宝石の特性を判定するためのデータを生成する装置
【課題】人間の目で認知可能なカット・ダイヤモンドなどの宝石の視覚特性を判定する際に使用する画像データを生成する装置を提供すること。
【解決手段】本発明の装置は、対称軸が観察位置を通過する軸Xと平行になるように対称軸を有する宝石を支持する支持構造体と、配置された宝石を多様な光のパターンにより照明する照明手段と、軸Xを中心に光のパターンと支持構造体との間に相対的な回転を生じさせる回転手段と、光の電子画像を取り込み、画像データとして出力するカメラと、支持構造体の複数の異なる回転位置における光のパターンに対する回転中に、軸Xに沿って画像をカメラが取り込むように、回転手段およびカメラを制御する制御手段とを備え、照明手段は宝石へと光を反射する凹面を有する反射器を備え、凹面は相対的反射性の領域および相対的非反射性の領域を有し、それにより光のパターンを生成する。
【解決手段】本発明の装置は、対称軸が観察位置を通過する軸Xと平行になるように対称軸を有する宝石を支持する支持構造体と、配置された宝石を多様な光のパターンにより照明する照明手段と、軸Xを中心に光のパターンと支持構造体との間に相対的な回転を生じさせる回転手段と、光の電子画像を取り込み、画像データとして出力するカメラと、支持構造体の複数の異なる回転位置における光のパターンに対する回転中に、軸Xに沿って画像をカメラが取り込むように、回転手段およびカメラを制御する制御手段とを備え、照明手段は宝石へと光を反射する凹面を有する反射器を備え、凹面は相対的反射性の領域および相対的非反射性の領域を有し、それにより光のパターンを生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カットされたダイヤモンドなどの宝石の特性を判定するためのデータを生成する電子装置に関する。詳細には、これには限定されないが、本発明は、宝石の複数の画像が分析のために異なる照明条件の下で取り込まれる、宝石の特性を判定するためのデータを生成する電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カットされたダイヤモンドなどの宝石の美しさは、その宝石の光を操る能力によって引き出される。目を引きつけるものは、巧みにカットされたダイヤモンドによって行われる、入射光が宝石の多数のファセット(面)に反射・屈折される「光のゲーム(game of light)」である。ダイヤモンドおよびその他の宝石は、例えばスタンダード・ラウンド・ブリリアント・カット、オーバル、ぺア、マーキス、ラジアント、プリンセス、ハート、エメラルド・カットなどの多くの異なる標準化されたカット・パターンに従ってカットすることができる。最も人気のあるカットは、図1に示すようなスタンダード・ラウンド・ブリリアント(SRB)・カットである。ダイヤモンドのカットおよび研磨は非常に熟練を要する技術であり、優れた光学性能を有する巧みにカットされたダイヤモンドには、貧弱な光学性能を有する粗悪なカットのダイヤモンドよりも高い価格プレミアムが付く。
【0003】
訓練されていない観測者にカット・ダイヤモンドを示す場合には、宝石のカラット重量、クラリティ、カット、およびカラーからなる宝石の4Cを参照することが多い。カラット重量、クラリティ、カット、およびカラーは、客観的に測定することが比較的容易にでき、したがって、一般に有用である。また、カットは、さまざまなファセットの幾何形状に関して特定または測定されてもよい。しかし、本当に重要なのは宝石の光を操る能力であり、宝石のブリリアンス(戻ってくる光の強さ)、シンチレーション(ダイヤモンドが照明条件に対して移動する際の、戻ってくる光のすばやい局所的な揺らぎ)、ファイア(スペクトル色への白色光の分散)、およびシンメトリー(いわゆる「ハート・アンド・アロー(hearts and arrows)」などの光のパターンのシンメトリー)などの、カット・ダイヤモンドのより主観的なパラメータが参照されることが多い。これらの主観的なパラメータを個人で評価することは、特に訓練されていない観測者にとっては困難な場合がある。また、同じカラット重量、クラリティ、およびカラーを有する2個のダイヤモンドの光を操る能力を比較することは困難であり、したがって、なぜ一方が他方よりも高価であるのかを認識することが難しい場合がある。
【0004】
実験観察によるにせよ、理論上のコンピュータ・モデリングによるにせよ、さまざまな照明条件の下でブリリアンス、ファイア、およびシンメトリーなどの特性が求められるべきであるということが認識される。さらに、シンチレーションの特性については、さまざまな照明条件の下でダイヤモンドを観察する、またはモデル化することが不可欠であることは明らかである。分析のために、さまざまな照明条件の下で宝石の画像を取り込む電子装置が知られている。
【0005】
本出願人は以前に、宝石の特性を測定するように設計された装置のために欧州特許出願第EP1319942号を出願した。この出願では、空間的に多様な光のパターンに対して、複数の回転位置で宝石の画像を取り込むことによって宝石の特性が判定されることが記載されている。空間的に多様な光のパターンは、一方が比較的反射性であり、もう一方が比較的非反射性である2つの領域を有する反射器によって生成される。2つの領域間の境界は、宝石の観察がそれに沿って行われる軸と平行な平面内にある。すなわち、2つの領域間の境界の長さは最小長であり、宝石がそれを介して観察される反射器の中心から反射器の最も近い縁部までの直線によって形成される。
【0006】
国際特許公開第WO96/23207号は、分析チャンバ内に配置され、宝石を複数の異なる角度から照明することができるように、軸に沿って移動することができる均一な環状光によって照明される宝石のカラー画像を取り込むデバイスを記載している。このデバイスは、宝石の色を判定するために調整可能な光帯域通過フィルタを使用して取り込まれた画像の分光分析を実行する。また、宝石のデジタル画像を格納、表示、またはデータ網を通じて送信することもできる。
【0007】
米国の企業GemEx Systems,Inc.のウェブサイト(www.gemex.com)は、撮像分光光度計として記述されるBrillianceScope Analyserと呼ばれるデバイスを記載している。ダイヤモンドのカラー画像は、6つの照明角度からなる制御された照明環境において取り込まれ、6つの照明角度のうちの5つは反射光を提供し、6つの照明角度のうちの1つが拡散照明を提供する。次いで、これらの画像を分析して、ダイヤモンドについての報告を作成することができる。BrillianceScope Analyserデバイスは、宝石が分析チャンバ内に配置され、宝石を複数の異なる角度から照明するように、軸に沿って移動することができる均一な環状光によって照明するという点で、前述の国際特許公開第WO96/23207号に記載されているデバイスと同じ原理で動作する。画像はコンピュータによって分析することができ、ダイヤモンドの「白色光」、「有色光」、および「シンチレーション」の特性が判定され、「低」から、「中」、「高」までの3つのラインチャートの目盛り上に表示される。取り込まれた画像を、1つの表示領域内に反復シーケンスで示し、光の移動の効果を与えることもできる。2つの宝石の画像は、比較のために並べて表示させてもよい。
【0008】
国際特許公開第WO99/61890号は、宝石の標準化されたグレーディング用システムを記載している。宝石は、複数の入射光源にさらされ、分析のために画像が取り込まれる。SRBカット・ダイヤモンドなどの宝石の画像は、パビリオンから、クラウンから、および側面からなどのさまざまな視点から取り込むことができる。さまざまな回転位置からのプロファイルおよびカラー画像を取得し、内部のフローおよびインクルージョンを検出するために、宝石は、側面視点からの画像を取り込んでいる際に回転させる回転可能な台によって支持される。宝石の上下から画像を取り込む際には、基準位置からそれぞれ下位置および上位置まで軸に沿って台を移動させる。台を上位置、下位置、基準位置の間で移動させる際には、固定焦点距離カメラも、宝石に焦点を合わせるために軸に沿って移動させる。取り込まれた画像は、カラーの測定値(measurement)と宝石のブリリアンスおよびシンチレーションの評価(measure)とを取得するためにプロセッサによって分析することができる。
【0009】
米国特許第4,900,147号は、ラマン分光法を使用するダイヤモンドの結晶構造をマップするための方法と装置を記載している。
米国特許出願第2332755号は、ブランドマークまたはダイヤモンドの表面の一部を表示するためのブランディング・ビューア(branding viewer)を記載している。
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願第EP1319942号
【特許文献2】国際特許公開第WO96/23207号
【非特許文献1】www.gemex.com
【特許文献3】国際特許公開第WO99/61890号
【特許文献4】米国特許第4,900,147号
【特許文献5】米国特許出願第2332755号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の一目的は、宝石のファイア、ならびにブリリアンス、シンチレーション、およびシンメトリーの改善された判定のためのデータを生成する電子装置を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、2つのダイヤモンド、およびそれらのファイア特性、ならびにブリリアンス、シンチレーション、およびシンメトリーの特性を観測者がより容易に比較できるようにする電子装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、人間の目で認知可能なカット・ダイヤモンドなどの宝石の視覚特性を判定する際に使用する画像データを生成する装置が提供され、この装置は、観察位置に配置される宝石を支持するための支持構造体であって、対称軸が観察位置を通過する軸Xと平行になるように、対称軸を有する宝石を支持することができる支持構造体と、そのように配置された宝石を空間的に多様な光のパターンによって照明するよう構成された照明手段と、概ね軸Xを中心に光のパターンと支持構造体との間に相対的な回転を生じさせるように構成された回転手段と、宝石によって戻される光の電子画像を取り込み、画像データとして前記画像を出力するように構成されたカメラと、カメラが、支持構造体の複数の異なる回転位置それぞれにおける光のパターンに対する前記相対的な回転中に、概ね軸Xに沿って宝石の電子画像を取り込むように、回転手段およびカメラを制御するように構成された制御手段とを備え、照明手段が、概ね宝石の方へ光を反射するように構成された凹面を有する反射器を備え、凹面が、少なくとも1つの比較的反射性の領域および少なくとも1つの比較的非反射性の領域を有し、それにより前記光のパターンを生成する、装置であって、比較的反射性の領域と比較的非反射性の領域の境界の長さが、最小長よりも長いことを特徴とする。
【0014】
宝石の対称軸を中心に、支持される宝石に対して空間的に多様な光のパターンを回転させ、複数の回転位置で画像を取り込むことによって、この装置は特に、SRBカット・ダイヤモンドなどの、放射状に対称のカット・パターンを有するカットされた宝石の特性を判定するように適合されている。宝石のいずれかの特定空間領域に戻される光の色成分比率は、回転運動に影響されやすい。このため、ファイアが、より容易に、正確に、そして客観的に測定可能である。
【0015】
好ましい実施形態では、光のパターンが、少なくとも1つの比較的明るい領域および少なくとも1つの比較的暗い領域を含み、これらの領域は軸Xを中心に放射状に配置されている。好ましくは、光のパターンは、軸Xを中心に概ね対称形である。また好ましくは、光のパターンは、4回対称性または8回対称性などのn回対称性を有する。ここで、nはsの整数倍数または因数であり、標準化された宝石のカットはs回対称性を有する。
【0016】
したがって、宝石を照明する光のパターンは、特定の形状および特定の配列の放射状に対称のファセットを有するSRBカットなどの特定の宝石カット・パターンに密接に対応し、その結果、取り込まれる画像は、回転運動に対する感度がより高まって、宝石のいずれかの特定の空間領域に戻る光の色成分比率がより卓越したものとなる。これにより、ファイアが、より容易に、正確に、そして客観的に測定可能となる。宝石を照明する光のパターンは、例えば指輪などの宝飾品の部材に取り付けられた場合に、通常の日常使用で宝石を照明することになる光をより現実的に模したものである。従来技術の手法の場合では、光は通常、ダイヤモンドの対称軸周辺で均一ではなく、対称軸からの狭い角度範囲でのみ入射する。その代わりに、本発明の場合では、光は通常、ダイヤモンドの対称軸からの広い角度範囲で入射し、対称軸周辺で均一ではない。
【0017】
その他の好ましい実施形態では、概ね軸Xを中心に前記装置に反射器が回転可能に取り付けられ、これにより、概ね軸Xを中心とする光のパターンと支持構造体との相対的な回転が可能となる。あるいは、概ね軸Xを中心に前記装置に支持構造体が回転可能に取り付けられ、これにより、概ね軸Xを中心とする光のパターンと支持構造体との相対的な回転が可能となる。好ましくは、照明手段は、凹面に向けて光を発するよう構成された環状光源と、光が直接宝石に達するのを防止するように構成された環状バッフルとを備える。
【0018】
したがって、この装置は、単一の静止光源、および支持される宝石に対する光のパターンの回転を可能にする回転可能な反射器または回転可能な支持構造体のみを必要とし、これにより、機構がより簡略化されると同時に、サイズ、重量、および製造コストが削減される。
【0019】
また、この装置は、前記電子画像のうちの2枚に対応する画像データを使用して、第1の回転位置で取り込んだ第1の画像の1つ以上の画素の色成分の比率を、第1の回転位置とは異なる第2の回転位置で取り込んだ第2の画像の1つ以上の画素の色成分の比率と比較することによって、宝石のファイアの評価を求めるように構成されたデータ処理デバイスを備えることもでき、第1の画像の前記1つ以上の画素は、第2の画像の前記1つ以上の画素と同じ宝石の1つの領域または複数の領域に対応している。
【0020】
したがって、空間的に変化のある光のパターンの異なる回転位置で得られた複数の画像からのデータを使用して、ファイアの客観的な測定を改善することが可能となる。クラウンに32面の異なる角度のファセットを有し、パビリオンに24面の異なる角度のファセットを有するSRBカットなどの、多くの放射状ファセットのあるカット・パターンを有するカットされた宝石の場合、特に、戻ってきた光の色成分の比率は、光源の入射角の変動よりも、宝石に対する光のパターンの回転運動の方に大きく影響されるので、ファイアをより正確に測定することができる。
【0021】
装置が小型、軽量で、費用のかからない構成であるため、購入する見込みのある顧客がいる宝石店などの店舗で、宝石の分析および比較を行うことができる。
【0022】
本発明のさらに別の態様および特徴は、添付の特許請求の範囲において述べられ、さらに別の利点は、例としてのみ与えられる以下の説明から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1aおよび図1bは、スタンダード・ラウンド・ブリリアント(SRB)・ダイヤモンドの幾何形状を示している。図1aは、斜め上から見たからダイヤモンドを示している。ダイヤモンドの最も上のドーム形部分は、クラウン10として知られている。ダイヤモンドの最も下の円錐部分は、パビリオン12として知られている。クラウン10の頂部の中心にあるのは、テーブル14として知られている比較的大きいファセットである。パビリオン12の最も下の箇所は、キューレット16として知られている。図1bは、上方より、テーブル14の中心からキューレット16を通る軸に沿って見たSRBダイヤモンドを示している。SRBカット・ダイヤモンドのクラウン10には、テーブル14を含めずに32面のファセットがあり、パビリオンには、キューレット16を含めずに24面のファセットがある。SRBカット・ダイヤモンドの放射状のファセット(合計56面にテーブルの1面およびキューレットの1面が加わる)は、テーブル14の中央およびキューレット16を通る軸を中心に8回対称性を有することがわかる。
【0024】
図2は、本発明による宝石の特性を判定するためのデータを生成する装置の断面図を示している。カット・ダイヤモンド20などの宝石は、そのテーブル側の面を下にして、台(図示せず)上の観察位置に配置される。台は、装置内に配置された一定の厚さの光学的に透明なガラス平面であるので、装置が水平位置にある場合、台もほぼ水平になる。台には、ぎらつきを抑えるために、反射防止コーティングを被覆し、下に小さな環を設けることができる。装置は、外部光がダイヤモンド20に達するのを防止し、埃が機械部品および光学部品に侵入するのを防止する筐体(図示せず)内に載置される。筐体は、測定する宝石を配置し取り出すための進入用蓋を台の上に有する。実質的に少しの光も、宝石または台の方へ蓋または筐体から反射されて戻らないように、台の領域より上の筐体および蓋の内面は、非反射性材料で被覆される。
【0025】
ダイヤモンド20は、蛍光灯の光またはハロゲン光などの環状光24によって照明される。環状光24は、日光と同等の周波数の可視光を発する。適切な環状光は、5500°Kの色温度を有するWhite 5500HC蛍光リング・ライトを用いるStocker and Yale社の顕微鏡照明器であり、この蛍光リング・ライトは北昼光に近い光を発生させる。環状光24からの光は、環状光24とダイヤモンド20の間に配置された環状バッフル28によって、直接ダイヤモンド20に達しないようにされている。しかしながら、環状光24からの光は、反射器の凹面26に反射し、概ねダイヤモンド20の方へ向かう。反射器は、シェルの内面が凹面26となっている、観察位置を中心とする半球形シェルとすることができる。
【0026】
凹面26が台に対して垂直な軸22を中心にして回転可能であるように、またダイヤモンド20が観察位置に配置される場合に、ダイヤモンド20のテーブルおよびキューレットの中心が軸22に沿ってほぼ位置するように、反射器が装置内に載置される。環状光24および環状バッフル28は固定されており、それらも軸22に対して垂直、かつ軸22が中心となるように装置内に配置される。軸22を中心にして反射器および凹面26を回転させるために、ステッパ・モータ(図示せず)が設けられる。
【0027】
反射器および凹面26が軸22と交わるそれらの底部には、のぞき穴34がある。電荷結合デバイス(CCD)センサ・アレイ、または相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサ・アレイを有し、パーソナル・コンピュータ(PC)によって制御可能なデジタル・カメラが、軸22に沿ってダイヤモンド20の画像を取り込むことができるように装置内に配置される。このカメラは、固定された焦点距離と、少なくとも640×480の解像度と、少なくとも1つの画像を格納可能なメモリと、取り込んだ画像データをPCなどの外部のデバイスに転送するために、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)、RS422パラレル・ポート、またはIEEE1394「Firewire」規格などの規格に適合したデータ通信インタフェースとを有するカラー・カメラである。カメラは、ダイヤモンド20が配置される台の最上面が形成する平面に合焦し、測定されることが当然予測される最大サイズの宝石の鮮明な画像を取り込めるように、適切な被写界深度を有する。装置内には、光学的に透明なミラー32を配置することができ、したがってカメラ30とダイヤモンド20の間の光路が直線である必要はなくなり、それによって装置をさらに小型化することが可能となる。適切なデジタルCCDカメラは、640×480の解像度を有するUnibrain Fire−i Digital CCDカラー・カメラ、または同様の解像度を有するUnibrain Fire−i400 Industrial versionである。適切なデジタルCMOSカメラは、2056×1560の最大解像度を有し、1画素当たり12ビットの色深度を有するSilicon Imaging MegaCamera SI−3170 RGBカメラである。
【0028】
光24、バッフル28、凹面26を有する反射器、ミラー32、ステッパ・モータ、カメラ30、および筐体を含むが、PCは含まないこの装置は、サイズが小さく(約123mm×112mm×200mmの寸法を有する)、軽量(約3.875kg)である。
【0029】
カメラ30およびステッパ・モータは、PC36に接続されており、PC36によって制御可能である。PC36は、Intel Pentium(登録商標) III中央演算処理装置(CPU)、128メガバイトのメモリ、LCDパネル・スクリーン、および10ギガバイトのハード・ディスク・ドライブを有するラップトップまたはノートブック・コンピュータなどの携帯型PCであってもよい。PC36は、カメラおよびステッパ・モータに接続するためのUSBポート、パラレル・ポート、および/またはIEEE1394「Firewire」ポートを有し、フレーム取り込み用の2Dビデオ処理チップセットを有する。以下でより詳細に説明するように、適切なコンピュータ・プログラムにより、PC36は、ステッパ・モータを制御して一連の所定の回転位置を通じて凹面26を回転させる。また、PC36は、凹面26の一連の回転位置の各々で画像を格納することができるように、カメラ30を制御して適切なフレーム・レートでダイヤモンド20の画像を取り込む。カメラ30で取り込んだ画像データは、表示および分析のために、ビットマップまたはその他の適切な画像ファイル形式の形でPC36に転送される。画像データは、連続的なライブ画像供給としてPC36に送信される。
【0030】
凹面26を回転させる角度の範囲は、凹面26で反射する光のパターンのシンメトリーに依存する。例えば、4回対称性を有する光のパターンの場合、凹面26を90°の範囲で回転させながら、複数の回転位置で画像を取り込む。この範囲内で、分析に用いるために異なる回転位置で取り込む画像数は、測定する宝石のカット・パターン、または測定する可能性の高い、最もファセットが形成された宝石のカット・パターンに依存する。一般に、画像数は、凹面26が回転する範囲内にある異なる角度のファセット数の少なくとも4倍とすべきである。このため、クラウンおよびパビリオンに異なる角度の32面のファセットを有し、したがって、90°の範囲内に異なる角度の8面のファセットを有するSRBカット・ダイヤモンドの場合、90°の範囲にわたって少なくとも32枚の画像(4×8)を取り込むべきである。一般的な目的のためには、取り込むべき画像の概ね適切な数は45枚であることがわかっている。このため、凹面26は、90°の範囲にわたって2°ずつ回転させる。宝石のカット・パターン、必要な測定の精度、およびPC36の処理能力に見合うように、より多数の画像またはより少数の画像を使用してもよいことが理解されよう。
【0031】
図3aおよび図3bは、軸22に沿ってダイヤモンドの観察位置から見下ろした凹面26を示している。凹面26は、表面に相対的(比較的)反射性の材料と相対的(比較的)非反射性の材料とを被覆することによって形成した、複数の相対的反射性の領域40と相対的非反射性の領域42とを有する。
【0032】
図3aは、領域40および42の一構成を示しており、この構成では、凹面26は、軸22を中心にして配置された均等な8つのセクタに分割され、それらは交互に、相対的反射性と相対的非反射性になっている。凹面上の相対的反射性のセクタと相対的非反射性のセクタの境界は、最小長よりも長い。すなわち、本実施形態では、境界は、境界経路に沿って一定の角度で凹面26の中心から外に延びる螺旋として形成される。したがって、平面が観察位置全体にわたって位置する回転中の各箇所で、平面と境界の角度は、本実施形態では、プラス45°〜マイナス45°の範囲にある。平面と境界の角度がプラス35°〜マイナス35°の範囲、またはプラス25°〜マイナス25°の範囲にある別の例を使用することもできる。これにより、凹面26上の相対的反射性の領域と相対的非反射性の領域と境界に沿って境界の長さが長くなる。
【0033】
図3bは、相対的反射性の領域と相対的非反射性の領域と境界の異なる構成を示している。この構成では、境界は、図3aの螺旋(または渦巻き)を境界の長さ全体にわたって前後に8回折り返すことによって形成されている。
【0034】
図3cは、凹面26上の相対的反射性の領域と相対的非反射性の領域の境界のさらに別の構成を示している。この構成では、図3bに示した不連続の数が減らされて、螺旋(または渦巻き)が5回だけ前後に折り返されている。
【0035】
相対的反射性の領域と相対的非反射性の領域の境界の形を大幅に変更できることが理解されるであろうが、相対的反射性の領域と相対的非反射性の領域の境界の長さを最小長よりも長くすることが重要な側面であるということを忘れてはならない。
【0036】
図3dは、領域40、42のさらに別の構成を有する図3aの改変型を示しており、この構成では、凹面26が、軸22を中心にして配置された、交互に相対的反射性の領域と相対的非反射性の領域になっている均等な16のセクタに分割されている。図3a〜図3cの領域40および42それぞれの構成は、軸22を中心に4回対称性を有するのに対して、図3dの領域40および42それぞれの構成は、軸22を中心に8回対称性を有することがわかる。図3dの8回対称性は、図3bおよび図3cの構成にも適用することができる。また、相対的反射性の領域40および相対的非反射性の領域42のその他の構成も、本発明の範囲内で想定される。例えば、相対的反射性の領域と相対的非反射性の領域の境界は、まっすぐなジグザグ、湾曲したジグザグ、またはそれらの組み合わせなどの他のパターンから形成することができる。凹面26は、マット仕上げを有していてもよい。
【0037】
装置の動作中、凹面26で反射して観察位置にあるダイヤモンド20へ向かう光は、相対的反射性の領域40および相対的非反射性の領域42の構成によって決定される空間的に多様なパターンを有していることがわかる。具体的には、台の平面で観察される光のパターンは、この構成に対応する光強度の一連の放射状の山および谷を有する。このため、図3aの構成の場合、光のパターンは4つの放射状の山ラインおよび4つの放射状の谷ラインを有する。同様に、図3bの構成の場合、光のパターンは、8つの放射状の山および8つの放射状の谷を有する。さらに、テーブル側を下にして台の上に置いたダイヤモンド20の場合には、日常使用のためにダイヤモンドが指輪およびその他の宝飾品に取り付けられている場合に主に生じるように、光は、軸22に対して広範囲の入射角で概ねクラウンに向かって反射する。
【0038】
相対的反射性の領域40および相対的非反射性の領域42の特定の構成の選択は、ダイヤモンド20の標準化されたカットに依存する。例えば、前述のようにSRBカットのダイヤモンドが8回対称性を有すると、領域40および42の適切な構成は、4つの相対的反射性のセクタ40と4つの相対的非反射性のセクタ42の合計8つのセクタがある図3aに示すようなものとなるであろう。このため、宝石の(45°の)隣接する対称的なセクタが、隣接する山および谷を有する(45°の)対応する放射状光のパターンセクタを受けるという点で、4つの放射状の山および4つの放射状の谷を有する凹面26の光のパターンの反射は、カットされた宝石のシンメトリーに対応する。凹面26を90°にわたって回転させると、台の平面において軸Xを中心とする任意の放射状線で観察される光の強度は、単一の山および単一の谷を有する完全な単一のサイクルを経過する。
【0039】
PC36は、Microsoft社のWindows(登録商標) XPなどの標準的なオペレーティング・システムを実行することができる。また、PC36は、ステッパ・モータを制御して凹面26を回転させ、カメラ30を制御してそれぞれの所定の回転位置でのダイヤモンド20の画像、例えば合計90°の範囲にわたって2°ずつ回転させながら撮影した45枚の画像を取り込んでPC36に転送するように構成されたコンピュータ・プログラムも実行する。ステッパ・モータの制御は、Motorola社のMC 3479ステッパ・モータ・コントローラなどの従来のステッパ・モータ制御回路を使用してPC36とステッパ・モータとの間をインタフェースし、PC36上で対応するプログラム要素を実行してデジタル制御信号をステッパ・モータ制御回路に送信することによって達成される。カメラ30の制御は、カメラの内蔵制御インタフェースを使用し、PC36上で対応するプログラム要素を実行してデジタル制御信号をカメラ30に送信することによって達成される。
【0040】
ステッパ・モータおよびカメラ30を制御するプログラム要素は、それら自体がPC36上で実行するメイン・コンピュータ・プログラムの制御下にあり、ユーザ・インタフェースを介してユーザ命令を受信して、一連のダイヤモンド20の画像を取り込み、カメラ30からPC36へと転送して、さまざまなアルゴリズムを使用して画像を分析して、ダイヤモンド20の光学特性の測定値を取得し、PC36の画面上に画像を表示することができる。図4は、コンピュータ・プログラムのメイン・メニュー画面のスクリーン・ショットを示している。メイン・メニュー画面の右側および左側にあるのは、別々の走査動作で取り込まれた2つの異なるダイヤモンドの画像である。メイン・メニュー画面の右側または左側のダイヤモンド画像は、カメラ30によって現在取り込んでいる「ライブ」画像であってもよく、以前に走査動作中に取り込まれ、PC36のハード・ディスク・ドライブに格納された「ビデオ」画像であってもよい。「ビデオ」画像は、ダイヤモンドが連続する回転位置で示される動画として提示してもよい。各画像の下にあるのは、数値形式(0から100まで)で棒グラフとして表されている、ブリリアンス、シンチレーション、およびシンメトリーというダイヤモンドの光学特性の測定値である。これらの測定値を算出するためのアルゴリズムについては、以下で説明する。また、これら3つの測定値の平均は、「合計」と標示して提供されて、3つの光学特性の総合的な評価を与える。このため、購入する見込みのある顧客などのユーザは、2回の別々の走査動作で走査した2つのダイヤモンドを、両方が見えるようにPC36の画面上に並べて、ブリリアンス、シンチレーション、およびシンメトリーという光学特性の客観的な測定値に関して比較することができる。
【0041】
コンピュータ・プログラムおよび装置のユーザ制御のために、画面の中央には5つの押しボタンが提示されている。「走査」押しボタンは、コンピュータ・プログラムにダイヤモンド20の走査を開始させるために設けられている。まず、ダイヤモンド20を、テーブル側を下にして軸22を中心に台の上に手で配置する。PC36の画面に表示されたダイヤモンドのライブ画像を観察することにより、これを補助してもよい。次に、ステッパ・モータを制御して、凹面26を「ホーム」位置に回転させ、次いで、一連の回転位置、例えば90°の範囲にわたって2°毎の45の位置それぞれに回転させる。これらの位置それぞれでカメラ30から取り込んだフレームは、後の表示および分析のためにPC36のハード・ディスク・ドライブに格納される。次いで、分析の結果、すなわちブリリアンス、シンチレーション、およびシンメトリーの測定値が表示される。
【0042】
「較正」押しボタンは、システムを較正して、環状光24によって生成される光の強度のばらつきを補償するために設けられている。較正を行うには、凹面26を所定位置に回転させ、角度を付けたミラーを台の上の所定位置に置き、それによりカメラ30が凹面26の既知の部分をとらえるようにする。凹面26の既知の部分は、相対的反射性の領域40および相対的非反射性の領域42を含むことができる。次いで、全画素にわたって光強度レベルを積分して全体の受光強度レベルを求めることにより、カメラ30によって取り込まれた凹面26の既知の部分の画像を分析する。次いで、全体の光強度レベルを使用して、カメラ30の利得および輝度設定を調節する。較正は、一定の間隔で、走査の直前に行うのが好ましい。
【0043】
「カメラ」押しボタンは、カメラのデフォルト設定を変更するために設けられている。「ツール」押しボタンは、a)コンピュータ・プログラムが自動的に宝石の円周を求めるか、あるいは手動によって求めるか、b)手動の場合、それを示すためのユーザ・インタフェース手段を設ける、c)どれくらいの速さで凹面26を回転させるか、d)異なる回転位置で取り込んだ格納したフレームをPC36の画面上に順次表示する頻度などの、コンピュータ・プログラム用のさまざまなオプションを選択するために設けられている。また、「終了」押しボタンは、コンピュータ・プログラムの終了を終えるために設けられている。
【0044】
格納した画像から、ブリリアンス、シンチレーション、およびシンメトリーの3つの評価を算出するために、3つの別々のアルゴリズムが使用される。いずれの場合においても、メイン・コンピュータ・プログラムは、まず、画像を分析してダイヤモンド20の円周およびその中心点を求める。円周を求めるには、まず、異なる回転位置における画像、例えば45枚の画像のすべてにわたり各画素の光強度レベルを合計して、複合画像を得る。次いで、(黒い背景のレベルよりもわずかに高い光レベルを表す)所定の閾値を上回る光強度レベルを有する複合画像の画素をすべて選択する。次いで、選択した画素すべてを含む最小の円を求めて、これをダイヤモンド20の円周として規定する。
【0045】
一旦、ダイヤモンド20の円周および中心を求めたならば、3つのアルゴリズムを実行して、円周内に含まれる画素に関してのみ、円周外の画素は除外して、3つの光学特性の測定値を算出する。図5は、異なる回転位置で取り込んだカット・ダイヤモンドの4つの画像を、ダイヤモンドの円周を規定する円および中心点の印となる十字と共に示している。明るい領域および暗い領域のさまざまな幾何形状パターンが形成され、異なる回転位置で、それらの領域は、相対的に明るいか相対的に暗いかのいずれかとして現れることがわかる。
【0046】
ダイヤモンド20のブリリアンスの評価を算出するためには、ダイヤモンド20の円周内の各画素で、異なる回転位置における格納した画像それぞれについて平均光強度レベル(すなわち輝度)を求める。このため、ダイヤモンド20の円周内にn個の画素があり、異なる回転位置における45枚の画像がある場合、合計で45×n個の画素で光強度レベルを平均化する。これにより、異なる回転位置における全画像でダイヤモンド20の平均光強度レベルがもたらされ、これがダイヤモンド20のブリリアンスの客観的な評価を与える。
【0047】
ダイヤモンド20のシンチレーションの評価を算出するためには、(第1の回転位置で取り込んだ)第1の画像からの画素と、それに対応する(第1の回転位置の1回転ステップ後の第2の回転位置で取り込んだ)第2の画像からの(同じ座標位置における)画素との間の光強度レベル(すなわち輝度)の差を求める。これを、第1および第2の画像におけるダイヤモンド20の円周内の全画素に対して、および、1回転ステップ離れた回転位置で取り込んだ第1および第2の画像のすべての対に対して繰り返す。このため、ダイヤモンド20の円周内にn個の画素があり、異なる回転位置における45枚の画像がある場合、44×nの差が算出される。円周内の全画素に対して、および、1回転ステップ離れた画像のすべての対に対して光強度レベルの絶対的な差が所定の閾値よりも大きくなっている回数を数える。画素対の合計数、44×nに対するこの数の比が、ダイヤモンド20のシンチレーションの客観的な評価を与える。
【0048】
異なる回転位置それぞれにおける格納した画像からなる複合画像に対するダイモンド20のシンメトリーの評価を算出するためには、ダイヤモンド20の円周内の画素を、ダイヤモンド20の中央を中心にして8つのほぼ均等な放射状セクタに分割する。セクタの数は、SRBカット・ダイヤモンドの8回対称性に対応するように選択する。このため、ある画像においてダイヤモンド20の円周内にn個の画素がある場合、各セクタは約n/8個の画素を有する。次いで、ある画像の8つのセクタそれぞれにおける各画素と、それに対応する同じ画像のその他7つのセクタにおける画素(すなわちi×45°回転した対応する画素、ただしi=1〜7)との間の光強度レベル(すなわち輝度)の差を求める。このようにして、(7+6+5+4+3+2+1)×n/8=7×nの差が算出される。次いで、これらの差の絶対値の平均を算出して、ダイヤモンド20のシンメトリーの客観的な評価を得る。
【0049】
本発明のこの実施形態では、シンチレーションを求めるためのものと類似のアルゴリズムを使用して、ダイヤモンド20のファイアの評価を算出することができる。しかし、光強度レベルの差を測定する代わりに、(第1の回転位置で取り込んだ)第1の画像からの画素と、それに対応する(第1の回転位置の1回転ステップ後の第2の回転位置で取り込んだ)第2の画像からの(同じ座標位置における)画素との間の色成分(すなわち赤、緑、および青(RGB))の相対比率の差を求める。これを、第1および第2の画像におけるダイヤモンド20の円周内の全画素に対して、および、1回転ステップ離れた回転位置で取り込んだ第1および第2の画像のすべての対に対して繰り返す。各画素対につき、円周内の全画素に対して、および、1回転ステップ離れた画像のすべての対に対して3つの色成分のいずれかの相対比率の絶対的な差が所定の閾値よりも大きい回数を数える。画素対の合計数に対するこの数の比が、ダイヤモンド20のファイアの客観的な評価を与える。
【0050】
凹面26が上記のように形成されている場合、上記の方法を使用すると改善されたファイアの読み取りが得られる。ファイア測定値が改善される理由は、凹面26上の相対的反射性の領域と相対的非反射性の領域の境界の構成に由来する。すなわち、ダイヤモンドのファセットから反射される色すじ(colour streak)の中の個々の色要素は、凹面26とダイヤモンドの間に相対的な回転がある場合に、ある領域から別の領域へ次第に移動する。凹面の初期のデザインでは、相対的反射性の領域と相対的非反射性の領域と境界は、視軸の平面に可能な限り沿った最小長を使用して形成された。しかし、ダイヤモンドのファセットから反射される光の色要素が凹面26上に位置する角度は、1回の回転運動中、ある領域から別の領域まで移動する多くの色すじ(赤、緑、および青)を生じさせる。すなわち、以前の設計には、大多数の色すじ内の個々の色すべてが、1回の回転運動中にある領域からの別の領域に急に移る(jump)という欠点があり、したがって、白または黒の反応を提供するのみで、正確なファイア測定値は提供しない。
【0051】
図6a〜図6dは、さまざまなカットのダイヤモンドの色すじを示して、色すじが本発明の各種実施形態による反射器の凹面上へ反射される角度を表している。
【0052】
図6aは、「悪い石」であると考えられるダイヤモンドから生じる色すじを示している。図7aは、観察位置の平面に対して、色すじが反射器表面上に位置する角度の分布を示している。色すじの大部分は、任意の特定回転位置で観察平面からプラス5°〜マイナス5°の角度範囲内に位置することがわかる。さらに、より多くの色すじは、観察位置の平面からプラス25°〜マイナス25°の角度範囲内に位置することがわかる。さらに、大多数の色すじは、観察位置の平面からプラス35°〜マイナス35°の角度の間に位置することが示されている。
【0053】
図6bおよび図7bを参照すると、「理想的なカット」のダイヤモンドでは、大多数の色すじは、観察位置の平面からプラス45°〜マイナス45°の角度範囲内に位置することがわかる。
【0054】
図6cおよび図7cを参照すると、「トルコフスキー」カットのダイヤモンドでは、大多数の色すじは、観察位置の平面からプラス45°〜マイナス45°の角度範囲内に位置することがわかる。
【0055】
図6dおよび図7dを参照すると、「フラット・ストーン」カットのダイヤモンドでは、大多数の色すじは、観察位置の平面からプラス35°〜マイナス35°の角度範囲内に位置することがわかる。
【0056】
したがって、1回の回転運動中にある領域から別の領域へ急に完全に移る色すじの数を最小にするために、相対的反射性の領域と相対的非反射性の領域の境界の長さが、少なくとも最小長よりも長い場合に、改善したファイア測定値の読みを得ることができることをこのデータは示している。
【0057】
スクエア、オーバル、ペア、ハート・シェープ、または不規則な形状など、異なる形状および/またはシンメトリーの特定の宝石のカット・パターンの場合、上記のような宝石の周辺部および光学特性のさまざまな測定値を求めるために使用されるアルゴリズムは、特定の宝石のカット・パターンの形状およびシンメトリーを考慮して変更できることが理解されよう。
【0058】
スクエア、オーバル、ペア、ハート・シェープ、または不規則な形状など、異なる形状および/またはシンメトリーの特定の宝石のカット・パターンの場合、凹面26の相対的反射性の領域40および相対的非反射性領域の構成は、特定の宝石のカット・パターンの形状およびシンメトリーを考慮して変更できることが理解されよう。また、凹面26の相対的反射性の領域40および相対的非反射性領域の構成は、判定される特定の特性を考慮して変更できることが理解されよう。例えば、宝石のファイアの評価を求める場合、相対的反射性の領域40は、反射される光のパターンが相対的に狭い山および相対的に広い谷を含むように、軸22を中心に配置される細い放射状の線であることが望ましい。このため、通常、スペクトル的に色を有する光は、白色光によって抑えられることが少なくなり、より可視的になる。
【0059】
代替実施形態では、凹面26を装置内で固定したままとし、その代わりに台を回転させてもよいことが理解されよう。この構成では、取り込まれるダイヤモンド20の画像が回転し、それらの画像を分析する際に追加の処理を考慮する必要がある。第1の回転位置における第1の画像を、異なる第2の回転位置における第2の画像と(さらに、後続の第3、第4、・・・の画像と)比較する場合には、第1および第2の(ならびに後続の)画像の画素が、ダイヤモンド20の同じ1つの領域または複数の領域に対応するように処理を行わなければならない。これを達成するために、第2の(および後続の)画像を、台の回転中心に対応する点を中心としてデジタル的に逆に回転させて、画像内のダイヤモンド20の回転を補正することができる。あるいは、例えばシンチレーションの評価を得るために、第1および第2の(ならびに後続の)画像のうちの選択した画素を比較する場合、台の回転中心に対応する点を中心に逆に回転させた画像の部分に対応するように、第2の(または後続の)画像の画素を選択して、ダイヤモンド20の回転を補正することができる。しかしながら、取り込んだ画像の解像度が制限されているため、どちらの場合も比較の精度が低くなり、台を固定して凹面26を回転させる前述の構成よりもこの構成の方が好ましくない。
【0060】
さらに別の代替実施形態では、凹面26を装置内で固定したままとし、その代わりにカメラ30および台の双方を、単一ステッパ・モータによって、または別々のステッパ・モータによって連係させて回転させてもよいことが理解されよう。この構成は、ダイヤモンド20の画像の回転を補正するための追加の処理を必要としないが、機械的にさらに複雑となり、製造コストを増加させることになる。
【0061】
上述の実施形態では、i)対象軸を有する宝石を、その対象軸が軸22と平行になるように支持し、ii)軸22を中心にして台に対して光のパターンを回転させ、iii)軸22に沿って宝石の画像を取り込むように構成された装置を説明してきたが、本発明はこの3つの軸の特定の構成には限定されないものの、この構成が概ね好ましいということを理解することは重要である。特に、光のパターンと台の間の相対的な回転の軸は、軸22と同一線上にある必要はなく、軸22と平行である必要さえなく(すなわち、装置内に支持された場合の宝石の対象軸に平行な軸から)、および/または画像がそれに沿って取り込まれる軸は、軸22と同一線上にある必要はなく、軸22と平行である必要さえない。さらに、光のパターンと台の間の相対的な回転の軸、および画像がそれに沿って取り込まれる軸は、互いに同一線上にある必要はなく、平行である必要さえない。
【0062】
重要なことは、対象軸を有する宝石が、この対象軸、光のパターンと支持手段との間の相対的な回転の軸、および画像がそれに沿って取り込まれる軸を調整し、それによりi)特定の宝石に対して光のパターンを回転させる場合に、装置が宝石のカット・パターンの形状および/またはシンメトリーを利用することができ、ii)装置が、SRBカット・ダイヤモンドのクラウンの画像などの宝石の画像を取り込むことができ、そこから、宝石の形状および/またはシンメトリーから得られる特徴を観察することができるように装置内で支持されることができることである。例えば、光のパターンと支持手段との間の相対的な回転の軸は、装置の性能の重大な低下を招くことなく、対象軸に対して最大約30°までの入射角度とすることができる。同様に、画像がそれに沿って取り込まれる軸は、装置の性能の重大な低下を招くことなく、対象軸に対して最大約45°までの入射角度とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1a】斜め上から見たスタンダード・ラウンド・ブリリアント・カット・ダイヤモンドの図である。
【図1b】上方から見たスタンダード・ラウンド・ブリリアント・カット・ダイヤモンドの図である。
【図2】本発明による、宝石の特性を判定するためのデータを生成する装置を示す図である。
【図3a】相対的反射性の領域および相対的非反射性の領域の例示的なパターンを有する図2の装置の凹面26を示す図である。
【図3b】相対的反射性の領域および相対的非反射性の領域の例示的なパターンを有する図2の装置の凹面26を示す図である。
【図3c】相対的反射性の領域および相対的非反射性の領域の例示的なパターンを有する図2の装置の凹面26を示す図である。
【図3d】相対的反射性の領域および相対的非反射性の領域の例示的なパターンを有する図2の装置の凹面26を示す図である。
【図4】本発明による、宝石の画像を分析するためのコンピュータ・プログラムのメイン画面のスクリーン・ショットを示す図である。
【図5】異なる回転位置で取り込まれたカット・ダイヤモンドの4枚の画像を示す図である。
【図6a】異なるダイヤモンド・カットのファセットに反射する光の色成分を示す図である。
【図6b】異なるダイヤモンド・カットのファセットに反射する光の色成分を示す図である。
【図6c】異なるダイヤモンド・カットのファセットに反射する光の色成分を示す図である。
【図6d】異なるダイヤモンド・カットのファセットに反射する光の色成分を示す図である。
【図7a】異なるダイヤモンド・カットのファセットに色成分が反射する角度の分布を示すグラフである。
【図7b】異なるダイヤモンド・カットのファセットに色成分が反射する角度の分布を示すグラフである。
【図7c】異なるダイヤモンド・カットのファセットに色成分が反射する角度の分布を示すグラフである。
【図7d】異なるダイヤモンド・カットのファセットに色成分が反射する角度の分布を示すグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、カットされたダイヤモンドなどの宝石の特性を判定するためのデータを生成する電子装置に関する。詳細には、これには限定されないが、本発明は、宝石の複数の画像が分析のために異なる照明条件の下で取り込まれる、宝石の特性を判定するためのデータを生成する電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カットされたダイヤモンドなどの宝石の美しさは、その宝石の光を操る能力によって引き出される。目を引きつけるものは、巧みにカットされたダイヤモンドによって行われる、入射光が宝石の多数のファセット(面)に反射・屈折される「光のゲーム(game of light)」である。ダイヤモンドおよびその他の宝石は、例えばスタンダード・ラウンド・ブリリアント・カット、オーバル、ぺア、マーキス、ラジアント、プリンセス、ハート、エメラルド・カットなどの多くの異なる標準化されたカット・パターンに従ってカットすることができる。最も人気のあるカットは、図1に示すようなスタンダード・ラウンド・ブリリアント(SRB)・カットである。ダイヤモンドのカットおよび研磨は非常に熟練を要する技術であり、優れた光学性能を有する巧みにカットされたダイヤモンドには、貧弱な光学性能を有する粗悪なカットのダイヤモンドよりも高い価格プレミアムが付く。
【0003】
訓練されていない観測者にカット・ダイヤモンドを示す場合には、宝石のカラット重量、クラリティ、カット、およびカラーからなる宝石の4Cを参照することが多い。カラット重量、クラリティ、カット、およびカラーは、客観的に測定することが比較的容易にでき、したがって、一般に有用である。また、カットは、さまざまなファセットの幾何形状に関して特定または測定されてもよい。しかし、本当に重要なのは宝石の光を操る能力であり、宝石のブリリアンス(戻ってくる光の強さ)、シンチレーション(ダイヤモンドが照明条件に対して移動する際の、戻ってくる光のすばやい局所的な揺らぎ)、ファイア(スペクトル色への白色光の分散)、およびシンメトリー(いわゆる「ハート・アンド・アロー(hearts and arrows)」などの光のパターンのシンメトリー)などの、カット・ダイヤモンドのより主観的なパラメータが参照されることが多い。これらの主観的なパラメータを個人で評価することは、特に訓練されていない観測者にとっては困難な場合がある。また、同じカラット重量、クラリティ、およびカラーを有する2個のダイヤモンドの光を操る能力を比較することは困難であり、したがって、なぜ一方が他方よりも高価であるのかを認識することが難しい場合がある。
【0004】
実験観察によるにせよ、理論上のコンピュータ・モデリングによるにせよ、さまざまな照明条件の下でブリリアンス、ファイア、およびシンメトリーなどの特性が求められるべきであるということが認識される。さらに、シンチレーションの特性については、さまざまな照明条件の下でダイヤモンドを観察する、またはモデル化することが不可欠であることは明らかである。分析のために、さまざまな照明条件の下で宝石の画像を取り込む電子装置が知られている。
【0005】
本出願人は以前に、宝石の特性を測定するように設計された装置のために欧州特許出願第EP1319942号を出願した。この出願では、空間的に多様な光のパターンに対して、複数の回転位置で宝石の画像を取り込むことによって宝石の特性が判定されることが記載されている。空間的に多様な光のパターンは、一方が比較的反射性であり、もう一方が比較的非反射性である2つの領域を有する反射器によって生成される。2つの領域間の境界は、宝石の観察がそれに沿って行われる軸と平行な平面内にある。すなわち、2つの領域間の境界の長さは最小長であり、宝石がそれを介して観察される反射器の中心から反射器の最も近い縁部までの直線によって形成される。
【0006】
国際特許公開第WO96/23207号は、分析チャンバ内に配置され、宝石を複数の異なる角度から照明することができるように、軸に沿って移動することができる均一な環状光によって照明される宝石のカラー画像を取り込むデバイスを記載している。このデバイスは、宝石の色を判定するために調整可能な光帯域通過フィルタを使用して取り込まれた画像の分光分析を実行する。また、宝石のデジタル画像を格納、表示、またはデータ網を通じて送信することもできる。
【0007】
米国の企業GemEx Systems,Inc.のウェブサイト(www.gemex.com)は、撮像分光光度計として記述されるBrillianceScope Analyserと呼ばれるデバイスを記載している。ダイヤモンドのカラー画像は、6つの照明角度からなる制御された照明環境において取り込まれ、6つの照明角度のうちの5つは反射光を提供し、6つの照明角度のうちの1つが拡散照明を提供する。次いで、これらの画像を分析して、ダイヤモンドについての報告を作成することができる。BrillianceScope Analyserデバイスは、宝石が分析チャンバ内に配置され、宝石を複数の異なる角度から照明するように、軸に沿って移動することができる均一な環状光によって照明するという点で、前述の国際特許公開第WO96/23207号に記載されているデバイスと同じ原理で動作する。画像はコンピュータによって分析することができ、ダイヤモンドの「白色光」、「有色光」、および「シンチレーション」の特性が判定され、「低」から、「中」、「高」までの3つのラインチャートの目盛り上に表示される。取り込まれた画像を、1つの表示領域内に反復シーケンスで示し、光の移動の効果を与えることもできる。2つの宝石の画像は、比較のために並べて表示させてもよい。
【0008】
国際特許公開第WO99/61890号は、宝石の標準化されたグレーディング用システムを記載している。宝石は、複数の入射光源にさらされ、分析のために画像が取り込まれる。SRBカット・ダイヤモンドなどの宝石の画像は、パビリオンから、クラウンから、および側面からなどのさまざまな視点から取り込むことができる。さまざまな回転位置からのプロファイルおよびカラー画像を取得し、内部のフローおよびインクルージョンを検出するために、宝石は、側面視点からの画像を取り込んでいる際に回転させる回転可能な台によって支持される。宝石の上下から画像を取り込む際には、基準位置からそれぞれ下位置および上位置まで軸に沿って台を移動させる。台を上位置、下位置、基準位置の間で移動させる際には、固定焦点距離カメラも、宝石に焦点を合わせるために軸に沿って移動させる。取り込まれた画像は、カラーの測定値(measurement)と宝石のブリリアンスおよびシンチレーションの評価(measure)とを取得するためにプロセッサによって分析することができる。
【0009】
米国特許第4,900,147号は、ラマン分光法を使用するダイヤモンドの結晶構造をマップするための方法と装置を記載している。
米国特許出願第2332755号は、ブランドマークまたはダイヤモンドの表面の一部を表示するためのブランディング・ビューア(branding viewer)を記載している。
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願第EP1319942号
【特許文献2】国際特許公開第WO96/23207号
【非特許文献1】www.gemex.com
【特許文献3】国際特許公開第WO99/61890号
【特許文献4】米国特許第4,900,147号
【特許文献5】米国特許出願第2332755号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の一目的は、宝石のファイア、ならびにブリリアンス、シンチレーション、およびシンメトリーの改善された判定のためのデータを生成する電子装置を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、2つのダイヤモンド、およびそれらのファイア特性、ならびにブリリアンス、シンチレーション、およびシンメトリーの特性を観測者がより容易に比較できるようにする電子装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、人間の目で認知可能なカット・ダイヤモンドなどの宝石の視覚特性を判定する際に使用する画像データを生成する装置が提供され、この装置は、観察位置に配置される宝石を支持するための支持構造体であって、対称軸が観察位置を通過する軸Xと平行になるように、対称軸を有する宝石を支持することができる支持構造体と、そのように配置された宝石を空間的に多様な光のパターンによって照明するよう構成された照明手段と、概ね軸Xを中心に光のパターンと支持構造体との間に相対的な回転を生じさせるように構成された回転手段と、宝石によって戻される光の電子画像を取り込み、画像データとして前記画像を出力するように構成されたカメラと、カメラが、支持構造体の複数の異なる回転位置それぞれにおける光のパターンに対する前記相対的な回転中に、概ね軸Xに沿って宝石の電子画像を取り込むように、回転手段およびカメラを制御するように構成された制御手段とを備え、照明手段が、概ね宝石の方へ光を反射するように構成された凹面を有する反射器を備え、凹面が、少なくとも1つの比較的反射性の領域および少なくとも1つの比較的非反射性の領域を有し、それにより前記光のパターンを生成する、装置であって、比較的反射性の領域と比較的非反射性の領域の境界の長さが、最小長よりも長いことを特徴とする。
【0014】
宝石の対称軸を中心に、支持される宝石に対して空間的に多様な光のパターンを回転させ、複数の回転位置で画像を取り込むことによって、この装置は特に、SRBカット・ダイヤモンドなどの、放射状に対称のカット・パターンを有するカットされた宝石の特性を判定するように適合されている。宝石のいずれかの特定空間領域に戻される光の色成分比率は、回転運動に影響されやすい。このため、ファイアが、より容易に、正確に、そして客観的に測定可能である。
【0015】
好ましい実施形態では、光のパターンが、少なくとも1つの比較的明るい領域および少なくとも1つの比較的暗い領域を含み、これらの領域は軸Xを中心に放射状に配置されている。好ましくは、光のパターンは、軸Xを中心に概ね対称形である。また好ましくは、光のパターンは、4回対称性または8回対称性などのn回対称性を有する。ここで、nはsの整数倍数または因数であり、標準化された宝石のカットはs回対称性を有する。
【0016】
したがって、宝石を照明する光のパターンは、特定の形状および特定の配列の放射状に対称のファセットを有するSRBカットなどの特定の宝石カット・パターンに密接に対応し、その結果、取り込まれる画像は、回転運動に対する感度がより高まって、宝石のいずれかの特定の空間領域に戻る光の色成分比率がより卓越したものとなる。これにより、ファイアが、より容易に、正確に、そして客観的に測定可能となる。宝石を照明する光のパターンは、例えば指輪などの宝飾品の部材に取り付けられた場合に、通常の日常使用で宝石を照明することになる光をより現実的に模したものである。従来技術の手法の場合では、光は通常、ダイヤモンドの対称軸周辺で均一ではなく、対称軸からの狭い角度範囲でのみ入射する。その代わりに、本発明の場合では、光は通常、ダイヤモンドの対称軸からの広い角度範囲で入射し、対称軸周辺で均一ではない。
【0017】
その他の好ましい実施形態では、概ね軸Xを中心に前記装置に反射器が回転可能に取り付けられ、これにより、概ね軸Xを中心とする光のパターンと支持構造体との相対的な回転が可能となる。あるいは、概ね軸Xを中心に前記装置に支持構造体が回転可能に取り付けられ、これにより、概ね軸Xを中心とする光のパターンと支持構造体との相対的な回転が可能となる。好ましくは、照明手段は、凹面に向けて光を発するよう構成された環状光源と、光が直接宝石に達するのを防止するように構成された環状バッフルとを備える。
【0018】
したがって、この装置は、単一の静止光源、および支持される宝石に対する光のパターンの回転を可能にする回転可能な反射器または回転可能な支持構造体のみを必要とし、これにより、機構がより簡略化されると同時に、サイズ、重量、および製造コストが削減される。
【0019】
また、この装置は、前記電子画像のうちの2枚に対応する画像データを使用して、第1の回転位置で取り込んだ第1の画像の1つ以上の画素の色成分の比率を、第1の回転位置とは異なる第2の回転位置で取り込んだ第2の画像の1つ以上の画素の色成分の比率と比較することによって、宝石のファイアの評価を求めるように構成されたデータ処理デバイスを備えることもでき、第1の画像の前記1つ以上の画素は、第2の画像の前記1つ以上の画素と同じ宝石の1つの領域または複数の領域に対応している。
【0020】
したがって、空間的に変化のある光のパターンの異なる回転位置で得られた複数の画像からのデータを使用して、ファイアの客観的な測定を改善することが可能となる。クラウンに32面の異なる角度のファセットを有し、パビリオンに24面の異なる角度のファセットを有するSRBカットなどの、多くの放射状ファセットのあるカット・パターンを有するカットされた宝石の場合、特に、戻ってきた光の色成分の比率は、光源の入射角の変動よりも、宝石に対する光のパターンの回転運動の方に大きく影響されるので、ファイアをより正確に測定することができる。
【0021】
装置が小型、軽量で、費用のかからない構成であるため、購入する見込みのある顧客がいる宝石店などの店舗で、宝石の分析および比較を行うことができる。
【0022】
本発明のさらに別の態様および特徴は、添付の特許請求の範囲において述べられ、さらに別の利点は、例としてのみ与えられる以下の説明から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1aおよび図1bは、スタンダード・ラウンド・ブリリアント(SRB)・ダイヤモンドの幾何形状を示している。図1aは、斜め上から見たからダイヤモンドを示している。ダイヤモンドの最も上のドーム形部分は、クラウン10として知られている。ダイヤモンドの最も下の円錐部分は、パビリオン12として知られている。クラウン10の頂部の中心にあるのは、テーブル14として知られている比較的大きいファセットである。パビリオン12の最も下の箇所は、キューレット16として知られている。図1bは、上方より、テーブル14の中心からキューレット16を通る軸に沿って見たSRBダイヤモンドを示している。SRBカット・ダイヤモンドのクラウン10には、テーブル14を含めずに32面のファセットがあり、パビリオンには、キューレット16を含めずに24面のファセットがある。SRBカット・ダイヤモンドの放射状のファセット(合計56面にテーブルの1面およびキューレットの1面が加わる)は、テーブル14の中央およびキューレット16を通る軸を中心に8回対称性を有することがわかる。
【0024】
図2は、本発明による宝石の特性を判定するためのデータを生成する装置の断面図を示している。カット・ダイヤモンド20などの宝石は、そのテーブル側の面を下にして、台(図示せず)上の観察位置に配置される。台は、装置内に配置された一定の厚さの光学的に透明なガラス平面であるので、装置が水平位置にある場合、台もほぼ水平になる。台には、ぎらつきを抑えるために、反射防止コーティングを被覆し、下に小さな環を設けることができる。装置は、外部光がダイヤモンド20に達するのを防止し、埃が機械部品および光学部品に侵入するのを防止する筐体(図示せず)内に載置される。筐体は、測定する宝石を配置し取り出すための進入用蓋を台の上に有する。実質的に少しの光も、宝石または台の方へ蓋または筐体から反射されて戻らないように、台の領域より上の筐体および蓋の内面は、非反射性材料で被覆される。
【0025】
ダイヤモンド20は、蛍光灯の光またはハロゲン光などの環状光24によって照明される。環状光24は、日光と同等の周波数の可視光を発する。適切な環状光は、5500°Kの色温度を有するWhite 5500HC蛍光リング・ライトを用いるStocker and Yale社の顕微鏡照明器であり、この蛍光リング・ライトは北昼光に近い光を発生させる。環状光24からの光は、環状光24とダイヤモンド20の間に配置された環状バッフル28によって、直接ダイヤモンド20に達しないようにされている。しかしながら、環状光24からの光は、反射器の凹面26に反射し、概ねダイヤモンド20の方へ向かう。反射器は、シェルの内面が凹面26となっている、観察位置を中心とする半球形シェルとすることができる。
【0026】
凹面26が台に対して垂直な軸22を中心にして回転可能であるように、またダイヤモンド20が観察位置に配置される場合に、ダイヤモンド20のテーブルおよびキューレットの中心が軸22に沿ってほぼ位置するように、反射器が装置内に載置される。環状光24および環状バッフル28は固定されており、それらも軸22に対して垂直、かつ軸22が中心となるように装置内に配置される。軸22を中心にして反射器および凹面26を回転させるために、ステッパ・モータ(図示せず)が設けられる。
【0027】
反射器および凹面26が軸22と交わるそれらの底部には、のぞき穴34がある。電荷結合デバイス(CCD)センサ・アレイ、または相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサ・アレイを有し、パーソナル・コンピュータ(PC)によって制御可能なデジタル・カメラが、軸22に沿ってダイヤモンド20の画像を取り込むことができるように装置内に配置される。このカメラは、固定された焦点距離と、少なくとも640×480の解像度と、少なくとも1つの画像を格納可能なメモリと、取り込んだ画像データをPCなどの外部のデバイスに転送するために、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)、RS422パラレル・ポート、またはIEEE1394「Firewire」規格などの規格に適合したデータ通信インタフェースとを有するカラー・カメラである。カメラは、ダイヤモンド20が配置される台の最上面が形成する平面に合焦し、測定されることが当然予測される最大サイズの宝石の鮮明な画像を取り込めるように、適切な被写界深度を有する。装置内には、光学的に透明なミラー32を配置することができ、したがってカメラ30とダイヤモンド20の間の光路が直線である必要はなくなり、それによって装置をさらに小型化することが可能となる。適切なデジタルCCDカメラは、640×480の解像度を有するUnibrain Fire−i Digital CCDカラー・カメラ、または同様の解像度を有するUnibrain Fire−i400 Industrial versionである。適切なデジタルCMOSカメラは、2056×1560の最大解像度を有し、1画素当たり12ビットの色深度を有するSilicon Imaging MegaCamera SI−3170 RGBカメラである。
【0028】
光24、バッフル28、凹面26を有する反射器、ミラー32、ステッパ・モータ、カメラ30、および筐体を含むが、PCは含まないこの装置は、サイズが小さく(約123mm×112mm×200mmの寸法を有する)、軽量(約3.875kg)である。
【0029】
カメラ30およびステッパ・モータは、PC36に接続されており、PC36によって制御可能である。PC36は、Intel Pentium(登録商標) III中央演算処理装置(CPU)、128メガバイトのメモリ、LCDパネル・スクリーン、および10ギガバイトのハード・ディスク・ドライブを有するラップトップまたはノートブック・コンピュータなどの携帯型PCであってもよい。PC36は、カメラおよびステッパ・モータに接続するためのUSBポート、パラレル・ポート、および/またはIEEE1394「Firewire」ポートを有し、フレーム取り込み用の2Dビデオ処理チップセットを有する。以下でより詳細に説明するように、適切なコンピュータ・プログラムにより、PC36は、ステッパ・モータを制御して一連の所定の回転位置を通じて凹面26を回転させる。また、PC36は、凹面26の一連の回転位置の各々で画像を格納することができるように、カメラ30を制御して適切なフレーム・レートでダイヤモンド20の画像を取り込む。カメラ30で取り込んだ画像データは、表示および分析のために、ビットマップまたはその他の適切な画像ファイル形式の形でPC36に転送される。画像データは、連続的なライブ画像供給としてPC36に送信される。
【0030】
凹面26を回転させる角度の範囲は、凹面26で反射する光のパターンのシンメトリーに依存する。例えば、4回対称性を有する光のパターンの場合、凹面26を90°の範囲で回転させながら、複数の回転位置で画像を取り込む。この範囲内で、分析に用いるために異なる回転位置で取り込む画像数は、測定する宝石のカット・パターン、または測定する可能性の高い、最もファセットが形成された宝石のカット・パターンに依存する。一般に、画像数は、凹面26が回転する範囲内にある異なる角度のファセット数の少なくとも4倍とすべきである。このため、クラウンおよびパビリオンに異なる角度の32面のファセットを有し、したがって、90°の範囲内に異なる角度の8面のファセットを有するSRBカット・ダイヤモンドの場合、90°の範囲にわたって少なくとも32枚の画像(4×8)を取り込むべきである。一般的な目的のためには、取り込むべき画像の概ね適切な数は45枚であることがわかっている。このため、凹面26は、90°の範囲にわたって2°ずつ回転させる。宝石のカット・パターン、必要な測定の精度、およびPC36の処理能力に見合うように、より多数の画像またはより少数の画像を使用してもよいことが理解されよう。
【0031】
図3aおよび図3bは、軸22に沿ってダイヤモンドの観察位置から見下ろした凹面26を示している。凹面26は、表面に相対的(比較的)反射性の材料と相対的(比較的)非反射性の材料とを被覆することによって形成した、複数の相対的反射性の領域40と相対的非反射性の領域42とを有する。
【0032】
図3aは、領域40および42の一構成を示しており、この構成では、凹面26は、軸22を中心にして配置された均等な8つのセクタに分割され、それらは交互に、相対的反射性と相対的非反射性になっている。凹面上の相対的反射性のセクタと相対的非反射性のセクタの境界は、最小長よりも長い。すなわち、本実施形態では、境界は、境界経路に沿って一定の角度で凹面26の中心から外に延びる螺旋として形成される。したがって、平面が観察位置全体にわたって位置する回転中の各箇所で、平面と境界の角度は、本実施形態では、プラス45°〜マイナス45°の範囲にある。平面と境界の角度がプラス35°〜マイナス35°の範囲、またはプラス25°〜マイナス25°の範囲にある別の例を使用することもできる。これにより、凹面26上の相対的反射性の領域と相対的非反射性の領域と境界に沿って境界の長さが長くなる。
【0033】
図3bは、相対的反射性の領域と相対的非反射性の領域と境界の異なる構成を示している。この構成では、境界は、図3aの螺旋(または渦巻き)を境界の長さ全体にわたって前後に8回折り返すことによって形成されている。
【0034】
図3cは、凹面26上の相対的反射性の領域と相対的非反射性の領域の境界のさらに別の構成を示している。この構成では、図3bに示した不連続の数が減らされて、螺旋(または渦巻き)が5回だけ前後に折り返されている。
【0035】
相対的反射性の領域と相対的非反射性の領域の境界の形を大幅に変更できることが理解されるであろうが、相対的反射性の領域と相対的非反射性の領域の境界の長さを最小長よりも長くすることが重要な側面であるということを忘れてはならない。
【0036】
図3dは、領域40、42のさらに別の構成を有する図3aの改変型を示しており、この構成では、凹面26が、軸22を中心にして配置された、交互に相対的反射性の領域と相対的非反射性の領域になっている均等な16のセクタに分割されている。図3a〜図3cの領域40および42それぞれの構成は、軸22を中心に4回対称性を有するのに対して、図3dの領域40および42それぞれの構成は、軸22を中心に8回対称性を有することがわかる。図3dの8回対称性は、図3bおよび図3cの構成にも適用することができる。また、相対的反射性の領域40および相対的非反射性の領域42のその他の構成も、本発明の範囲内で想定される。例えば、相対的反射性の領域と相対的非反射性の領域の境界は、まっすぐなジグザグ、湾曲したジグザグ、またはそれらの組み合わせなどの他のパターンから形成することができる。凹面26は、マット仕上げを有していてもよい。
【0037】
装置の動作中、凹面26で反射して観察位置にあるダイヤモンド20へ向かう光は、相対的反射性の領域40および相対的非反射性の領域42の構成によって決定される空間的に多様なパターンを有していることがわかる。具体的には、台の平面で観察される光のパターンは、この構成に対応する光強度の一連の放射状の山および谷を有する。このため、図3aの構成の場合、光のパターンは4つの放射状の山ラインおよび4つの放射状の谷ラインを有する。同様に、図3bの構成の場合、光のパターンは、8つの放射状の山および8つの放射状の谷を有する。さらに、テーブル側を下にして台の上に置いたダイヤモンド20の場合には、日常使用のためにダイヤモンドが指輪およびその他の宝飾品に取り付けられている場合に主に生じるように、光は、軸22に対して広範囲の入射角で概ねクラウンに向かって反射する。
【0038】
相対的反射性の領域40および相対的非反射性の領域42の特定の構成の選択は、ダイヤモンド20の標準化されたカットに依存する。例えば、前述のようにSRBカットのダイヤモンドが8回対称性を有すると、領域40および42の適切な構成は、4つの相対的反射性のセクタ40と4つの相対的非反射性のセクタ42の合計8つのセクタがある図3aに示すようなものとなるであろう。このため、宝石の(45°の)隣接する対称的なセクタが、隣接する山および谷を有する(45°の)対応する放射状光のパターンセクタを受けるという点で、4つの放射状の山および4つの放射状の谷を有する凹面26の光のパターンの反射は、カットされた宝石のシンメトリーに対応する。凹面26を90°にわたって回転させると、台の平面において軸Xを中心とする任意の放射状線で観察される光の強度は、単一の山および単一の谷を有する完全な単一のサイクルを経過する。
【0039】
PC36は、Microsoft社のWindows(登録商標) XPなどの標準的なオペレーティング・システムを実行することができる。また、PC36は、ステッパ・モータを制御して凹面26を回転させ、カメラ30を制御してそれぞれの所定の回転位置でのダイヤモンド20の画像、例えば合計90°の範囲にわたって2°ずつ回転させながら撮影した45枚の画像を取り込んでPC36に転送するように構成されたコンピュータ・プログラムも実行する。ステッパ・モータの制御は、Motorola社のMC 3479ステッパ・モータ・コントローラなどの従来のステッパ・モータ制御回路を使用してPC36とステッパ・モータとの間をインタフェースし、PC36上で対応するプログラム要素を実行してデジタル制御信号をステッパ・モータ制御回路に送信することによって達成される。カメラ30の制御は、カメラの内蔵制御インタフェースを使用し、PC36上で対応するプログラム要素を実行してデジタル制御信号をカメラ30に送信することによって達成される。
【0040】
ステッパ・モータおよびカメラ30を制御するプログラム要素は、それら自体がPC36上で実行するメイン・コンピュータ・プログラムの制御下にあり、ユーザ・インタフェースを介してユーザ命令を受信して、一連のダイヤモンド20の画像を取り込み、カメラ30からPC36へと転送して、さまざまなアルゴリズムを使用して画像を分析して、ダイヤモンド20の光学特性の測定値を取得し、PC36の画面上に画像を表示することができる。図4は、コンピュータ・プログラムのメイン・メニュー画面のスクリーン・ショットを示している。メイン・メニュー画面の右側および左側にあるのは、別々の走査動作で取り込まれた2つの異なるダイヤモンドの画像である。メイン・メニュー画面の右側または左側のダイヤモンド画像は、カメラ30によって現在取り込んでいる「ライブ」画像であってもよく、以前に走査動作中に取り込まれ、PC36のハード・ディスク・ドライブに格納された「ビデオ」画像であってもよい。「ビデオ」画像は、ダイヤモンドが連続する回転位置で示される動画として提示してもよい。各画像の下にあるのは、数値形式(0から100まで)で棒グラフとして表されている、ブリリアンス、シンチレーション、およびシンメトリーというダイヤモンドの光学特性の測定値である。これらの測定値を算出するためのアルゴリズムについては、以下で説明する。また、これら3つの測定値の平均は、「合計」と標示して提供されて、3つの光学特性の総合的な評価を与える。このため、購入する見込みのある顧客などのユーザは、2回の別々の走査動作で走査した2つのダイヤモンドを、両方が見えるようにPC36の画面上に並べて、ブリリアンス、シンチレーション、およびシンメトリーという光学特性の客観的な測定値に関して比較することができる。
【0041】
コンピュータ・プログラムおよび装置のユーザ制御のために、画面の中央には5つの押しボタンが提示されている。「走査」押しボタンは、コンピュータ・プログラムにダイヤモンド20の走査を開始させるために設けられている。まず、ダイヤモンド20を、テーブル側を下にして軸22を中心に台の上に手で配置する。PC36の画面に表示されたダイヤモンドのライブ画像を観察することにより、これを補助してもよい。次に、ステッパ・モータを制御して、凹面26を「ホーム」位置に回転させ、次いで、一連の回転位置、例えば90°の範囲にわたって2°毎の45の位置それぞれに回転させる。これらの位置それぞれでカメラ30から取り込んだフレームは、後の表示および分析のためにPC36のハード・ディスク・ドライブに格納される。次いで、分析の結果、すなわちブリリアンス、シンチレーション、およびシンメトリーの測定値が表示される。
【0042】
「較正」押しボタンは、システムを較正して、環状光24によって生成される光の強度のばらつきを補償するために設けられている。較正を行うには、凹面26を所定位置に回転させ、角度を付けたミラーを台の上の所定位置に置き、それによりカメラ30が凹面26の既知の部分をとらえるようにする。凹面26の既知の部分は、相対的反射性の領域40および相対的非反射性の領域42を含むことができる。次いで、全画素にわたって光強度レベルを積分して全体の受光強度レベルを求めることにより、カメラ30によって取り込まれた凹面26の既知の部分の画像を分析する。次いで、全体の光強度レベルを使用して、カメラ30の利得および輝度設定を調節する。較正は、一定の間隔で、走査の直前に行うのが好ましい。
【0043】
「カメラ」押しボタンは、カメラのデフォルト設定を変更するために設けられている。「ツール」押しボタンは、a)コンピュータ・プログラムが自動的に宝石の円周を求めるか、あるいは手動によって求めるか、b)手動の場合、それを示すためのユーザ・インタフェース手段を設ける、c)どれくらいの速さで凹面26を回転させるか、d)異なる回転位置で取り込んだ格納したフレームをPC36の画面上に順次表示する頻度などの、コンピュータ・プログラム用のさまざまなオプションを選択するために設けられている。また、「終了」押しボタンは、コンピュータ・プログラムの終了を終えるために設けられている。
【0044】
格納した画像から、ブリリアンス、シンチレーション、およびシンメトリーの3つの評価を算出するために、3つの別々のアルゴリズムが使用される。いずれの場合においても、メイン・コンピュータ・プログラムは、まず、画像を分析してダイヤモンド20の円周およびその中心点を求める。円周を求めるには、まず、異なる回転位置における画像、例えば45枚の画像のすべてにわたり各画素の光強度レベルを合計して、複合画像を得る。次いで、(黒い背景のレベルよりもわずかに高い光レベルを表す)所定の閾値を上回る光強度レベルを有する複合画像の画素をすべて選択する。次いで、選択した画素すべてを含む最小の円を求めて、これをダイヤモンド20の円周として規定する。
【0045】
一旦、ダイヤモンド20の円周および中心を求めたならば、3つのアルゴリズムを実行して、円周内に含まれる画素に関してのみ、円周外の画素は除外して、3つの光学特性の測定値を算出する。図5は、異なる回転位置で取り込んだカット・ダイヤモンドの4つの画像を、ダイヤモンドの円周を規定する円および中心点の印となる十字と共に示している。明るい領域および暗い領域のさまざまな幾何形状パターンが形成され、異なる回転位置で、それらの領域は、相対的に明るいか相対的に暗いかのいずれかとして現れることがわかる。
【0046】
ダイヤモンド20のブリリアンスの評価を算出するためには、ダイヤモンド20の円周内の各画素で、異なる回転位置における格納した画像それぞれについて平均光強度レベル(すなわち輝度)を求める。このため、ダイヤモンド20の円周内にn個の画素があり、異なる回転位置における45枚の画像がある場合、合計で45×n個の画素で光強度レベルを平均化する。これにより、異なる回転位置における全画像でダイヤモンド20の平均光強度レベルがもたらされ、これがダイヤモンド20のブリリアンスの客観的な評価を与える。
【0047】
ダイヤモンド20のシンチレーションの評価を算出するためには、(第1の回転位置で取り込んだ)第1の画像からの画素と、それに対応する(第1の回転位置の1回転ステップ後の第2の回転位置で取り込んだ)第2の画像からの(同じ座標位置における)画素との間の光強度レベル(すなわち輝度)の差を求める。これを、第1および第2の画像におけるダイヤモンド20の円周内の全画素に対して、および、1回転ステップ離れた回転位置で取り込んだ第1および第2の画像のすべての対に対して繰り返す。このため、ダイヤモンド20の円周内にn個の画素があり、異なる回転位置における45枚の画像がある場合、44×nの差が算出される。円周内の全画素に対して、および、1回転ステップ離れた画像のすべての対に対して光強度レベルの絶対的な差が所定の閾値よりも大きくなっている回数を数える。画素対の合計数、44×nに対するこの数の比が、ダイヤモンド20のシンチレーションの客観的な評価を与える。
【0048】
異なる回転位置それぞれにおける格納した画像からなる複合画像に対するダイモンド20のシンメトリーの評価を算出するためには、ダイヤモンド20の円周内の画素を、ダイヤモンド20の中央を中心にして8つのほぼ均等な放射状セクタに分割する。セクタの数は、SRBカット・ダイヤモンドの8回対称性に対応するように選択する。このため、ある画像においてダイヤモンド20の円周内にn個の画素がある場合、各セクタは約n/8個の画素を有する。次いで、ある画像の8つのセクタそれぞれにおける各画素と、それに対応する同じ画像のその他7つのセクタにおける画素(すなわちi×45°回転した対応する画素、ただしi=1〜7)との間の光強度レベル(すなわち輝度)の差を求める。このようにして、(7+6+5+4+3+2+1)×n/8=7×nの差が算出される。次いで、これらの差の絶対値の平均を算出して、ダイヤモンド20のシンメトリーの客観的な評価を得る。
【0049】
本発明のこの実施形態では、シンチレーションを求めるためのものと類似のアルゴリズムを使用して、ダイヤモンド20のファイアの評価を算出することができる。しかし、光強度レベルの差を測定する代わりに、(第1の回転位置で取り込んだ)第1の画像からの画素と、それに対応する(第1の回転位置の1回転ステップ後の第2の回転位置で取り込んだ)第2の画像からの(同じ座標位置における)画素との間の色成分(すなわち赤、緑、および青(RGB))の相対比率の差を求める。これを、第1および第2の画像におけるダイヤモンド20の円周内の全画素に対して、および、1回転ステップ離れた回転位置で取り込んだ第1および第2の画像のすべての対に対して繰り返す。各画素対につき、円周内の全画素に対して、および、1回転ステップ離れた画像のすべての対に対して3つの色成分のいずれかの相対比率の絶対的な差が所定の閾値よりも大きい回数を数える。画素対の合計数に対するこの数の比が、ダイヤモンド20のファイアの客観的な評価を与える。
【0050】
凹面26が上記のように形成されている場合、上記の方法を使用すると改善されたファイアの読み取りが得られる。ファイア測定値が改善される理由は、凹面26上の相対的反射性の領域と相対的非反射性の領域の境界の構成に由来する。すなわち、ダイヤモンドのファセットから反射される色すじ(colour streak)の中の個々の色要素は、凹面26とダイヤモンドの間に相対的な回転がある場合に、ある領域から別の領域へ次第に移動する。凹面の初期のデザインでは、相対的反射性の領域と相対的非反射性の領域と境界は、視軸の平面に可能な限り沿った最小長を使用して形成された。しかし、ダイヤモンドのファセットから反射される光の色要素が凹面26上に位置する角度は、1回の回転運動中、ある領域から別の領域まで移動する多くの色すじ(赤、緑、および青)を生じさせる。すなわち、以前の設計には、大多数の色すじ内の個々の色すべてが、1回の回転運動中にある領域からの別の領域に急に移る(jump)という欠点があり、したがって、白または黒の反応を提供するのみで、正確なファイア測定値は提供しない。
【0051】
図6a〜図6dは、さまざまなカットのダイヤモンドの色すじを示して、色すじが本発明の各種実施形態による反射器の凹面上へ反射される角度を表している。
【0052】
図6aは、「悪い石」であると考えられるダイヤモンドから生じる色すじを示している。図7aは、観察位置の平面に対して、色すじが反射器表面上に位置する角度の分布を示している。色すじの大部分は、任意の特定回転位置で観察平面からプラス5°〜マイナス5°の角度範囲内に位置することがわかる。さらに、より多くの色すじは、観察位置の平面からプラス25°〜マイナス25°の角度範囲内に位置することがわかる。さらに、大多数の色すじは、観察位置の平面からプラス35°〜マイナス35°の角度の間に位置することが示されている。
【0053】
図6bおよび図7bを参照すると、「理想的なカット」のダイヤモンドでは、大多数の色すじは、観察位置の平面からプラス45°〜マイナス45°の角度範囲内に位置することがわかる。
【0054】
図6cおよび図7cを参照すると、「トルコフスキー」カットのダイヤモンドでは、大多数の色すじは、観察位置の平面からプラス45°〜マイナス45°の角度範囲内に位置することがわかる。
【0055】
図6dおよび図7dを参照すると、「フラット・ストーン」カットのダイヤモンドでは、大多数の色すじは、観察位置の平面からプラス35°〜マイナス35°の角度範囲内に位置することがわかる。
【0056】
したがって、1回の回転運動中にある領域から別の領域へ急に完全に移る色すじの数を最小にするために、相対的反射性の領域と相対的非反射性の領域の境界の長さが、少なくとも最小長よりも長い場合に、改善したファイア測定値の読みを得ることができることをこのデータは示している。
【0057】
スクエア、オーバル、ペア、ハート・シェープ、または不規則な形状など、異なる形状および/またはシンメトリーの特定の宝石のカット・パターンの場合、上記のような宝石の周辺部および光学特性のさまざまな測定値を求めるために使用されるアルゴリズムは、特定の宝石のカット・パターンの形状およびシンメトリーを考慮して変更できることが理解されよう。
【0058】
スクエア、オーバル、ペア、ハート・シェープ、または不規則な形状など、異なる形状および/またはシンメトリーの特定の宝石のカット・パターンの場合、凹面26の相対的反射性の領域40および相対的非反射性領域の構成は、特定の宝石のカット・パターンの形状およびシンメトリーを考慮して変更できることが理解されよう。また、凹面26の相対的反射性の領域40および相対的非反射性領域の構成は、判定される特定の特性を考慮して変更できることが理解されよう。例えば、宝石のファイアの評価を求める場合、相対的反射性の領域40は、反射される光のパターンが相対的に狭い山および相対的に広い谷を含むように、軸22を中心に配置される細い放射状の線であることが望ましい。このため、通常、スペクトル的に色を有する光は、白色光によって抑えられることが少なくなり、より可視的になる。
【0059】
代替実施形態では、凹面26を装置内で固定したままとし、その代わりに台を回転させてもよいことが理解されよう。この構成では、取り込まれるダイヤモンド20の画像が回転し、それらの画像を分析する際に追加の処理を考慮する必要がある。第1の回転位置における第1の画像を、異なる第2の回転位置における第2の画像と(さらに、後続の第3、第4、・・・の画像と)比較する場合には、第1および第2の(ならびに後続の)画像の画素が、ダイヤモンド20の同じ1つの領域または複数の領域に対応するように処理を行わなければならない。これを達成するために、第2の(および後続の)画像を、台の回転中心に対応する点を中心としてデジタル的に逆に回転させて、画像内のダイヤモンド20の回転を補正することができる。あるいは、例えばシンチレーションの評価を得るために、第1および第2の(ならびに後続の)画像のうちの選択した画素を比較する場合、台の回転中心に対応する点を中心に逆に回転させた画像の部分に対応するように、第2の(または後続の)画像の画素を選択して、ダイヤモンド20の回転を補正することができる。しかしながら、取り込んだ画像の解像度が制限されているため、どちらの場合も比較の精度が低くなり、台を固定して凹面26を回転させる前述の構成よりもこの構成の方が好ましくない。
【0060】
さらに別の代替実施形態では、凹面26を装置内で固定したままとし、その代わりにカメラ30および台の双方を、単一ステッパ・モータによって、または別々のステッパ・モータによって連係させて回転させてもよいことが理解されよう。この構成は、ダイヤモンド20の画像の回転を補正するための追加の処理を必要としないが、機械的にさらに複雑となり、製造コストを増加させることになる。
【0061】
上述の実施形態では、i)対象軸を有する宝石を、その対象軸が軸22と平行になるように支持し、ii)軸22を中心にして台に対して光のパターンを回転させ、iii)軸22に沿って宝石の画像を取り込むように構成された装置を説明してきたが、本発明はこの3つの軸の特定の構成には限定されないものの、この構成が概ね好ましいということを理解することは重要である。特に、光のパターンと台の間の相対的な回転の軸は、軸22と同一線上にある必要はなく、軸22と平行である必要さえなく(すなわち、装置内に支持された場合の宝石の対象軸に平行な軸から)、および/または画像がそれに沿って取り込まれる軸は、軸22と同一線上にある必要はなく、軸22と平行である必要さえない。さらに、光のパターンと台の間の相対的な回転の軸、および画像がそれに沿って取り込まれる軸は、互いに同一線上にある必要はなく、平行である必要さえない。
【0062】
重要なことは、対象軸を有する宝石が、この対象軸、光のパターンと支持手段との間の相対的な回転の軸、および画像がそれに沿って取り込まれる軸を調整し、それによりi)特定の宝石に対して光のパターンを回転させる場合に、装置が宝石のカット・パターンの形状および/またはシンメトリーを利用することができ、ii)装置が、SRBカット・ダイヤモンドのクラウンの画像などの宝石の画像を取り込むことができ、そこから、宝石の形状および/またはシンメトリーから得られる特徴を観察することができるように装置内で支持されることができることである。例えば、光のパターンと支持手段との間の相対的な回転の軸は、装置の性能の重大な低下を招くことなく、対象軸に対して最大約30°までの入射角度とすることができる。同様に、画像がそれに沿って取り込まれる軸は、装置の性能の重大な低下を招くことなく、対象軸に対して最大約45°までの入射角度とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1a】斜め上から見たスタンダード・ラウンド・ブリリアント・カット・ダイヤモンドの図である。
【図1b】上方から見たスタンダード・ラウンド・ブリリアント・カット・ダイヤモンドの図である。
【図2】本発明による、宝石の特性を判定するためのデータを生成する装置を示す図である。
【図3a】相対的反射性の領域および相対的非反射性の領域の例示的なパターンを有する図2の装置の凹面26を示す図である。
【図3b】相対的反射性の領域および相対的非反射性の領域の例示的なパターンを有する図2の装置の凹面26を示す図である。
【図3c】相対的反射性の領域および相対的非反射性の領域の例示的なパターンを有する図2の装置の凹面26を示す図である。
【図3d】相対的反射性の領域および相対的非反射性の領域の例示的なパターンを有する図2の装置の凹面26を示す図である。
【図4】本発明による、宝石の画像を分析するためのコンピュータ・プログラムのメイン画面のスクリーン・ショットを示す図である。
【図5】異なる回転位置で取り込まれたカット・ダイヤモンドの4枚の画像を示す図である。
【図6a】異なるダイヤモンド・カットのファセットに反射する光の色成分を示す図である。
【図6b】異なるダイヤモンド・カットのファセットに反射する光の色成分を示す図である。
【図6c】異なるダイヤモンド・カットのファセットに反射する光の色成分を示す図である。
【図6d】異なるダイヤモンド・カットのファセットに反射する光の色成分を示す図である。
【図7a】異なるダイヤモンド・カットのファセットに色成分が反射する角度の分布を示すグラフである。
【図7b】異なるダイヤモンド・カットのファセットに色成分が反射する角度の分布を示すグラフである。
【図7c】異なるダイヤモンド・カットのファセットに色成分が反射する角度の分布を示すグラフである。
【図7d】異なるダイヤモンド・カットのファセットに色成分が反射する角度の分布を示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の目で認知可能なカット・ダイヤモンドなどの宝石[20]の視覚特性を判定する際に使用する画像データを生成する装置において、
観察位置に配置される宝石を支持するための支持構造体であって、対称軸が前記観察位置を通過する軸X[22]と平行になるように、前記対称軸を有する宝石を支持することができる支持構造体と、
そのように配置された宝石を空間的に多様な光のパターンによって照明するよう構成された照明手段[24、26、28]と、
概ね前記軸X[22]を中心に前記光のパターンと前記支持構造体との間に相対的な回転を生じさせるように構成された回転手段と、
前記宝石によって戻される光の電子画像を取り込み、画像データとして前記画像を出力するように構成されたカメラ[30]と、
前記カメラ[30]が、前記支持構造体の複数の異なる回転位置それぞれにおける前記光のパターンに対する前記相対的な回転中に、概ね前記軸X[22]に沿って前記宝石の電子画像を取り込むように、前記回転手段およびカメラ[30]を制御するように構成された制御手段[36]とを備え、
前記照明手段[24、26、28]が、概ね前記宝石[20]の方へ光を反射するように構成された凹面を有する反射器[26]を備え、
前記凹面が、少なくとも1つの相対的反射性の領域[40]および少なくとも1つの相対的非反射性の領域[42]を有し、それにより前記光のパターンを生成する、装置であって、
前記相対的反射性の領域と相対的非反射性の領域の境界の長さが、最小長よりも長いことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記2つの領域の前記境界が、少なくとも1つの曲線から形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記境界が一連の螺旋のように見える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記境界が一連のジグザグのように見える、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記ジグザグがまっすぐである、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ジグザグが湾曲している、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記ジグザグが、まっすぐなジグザグと湾曲したジグザグとの組み合わせから形成される、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
各回転位置で、前記境界が、前記軸Xの平面からプラス45°〜マイナス45°の範囲の角度の平面内にある、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
各回転位置で、前記境界が、前記軸Xの平面からプラス35°〜マイナス35°の範囲の角度の平面内にある、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
各回転位置で、前記境界が、前記軸Xの平面からプラス25°〜マイナス25°の範囲の角度の平面内にある、請求項1に記載の装置。
【請求項1】
人間の目で認知可能なカット・ダイヤモンドなどの宝石[20]の視覚特性を判定する際に使用する画像データを生成する装置において、
観察位置に配置される宝石を支持するための支持構造体であって、対称軸が前記観察位置を通過する軸X[22]と平行になるように、前記対称軸を有する宝石を支持することができる支持構造体と、
そのように配置された宝石を空間的に多様な光のパターンによって照明するよう構成された照明手段[24、26、28]と、
概ね前記軸X[22]を中心に前記光のパターンと前記支持構造体との間に相対的な回転を生じさせるように構成された回転手段と、
前記宝石によって戻される光の電子画像を取り込み、画像データとして前記画像を出力するように構成されたカメラ[30]と、
前記カメラ[30]が、前記支持構造体の複数の異なる回転位置それぞれにおける前記光のパターンに対する前記相対的な回転中に、概ね前記軸X[22]に沿って前記宝石の電子画像を取り込むように、前記回転手段およびカメラ[30]を制御するように構成された制御手段[36]とを備え、
前記照明手段[24、26、28]が、概ね前記宝石[20]の方へ光を反射するように構成された凹面を有する反射器[26]を備え、
前記凹面が、少なくとも1つの相対的反射性の領域[40]および少なくとも1つの相対的非反射性の領域[42]を有し、それにより前記光のパターンを生成する、装置であって、
前記相対的反射性の領域と相対的非反射性の領域の境界の長さが、最小長よりも長いことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記2つの領域の前記境界が、少なくとも1つの曲線から形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記境界が一連の螺旋のように見える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記境界が一連のジグザグのように見える、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記ジグザグがまっすぐである、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ジグザグが湾曲している、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記ジグザグが、まっすぐなジグザグと湾曲したジグザグとの組み合わせから形成される、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
各回転位置で、前記境界が、前記軸Xの平面からプラス45°〜マイナス45°の範囲の角度の平面内にある、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
各回転位置で、前記境界が、前記軸Xの平面からプラス35°〜マイナス35°の範囲の角度の平面内にある、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
各回転位置で、前記境界が、前記軸Xの平面からプラス25°〜マイナス25°の範囲の角度の平面内にある、請求項1に記載の装置。
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図4】
【図5】
【図1b】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2007−163460(P2007−163460A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−250608(P2006−250608)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(506313453)オーヴァーシーズ ダイアモンズ テクノロジーズ エヌ.ヴェー. (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(506313453)オーヴァーシーズ ダイアモンズ テクノロジーズ エヌ.ヴェー. (2)
【Fターム(参考)】
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