説明

定着装置

【目的】 必要に応じての高出力ヒータと、低出力ヒータとを切り換え、結果的にコピーモード時のファーストコピーの待機時間を短縮する。
【構成】 定着ローラ12内に低出力ヒータ10a,高出力ヒータ10bを配置し、必要に応じて高出力ヒータに切り換え出力することで、定着ローラ12の表面の所定温度を早期に立ち上げ、定着時の時間短縮をする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、静電転写方式を用いた複写機,ファクシミリなどの画像形成装置に適用される熱ロール方式の定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図5は熱ロール方式の定着装置を有する画像形成装置の構成図であり、1はベルト状の感光体であり、その周りには作像プロセス順に、帯電部2,露光部3,現像部4,転写部5,クリーニング部6,除電部7が配置されている。また用紙Pは図示しない給紙部から搬送コロ8により搬送されるようになっている。9は定着装置であり、内部にヒータ部10を設け、外周に分離爪11を当接させた定着ローラ12と、この定着ローラ12を加圧する加圧ローラ13とから構成されている。14は定着装置9の下流側に設けた排紙ローラである。
【0003】このような構成において、周知の電子写真プロセスにより用紙P上に転写された未定着トナー像は、用紙Pが定着ローラ12と加圧ローラ13のニップに挟持され、加熱される際、溶融定着されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ファクシミリ、特にレーザファクシミリを利用するユーザはこれをコピー機として使用する場合が多いが、ここで問題となるのはファーストコピーを行なうときの待機時間の長さである。
【0005】すなわち、ファクシミリモードで使用する際には、相手側からの受信であり、しかも無人の状態で機械が稼動する場合も多いため、ファーストコピー時間の長短は何ら気にならないが、コピーモードで使用する場合は、定着装置の立ち上がりを早くして、ファーストコピーを行う待機時間を短縮することが望ましいにもかかわらず、従来の定着装置においては、定着ローラは1本のヒータを内蔵しているだけなので、ファーストコピーを行う待機時間が長くなるという問題があった。
【0006】本発明の目的は、必要に応じてヒータの立ち上がり時間を変え、結果的にファーストコピーを行なう待機時間を短縮することができる定着装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明の定着装置は、ヒータ内蔵の定着ローラとこの定着ローラに加圧される加圧ローラとからなり、転写部で感光体から用紙に転写されるトナー像を熱定着する定着装置において、前記定着ローラ内に高出力ヒータと低出力ヒータとを配置したことを特徴とする。
【0008】また画像形成装置側がコピーモードのときと、ファクシミリモードのときとで、前記高出力、低出力ヒータのいずれかに切り換え可能にしたことを特徴とする。
【0009】また外部からの操作入力により、前記高出力、低出力ヒータのいずれかを選択可能にしたことを特徴とする。
【0010】またタイマを設け、このタイマの設定時刻により、前記高出力、低出力ヒータのいずれかを選択可能にしたことを特徴とする。
【0011】
【作用】前記構成の定着装置によれば、定着ローラ内に高出力ヒータ、及び低出力ヒータを配置することで、必要に応じて定着ローラの表面が所定温度に達するまでの立ち上がり時間が短縮される。
【0012】またコピーモード時と、ファクシミリモード時とでヒータの高出力、低出力のいずれかを選択できるので、例えばコピーモード時は高出力ヒータを灯させるようにすることで、コピーモード時のファーストコピーを行なう待機時間が短縮される。
【0013】またヒータの高出力、低出力のいずれかをユーザが選択できるようにして、ヒータの立ち上がり時間を操作できるようにする。
【0014】またタイマの設定時刻にヒータの高出力、低出力を切り換えるようし、例えば昼間は高出力ヒータを点灯し、夜間は低出力ヒータを点灯することで、電力を有効に使用できる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0016】図1は第1実施例に係る定着装置の要部構成図であり、具体的には定着ローラとこの内部に配置されるヒータとを示しており、定着ローラ12の内部には低出力ヒータ10a,高出力ヒータ10bが配置されており、後述するフローチャートに示されるように、必要に応じて適宜点灯制御されるようになっている。すなわち、低出力ヒータ10aを点灯させる場合と、高出力ヒータ10bを点灯させる場合がある。以下、ヒータ制御の各実施例を説明するが、各フローチャートにおいて、ヒータ10aは低出力ヒータとしてA、ヒータ10bは高出力ヒータとしてBとして示す。
【0017】図2は第1実施例に係るヒータ点灯制御内容を示すフローチャートであり、まず、ファクシミリモードかコピーモードかを判断し(S1)、無人時に受信することの多いファクシミリ受信の場合は、立ち上がり時間を気にすることがないので、ヒータAを点灯し(S2)、機械の前に立つことの多いコピーモード時には、ヒータBのを点灯させて(S3)、ファーストコピーを行なう待機時間の短縮化を図る。
【0018】図3は第2実施例に係るヒータ点灯制御内容を示すフローチャートであり、この実施例では、ヒータAと、ヒータBの点灯の選択をユーザに任せたものである。ユーザによっては、ファクシミリ受信時も機械の前に立って待ち構えている人もいれば、出力消費が多いから、コピー時もヒータAの点灯でよいと考えているなど、様々である。そこで、全てユーザがワンタッチ操作でどちらかを選ぶことができるようにする。
【0019】すなわち、ステップS11でヒータAを選べばヒータAが点灯し(S12)、Bを選べば、ヒータBが点灯する(S13)。
【0020】図4は第3実施例に係るヒータ点灯制御内容を示すフローチャートであり、人間が機械の前にいる時間(昼間)といない時間(夜間)とで、ヒータの制御を分けたものである。これは、ある時刻になったら(例えば帰社時間)(S21でオン)、タイマでヒータをAに点灯させるようにする(S22)。人がいないのでこれで十分である。なお、昼間はBに点灯する(S23)。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の定着装置は、請求項1記載の構成によれば、定着ローラ内に高出力ヒータと低出力ヒータを配置することで、必要に応じて定着ローラの表面が所定温度に達するまでの立ち上がり時間を短縮することができる。
【0022】また請求項2記載の構成によれば、コピーモード時は高出力ヒータを点灯させるようにすることで、コピーモード時のファーストコピーを行う待機時間を短縮することができる。
【0023】また請求項3記載の構成によれば、ヒータの高出力、低出力をユーザが選択できるようにしたから、ヒータの立ち上がり時間を操作することができる。
【0024】また請求項4記載の構成によれば、昼間は高出力ヒータを点灯し、夜間は低出力ヒータを点灯することで、電力を有効に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る定着装置の要部構成図である。
【図2】本発明の第1実施例に係るヒータ点灯制御内容を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施例に係るヒータ点灯制御内容を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第3実施例に係るヒータ点灯制御内容を示すフローチャートである。
【図5】熱ロール方式の定着装置を有する画像形成装置の構成図である。
【符号の説明】
9…定着装置、 10(10a,10b)…ヒータ部、 12…定着ローラ、 13…加圧ローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ヒータ内蔵の定着ローラとこの定着ローラに加圧される加圧ローラとからなり、転写部で感光体から用紙に転写されたトナー像を熱定着する定着装置において、前記定着ローラ内に高出力ヒータと低出力ヒータとを配置したことを特徴とする定着装置。
【請求項2】 画像形成装置側がコピーモードのときには高出力ヒータを、ファクシミリモードのときには低出力ヒータを点灯するように、いずれかを切り換え可能にしたことを特徴とする請求項1記載の定着装置。
【請求項3】 外部からの操作入力により、前記高出力ヒータあるいは低出力ヒータを選択可能にしたことを特徴とする請求項1または2記載の定着装置。
【請求項4】 タイマを設け、このタイマの設定時刻により、前記高出力ヒータあるいは低出力ヒータのいずれかを選択可能にしたことを特徴とする請求項1または2記載の定着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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