説明

定着装置

【課題】第2反射板の反射効率を向上させることができる定着装置を提供する。
【解決手段】定着装置は、可撓性の定着ベルトと、定着ベルトの内部に配置され、輻射熱を発するハロゲンランプ120(発熱体)と、定着ベルトの内面に摺接するように配置されたニップ板と、ハロゲンランプ120の長手方向における少なくとも発熱部に対応する範囲で発熱部に沿って延び、ハロゲンランプ120からの輻射熱をニップ板に向けて反射する第1反射板150と、第1反射板150の長手方向の少なくとも一端側において、発熱部よりも外側に配置され、輻射熱を反射する第2反射板170と、ニップ板との間で定着ベルトを挟んでニップを形成するバックアップ部材と、を備えている。そして、第2反射板170は、第1反射板150から離間している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録シートに転写された現像剤像を熱定着する定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置に用いられる定着装置として、筒状の定着フィルムと、定着フィルムの内側に配置されたヒータと、定着フィルムの内面に摺接するように配置されたニップ板と、ヒータからの輻射熱をニップ板に向けて反射する反射板と、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的に、反射板は、ヒータの長手方向に延びる中央反射部(第1反射板)と、中央反射部の長手方向端部において、中央反射部よりも外側に配置される両端反射部(第2反射板)とを一体に有している。そして、両端反射部には、ヒータの電極を避けるように切欠部が形成されており、ヒータの電極が反射板に接触してショートしないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−95540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した技術のように両端反射部に切欠部を設ける構造では、ヒータがショートしないように切欠部を大きく形成することから、当該切欠部から輻射熱が漏れ、加熱効率が悪かった。
【0005】
そこで、本発明は、第2反射板の反射効率を向上させることができる定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、本発明の定着装置は、記録シートに転写された現像剤像を、記録シートを所定の方向に移動させながら熱定着するための定着装置であって、可撓性の筒状部材と、筒状部材の内部に配置され、輻射熱を発する発熱体と、筒状部材の内面に摺接するように配置されたニップ部材と、発熱体の長手方向における少なくとも発熱部に対応する範囲で発熱部に沿って延び、発熱体からの輻射熱をニップ部材に向けて反射する第1反射板と、第1反射板の長手方向の少なくとも一端側において、発熱部よりも外側に配置され、輻射熱を反射する第2反射板と、ニップ部材との間で筒状部材を挟んでニップを形成するバックアップ部材と、を備えている。
そして、第2反射板は、第1反射板から離間している。
【0007】
このように構成された定着装置によれば、第1反射板と第2反射板が離間しているので、第2反射板を発熱体に近づけるように大きく形成することができ、第2反射板の反射効率が向上する。
【0008】
また、前記した定着装置は、第1反射板と第2反射板の隙間を塞ぐ絶縁性のカバー部材をさらに備えていてもよい。この場合、カバー部材は、少なくとも前記隙間に臨む表面が白色であることが望ましい。
【0009】
このように構成された定着装置によれば、カバー部材が、光を吸収しにくいので、第1反射板と第2反射板の隙間から漏れた光によってカバー部材が加熱するのを抑えることができる。
【0010】
また、前記したカバー部材を備える定着装置は、フィルム状の絶縁性部材をさらに備え、筒状部材は、金属製であり、発熱体は、長手方向の端部に電極を有していてもよい。この場合、電極は、カバー部材と絶縁性部材とで挟まれているのが望ましい。
【0011】
このように構成された定着装置によれば、電極をカバー部材とフィルム状でない厚めの部材とで挟む構成に比べて、定着装置を小型化することができる。
【0012】
そして、前記した発熱体が電極を有する定着装置において、第2反射板は、電極と接触しているのが望ましい。
【0013】
このように構成された定着装置によれば、第2反射板と電極の接触により、第2反射板から電極の熱を放熱することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第1反射板と第2反射板が離間しているので、第2反射板を発熱体に近づけるように大きく形成することができ、第2反射板の反射効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る定着装置を備えたレーザプリンタの概略構成を示す図である。
【図2】定着装置の断面図である。
【図3】カバー部材に組み付けられたステイ、第1反射板、第2反射板およびハロゲンランプと、フィルムを示す斜視図である。
【図4】ニップ板の斜視図である。
【図5】第1反射板とステイの斜視図である。
【図6】カバー部材と第2反射板の斜視図(a)と、第2反射板の拡大図(b)である。
【図7】第1の変形例に係る第1反射板と第2反射板を示す斜視図である。
【図8】第2の変形例に係る第1反射板と第2反射板を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、本発明の定着装置100を備えたレーザプリンタ1の概略構成について説明した後、定着装置100の詳細な構成について説明する。
【0017】
また、以下の説明において、方向は、レーザプリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における左側を「前」、右側を「後」とし、手前側を「右」、奥側を「左」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0018】
<レーザプリンタの概略構成>
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体筐体2内に、記録シートの一例としての用紙Sを供給する給紙部3と、露光装置4と、用紙S上にトナー像(現像剤像)を転写するプロセスカートリッジ5と、用紙S上のトナー像を熱定着する定着装置100とを主に備えている。また、本体筐体2の左側側壁の後方には、本体筐体2内の空気を外部へ排出するためのファンFが設けられている。
【0019】
給紙部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、給紙トレイ31と、用紙押圧板32と、給紙機構33とを主に備えている。給紙トレイ31に収容された用紙Sは、用紙押圧板32によって上方に寄せられ、給紙機構33によってプロセスカートリッジ5(感光体ドラム61と転写ローラ63との間)に向けて供給される。
【0020】
露光装置4は、本体筐体2内の上部に配置され、図示しないレーザ発光部や、符号を省略して示すポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。この露光装置4では、レーザ発光部から出射される画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)が、感光体ドラム61の表面で高速走査されることで、感光体ドラム61の表面を露光する。
【0021】
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に配置され、本体筐体2に設けられたフロントカバー21を開いたときにできる開口から本体筐体2に対して着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスカートリッジ5は、ドラムユニット6と、現像ユニット7とから構成されている。
【0022】
ドラムユニット6は、感光体ドラム61と、帯電器62と、転写ローラ63とを主に備えている。また、現像ユニット7は、ドラムユニット6に対して着脱可能に装着される構成となっており、現像ローラ71と、供給ローラ72と、層厚規制ブレード73と、トナー(現像剤)を収容するトナー収容部74とを主に備えている。
【0023】
このプロセスカートリッジ5では、感光体ドラム61の表面が、帯電器62により一様に帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部74内のトナーは、供給ローラ72を介して現像ローラ71に供給され、現像ローラ71と層厚規制ブレード73の間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ71上に担持される。
【0024】
現像ローラ71上に担持されたトナーは、現像ローラ71から感光体ドラム61上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム61上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム61と転写ローラ63の間を用紙Sが搬送されることで感光体ドラム61上のトナー像が用紙S上に転写される。
【0025】
定着装置100は、プロセスカートリッジ5の後方に設けられている。用紙S上に転写されたトナー像(トナー)は、定着装置100を通過することで用紙S上に熱定着される。トナー像が熱定着された用紙Sは、搬送ローラ23,24によって排紙トレイ22上に排出される。
【0026】
<定着装置の詳細構成>
図2および図3に示すように、定着装置100は、筒状部材の一例としての定着ベルト110と、発熱体の一例としてのハロゲンランプ120と、ニップ部材の一例としてのニップ板130と、バックアップ部材の一例としての加圧ローラ140と、第1反射板150と、第2反射板170と、ステイ160と、カバー部材200と、絶縁性部材の一例としてのフィルム180,190と、を主に備えている。
【0027】
定着ベルト110は、耐熱性と可撓性を有する無端状(筒状)のベルトであり、符号を省略して示すガイド部材により回転が案内されている。なお、本実施形態において、定着ベルト110は、ステンレス鋼などの金属から形成されている。
【0028】
ハロゲンランプ120は、輻射熱を発してニップ板130および定着ベルト110を加熱することで用紙S上のトナーを加熱するヒータであり、定着ベルト110の内部において定着ベルト110およびニップ板130の内面から所定の間隔をあけて配置されている。
【0029】
ハロゲンランプ120は、左右方向に細長い略円筒状のガラス管121と、発熱部の一例としてのフィラメント122と、フィラメント122の端部と電気的に接続された一対の電極123とを主に備えている。このハロゲンランプ120は、ガラス管121内に螺旋状に巻かれたフィラメント122を封入してガラス管121の両端部を閉じ、さらに、ガラス管121内にハロゲン元素を含む不活性ガスを封入することで構成されている。
【0030】
ガラス管121には、その両端部を閉じるときに形成される封止部124が、ガラス管121の径方向に長く延びる略平板状をなしており、さらに、ガラス管121の長手方向から見て、ガラス管121の表面から突出するように形成されている。そして、ガラス管121の長手方向の両端部には、一対の電極123が設けられている。
【0031】
ニップ板130は、ハロゲンランプ120からの輻射熱を受ける板状の部材であり、その下面が筒状の定着ベルト110の内周面に摺接するように、定着ベルト110の内部に配置されている。本実施形態において、ニップ板130は、例えば、後述するスチール製のステイ160より熱伝導率が大きい、アルミニウム板などを加工することで形成されている。
【0032】
図4に示すように、ニップ板130は、ベース部131と、屈曲部132とを有している。
ベース部131は、その下面が定着ベルト110の内周面と摺接する部分であり、ハロゲンランプ120からの熱を、定着ベルト110を介して用紙S上のトナーに伝達するようになっている。屈曲部132は、ベース部131の前後端から上方へ延びるように形成されている。
【0033】
図2に示すように、加圧ローラ140は、弾性変形可能な部材であり、ニップ板130の下方に配置されている。そして、この加圧ローラ140は、弾性変形した状態でニップ板130との間で定着ベルト110を挟むことで、ニップNを形成するようになっている。本実施形態においては、ニップ板130および加圧ローラ140は、一方が他方に向けて付勢されることで互いに圧接するように構成されている。
【0034】
この加圧ローラ140は、本体筐体2内に設けられた図示しないモータから駆動力が伝達されて回転駆動するように構成されており、回転駆動することで定着ベルト110(または用紙S)との摩擦力により定着ベルト110を従動回転させるようになっている。これにより、トナー像が転写された用紙Sは、加圧ローラ140と加熱された定着ベルト110の間を前後方向(所定の方向)に搬送されることでトナー像(トナー)が熱定着される。
【0035】
第1反射板150は、ハロゲンランプ120からの輻射熱(主に前後方向や上方向に向けて放射された輻射熱)をニップ板130(ニップ板130の上面)に向けて反射する部材であり、ハロゲンランプ120を覆うように、ハロゲンランプ120から所定の間隔をあけて配置されている。
【0036】
このような第1反射板150によってハロゲンランプ120からの輻射熱をニップ板130に集めることで、ハロゲンランプ120からの輻射熱を効率よく利用することができ、ニップ板130および定着ベルト110を速やかに加熱することができる。
【0037】
具体的に、第1反射板150は、赤外線および遠赤外線の反射率が大きい金属板、例えば、アルミニウム板などを、略U形状に湾曲させて形成されている。より詳しくは、図5に示すように、第1反射板150は、湾曲形状(断面視略U形状)をなす第1反射部151と、第1反射部151のニップ板130側の両端部から前後方向外側に延びるフランジ部152とを主に有している。そして、第1反射板150は、図3に示すように、ハロゲンランプ120の長手方向におけるガラス管121(より詳細には、フィラメント122)に対応する範囲でハロゲンランプ120に沿って延びている。
【0038】
第2反射板170は、第1反射板150の右端から漏れる輻射熱を反射する部材であり、第1反射板150の右端から漏れた輻射熱で、後述するカバー部材200の右端部が過剰に加熱されるのを防止している。なお、第1反射板150の左端においては、本体筐体2の左側側壁に、前述したようにファンFが設けられているため、輻射熱が漏れても、カバー部材200がファンFにより冷却され、過剰に高温になることはない。
【0039】
第2反射板170は、第1反射板150の右端側において、ハロゲンランプ120のガラス管121(フィラメント122)よりも外側に、第1反射板150とは離間して配置されている。
【0040】
この第2反射板170は、アルミニウムなどの金属板から形成され、図6(a)および(b)に示すように、左右方向に直交する板状の第2反射部171と、第2反射部171の下端から左右方向外側に延びる延出部172とを有している。そして、第2反射板170は、第2反射部171が、第1反射板150の内側の空間と対向し、延出部172がハロゲンランプ120の電極123と接触するように設けられている。
【0041】
図2および図5に示すように、ステイ160は、加圧ローラ140とは反対側から前後方向におけるニップ板130の両端部を支持する部材であり、定着ベルト110の内側でハロゲンランプ120および第1反射板150を覆うように配置されている。このステイ160は、比較的剛性が高い、例えば、鋼板などの金属板を、ニップ板130側に開口を有するとともに第1反射板150(第1反射部151)に沿った形状で屈曲させることにより形成されている。
【0042】
より詳細に、ステイ160は、上壁161と、上壁161の前後端から下方へ延びる前壁162および後壁163を有している。そして、前壁162の下端部が、第1反射板150の前側のフランジ部152を介してニップ板130の前端部を上から支持しており、後壁163の下端部が、第1反射板150の後側のフランジ部152を介してニップ板130の後端を上から支持している。つまり、ステイ160は、ニップ板130との間で、第1反射板150を挟んでいる。
【0043】
このようなステイ160は、ニップ板130に対し下方(加圧ローラ140側)から力が作用したときにその力を受け止めてニップ板130を支持する。
【0044】
図2に示すように、カバー部材200は、定着ベルト110の内側に配置されてステイ160を覆うように設けられた部材であり、絶縁性を有する白色の樹脂から形成されている。
【0045】
このカバー部材200は、図6(a)に示すように、ステイ160などを覆うカバー部210と、第2反射板170を保持する第2反射板収容部220と、ハロゲンランプ120の電極123を支持する電極支持部230と、後述するフィルム180が固定される固定部240とを有している。
【0046】
カバー部210は、断面視略U字状に形成され(図2も参照)、左右方向において、ステイ160と略同じ大きさを有している。このカバー部210は、前後方向で対向する前壁211および後壁212と、前壁211と後壁212の上部を繋ぐ上壁213とを有している。
【0047】
第2反射板収容部220は、カバー部210の右端部に形成されており、左右方向で対向し、第2反射板170の第2反射部171を挟む一対の壁部221,222を有している。このように、第2反射板収容部220をカバー部210に連続して設けることで、離間して配置されている第1反射板150と第2反射板170の隙間をカバー部材200で覆うことができるようになっている。
【0048】
なお、カバー部材200が白色の樹脂から形成されていることにより、カバー部材200の第1反射板150と第2反射板170の隙間に臨む表面は、白色であり、第1反射板150と第2反射板170の隙間から漏れたハロゲンランプ120の光を吸収しにくくなっている。これにより、カバー部材200が、第1反射板150と第2反射板170の隙間から漏れたハロゲンランプ120の光によって加熱されるのを抑えることができるようになっている。
【0049】
また、左右方向内側の壁部221は、中央部が切り欠かれており、第2反射板収容部220に収容された第2反射板170の第2反射部171が、左右方向内側のハロゲンランプ120に向けて露出するようになっている。
【0050】
電極支持部230は、カバー部210の左右端(詳しくは、上壁213の両端から下方に突出する壁部222,214)に設けられており、下面がハロゲンランプ120の電極123の上面と接触して支持するように構成されている。また、電極支持部230の下面には、ネジが螺合するネジ穴231が形成されている。
【0051】
固定部240は、カバー部210の右端(壁部222)において、電極支持部230と前後に並んで設けられている。この固定部240は、下面にネジが螺合するネジ穴241が形成されている。
【0052】
図3に示すように、フィルム180,190は、絶縁性の樹脂等からなり、ハロゲンランプ120の電極123よりも大きく形成されている。フィルム180,190は、孔181,191を有している。
【0053】
このフィルム180,190は、ハロゲンランプ120の電極123の下面を覆うように設けられている。これにより、ハロゲンランプ120の電極123は、カバー部材200の電極支持部230とフィルム180,190とで挟まれるので、金属製の定着ベルト110とハロゲンランプ120の電極123との間で放電が生じるのを防止することができるようになっている。
【0054】
次に、ステイ160、第2反射板170およびハロゲンランプ120のカバー部材200への組み付け方について説明する。
まず、第1反射板150が組み付けられたステイ160を、カバー部材200のカバー部210に組み付け、第2反射板170を、第2反射部171が一対の壁部221,222に挟まれるように、第2反射板収容部220に嵌める。
【0055】
そして、ハロゲンランプ120を、ガラス管121が第1反射板150の内側に設けられ、電極123が電極支持部230に支持されるように、カバー部材200に配置する。このとき、右側の電極123は、第2反射板170の延出部172に接触させる。そして、ネジ穴231に図示しないネジを螺合させることで、右側の電極123を、電極支持部230に対してネジ止めする。
【0056】
次に、フィルム180を、ハロゲンランプ120の右側の電極123の下面に重ねる。そして、図示しないネジを、孔181に通して、固定部240のネジ穴241に螺合させることで、フィルム180を、カバー部材200に対してネジ止めする。また、フィルム190を、ハロゲンランプ120の左側の電極123の下面に重ね、図示しないネジを、孔191に通して、電極支持部230のネジ穴231に螺合させることで、カバー部材200に対して、フィルム190を左側の電極123とともにネジ止めする。
【0057】
以上によれば、本実施形態において以下のような作用効果を得ることができる。
第1反射板150と第2反射板170が離間しているので、従来のように、第2反射板170にハロゲンランプ120の電極123を避けるような大きな切欠部を設けて、ハロゲンランプ120がショートするのを防止する必要がない。これにより、第2反射板170を発熱体に近づけるように大きく形成することができるので、第2反射板170に輻射熱を反射するための面を十分に設けることができ、第2反射板170の反射効率が向上する。
【0058】
そして、ハロゲンランプ120の電極123は、第2反射板170に接触するように設けられているので、第2反射板170から電極123の熱を放熱することができる。
【0059】
また、ハロゲンランプ120の電極123は、カバー部材200とフィルム180,190に挟むように構成されているので、カバー部材200と厚めの部材とで電極123を挟む構成に比べて、定着装置100を小型化することができる。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0061】
前記実施形態では、第1反射板150と第2反射板170とを、それぞれ別部品として構成したが、本発明はこれに限定されるものではなく、空気または絶縁性の部材を介して離間していれば、一つの部品として構成してもよい。
【0062】
例えば、図7に示すように、第1反射板350と第2反射板370とを、絶縁性の接着剤Bによって接着することで、一つの部品にしてもよい。より具体的に、第1反射板350は、断面視半円状に形成されている。第2反射板370は、第1反射板350の端部の上半分を覆うような形状を有しており、第1反射板350の端面に接着剤Bにより接着されている。
【0063】
このような第1反射板350と第2反射板370でも、絶縁性の接着剤Bを挟んで離間しているので、前記した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0064】
また、図8に示すように、第1反射板450と第2反射板470を、箱状の反射部材400の内面にそれぞれ離間して形成することで、一つの部品として構成してもよい。
【0065】
具体的に、長尺の箱状の反射部材400は、絶縁性を有する白色の樹脂などから形成されている。そして、この反射部材400の内面のうち、長手方向の端部が第2反射板470となっており、この第2反射板470から所定の距離だけ内側に離れた部分が第1反射板450となっている。
【0066】
このような第1反射板450と第2反射板470とは、この箱状の反射部材400の長手方向端部の内面の一部をマスキングした状態で、反射部材400の内面にアルミニウム等の金属を蒸着させることで形成することができる。
【0067】
そして、前記実施形態においては、第2反射板170は、第1反射板150の右端側(一端側)にのみ設けられていたが、本発明はこれに限定されず、第1反射板150の両端側に設けてもよい。
【0068】
また、前記実施形態においては、ハロゲンランプ120の電極123と第2反射板170が接触していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ハロゲンランプ120の電極123の第2反射板170と対向する面に、絶縁性のフィルムなどを設け、ハロゲンランプ120の電極123と第2反射板170を離間して配置してもよい。
【0069】
そして、前記実施形態においては、カバー部材200が白色の樹脂で形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、カバー部材200は、白色以外の色の素材から形成され、第1反射板150と第2反射板170の隙間に臨む表面に、白色の塗料が塗ってあってもよい。
【0070】
前記実施形態では、発熱体としてハロゲンランプ120を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、カーボンヒータなどであってもよい。
【0071】
前記実施形態では、ニップ部材として板状のニップ板130を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、板状でない厚めの部材を採用してもよい。
【0072】
前記実施形態では、バックアップ部材として加圧ローラ140を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ベルト状の加圧部材などであってもよい。
【0073】
前記実施形態では、記録シートとして、普通紙やはがきなどの用紙Sを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、OHPシートなどであってもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 レーザプリンタ
100 定着装置
110 定着ベルト
120 ハロゲンランプ
121 ガラス管
122 フィラメント
123 電極
130 ニップ板
140 加圧ローラ
150 第1反射板
160 ステイ
170 第2反射板
180 フィルム
190 フィルム
200 カバー部材
210 カバー部
220 第2反射板収容部
N ニップ
S 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録シートに転写された現像剤像を、記録シートを所定の方向に移動させながら熱定着するための定着装置であって、
可撓性の筒状部材と、
前記筒状部材の内部に配置され、輻射熱を発する発熱体と、
前記筒状部材の内面に摺接するように配置されたニップ部材と、
前記発熱体の長手方向における少なくとも発熱部に対応する範囲で前記発熱部に沿って延び、前記発熱体からの輻射熱を前記ニップ部材に向けて反射する第1反射板と、
前記第1反射板の長手方向の少なくとも一端側において、前記発熱部よりも外側に配置され、前記輻射熱を反射する第2反射板と、
前記ニップ部材との間で前記筒状部材を挟んでニップを形成するバックアップ部材と、を備え、
前記第2反射板は、前記第1反射板から離間していることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記第1反射板と前記第2反射板の隙間を塞ぐ絶縁性のカバー部材をさらに備え、
前記カバー部材は、少なくとも前記隙間に臨む表面が白色であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
フィルム状の絶縁性部材をさらに備え、
前記筒状部材は、金属製であり、
前記発熱体は、長手方向の端部に電極を有し、
前記電極は、前記カバー部材と前記絶縁性部材とで挟まれていることを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記第2反射板は、前記電極と接触していることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−114054(P2013−114054A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260488(P2011−260488)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】