説明

定着装置及び画像形成装置

【課題】定着ベルトと、画質向上に寄与するソリッド弾性体を有した定着ローラを使用した構成において、ニップ出口部での定着ベルトの浮き現象を発生させず、定着ベルトの損傷や異音の発生を抑制できる定着装置を提供する。
【解決手段】定着ローラ1と加熱ローラ3に定着ベルト2が掛け回されている。定着ベルト2を介して、加圧ローラ4が定着ローラ1に圧接し、ニップ部Nが形成されている。定着ローラ1は最外層にソリッド弾性体1bを有しており、ニップ部Nの用紙搬送方向下流には、定着ローラ1と定着ベルト2との間に、定着ベルト2の内面を支持するように摺動支持部材10が設けられ、ニップ部以外で定着ベルト2の裏面と定着ローラ1の表層が接触している範囲は、定着ローラ1の円周角で20度に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置、該定着装置を有する複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ、これらのうち少なくとも1つを備えた複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可視像形成のためにトナーを用いる画像形成装置においては、トナー画像を転写紙等の記録媒体に永久画像として定着するために定着装置が備えられている。
その定着装置では、加熱され回転している定着ローラや定着ベルトと、それに圧接・回転している加圧ローラや加圧ベルト等によって形成された圧接部(ニップ部)を記録媒体が通過することによって、記録媒体上に担持されたトナーが溶融され記録媒体上にトナー画像が定着される。
主に、樹脂で構成されているトナーは圧接部で溶融し、定着ローラや定着ベルトと粘着する性質があるため、トナーへワックス成分付加する、定着ローラや定着ベルトの表面を離型性の材質で被覆する、定着ローラや定着ベルトの表面にシリコンオイル等の離型剤を塗布する、等の様々な手段を用いて定着ローラや定着ベルトとトナーが粘着することを防止している。
【0003】
さらには、分離爪を備えたシート分離機構を定着ローラや定着ベルトに付設して、溶融したトナーによって定着ローラや定着ベルトに巻き付こうとしている用紙を強制的に分離している。
しかしながら、上記分離爪による分離手段では分離爪と定着ベルトや定着ローラ等の定着部材とが摺りながら接触しているために、接触箇所にトナーが溜まり易く、あるときその溜まったトナーがとれて、記録媒体を汚す等の不具合が発生している。さらに分離爪と定着部材である回転体とが摺動している為に、摺動跡が回転体に発生し、寿命低下、更にはその摺動跡が記録媒体に異常画像として発生する等の課題が生じている。
【0004】
近年、定着装置の離型剤は取り扱い性が悪い等の理由でトナーにワックス成分を付加し、定着部材である回転体表面にシリコンオイル等の離型剤を塗布することを無くす傾向にある為、上記課題は益々顕著になってきている。
上記課題を解決するために、定着部材である回転体と非接触状態で分離する分離板等に関する発明が開示されている。
例えば特許文献1には、定着ベルト方式の分離手段として非接触分離板が開示されている。引用文献1の実施例では、定着ローラの弾性体に発泡シリコンゴムを採用しているが、近年画質向上のためにソリッドシリコンゴム等のソリッド弾性体を使用するケースが増えている。ソリッド弾性体を使用するとニップ部での面圧が発泡弾性体に比べ高くなり、画質が向上する。特に塗工紙等を使用するユーザにとって画質は重要である。
特許文献2には、用紙搬送方向におけるニップ部直後に定着ベルトと定着ローラとの間に摺動支持部材を配置した構成が開示されている。定着ローラの弾性層には発泡シリコンゴムが採用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された構成において、定着ローラとしてソリッド弾性体の定着ローラを適用すると、定着ローラ外周の速度に関して、ニップ部での速度がそれ以外の速度に対して速くなる現象が生じる。
ソリッド弾性体の場合は質量が逃げないので、ニップ部等で変形が生じると、質量が移動する領域が狭くなりその分移動速度が速くなる為である。その為、ニップ部では定着ベルトが速く送られ、ニップ部以外で定着ベルトが定着ローラに巻き掛けられた部分ではニップ部より定着ローラ表面速度は遅い。
通常、定着ベルトを複数の支持ローラで張架した構成では、定着ベルトにはテンションが掛けられているので、その速度差を定着ベルト内周面と定着ローラ外周面とで滑る構成だが、巻き付け範囲が広いと、ソリッドゴム等のソリッド弾性体の定着ベルト内面に多く使用されている硬質樹脂に対する摩擦係数は高いので滑らない現象が発生する。その為、ニップ出口部で定着ベルトが定着ローラに対して浮き、分離板先端部と接触し定着ベルトを傷つける等の不具合が生じる可能性がある。
【0006】
また、非接触分離板ユニットを備えていなくても、定着ベルトが定着ローラに対してニップ出口部で浮き始め、それが限界を超えると、定着ベルトは内部支持ローラによって巻き掛けられ、張架した構成であり、テンションが掛けられているので勢い良くニップ出口部で発生していた浮き現象が解消され、また定着ベルトと定着ローラが巻き付くので再びニップ出口部で浮き始める。
上記挙動の繰り返しで異音を発生するという不具合を起こす可能性がある。
引用文献2では、ソリッドゴム及びソリッドゴム定着ローラを使用することによるニップ出口部で発生する定着ベルトの浮きの課題に関しては言及されていない。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、定着ベルトと、画質向上に寄与するソリッド弾性体を有した定着ローラを使用した構成において、ニップ出口部での定着ベルトの浮き現象を発生させず、定着ベルトの損傷や異音の発生を抑制できる定着装置の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、定着ローラと、該定着ローラを含む複数の支持ローラに掛け回された無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトを介して前記定着ローラに圧接しニップ部を形成する対向部材とを有し、前記ニップ部に未定着トナー像を保持した記録媒体を搬送し、挟持・加熱することによって前記未定着トナー像を前記記録媒体に定着する定着装置において、前記定着ローラはその最外層にソリッド弾性体を有し、前記ニップ部以外で前記定着ベルトが前記定着ローラに巻き掛けられる範囲が円周角で90度以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ソリッド弾性体を有する定着ローラと定着ベルトを用いた定着装置において、ニップ部出口での定着ベルトの浮きを抑制できるため、ソリッド弾性体による特性(画質向上)を十分に活かすことができ、異音の発生も防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る定着装置の概要構成図である。
【図2】ニップ部近傍の拡大図で、(a)は図1のA部拡大図、(b)は(a)のB部拡大図である。
【図3】定着ローラに対する定着ベルトの巻き付き角が大きい状態を示す図である。
【図4】図3に示す構成での速度差による定着ベルトの浮きを説明するための図で、(a)は装置概要図、(b)は(a)の点線領域の拡大図である。
【図5】分離手段の斜視図である。
【図6】摺動支持部材の分離性を高めた形状を説明するための要部拡大図である。
【図7】画像形成装置の概要構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図を参照して説明する。
まず、図7に基づいて本実施形態に係る画像形成装置(タンデム型カラー画像形成装置)30の構成の概要を説明する。スキャナによる信号もしくはプリンタによる信号に基づいて、書き込みユニット32により、作像ユニット33内の感光体25Y(イエロー)、25M(マゼンタ)、25C(シアン)、25K(ブラック)上が露光されて静電潜像が形成される。
各感光体上に形成された静電潜像は各現像装置によりトナー像として可視像化される。各色のトナー像は、中間転写ベルト26に重ね合わせて転写される。
【0012】
一方、給紙ユニット31によって、記録媒体としての用紙が給紙され、レジストローラ対28で一旦停止されて斜めずれを修正される。用紙はレジストローラ対28により所定のタイミングで2次転写部へ搬送され、2次転写ローラ34により中間転写ベルト26上の未定着トナー像が用紙に転写される。
未定着トナー像を転写された用紙はベルト定着方式の定着装置35へ送られ、ここで未定着トナー像を定着される。両面プリント時には両面ユニット36で用紙が反転され、再び2次転写部へ搬送される。トナー像が定着された転写紙は、後述する分離手段8によって定着ベルトから剥離され、排紙される。
【0013】
図1に基づいて定着装置35の構成を説明する。定着装置35は、定着ローラ1と、加熱ローラ3と、定着ローラ1と加熱ローラ3とを支持ローラとしてこれらのローラ間に掛け回された無端状の定着ベルト2と、定着ベルト2を介して定着ローラ1に圧接しニップ部Nを形成する対向部材としての加圧ローラ4を有している。
加熱ローラ3と加圧ローラ4の内部には、熱源であるハロゲンヒータ7を内蔵していて、図の右側から未定着トナー像6を担持した記録媒体5が搬送され、ニップ部で挟持・加熱し、定着する構成である。
【0014】
定着ベルト2の構成は、内径80mmで厚み90μmのポリイミド樹脂で形成された基体表層に、厚み200μmのシリコンゴム、更に最外層には厚さ20μmのPFA(4フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂)コートを施している。
定着ベルト2は、外径60mmの定着ローラ1と、外径40mmで厚み0.6mmのアルミ製中空円筒からなる加熱ローラ3とに掛け回されている。
定着ローラ1の構成は、芯金1aの外側に、外径60mmで厚み14mmのソリッドシリコンゴム(ソリッド弾性体)1bからなる耐熱・弾性層(最外層)を有した構成である。
加圧ローラ4の構成は、鋼製で厚み1mmの中空芯金に厚み1.5mmのシリコンゴムが覆っており、最外層にはPFA(4フッ化エチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂)チューブを備えた外径50mmのローラである。
【0015】
上記構成で加圧ローラ4は定着ベルト2を介して定着ローラ1に対して3mm食い込み、用紙搬送方向におよそ16mmのニップ幅を備えた構成である。
ニップ部より下流で定着ローラ1と定着ベルト2との間には、定着ベルト2を定着ベルト2の内面から支持する摺動支持部材10が設けられている。摺動支持部材10は、図示しない定着装置の側板に支持されている。
摺動支持部材10による支持構成によって、ニップ部以外では定着ベルト2の裏面(内面)と定着ローラ1の表面とが接触している範囲は定着ローラ1の円周角で20度である。
摺動支持部材10の定着ベルト2裏面と接触する面には、フッ素樹脂がコーティングされており、表層摩擦係数が定着ローラ1の表層と比べて非常に小さい値となっている。
【0016】
仮に図3に示すように、摺動支持部材10が無く、ニップ部以外で定着ベルト2の裏面がソリッドゴム性の弾性層を有した定着ローラ1表面と定着ローラ1の円周角で160度も接していたら、図4に示すように定着ローラ1表層の速度において、ニップ部の速度V1とそれ以外の外層の速度V2とでは速度差が生じ、V1>V2となる。
これはソリッドゴムは質量が逃げない為、ニップ部で変形が生じるとニップ部の狭い領域の中で同じ質量だけ移動しなければならないのでその分移動速度が速くなる為である。この現象は近年、画質向上と小スペースの為、ニップ幅を広げる傾向にある為、非常に顕著になってきている。
【0017】
上記現象の為、ニップ部では定着ベルト2が速く送られ、ニップ以外では、定着ベルト2が定着ローラ1に巻き掛けられた部分ではニップ部より定着ローラ1表面速度は遅い。通常、定着ベルト2内に保持した加熱ローラ3で張架した構成では、定着ベルト2にはテンションが掛けられているので、その速度差を定着ベルト2の内周面と定着ローラ1の外周面とで滑る構成だが、巻き付け範囲が広いと、ソリッドゴムの定着ベルト2の内面のポリイミド樹脂に対する摩擦係数は高いので滑らない現象が発生する。
【0018】
通常、定着ベルト2の強度や定着ローラ1の寿命を考慮すると、加熱ローラによるテンションは30Kgf〜40Kgfが限界である。このテンションで定着ベルト2の裏面と定着ローラ1の表層との速度差を滑らせるには、巻き付け範囲が定着ローラ1の円周角で90度が限界である。
図3に示すように、160度も巻き付けてあると、図4(b)に示すように、ニップ出口部で定着ベルト2が定着ローラ1に対して浮き、分離板8cと接触して定着ベルト2を傷付ける等の不具合が生じる可能性がある。
また、非接触方式の分離手段8を備えていなくても、定着ベルト2が定着ローラ1に対してニップ出口部で浮き始め、それが限界を超えると、定着ベルト2は加熱ローラ3によって巻き掛けられ、張架した構成であり、テンションが掛けられているので勢い良くニップ出口部で発生していた浮き現象が解消され、また定着ベルト2と定着ローラ1が巻き付くので再びニップ出口部で浮き始める。上記挙動を繰り返しで異音を発生するという不具合を起こす可能性がある。
【0019】
一方、図1に示す構成(本発明を実施した構成)は、ニップ部以外で定着ベルト2の裏面と定着ローラ1の表層が接触している範囲は、定着ローラ1の円周角で20度と90度よりも小さく設定されている。
これにより、定着ベルト2の裏面と定着ローラ1の表層との摩擦力が小さくなり、他の支持ローラ例えば加熱ローラ3によって定着ベルト2に掛けられたテンションによって、ニップ出口部で生じる定着ローラ1からの定着ベルト2の浮きを十分に防止することができる。
さらに、摺動支持部材10の定着ベルト2の裏面と接触する面にはフッ素樹脂がコーティングされ摩擦係数が小さいため、加熱ローラ3よるテンションでニップ出口部で発生する定着ベルト2が浮く現象を防止することができる。
図1に示すように、ニップ部下流には、転写紙5を加圧ローラ4から剥離するための分離手段9が加圧ローラ4に対して設けられている。
【0020】
また図1及び図1のA部(点線領域)の詳細図である図2に示すように、定着ベルト2側には、転写紙5を定着ベルト2から剥離するための分離手段8を備えている。
分離手段8は、図6に示すように、支点8aを中心に回動自在な構成であり、分離手段先端部が、定着ベルト2の方向へ付勢手段としての引張スプリング12の付勢力によって、回転レバー11の働きで付勢される構成である。
定着側の分離手段8と加圧側の分離手段9の働きで分離された転写紙5は、その後、定着側ガイド板と加圧側ガイド板の案内によって図示しない排紙部へ搬送される。
【0021】
図5は、定着側の分離手段8の構成を更に詳しく説明するための図である。
分離手段8は最大画像領域内に位置する複数の分離板8cを有しており、分離板8cの先端部8dは、最大画像領域外に配置された接触部としての突き当て部材8bの働きによって、定着ベルト2とのギャップを精度良く微小に設定することができる。
分離手段8の最大画像領域外両端に設けられた、曲率形状を有する突き当て部材8bは、摺動支持部材10によって支持された定着ベルト2の表層に当接する。
図2(a)のB部(点線領域)詳細図である図2(b)に、手前側の突き当て部材8bを非表示にした構成を示す。
図2(b)に示すように、分離板8cの先端部8dと突き当て部材8bの曲率形状の曲率中心は、軸方向に垂直な断面において略一致した配置である。
【0022】
この構成によって、定着ベルトの変動にも分離板8cの先端部8dの位置は追従し、さらに摺動支持部材10の材質は定着ローラ1の弾性層の発泡シリコンゴムと比べると、はるかに固く熱膨張も無いアルミ製であるため、経時的な変化が殆ど無く、最初に設定した分離板と定着ベルトとのギャップを温度や駆動及び経時的な変化を含めて略一定に保つことができる。
また、ニップ出口部で定着ベルト2が浮く現象も発生しないので、非接触に設定した分離板8cの先端部8dと定着ベルト2の表層とが接触することも無く高画質な画像を定着することができる。
上記構成によって、ニップ部直後の定着ベルト2の表層に非接触状態で分離手段8を配置しても、定着ベルト2が定着ローラ1に対して浮きが生じることがないので、分離手段8の先端部8dに定着ベルト2が接触することによる定着ベルト2の損傷が生じない。
【0023】
図2及び図6に基づいて摺動支持部材10の形状を詳しく述べる。
摺動支持部材10の、定着ベルト2を介して分離手段8の最大画像領域外両端に設けられた曲率形状(突き当て部材8b)が当接する場所(接触点G:図2(b)参照)とニップ部出口との間には、定着ベルト2の内面に向かって凸形状の曲面部10aが設けられている(図6参照)。
上記形状によって、分離手段の先端部8dより少し上流で曲面部10aの曲率分離により転写紙5の剥離が行われる。
特に先端余白部分では剥離されるので、その後の分離板の先端部8dに転写紙5の先端が達するときに転写紙5の先端が分離板の先端部8dと定着ベルト2とのギャップに潜りこむ危険性が非常に少なくなり、分離性向上が達成できる。
【0024】
上記のように、本実施形態に係る画像形成装置では、ソリッド弾性体を有した定着ローラを使用しているので、高画質を達成できる。また、ニップ部出口での定着ベルト2の浮きを防ぐことができるので、定着ベルトが傷付くことや、異音を発生させず、分離性に富んだ高信頼性な画像形成装置を提供することができる。
すなわち、ソリッド弾性体による画質向上の利点を十分に活かすことができる。
【符号の説明】
【0025】
1 定着ローラ
1b ソリッド弾性体
2 定着ベルト
3 支持ローラとしての加熱ローラ
4 対向部材としての加圧ローラ
5 記録媒体
6 未定着トナー像
8 分離手段
8b 接触部としての突き当て部材
8d 先端部
10 摺動支持部材
10a 曲面部
25 像担持体としての感光体
35 定着装置
N ニップ部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】特開2009−031759号公報
【特許文献2】特開2010−281871号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定着ローラと、該定着ローラを含む複数の支持ローラに掛け回された無端状の定着ベルトと、前記定着ベルトを介して前記定着ローラに圧接しニップ部を形成する対向部材とを有し、前記ニップ部に未定着トナー像を保持した記録媒体を搬送し、挟持・加熱することによって前記未定着トナー像を前記記録媒体に定着する定着装置において、
前記定着ローラはその最外層にソリッド弾性体を有し、前記ニップ部以外で前記定着ベルトが前記定着ローラに巻き掛けられる範囲が円周角で90度以下であることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
請求項1に記載の定着装置において、
前記ニップ部より前記記録媒体の搬送方向下流で、前記定着ローラと前記定着ベルトとの間に、前記定着ベルトの内面を支持するように摺動支持部材が設けられ、前記摺動支持部材の摩擦係数は前記定着ローラの前記最外層の摩擦係数よりも低いことを特徴とする定着装置。
【請求項3】
請求項2に記載の定着装置において、
前記摺動支持部材の前記定着ベルトの裏面と摺接する面にはフッ素樹脂がコーティングされていることを特徴とする定着装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の定着装置において、
前記ニップ部の下流に前記記録媒体を前記定着ベルトから剥離するための分離手段が設けられており、
前記分離手段は支点を中心に回動自在に配置されていて、前記定着ベルトの方向に付勢手段によって該分離手段の先端部が付勢された構成であり、
前記定着ローラの軸方向中央部の画像領域では、前記摺動支持部材によって支持された前記定着ベルト上に微小ギャップを有した非接触状態で前記分離手段の先端部が保持された構成であり、
最大画像領域外である前記分離手段の両端部には、前記微小ギャップを保持するために、前記摺動支持部材によって支持された前記定着ベルトと接触・摺動する曲率形状を有した接触部が設けられていることを特徴とする定着装置。
【請求項5】
請求項4に記載の定着装置において、
前記接触部の曲率中心は、前記定着ローラの回転軸方向に垂直な断面において、前記最大画像領域内の前記分離手段の先端部と略一致していることを特徴とする定着装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の定着装置において、
前記摺動支持部材には、前記分離手段の接触部が当接する部位と前記ニップ部の出口との間に、前記定着ベルトの内面に向かって凸形状の曲面部が形成されていることを特徴とする定着装置。
【請求項7】
像担持体上に形成された静電潜像を現像装置によりトナー像として可視像化し、前記トナー像を記録媒体に転写した後該記録媒体を定着装置に通して定着する画像形成装置において、
前記定着装置が、請求項1〜6のいずれか1つに記載のものであることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−57730(P2013−57730A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194840(P2011−194840)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】