説明

定量吐出管理装置および定量吐出装置

【課題】簡単な構成で、定量吐出の効果に優れた定量吐出管理装置および定量吐出装置を提供する。
【解決手段】液体50を貯蔵するタンク10、タンク10と連通して液体50の一部が貯蔵される細管20、細管20の中の液体50の液面高さを検出する検出部30、とを有して構成され、これらの各部を制御する制御部、各種の設定を行なう初期設定部201、及び、液体50の吐出量を設定する液量設定スイッチ202等を備えた定量吐出装置1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定量吐出管理装置および定量吐出装置に関し、特に、定量吐出の効果に優れた定量吐出管理装置および定量吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の定量吐出装置として、例えば、特許文献1に示す定量吐出装置がある。この定量吐出装置は、定量吐出装置のノズルおよびシリンダーピストン内にストッパー、スプリング、ボールからなる逆止弁を設け、また、液面検出機構として、タンク部に熱電対を設けた構成のものがある。
【0003】
この装置によれば、定量吐出装置のノズルおよびシリンダー内にストッパー、スプリング、ボールからなる逆止弁を設けているので、流量方向を制御し、一定量の液体を安定して吐出できると共に、液面検出機構として、タンク部に熱電対を設けているので、材料の管理が可能となる。
【特許文献1】特開平6−305454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の定量吐出装置によると、定量吐出装置のノズルで流量制御を行なうので、一定量の液体吐出の制御はできるものの、微小な吐出量制御には十分でなく、また、液面検出機構がタンク部に設けられているので、この点からも微小な吐出量制御には問題があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、簡単な構成で、定量吐出の効果に優れた定量吐出管理装置および定量吐出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明は、上記目的を達成するために、所定の断面積を有して液体を貯蔵するタンクと、前記タンクの前記断面積より小さい断面積を有し、前記タンクと連通して前記液体の一部が貯蔵される細管と、前記細管中の前記液体の液面高さを検出する検出部と、を有し、前記細管から吐出する前記液体の吐出量を前記検出部により検出して、前記液体の吐出量を管理することを特徴とする定量吐出管理装置を提供する。
【0007】
[2]本発明は、上記目的を達成するために、所定の断面積を有して液体を貯蔵するタンクと、前記タンクの前記断面積より小さい断面積を有し、前記タンクと連通して前記液体の一部が貯蔵される細管と、前記細管中の前記液体の液面高さを検出する検出部と、を有し、前記細管に所定の圧力をかけて、前記細管に連通した吐出口から前記細管に貯蔵された前記液体を吐出させることを特徴とする定量吐出装置を提供する。
【0008】
[3]前記細管から吐出する前記液体の吐出量を前記検出部により検出して、前記液体の吐出量を管理することを特徴とする上記[2]に記載の定量吐出装置であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、簡単な構成で、定量吐出の効果に優れた定量吐出管理装置および定量吐出装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(本発明の実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る定量吐出装置の概要を示す装置図である。図2(a)、(b)は、検出部の詳細構成を示す構成図である。
【0011】
定量吐出装置1は、液体50を貯蔵するタンク10、タンク10と連通して液体50の一部が貯蔵される細管20、細管20の中の液体50の液面高さを検出する検出部30、とを有して構成され、これらの各部を制御する制御部200、各種の設定を行なう初期設定部201、及び、液体50の吐出量を設定する液量設定スイッチ202等を備えている。
【0012】
タンク10は、所定の断面積を有して、内部に液体50を貯蔵できる形状となっており、上部から液体50を供給できると共に、タンク下部管11により後述する細管20およびスプレー比例弁105と接続されている。タンク10は、その内部に液体50を貯蔵でき、液面は細管上部20cから細管垂直部20aへ液体50が流出しないように液体上限ライン10aよりも低いレベルまで液体50を貯蔵できる。タンク10の内部は、密閉構造とされ、上部に配置された供給用電磁バルブ101および供給用手動式減圧弁111から供給用比例弁102を通り供給用圧力センサ110を介してエアーにより所定の圧力がかけられる。
【0013】
細管20は、タンク10の上部と細管上部20cで連通されると共に、細管下部20bでタンク下部管11と連通される。細管下部20bとタンク下部管11との間には、タンク電磁バルブ103が配置され、このタンク電磁バルブ103の開閉に応じて細管下部20bとタンク下部管11との連通は開閉される。図1に示すように、タンク10の上部と細管上部20cは連通されているため、タンク10内部の圧力と同じ圧力が細管20にかけられることになる。また、タンク電磁バルブ103を開いてタンク下部管11を通して細管20に液体50を供給すると、タンク10の液面高さ50aと細管20の液面高さ50bは同じとなる。尚、細管20の液面高さ50bを検出部30で検出できるように、細管20は透過性を有するガラスあるいは樹脂で形成されている。また、細管20の断面積はタンク10の断面積よりも小さく設定されており、細管20内部の液体50のわずかな増減に対して液面高さ50bが大きく変化するよう構成されている。
【0014】
細管下部20bは、スプレー比例弁105およびスプレー電磁バルブ104を介してスプレーノズル108に接続され、このスプレーノズル108にはエアー流量計107、エアー圧力センサ109、およびエアー電磁バルブ106を介してエアーの供給が行なわれる構成とされている。スプレー電磁バルブ104とエアー電磁バルブ106を所定時間開くことで、細管20から液体50がスプレーノズル108からスプレーショット(吐出)される。
【0015】
検出部30は、細管20内部の液面高さ50bを検出してそれに応じた電圧信号を出力するものであり、スライドベース40に装着されて液面高さ50bの変化に対応できるように上下に移動可能とされ、細管20を挟んで取り付けられている。図2(a)に示すように、発光部31と受光部32は細管20を挟んでスライドベース40に取り付けられ、スライドベース40はスライドガイド41に沿って上下移動可能である。発光部31には平行光とされた所定のビーム幅のレーザが使用され、受光部32はこのレーザを受光し、液面高さ50bの変化に応じた電圧をアナログ出力できる。
【0016】
図2(b)は、図2(a)においてA方向から見た図である。スライドベース40の内部には、ピニオンギア43を有するモータ44が搭載され、スライドベース40は、ピニオンギア43とラック部42の噛み合い、および、2箇所のガイドローラ45に支持された状態で、モータ44の所定量の回転に応じて上下移動することができる。この上下移動は、液面高さ50bが検出部30の検出範囲に入るよう初期位置に制御される。尚、スライドベース40は、スライドガイド41上の位置を検出するため図示しない公知のリニアスケール等を備えていることが好ましい。また、図1に示すように、スライドベース40がスライドガイド41の下部に設けられたリミットスイッチ49に当接することにより、タンク10内部の液体50の補給を促し、また、必要に応じて動作を停止させる。
【0017】
図3は、本発明の実施の形態に係る定量吐出装置の制御構成を示すブロック図である。制御部200は、入力系として、初期設定部201、液量設定スイッチ202、検出部30、エアー流量計107、および、エアー圧力センサ109と接続されている。初期設定部201は、供給用比例弁102、スプレー比例弁105の初期設定値を設定し、この設定値は制御部200に入力される。液量設定スイッチ202は、スプレーノズル108からスプレーショット(吐出)される液体50の液量を設定するもので、例えば、図3に示すように、液量セレクトスイッチで予め設定された液量(0.03、0.05、0.1、0.3、0.5cc)を選択すると、この液量が設定値として制御部200に入力される。検出部30からは、発光部31と受光部32により検出した細管20内部の液面高さ50bのアナログ電圧出力が制御部200に入力される。また、エアー流量計107およびエアー圧力センサ109は、スプレーノズル108に供給されるエアー供給量と圧力を検出し、制御部200に入力し、エアー供給量を管理し、設定範囲から外れた場合は異常を知らせる制御を行なう。
【0018】
制御部200は、出力系として、供給用電磁バルブ101、供給用比例弁102、タンク電磁バルブ103、スプレー電磁バルブ104、スプレー比例弁105、エアー電磁バルブ106、異常信号発生部203と接続されている。供給用電磁バルブ101は、タンク10の内部にエアー供給により所定の圧力をかけるために、制御部200により開閉制御される。供給用比例弁102は、タンク10の内部に所定の圧力をかけるために、制御部200により供給されるエアーの圧力を制御される。タンク電磁バルブ103は、タンク下部管11と細管下部20bとを連通させてタンク10の液体50を細管20に供給するため、制御部200により開閉制御される。スプレー電磁バルブ104は、スプレーノズル108から液体50をスプレーショットするため、制御部200または他設備からの信号により開閉制御される。スプレー比例弁105は、制御部200によりスプレーノズル108から吐出される液体50の吐出圧力を制御される。エアー電磁バルブ106は、スプレーノズル108で液体50をスプレーショットするためのエアーを供給するため、制御部200または他設備からの信号により開閉制御される。異常信号発生部203は、検出部30の誤差が設定値を超えて微量補正が行なえない場合等に、制御部200から異常信号が入力される。
【0019】
(定量吐出装置の動作)
図4は、定量吐出装置の動作を示すフローチャートである。
【0020】
(準備工程S1)
タンク電磁バルブ103、スプレー電磁バルブ104、エアー電磁バルブ106を閉状態としておく。初期設定部201により、供給用比例弁102、スプレー比例弁105をそれぞれの設定圧力に調整する。液体50をタンク10の液体上限ライン以下まで供給した後、タンク電磁バルブ103を開状態にして、タンク10から細管20に液体50を供給すると共に、タンク10と細管20の液面高さを同じにし、タンク電磁バルブ103を閉状態に戻しておく。タンク10内に圧力をかけるために、供給用電磁バルブ101を開状態にして、タンク10および細管20に所定の圧力のエアーを供給する。以上の動作終了後、細管20の液面高さ50bが検出部30の検出範囲に入るよう、スライドベース40を移動制御して検出部30をセットする。
【0021】
(スプレー量の設定工程S2)
液量設定スイッチ202によりスプレーショットにより吐出される液量を設定する。液量設定スイッチ202による設定量は液量であるが、次の工程S3では、この設定液量に対応したバルブ開閉時間で制御を行なう。
【0022】
(スプレーショット工程S3)
スプレー電磁バルブ104およびエアー電磁バルブ106を、S2工程で設定された液量に応じたバルブ開閉時間で所定時間だけそれぞれ開状態とすることにより、液体50を一定量だけスプレーショットする。
【0023】
(細管の液面高さ検出工程S4)
検出部30による細管20内部の液面高さ50bを検出する。発光部31から平行光とされた所定のビーム幅のレーザを照射し、受光部32でこのレーザを受光する。スプレーショット工程S3の前後における液面高さ50bの変化を検出し、この変化量に応じた電圧をアナログ出力する。
【0024】
(誤差の判定工程S5)
S4工程での検出部30の出力(電圧)が設定された範囲内であるかどうかを判断し、誤差が設定値以下であるかを判定する。制御部200に設けられた記憶部にS2工程で設定する液量に対応する設定値がテーブルとして記憶されており、検出部30の出力は、このテーブルを参照することにより判定される。誤差が設定値以上であればS6工程へ進み、誤差が設定値以下であればS8工程へ進む。S8工程へ進む場合は、誤差を初期設定部201の供給用比例弁102の設定値にフィードバックする。すなわち、スプレーショット工程S3での液体50の吐出量が多い場合は、供給用比例弁102でのエアー圧力の設定値が小さくなるよう制御され、吐出量が少ない場合は、供給用比例弁102でのエアー圧力の設定値が大きくなるよう制御される。また、スプレー比例弁105により液体に抵抗をかけていたものを、液体への抵抗を増減することにより液体の流れを増減させるようにしてもよい。
【0025】
(異常停止S6、S7)
誤差が設定値を超えている場合は、異常信号を異常信号発生部203へ出力(S6)して、定量吐出装置1の動作を停止させる(S7)。また、エアー流量計107とエアー圧力センサ109の流量および圧力が設定流量以外になった場合も異常信号を異常信号発生部203へ出力する。
【0026】
(次のスプレーショット判断S8)
次のスプレーショットを行なうかどうかを判断し、行う場合はS9工程に進み、行わない場合は一連の定量吐出装置の動作が終了する。
【0027】
(検出部の位置制御工程S9)
細管20の液面高さ50bが検出部30の検出範囲内にない場合、あるいは、検出範囲が少ない場合は、モータ44を駆動してスライドベース40を上下移動させ、液面高さ50bが検出部30の検出範囲に入るよう初期位置に制御する。尚、この工程は、細管20の液面高さ50bが検出部30の検出範囲内であれば、省略することができる。
【0028】
(細管への液体供給工程S10)
スプレーショット工程S3により細管20内の液体50が減少するので、タンク電磁バルブ103を開いてタンク下部管11を通して細管20に液体50を供給する。細管20への液体50の供給後、タンク電磁バルブ103を閉じた状態とし、スプレーノズル108への液体50の供給は細管20からのみ行なわれるようにしておく。尚、このS10工程は、細管20の液面高さ50bが検出部30の検出範囲内であれば、省略することができる。
【0029】
(S2〜S10までの繰り返し工程)
繰り返してスプレーショットを行なう場合は、上記のS2〜S10までの工程を繰り返す。尚、吐出するスプレー量に変更がない場合は、スプレー量の設定工程S2を省略することができる。
【0030】
(本発明の実施の形態の効果)
本発明の実施の形態によれば、つぎのような効果を有する。
(1)スプレーノズル108への液体50の供給は細管20からのみ行なわれ、細管20の液面高さ50bに基づいてスプレー量のフィードバック制御を行なうので、高精度のスプレーショットが可能となる。
(2)スプレーノズル108への液体50の供給は細管20からのみ行なわれるので、液体50の自重によるスプレーノズル108への圧力が小さく、高精度のスプレー量制御が可能となる。すなわち、スプレー時は、タンク電磁バルブ103は閉じた状態とされ、スプレーノズル108への液体50の供給は細管20からのみ行なわれるので、タンク10の内部の液体50の自重による影響がなく、貯蔵されている液体50の量によらず安定したスプレー操作が可能となる。
【0031】
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の技術思想を逸脱あるいは変更しない範囲内で種々な変形が可能である。例えば、上記示した本発明の実施の形態では、細管20の液面高さ50bを検出して、その誤差を初期設定部201の供給用比例弁102の設定値にフィードバックする構成としたが、適宜手動により誤差を判定して、供給用比例弁102を手動により調整する構成としてもよい。また、液面高さ50bの誤差を初期設定部201の供給用比例弁102の設定値にフィードバックする構成としたが、スプレー比例弁105にフィードバックする構成としても液体50の吐出量を制御することができ、これらの制御を併用することにより吐出量の制御を行なうこともできる。
【0032】
(実施例)
細管20の内径とスプレーショットにより吐出される液量の関係は表1のようになる。
【0033】
【表1】

【0034】
例えば、1回の離型剤使用により、液量設定0.05ccの場合は、細管20の内径Φ5mmで2.6mmだけ液面高さ50bが変化する。これは、検出部30に使用したセンサの検出精度5μmから比較して、十分な変化量であり、高精度な吐出量の制御が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る定量吐出装置の概要を示す装置図である。
【図2】図2(a)、(b)は、検出部の詳細構成を示す構成図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態に係る定量吐出装置の制御構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、定量吐出装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0036】
1 定量吐出装置1
10 タンク
20 細管
30 検出部
31 発光部
32 受光部
40 スライドベース
41 スライドガイド
42 ラック部
43 ピニオンギア
44 モータ
45 ガイドローラ
50 液体
101 供給用電磁バルブ
102 供給用比例弁
103 タンク電磁バルブ
104 スプレー電磁バルブ
105 スプレー比例弁
106 エアー電磁バルブ
107 エアー流量計
108 スプレーノズル
109 エアー圧力センサ
110 供給用圧力センサ
111 供給用手動式減圧弁
200 制御部
201 初期設定部
202 液量設定スイッチ
203 異常信号発生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の断面積を有して液体を貯蔵するタンクと、
前記タンクの前記断面積より小さい断面積を有し、前記タンクと連通して前記液体の一部が貯蔵される細管と、
前記細管中の前記液体の液面高さを検出する検出部と、を有し、
前記細管から吐出する前記液体の吐出量を前記検出部により検出して、前記液体の吐出量を管理することを特徴とする定量吐出管理装置。
【請求項2】
所定の断面積を有して液体を貯蔵するタンクと、
前記タンクの前記断面積より小さい断面積を有し、前記タンクと連通して前記液体の一部が貯蔵される細管と、
前記細管中の前記液体の液面高さを検出する検出部と、を有し、
前記細管に所定の圧力をかけて、前記細管に連通した吐出口から前記細管に貯蔵された前記液体を吐出させることを特徴とする定量吐出装置。
【請求項3】
前記細管から吐出する前記液体の吐出量を前記検出部により検出して、前記液体の吐出量を管理することを特徴とする請求項2に記載の定量吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−226313(P2009−226313A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−74949(P2008−74949)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【出願人】(304028645)株式会社青木科学研究所 (10)
【Fターム(参考)】