説明

定着装置及び画像形成装置

【課題】カバー部材を備えた定着装置において、衝撃音の発生を防止する一方で搬送ローラー対のニップ圧を安定的に発生させる。
【解決手段】定着部60は、定着ニップ部60Nを形成する定着ローラー62及び加圧ローラー63と、定着ニップ部60Nを通過したシートを搬送する搬送ローラー対66とを含む。定着部60のハウジング600は開口部600Hを備え、この開口部600Hを開閉自在なカバー部材68が塞ぐ構成である。カバー部材68は捻りコイルバネ69によって閉止姿勢に戻る方向に付勢されているが、捻りコイルバネ69はカバー部材68を直立状態の手前まで戻すほどの付勢力しか具備していない。第2搬送ローラー662の第1搬送ローラー661に対する圧接力は、圧縮コイルバネ684によって別途付与される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー像が転写されたシートに定着処理を施す定着装置、及び該定着装置が適用された画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置における定着装置は、定着ローラーと加圧ローラーとを備え、これらローラーにより形成される定着ニップ部にトナー像が転写されたシートを通過させて加熱加圧することで、当該シートにトナー像を定着させる。一般に定着装置はユニット化され、メンテナンス時等に画像形成装置本体に着脱可能とされている。前記定着ローラー及び加圧ローラーは、前記ユニットのハウジング内に収容されている。また、通常前記定着ニップ部の下流側には、シートを画像形成装置本体の排紙ユニットへ送り出すための搬送ローラー対が配置されるが、この搬送ローラー対も前記ハウジングに支持される。
【0003】
このような定着装置のハウジング内においてシートジャムが発生することがある。シートジャムが発生し易い箇所は、前記定着ニップ部と前記搬送ローラー対との間である。従来、当該箇所で発生するジャムの処理を行わせるために、ハウジングの一部を開閉自在なカバー部材で構成し、定着ニップ部に対して外部からアクセス可能とした定着装置が知られている。この定着装置では、前記カバー部材に前記搬送ローラー対の一方を支持させている。ジャム時に、前記カバー部材がハウジングに対して開放されると、前記定着ニップ部が露呈されると共に前記搬送ローラー対のニップ部が分離する(例えば特許文献1〜3参照)。従ってユーザーは、前記カバー部材を開放することで、容易にジャム処理を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−134409号公報
【特許文献2】特開2008−268401号公報
【特許文献1】特開2001−13810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記搬送ローラー対のニップ部においては、シートの搬送力を具備させるために一定のニップ圧が必要となる。また、上記カバー部材をハウジングに対して開放した開放姿勢から閉止姿勢に復帰させる方向に付勢するために、一般に当該カバー部材の前記ハウジングに対する回動支点に捻りバネが介在される。従来の定着装置では、搬送ローラー対のニップ圧を、前記捻りバネの付勢力を利用して発生させている。
【0006】
このような構造では、搬送ローラー対のニップ圧が安定しないという問題がある。これは、前記捻りバネが本来的には前記カバー部材の復帰用に配置された付勢部材であるので、搬送ローラー対の軸方向においてバラツキ無く一定のニップ圧を形成することが困難であることに起因する。また、前記捻りバネは、前記カバー部材を開放姿勢から閉止姿勢に復帰させると共に、閉止姿勢において搬送ローラー対にニップ圧を発生させるという二重の役目を担うため、比較的大きな付勢力を具備するものを採用する必要がある。このため、前記カバー部材には大きな付勢力が作用し、前記カバー部材が閉じられる際に前記付勢力に基づき大きな衝撃音が発生したり、甚だしい場合は前記カバー部材の一部が破損したりする不具合があった。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたものであって、カバー部材を備えた定着装置において、衝撃音の発生を防止する一方で搬送ローラー対のニップ圧を安定的に発生させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に係る定着装置は、シートに定着処理を施す定着ニップ部を形成する第1ローラー及び第2ローラーと、前記第1ローラー及び第2ローラーを収容すると共に、前記定着ニップ部を露呈させる開口部を有するハウジングと、前記ハウジングに回動自在に取り付けられ、前記開口部を覆う閉止姿勢と、前記開口部を開く開放姿勢との間で姿勢変更可能なカバー部材と、前記ハウジングに回転自在に支持され、前記定着ニップ部を通過した前記シートを搬送する第1搬送ローラーと、前記カバー部材に回転自在に支持され、前記カバー部材が前記閉止姿勢であるとき、前記第1搬送ローラーに圧接される第2搬送ローラーと、前記開放姿勢の状態の前記カバー部材に、当該開放姿勢から、前記開放姿勢と前記閉止姿勢との間の中間姿勢まで戻す付勢力を与える第1付勢部材と、前記カバー部材が前記閉止姿勢の状態において前記第2搬送ローラーに、前記第1搬送ローラーに向けて圧接させる付勢力を与える第2付勢部材と、と備える(請求項1)。
【0009】
この構成によれば、第1付勢部材はカバー部材を前記開放姿勢から前記中間姿勢まで戻す付勢力を発生する。このため、カバー部材に付与される復帰付勢力によって、当該カバー部材がハウジングに衝突することが回避される。一方、第1搬送ローラーと第2搬送ローラーとの間のニップ圧は、カバー部材が前記閉止姿勢の状態において、前記第2付勢部材によって確保される。従って、カバー部材が閉止される際における衝撃音の発生を防止しつつ、搬送ローラー対のニップ圧を安定的に発生させることができる。
【0010】
上記構成において、前記ハウジングは、断面形状が略矩形状であり、前記開口部は、前記ハウジングの上方角部において上面と一側面とが切り欠かれて形成されたものであり、前記カバー部材は、前記ハウジングの切り欠かれた前記上面及び一側面を塞ぐ部材であることが望ましい(請求項2)。
【0011】
この構成によれば、前記カバー部材はハウジングの上方に開放されることになる。この構成の場合、カバー部材が閉止されるときに衝撃音が発生し易い。従って、本発明を好適に適用できる構成であるということができる。
【0012】
この場合、前記ハウジングは、前記一側面に支持部を備え、前記カバー部材は、前記支持部において回動自在に支持される回動支点を一端に備えたアーム部材と、前記アーム部材の他端に連接され前記第2搬送ローラーを保持するカバー本体とを備え、前記閉止姿勢の状態において前記アーム部材は、前記ハウジングの前記一側面に沿うように倒立し、前記開放姿勢の状態において前記アーム部材は、前記ハウジングの前記一側面から外方に突出するように傾倒するものであって、前記中間姿勢は、前記カバー部材の重心が、前記回動支点の真上よりも外方に位置した姿勢であることが望ましい(請求項3)。
【0013】
この構成によれば、開放姿勢とされたアーム部材は、第1付勢部材の付勢力によって前記回動支点の真上付近(中間姿勢)まで復帰され、それ以降はアーム部材に第1付勢部材の付勢力は作用しない。なお、前記中間姿勢から前記閉止姿勢までの姿勢変更は、ユーザーのマニュアル操作乃至は前記カバー部材の自重によって実行されることになる。この操作の際、アーム部材には付勢力が与えられていないので、カバー部材が勢いづいて閉じられてしまうことはない。
【0014】
上記構成において、前記第2付勢部材に係合された被押圧部材をさらに備え、前記被押圧部材に所定の押圧力が与えられたとき、前記第2付勢部材は前記第2搬送ローラーに前記付勢力を与えることが望ましい(請求項4)。
【0015】
この構成によれば、第2搬送ローラーに前記付勢力を与えるタイミングを、被押圧部材に所定の押圧力が与えられるタイミングとすることができる。
【0016】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、シート上にトナー画像を形成する画像形成部と、シートに前記トナー画像を定着させる処理を施す上記定着装置と、筐体構造を備え、前記画像形成部及び前記定着装置を収容する装置本体と、前記装置本体に開閉自在に取り付けられる本体カバーと、を備え、前記定着装置及び本体カバーは、前記装置本体の一側面側に配置され、前記被押圧部材は、閉じた状態の前記本体カバーによって押圧される構成を備える(請求項5)。
【0017】
この構成によれば、本体カバーが前記装置本体に対して閉じた状態とされるタイミングが、被押圧部材に所定の押圧力が与えられるタイミングとなる。通常、定着装置内でジャムが発生した場合、前記本体カバーを開放し、しかる後、定着装置の前記カバー部材が開放される。そして、ジャム処理後、前記カバー部材が閉止姿勢とされ、さらに前記本体カバーが閉じられたとき、第2搬送ローラーに前記付勢力が与えられた状態となる。従って、ユーザーは、特に意識することなく、前記本体カバーを閉じる動作を行うことで、前記第2搬送ローラーに前記付勢力を与えることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、カバー部材を備えた定着装置において、カバー部材が閉じられる際に衝撃音が発生することを防止できると共に、搬送ローラー対のニップ圧を安定的に発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構造を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る定着装置の内部構造を示す断面図である。
【図3】定着装置の断面図であって、カバー部材が開放姿勢の状態を示す図である。
【図4】定着装置の断面図であって、カバー部材が閉止姿勢の状態を示す図である。
【図5】カバー部材の開閉動作を説明するための図であって、カバー部材が開放姿勢の状態を示す図である。
【図6】カバー部材が中間姿勢の状態を示す図である。
【図7】カバー部材が直立姿勢の状態を示す図である。
【図8】カバー部材が閉止姿勢の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す断面図である。ここでは、画像形成装置1として複写機を例示するが、画像形成装置は、プリンタ、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよい。
【0021】
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する装置本体10と、装置本体10上に配置される自動原稿給送装置20とを備える。装置本体10の内部には、複写する原稿画像を光学的に読み取る読取ユニット25と、シートにトナー像を形成する画像形成部30と、前記トナー像をシートに定着させる定着部60(定着装置)と、画像形成部30へ搬送されるシートを貯留する給紙部40と、シートを給紙部40から画像形成部30及び定着部60を経由してシート排出口10Eまで搬送する搬送経路50と、この搬送経路50の一部を構成するシート搬送路を内部に有する搬送ユニット55とが収容されている。
【0022】
装置本体10の右側面10R(装置本体の一側面)には、ジャム処理の際、或いはメンテナンス時に画像形成部30や定着部60等のユニットを装置本体10から取り外す際に開閉される本体カバー101が備えられている。本体カバー101は、その基端部(下端部)において、装置本体10に対して回動可能に取り付けられている(図4も参照)。
【0023】
自動原稿給送装置20は、装置本体10の上面に回動自在に取り付けられている。自動原稿給送装置20は、装置本体10における所定の原稿読取位置(第1コンタクトガラス241が組み付けられた位置)に向けて、複写される原稿シートを自動給送する。一方、ユーザーが手置きで原稿シートを所定の原稿読取位置(第2コンタクトガラス242の配置位置)に載置する場合は、自動原稿給送装置20は上方に開かれる。自動原稿給送装置20は、原稿シートが載置される原稿トレイ21と、自動原稿読取位置を経由して原稿シートを搬送する原稿搬送部22と、読取後の原稿シートが排出される原稿排出トレイ23とを含む。
【0024】
読取ユニット25は、装置本体10の上面の自動原稿給送装置20から自動給送される原稿シートの読取用の第1コンタクトガラス241、又は手置きされる原稿シートの読取用の第2コンタクトガラス242を通して、原稿シートの画像を光学的に読み取る。読取ユニット25内には、光源、移動キャリッジ、反射ミラー等を含む走査機構と、撮像素子とが収容されている(図略)。走査機構は、原稿シートに光を照射し、その反射光を撮像素子に導く。撮像素子は、前記反射光をアナログ電気信号に光電変換する。前記アナログ電気信号は、A/D変換回路でデジタル電気信号に変換された後、画像形成部30に入力される。
【0025】
画像形成部30は、フルカラーのトナー画像を生成しこれをシート上に転写する処理を行うもので、タンデムに配置されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の各トナー像を形成する4つのユニット32Y、32M、32C、32Bkを含む画像形成ユニット32と、該画像形成ユニット32の上に隣接して配置された中間転写ユニット33と、中間転写ユニット33上に配置されたトナー補給部34とを含む。
【0026】
各画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bkは、感光体ドラム321と、この感光体ドラム321の周囲に配置された、帯電器322、露光器323、現像装置324、一次転写ローラー325及びクリーニング装置326とを含む。
【0027】
感光体ドラム321は、その軸回りに回転し、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。感光体ドラム321としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。帯電器322は、感光体ドラム321の表面を均一に帯電する。露光器323は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム321の周面に、原稿画像の画像データに基づく光を照射して、静電潜像を形成する。
【0028】
現像装置324は、感光体ドラム321上に形成された静電潜像を現像するために、感光体ドラム321の周面にトナーを供給する。現像装置324は、2成分現像剤用のものであり、攪拌ローラー、磁気ローラー、及び現像ローラーを含む。攪拌ローラーは、2成分現像剤を攪拌しながら循環搬送することで、トナーを帯電させる。磁気ローラーの周面には2成分現像剤層が担持され、現像ローラーの周面には、磁気ローラーと現像ローラーとの間の電位差によってトナーが受け渡されることにより形成されたトナー層が担持される。現像ローラー上のトナーは、感光体ドラム321の周面に供給され、前記静電潜像が現像される。
【0029】
一次転写ローラー325は、中間転写ユニット33に備えられている中間転写ベルト331を挟んで感光体ドラム321とニップ部を形成し、感光体ドラム321上のトナー像を中間転写ベルト331上に一次転写する。クリーニング装置326は、クリーニングローラー等を有し、トナー像転写後の感光体ドラム321の周面を清掃する。
【0030】
中間転写ユニット33は、中間転写ベルト331、駆動ローラー332、従動ローラー333、テンションローラー334及びバックアップローラー336を備える。中間転写ベルト331は、これらローラー332、333、334、336に架け渡された無端ベルトであって、該中間転写ベルト331の外周面には、複数の感光体ドラム321からトナー像が、同一箇所に重ねて転写される(一次転写)。
【0031】
駆動ローラー332は、金属製の導電シャフト上にスポンジ状の導電性ゴムを円筒型に成型してなるローラーであり、中間転写ベルト331を周回させるための駆動力が付与される。駆動ローラー332の周面に対向して、二次転写ローラー35が配置されている。二次転写ローラー35も導電性のローラーである。駆動ローラー332と二次転写ローラー35とのニップ部は、中間転写ベルト331に重ね塗りされたフルカラーのトナー像をシートに転写する二次転写部35Aとなる。
【0032】
駆動ローラー332又は二次転写ローラー35のいずれか一方のローラーに、トナー像と逆極性の二次転写バイアス電位が印加され、他方のローラーは接地される。なお、従動ローラー333は、中間転写ベルト331の周回に応じて従動するローラー、テンションローラー334は中間転写ベルト331に所定の張力を付与するローラー、バックアップローラー336は、中間転写ベルト331の周回方向において二次転写部35Aの直上流側で、中間転写ベルト331を屈曲させるローラーである。
【0033】
トナー補給部34は、イエロー用トナーコンテナ34Y、マゼンタ用トナーコンテナ34M、シアン用トナーコンテナ34C、及びブラック用トナーコンテナ34Bkを含む。これらトナーコンテナ34Y、34C、34M、34Bkは、それぞれ各色のトナーを貯留するものであり、YMCBk各色に対応する画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bkの現像装置324に、図略の供給経路を通して各色のトナーを供給する。
【0034】
給紙部40は、画像形成処理が施されるシートを収容する2段の給紙カセット40A、40Bを備える。これら給紙カセット40A、40Bは、装置本体10の前方から手前方向に引出可能である。給紙カセット40A、40Bは、自動給紙用に設けられたカセットであるが、装置本体10の右側面10Rには、手差し給紙用の給紙トレイ46も設けられている。給紙トレイ46は、その下端部において本体カバー101に対して開閉自在に取り付けられている。ユーザーは、手差し給紙を行う場合、図示の通り給紙トレイ46を開き、その上にシートを載置する。
【0035】
給紙カセット40A(40B)は、複数のシートが積層されてなるシート束を収納するシート収容部41と、前記シート束を給紙のためにリフトアップするリフト板42とを備える。給紙カセット40A(40B)の右端側の上部には、ピックアップローラー43と、給紙ローラー44とリタードローラー45とのローラー対とが配置されている。ピックアップローラー43及び給紙ローラー44の駆動により、給紙カセット40A内のシート束の最上層のシートが1枚ずつ繰り出され、搬送経路50の上流端へ搬入される。一方、給紙トレイ46に載置されたシートは、同様にピックアップローラー461及び給紙ローラー462の駆動によって、搬送経路50へ搬入される。
【0036】
搬送経路50は、給紙部40から画像形成部30を経由して定着部60の出口までシートを搬送する主搬送路50Aと、シートに対して両面印刷を行う場合に片面印刷されたシートを画像形成部30に戻すための反転搬送路50Bと、主搬送路50Aの下流端から反転搬送路50Bの上流端へシートを向かわせるためのスイッチバック搬送路50Cと、主搬送路50Aの下流端から装置本体10の左側面10Lに設けられたシート排出口10Eまでシートを水平方向に搬送する水平搬送路50Dとを含む。この水平搬送路50Dの大半は、搬送ユニット55の内部に備えられているシート搬送路で構成されている。
【0037】
主搬送路50Aの、二次転写部35Aよりも上流側には、レジストローラー対51が配置されている。シートは、停止状態のレジストローラー対51にて一旦停止され、スキュー矯正が行われる。その後、画像転写のための所定のタイミングで、レジストローラー対51が駆動モーター(図略)で回転駆動されることで、シートは二次転写部35Aに送り出される。この他、主搬送路50Aには、シートを搬送するための搬送ローラー52が複数配置されている。他の搬送路50B、50C、50Dも同様である。
【0038】
搬送経路50の最下流端には、排紙ローラー53を備えた排紙ユニット530が、搬送ユニット55に隣接して配置されている。排紙ローラー53は、装置本体10の左側面10Lに配置される図略の後処理装置に、シート排出口10Eを通してシートを送り込む。なお、後処理装置が取り付けられない画像形成装置では、シート排出口10Eの下方にシート排出トレイが設けられる。
【0039】
搬送ユニット55は、定着部60から搬出されるシートを、シート排出口10Eまで搬送するユニットである。本実施形態の画像形成装置1は、定着部60が装置本体10の右側面10R側に配置され、シート排出口10Eは、右側面10Rと対向する装置本体10の左側面10L側に配置されている。従って、搬送ユニット55は、装置本体10の右側面10Rから左側面10Lに向けて、シートを水平方向に搬送する。
【0040】
定着部60は、シートにトナー像を定着させる定着処理を施す誘導加熱方式の定着装置であって、加熱ローラー61、定着ローラー62(第2ローラー)、加圧ローラー63(第1ローラー)、定着ベルト64、誘導加熱ユニット65及び搬送ローラー対66を含む。誘導加熱ユニット65を除く上掲の構成部材はハウジング600内に収容されてユニット化(定着ユニット)されており、装置本体10に対して着脱が可能である。一方、誘導加熱ユニット65は、装置本体10の本体フレーム70に取り付けられている。これにより、定着ユニットが経時劣化等で交換を要する場合において、誘導加熱ユニット65が健常な場合にはこれを残存させつつ、定着ユニットだけを交換することが可能となる。
【0041】
図2は、定着部60の内部構造を示す断面図である。以下、図2に基づいて、定着部60の詳細構造を説明する。加熱ローラー61は、誘導加熱ユニット65により誘導加熱されるローラーであって、例えば鉄やステンレス等の磁性金属からなり、その表面には例えばPFAからなる離型層が形成されている。
【0042】
定着ローラー62及び加圧ローラー63は、定着ベルト64を挟んで周面同士が圧接され、定着ニップ部60Nを形成するローラーである。二次転写部35Aにおいてトナー像が二次転写されたシートは、定着ニップ部60Nを通過し、加熱及び加圧されることで、トナー像がシート表面に定着される。定着ローラー62は、シリコンスポンジの弾性層を表層に有する弾性ローラーである。加圧ローラー63は、定着ローラー62よりも高い硬度を有するローラーであり、その内部にはハロゲンヒーター等の加熱エレメントが備えられている。加圧ローラー63の好ましい構成の一つは、鉄やアルミニウム等の金属芯材と、この芯材の上に形成されたシリコンゴム層と、シリコンゴム層の表面に形成されたフッ素樹脂層とを備える構成である。
【0043】
定着ベルト64は、加熱ローラー61と定着ローラー62とに架け渡され、加熱ローラー61と同様に誘導加熱ユニット65により誘導加熱されるベルトである。定着ベルト64は、例えばニッケルのような強磁性材料からなる基材上に、シリコンゴム弾性層及びPFA離型層が順次形成されてなる。なお、定着ベルト64に被加熱機能を具備させず単に加熱ローラー61が発する熱のキャリアとする場合は、PI等の樹脂ベルトを用いることができる。
【0044】
加圧ローラー63の回転軸は、ハウジング600内の固定フレームで回転自在に支持されている。一方、加熱ローラー61及び定着ローラー62の回転軸は、ハウジング600内の移動フレームで回転自在に支持されている。加熱ローラー61、定着ローラー62及び定着ベルト64を含むベルトユニットは、図略のニップ圧調整機構によって、定着ローラー62の周面が加圧ローラー63の周面に比較的強いニップ圧で圧接される通常加圧姿勢と、比較的弱いニップ圧で圧接される減圧姿勢との間で姿勢変更が可能とされている。加圧ローラー63の回転軸には、装置本体10側に備えられたモーターから、所定の減速機構を解して回転駆動力が入力される。加圧ローラー63の回転の回転により、加熱ローラー61、定着ローラー62及び定着ベルト64は従動回転する。
【0045】
誘導加熱ユニット65は、誘導加熱コイル651、センターコア652、一対のアーチコア653及びこれらを収容するユニットハウジング654を備える。誘導加熱コイル651は、加熱ローラー61及び定着ベルト64を誘導加熱するための磁界を発生するもので、加熱ローラー61及び定着ベルト64の円弧面に対向する仮想的な円弧面上に配置されている。センターコア652及び一対のアーチコア653は、フェライト製コアであり、加熱ローラー61及び定着ベルト64の一部を経由する磁路を形成するために配置されている。誘導加熱コイル651が発生した磁界が前記磁路を通過することで、加熱ローラー61及び定着ベルト64には渦電流が発生し、これに伴いジュール熱により熱を発生することになる。
【0046】
ユニットハウジング654は、加熱ローラー61及び定着ベルト64の一部が入り込む円弧状の凹部65Hを備えている。誘導加熱ユニット65のユニットハウジング654と定着ユニットのハウジング600の左側面600Lとは位置決めされた状態で嵌合され、凹部65Hの内周面と定着ベルト64の表面との間には所定間隔のギャップが形成されている。
【0047】
ユニットハウジング654の背面には、ダクト部材655が取り付けられている。本体フレーム70とダクト部材655の背面との間には、コイルバネ65Bが配置されている。コイルバネ65Bは、該ユニットハウジング654をハウジング600に向けて付勢し、前記ギャップを一定に維持するために配置されている。ダクト部材655の内部には、冷却風が流通可能な空間Dが備えられている。この空間Dに対して、装置本体10側に備えられている本体冷却ダクト71を介して冷却風が送り込まれ、誘導加熱ユニット65の冷却が図られる。
【0048】
搬送ローラー対66は、定着ニップ部60Nを通過したシートをハウジング600の下流側のシート搬送路へ送り出すための搬送ローラー対である。搬送ローラー対66は、ハウジング600に回転自在に支持される第1搬送ローラー661と、後述するカバー部材68で回転自在に支持される第2搬送ローラー662とからなる。第1搬送ローラー661は、回転駆動力が装置本体10側から入力される駆動ローラーであり、第2搬送ローラー662は、第1搬送ローラー661の回転に伴って従動回転する従動ローラーである。また、第2搬送ローラー662は、シート搬送力を具備させるために、所定のニップ圧で第1搬送ローラー661に圧接されている。
【0049】
定着ニップ部60Nのシート搬送方向上流側には、定着ニップ部60Nに向けて搬入されるシートを案内する一対のガイド部材671、672が配置されている。また、定着ニップ部60Nの下流側には、定着ニップ部60Nから排出されるシートを搬送ローラー対66に向けて案内する一対のガイド部材673、674が配置されている。
【0050】
図2において、定着ローラー62及び定着ベルト64は反時計方向に回転し、加圧ローラー63は時計方向に回転する。定着ニップ部60Nよりも回転方向下流側において、定着ベルト64の周面に対して分離プレート675が配置され、また加圧ローラー63の周面に対して分離爪676が配置されている。これら分離プレート675及び分離爪676は、定着ベルト64又は加圧ローラー63の周面に巻き付くシートを引き剥がすために配置されている。分離プレート675は、定着ローラー62の軸方向に延びる板状の部材であり、その先端部と定着ベルト64の周面との間には、微小な空間が設けられる。一方、分離爪676は、加圧ローラー63の軸方向の幅が数ミリ程度の部材であり、その先端は加圧ローラー63の周面に当接される。なお、分離プレート675は通紙幅に相当する長さを備える一枚の板部材であるのに対し、分離爪676は軸方向に所定間隔を置いて複数個配置されている。
【0051】
ハウジング600は断面形状が略矩形状であり、その右上角部は、開閉自在なカバー部材68にて覆われている。図3は、カバー部材68がハウジング600に対して開放された状態を示している。ハウジング600は、その右上角部において上面600Uと右側面600R(一側面)とが切り欠かれ、開口部600Hが形成されている。カバー部材68が存在しない状態では、定着ニップ部60Nは、該開口部600Hを通して外部に露呈している。カバー部材68は、このような開口部600Hを塞ぐ部材である。
【0052】
カバー部材68は、カバー本体681と、回動支点部683を備えたアーム部材682と、圧縮コイルバネ684(第2付勢部材)を含む。カバー本体681は、第2搬送ローラー662を軸回りに回動自在に保持する保持部を有すると共に、上述のガイド部材674として機能する表面を備えている。アーム部材682は、棒状の部材であって、その一端側に前述の回動支点部683が形成され、他端側にはカバー部材68が連接されている。カバー部材68は、回動支点部683においてハウジング600の右側面600Rに備えられた支持部に回動自在に連結されている。
【0053】
すなわち、カバー部材68は、回動支点部683の軸回りに回動することで、開口部600Hを覆う閉止姿勢(図2参照)と、開口部600Hを開く開放姿勢(図3参照)との間で姿勢変更が可能である。アーム部材682の姿勢に着目すると、閉止姿勢においてアーム部材682はハウジング600の右側面600Rに沿うように倒立している一方で、開放姿勢においては右側面600Rから外方に突出するように傾倒する。本実施形態では、開放姿勢においてアーム部材682は、閉止姿勢の状態から回動支点部683の軸回りに140度程度回動し、該開放姿勢においてはガイド部材674が完全に右側面600Rから離間する程度に大きく開口部600Hを開く例を示している。カバー部材68は、常時閉止姿勢とされるが、定着ニップ部60Nの近傍でシートジャムが発生した場合やメンテナンス時に、開放姿勢とされる。なお、第2搬送ローラー662はカバー本体681にて支持されていることから、カバー部材68が開放姿勢とされたとき第2搬送ローラー662は第1搬送ローラー661から離間するので、搬送ローラー対66のニップは解除されることになる。
【0054】
回動支点部683には捻りコイルバネ69(第1付勢部材)が挿入されている。この捻りコイルバネ69は、開放姿勢にあるカバー部材68を、閉止姿勢に戻す方向に付勢するバネである。この捻りコイルバネ69は、カバー部材68を開放姿勢から閉止姿勢まで完全に復帰させるほどの付勢力を具備していない。このことは、捻りコイルバネ69が、搬送ローラー対66のニップ圧の生成に実質的に貢献していないことを意味する。この点については、後記で詳述する。
【0055】
圧縮コイルバネ684は、カバー部材68が閉止姿勢の状態において第2搬送ローラー662に、第1搬送ローラー661に向けて圧接させる付勢力を与えるバネである。圧縮コイルバネ684は、移動ピン685(被押圧部材)に挿通されることで係合されている。移動ピン685は、ボルト頭と軸部とを備えたボルト状の形状を有し、抜け止め機構を備えてカバー本体681にスライド移動可能に組み付けられている。圧縮コイルバネ684は、前記軸部に挿通され、その一端が前記ボルト頭に当止され、他端がカバー本体681の適所に当止されている。
【0056】
移動ピン685は、カバー部材68が閉止姿勢の状態において、装置本体10の右側面10R、つまり定着部60が配置されている側の側面に備えられている本体カバー101で押圧される。図4は、移動ピン685のボルト頭が本体カバー101にて押圧されている状態を模式的に示す図である。本体カバー101が装置本体10に対して開いた状態(図4において一点鎖線で表示)では、移動ピン685は何ら押圧力を受けない。この状態では、カバー部材68は閉止姿勢であり、第2搬送ローラー662は、第1搬送ローラー661に接する状態ではあるものの、圧接された状態ではない。
【0057】
これに対し、本体カバー101が装置本体10に対して閉じた状態とされると、本体カバー101の内面にて移動ピン685は押圧される。押圧力の付与により、移動ピン685は搬送ローラー対66に接近する方向にスライド移動し、これにより圧縮コイルバネ684を圧縮する。この結果、圧縮コイルバネ684は付勢力を発生し、図4において矢印で示すように、カバー部材68をハウジング600の左側面600Lの方向へ付勢する。これに伴い、第2搬送ローラー662は第1搬送ローラー661に圧接された状態となり、搬送ローラー対66にはシート搬送に必要な所定のニップ圧が付与された状態となる。
【0058】
続いて、図5〜図8を参照して、カバー部材68の開放姿勢から閉止姿勢までの姿勢変更について詳細に説明する。図5はカバー部材68が開放姿勢の状態、図6は中間姿勢の状態、図7は直立姿勢の状態、及び図8は閉止姿勢の状態をそれぞれ示す図である。
【0059】
図5において、カバー部材68が開放姿勢であるとき、捻りコイルバネ69はカバー部材68を閉止姿勢に戻す付勢力を、回動支点部683の軸回りに発生する。換言すると、カバー部材68がその自重によって、回動支点部683の軸回りに図5の時計方向に回動しようとする動作を規制する付勢力を、捻りコイルバネ69は発生する。開放姿勢において、カバー部材68の重心Oは、ハウジング600の右側面600Rから大きく外方に飛び出した箇所に位置している。
【0060】
図6に示す中間姿勢は、閉止姿勢と開放姿勢との間の中間の姿勢であって、捻りコイルバネ69の付勢力がカバー部材68に作用する限界点の姿勢である。つまり、捻りコイルバネ69が発生する付勢力は、カバー部材68が当該中間姿勢よりも閉止姿勢に近づくとゼロとなり、以降はカバー部材68を付勢しない状態となる。この中間姿勢において、カバー部材68の重心Oは、回動支点部683の真上を基準として、回動支点部683の軸回りに所定角度Rだけ外方に回転したポジションに位置している。この所定角度Rは、1〜30度程度であることが好ましい。
【0061】
図7に示す直立姿勢は、図6の中間姿勢よりも閉止姿勢に近づいた姿勢であって、カバー部材68の重心Oが回動支点部683の真上に位置している姿勢である。この直立姿勢では、もはや捻りコイルバネ69の付勢力は作用していないので、以降のカバー部材68の閉止姿勢に至る回動動作は、ユーザーのマニュアル操作乃至はカバー部材68の自重によって達成されることになる。カバー部材68の重心Oが回動支点部683の真上よりも内方に至ると、カバー部材68は自重で閉止姿勢に復帰できてしまう。従って、捻りコイルバネ69の付勢力が、この図7に示す直立姿勢においてもカバー部材68に作用する状態であると、カバー部材68は開放姿勢から閉止姿勢まで一気に回動してしまうことになる。しかし、本実施形態ではカバー部材68の重心Oが回動支点部683の真上よりも外方で消失するので、カバー部材68の回動は上記中間姿勢で一旦停止する。
【0062】
図8に示す閉止姿勢では、ハウジング600の開口部600Hは完全に塞がれ、カバー部材68の重心Oは加圧ローラー63の真上付近に位置している。上述の通り、カバー部材68が閉止姿勢ではあるが本体カバー101が閉じられていない状態では、カバー本体681に保持されている第2搬送ローラー662は、ハウジング600側に保持されている第1搬送ローラー661に接するが、カバー本体681の自重が作用しているだけである。従って、第1搬送ローラー661と第2搬送ローラー662との間には、所定のニップ圧は発生していない。
【0063】
しかし、本体カバー101が閉じられることによって、図8に示すように、カバー部材68には圧縮コイルバネ684による押圧力Fが与えられる。これにより、第1搬送ローラー661と第2搬送ローラー662との間には、適正なニップ圧が発生する。
【0064】
以上説明した通り、本実施形態の画像形成装置1によれば、捻りコイルバネ69はカバー部材68を前記開放姿勢から前記中間姿勢まで戻す付勢力だけを発生する。このため、カバー部材68に付与される復帰付勢力によって、当該カバー部材68がハウジング600に勢いよく衝突することが回避される。これにより、カバー部材68が閉止される際における衝撃音の発生、乃至はカバー部材68又はハウジング600の破損を回避できる。その一方で、搬送ローラー対66を構成する第1搬送ローラー661と第2搬送ローラー662との間のニップ圧は、カバー部材68が閉止姿勢である状態において、圧縮コイルバネ684の付勢力によって確保される。
【0065】
このような構成は、搬送ローラー対66のニップ圧を安定的に発生させることにも貢献する。すなわち、従来のようにカバー部材68を閉止させる方向に付勢するバネ(本実施形態では捻りコイルバネ69)に、搬送ローラー対66のニップ圧を発生させる機能を兼用させると、バネの付勢力を大きくしなければならないことも相俟って、前記ニップ圧を微調整することが困難となりニップ圧が安定しなくなる。その結果として、搬送ローラー対66のシート搬送力が、カバー部材68の開閉毎にばらついてしまうことがある。このような問題を、本実施形態の画像形成装置1は解消する。
【0066】
また、本体カバー101が装置本体10に対して閉じた状態とされるタイミングが、移動ピン685に所定の押圧力を与え、圧縮コイルバネ684に付勢力を発生させるタイミングとなる。通常、定着部60内でジャムが発生した場合、本体カバー101を開放し、しかる後、定着部60のカバー部材68が開放されることになる。そして、ジャム処理後、カバー部材68が閉止姿勢とされ、さらに本体カバー101が閉じられたとき、第2搬送ローラー662が第1搬送ローラー661に圧接される状態となる。従って、ユーザーは、特に意識することなく、本体カバー101を閉じる動作を行うことで、搬送ローラー対66にニップ圧を発生させることができる。
【0067】
以上、本発明の好ましい実施形態につき説明したが、本発明は上記の構成に限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取ることができる。
【0068】
(1)上記実施形態では、ハウジング600の開口部600Hが、ハウジング600の上面600Uと右側面600Rとが切り欠かれて形成され、カバー部材68は、このような開口部600Hを覆うものである例を示した。これは、上記実施形態の定着部60が垂直方向に延びる主搬送路50Aに配置された場合の好ましい例であって、開口部600Hの配置位置やカバー部材68の開放方向については装置形態に合わせて、適宜選択することができる。
【0069】
(2)上記実施形態では、定着装置の例として、誘導加熱ユニット65を備えた誘導加熱方式の定着部60を例示した。定着部60の熱源はハロゲンヒーターや抵抗加熱体等であっても勿論良い。
【0070】
(3)上記実施形態では、本体カバー101が装置本体10に対して閉じた状態とされると、本体カバー101の内面にて移動ピン685が押圧され、圧縮コイルバネ684が付勢力を発生する例を示した。これに代えて、レバー類の操作により圧縮コイルバネ684が付勢力を発生する構成としても良い。
【符号の説明】
【0071】
1 画像形成装置
10 装置本体
30 画像形成部
60 定着部(定着装置)
60N 定着ニップ部
600 ハウジング
600H 開口部
61 加熱ローラー
62 定着ローラー(第2ローラー)
63 加圧ローラー(第1ローラー)
64 定着ベルト
65 誘導加熱ユニット
66 搬送ローラー対
661 第1搬送ローラー
662 第2搬送ローラー
68 カバー部材
681 カバー本体
682 アーム部材
683 回動支点部
684 圧縮コイルバネ(第2付勢部材)
685 移動ピン(被押圧部材)
69 コイルバネ(第1付勢部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに定着処理を施す定着ニップ部を形成する第1ローラー及び第2ローラーと、
前記第1ローラー及び第2ローラーを収容すると共に、前記定着ニップ部を露呈させる開口部を有するハウジングと、
前記ハウジングに回動自在に取り付けられ、前記開口部を覆う閉止姿勢と、前記開口部を開く開放姿勢との間で姿勢変更可能なカバー部材と、
前記ハウジングに回転自在に支持され、前記定着ニップ部を通過した前記シートを搬送する第1搬送ローラーと、
前記カバー部材に回転自在に支持され、前記カバー部材が前記閉止姿勢であるとき、前記第1搬送ローラーに圧接される第2搬送ローラーと、
前記開放姿勢の状態の前記カバー部材に、当該開放姿勢から、前記開放姿勢と前記閉止姿勢との間の中間姿勢まで戻す付勢力を与える第1付勢部材と、
前記カバー部材が前記閉止姿勢の状態において前記第2搬送ローラーに、前記第1搬送ローラーに向けて圧接させる付勢力を与える第2付勢部材と、
と備える定着装置。
【請求項2】
請求項1に記載の定着装置において、
前記ハウジングは、断面形状が略矩形状であり、
前記開口部は、前記ハウジングの上方角部において上面と一側面とが切り欠かれて形成されたものであり、
前記カバー部材は、前記ハウジングの切り欠かれた前記上面及び一側面を塞ぐ部材である、定着装置。
【請求項3】
請求項2に記載の定着装置において、
前記ハウジングは、前記一側面に支持部を備え、
前記カバー部材は、前記支持部において回動自在に支持される回動支点を一端に備えたアーム部材と、前記アーム部材の他端に連接され前記第2搬送ローラーを保持するカバー本体とを備え、
前記閉止姿勢の状態において前記アーム部材は、前記ハウジングの前記一側面に沿うように倒立し、前記開放姿勢の状態において前記アーム部材は、前記ハウジングの前記一側面から外方に突出するように傾倒するものであって、
前記中間姿勢は、前記カバー部材の重心が、前記回動支点の真上よりも外方に位置した姿勢である、定着装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の定着装置において、
前記第2付勢部材に係合された被押圧部材をさらに備え、
前記被押圧部材に所定の押圧力が与えられたとき、前記第2付勢部材は前記第2搬送ローラーに前記付勢力を与える、定着装置。
【請求項5】
シート上にトナー画像を形成する画像形成部と、
シートに前記トナー画像を定着させる処理を施す請求項4に記載の定着装置と、
筐体構造を備え、前記画像形成部及び前記定着装置を収容する装置本体と、
前記装置本体に開閉自在に取り付けられる本体カバーと、を備え、
前記定着装置及び本体カバーは、前記装置本体の一側面側に配置され、
前記被押圧部材は、閉じた状態の前記本体カバーによって押圧される、
画像形成装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−194331(P2012−194331A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57759(P2011−57759)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】