説明

定量噴霧式吸入器

【課題】本発明は、エアゾール缶の特性を生かし、さらに改良した、定量噴霧式吸入器を提供する
【解決手段】本発明は、ハウジング本体2と、缶本体3a、バルブステム3b、及び、該バルブステムを付勢するスプリングを有し、ハウジング本体2内の固定位置にバルブステム3bが保持されるとともに、ハウジング本体2内において前記スプリングのバネ力に抗して缶本体3aが押込み可能に支持されたエアゾール缶3と、ハウジング本体2内に回転可能に支持された表示部材12、13及び表示部材13を回転操作するためにハウジング本体2内に揺動可能に支持された操作レバー14を有するドーズカウンター10と、操作レバー14と回動可能に連結される連結部及び缶本体3aに缶本体3aの底側から被せられるキャップ部20bを有し且つ操作レバー14を揺動させる操作キャップ20と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定量噴霧式吸入器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から喘息治療用吸入器として定量式吸入器が知られており、定量ドライパウダー吸入器(DPI:Dry Powder Inhaler)と定量噴霧式吸入器(MDI: Metered Dose Inhaler)とが知られている。なお、定量噴霧式吸入器は、加圧式定量噴霧式吸入器(pMDI:pressurized Metered Dose Inhaler)と呼ばれることがある。
【0003】
定量噴霧式吸入器には、一般に、薬剤を含ませたエアゾール缶が装着されている。エアゾール缶は、一般に、缶本体と、缶本体から突出するバルブステムと、缶本体に内蔵されたスプリングとを備えている。バルブステムは、スプリングによって閉側に付勢されており、バルブステムをスプリング力に抗して押し込むことにより、バルブステムからエアゾールが噴出する。定量噴霧式吸入器に装着されているエアゾール缶は、一般に、バルブステムが保持されている。患者が手で缶本体の底を押すことによって、バルブステムが缶本体内に押し込まれる。そして、バルブステムから噴射された薬剤入りエアゾールは、ハウジング本体の内部流路を通じて、ハウジング本体に装着されたマウスピースから噴出される。
【0004】
また、定量噴霧式吸入器の中には、投与回数を表示するドーズカウンターを備えるものが広く知られている。ドーズカウンターは、電子式のもの(例えば特許文献1)と機械式のもの(例えば特許文献2、3)とが知られている。しかし、電子式のドーズカウンターは高価であるので、コスト面からは機械式のものが有利である。特に、使い捨ての定量噴霧式吸入器には、機械式のドーズカウンターが有利である。
【0005】
公知の機械式のドーズカウンターは、投与回数が印字され且つ回転自在に支持された表示盤と、表示盤を回転させるための操作レバーと、を備えている。操作レバーは、スプリング等の弾性手段によって操作レバーを開始位置へ復帰させる方向に付勢されている。操作レバーは、エアゾール缶の缶本体を手動により押し下げると、エアゾール缶を押し下げる力によって、操作レバーのスプリングの付勢力に抗して押し下げられる。そして、エアゾール缶を押し下げる力を解除すると、操作レバーは、そのスプリング力により、元の位置に戻る。操作レバーは、押し下げられる際又は押し下げられた位置から元の位置に戻る際に、表示盤と係合して、表示盤を所定角度回転させる。このようにして操作レバーが1往復する間に、操作レバーによって、表示盤が1桁分、回転させられる。
【特許文献1】特表2007−513666号公報
【特許文献2】特表2003−512265号公報
【特許文献3】米国特許第6446627号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら 機械式のドーズカウンターとしては、エアゾール缶の特性を生かした更なる改良が望まれていた。
本発明は、エアゾール缶の特性を生かし、さらに改良した、定量噴霧式吸入器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る第1の定量噴霧式吸入器は、ハウジング本体と、缶本体、バルブステム、及び、該バルブステムを付勢するスプリングを有し、前記ハウジング本体内の固定位置に前記バルブステムが保持されるとともに、前記ハウジング本体内において前記スプリングのスプリング力に抗して前記缶本体が押込み可能に支持されたエアゾール缶と、該ハウジング本体内に回転可能に支持された少なくとも1つの表示部材と、該表示部材を回転操作するために前記ハウジング本体内に揺動可能に支持された操作レバーと、を有するドーズカウンターと、前記操作レバーと回動可能に連結される少なくとも1つの連結部と、前記缶本体に該缶本体の底側から被せられたキャップ部と、を有し、前記操作レバーを復帰させるために 前記エアゾール缶のスプリングの弾力を利用し、前記操作レバーを揺動させる操作キャップと、を有する。
【0008】
この構成によれば、エアゾール缶に内蔵されたスプリング力を利用して操作レバーを動作させるようにしたので、構造を簡易にすることができる。
【0009】
上記吸入器では、操作キャップのうち少なくともキャップ部を前記操作レバーから離脱させる離脱手段を設けることができる。このような離脱手段としては、例えば、連結部とキャップ部との間に、連結部からキャップ部を切り離すための易破断部とすることができる。このような易破断部は、薄肉部によって形成することができる。あるいは、連結部が折れ曲がるように構成し、連結部と操作レバーとの連結状態を解除できるようにすることもできる。
【0010】
また、前記定量噴霧式吸入器は、前記ハウジング本体に装着されるマウスピースと、該マウスピースをカバーするマウスピースキャップとを更に備え、前記マウスピースキャップが、前記易破断部を破断させるための突起を備えることができる。前記ハウジング本体は、前記突起を刺し通して該突起によって前記易破断部を破断させるための薄膜部が形成され得る。さらに、前記ハウジング本体は、前記マウスピースキャップを前記マウスピースに装着させた時に前記突起が前記ハウジング本体を貫通するための貫通孔が形成され、前記突起は、前記貫通孔を貫通して前記ハウジング本体内に突出することによって、前記エアゾール缶の押し込み移動を規制するように構成することができる。
【0011】
前記ドーズカウンターに、操作レバーを復帰させるための補助スプリングをさらに設けることができる。補助スプリングの強度は特には限定されないが、例えば、補助スプリング単独では操作レバーを復帰させることができない程度であって、エアゾール缶のスプリングのスプリング力を利用することによってのみで操作レバーを復帰させることができる程度のものとしても良い。このような補助スプリングは、後述する第2の吸入器にも設けることができる。
【0012】
前記ハウジング本体に着脱自在に装着されるマウスピースと、該マウスピースをカバーするマウスピースキャップと、前記マウスピースキャップを前記マウスピースに装着させた時に、前記エアゾール缶の押し込み移動を規制するロック機構と、を更に備え、前記マウスピースキャップは、前記マウスピースキャップを前記マウスピースに装着させた時に前記ハウジング本体に形成された貫通孔を貫通可能な突起を有し、前記ロック機構は、前記キャップ部の下端縁に該キャップ部の周囲に沿って形成された傾斜案内面と、前記傾斜案内面に摺動案内されることによって該傾斜案内面に沿って移動可能な傾斜面と、前記突起に係止することによって前記傾斜面の移動を阻止する係止部と、を有し、該係止部による前記傾斜面の移動阻止位置において該傾斜面に前記傾斜案内面を支持させることによって前記操作キャップの押込み移動を規制し、前記係止部の前記突起との係止を解除することによって前記傾斜面の移動を許容して前記操作キャップの押し込み移動を許容する、ロック部材と、を含むこととしても良い。
【0013】
本発明に係る第2の定量噴霧式吸入器は、缶本体、当該缶本体から突出するバルブステム、及び、当該バルブステムを付勢するスプリングを有し、前記バルブステムの押し込みによって内容物が噴射するエアゾール缶と、前記エアゾール缶のバルブステムを保持する保持部が設けられ、当該エアゾール缶を収容するハウジング本体と、前記ハウジング本体内に回転可能に支持された少なくとも1つの表示部材、及び当該表示部材を回転操作するために前記ハウジング本体内に支持された操作レバー、を有するドーズカウンターと、前記操作レバーに係合可能な少なくとも1つの連結部、及び前記缶本体を前記バルブステムとは反対側から覆うキャップ部、を有する操作キャップと、を備え、前記エアゾール缶は、前記ハウジング本体内において、前記スプリングの付勢力に抗して前記缶本体が押込み可能に支持されており、前記エアゾール缶の缶本体は、前記操作レバーと係合する係合部を備えており、前記操作レバーは、前記バルブステムの先端と前記係合部との間の所定位置にある第1の位置、及び前記缶本体の係合部と係合して押し込まれる第2の位置の間を動作可能となっており、前記操作キャップは、前記缶本体とともに初期位置から押し込み可能であるとともに、押し込まれた位置から前記エアゾール缶のスプリングによって前記缶本体とともに初期位置に復帰可能に構成され、前記操作キャップとともに前記缶本体が押し込まれるときに、前記缶本体の係合部が前記操作レバーと係合して当該操作レバーが第1の位置から第2の位置へ動作し、前記操作キャップの連結部は、初期位置への復帰時に前記操作レバーを第2の位置から第1の位置へ移動させ、前記操作レバーが第1の位置から第2の位置へ移動するとき、または第2の位置から第1の位置へ復帰するときのいずれかにおいて、前記操作レバーが前記表示部材を回転させる。
【0014】
この構成によれば、エアゾール缶に内蔵されたスプリング力を利用して操作レバーを動作させるようにしたので、構造を簡易にすることができる。操作レバーの形態は種々のものを用いることができる。例えば、操作レバーにエアゾール缶と係合する係合部を設けてもよい。また、エアゾール缶と操作レバーとは必ずしも直接的に接触している必要はなく、他の部材を介して間接的に接触していてもよい。
【0015】
ところで、エアゾール缶には、製造誤差によってバルブステムの長さにばらつきが生じることが一般的に起こり得る。そして、例えば、バルブステムが長いエアゾール缶では、バルブステムの押し込み開始から内容物の噴射までの押し込み長さが長い傾向にあり、バルブステムが短いと押し込み長さが短い傾向にある。
【0016】
これに対して、本発明では、缶本体の係合部とバルブステムの先端との間の所定の位置に操作レバーが配置されているため、次のような利点がある。すなわち、この構成をとると、例えば、バルブステムが長い場合、缶本体が押し込まれて操作レバーと係合するまでの距離が長くなる一方、バルブステムが短い場合には、操作レバーと係合するまでの押し込み長さが短いことになる。そのため、上記のようなバルブステムの長さと噴射までの押し込み長さとの関係からすれば、缶本体の係合部と操作レバーとが係合してから内容物が噴射するまでの押し込み長さを、バルブステムの長さに関わらず、ほぼ同じにすることができる。このため、バルブステムの長さにばらつきがあっても、内容物の噴射から操作レバーの動作によるドーズカウンタの表示更新までのタイミングを、ほぼ一致させることができる。これにより、操作者が、バルブステムの長さの相違によって上記タイミングのズレを感じるのを防止することができる。
上記吸入器において、操作レバーが、第2の位置から第1の位置への動作時に表示部材と係合し、表示部材を回転させるようにすることができる。
【0017】
上記吸入器においては、操作レバーに、第1の位置にあるときに表示部材をロックするストッパー部材を設けることができ、第2の位置にあるときに、ロックが解除されるように構成することができる。この構成によれば、操作レバーが初期位置である第1の位置にあるときには、表示部材の回転がロックされるため、不意に表示部材が回転し、ドーズカウンタが誤動作するのを防止することができる。
【0018】
また、操作レバーは、種々の構成にすることができるが、例えば、次のようにすることができる。すなわち、操作レバーが、連結部と係合可能な突起を有するとともに、第1及び第2の位置を取るように揺動自在に支持され、操作キャップの押し込みとともに、操作レバーが第1の位置から第2の位置へ揺動し、この揺動に伴う突起の移動とともに、操作キャップの押し込みにより連結部が突起と非係合状態で移動するように構成し、さらに、操作キャップの復帰による連結部の移動により、突起が連結部と係合して移動し、これによって、操作レバーが第2の位置から第1の位置へ移動するように構成することができる。
【0019】
また、上記吸入器では、缶本体において、バルブステムが配置された面に段部を形成し、これを係合部とすることができる。このような段部のほか、係合部は、操作レバーと係合してこれを押圧できるように構成されていればよい。
【0020】
また、上記吸入器においては、ハウジング本体に着脱自在に装着されるマウスピースをさらに設け、エアゾール缶の内容物が、マウスピースを介しハウジング本体の外部に排出されるように構成することができる。この構成によれば、マウスピースが設けられているため、エアゾール缶から噴射された内容物を直接口内に供給することができる。
マウスピースを着脱できるようにしているので、洗浄しやすい。
【0021】
また、上記吸入器においては、操作キャップに、缶本体をバルブステム側から支持する支持手段を設けることができる。これにより、吸入器の組み立て時に、缶本体が移動してカウンターを進めるのを防止することができる。また、衝撃で缶本体のみが移動し、カウンターが進んだり、バルブステムが押圧されて噴射するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る定量噴霧式吸入器によれば、吸入に必要なエアゾール缶の押し込み力を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る定量噴霧式吸入器の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
【0024】
以下、本発明に係る定量噴射式吸入器の第1実施形態について、図1〜17を参照して説明する。
【0025】
図1に示すように、定量噴霧式吸入器1は、ハウジング本体2に、エアゾール缶3が収容されている。図2に示すように、ハウジング本体2にはマウスピース4が取り付けられ、マウスピース4にはマウスピースキャップ5が着脱自在に装着されている。
【0026】
エアゾール缶3は、図3、図4に示すように、概ね円柱状の缶本体3aを有しており、缶本体3aの一端からバルブステム3bが突出している。バルブステム3bは、図示しない内蔵のコイルスプリングによって、突出方向に付勢され、常時、閉弁されている。
【0027】
ハウジング本体2は、図5に示すように、エアゾール缶を受け入れることができる筒状部2aを有している。エアゾール缶3は、図3に示されるように、逆さ向き、即ち、バルブステム3bを下向きにして、ハウジング本体2に挿入される。図5を参照すれば、バルブステム3bを保持する保持部2bが、ハウジング本体2内に形成されている。保持部2bは、バルブステム3bを気密的に嵌入し得る嵌合穴2b1が形成されている。ハウジング本体2は、更に、嵌合穴2b1に連通する細孔2cと、細孔2cと通じる漏斗状部2dが形成されている。漏斗状部2dは、バルブステム3bから噴射されたエアゾールをマウスピース4内に導く。
【0028】
エアゾール缶3の缶本体3aを、図示しない内蔵コイルスプリングの弾性力に抗して押し下げると、バルブステム3bがエアゾール缶3内に押し込まれ、バルブステム3bのバルブが開き、バルブステム3bから薬剤入りエアゾールが吹き出し、細孔2c、漏斗状部2dを経て、マウスピース4内にエアゾールが噴射される。
【0029】
図3,4を参照すれば、ドーズカウンター10がハウジング本体2内に配置されている。ドーズカウンター10は、ハウジング本体2の内面に固定される支持部材11と、支持部材11によって回転可能に支持される1対の表示部材12、表示部材13と、表示部材12、13を回転操作するための操作レバー14と、を有する。
【0030】
一例において、表示部材12の周側面には10の位の数字0〜10が等間隔で印字され、表示部材13の周側面は1の位の数字0〜9が表示され、それによって、ドーズカウンター10は、0〜109迄の数字を表示できる。ハウジング本体2の側面には、図1、2に示すように、表示部材12、13に印字された数字(図示せず。)を視認するための窓2wが形成されている。
表示部材12、13は、図6、7の分解斜視図に示すように、軸孔12a、13aが形成された環状をしている。
【0031】
図8は、図6の一部の抜き出した拡大斜視図であり、図9は、図7の一部を抜き出した拡大斜視図である。図8を参照すれば、表示部材12は、表示部材13と接する側と反対の側面に、周囲に沿って並ぶ複数の係止溝12b…が形成されている。支持部材11は、図9に示すように、これらの係止溝12b…に係止する戻り止め爪11a、11aを備える。戻り止め爪11a、11aは、表示部材12の矢印A方向の回転を阻止するが、戻り止め爪11a,11aが弾性を有することにより、表示部材12に矢印B方向の所定の回転力が付与された場合に、表示部材12の矢印B方向の回転を許容するように、戻り止め爪11a,11a及び係止溝12bが形成されている。
【0032】
図10は、図7から抜き出した拡大斜視図であり、図11は、図6から抜き出した拡大斜視図である。なお、図10,11において、説明の都合上、支持部材11と表示部材13との間に配置される表示部材12が省略されている。
【0033】
表示部材13の軸孔13aの内周面には、図10に示すように、等角度間隔で軸線方向に延びる複数の係止溝13b…が形成されている。支持部材11は、これらの係止溝13b…に係止する戻り止め爪11b、11bを備える。戻り止め爪11b、11bは、表示部材13の矢印A方向の回転を阻止するが、戻り止め爪11b、11bが弾性を有することにより、表示部材13に矢印B方向の所定の回転力が付与された場合に、表示部材13の矢印B方向の回転を許容するように、係止溝13b及び戻り止め爪11b、11bが形成されている。
【0034】
さらに、表示部材13は、図10に示すように、表示部材12と接する側と反対の側面に、周囲に沿って並ぶ複数の係止溝13c…が形成されている。操作レバー14は、支持部材11に形成された軸部11cによって、揺動可能に支持される。操作レバー14の先端には、係止溝13c…に係止する係止爪14aが形成されている(図11)。操作レバー14は、矢印B1方向に揺動する時、係止爪14aが係止溝13c…に係止した状態で揺動することにより、表示部材13に所定の回転力を付与し、表示部材13を矢印B方向に回転させる。操作レバー14は、矢印A1方向に揺動する時、表示部材13は、戻り止め爪11b、11bによって矢印A方向の回転を阻止されており、係止爪14aは、表示部材13の斜面13d(図10)上をスライドする。操作レバー14の一度の往復揺動によって、表示部材13は36°回転させられる。これにより、窓2wから見えるドーズカウンターの数字が1つ繰り上がる。
【0035】
表示部材12は、図9に示すように、表示部材13と接する側の側面に、周囲に沿って並ぶ複数の係止溝12c…が形成されている。図11を参照すれば、表示部材13には、係止溝12c…に係止可能な係止爪13eが形成されている。係止爪13eは、図10を参照すれば、表示部材12と反対側に突起13fを備え、更に図6の一部を拡大した図12を参照すれば、この突起13fが乗り上げる案内凸部2kがハウジング本体2を構成する部品2yの内側面に形成されている。表示部材13が“9”の表示から“0”の表示に切り換わる回転時に、係止爪13eを係止溝12cに係止させて、表示部材12を表示部材13と共回りさせて表示部材12の表示数を繰り上げるために、係止爪13eの突起13fを案内凸部2kに乗り上げさせることで、係止爪13eを係止溝12cの側へ押しやる。従って、係止爪13eは、突起13fが案内凸部2kに乗り上げていない位置にあるときは、係止溝12cに係止していない。
【0036】
操作キャップ20は、図13の拡大斜視図を参照すれば、操作レバー14と回動可能に連結される連結部20aと、缶本体3aに缶本体3aの底側から被せられるキャップ部20bと、を備えている。
【0037】
キャップ部20bは、エアゾール缶の底に当接可能な底板20b1と、エアゾール缶の周壁を囲む筒体20b2とを有することができる。筒体20b2には、カムフォロアー20cが突設されている。カムフォロアー20cは、ハウジング本体2の内周面に形成されたカム溝2e(図1参照)に係合する。カム溝2eは、ハウジング本体2の筒状部2a(図5)の軸線方向に沿って延び、操作キャップ20の往復動を案内する。
【0038】
なお、図示例のキャップ部20bは、図6,7に図示するように製造工程の都合上、互いに結合される上部部品(底板20b1)、下部部品(筒体20b2と連結部20a)の2部品からなるが、1部品によって形成することもできる。
【0039】
図13に示すように、連結部20aは、キャップ部20bの筒体20b2の下端縁から延びる延出部20dの先端部に形成された鉤状部分によって構成されている。操作レバー14は、図10,図11を参照すれば、係止爪14aと軸部11cを通す孔14bとの間にリンクピン14cを備える。図14,15に示すように、リンクピン14cに、連結部20aを構成している鉤状部分が係合することによって、操作レバー14が連結部20aに回動可能に連結されている。従って、操作キャップ20が上下に往復動すれば、それに伴って、操作レバー14が、表示部材12を回動させるために往復揺動する。
【0040】
なお、連結部20aは、図示の構成に限定されず、操作レバー14と回転可能に連結されていれば良い。例えば、連結部をリンクピンとし、操作レバーに該リンクピンが嵌るピン孔を形成しても良い。
【0041】
図13に示すように、連結部20aとは別の位置 にもう一つの連結部20a′が形成されている。連結部20a′は、揺動角度範囲の異なる操作レバー14′(図16、図17参照)を連結するための連結部である。操作レバー14′は、リンクピン14c′の孔14b′からの距離が、操作レバー14のものより大きくなっている。従って、操作キャップ20の往復行程が同じである条件では、操作レバー14′の方が、操作レバー14より揺動角度が小さくなる。例えば、揺動角度の小さい操作レバー14′を大人用、揺動角度の大きい操作レバー14を子供用とし、これらを使い分けて組み込む場合に、連結部20aと連結部20a′の何れかに連結させる。
【0042】
操作レバー14は、図10,図11に示すように、更に、操作レバー14が揺動していないときに偶発的に表示部材12,13が回転することを防止するための、ストッパー部材14sを備えている。ストッパー部材14sは、表示部材12,13の周面に等角度間隔で形成される凹部12x(図9参照),13xに係合する突起14s1を備えている。
【0043】
操作キャップ20は、図13を参照すると、キャップ部20bと連結部20aとの連結を切り離すための易破断部 20eが形成されている。易破断部20eは、図示例のように、延出部20dに該延出部20dを幅方向に横切る溝を形成することによる薄肉部によって構成することができる。易破断部20eは、操作レバー14の通常の操作時に破断しない程度の強度を有しておればよく、例えば、図示しないが、図示例のように厚み寸法を小さくするのではなく、幅寸法を小さくすることによって形成することもできる。
【0044】
マウスピースキャップ5は、図2に示すように、易破断部20eを破断させるための突起5aを備えることができる。易破断部20eは、この突起5aによって破断させることが好ましいが、その他の手段又は方法によって破断させるようにしても良い。あるいは、連結部20aにヒンジ部を形成し、突起5aを押し込むことで、連結部20aを奥側に折り込み、連結部20aと操作レバー14との連結状態を解除することもできる。例えば、ハウジング本体2は、図6,図7に示すように2つの部品2x、2yを結合することによって組み立てられているが、部品2yを取り外し可能にしておいて、部品2yを外して操作者の指の爪で易破断部20eを折る等してもよい。
【0045】
ハウジング本体2は、図3,図4,図7に示すように、突起5aを刺し通し可能な薄膜部2fが形成されている。突起5aは、薄膜部2fを刺し通すと、刺し通し時の勢いで、操作キャップ20の易破断部20eの少し下の部分に衝突し、その衝撃によって、易破断部20eを破断させることができる。突起5aは、薄膜部2fを刺し通し易くするために、尖った先端を備えることが好ましい。なお、薄膜部2fに代えて、通孔にすることもできる。
【0046】
ハウジング本体2は、マウスピース4にマウスピースキャップ5を装着した時に突起5aがハウジング本体2を貫通するための貫通孔2g(図5)が形成されている。突起5aは、図3に示されているように、貫通孔2gを貫通してハウジング本体2内に突出し、この突起5aに、操作キャップ20の筒体20b2の端縁に突設されている突片20f(図6参照)が当接することによって、操作キャップ20及びエアゾール缶3の缶本体3aを押し込むことができないようにし、誤作動を防止している。従って、マウスピースキャップ5をマウスピース4に装着している時は、エアゾール缶3を押込み操作できない。なお、図示しないが、エアゾール缶3のエッジに突起5aを直接、当接可能に構成して、該突起により、エアゾール缶3の押し込み移動を規制しても良い。
【0047】
定量噴霧式吸入器を作動可能にするためには、先ず、マウスピースキャップ5をマウスピース4から外す必要がある。以下、定量噴霧式吸入器の作用効果について、図14及び図15に基づき、説明する。
図14は、缶本体3aがハウジング2内に未だ押し込まれていない状態を示す、一部切り欠き斜視図である。
【0048】
図14に示す状態では、ストッパー部材14sが表示部材12、13に係合しており、表示部材12、13は回転が阻止されており、表示部材12、13の誤作動が防がれている。例えば、表示部材12、13に、ハウジング2の窓2wからアクセスして回転させようとしても、ストッパー部材14sによって表示部材12、13を回転させることができない。
図15は、缶本体3aがハウジング2内に押し込まれている状態を示す、一部切り欠き斜視図である。
【0049】
マウスピースキャップ5を取り外した後、キャップ部20bを介してエアゾール缶3の缶本体3aを、図示しない内蔵のコイルスプリングに抗し、操作者が手でハウジング本体2内に押し込めば、連結部20aに連結している操作レバー14も、図14の位置から図15の下方位置へ揺動する。この下方位置において、操作レバー14の係止爪14aは、表示部材13の1つの係止溝13cに係止する(図10も参照)。
【0050】
また、エアゾール缶3の缶本体3aがハウジング本体2内に押し込まれることにより、その反作用としてバルブステム3bが缶本体3a内に押し込まれ、バルブステム3bから一定量の薬剤入りエアゾールが噴射される。バルブステム3bから噴射された薬剤入りエアゾールは、細管2c、漏斗状部2dからマウスピース4の内部を通じて、外部に向けて噴射される(図5も参照)。
【0051】
薬剤入りエアゾールを噴射した後、キャップ部20bを介して缶本体3aを押していた力を解除すると、エアゾール缶3内の内蔵コイルスプリングによって缶本体3aとともに操作キャップ20が押し戻される。操作キャップ20が押し戻されると、操作キャップ20に連結されている操作レバー14も図15の位置から図14の位置に揺動し、元位置に復帰する。操作レバー14が元位置に復帰する際、係止爪14aが係止溝13cに係止しているので、表示部材13が所定の回転角度だけ回転させられる。この所定の回転角度は、表示部材13の表示数値を1つ繰り上げるのに必要な角度である。なお、缶本体3aが元位置に戻ることにより、バルブステム3bも元位置に戻り、次の噴射の薬剤が充填される。
【0052】
上記したように、第1実施形態の定量噴霧式吸入器1は、エアゾール缶3内の内蔵コイルスプリングによって、操作レバー14を復帰させている。従って、構造を簡易にすることができる。
【0053】
また、第1実施形態の定量噴霧式吸入器1は、エアゾール缶3を除いて10個の部品からなり、エアゾール缶3を除く全ての部品が樹脂成形品によって形成され得る。
【0054】
定量噴霧式吸入器1は、エアゾール缶3内の薬剤を使い切った後、突起5aによって操作キャップ20の易破断部20eを破断させ、キャップ部20bと連結部20aとを切り離す。キャップ部20bは、エアゾール缶に被せてあるだけであって、エアゾール缶3に係合していないため、キャップ部20bと連結部20aとを切り離した後は、キャップ部20bをハウジング本体2から容易に抜き取ることができる。あるいは,20eを支点とし20aを折り曲げ,操作レバー14との連結を切り離すと,キャップ部20bをハウジング本体2から容易に抜き取ることができる。キャップ部20bを抜き取れば、エアゾール缶3は、バルブステム3bが保持部2bに差し込まれているだけであるので、容易に抜き取ることができる。従って、金属で形成されているエアゾール缶3と、樹脂成形品である他の10個の部品とを、簡単に分別廃棄することができる。
【0055】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る定量噴霧式吸入器の第2実施形態を図18〜図28を参照して説明する。第2実施形態は、上記第1実施形態に変更を加えた形態である。従って、以下に説明では、変更部分について主として説明し、上記第1実施形態と同様の構成部分については重複する説明を省略する。また、理解を容易にするため、図18〜図28は、要部のみを抜き出して図示している。なお、第2実施形態の、第1実施形態と同様の構成部分には、同符号を付した。
【0056】
図18及び図19に示すように、第2実施形態のドーズカウンター100は、操作レバー140を開始位置に復帰させるための補助スプリング101を備えている。補助スプリング101のスプリング力は、補助スプリング101単独では操作レバー140を復帰させることができない程度であって、エアゾール缶のスプリング(図示せず。)のスプリング力を利用することによってのみ操作レバー140を復帰させることができる程度である。
【0057】
エアゾール缶3は製造誤差が含まれることが多いため、この補助スプリング101は、エアゾール缶3の寸法のバラツキや、エアゾール缶3に内蔵されているスプリングのスプリング力のバラツキを補う。図示例において、補助スプリング101は、支持部材110に形成された軸部110cに装着されたトーションスプリングであり、操作レバー140を開始位置に復帰させる側に付勢している。
【0058】
例えば、バルブステム3b(図20参照)の長さが設計寸法より短い場合、エアゾール缶3の缶本体の縦長さが設計寸法より短い場合、或いは、エアゾール缶に内蔵されたスプリングのスプリング力が予定されたスプリング力より小さい場合がある。これらの場合には、エアゾールを噴射させる際のバルブステム3bの押込み量が予定量より少なくなる。そうすると、バルブステム3bを付勢している内蔵スプリングの圧縮変形量も予定より少なくなり、その結果、バルブステム3bを付勢しているスプリングの復元力は、予定している力より小さくなり、操作レバー140を復帰させるのに不十分となるおそれがある。操作レバー140は、復帰する際には、表示部材13の係止溝13cに係止し、表示部材13を回転させようとするが、表示部材12,13は、回転するためには、戻り止め爪11a(図9参照)や戻り止め爪11b(図10参照)や突起13f(図10参照)を弾性変形させるだけの力が必要とされる。バルブステム3bを付勢しているスプリングの復元力が、戻り止め爪11aや戻り止め爪11bを弾性変形させるだけの力に足りないと、操作レバー140を復帰させることができない。
【0059】
そこで、補助スプリング101を装着することにより、エアゾール缶3の設計誤差に基づくバラツキによって生じ得る、エアゾール缶内のスプリングを補助し、操作レバー140の復帰を確実に行うことができる。すなわち、補助スプリング101は、エアゾール缶3の製造誤差に基づく作動不良を防止し得る。
【0060】
上記補助スプリング101は、それ単独では、操作レバー140を復帰させる程の力を持たない弱いスプリングであるが、これ以外の強度にすることもできる。
【0061】
また、図20及び図21に示すように、エアゾール缶3の寸法誤差を補うため、第2実施形態の定量噴霧式吸入器では、操作キャップ200が、上部部品と下部部品とに2分割された部品によって、次のようにして組み立てられる。なお、上部部品は操作キャップ200のキャップ部200bの底板200b1であり、下部部品は操作キャップのキャップ部200bの筒体200b2と連結部20aとからなる部品である。
エアゾール缶3は、組立の最終工程において、下部部品200y内に挿入され、バルブステム3bを保持部2bの嵌合穴2b1(図5参照)に嵌合させることによって、保持される。エアゾール缶3を押圧しない状態で、下部部品200yに、キャップ状をした上部部品200xを被せる。上部部品200xの内底面がエアゾール缶3の底面に当接したことを確認して、上部部品200xを、 超音波溶接或いは他の接合手段を用いて、下部部品200yに接合する。このようにして操作キャップ200を組み立てることにより、例えば、エアゾール缶が製造誤差によって設計寸法より縦寸法が大きい又は小さい場合であっても、その誤差を吸収し得る。なお、このような、形態は、後述する実施形態においても適用可能である。
【0062】
さらに、第2実施形態の定量噴霧式吸入器は、マウスピースキャップをマウスピースに装着させた時に、エアゾール缶3の押し込み移動を規制するロック機構を更に備え、このロック機構について、以下に図20〜図28を参照して説明する。
【0063】
図20〜図25を参照すれば、操作キャップ200のキャップ部200bの下端縁に、キャップ部200bの周囲に沿う傾斜案内面201が形成された凸部202を備えている。また、図22〜図28を参照すれば、傾斜案内面201に摺動案内される傾斜面301を有する起立部302が、ロック部材300に形成されている。ロック部材300は、回転軸303を備えている。回転軸303は、支持部材110に形成された軸穴111(図18,19参照)に挿入され、それによって、ロック部材300は、支持部材110に回転可能に支持されている。そして、操作キャップ200を押し込めば、傾斜面301が傾斜案内面201に案内されることにより、傾斜面301が傾斜案内面に沿って移動するようにロック部材300が回転する。
【0064】
ロック部材300は、図22に示されているように、突起5aに係止することによって傾斜面301の移動を阻止する係止部304を有している。図22に示されているように、係止部304による傾斜面301の移動が阻止されている位置において、傾斜面301が傾斜案内面201を支持することによって操作キャップ200の押込み移動を規制する。その一方、図24〜図25に示されているように、マウスピースキャップ5をマウスピース4(図2参照)から外し、係止部304と突起5aとの係止を解除することによって、傾斜面301の移動を許容する。その結果、操作キャップ200に押し込み方向の力を付与すると、傾斜面301が傾斜案内面201によって案内されて移動し、傾斜面301を有する起立部302は、キャップ部200bの凸部202に隣接して形成された凹部203に入ることができる。それによって、操作キャップ200の押し込み移動が許容される。このように第2実施形態では、ロック機構によって、マウスピースキャップ5がマウスピース4に装着されている時に、エアゾール缶3の押し込み移動が規制される。マウスピースキャップ5の装着時におけるエアゾール缶3の押し込み移動は、上記第1実施形態で説明したように、突起5aに突片20f(図6参照)が当接することによっても、規制されており、それによって誤作動が防止されている。そのため、前記ロック機構を設けることにより、第2実施形態は、2重の誤作動防止機能を備えている。
【0065】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る定量噴霧式吸入器の第3実施形態を、図29〜図45を参照して説明する。
【0066】
この定量噴霧式吸入器は、霧状に噴射された薬剤を患者の口から直接吸入するためのものであり、外観は、第1及び第2実施形態と同様である。すなわち、図29に示すように、この定量噴霧式吸入器1は、ハウジング本体2に、エアゾール缶3が収容されており、このエアゾール缶3の上端部には操作キャップ20が取り付けられている。また、図30に示すように、ハウジング本体2には、患者の口に装着されるマウスピース4及びマウスピースキャップ5が取り付けられている。
【0067】
エアゾール缶3は、上記各実施形態と同じである。つまり、図31及び図32に示すように、薬剤が収容された概ね円柱状の缶本体3aを有しており、この缶本体3aの下端面には小径の円柱状の隆起部3cが形成されている。そして、この隆起部(段部)3cから管状のバルブステム3bが下方に向けて突出している。
【0068】
ハウジング本体2は、図33に示すように、エアゾール缶を受け入れることができる筒状部2aを有している。エアゾール缶3は、図31に示されるように、逆さ向き、即ち、バルブステム3bを下向きにして、ハウジング本体2に挿入される。図33に示すように、バルブステム3bを保持する保持部2bが、ハウジング本体2内に形成されている。保持部2bは、バルブステム3bを気密的に嵌入し得る嵌合穴2b1が形成されている。ハウジング本体2は、更に、嵌合穴2b1に連通する細孔2cと、細孔2cと通じる漏斗状部2dが形成されている。漏斗状部2dは、バルブステム3bから噴射されたエアゾールをマウスピース4内に導く。
【0069】
エアゾール缶3の缶本体3aを、図示しない内蔵コイルスプリングの弾性力に抗して押し下げると、バルブステム3bがエアゾール缶3内に押し込まれ、バルブステム3bのバルブが開く。これによって、バルブステム3bから一定量の薬剤入りエアゾールが吹き出し、細孔2c、漏斗状部2dを経て、マウスピース4内にエアゾールが噴射される。
【0070】
図31及び図32に示すように、ハウジング本体2内には、この吸入器の使用回数をカウントするドーズカウンター10が配置されている。ドーズカウンター10の構成は、上記各実施形態と同じである。
【0071】
操作キャップ20は、図41の拡大斜視図に示すように、操作レバー14と回動可能に連結される連結部20aと、缶本体3aに缶本体3aの底側から被せられるキャップ部20bと、を備えている。但し、連結部20aの構造が上記各実施形態と異なる。
【0072】
キャップ部20bは、エアゾール缶の底に当接可能な底板20b1と、エアゾール缶の周壁を囲む筒体20b2とを有することができる。筒体20b2には、カムフォロアー20cが突設されている。カムフォロアー20cは、ハウジング本体2の内周面に形成されたカム溝2e(図29参照)に係合する。カム溝2eは、ハウジング本体2の筒状部2a(図33)の軸線方向に沿って延び、操作キャップ20の上下の往復動を案内する。
【0073】
図41に示すように、連結部20aは、キャップ部20bの筒体20b2の下端縁から延びる鉤状(J字形)に形成されている。操作レバー14は、図38及び図39に示すように、係止爪14aと軸部11cを通す孔14bとの間にリンクピン(突起)14cを備えている。そして、図42及び図43に示すように、リンクピン14cには、連結部20aが係合することによって、操作レバー14が連結部20aに回動可能に連結される。この点については後述するが、連結部20aが上下動するとき、下降する際には、リンクピン14cと連結部20aとは係合しないが、上昇する際には、連結部20aがリンクピン14cに係合し、両者が上昇することで、操作レバー14が軸部11c周りに揺動するようになっている。
【0074】
図38及び図39に示すように、操作レバー14におけるリンクピン14cの近傍、つまりリンクピン14cと係止爪14aとの間には、水平方向に延びる当接板14dが形成されており、この当接板14dに、上述した缶本体3aの隆起部3cが当接するようになっている。当接板14dは、初期状態においては、バルブステム3bの先端と隆起部3cとの間に配置されており、操作キャップ20の押し込みとともに、缶本体3aが下降すると、当接板14dが、隆起部3cに押し込まれる。これにより、操作レバー14は、軸部11c周りに揺動するようになっている。また、操作レバー14は、図38及び図39に示すように、更に、操作レバー14が揺動していないときに偶発的に表示部材12,13が回転することを防止するための、ストッパー部材14sを備えている。このような回転防止の構造については、上述した第1実施形態と同じである。
【0075】
ハウジング本体2は、マウスピース4にマウスピースキャップ5を装着した時に突起5aがハウジング本体2を貫通するための貫通孔2g(図33)が形成されている。この構造については、上記実施形態と同じであるので、説明を省略する。
【0076】
続いて、上記のように構成された定量噴霧式吸入器の動作について、図42及び図43を参照しつつ説明する。この吸入器を動作可能にするためには、先ず、マウスピースキャップ5をマウスピース4から外す必要がある。
【0077】
図42は、缶本体3aがハウジング2内に未だ押し込まれていない初期状態を示す、一部切り欠き斜視図である。同図に示す状態では、ストッパー部材14sが表示部材12、13に係合しており、表示部材12、13の誤作動が防がれている。図43は、缶本体3aがハウジング2内に押し込まれている状態を示す、一部切り欠き斜視図である。
【0078】
患者は、マウスピースキャップ5を取り外した後、マウスピース4を口にくわえるか、あるいは口の前で構える。そして、キャップ部20bを介してエアゾール缶3の缶本体3aを、図示しない内蔵のコイルスプリングに抗し、手でハウジング本体2内に押し込めば、缶本体3aの隆起部3cが当接板14dに係合し、缶本体3aの下降によって当接板14dが下方に押し遣られる。これにより、操作レバー14が、図42の位置から図43の下方位置へ揺動する。この下方位置において、操作レバー14の係止爪14aは、表示部材13の1つの係止溝13cに係止する(図38も参照)。このとき、キャップ部20bに連結されている連結部20aも、押し込みとともに下降するが、操作レバー14も下方へ揺動するため、連結部20aと操作レバー14のリンクピン14cとは非係合状態のまま、ともに下降していく。
【0079】
そして、エアゾール缶3の缶本体3aがハウジング本体2内に押し込まれると、バルブステム3bから薬剤入りエアゾールが噴射される。噴射された薬剤入りエアゾールは、細管2c、漏斗状部2dからマウスピース4の内部を通じて、外部に向けて噴射される(図33も参照)。
【0080】
薬剤入りエアゾールを噴射した後、キャップ部20bを介して缶本体3aを押していた力を解除すると、エアゾール缶3内の内蔵コイルスプリングによって缶本体3aとともに操作キャップ20が押し戻される。操作キャップ20が押し戻されると、操作キャップ20の連結部20aはリンクピン14cに係合し、リンクピン14cとともに上昇する。これにより、操作レバー14は図43の位置から図42の位置に揺動し、元位置に復帰する。操作レバー14が元位置に復帰する際、係止爪14aが係止溝13cに係止しているので、表示部材13が所定の回転角度だけ回転させられる。この所定の回転角度は、表示部材13の表示数値を1つ繰り上げるのに必要な角度である。なお、缶本体3aが元位置に戻ることにより、 バルブステム3bも元の位置に戻り、次の噴射の薬剤の充填が行われる。
【0081】
以上のように、本実施形態によれば、エアゾール缶3内の内蔵コイルスプリングによって、操作レバー14を復帰させている。従って、構造を簡易にすることができる。但し、第2実施形態で示したような補助スプリングを設けることもできる。
【0082】
ところで、エアゾール缶には、製造誤差によってバルブステムの長さにばらつきが生じることが一般的に起こり得る。そして、例えば、図44に示すように、バルブステムが長いエアゾール缶(図44(a))では、バルブステムの押し込み開始から内容物の噴射までの押し込み距離が長い傾向にあり、バルブステムが短いエアゾール缶(図44(b))では、押し込み距離が短い傾向にある。
【0083】
これに対して、本実施形態では、缶本体3aの隆起部3cとバルブステム3bの先端との間の所定の位置に操作レバーの当接板14dが配置されているため、次のような利点がある。例えば、図45に示すように、バルブステムが長いエアゾール缶(図45(a))と短いエアゾール缶(図45(b))とでは、初期状態から当接板と当接するまでの押し込み長さに差が生じるが、一旦当接すると、そこから噴射までの押し込み長さ(a,b)にはほとんど差が生じない。これは、上記のように、バルブステムの長さと噴射までの押し込み長さとの関係による。このように、噴射までの当接板14dの押し込み長さはほぼ同じであるので、バルブステム3bの長さが相違するエアゾール缶であっても、係止爪が14aが係止溝13cに係止するタイミングと、薬剤を噴射するタイミングとはほぼ同じになる。したがって、両エアゾール缶はドーズカウンタ10の更新と薬剤の噴射が、ほぼ同じタイミングになる。その結果、バルブステム3bの長さにばらつきがあっても、薬剤の噴射のタイミングと、ドーズカウンタの更新のタイミングとをほぼ一致させることができ、患者が、バルブステムの長さの相違によって上記タイミングのズレを感じるのを防止することができる。
(第4実施形態)
【0084】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、第3実施形態の変形であるので、相違する点についてのみ説明する。まず、図46に示すように、操作キャップ20bにおいてエアゾール缶3の外周面を囲む筒体20b2の下端部には、周方向に複数のリブ20rが形成されている。これらリブ20rは、径方向に突出し、エアゾール缶3を支持している。装置の組み立て時には、筒体20b2をハウジング2内に取り付けた後、エアゾール缶3を筒体20b2内に配置する。このとき、リブ20rがなければ、エアゾール缶3が下方に移動し、カウンターを進めてしまうおそれがある。また、誤って落下させたときの衝撃によって、エアゾール缶3が下方に移動し、カウンターを進めてしまうことがある。そこで、本実施形態では、リブ20rを設けることで、20b1を押しているとき以外は、リブ20rによってエアゾール缶3が下方に移動しないように支持し、薬液が噴射されたり、カウンターが進むのを防止している。
【0085】
続いて、ドーズカウンターの構成について説明する。本実施形態では、表示部材13及び操作レバー14の構成が第1実施形態と相違している。図47及び図48に示すように、表示部材13の外周面には凹部が形成されておらず、その代わりに操作レバー14と対向する面に、所定間隔おきに複数の凸部13yが設けられている。また、図49に示すように、操作レバー14の中間部には、上記凸部13yと係合する突起14fが形成されている。さらに、操作レバー14のストッパー部材14sにも、上記凸部13yと係合する突起14s2が形成されている。図42に示すような初期状態では、突起14s2が凸部13yと係合するため、表示部材13の回転が規制される。この状態で、例えば、装置が落下した場合には、その衝撃で突起14s2sと凸部13yとの係合状態が解除される場合がある。そのように操作レバー14が動いた場合には、図49に示すように、操作レバー14の凸部14fと凸部13yとが係合し、表示部材13が逆転しないようになっている。このように、本実施形態においては、操作が行われるとき以外の表示部材14の回転を防止することができる。
【0086】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記第3実施形態では、エアゾール缶の隆起部と、当接板とが係合するように構成されているが、エアゾール缶の少なくとも一部が当接板と係合すればよく、その位置は特には限定されない。すなわち、エアゾール缶の缶本体の端面、外周面など、いずれかの位置が当接板または操作レバーに係合してもよく、エアゾール缶の動作に連動して当接板又は操作レバーが動作するようになっていればよい。
【0087】
また、エアゾール缶が係合するのは、当接板でなくてもよく、操作レバーを動作させることができれば、操作レバーのいずれの位置に係合してもよい。また、操作レバーは、揺動する以外にも、少なくとも2つの位置の間で動作するようになっていればよい。つまり、初期位置と、押し込まれた位置の間で動作し、押し込まれた位置から初期位置に復帰する間にドーズカウンタを更新できるような態様であり、且つ復帰するときに操作キャップの連結部とともに動作するように構成されていれば、特には限定されない。
【0088】
また、エアゾール缶が初期位置に戻るのを補助する補助スプリングを設けることもでき、これは、例えば、ドーズカウンタ10の軸部11c に巻き付けておくことができる。 このようにすると、操作レバー14は補助スプリングに抗して、押し込み位置に移動するため、復帰の際には、エアゾール缶3のスプリングに、補助スプリングの付勢力が加わるため、より確実にエアゾール缶を初期位置に復帰させることができる。このほか、補助スプリングは、エアゾール缶3が初期位置に戻るのを補助できるのであれば、他の位置に設けることもできる。例えば、エアゾール缶3の隆起部3cとハウジング本体2との間、キャップ部の底板20b1と缶本体3aの底の間にスプリングを設置することができる。また、上記実施形態におけるドーズカウンタ10は、操作キャップ2を押し込むたびに表示される数字が大きくなるカウントアップタイプになっているが、数字が小さくなるカウントダウンタイプになるように、表示部材12,13の数字を並べ替えてもよい。
【0089】
また、第3実施形態においては、操作キャップを押し込んだ位置から復帰するまでの間にドーズカウンターを操作しているが、初期位置から押し込み位置までの間にドーズカウンターを操作するようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明に係る定量噴霧式吸入器の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の定量噴霧式吸入器からマウスピースキャップを取り外した状態を示す斜視図である。
【図3】図1を部分的に切り欠いて示す斜視図である。
【図4】図3を別の角度から見た斜視図である。
【図5】図1の定量噴霧式吸入器の一部品を抜き出して示す縦断面図である。
【図6】図1の定量噴霧式吸入器を分解して示す斜視図である。
【図7】図6を別の角度から見た斜視図である。
【図8】図6の一部を拡大して示す斜視図である。
【図9】図7の一部を拡大して示す斜視図である。
【図10】図7の他の部分を拡大して示す斜視図である。
【図11】図6の他の部分を拡大して示す斜視図である。
【図12】図6の更に他の部分を拡大して示す斜視図である。
【図13】図7の操作キャップを組み立てた状態で示す拡大斜視図である。
【図14】図1の定量噴霧式吸入器を部分的に切り欠いて示す斜視図である。
【図15】図14に続く作動状態を示す斜視図である。
【図16】本発明に係る定量噴霧式吸入器の構成要素である操作レバーの他の形態を示す斜視図である。
【図17】図16の操作レバーを他の方向から見た斜視図である。
【図18】本発明に係る定量噴霧式吸入器の第2実施形態を部分的に拡大して示す斜視図である
【図19】図18に続く作動状態を示す斜視図である。
【図20】本発明に係る定量噴霧式吸入器の第2実施形態の他の部分を部分的に拡大して示す斜視図である。
【図21】図20に続く組立工程を説明する斜視図である。
【図22】本発明に係る定量噴霧式吸入器の第2実施形態の部分的に拡大して示す斜視図である。
【図23】図22を他の角度から見た斜視図である。
【図24】図22に示されているマウスピースキャップを外して他の角度から見た斜視図である。
【図25】図24を他の角度から見た斜視図である。
【図26】図25に続く作動状態を示す斜視図である。
【図27】図22に含まれる一部品であるロック部材を拡大して示す斜視図である。
【図28】図27のロック部材の側面図である。
【図29】本発明に係る定量噴霧式吸入器の第3実施形態を示す斜視図である。
【図30】図29の定量噴霧式吸入器からマウスピースキャップを取り外した状態を示す斜視図である。
【図31】図29を部分的に切り欠いて示す斜視図である。
【図32】図31を別の角度から見た斜視図である。
【図33】図29の定量噴霧式吸入器の一部品を抜き出して示す縦断面図である。
【図34】図29の定量噴霧式吸入器を分解して示す斜視図である。
【図35】図34を別の角度から見た斜視図である。
【図36】図34の一部を拡大して示す斜視図である。
【図37】図35の一部を拡大して示す斜視図である。
【図38】図35の他の部分を拡大して示す斜視図である。
【図39】図34の他の部分を拡大して示す斜視図である。
【図40】図34の更に他の部分を拡大して示す斜視図である。
【図41】図35の操作キャップを組み立てた状態で示す拡大斜視図である。
【図42】図29の定量噴霧式吸入器を部分的に切り欠いて示す斜視図である。
【図43】図42に続く作動状態を示す斜視図である。
【図44】エアゾール缶の説明図である。
【図45】エアゾール缶と当接板の動作の説明図である。
【図46】定量噴霧式吸入器の他の例を示す断面図である。
【図47】表示部材と操作レバーとを分解した斜視図である。
【図48】表示部材と操作レバーとを分解した斜視図である。
【図49】図47の操作レバーの動作を示す正面図である。
【符号の説明】
【0091】
1 定量噴霧式吸入器
2 ハウジング本体
2f 薄膜部
2g 貫通孔
3 エアゾール缶
3a 缶本体
3b バルブステム
4 マウスピース
5 マウスピースキャップ
5a 突起
10、100 ドーズカウンター
12 表示部材
13 表示部材
14、140 操作レバー
20、200 操作キャップ
20a 連結部
20b、200b キャップ部
101 補助スプリング
300 ロック部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング本体と、
缶本体、バルブステム、及び、当該バルブステムを付勢するスプリングを有し、前記ハウジング本体内の固定位置に前記バルブステムが保持されるとともに、前記ハウジング本体内において前記スプリングのスプリング力に抗して前記缶本体が押込み可能に支持されたエアゾール缶と、
前記ハウジング本体内に回転可能に支持された少なくとも1つの表示部材と、当該表示部材を回転操作するために前記ハウジング本体内に揺動可能に支持された操作レバーと、を有するドーズカウンターと、
前記操作レバーと回動可能に連結される少なくとも1つの連結部と、前記缶本体に当該缶本体の底側から被せられたキャップ部と、を有し、前記操作レバーを復帰させるために前記 エアゾール缶のスプリングの弾力を利用し、前記操作レバーを揺動させる操作キャップと、
を有する、定量噴霧式吸入器。
【請求項2】
前記操作キャップのうち少なくともキャップ部を前記操作レバーから離脱させる離脱手段を備えている、請求項1に記載の定量噴霧式吸入器。
【請求項3】
前記離脱手段は、前記連結部と前記キャップ部との間に設けられた薄肉部からなる薄肉部によって形成されている、請求項2に記載の定量噴霧式吸入器。
【請求項4】
前記ハウジング本体に着脱自在に装着されるマウスピースと、当該マウスピースをカバーするマウスピースキャップとをさらに備え、
前記マウスピースキャップが、前記離脱手段を動作させるための突起を備えている、請求項2に記載の定量噴霧式吸入器。
【請求項5】
前記ハウジング本体は、前記突起を刺し通して当該突起によって破断される薄膜部からなる離脱手段を有している、請求項4に記載の定量噴霧式吸入器。
【請求項6】
前記ハウジング本体は、前記マウスピースキャップを前記マウスピースに装着させた時に前記突起が前記ハウジング本体を貫通するための貫通孔が形成され、
前記突起は、前記貫通孔を貫通して前記ハウジング本体内に突出することによって、前記エアゾール缶の押し込み移動を規制するように構成されている、請求項4に記載の定量噴霧式吸入器。
【請求項7】
前記ドーズカウンターが、前記操作レバーを復帰させるための補助スプリングをさらに有している、請求項1に記載の定量噴霧式吸入器。
【請求項8】
前記ハウジング本体に装着されるマウスピースと、
該マウスピースをカバーするマウスピースキャップと、
前記マウスピースキャップを前記マウスピースに装着させた時に、前記エアゾール缶の押し込み移動を規制するロック機構と、を更に備え、
前記マウスピースキャップは、前記マウスピースキャップを前記マウスピースに装着させた時に前記ハウジング本体に形成された貫通孔を貫通可能な突起を有し、
前記ロック機構は、
前記キャップ部の下端縁に当該キャップ部の周囲に沿って形成された傾斜案内面と、
前記傾斜案内面に摺動案内されることによって当該傾斜案内面に沿って移動可能な傾斜面と、前記突起に係止することによって前記傾斜面の移動を阻止する係止部と、を有し、当該係止部による前記傾斜面の移動阻止位置において当該傾斜面に前記傾斜案内面を支持させることによって前記操作キャップの押込み移動を規制し、前記係止部の前記突起との係止を解除することによって前記傾斜面の移動を許容して前記操作キャップの押し込み移動を許容する、ロック部材と、
を含む、請求項1に記載の定量噴霧式吸入器。
【請求項9】
缶本体、当該缶本体から突出するバルブステム、及び、当該バルブステムを付勢するスプリングを有し、前記バルブステムの押し込みによって内容物が噴射するエアゾール缶と、
前記エアゾール缶のバルブステムを保持する保持部が設けられ、当該エアゾール缶を収容するハウジング本体と、
前記ハウジング本体内に回転可能に支持された少なくとも1つの表示部材、及び当該表示部材を回転操作するために前記ハウジング本体内に支持された操作レバー、を有するドーズカウンターと、
前記操作レバーに係合可能な少なくとも1つの連結部、及び前記缶本体を前記バルブステムとは反対側から覆うキャップ部、を有する操作キャップと、を備え、
前記エアゾール缶は、前記ハウジング本体内において、前記スプリングの付勢力に抗して前記缶本体が押込み可能に支持されており、
前記エアゾール缶の缶本体は、前記操作レバーと係合する係合部を備えており、
前記操作レバーは、前記バルブステムの先端と前記係合部との間の所定位置にある第1の位置、及び前記缶本体の係合部と係合して押し込まれる第2の位置の間を動作可能となっており、
前記操作キャップは、前記缶本体とともに初期位置から押し込み可能であるとともに、押し込まれた位置から前記エアゾール缶のスプリングによって前記缶本体とともに初期位置に復帰可能に構成され、
前記操作キャップとともに前記缶本体が押し込まれるときに、前記缶本体の係合部が前記操作レバーと係合して当該操作レバーが第1の位置から第2の位置へ動作し、
前記操作キャップの連結部は、初期位置への復帰時に前記操作レバーを第2の位置から第1の位置へ移動させ、
前記操作レバーが第1の位置から第2の位置へ移動するとき、または第2の位置から第1の位置へ復帰するときのいずれかにおいて、前記操作レバーが前記表示部材を回転させる、定量噴霧式吸入器。
【請求項10】
前記操作レバーは、前記第2の位置から第1の位置への動作時には前記表示部材と係合し、前記表示部材を回転させる、請求項9に記載の定量噴霧式吸入器。
【請求項11】
前記操作レバーは、
前記第1の位置にあるときに前記表示部材をロックするストッパー部材を有しており、
前記第2の位置にあるときに、前記ロックが解除される、請求項10に記載の定量噴霧式吸入器。
【請求項12】
前記操作レバーは、
前記連結部と係合可能な突起を有するとともに、前記第1及び第2の位置を取るように揺動自在に支持されており、
前記操作キャップの押し込みとともに、前記操作レバーは前記第1の位置から第2の位置へ揺動し、この揺動に伴う前記突起の移動とともに、前記操作キャップの押し込みによって前記連結部が前記突起と非係合状態で移動し、
前記操作キャップの復帰による前記連結部の移動により、前記突起が前記連結部と係合して移動し、これによって、前記操作レバーが前記第2の位置から第1の位置へ移動する、請求項10または11に記載の定量噴霧式吸入器。
【請求項13】
前記缶本体において、前記バルブステムが配置された面に段部が形成され、当該段部が前記係合部を構成している、請求項10から12のいずれかに記載の定量噴霧式吸入器。
【請求項14】
前記ハウジング本体に着脱自在に装着されるマウスピースをさらに備え、
前記エアゾール缶の内容物は、前記マウスピースを介して前記ハウジング本体の外部に排出される、請求項9から13のいずれかに記載の定量噴霧式吸入器。
【請求項15】
前記ドーズカウンターが、前記操作レバーを復帰させるための補助スプリングをさらに有している、請求項9に記載の定量噴霧式吸入器。
【請求項16】
前記操作キャップは、前記缶本体を前記バルブステム側から支持する支持手段をさらに備えている、請求項1または9に記載の定量噴霧式吸入器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【公開番号】特開2009−233308(P2009−233308A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248710(P2008−248710)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000206956)大塚製薬株式会社 (230)
【出願人】(591016334)大塚テクノ株式会社 (19)