説明

実装マウント装置

【課題】 ランド状接続端子とバネ状接触子を電気的に接触させた接触面に低周波振動を印加することによって金属間接合部を生成される実装マウント装置を提供する。
【解決手段】 バネ状接触子2を有するインターコネクタ3を備えた実装基板4に、ランド状接続端子5を備えた電子部品6を接合させる実装マウント装置1であって、ランド状接続端子5は、バネ状接触子2との接触面にSn―Agメッキ7が施され、ランド状接続端子5とバネ状接触子2とを少なくとも一対設け、低周波振動アクチュエータ8を備えた加振台9と、この加振台9の下面に設けられたゴム板14と、を備え、ランド状接続端子5とバネ状接触子2とを対面させて重ね合わせ、低周波振動アクチュエータ8を電気的に駆動させて振動させることによって接触面に金属間接合部10が生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的な接続状態を形成する実装マウント装置に関し、ランド状接続端子とバネ状接触子を電気的に接触した接触面に低周波振動を印加することによって金属間接合部を生成する実装マウント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は、従来の接触子と接続端子の接触状態の概略を示す断面図であり、(a)は、スパイラルコンタクタを用いて、スパイラル状接触子と接続端子との接触状態を示し、(b)は、スパイラルコンタクタを用いて、3重巻きスパイラル状接触子と3重巻きスパイラル状接触子との接触状態を示している。
図6の(a)に示すように、3重巻きスパイラル状接触子102は、表面に導電性のランド108aを有する実装基板108に位置決め固定されている。
このスパイラルコンタクタ101は、根元から先端中心に向かって渦巻状に形成され、渦巻状の中心に先端を有する凸形のスパイラル状接触子102において、スパイラル状接触子102の根元を互いに120°位相をずらした位置に配置して、根元から渦巻きの中心に向けて立ち上がり、中心を同一として互いに併行して渦巻状に配設された3個のスパイラル状接触子102が先端で合流して一体とした3重渦巻きスパイラル状接触子102の先端の上面を鏡面処理した鏡面状平面102daを備えている。
【0003】
これによって、先端部の上面に鏡面状平面102daを備えたスパイラル状接触子102と、やはり接続面に鏡面状平面111aaを備えた接続端子111aとを密着させて接合することができ、3重渦巻きスパイラル状接触子102の鏡面状平面102daと、接続端子111aの鏡面状平面111aaとを対面させて重ね合わせることによって、鏡面状平面同士が密着して金属間接合が発生して金属間接合部102eを生成し、電気的に強固に接合することができる。
【0004】
次に、図6の(b)に示すように、一方の3重巻きスパイラル状接触子は、表面に導電性のランド108aを有する実装基板108に位置決め固定され、他方の3重巻きスパイラル状接触子102も、表面に導電性のランド108aを有する実装基板108に位置決め固定されている。
この3重渦巻きスパイラル状接触子102を少なくとも一対設け、一対の3重渦巻きスパイラル状接触子102の鏡面状平面102da同士を対面させて重ね合わせることによって生成される金属間接合部102eを備えている。
【0005】
すなわち、3重渦巻きスパイラル状接触子102の鏡面状平面102daと3重渦巻きスパイラル状接触子102の鏡面状平面102daとを対面させて重ね合わせることによって、鏡面状平面同士が密着して金属間接合が発生し、電気的に強固に接合することができ、精度が良く、バネ追従性に優れた3重渦巻きスパイラル状接触子を容易に製造することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特願2008―222905号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来例では、接続面に鏡面状平面を備えた接続端子と、先端部の上面に鏡面状平面を備えたスパイラル状接触子とを接合し、また、先端部の上面に鏡面状平面を備えたスパイラル状接触子同士を接合しているものである。
本発明は、ランド状接続端子とバネ状接触子を電気的に接触した接触面に低周波振動を印加することによって金属間接合部を生成する実装マウント装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明の実装マウント装置1は、バネ状接触子2を有するインターコネクタ3を備えた実装基板4に、ランド状接続端子5を備えた電子部品6を接合させる実装マウント装置1であって、低周波振動アクチュエータ8を備えた加振台9と、前記加振台9の下面に設けられたゴム板14と、を備え、前記ランド状接続端子5は、前記バネ状接触子2との接触面にSn―Agメッキ7が施され、前記ランド状接続端子5と前記バネ状接触子2とを少なくとも一対設け、前記ランド状接続端子5と前記バネ状接触子2とを対面させて重ね合わせ、前記低周波振動アクチュエータ8を電気的に駆動させて振動させることによって前記接触面に金属間接合部10が生成されることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明の実装マウント装置は、バネ状接触子2を有するインターコネクタ3を備えた実装基板4に、ランド状接続端子5を備えた電子部品6を接合させる実装マウント装置1であって、前記電子部品を吸着するコレット11と、このコレットを接合面に対して水平方向に低周波振動させる低周波振動アクチュエータ11aとを備え、前記ランド状接続端子は、前記バネ状接触子との接触面にSn―Agメッキ7が施され、前記ランド状接続端子と前記バネ状接触子とを少なくとも一対設け、前記ランド状接続端子と前記バネ状接触子とを対面させて重ね合わせ、前記低周波振動アクチュエータを電気的に駆動させて振動させることによって前記接触面に金属間接合部10´が生成されることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の実装マウント装置1であって、前記バネ状接触子2は、スパイラル状接触子2であることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項1に記載の実装マウント装置1であって、前記低周波振動アクチュエータ8は、ピエゾ素子8aを用いたことを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項1に記載の実装マウント装置1であって、前記低周波振動アクチュエータ8は、偏心カム12a付きモータ12を用いたことを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の実装マウント装置1であって、前記低周波振動の周波数は、50Hz以下であることを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の実装マウント装置1であって、前記低周波振動の振幅は、3μm以下であることを特徴とする。
【0015】
請求項8に係る発明は、請求項1に記載の実装マウント装置1であって、前記ゴム板14の厚さは、1〜5mmであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、実装マウント装置は、バネ状接触子を有するインターコネクタを備えた実装基板に、ランド状接続端子を備えた電子部品を接合させる実装マウント装置であって、ランド状接続端子は、バネ状接触子との接触面にSn―Agメッキが施され、ランド状接続端子とバネ状接触子とを少なくとも一対設け、低周波振動アクチュエータを備えた加振台と、この加振台の下面に設けられたゴム板とを備え、ランド状接続端子とバネ状接触子とを対面させて重ね合わせ、低周波振動アクチュエータを電気駆動させて低周波振動させるとともに、ゴム板の反発力によって、低周波振動アクチュエータの低周波振動とゴム板の反発力が安定的に低周波を生成して接触面に金属間接合部が生成され、電子部品などに熱履歴を加えることなく、Sn―AgメッキとAuメッキとの間に金属間接合部を生成させ安定的に接合することができる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、実装マウント装置は、バネ状接触子を有するインターコネクタを備えた実装基板に、ランド状接続端子を備えた電子部品を接合させる実装マウント装置であって、電子部品を吸着するコレットと、このコレットを接合面に対して水平方向に低周波振動させる低周波振動アクチュエータとを備えることによって、電子部品などに熱履歴を加えることなく、Sn―AgメッキとAuメッキとの間に金属間接合部を生成させ安定的に接合することができる。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、バネ状接触子は、スパイラル状接触子であることによって、スパイラル状接触子の付勢力によってランド状接続端子に加圧されるため、低周波振動アクチュエータの低周波振動とゴム板の反発力が安定的に低周波を生成して接触面に金属間接合部が生成され、電子部品などに熱履歴を加えることなく、Sn―AgメッキとAuメッキとの間に金属間接合部を生成させ安定的に接合することができる。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、低周波振動アクチュエータにピエゾ素子を用いたことによって、ピエゾ素子が安定的に低周波振動を生成させ、ゴム板の反発力と相俟って接触面に金属間接合部が生成され、電子部品などに熱履歴を加えることなく、Sn―AgメッキとAuメッキとの間に金属間接合部を生成させ安定的に接合することができる。
【0020】
請求項5に係る発明によれば、低周波振動アクチュエータに偏心カム付きモータを用いたことによって、モータに取り付けた偏心カムと、加振台側に設けられたカムフォロワとの低周波振動が、ゴム板の反発力と相俟って接触面に金属間接合部が生成され、電子部品などに熱履歴を加えることなく、Sn―AgメッキとAuメッキとの間に金属間接合部を生成させ安定的に接合することができる。
【0021】
請求項6に係る発明によれば、低周波振動の周波数を50Hz以下とすることによって、ゴム板の反発力と相俟って接触面に金属間接合部が生成され、電子部品などに熱履歴を加えることなく、Sn―AgメッキとAuメッキとの間に金属間接合部を生成させ安定的に接合することができる。
【0022】
請求項7に係る発明によれば、低周波振動の振幅を3μm以下とすることによって、ゴム板の反発力と相俟って接触面に金属間接合部が生成され、電子部品などに熱履歴を加えることなく、Sn―AgメッキとAuメッキとの間に金属間接合部を生成させ安定的に接合することができる。
【0023】
請求項8に係る発明によれば、ゴム板の厚さを1〜5mmとすることによって、低周波振動アクチュエータの生成する低周波振動と、ゴム板の反発力とが効果的に相俟って接触面に金属間接合部が生成され、電子部品などに熱履歴を加えることなく、Sn―AgメッキとAuメッキとの間に金属間接合部を生成させ安定的に接合することができる。
【0024】
これによって、精度が良く、優れた電気的特性と優れたバネ追従性を有するバネ状接触子を備えた金属間接合を容易に形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る実装マウント装置の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態を説明するための実装マウント装置の概略を示し、(a)は実装マウント装置の構成を示す概略図、(b)は低周波振動によって実装基板と電子部品との接触面に金属間接合部を生成させることによって実装マウントを行う概略図を示す。
図1(a)(b)に示すように、実装マウント装置1は、バネ状接触子2を有するインターコネクタ3を備えた実装基板4に、ランド状接続端子5を備えた電子部品6を接合させるものである。ランド状接続端子5は、バネ状接触子2との接触面にSn―Agメッキ7が施され、ランド状接続端子5とバネ状接触子2とを少なくとも一対設け、低周波振動アクチュエータ8を備えた加振台9と、加振台9の下面に設けられたゴム板14と、を備える。加振台9は金属材で構成されており、特にアルミニュームを用いている。なお、アルミニュームに限定されるものではなく、チタン合金など適宜用いても構わない。
【0026】
複数のインターコネクタ3を搭載した実装基板4が左方向から右方向に送られ、加振台9上に位置決めされたときに、ウエハ15上に形成された電子部品6がウエハ15からピックアップされて加振台9上のインターコネクタ3に搭載されるためにマウント動作がなされる。
このとき実装基板上において、電子部品6の下面に設けられたランド状接続端子5と、インターコネクタ3の上面に設けられたスパイラル状接触子であるバネ状接触子2とを対面させて重ね合わせ、スパイラル状接触子2の付勢力でランド状接続端子5に加圧されて接触している。この状態で低周波振動アクチュエータ8を電気的に駆動させて振動させることによって接触面に金属間接合部10が生成される。この実施例では、図1の(a)のA部側面を拡大した、図1の(b)に示すように、順次の電子部品が接合された結果、実装基板6の側面から見て、3組のインターコネクタ3と電子部品6が金属間接合されている。
【0027】
図2は、低周波振動によって実装基板と電子部品との接触面に金属間接合部を生成させる様子を示し、(a)は金属間接合させる前の状態を示す拡大断面図、(b)は金属間接合部が生成された後の状態を示す拡大断面図である。
図2に示すように、低周波振動アクチュエータ8を電気駆動させて低周波振動させるとともに、金属の加振台9の下にゴム板14を接着しているため、低周波振動アクチュエータ8から起振されたゴム材14がその弾性力によって反発して、低周波振動アクチュエータ8の低周波振動とゴム板14の反発力が安定的に50Hz以下の低周波を生成して接触面に金属間接合部10が生成される。
【0028】
このとき、バネ状接触子2はスパイラル状接触子を用いている。このバネ状接触子2はスパイラル状接触子2に限るものではなく、ランド状接続端子5に付勢力を与えることができるものあれば構わない。これによれば、バネ状接触子2は、スパイラル状接触子2であることによって、スパイラル状接触子2の付勢力によってランド状接続端子5に加圧される。
【0029】
図3は、本発明の実施形態に係る低周波振動アクチュエータを示し、(a)は加振台に取り付けられたピエゾ素子を用いた低周波振動アクチュエータの概略図、(b)はピエゾ素子の構造を示す断面図である。
図3の(a)に示すように、この低周波振動アクチュエータ8にはピエゾ素子8aを用いている。このピエゾ素子8aを備えた低周波振動アクチュエータ8を加振台の側面に当接させている。図3の(b)に示すように、図3の(a)に示すB部の拡大断面図において、低周波振動アクチュエータ8は内部に、起振体としてのピエゾ素子8aと、このピエゾ素子8aの振動を得て加振台9に振動を伝達できるように接合されたシリンダ8bと、このシリンダ8bの先端に接合された振動体8cとを備えている。この低周波振動アクチュエータ8は、低周波振動アクチュエータ取付台(アクチュエータ取付ブロック)19、20に固定されている。そしてこの低周波振動アクチュエータ取付台19、20は装置本体に固定されているため、低周波振動アクチュエータ8が振動しても低周波振動アクチュエータ取付台19、20そのものは振動することはない。また、加振台9の下面に設けられたゴム板14もゴム板14自身が揺れることはないようにゴム板14の下面で装置本体に固定されている。また、ゴム板14は装置本体の振動の少ない適当なところに固定されていれば良く、低周波振動アクチュエータ19、20の発生した振動が加振台9に適切に伝わるようにできれば、装置本体の適当なところに取り付けても構わない。そしてシリンダ8bの往復動作による慣性を利用して振動体8cが振動して加振台9に低周波振動が伝達される。なお、複数の低周波振動アクチュエータ8を加振台9の側面に当接させて位置決めされているが、それぞれの低周波振動アクチュエータ8の電圧の印加をそれぞれ別々に制御することによって、共振点や低周波振動を生成する方向や強さが制御される。低周波振動アクチュエータ8の個数や位置は、本実施形態に限定するものではなく適宜変更可能である。
【0030】
このように低周波振動アクチュエータ8にピエゾ素子8aを用いたことによって、ピエゾ素子8aが安定的に低周波振動を生成させ、ゴム板14の反発力と相俟って、ランド状接続端子5とスパイラル状接触子2との接触面に低周波振動が生じて、ランド状接続端子5のランド5aに施されたSn―Agメッキ7と、スパイラル状接触子2に施されたAuメッキ18との間に擦り合わせが起こり、その部分の表面に形成されている可能性のある酸化膜が削り取られるとともに金属拡散が起こって金属間接合部10が生成される。また、スパイラル状接触子2が押圧されることによって、スパイラル状接触子2の先端部は回動するため、ランド状接続端子5の接触面の表面に形成されている可能性のある酸化膜は削り取られる。なお、ランド状接続端子5のランド5aに施されたSn―Agメッキ7と、スパイラル状接触子2に施されたAuメッキ18との接触による金属間接合10と説明したが、ランド状接続端子5のランド5aに施されたAuメッキと、スパイラル状接触子2に施されたAuメッキとすることでさらに容易に金属間接合が生じるのでAuメッキ同士の金属間接合としても構わない。
【0031】
低周波振動の周波数は50Hz以下であり、低周波振動の振幅は3μm以下である。
また、ゴム板14の厚さは1〜5mmとした。ゴム板14の板厚は薄い方が精度が出て適当であるが低周波振動を安定的に生成するためには、場合によって5mm以上でも構わない。
このように、低周波振動の周波数を50Hz以下、低周波振動の振幅を3μm以下、ゴム板14の厚さを1〜5mmとすることによって、低周波振動アクチュエータの生成する低周波振動と、ゴム板の反発力とが効果的に相俟って接触面に金属間接合部が生成され、電子部品などに熱履歴を加えることなく、Sn―AgメッキとAuメッキとの間に金属間接合部を生成させ安定的に接合することができる。
【0032】
図4は、本発明の実施形態に係る低周波振動アクチュエータを説明するため、加振台に取り付けられた偏心カム付きモータを用いた低周波振動アクチュエータの概略図である。
図4に示すように、低周波振動アクチュエータ8´として、偏心カム12a付きモータ12を用いても構わない。
低周波振動アクチュエータ8´として偏心カム12a付きモータ12を用いたことによって、モータ12の偏心カム12aの偏心を有する回転と、この回転を加振台9側に設けられたカムフォロワ13に伝達することによって低周波振動が加振台9に伝わる。このとき、ゴム板14の反発力と相俟って接触面に金属間接合部10が生成される。この偏心カム12a付きモータ12とは携帯電話のバイブに利用されるモータと同じ構造である。
なお、金属間接合が生成される状態は、図3に示すように、ピエゾ素子8aを用いた低周波振動アクチュエータ8と同様である。
【0033】
図5は、本発明の実施形態に係る低周波振動アクチュエータを、実装マウント動作するコレットに備えた実装マウント装置の概略図である。
図5に示すように、低周波振動アクチュエータを、実装マウント動作するコレットに備えても構わない。実装マウント装置1は、バネ状接触子2を有するインターコネクタ3を備えた実装基板4に、ランド状接続端子5を備えた電子部品6を接合させる。真空ポンプ(図略)などに接続されたホース21を備えてウエハ15から電子部品6を真空吸着するコレット11をインターコネクタ3と重なるように位置決めして、電子部品6のランド状接続端子5と、インターコネクタ3に設けられたスパイラル状接触子2と接触させて電気的に接合するため、低周波振動アクチュエータ11aによってコレット11をその接合面に対して水平方向に低周波振動させる。
ランド状接続端子5は、バネ状接触子2との接触面にSn―Agメッキ7が施されている。そしてランド状接続端子5とバネ状接触子2とを少なくとも一対設け、ランド状接続端子5とバネ状接触子2とを対面させて重ね合わせる。
低周波振動アクチュエータ(ピエゾ素子)11aを電気的に駆動させて振動させてコレット11を振動させることによって接触面に金属間接合部10´が生成される。
また、低周波振動の周波数は50Hz以下であり、低周波振動の振幅は3μm以下である。このように、低周波振動の周波数を50Hz以下、低周波振動の振幅を3μm以下とすることによって、電子部品などに熱履歴を加えることなく、Sn―AgメッキとAuメッキとの間に金属間接合部を生成させ安定的に接合することができる。
また、本実施形態のコレットは、電子部品の角を掴むテーパー面を備えた構造であるが、電子部品の表面を吸着する構造でも構わない。
なお、金属間接合が生成される状態は、図2に示すように、加振台9を振動させる場合と同様である。
【0034】
また、接続端子や接触子の表面にSn-AgメッキやAuメッキを施すことによって金属間接合を生成させているが、接続端子や接触子の表面をSn-AgやAuメッキで被う場合にメッキ法に限定するものではなく、スパッタ法や塗布でも構わない。
また、バネ状接触子は板バネ形状、コイルバネ形状の接触子としても構わない。
【0035】
また、バネ状接触子2を形成するコア材はニッケル(Ni)基材であり、表面にはAuメッキが施されているが、これに限定されるものではない。ここで金属間接合を簡単に説明する。金属間接合は、接合部の金属原子が互いに拡散して拡散接合が発生して起きる。この拡散接合とは、JISの定義では、「母材を密着させ、母材の融点以下の温度条件で、塑性変形をできるだけ生じさせない程度に加圧して、接合面間に生じる原子の拡散を利用して接合する方法」となっている。
このような拡散接合の特徴は、材料的に溶融溶接が極めて困難とされている金属や、異種金属の接合ができること、面接合ができることである。
【0036】
以上、好ましい実施の形態を説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱することの無い範囲内において適宜変更が可能なものである。例えば、バネ状接触子は、スパイラル状接触子、または板バネ形状やコイルバネ形状のバネ状接触子として説明したが、これに限るものではなく、その他バネ状接触子であれば構わない。
【産業上の利用可能性】
【0037】
ランド状接続端子とバネ状接触子を低周波振動によって金属間接合部を生成させて安定的に電気的な接続状態を形成する実装基板の製造や、電子部品間や実装基板間などの電子的基板間を接続して高集積デバイスを形成するためのインターコネクタに適用される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態を説明するための実装マウント装置の概略を示し、(a)は実装マウント装置の構成を示す概略図、(b)は低周波振動によって実装基板と電子部品との接触面に金属間接合部を生成させることによって実装マウントする概略図を示す。
【図2】低周波振動によって実装基板と電子部品との接触面に金属間接合部を生成させる様子を示し、(a)は金属間接合させる前の状態を示す拡大断面図、(b)は金属間接合部が生成された後の状態を示す拡大断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る低周波振動アクチュエータを示し、(a)は加振台に取り付けられたピエゾ素子を用いた低周波振動アクチュエータの概略図、(b)はピエゾ素子の構造を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る低周波振動アクチュエータを説明するため、加振台に取り付けられた偏心カム付きモータを用いた低周波振動アクチュエータの概略図である。
【図5】本発明の実施形態に係る低周波振動アクチュエータを、実装マウント動作するコレットに備えた実装マウント装置の概略図である。
【図6】従来のスパイラル状接触子と接続端子との金属間接合の概略を示す断面図であり、(a)は、接触前の状態を示し、(b)は、接触後に接触箇所に金属間接合部が生成されている状態を示す。
【符号の説明】
【0039】
1 実装マウント装置
2 バネ状接触子、スパイラル状接触子
3 インターコネクタ
4 実装基板
5 ランド状接続端子
5a ランド
6 電子部品
7 Sn―Agメッキ
8 低周波振動アクチュエータ
8a ピエゾ素子
8b シリンダ
8c 振動体
9 加振台
10 金属間接合部
11 コレット
11a 低周波振動アクチュエータ
12 偏心カム付きモータ
12a 偏心カム
13 カムフォロワ
14 ゴム板
15 ウエハ
16 Auメッキ
17 Cuメッキ
18 Auメッキ
19、20 低周波振動アクチュエータブラケット
21 ホース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バネ状接触子(2)を有するインターコネクタ(3)を備えた実装基板(4)に、ランド状接続端子(5)を備えた電子部品(6)を接合させる実装マウント装置(1)であって、
低周波振動アクチュエータ(8、8´)を備えた加振台(9)と、
前記加振台の下面に設けられたゴム板(14)と、
を備え、
前記ランド状接続端子は、前記バネ状接触子との接触面にSn―Agメッキ(7)が施され、前記ランド状接続端子と前記バネ状接触子とを少なくとも一対設け、前記ランド状接続端子と前記バネ状接触子とを対面させて重ね合わせ、前記低周波振動アクチュエータを電気的に駆動させて振動させることによって前記接触面に金属間接合部(10)が生成されることを特徴とする実装マウント装置。
【請求項2】
バネ状接触子(2)を有するインターコネクタ(3)を備えた実装基板(4)に、ランド状接続端子(5)を備えた電子部品(6)を接合させる実装マウント装置(1)であって、
前記電子部品を吸着するコレット(11)と、このコレットを接合面に対して水平方向に低周波振動させる低周波振動アクチュエータ(11a)とを備え、
前記ランド状接続端子は、前記バネ状接触子との接触面にSn―Agメッキ(7)が施され、前記ランド状接続端子と前記バネ状接触子とを少なくとも一対設け、前記ランド状接続端子と前記バネ状接触子とを対面させて重ね合わせ、前記低周波振動アクチュエータを電気的に駆動させて振動させることによって前記接触面に金属間接合部(10´)が生成されることを特徴とする実装マウント装置。
【請求項3】
前記バネ状接触子は、スパイラル状接触子(2)であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の実装マウント装置。
【請求項4】
前記低周波振動アクチュエータ(8)は、ピエゾ素子(8a)を用いたことを特徴とする請求項1に記載の実装マウント装置。
【請求項5】
前記低周波振動アクチュエータ(8´)は、偏心カム(12a)付きモータ(12)を用いたことを特徴とする請求項1に記載の実装マウント装置。
【請求項6】
前記低周波振動の周波数は、50Hz以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の実装マウント装置。
【請求項7】
前記低周波振動の振幅は、3μm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の実装マウント装置。
【請求項8】
前記ゴム板の厚さは、1〜5mmであることを特徴とする請求項1に記載の実装マウント装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−29228(P2011−29228A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170230(P2009−170230)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【出願人】(501348955)株式会社アドバンストシステムズジャパン (56)
【Fターム(参考)】