材60の表面温度が所定の温度限界値を超えた。すなわち、周長差が0.9mmを超える場合は、定着ベルト21は支持部材60に対して緩く巻かれるので、定着ベルト21が浮き上がって支持部材60の一部に過熱部分が生じて温度限界を超えたものと推測された。これにより、周長差が0.9mmを超える場合は、支持部材60の過熱により塗膜60aの耐久性が劣化しやすくなることが判明した。
【0073】
また、周長差が0.5mm未満の場合は、支持部材60および定着ベルト21の間の摩擦力が所定の限界値を超えた。すなわち、周長差が0.5mm未満の場合は、定着ベルト21は支持部材60に対してきつく巻かれるので、定着ベルト21と支持部材60との間の摩擦力が大きくなり加圧部材31および記録媒体Pのスリップ限界値を超えたと推測された。これにより、周長差が0.5mm未満の場合は、定着ベルト21が回転し難くなり、加圧部材31および記録媒体Pが定着ベルト21に対してスリップしやすくなることが判明した。
【0074】
これらの結果を踏まえ、定着ベルト21の内周長と支持部材60の外周長との周長差としては、0.5〜0.9mm、より好ましくは0.6〜0.8mm、最も好ましくは0.7mmであることが明らかとなった。これにより、支持部材60の過熱を防止しつつ、記録媒体Pのスリップを抑制できることが確認された。
【0075】
ところで、前述のように、フランジ部材28は、支持部材60の軸方向両端部の内径部に挿入され固定されるとともに、ニップ形成部材26、外保持部材70、補強部材23、加熱手段25をそれぞれ保持し、さらに支持部材60の外周上に定着ベルト21が回転可能に装着されている。これらの部材を組み立てたものは、これらの部材を保持したまま、定着装置20の側板42に着脱可能であり、定着ベルトユニットと称する。
【0076】
この定着ベルトユニットの組み立ては、つぎのように行う(図13参照。)。
(S11) まず外保持部材70及び内保持部材71が装着された支持部材60の軸方向の一方の端部(図13において右側端部)の内径部にフランジ部材28の円筒部28aをその鍔部28cが支持部材60の端部に当接するまで挿入する。
(S12) ついで、支持部材60の外周上に定着ベルト21を装着するとともに、支持部材60のニップ凹部61にニップ形成部材26をその端部がフランジ部28bの所定位置に当接するまで挿入し、支持部材60の内径部に補強部材23、加熱手段25もそれぞれの端部がフランジ部28bの所定位置に当接するまで挿入する(図13においては省略)。
(S13) 最後に、支持部材60の軸方向の他方の端部(図13において左側)の内径部にもう1つのフランジ部材28の円筒部28aをその鍔部28cが支持部材60の端部に当接するまで挿入して、定着ベルトユニットを完成する。
【0077】
なお、フランジ部材28は、このように定着装置20で用いられるために、図14に示すように、お互いが同寸法で鏡像の関係となる形状(左右対称形状)となっている。
【0078】
その後、定着ベルトユニットの両端のフランジ部材28におけるそれぞれのフランジ部28bを一対の側板42それぞれの所定位置に固定することにより、定着ベルトユニットを組み付ける。
【0079】
ここで、支持部材60は、前述のように、加熱領域63において定着ベルト21と密着して定着ベルト21を効率的に加熱し、分離領域64において記録媒体Pの分離性を確保する等、所定の機能を得るために所定の断面形状としているが、支持部材60は薄肉の金属板(例えば、厚さ0.1mmのステンレス材)をプレス加工して製作しているため、外形寸法を高精度に維持することが困難であった。また、支持部材60の寸法精度がばらつくことで性能にもバラツキが生じていた。特に、図5における最大外径18の寸法30.86mmがある一定以上小さくなると、ニップ部下流側で定着ベルト21と支持部材60が非接触状態となって定着ベルト21の挙動が不安定となり、記録媒体Pの分離性悪化や定着ベルト21の局部的な浮きが発生しやすい状態となっていた。
また、定着ベルト21が回転するとその回転につられて摺動を受ける支持部材60の位置が暴れる傾向にあった。
【0080】
発明者らは、支持部材60の軸方向両端部を支持するフランジ部材28により、支持部材60の形状や定着ベルト駆動時の支持部材60の挙動、引いては定着ベルト21の形状を安定させるべく鋭意検討を行い、本発明を成すに至った。
以下、本発明の要部構成について説明する。
【0081】
図15は、本発明の定着装置20に用いられるフランジ部材28の構成を示す斜視図である。
フランジ部材28は、図15に示すように、支持部材60の軸方向端部の内径部に挿入され支持部材60の端部近傍の形状を保持する円筒部28aと、定着装置20の側板42に固設されるフランジ部28bと、組み付け時の支持部材60の軸方向端部の突き当て部となるとともに装置運転時の定着ベルト21の寄り止め部となる鍔部28cと、からなる。
【0082】
円筒部28aは、その円周上の一部に、ニップ形成部材26及び支持部材60のニップ凹部61を収納するための切欠き部28a1を有している。また、ニップ形成部材26と、ニップ凹部61の形状を維持する外保持部材70の取付部70aは、フランジ部28bで保持される。
【0083】
また、円筒部28aは、その外周上であって少なくとも切欠き部28a1のニップ部入口側に隣接する領域Aに支持部材60の軸方向端部近傍を所望の断面形状で保持する形状保持面28a2を有している。この領域Aは、支持部材60において加熱領域63に対応する領域(後述の加熱対応領域63’)である。したがって、形状保持面28a2は、支持部材60の軸方向端部近傍における加熱領域63を前述したような所定の形状に高精度に保持するための外周面である。
また、円筒部28aの軸方向先端部には、支持部材60の軸方向端部の内径部への挿入がより容易になるように面取りが施されている。
【0084】
また、円筒部28aは、その円周上の一部に該円筒部28aの軸方向に延設され、円筒部28aの外周面側に軸方向先端に向かうにつれて円筒中心側に傾斜する傾斜面からなる案内部28dを有する。この案内部28dにより、フランジ部材28の円筒部28aを支持部材60の軸方向端部の内径部へ容易に挿入することが可能になる。
【0085】
この案内部28dは、円筒部28aの円周上において形状保持面28a2以外の領域Bに設けられることが好ましい。すなわち、領域Bは、支持部材60において少なくとも逃げ領域65に対応する領域であり、分離領域64及び中間領域66のそれぞれ一部領域まで含めてもよい。これにより、案内部28dは、円筒部28aの円周上において、ニップ部の定着ベルト21回転方向下流側に設けられ、図2において、補強部材23を挟んで加熱手段25とは反対側の領域に設けられるものとなる。
【0086】
ここで、本実施形態では、前述のように、定着ベルト21の内周側に加熱手段25により加熱される状態で配置され、外周面が定着ベルト21の内周面と摺接して該定着ベルト21を加熱するとともに定着ベルト21の回転を支持する略円筒状の支持部材60を備えており、この構成において、フランジ部材28は、円筒部28aを支持部材60の軸方向端部の内周部に挿入してその外周面で支持部材60の軸方向端部近傍の形状を保持している。
【0087】
このとき、円筒部28aの外周形状(外周面の断面形状)は、少なくとも定着ベルト21が加熱手段25により加熱される領域に対応する領域が支持部材60の加熱領域63における円筒内周部分と略同一形状とされていることが好ましく、支持部材60を前述したような理想的な形状及び寸法(図5)に保持するように、該支持部材60の内周側の形状及び寸法と略同一とされていることが好適である。
【0088】
すなわち、フランジ部材28における円筒部28aの外周面の断面形状として、定着ベルト21が加熱手段25により加熱される領域に対応する領域(領域A,加熱対応領域63’)が定着ベルト21の半径に対応した所定半径の円弧形状(本実施形態では支持部材60の内周部の半径と略同一半径の円弧形状)であるとともに、該円弧の中心がニップ形成部材26の記録媒体搬送方向の中心線26cに対して記録媒体搬送方向上流側に位置していることを特徴とするものである。
【0089】
また、フランジ部材28における円筒部28aの外周面の断面形状として、ニップ形成部材26の記録媒体搬送方向の中心線26cに対して、ニップ部入口領域(加熱対応領域63’)の方がニップ部出口領域(分離対応領域64’)よりも円筒直径外側方向に張り出していることが好ましい。
【0090】
また、フランジ部材28における円筒部28aの外周面の断面形状として、前記ニップ部出口領域(分離対応領域64’)よりも定着ベルト21の回転方向下流側に平坦な逃げ対応領域65’を備えることが好ましい。
【0091】
図16は、フランジ部材28の円筒部28aの外周形状に関する具体的構成を示す正面図である。
円筒部28aは、図16に示すように、ニップ凹部61に対応しニップ形成部材26を収容する切欠き部28a1と、切欠き部28a1の定着ベルト21の回転方向上流側に連続して設けられる導入対応領域62’と、この導入対応領域62’に連続して設けられる加熱対応領域63’と、切欠き部28a1の定着ベルト21の回転方向下流側に形成される分離対応領域64’と、この分離対応領域64’に連続して設けられる平坦な逃げ対応領域65’と、この逃げ対応領域65’の回転方向下流側に連続して形成されるとともに加熱対応領域63’に連続する中間対応領域66’とを備えている。
【0092】
加熱対応領域63’は、切欠き部28a1の回転方向上流側から連続する半径R1の断面円弧形状であって、支持部材60が加熱手段25により加熱される領域に対応している。また、加熱対応領域63’の円弧中心63a’は、切欠き部28a1の記録媒体搬送方向の中心線26c’(すなわち、ニップ形成部材26の記録媒体搬送方向の中心線26c)に対して記録媒体搬送方向上流側に距離d1だけ離隔するようにしている。これにより、加熱対応領域63’は、支持部材60の軸方向端部近傍において、加熱領域63を適正に支持するようになる。
なお、半径R1は、例えば14.3mmであり、距離d1は、例えば2.7mmである。
【0093】
導入対応領域62’は、断面形状として円弧中心63a’からの距離が半径R1より小さくなるようにして形成されている。すなわち、導入対応領域62’は曲率の小さい平坦な形状であって、支持部材60の軸方向端部近傍において、導入領域62を支持する。
【0094】
分離対応領域64’は、断面形状として加熱対応領域63’の半径R1よりも小さい半径R2の円弧形状であり、支持部材60の分離領域64を支持する。またこのとき、分離対応領域64’は、支持部材60のニップ部出口部分を変形させずに、該ニップ部出口部分が加圧ローラ31に接触しないように支持する。また、分離対応領域64’の円弧中心64a’は、加熱対応領域63’の円弧中心63a’に対して記録媒体搬送方向下流側に距離d2かつ切欠き部28a1(ニップ部27)側に距離d3だけ離隔するようにしている。これにより、加熱対応領域63’と分離対応領域64’との各円弧中心63a’、64a’を結ぶ最大外径18’が円筒部28aの最大外径となるとともに、この最大外径18’は外径D18’となって、支持部材60をその最大外径18が定着ベルト21の内径30mmより大きくなるように支持する。さらに、支持部材60の軸方向端部近傍において、ニップ形成部材26を組み付けた支持部材60の外周長をL1、定着ベルト21の内周長をL2とすると、周長差L2−L1が0.7mmとなるように、円筒部28aが支持部材60を支持する。
なお、半径R2は、例えば12.8mmであり、距離d2、d3は、例えばそれぞれ2.7mm、2mmであり、外径D18’は30.46mmである。
【0095】
中間対応領域66’は、断面形状として加熱対応領域63’と同一半径および同一中心63a’の円弧形状となっている。
【0096】
逃げ対応領域65’は、分離対応領域64’の円弧中心64a’から記録媒体搬送方向下流側に距離d4だけ離れた平面で、中間対応領域66’と分離対応領域64’との間に形成されている。これにより、支持部材60の軸方向端部近傍の逃げ領域65において支持部材60と定着ベルト21とが非接触になるように、逃げ対応領域65’が支持部材60を支持する。
なお、距離d4は、例えば11.3mmである。
【0097】
以上のように、本発明の定着装置20において、フランジ部材28の円筒部28aの外周面が所定の形状を有することにより、図17に示すように、支持部材60を介して定着ベルト21の軸方向両端部近傍を適正な形状に保持するので、記録媒体、特に広幅の記録媒体の分離性を向上させることができる。また、フランジ部28が支持部材60の断面形状の保持精度を損なうこともなく、支持部材60の形状や定着ベルト駆動時の支持部材60の挙動を安定させることができる。
【0098】
詳しくは、フランジ部材28は支持部材60の軸方向両端部に装着されその両端部の断面形状を安定化させる部品であるため、その中央部の形状安定化させる効果はないが、端部だけでも支持部材60の形状を理想形状として維持することでつぎのような3つの効果が期待できる。
【0099】
(効果1)軸方向両端部近くを通過する幅広の記録媒体Pの分離性向上。
支持部材60の最大外径18の寸法(30.86mm)がある範囲を超えて小となると、定着ベルト21が張架しなくなり、ニップ部下流側で定着ベルト21がたるんで定着ベルト21の曲率が大きくなり記録媒体Pが分離しにくくなることから、定着ベルト21の張架が維持されるように支持部材60の形状を理想形状に維持することが望ましい。ここで、記録媒体Pの幅方向の両端には画像形成領域外としてトナーを付着させない領域であって定着ベルト21から分離し易い領域が存在することから、少なくともフランジ部材28により支持部材60の軸方向両端部近傍の形状を理想形状に維持することにより、記録媒体Pの幅方向両端部をより分離しやすくすることで分離性を向上させることが可能である。またこれは支持部材60の軸方向両端部近傍をその幅方向の端部が通過する幅広の記録媒体Pの場合により有効である。
【0100】
(効果2)定着ベルト駆動時の支持部材60の挙動規制。
定着ベルト21はニップ部27の位置で加圧ローラ31により駆動されるため、ニップ部27より上流側で定着ベルト21は張り側、下流側では緩み側となる。このとき、張り側では支持部材60は摺動する定着ベルト21から常時圧力がかかるため、その形状及び位置が安定しないようになる。
本発明では、支持部材60の定着ベルト張り側(ニップ部上流側)の形状と位置をフランジ部材28で保持することにより安定化させることができる。
【0101】
(効果3)支持部材60の軸方向端部における定着ベルト21浮き規制。
定着ベルト21の浮きの現象は、軸方向中央部より両端部で発生しやすいことが確認されている。これは、支持部材60は薄板金属でできているため、支持部材60全体の温度が均一になるにはある程度の時間を要するためである。すなわち、支持部材60全体の温度が均一になるまでの間、支持部材60には軸方向において熱膨張差が生じるが、支持部材60は軸方向端部でフランジ部材28により位置規制されているため、中央部が最も大きく外側に膨らむ方向で反るという現象が発生する。この反りは最も膨張量が大きい加熱領域63側の軸方向中央部に発生するので、その領域では定着ベルト21と密着するようになる。一方、フランジ部材28で規制された軸方向端部は反りが発生しないため中央部で膨らんだ支持部材60に押された定着ベルト21が端部では浮きやすくなる。
本発明では、軸方向端部側の支持部材60の形状をフランジ部材28で保持して安定化させることにより、このような定着ベルト21の浮きを規制することができる。
【0102】
ところで、本発明の定着装置20において、ニップ形成部材26は、図18に示すように、加圧ローラ31側の面において、記録媒体Pの搬送方向の上流側から平面部26f、円弧形状部26eおよび突起部26tを有している。
【0103】
平面部26fは、ニツブ部27の上流側に形成されており、トナー像を担持した記録媒体Pが、屈曲されることなくニップ部27に搬送されるようになっている。
【0104】
なお、平面部26fは、上流端にC面取りなどにより形成された面取り部26dを有している。本実施形態においては、0.5mmのC面取りが行われている。これにより、定着ベルト21が回転し支持部材60と摺接していた内周面がニップ形成部材26の上流端との摺接を開始する際に、平面部26fの上流端において屈曲が大きくなることに起因して定着ベルト21の耐久性が低下することを抑制できる。
【0105】
さらに、平面部26fの上流端に面取り部26dが形成されていない場合には、支持部材60の下流端における外周面とニップ形成部材26の上流端の表面とに微小な段差があることに起因して、支持部材60の下流端近傍では定着ベルト21と支持部材60との間に隙間が生じた状態で回転する可能性が生じる。そのため、定宕ベルト21が十分加熱されずにニップ部27の位置に回転することになり、加熱効率が低下する原因となる。
【0106】
これに対し、平面部26fの上流端に面取り部26dが形成されている場合には、定着ベルト21が、ニップ形成部材26の上流側に位置する支持部材60の下流端近傍(導入領域62)と摺接するようになるので、二ツプ部27を効率よく加熱することが可能となる。
【0107】
次に、図18および図19を参照して、突起部26t、円弧形状部26eおよび平面部26fの形状についてより詳しく説明する。
【0108】
まず、突起部26tは、ニップ部27の記録媒体搬送方向下流側において、幅Nを有する二ツプ部27の下流端より所定長L2’離れた位置に突起の頂点を有している。また、突起の頂点は、円弧形状部26eを形成する円弧と同心円で、かつ半径がL1’だけ短い円弧上に位置している。
【0109】
ここで、オフセット量L1’および所定長L2’は以下のように設定される。
まず、仮に所定長L2’が1mmより小さく設定された場合には、突起部26tが加圧ローラ31と接触する。突起部26tが加圧ローラ31に接触すると、突起部26tよりも記録媒体搬送方向上流側にニップ形成部材26(具体的には円弧形状部26e)と加圧ローラ31とが圧接しない部分が発生することになる。この部分ではニップ形成部材26と加圧ローラ31とが接触する部分に比べてニップ圧が低く、定着ベルト21と記録媒体P上のトナー像Tとの接触圧が低くなり、記録媒体P上に定着されたトナー像Tに異常画像が発生する恐れがある(例えばユズ肌の画像)。
【0110】
また、仮に所定長L2’が2mmより大きく設定された場合およびオフセット量L1’が0.2mmより大きく設定された場合には、ニップ部27を通過した記録媒体Pが突起部26tにより加圧ローラ31側に曲げられてしまい、加圧ローラ31に巻きつく可能性が高まる。特に、両面印刷において記録媒体Pの一方の面に既にトナー像Tが定着されている場合には、他方の面にトナー像Tを定着するために記録媒体Pがニップ部27に再び搬送されると、一方の面に定着しているトナー像Tがニップ部27の熱により加熱され粘性が高まる。このとき、粘性の高まったトナー像Tは、記録媒体Pの加圧ローラ31側に定着しているため、記録媒体Pと加圧ローラ31との分離性が低下し、加圧ローラ31に巻きつく可能性が高まる。
【0111】
また、仮にオフセット量L1’が0.1mmより小さく設定された場合には、突起部26tが記録媒体Pと定着ベルト21とを十分に分離できず、記録媒体Pが定着ベルト21に巻きつく可能性が高まる。
【0112】
したがって、突起部26tは、オフセット量L1’が0.1mm≦L1’≦0.2mm、所定長L2’が1mm≦L2’≦2mmの範囲となるように設定するとよい。
【0113】
円弧形状部26eは、ニップ部27内のいずれかの位置より所定長L2’まで延在しており、加圧ローラ31の外周面に沿うよう、曲率半径Rが25mm≦R≦60mmの円弧形状を有している。本実施形態においては、曲率半径Rは60mmとしている。
【0114】
なお、本実施形態においては、円弧形状部26eの上流端がニップ部27の記録媒体搬送方向における中心(中心線26c)よりも下流側に位置している。すなわち、ニップ部27のうち平面部26fと加圧ローラ31により形成されるニップ幅の方が、円弧形状部26eと加圧ローラ31により形成されるニップ幅よりも大きくしているが、円弧形状部26eの上流端がニップ部27の中心あるいは該中心よりも上流側に位置していてもよい。
【0115】
突起部26tは、オフセット量L1’の円弧、円弧形状部26eの下流端を通り記録媒体搬送方向と垂直となる線、の両方に接するような所定の曲率半径を有する円弧により形成されている。
【0116】
これにより、定着装置20は、フランジ部材28の円筒部28a及びニップ形成部材26の突起部26tの形状による分離性改善効果により、ニップ部27を通過した記録媒体Pを定着ベルト21から確実に分離することができる。
【0117】
(第2実施形態)
つぎに、本発明に係る定着装置の第2の実施形態について説明する。
図20は、本発明に係る定着装置の第2の実施形態の構成を示す断面図である。
図20に示すように、本実施形態は、第1の実施形態(図2)と比べると、支持部材60を用いず、フランジ部材28の円筒部28aが直接定着ベルト21の軸方向両端部の内径部に挿入され、該定着ベルト21の軸方向両端部近傍を支持する点で異なり、それ以外は第1の実施形態と同じである。なお、定着ベルト21は、その内径部に配置された加熱手段25により直接加熱される。
【0118】
ここで、フランジ部材28の円筒部28aは、支持部材60を介さずに直接定着ベルト21の軸方向両端部近傍を支持して、定着ベルト21の少なくとも軸方向両端部近傍を第1実施形態の場合と同様に、適正な形状に保持している。
【0119】
このとき、円筒部28aの外周形状(外周面の断面形状)は、少なくとも定着ベルト21が加熱手段25により加熱される領域に対応する領域が第1実施形態における支持部材60の加熱領域63における円筒内周部分と略同一形状とされていることが好ましく、定着ベルト21を理想的な形状及び寸法(図5)に保持するように、第1実施形態の支持部材60の内周側の形状及び寸法と略同一とされていることが好適である。
【0120】
すなわち、フランジ部材28における円筒部28aの外周面の断面形状として、定着ベルト21が加熱手段25により加熱される領域に対応する領域(領域A,加熱対応領域63’)が定着ベルト21の半径に対応した所定半径の円弧形状(本実施形態では定着ベルト21の内周部の半径と略同一半径の円弧形状)であるとともに、該円弧の中心がニップ形成部材26の記録媒体搬送方向の中心線26cに対して記録媒体搬送方向上流側に位置していることを特徴とするものである。
【0121】
また、フランジ部材28における円筒部28aの外周面の断面形状として、ニップ形成部材26の記録媒体搬送方向の中心線26cに対して、ニップ部入口領域(加熱対応領域63’)の方がニップ部出口領域(分離対応領域64’)よりも円筒直径外側方向に張り出していることが好ましい。
【0122】
また、フランジ部材28における円筒部28aの外周面の断面形状として、前記ニップ部出口領域(分離対応領域64’)よりも定着ベルト21の回転方向下流側に平坦な逃げ対応領域65’を備えることが好ましい。
【0123】
したがって、本実施形態におけるフランジ部材28の円筒部28aは、図14に示す形状であることが好適であり、その各寸法はつぎのように設定するとよい。
・半径R1;14.5mm
・半径R2;13mm
・距離d1;3.4mm
・距離d2;2.7mm
・距離d3;2mm
・距離d4;11.5mm
・外径D18’;30.86mm
【0124】
以上のように、本発明の定着装置20において、フランジ部材28の円筒部28aの外周面が所定の形状を有することにより、定着ベルト21の軸方向両端部近傍を適正な形状に直接保持するので、記録媒体、特に広幅の記録媒体の分離性を向上させることができる。
なお、本実施形態では支持部材60を用いないので、第1実施形態で述べた3つの効果(効果1〜3)のうち、効果1のみが得られる。
【0125】
また、本実施形態の定着装置20は、記録媒体Pの最大通紙サイズがA3縦サイズである定着装置(広幅機)においても本発明の効果が得られるが、最大通紙サイズがA4縦サイズなど比較的狭幅の定着装置においてはフランジ部材28の定着ベルト21の形状保持効果が軸方向中央部にまで及ぶのでなおよい。
【0126】
なお、これまで本発明を図面に示した実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0127】
1 画像形成装置
3 露光部
4Y,4M,4C,4K 作像部
5Y,5M,5C,5K 感光体ドラム
12 給紙部
18 加熱領域と分離領域との間の最大外径
18’ 加熱対応領域と分離対応領域の最大外径(D18’)
19 止着部材
20 定着装置
21 定着ベルト
21a 基材
21b 離型層
21c 塗膜
22 反射板
23 補強部材
23a 本体
23b 受け突起
25 加熱手段
26 ニップ形成部材
26a 本体
26b 支持突起
26c,26c’ 中心線
26d 面取り部
26e 円弧形状部
26f 平面部
26t 突起部
27 ニップ部
28 フランジ部材
28a 円筒部
28a1 切欠き部
28a2 形状保持面
28b フランジ部
28c 鍔部
28d 案内部
29 膜部材
31 加圧ローラ(加圧部材)
32 中心軸
33 弾性層
34 離型層
42 側板
60 支持部材
60a 塗膜
61 ニップ凹部
62 導入領域
62’ 導入対応領域
63 加熱領域
63’ 加熱対応領域
63a 加熱領域の円弧中心
63a’ 加熱対応領域の円弧中心
64 分離領域
64’ 分離対応領域
64a 分離領域の円弧中心
64a’ 分離対応領域の円弧中心
65 逃げ領域
65’ 逃げ対応領域
66 中間領域
66’ 中間対応領域
67 側壁
68 底壁
69 開口
70 外保持部材
70a 取付部
71 内保持部材
75 帯電部
76 現像装置
77 クリーニング部
78 中間転写ベルト
79Y,79M,79C,79K 1次転写バイアスローラ
80 中間転写クリーニング部
82 2次転写バックアップローラ
83 クリーニングバックアップローラ
84 テンションローラ
85 中間転写ユニット
89 2次転写ローラ
97 給紙ローラ
98 レジストローラ対
99 排紙ローラ対
100 スタック部
101 ボトル収納部
102Y,102M,102C,102K トナーボトル
201 ヒータ
202,203 ローラ部材
204 定着ベルト
205,212 加圧ローラ
211 セラミックヒータ
213 フィルム
A,B 領域
N 定着ニップ部
P 記録媒体
T トナー像
【先行技術文献】
【特許文献】
【0128】
【特許文献1】特開平11−2982号公報
【特許文献2】特開平4−44075号公報
【特許文献3】特開8−262903号公報
【特許文献4】特開10−213984号公報
【特許文献5】特開2007−334205号公報
【特許文献6】特開2010−96782号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な無端状ベルトの定着部材と、
前記定着部材の外周側に該定着部材と圧接可能に配置される加圧部材と、
前記定着部材の内周側に配置され、前記定着部材を介して前記加圧部材と圧接してニップ部を形成するニップ形成部材と、
前記定着部材の内径部に固設され、前記ニップ形成部材を前記ニップ部とは反対側から支持する補強部材と、
前記定着部材における前記ニップ部上流側の所定領域を直接または間接的に加熱する加熱手段と、
前記定着部材の軸方向端部の内周部に挿入されその外周面が該定着部材の端部近傍を直接または間接的に回転可能に保持する円筒部及び当該定着装置のフレームに固設されるフランジ部からなるフランジ部材と、
を備え、
前記フランジ部材の円筒部は、その円周上の一部に前記ニップ形成部材を収納する切欠き部を有しており、
前記フランジ部材における円筒部の外周面の断面形状として、前記定着部材が加熱手段により加熱される領域に対応する領域が前記定着部材の半径に対応した所定半径の円弧形状であるとともに、該円弧の中心が前記ニップ形成部材の記録媒体搬送方向の中心線に対して記録媒体搬送方向上流側に位置していることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記フランジ部材における円筒部の外周面の断面形状として、前記ニップ形成部材の記録媒体搬送方向の中心線に対して、前記ニップ部入口領域の方が前記ニップ部出口領域よりも円筒直径外側方向に張り出していることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記フランジ部材における円筒部の外周面の断面形状として、前記ニップ部出口領域よりも前記定着部材の回転方向下流側に平坦な逃げ対応領域を備えることを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記定着部材の内周側に前記加熱手段により加熱される状態で配置され、外周面が該定着部材の内周面と摺接して前記定着部材を加熱するとともに該定着部材の回転を支持する略円筒状の支持部材を備え、
前記フランジ部材は、前記円筒部を前記支持部材の軸方向端部の内周部に挿入してその外周面で前記支持部材の軸方向端部近傍の形状を保持することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の定着装置。
【請求項5】
前記支持部材は、前記ニップ部の前記定着部材の回転方向上流側に形成されるとともに前記加熱手段により加熱される加熱領域と、前記ニップ部の前記定着部材の回転方向下流側に形成されるとともに記録媒体が前記定着部材から分離される分離領域と、前記分離領域の前記回転方向下流側に連続して形成されるとともに前記加熱領域に連続する中間領域とを備え、
前記加熱領域は、断面形状として前記定着部材の半径と略同一半径の円弧形状であるとともに、前記加熱領域の円弧中心は前記ニップ形成部材の記録媒体搬送方向の中心線に対して記録媒体搬送方向上流側に位置し、
前記分離領域は断面形状として円弧形状であるとともに、前記分離領域の円弧中心は、前記加熱領域の円弧中心に対して記録媒体搬送方向下流側かつ前記ニップ部側に位置し、
前記加熱領域と前記分離領域との間の最大外径が前記支持部材の最大外径であるとともに前記定着部材の内径より大きくされており、
前記フランジ部材における円筒部の外周面の断面形状として、少なくとも前記定着部材が加熱手段により加熱される領域に対応する領域が前記支持部材の加熱領域における円筒内周部分と略同一形状とされていることを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−141328(P2012−141328A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282692(P2010−282692)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】