説明

定量キャップ

【課題】操作性の向上を図ることができる定量キャップを提供する。
【解決手段】容器本体2の口部3に装着されて内容物を一時的に収容するシリンダ11と、容器本体2内、及びシリンダ11内を連通可能に配設される吸上筒12と、シリンダ11に着脱可能に設けられるとともに、上下方向に沿ってシリンダ11内を摺動可能なピストン13と、シリンダ11内に配設され、容器本体2内とシリンダ11内との差圧に応じてシリンダ11内と吸上筒12との連通、及びその遮断を切り替えるスリット弁72と、を備え、シリンダ11に対してピストン13を引き上げることで、容器本体2内とシリンダ11内との差圧によりスリット弁72が開弁して、容器本体2内の内容物がシリンダ11内に流入する構成とされていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定量キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、定量キャップとして、容器本体内に配設されて吸い込み弁を有するシリンダと、吸い上げ管の下端にシリンダ内周面に嵌合させた環状ピストンが形成されるとともに、吸い上げ管の上端に吐出弁を介して吸い上げ筒内に連通可能な軽量カップが固定された可動計量部と、を備えた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この定量キャップでは、可動計量部を何回か上下動させた後、可動計量部を最上昇位置まで引き上げることによりシリンダ内に一定量の内容物を吸い上げることができ、次いで可動計量部を押し下げ可能な位置まで押し下げることにより、シリンダ内の略一定量の内容物が計量カップ内に計量されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3667497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術では、可動計量部を引き上げてシリンダ内まで内容物を吸い上げた後、可動計量部を押し下げてシリンダ内の内容物を計量カップ内に流入させる構成であるため、内容物を注出可能な状態にするまで複数の操作が必要であった。
【0006】
そこで、本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、操作性の向上を図ることができる定量キャップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る定量キャップは、容器本体の口部に装着されて内容物を一時的に収容するシリンダと、前記容器本体内、及び前記シリンダ内を連通可能に配設される吸上筒と、前記シリンダに着脱可能に設けられるとともに、容器軸方向に沿って前記シリンダ内を摺動可能なピストンと、前記シリンダ内に配設され、前記容器本体内と前記シリンダ内との差圧に応じて前記シリンダ内と前記吸上筒との連通、及びその遮断を切り替える開閉弁と、を備え、前記シリンダに対して前記ピストンを引き上げることで、前記容器本体内と前記シリンダ内との差圧により前記開閉弁が開弁して、前記容器本体内の内容物が前記シリンダ内に流入する構成とされていることを特徴とする。
【0008】
このような特徴により、シリンダに対してピストンを引き上げ、シリンダ内が負圧となることで、容器本体内とシリンダ内との間に差圧が発生する。すると、この差圧により開閉弁が開弁されることで、容器本体内とシリンダ内とが吸上筒を通して連通するため、容器本体内の内容物が吸上筒を通って吸い上げられ、開閉弁を通過した後、シリンダ内に流入することになる。そして、その後シリンダからピストンを引き抜くことで、シリンダ内が大気圧になり、これに伴い開閉弁が閉弁される。その結果、シリンダ内に所定量の内容物が貯留されるとともに、シリンダが開放された状態となる。これにより、容器本体を傾けるだけで、シリンダから内容物を注出できる。
したがって、ピストンを引き抜くだけの一つの動作でシリンダ内への内容物の流入から、注出可能な状態まで移行することができるので、従来のようにシリンダへの流入、及び計量キャップへの供給等、内容物を注出可能な状態にするまでに複数の操作が必要な構成に比べて操作性を向上させることができる。
【0009】
また、本発明の定量キャップにおいて、前記開閉弁は、有頂筒状に形成されるとともに、前記吸上筒における前記シリンダ側の開口端に装着された弁本体を有し、その頂壁部にスリットが形成され、前記容器本体内と前記シリンダ内との差圧により前記スリットが開口されて前記開閉弁が開弁されていてもよい。
【0010】
この場合には、吸上筒を開閉可能な開閉弁として、弁本体の頂壁部にスリットが形成されてなるスリット弁を用いることで、内容物の供給時には開弁状態を安定して維持することができるため、内容物を確実にシリンダ内に供給できる。一方、シリンダからピストンを引き抜いてシリンダ内が大気圧になったときには、これに伴い弁本体が速やかに復元して閉弁されるため、応答性が高い。そのため、液切れ性を向上して、所定量の内容物を確実にシリンダ内に供給できる。
【0011】
また、本発明の定量キャップにおいて、前記弁本体の前記頂壁部は、前記シリンダ側に向けて突の曲面状に形成されていてもよい。
【0012】
この場合には、シリンダに対してピストンを引き上げる際、シリンダ内が負圧となることで、弁本体が突出方向(シリンダ側)に向けて引き上げられるので、スリットが開口し易くなる。一方、内容物の注出後、ピストンをシリンダに押し込んで戻す際、弁本体が突出方向とは反対側(容器本体側)に向けて押し込まれることになるが、このときにスリットが開口するのを抑制できる。
したがって、弁本体の開閉切替が正確に行われることになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る定量キャップによれば、操作性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態における定量キャップの断面図である。
【図2】定量キャップの断面図であって、定量キャップの作用を説明するための説明図である。
【図3】定量キャップの断面図であって、定量キャップの作用を説明するための説明図である。
【図4】定量キャップの断面図であって、定量キャップの作用を説明するための説明図である。
【図5】本発明の実施形態における他の構成を示す定量キャップの断面図である。
【図6】本発明の実施形態における他の構成を示す定量キャップにおいて、ピストンを引き抜いた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態に係る定量キャップを説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る定量キャップ1は、内容物が収容される容器本体2の口部3に装着されるシリンダ11と、容器本体2内、及びシリンダ11内を連通可能に配設される吸上筒12と、シリンダ11に着脱可能に設けられるとともに、容器軸O方向に沿ってシリンダ11内を摺動可能なピストン13と、を備えている。なお、本実施形態では、容器本体2、シリンダ11及びピストン13の各中心軸線は、共通軸上に位置している。以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに沿う方向を上下方向、上下方向に沿ったシリンダ11側を上側、容器本体2側を下側という。また、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0016】
シリンダ11は、装着キャップ21、及びシリンダ本体22を備えている。
装着キャップ21は、有頂筒状に形成され、環状の天板部23と、天板部23の外周縁から下方に向けて延設され、容器本体2の口部3に取り付けられた取付筒24と、天板部23の内周縁から下方に向けて延設され、口部3の内側に配設されたガイド筒部25と、天板部23から上方に向けて延設された接続部26と、を備えている。
天板部23は、パッキン27を間に挟んだ状態で口部3の開口縁上に支持されている。接続部26は、天板部23の外周縁と、その内側にそれぞれ同等の高さで延設された二重筒状に形成され、これら二重筒の間にシリンダ本体22の下端部がアンダーカット嵌合されている。
【0017】
シリンダ本体22は、上下方向に沿う筒状に形成され、外筒31、及び外筒31の内側に配設された内筒32と、これら外筒31、及び内筒32間を連結する連結筒33と、を備えている。
外筒31は、大径部34と、大径部34の下端縁から延設されて上述した接続部26にアンダーカット嵌合された小径部35と、を備えている。大径部34の下部は、下方に向かうに従い漸次縮径しており、その下端縁から下方に向けて小径部35が連設されている。また、大径部34の上端部には、その他の部位よりも薄肉に形成されてなる注出部36が形成されている。
【0018】
連結筒33は、外筒31における大径部34と小径部35との境界部分(大径部34のテーパ部分)に連設され、下方から上方に向かうに従い漸次縮径されている。そして、連結筒33には、厚さ方向に沿って貫通する貫通孔37が周方向に沿って複数形成されており、これら貫通孔37により容器本体2内とシリンダ本体22内とが連通している。
【0019】
内筒32は、上下方向における中途部において連結筒33の内周縁に連設されており、大径部34における下部の内側に配設されている。そして、内筒32には、吸上筒12が嵌合されている。吸上筒12は、上端部が内筒32内に嵌合されてシリンダ本体22内に向けて開放される一方、下端部が容器本体2の底部(不図示)に近接する位置まで延設され、内容物に浸漬されている。
【0020】
また、上述した外筒31と内筒32との間には、有頂筒状の支持部材41が配設されている。支持部材41は、円環状の台座部42と、台座部42の外周縁から下方に向けて延設された嵌合筒43と、を備えている。
嵌合筒43は、大径部34内の下部に嵌合され、上述した内筒32、及び連結筒33を径方向の外側から囲繞するように配設されている。そして、台座部42の内側には、上述した内筒32が上方に向けて突出した状態で遊挿されている。
【0021】
ピストン13は、シリンダ本体22の内側に配設されて上下方向に沿って移動可能な有頂筒状の可動筒部51と、可動筒部51の下端に連設された有底筒状のシール筒部52と、を備えている。
可動筒部51は、シリンダ本体22よりも小径とされ、その上部は下部に比べて縮径されている。また、可動筒部51の上端部には、シリンダ本体22の注出部36を閉塞する蓋体53が嵌合されている。蓋体53は、注出部36を外側から覆う有頂筒状に形成されている。蓋体53の径方向における中央部には、可動筒部51の上端部に外嵌された外嵌筒54と、外嵌筒54の内側に配設されて可動筒部51の上端面に形成された貫通孔55内に嵌合された内嵌筒56と、が形成されている。
【0022】
シール筒部52は、シリンダ本体22の内周面を上下方向に沿って摺動自在に配設されたシール部61と、シール部61、及び可動筒部51の下端縁の間を連結する連結部62と、を有している。
まず、連結部62は、可動筒部51の下端縁から径方向の外側に向けて延設された後、外周縁が上方へ向けて立ち上がるように形成されている。
シール部61は、その上下方向の中間部分が連結部62の外周縁に連設されるとともに、中間部分から上方、及び下方に向かうに従いそれぞれ漸次拡径されている。そして、シール部61の上端部、及び下端部がシリンダ本体22の内周面に密接している。したがって、シール筒部52は、シリンダ本体22内を上下方向に沿って区画している。
【0023】
ここで、本実施形態において、シリンダ11内には、弁部材71が配設されている。弁部材71は、吸上筒12内とシリンダ本体22内との連通、及びその遮断を切り替えるスリット弁(開閉弁)72と、容器本体2内とシリンダ本体22内との連通、及びその遮断を切り替える逆止弁73と、が一体形成されたものである。
【0024】
スリット弁72は、上述したシリンダ11の内筒32に外嵌された有頂筒状の弁本体74を備えている。弁本体74は、上述した台座部42の内周縁との間で径方向に隙間を空けた状態で、台座部42の内側に配設されている。したがって、弁本体74と台座部42の内周縁との間の隙間は、シリンダ本体22内において台座部42の上側に位置する上側空間と、下側に位置する下側空間と、を連通させる空気通路R1を構成している。すなわち、本実施形態では、内容物が流通する吸上筒12の周囲を取り囲むように空気通路R1が配設されている。また、弁本体74の下端縁は、台座部42よりも下方に配設されており、上述した連結筒33の上端縁に当接している。
【0025】
弁本体74の頂壁部は、上方に向けて突の曲面状に形成されている。弁本体74は、吸上筒12及び内筒32の上端開口部を上方から覆い、シリンダ本体22と吸上筒12との間を区画している。弁本体74の頂壁部における径方向の中央部には、内容物が通過可能な一対のスリット76が形成されている。これらスリット76は、径方向に間隔を空けた状態で互いに平行に形成されている。
そして、スリット弁72は、弁本体74の弾性変形によりスリット76が開閉することで、吸上筒12内とシリンダ本体22内との連通、及びその遮断を切り替える。
【0026】
逆止弁73は、弁本体74の下端縁から径方向の外側に向かうに従い上方に向けて延びる弾性変形可能なリング状の板材であり、空気通路R1を下方から覆い、上述したシリンダ本体22内の上側空間、及び下側空間を区画している。具体的に、逆止弁73は、その外周縁が台座部42の下面に密接した状態で配設されており、上下方向に沿って弾性変形して台座部42に対して接離することで、空気通路R1の開閉を切り替える。したがって、逆止弁73は、シリンダ11側から容器本体2内への空気の流入を許容する一方、その逆の流れは禁止するようになっている。そして、本実施形態では、上述したシリンダ本体22内の上側空間、すなわち、ピストン13、シリンダ11、支持部材41、及び弁部材71で囲まれた空間が、内容物が一時的に収容されるシリンダ空間S1を構成している(図2参照)。
【0027】
次に、上述した定量キャップ1の作用について説明する。なお、以下の説明では、上述した図1に示す状態を初期状態とし、この初期状態から内容物を注出する方法について説明する。
まず、図1に示す初期状態から蓋体53を摘み、図2に示すようにピストン13を上方に向けて引き上げると、上述したシリンダ空間S1が負圧となる。すると、容器本体2内とシリンダ空間S1内との差圧により、逆止弁73が台座部42に密接した状態を維持して、空気通路R1が閉塞される。一方、上述した差圧によって弁本体74が弾性変形することで、スリット76が開口する。これにより、容器本体2内とシリンダ空間S1内とが吸上筒12を通して連通して、容器本体2内の内容物が吸上筒12を通って吸い上げられる。そして、吸上筒12を通って吸い上げられた内容物は、スリット76を通ってシリンダ空間S1内に流入する(図2中矢印A参照)。この場合、シリンダ空間S1には、ピストン13の引き上げ量(ストローク量)に応じた量の内容物が流入する。
【0028】
シリンダ空間S1内に流入した内容物を注出するには、ピストン13をさらに引き上げ、シリンダ11からピストン13を引き抜く。すると、シリンダ空間S1内が大気圧になるとともに、これに伴いスリット弁72の弁本体74が復元して、スリット76が閉塞されることで、吸上筒12内とシリンダ本体22内との連通が遮断される。その結果、シリンダ空間S1内に所定量の内容物が貯留されるとともに、シリンダ11の注出部36が開放された状態となる。
その後、図3に示すように、容器本体2を傾けると、シリンダ空間S1内に貯留された内容物をシリンダ11の注出部36から外部に注出できる。
【0029】
また、図4に示すように、シリンダ空間S1内に再び内容物を供給するためには、まずピストン13をシリンダ11内に向けて押し込む。この際、ピストン13を押し込むことで、シリンダ空間S1内が加圧される。すると、シリンダ空間S1の圧力が逆止弁73に作用して、逆止弁73が下方に向けて弾性変形することで、逆止弁73が台座部42から離間して空気通路R1が開放される。すると、空気通路R1、及び連結筒33の貫通孔37を通して容器本体2内に空気が流入する(図4中矢印B参照)。なお、この場合には、シリンダ空間S1内の空気が空気通路R1から積極的に容器本体2内に流入するため、スリット76が開口するのを抑制できる。これにより、定量キャップ1を図1に示す初期状態(図1の状態)に戻すことができる。
【0030】
その後、上述した動作を繰り返すことで、シリンダ空間S1内に所定量の内容物を繰り返し供給することができる。
【0031】
このように、本実施形態では、シリンダ11に着脱可能なピストン13を設け、シリンダ11に対してピストン13を引き上げることで、容器本体2内とシリンダ空間S1内との差圧によりスリット76を開口させ、内容物をシリンダ11内に流入させる構成とした。
この構成によれば、シリンダ空間S1が負圧となり、スリット76が開口することで、容器本体2内の内容物が吸上筒12を通ってシリンダ空間S1に流入することになる。そして、その後シリンダ11からピストン13を引き抜くことで、スリット76が閉塞して、吸上筒12内とシリンダ11内との連通が遮断される。その結果、シリンダ空間S1内に所定量の内容物が貯留されるとともに、シリンダ11が開放された状態となる。これにより、容器本体2を傾けるだけで、シリンダ11の注出部36から内容物を注出できる。
したがって、本実施形態では、ピストン13を引き抜くだけの一つの動作でシリンダ空間S1内への内容物の流入から、注出可能な状態まで移行することができるので、従来のようにシリンダへの流入、及び計量キャップへの供給等、内容物を注出可能な状態にするまでに複数の操作が必要な構成に比べて操作性を向上させることができる。
【0032】
しかも、本実施形態では、開閉弁にスリット弁72を用いているため、内容物の注出時に容器本体2を傾けたとしても、スリット弁72が開弁される虞がない。そのため、容器本体2からシリンダ11を取り外す等の操作を伴うことなく、容器本体2からシリンダ空間S1への液漏れを防ぎ、シリンダ空間S1内に貯留された内容物のみを確実に注出することができる。
【0033】
また、本実施形態では、開閉弁にスリット弁72を用いることで、内容物の供給時には開弁状態を安定して維持することができるため、内容物を確実にシリンダ11内に供給できる。一方、シリンダ11からピストン13を引き抜いてシリンダ空間S1内が大気圧になったときには、これに伴い弁本体74が速やかに復元して閉弁されるため、応答性が高い。そのため、液切れ性を向上して、所定量の内容物を確実にシリンダ11内に供給できる。
【0034】
さらに、スリット弁72を有頂筒状に形成して、内筒32を介して吸上筒12に装着したため、組み付け性を向上させることができる。
しかも、逆止弁73とスリット弁72を一体的に形成したため、部品点数を削減して、低コスト化を図ることができる。
【0035】
また、本実施形態では、弁本体74の頂壁部を上方に向けて突の曲面状に形成したため、シリンダ11に対してピストン13を引き上げる際、シリンダ空間S1内が負圧となることで、弁本体74が突出方向(上方)に向けて引き上げられることになる。そのため、スリット76が開口し易くなる。一方、内容物の注出後、ピストン13をシリンダ11に押し込んで戻す際、弁本体74がシリンダ11とは反対側(下方)に向けて押し込まれることになるが、このときにスリット76が開口するのを抑制できる。
したがって、スリット弁72の開閉切替が正確に行われることになる。
【0036】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、シリンダ11、及びピストン13の上下方向における長さ等の寸法は、適宜設計変更が可能である。
さらに、上述した実施形態では、2本のスリット76を互いに平行に形成した場合について説明したが、これに限らず、十字状等、適宜設計変更が可能である。
【0037】
また、上述した実施形態では、スリット弁72と逆止弁73とを一体的に形成したが、これに限らず、両者を別体に形成しても構わない。この場合、図5に示すように、逆止弁73は、内筒32に外嵌された弁筒体101と、弁筒体101から径方向の外側に向けて延設されて連結筒33の貫通孔37を下方から覆う弁本体102と、を備えている。
そして、上述した実施形態では、台座部42を設け、台座部42と内筒32との間の空気通路R1を逆止弁73により開閉する構成について説明したが、図5に示すように、台座部42を設けず、連結筒33の貫通孔37を逆止弁73により開閉する構成にしても構わない。
【0038】
また、上述したスリット弁72に代えて、図5に示すようにボール弁110を採用しても構わない。
さらに、図5,6に示すように、内筒32の上端開口部が内容物の液面より高くなるように設定しても構わない。これにより、シリンダ11内に供給された内容物が逆流するのを確実に防ぐことができる。
【0039】
また、上述した実施形態では、装着キャップ21とシリンダ本体22とを別体で形成した場合について説明したが、図5に示すように、両者を一体的に形成してシリンダ11としても構わない。
また、図5に示すように、蓋体53をシリンダ11に螺着できるようにしても構わない。
【0040】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…定量キャップ
2…容器本体
11…シリンダ
12…吸上筒
13…ピストン
72…スリット弁(開閉弁)
110…ボール弁(開閉弁)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部に装着されて内容物を一時的に収容するシリンダと、
前記容器本体内、及び前記シリンダ内を連通可能に配設される吸上筒と、
前記シリンダに着脱可能に設けられるとともに、容器軸方向に沿って前記シリンダ内を摺動可能なピストンと、
前記シリンダ内に配設され、前記容器本体内と前記シリンダ内との差圧に応じて前記シリンダ内と前記吸上筒との連通、及びその遮断を切り替える開閉弁と、を備え、
前記シリンダに対して前記ピストンを引き上げることで、前記容器本体内と前記シリンダ内との差圧により前記開閉弁が開弁して、前記容器本体内の内容物が前記シリンダ内に流入する構成とされていることを特徴とする定量キャップ。
【請求項2】
前記開閉弁は、有頂筒状に形成されるとともに、前記吸上筒における前記シリンダ側の開口端に装着された弁本体を有し、その頂壁部にスリットが形成され、
前記容器本体内と前記シリンダ内との差圧により前記スリットが開口されて前記開閉弁が開弁されることを特徴とする請求項1記載の定量キャップ。
【請求項3】
前記弁本体の前記頂壁部は、前記シリンダ側に向けて突の曲面状に形成されていることを特徴とする請求項2記載の定量キャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−28373(P2013−28373A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166278(P2011−166278)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】