説明

実装基板、および実装用部品

【課題】 放熱板に取り付けられた電子部品のリード部の折れや、電子部品が実装された配線基板のパターンの剥離の発生しない実装基板を提供する。
【解決手段】 放熱板11に取り付けられた電子部品本体10と接続されたリード部13と接合連結部品14とが、当該接合連結部品14に設けられた円筒状の容器である保持部14aに充填された導電性を有する応力緩和部材20によって機械的、電気的に接続されて実装用デバイス2を形成し、接合連結部品14の底面に突設される棒部14bを、配線基板15の基板配線に設けられたスルーホール21に挿入して、保持部14aが配線基板15に対して引っ掛かった位置で、棒部14bと配線基板15とをフローはんだ付けによって接合することにより、電子部品3を配線基板15に実装した実装基板1を製作する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は放熱板に取り付けられた電子部品を配線基板に実装する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子技術の発達やユーザーニーズにより、表示デバイス等における電子機器等の高性能化が進み、例えば、パソコン用のディスプレイモニターにおいては、さらなる大画面化、高精細化、および高輝度化が求められている。
【0003】これらの表示デバイスを駆動させる為の電子部品等は、その動作により、電子部品の素子における電気エネルギーが熱へと変換されて、電子部品の温度の上昇を招き、電子部品に不具合を生じるおそれがある。したがって、電子部品からの放熱を図るために、電子部品は放熱板に取り付けられて配線基板に実装される。例えば、実開平4−133357号公報に開示されている実装基板では、図14に示すように、電子部品130は、放熱板131に、ネジ132等によって取り付けられ、配線基板に実装される。なお、図14は、電子部品130が放熱板131に取り付けられている状態を示す斜視図である。
【0004】更に、近年の表示デバイス等は、高性能化を図る上で、デジタル信号処理により、高速に動作する事から、電子部品の消費電力も上昇する傾向にあり、電子部品における発熱量が増大する傾向にある。したがって、放熱板の放熱の能力の増強が求められており、放熱板の大型化を招いている。
【0005】また、1つの放熱板に1つの電子部品が取り付けられる場合は、取り付けられるそれぞれの電子部品に対して必要な放熱の能力を持つ放熱板の大きさが必要であるが、デバイスの駆動時の信号処理条件によって、1つの実装基板における各電子部品の温度が最高となる条件が異なるため、1つの大型の放熱板に複数の電子部品を取り付けることによって、全体として放熱板に求められる放熱の能力が小さくても良くなるため、1つの実装基板に取り付けられる放熱板の総量を低減することができる。したがって、1つの大型の放熱板に複数の電子部品を取り付けることによって、配線基板上の空間を有効に活用することができるため、実装基板の小型化が可能となるとともに、放熱板の製作に必要な材料の低減や、放熱板の数の減少にともなう部品点数の削減による作業効率の向上に基づくコストの削減を図ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上説明した実装基板では、大型の放熱板に複数の電子部品を取り付ける場合において、例えば、フローはんだ付け時の熱で、配線基板に反り変形を生じ、その反りが生じた状態で、放熱板に取り付けられた電子部品(以下、放熱電子部品と称す)が、配線基板に対してはんだ付けによって固定される。よって、放熱電子部品が配線基板に実装された実装基板を種々の製品の筐体等に取り付ける際に、実装基板が製品の筐体内で本来の反りの無い正規の寸法の位置へ固定されるため、反りが矯正された分だけ放熱電子部品のリード部およびリード部が挿入されている配線基板のスルーホール周辺の基板配線に変形応力が生じる。
【0007】また、放熱板の大型化により、複数の電子部品が1つの放熱板に取り付けられた場合、1つの放熱板に取り付けられた電子部品どうしの距離が長いことから、放熱板に対する複数の電子部品の取り付け位置の寸法公差が大きくなる。よって、放熱板に対する複数の電子部品の取り付け精度が確保され難い事から、放熱板に対して複数の電子部品の取り付け位置がずれた放熱電子部品を配線基板に対して実装することとなり、放熱板に対する複数の電子部品の取り付け位置のずれ量の大きさに起因する変形応力が、放熱電子部品のリード部およびリード部が挿入されている配線基板のスルーホール周辺の基板配線にも生じる。
【0008】したがって、上述した変形応力によって、放熱電子部品のリード部が折れたり、放熱電子部品のリード部が挿入されている配線基板のスルーホール周辺の基板配線が剥離したりといった不具合が発生する問題点がある。
【0009】また、図15および図16は、特開平11−284307号公報に開示されている実装基板148の一部を示す斜視図および断面図である。図示するように、放熱板141に対して、電子部品140がネジ142によって取り付けられ、板146に固定された凹部を有するの導体144a〜144cが配線基板145に対してはんだ付けされ、電子部品140のリード部143a〜143cがそれぞれ導体144a〜144cの凹部に嵌入されることによって、配線基板145に対して電子部品140が実装される。このような構造とすることで、リード部143a〜143cにかかる変形応力を減じることができるが、リード部143a〜143cがそれぞれ導体144a〜144cの凹部に嵌入されることによって拘束される形態となため、上述した従来技術と同様な理由によってリード部143a〜143c、および導体144a〜144cが挿入されている図示を省略する配線基板145のスルーホール周辺の基板配線に変形応力が生じる。さらに、電子部品140自体の発熱によるリード部143a〜143cの膨張収縮による変形応力が生じ、上述したものと同様に、リード部143a〜143cが折れたり、導体144a〜144cが挿入されている配線基板145のスルーホール周辺の基板配線が剥離したりといった不具合が発生する。
【0010】そして、このような放熱電子部品のリード部が折れたり、配線基板の基板配線のうちリード部が固定されている箇所の周辺の基板配線が剥離したりといった問題は、上述した配線基板にスルーホールを設けて放熱電子部品を固定するリードスルー実装タイプに限らず、配線基板にスルーホールを設けることなく放熱電子部品を固定する表面実装タイプにおいても共通する問題となっている。
【0011】また、図17は、大型の放熱板161に複数の電子部品160がネジ162によって取り付けられて、配線基板165に実装されている実装基板168の一部を示す正面模式図である。なお、図17には、方向関係を明確にするため、XYZ直交座標系を付しており、Z方向を上方向とする。また、図17には、電子部品160から放熱板161への熱伝導を模式的に示すために、2点鎖線によって電子部品160からの等距離にある地点を結んだ等距離線16Aを併せて示している。
【0012】図17に示すように、電子部品160のリード部163の長さによる制限によって、隣り合う電子部品160どうしを結ぶ線が配線基板165と平行(Y軸方向)となっており、放熱板161に対する電子部品160の取り付け位置が全て放熱板161の下端部付近となっている。したがって、放熱板161に対する電子部品160の取り付け位置が密集しているため、各電子部品160から放熱板161へ伝導される熱は互いに干渉し合い、放熱板161の下端部付近の温度が上昇する。さらに、放熱板161に対する各電子部品160の取り付け位置が放熱板161の下端部付近であるため、放熱板161の上方の部分が有効に利用されておらず、放熱板161による電子部品160の冷却効果の効率を下げる原因となる。このように、放熱板161を有効利用していない場合には、放熱の能力を増強する必要性が生じるため、無駄に放熱板161の大型化を招き、配線基板上の空間の有効活用、および、放熱板の製作に必要な材料および部品点数の低減によるコストの削減を図ることができなくなるといった問題もある。
【0013】そこで、本発明は前記問題点に鑑み、放熱板に取り付けられた電子部品のリード部の折れや、電子部品が実装された配線基板の基板配線の剥離の発生しない実装基板を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、配線基板と、前記配線基板の基板配線に固定された接合連結部品と、放熱板に取り付けられた電子部品本体と、前記電子部品本体から突設され、前記電子部品本体と外部との電気的接続を行うためのリード部とを有する電子部品と、前記接合連結部品と前記リード部とを接続する導電性および可変形性を有する応力緩和部材とを備えることを特徴とする。
【0015】また、請求項2の発明は、配線基板と、前記配線基板の基板配線に固定された複数の接合連結部品と、放熱板に取り付けられた複数の電子部品本体と、前記複数の電子部品本体から突設され、前記複数の電子部品本体と外部との電気的接続を行うための複数のリード部とを有する複数の電子部品と、前記複数の接合連結部品と前記複数のリード部とを接続する導電性および可変形性を有する応力緩和部材とを備え、前記複数の電子部品本体のうち隣接する電子部品本体どうしを結ぶ線が前記配線基板の形成する面に対して平行でないことを特徴とする。
【0016】また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の実装基板であって、前記配線基板に対する垂直な方向への当該配線基板と前記電子部品本体との距離が、前記リード部の前記配線基板に対する垂直な方向への長さよりも長いことを特徴とする。
【0017】また、請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の実装基板であって、前記接合連結部品が、前記応力緩和部材を保持する容器である保持部を備えることを特徴とする。
【0018】また、請求項5の発明は、請求項4に記載の実装基板であって、前記接合連結部品は、前記保持部の底面から突設され前記配線基板のスルーホールに固定される棒部をさらに備え、前記保持部が、前記接合連結部品と前記配線基板とを接合する際に、当該接合連結部品と前記配線基板との接合位置を決定する第1のストッパーとして働くことを特徴とする。
【0019】また、請求項6の発明は、請求項4に記載の実装基板であって、前記接合連結部品は、前記保持部の底面から突設され前記配線基板のスルーホールに固定される棒部をさらに備え、前記棒部が、前記接合連結部品と前記配線基板とを接合する際に、当該接合連結部品と前記配線基板との接合位置を決定する第1のストッパーを備えることを特徴とする。
【0020】また、請求項7の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の実装基板であって、前記接合連結部品とは別部品として、前記応力緩和部材を抱持するための筒状の抱持部をさらに備えることを特徴とする。
【0021】また、請求項8の発明は、請求項7に記載の実装基板であって、前記接合連結部品が、当該接合連結部品に対する前記抱持部の据え付け位置を決定するための第2のストッパーを備えることを特徴とする。
【0022】また、請求項9の発明は、請求項7または請求項8に記載の実装基板であって、前記接合連結部品を前記抱持部の内壁側に対して隙間なくはめ込むことを特徴とする。
【0023】また、請求項10の発明は、請求項7から請求項9のいずれかに記載の実装基板であって、前記接合連結部品が、当該接合連結部品と前記配線基板とを接合する際に、当該接合連結部品と前記配線基板との接合位置を決定する第1のストッパーを備えることを特徴とする。
【0024】また、請求項11の発明は、請求項1から請求項10のいずれかに記載の実装基板であって、前記接合連結部品のうち、前記配線基板および前記応力緩和部材とそれぞれ電気的に接続するための部分以外の少なくとも一部が絶縁部材によって被覆されていることを特徴とする。
【0025】また、請求項12の発明は、電子部品本体と、前記電子部品本体から突設され、前記電子部品本体と外部との電気的接続を行うためのリード部とを有する電子部品を、配線基板に実装するための実装用部品であって、前記配線基板の配線に固定するための接合連結部品と、前記接合連結部品と前記リード部とを接続する導電性および可変形性を有する応力緩和部材とを備えることを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】<第1実施形態>図1および図2は、第1実施形態に係る電子部品3が配線基板15に対して実装された実装基板1の一部を示す斜視図および断面模式図である。なお、図1および図2には、それらの方向関係を明確にするため、XYZ直交座標系を付しており、ここでは、1つの放熱板11に2つの電子部品3が取り付けられている。
【0028】図1および図2に示すとおり、ここでは、配線基板15と、配線基板15にはんだHによって接合された接合連結部品14と、放熱板11にネジ12およびバネワッシャー12aによって取り付けられた電子部品3と、接合連結部品14とリード部13とを接続する応力緩和部材20とから構成されており、また、電子部品3は、放熱板11に取り付けられる電子部品本体10と、電子部品本体10と外部との電気的接続を行うためのリード部13とから構成される。
【0029】電子部品本体10は、例えば、半導体素子などによって構成され、当該電子部品本体10が実装された実装基板が各種デバイスに組み込まれ、その各種デバイスが駆動する際に、電子部品本体10の素子の電気エネルギーが熱へと変換されて、電子部品本体10の温度が上昇する。なお、電子部品本体10は、当該電子部品本体10に設けられた図示を省略する穴を介して、ネジ12等によって放熱板11に取り付けられる。
【0030】放熱板11は、例えば、押し出し成形や、板材の加工によって作製されたアルミ製のものが挙げられ、熱伝導性と放熱性に優れている。また、放熱板11には、当該放熱板11に設けられた図示を省略する穴を介して、ネジ12等によって電子部品本体10が取り付けられる。
【0031】また、リード部13は、電子部品本体10から突設され、電子部品本体10と配線基板15との電気的接続を行うためのものであり、例えば、銅などの良導体によって構成される。
【0032】接合連結部品14は、導電性を有し、はんだ付け等が可能な銅、ブリキ、ターンシート等の材料で構成されている。そして、接合連結部品14は、応力緩和部材20を保持する円筒状の容器である保持部14aと保持部14aの底面に突設される棒部14bとから構成される。ここでは、接合連結部品14に応力緩和部材20を保持する容器である保持部14aを設けることによって、多少流動性のある応力緩和部材も接合連結部品14に保持することができるため、応力緩和部材20に用いることのできる材料の選択の幅を広げることができる。
【0033】配線基板15は、プリント基板などであり、電子部品3を実装するために、あらかじめ基板配線の一部に穴(スルーホール21)が設けられている。
【0034】応力緩和部材20は、導電性を有し、可撓性、又は高粘性の材料、若しくはゲル状の材料であり、つまり、導電性および可変形性を有するものであれば良い。このような材料としては、例えば、シリコンエラストマー、又はシリコーングリース、若しくはシリコーンゲル中に、銀ペーストなどの導電性を有する材料を混ぜ込んだものが挙げられる。また、熱伝導性を高めるために、酸化アルミニウムや窒化ボロンをさらに混ぜ込んだものとしても良い。また、熱伝導性と耐熱性の両方を高めるために、ポリイミドなどをさらに混ぜ込んだものとしても良い。また、応力緩和部材20の強度確保のために、熱伝導性を高めつつ強化を図ることのできるファイバーグラスをさらに混ぜ込んだものとしても良い。
【0035】ここでは、図2に示すように、放熱板11に取り付けられた電子部品3のリード部13と接合連結部品14とが、接合連結部品14の保持部14aに充填された応力緩和部材20によって機械的、電気的に接続される。なお、ここでは、応力緩和部材20とリード部13、および応力緩和部材20と接合連結部品14とは、密着して接続されることによって、電気伝導性が確保され、応力緩和部材20および接合連結部品14が電気的に接続されて実装用部品5を形成し、また、電子部品3、応力緩和部材20、および接合連結部品14のすべてが電気的に接続されて実装用デバイス2を形成し、配線基板15に対して実装されている。
【0036】また、配線基板15に設けられたスルーホール21に接合連結部品14の棒部14bが挿入されており、配線基板15の基板配線に対して棒部14bがフローはんだ付けによって接合されて固定される。この配線基板15に対して接合連結部品14を接合する際に、棒部14bがスルーホール21に挿入されると、配線基板15に対して、接合連結部品14が保持部14aの部分で引っ掛かる。つまり、接合連結部品14の保持部14aが、接合連結部品14と配線基板15とを接合する際に、接合連結部品14と配線基板15との接合位置を決定するストッパー(第1のストッパー)として働くため、配線基板に対する接合連結部品14の接合作業を容易に行うことができる。
【0037】また、従来例において説明したが、大型の放熱板11に複数の電子部品3を取り付ける場合において、配線基板15に対して接合連結部品14をフローはんだ付けする際の熱で、図1に示すような配線基板15に反りAが生じ、反りAが生じた状態で配線基板15に対して実装用デバイス2等が実装されることとなる。よって、実装用デバイス2が配線基板15に実装された実装基板を種々の製品の筐体等に取り付ける際に、実装基板が本来の反りの無い正規の寸法の位置へ製品の筐体内で固定されるため、複数の実装用デバイス2がそれぞれ配線基板15に接合されて固定されている距離が広がるため、形状を矯正された配線基板15と、放熱板11に取り付けられて固定されている実装用デバイス2との接合部分周辺において変形応力を生じるが、ここでは、配線基板15に接合された接合連結部品14と、リード部13とを、応力緩和部材20を介して接続することにより、リード部13、および配線基板15のスルーホール21周辺に生じる変形応力を応力緩和部材20が変形することによって緩和することができる。
【0038】また、上述のごとく反りAが生じた状態で、図1には示していないが、放熱板11が配線基板15のいずれかの部分に電子部品3等を介して固定する以外の位置でも固定された場合、実装用デバイス2が配線基板15に実装された実装基板を種々の製品の筐体等に取り付ける際に、実装基板1が本来の反りの無い正規の寸法の位置へ製品の筐体内で固定されるため、放熱板11と実装用デバイス2とが配線基板15に対してそれぞれ固定されている距離が変化するため、形状を矯正された配線基板15と、放熱板11に取り付けられて固定されている実装用デバイス2との接合部分周辺において変形応力を生じるが、上述したものと同様に、配線基板15に接合された接合連結部品14と、リード部13とを、応力緩和部材20を介して接続することにより、リード部13、および配線基板15のスルーホール21周辺に生じる変形応力を応力緩和部材20が変形することによって緩和することができる。
【0039】また、放熱板11の大型化により、1つの放熱板11に複数の電子部品3が取り付けられた場合、1つの放熱板11に取り付けられた電子部品3どうしの距離が長いことから、放熱板11に対する複数の電子部品3の取り付け位置の寸法公差が大きくなる。よって、放熱板11に対して複数の電子部品3の取り付け位置がずれ、配線基板15に対して複数の電子部品3を実装する際に、放熱板11に対する複数の電子部品3の取り付け位置のずれ量に起因する変形応力が配線基板15と実装用デバイス2との間に生じるが、応力緩和部材20が変形することによって生じた変形応力を緩和することができる。したがって、リード部13の折れや、リード部13が挿入されている配線基板15のスルーホール21周辺の基板配線の剥離といった不具合を防止することができる。
【0040】以上、第1実施形態では、種々の原因によってリード部13、および配線基板15のスルーホール21周辺に生じる変形応力を、応力緩和部材20が変形することによって緩和することができるため、放熱板11に取り付けられた電子部品3のリード部13の折れや、リード部13が挿入されている配線基板15のスルーホール21周辺の基板配線の剥離といった不具合を防止することができる。したがって、例えば、1つの大型の放熱板11に複数の電子部品3を取り付けることによって、全体として放熱板11を小型化することができ、配線基板15上の空間を有効に活用することができるため、実装基板1の小型化が可能となるとともに、放熱板11の製作に必要な材料の低減や、放熱板11の数の減少にともなう部品点数の削減による作業効率向上に基づいたコストの削減を図ることができる。
【0041】<第2実施形態>図3は、第2実施形態に係る電子部品3が配線基板に対して実装された実装基板1の一部を示す正面模式図である。ここでは、1つの放熱板11に3つの電子部品3が取り付けられ、配線基板15に対して実装されており、電子部品3の数と、接合連結部品の形状が第1実施形態と異なる。なお、図3には、方向関係を明確にするため、XYZ直交座標系を付しており、第1実施形態と同様な部分については同様の符号を付して説明を省略し、以下、異なる点のみを説明する。また、図3には、電子部品本体10から放熱板11への熱伝導を模式的に示すために2点鎖線によって、放熱板11に対して電子部品本体10が取り付けられている位置から等距離にある地点を結んだ等距離線11Aを示している。
【0042】図3に示すとおり、第1実施形態において接合連結部品14であったものが、第2実施形態では、長さが2種類存在する接合連結部品34S,34Lとなっている。接合連結部品34S,34Lは、第1実施形態と同様に、導電性を有する銅、ブリキ、ターンシート等といった材料で構成される。
【0043】図4(a)および図4(b)は、接合連結部品34S周辺の構造を説明する正面断面図と上面図である。なお、図4(a)および図4(b)には、それらの方向関係を明確にするため、XYZ直交座標系を付しており、図2に示す第1実施形態と同様な部分については同じ符号を付して説明を省略する。接合連結部品34Sは、保持部34aのZ方向への長さが第1実施形態の保持部14aよりも長くなっている。また、図示を省略するが、接合連結部品34Lは、図4で示した接合連結部品34Sの保持部34aのZ方向への長さをさらに長くしたものとなる。したがって、接合連結部品34S,34Lを使用することによって、放熱板11に対する電子部品本体10の取り付け位置を種々変更することができる。
【0044】図3に戻って説明すると、図示するように、1つの放熱板11に取り付けられる複数の電子部品3のうち隣り合う電子部品3について、異なる長さを有する接合連結部品34S,34Lがそれぞれ用いられて、実装用部品5S,5Lおよび実装用デバイス2S,2Lを形成している。また、接合連結部品34Sを用いた実装用デバイス2Sは放熱板11の下端よりも少し高い位置で放熱板11に取り付けられ、接合連結部品34Lを用いた実装用デバイス2Lは放熱板11の上端よりも少し低い位置で放熱板11に取り付けられる。つまり、複数の電子部品本体10のうち隣接する電子部品本体10どうしを結ぶ線が、配線基板15の形成する面に対して平行とならないようになっており、また、接合連結部品34S,34Lおよび応力緩和部材20を介して配線基板15と電子部品3とを接続することによって、Z方向(配線基板15に対して垂直な方向)への配線基板15と電子部品本体10との距離が、リード部13のZ方向への長さよりも長くなるようになっている。
【0045】ここで、図3と従来例の図17とを比較すると、図3のような第2実施形態では、複数の電子部品本体10のうち隣接する電子部品本体10どうしを結ぶ線が配線基板15に対して平行とならないようにすることによって、複数の電子部品本体10を1つの放熱板に対して疎に取り付けることができる。したがって、複数の電子部品本体10から放熱板11に伝導する熱どうしの干渉を低減することによって、放熱板11の放熱の効率を高めることができ、同じ放熱に必要な放熱板の大きさを比較的小さくすることができるため、放熱板に要する材料費の削減を図ることができる。また、Z方向への配線基板15と電子部品本体10との距離を、リード部13のZ方向への長さよりも長くすることによって、各電子部品本体10から放熱板11に熱が伝導する位置から放熱板11の端部までの距離を長くすることができるため、放熱板11の放熱能力を有効に活用することができる。このように、放熱板11の放熱能力を有効利用している場合は、放熱板11を必要最小限の大きさにとどめることができるため、配線基板15上の空間の有効活用、および、放熱板11の製作に必要な材料費の削減を図ることができる。
【0046】なお、ここでは、図4において接合連結部品34S周辺の構造について示したが、これに限られるものではなく、接合連結部品34S周辺の構造は、図5から図7に示すような構造であっても良い。図5から図7では、図5(a)、図6(a)、図7(a)はそれぞれ正面断面図を示しており、図5(b)、図6(b)、図7(b)はそれぞれ上面図を示している。なお、図5〜図7には、それらの方向関係を明確にするため、XYZ直交座標系を付しており、図4と同様な部分については同じ符号を付して説明を省略する。以下、図5から図7について説明する。
【0047】まず、図5について説明する。図5に示すように、応力緩和部材20を保持するための保持部64aのZ方向への長さは、図4に示す保持部34aと比べて短く、配線基板15の基板配線に設けられたスルーホール21に挿入されてフローはんだ付けによって配線基板15と接合される棒部64bのZ方向への長さは、図4に示す棒部34bと比べて長い。また、棒部64bには、突起部64stが設けられており、配線基板15に対して接合連結部品64Sを接合する際に、棒部64bがスルーホール21に挿入されると、配線基板15に対して突起部64stが引っ掛かる。つまり、ここでは、接合連結部品64Sが、当該接合連結部品64Sと配線基板15とを接合する際に、保持部64aとは別に、接合連結部品64Sと配線基板15との接合位置を決定する突起部64st(第1のストッパー)を備える。したがって、接合連結部品64Sは、Z方向への長さを長くした場合においても、保持部64aを小さくすることができるため、図4に示す接合連結部品34Sと比較して、接合連結部品64Sの形状が簡単なものとなり、接合連結部品64Sの製作が容易となる。さらに、保持部64aが小さいため、保持部64a内の容積の減少に伴って応力緩和部材20の使用量も低減させることができる。したがって、全体としてコスト低減を図ることができる。
【0048】次に、図6について説明する。図6に示すように、応力緩和部材20を保持するための保持部74aのZ方向の長さは、図5に示す保持部64aと同様に、図4に示す保持部34aと比べて短く、配線基板15の基板配線に設けられたスルーホール21に挿入されてフローはんだ付けによって配線基板15と接合される棒部74bのZ方向への長さは、図5に示す棒部64bと同様に、図4に示す棒部34bと比べて長い。また、棒部74bには、段差部74dが設けられており、配線基板15に対して接合連結部品74Sを接合する際に、棒部74bがスルーホール21に挿入されると、配線基板15に対して段差部74dが引っ掛かる。つまり、段差部74dが、当該接合連結部品74Sと配線基板15との接合位置を決定するストッパー(第1のストッパー)として働くため、接合作業を容易に行うことができる。また、接合連結部品74Sは、図5に示した接合連結部品64Sと同様に、図4に示す接合連結部品34Sと比較して形状が簡単なものとなるため、接合連結部品74Sを容易に製作することができる。さらに、保持部74aが小さいため、保持部74a内の容積の減少に伴って応力緩和部材20の使用量も低減させることができる。したがって、全体としてコスト低減を図ることができる。
【0049】さらに、図7について説明する。図7に示す接合連結部品84Sは、図4に示す接合連結部品34Sの保持部34aの側面を絶縁性のある樹脂またはビニルテープなどの絶縁部材84cによって被覆したものである。つまり、ここでは、接合連結部品84Sのうち、配線基板15および応力緩和部材20と電気的に接続するための部分以外の少なくとも一部を絶縁部材84cによって被覆することによって、接合連結部品84Sどうし、または、隣接する電子部品本体10と接合連結部品84Sとが接触等しても短絡等が発生するといった不具合を防ぐことができ、実装基板1の信頼性、ひいては、実装基板1が取り付けられたデバイスの信頼性を向上させることができる。
【0050】<第3実施形態>図8は、リード部13と、接合連結部品94との接合について説明する断面図である。なお、図8には、それらの方向関係を明確にするため、XYZ直交座標系を付しており、図2と同様な部分については同じ符号を付して説明を省略する。また、ここでは、放熱板11および配線基板15等は図示を省略しているが、第2実施形態と同様に、電子部品3は放熱板11に対して取り付けられ、また、接合連結部品94は、配線基板15のスルーホール21に挿入されてフローはんだ付けによって配線基板15の基板配線に接合し、固定されている。
【0051】図8に示すように、接合連結部品94は、単なる棒状の部品であり、接合連結部品94とリード部13とが、可撓性または高粘性、および導電性とを有する応力緩和部材20によって機械的、電気的に接続されている。なお、ここでは、応力緩和部材20とリード部13、および応力緩和部材20と接合連結部品94とは、密着して接続されることによって、電気伝導性が確保され、応力緩和部材20および接合連結部品94が電気的に接続されて実装用部品55を形成し、また、電子部品3、応力緩和部材20、および接合連結部品94のすべてが電気的に接続されて実装用デバイス9を形成し、配線基板15に対して実装されている。このように、接合連結部品94の構造を簡単なものとすることで、接合連結部品94を容易に製作することができる。
【0052】<第4実施形態>図9は、リード部13と、接合連結部品94との接続について説明する図であり、図9(a)および図9(b)はそれぞれ正面断面図および下面図を示している。なお、図9には、それらの方向関係を明確にするため、XYZ直交座標系を付しており、図2と同様な部分については同じ符号を付して説明を省略する。また、ここでは、放熱板11および配線基板15等は図示を省略しているが、第2実施形態と同様に、電子部品3は放熱板11に対して取り付けられ、また、接合連結部品94は、配線基板15のスルーホール21に挿入されてフローはんだ付けによって配線基板15に接合されている。ここでは、図示するように、応力緩和部材20を抱持するための円筒状の抱持部品100が接合連結部品94とは別に設けられており、応力緩和部材20が充填された抱持部品100の両端からリード部13と接合連結部品94とが挿入されたような状態で、リード部13と、接合連結部品94とが応力緩和部材20によって接続される。なお、ここでは、応力緩和部材20と電子部品3、および応力緩和部材20と接合連結部品94とは、第1実施形態と同様に、密着して、電気的、機械的に接続されることによって、電気伝導性が確保され、応力緩和部材20、接合連結部品94、および抱持部品100が一まとまりとなって実装用部品115を形成し、また、電子部品3、応力緩和部材20、接合連結部品94、および抱持部品100が一まとまりとなって実装用デバイス110を形成し、配線基板15に対して実装されている。
【0053】このように、リード部13と接合連結部品94とを接続するための応力緩和部材20を抱持する円筒状の抱持部品100を接合連結部品94とは別に設けることによって、各部品の形状が簡単なものとなり、部品の製作が容易となる。また、抱持部品100には、導電性が要求されないため、応力緩和部材20を流れる電流量等によって決まる発熱量によって、抱持部品100に金属やセラミックスやプラスチックスなどを含めた多様な材料を用いることができる。例えば、抱持部品100として透明なプラスチックス等を使用し、応力緩和部材20の量を少なくして、抱持部品100とリード部13、および抱持部品100と接合連結部品94との間の応力緩和部材20を適度に薄くすることにより、応力緩和部材20が透明でない場合にも、リード部13と接合連結部品94との位置関係が透けて見えるようにすることができるため、位置関係を確認しつつ応力緩和部材20によって接続することができる。なお、ここでは、応力緩和部材20の量は透けて見えるようにするための量と、必要な可撓性等に応じた量とのバランスから決定される。
【0054】図10には、図9に示す接合連結部品94に突起部95stを設けたものの断面図を示しており、図10(a)および図10(b)は、それぞれ正面断面図および下面図を示す。なお、ここでも、方向関係を明確にするため、XYZ直交座標系を付しており、図9と同様な部分については同じ符号を付して説明を省略する。図10に示す接合連結部品95には、突起部95stが設けられており、リード部13と接合連結部品95とを応力緩和部材20によって接続する際に、例えば、抱持部品100に充填された応力緩和部材20に接合連結部品95を挿入していくと、抱持部品100に対して突起部95stが引っ掛かる。つまり、突起部95stが、当該接合連結部品95Sに対する抱持部品100の据え付け位置を決定するストッパー(第2のストッパー)として働くため、抱持部品100の接合連結部品95に対する据え付け位置を容易に決定することができるため、作業効率を向上させることができる。
【0055】図11には、図10に示す突起部95stを、筒状の抱持部品100の内側に対して隙間なくはめ込む形状とした突起部96stを設けたものを図11に示しており、図11(a)および図11(b)は、それぞれ正面断面図および下面図を示す。なお、ここでも、方向関係を明確にするため、XYZ直交座標系を付しており、図10と同様な部分については同じ符号を付して説明を省略する。図11に示すように、リード部13と接合連結部品96とを応力緩和部材20によって接続する際に、例えば、抱持部品100に充填された応力緩和部材20に接合連結部品96を挿入していき、接合連結部品96の突起部96stを抱持部品100に填め込むことによって、当該接合連結部品96に対する抱持部品100の据え付け位置を容易に決定することができる。また、ここでは、抱持部品100に対して接合連結部品96の突起部96stをはめ込んむことで抱持部品100と突起部96stとの隙間を無くすことにより、接合連結部品96と抱持部品100とが容器を形成するため、ゲル状等の多少流動性のある応力緩和部材20であっても抱持部品100の内部で抱持することができ、応力緩和部材20に使用される材料の選択の幅を広げることができる。
【0056】以上、第4の実施形態では、第1または第2の実施形態のように接合連結部品に保持部14a、34a、64a、74aを設けたような複雑な構造とすることなく、接合連結部品94,95,96と抱持部品100との別部品で構成することによって、多様な材料を用いた抱持部品100を使用することができ、かつ、各部品の形状が簡単なものとなるため、接合連結部品94,95,96および抱持部品100を容易に製作することができる。さらに、接合連結部品94,95,96が抱持部品100と別部品であり、もともと簡単な形状であるため、図10および図11に示すように、突起部95st,96st等(第2のストッパー)を付加することが容易に可能なため、多様な応力緩和部材20に適した接合連結部品95,96と抱持部品100との組合せとすることが低コストで可能となる。
【0057】<変形例>以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0058】例えば、上述した実施形態では、保持部14a、34a、64a、74aの形状は円筒状の容器であったが、これに限られるものではなく、接続されたリード部13の形状や、配線基板15に対して実装される各電子部品本体10の配置およびスペースの関係等から、必要に応じて適宜形状を変化させたものであっても良い。
【0059】また、上述した第2実施形態では、1つの放熱板11に取り付けられる複数の電子部品本体10のうち隣接する電子部品本体10どうしを結ぶ線がすべて配線基板15に対して平行とならないようにしていたが、これに限られるものではなく、少なくとも1以上の隣接する電子部品本体10どうしを結ぶ線が配線基板15に対して平行とならないようにすることによっても、複数の電子部品本体10を1つの放熱板11に対して疎に取り付けることができるため、放熱板11による電子部品本体10の冷却効果を向上させることができる。
【0060】また、上述した第2実施形態では、1つの放熱板11に取り付けられる複数の電子部品3のすべてに対して、Z方向への配線基板15と電子部品本体10との距離を、リード部13のZ方向への長さよりも長くしていたが、これに限られるものではなく、1つの放熱板11に取り付けられる複数の電子部品3のうちの少なくとも1以上の電子部品3に対して、Z方向への配線基板15と電子部品本体10との距離を、リード部13のZ方向への長さよりも長くすることによっても、放熱板11の放熱能力を有効に活用することができる。
【0061】また、上述した第3および第4実施形態を示す図8から図11においては、接合連結部品94,95,96に、当該接合連結部品94,95,96と配線基板15との接合位置を決定する第1のストッパーとして働く部分が設けられていなかったが、これに限られるものではなく、接合連結部品94,95,96と配線基板15との接合位置を決定する第1のストッパーとして働く突起部を図5に示す突起部64stと同様に接合連結部品94,95,96に設けることによって、配線基板15に対する接合連結部品94,95,96の接合が容易となるため、接合作業の効率を向上させることができる。また、接合連結部品95については、第1のストッパーとして働く突起部を新たに設けることなく、第2のストッパーとして働く突起部95stを、接合連結部品95と配線基板15との接合位置を決定する第1のストッパーとしても働かせることによって、1つの突起部95stで配線基板15に対する接合連結部品95の接合位置の決定と、抱持部品100の接合連結部品95に対する据え付け位置の決定とを行うような構造とすることで、接合連結部品95の形状が簡単なものとなるため、接合連結部品95を容易に製作することができる。
【0062】また、上述した実施形態では、放熱板11に複数の電子部品3が取り付けられていたが、これに限られるものではなく、放熱板11に1つの電子部品3が取り付けられた場合でも、電子部品本体10自体の発熱によるリード部13の膨張収縮による変形応力が生じるが、応力緩和部材20が変形することによって生じた変形応力を緩和することができるため、放熱板11に取り付けられた電子部品3のリード部13の折れや、電子部品3が実装された配線基板15の基板配線の剥離の発生しない実装基板1を提供することができる。
【0063】また、上述した実施形態では、配線基板15のスルーホール21に接合連結部品を挿入して接合することによって電子部品3を配線基板15に対して固定するリードスルー実装タイプの実装基板1について示したが、これに限られるものではなく、配線基板にスルーホールを設けることなく、配線基板の表面の基板配線に対して接合連結部品を接合して電子部品3を固定する表面実装タイプの実装基板であっても良い。
【0064】図12は、表面実装タイプの実装基板1Aの一部を例示する模式図である。なお、ここでは、図を見易くするために電子部品3の電子部品本体10および放熱板11の図示を省略している。また、図13は、図12に示した実装基板1Aのうち接合連結部品120周辺に注目し、リード部13、応力緩和部材20、抱持部品200、および接合連結部品120のみを示した模式図であり、図13(a)は断面模式図、図13(b)は底面図を示している。なお、図12および図13では、方向関係を明確にするため、XYZ直交座標系を付している。
【0065】図12に示すように、図1および図2などで示した実装基板1とは異なり、配線基板15Aにはスルーホール21が設けられておらず、配線基板15Aの表面に設けられた基板配線15C上に、接合連結部品120の十字型の板状の十字底面120TがはんだペーストHPによって固定されている。ここでは、図12および図13に示すように、接合連結部品120は、十字底面120Tと、十字底面120Tの中央から配線基板15Aとは逆側に設けられた棒部120Bと、棒部120Bの途中に設けられた突起部120stとから構成されている。なお、接合連結部品120を配線基板15Aに対して固定する際には、十字底面120TのX方向およびY方向への長さが長い方が接合連結部品120の安定を図ることができるが、基板配線15Cのパターンの幅が狭くなった場合は、十字底面120Tと隣のパターンとの接触を避けるため、十字底面120TのX方向およびY方向の長さを短くしたものを用いることも可能である。具体的には、X方向のパターンの幅が狭くなった場合などは、図13(b)に示すように、十字底面120TのX方向の長さをY方向の長さと比べて短くすることも可能である。
【0066】ここでは、図12および図13に示すように応力緩和部材20を抱持するための円筒状の抱持部品200が接合連結部品120とは別に設けられており、応力緩和部材20が充填された抱持部品200の両端からリード部13と接合連結部品120とが挿入されたような状態で、リード部13と、接合連結部品120とが応力緩和部材20によって接続される。なお、ここでは、突起部120stが筒状の抱持部品200の内側に対して隙間なくはめ込まれた状態となっている。
【0067】また、ここでは、応力緩和部材20と接合連結部品120とは、上述した実施形態と同様に、密着して、電気的、機械的に接続されることによって、電気伝導性が確保され、応力緩和部材20、接合連結部品120、および抱持部品200が一まとまりとなって実装用部品205を形成している。
【0068】したがって、図12および図13に示す表面実装タイプの配線基板15Aにおいては、配線基板15Aの表面の基板配線15Cに固定された接合連結部品120と、放熱板11に取り付られた電子部品3のリード部13とを導電性および可変形性を有する応力緩和部材20を介して接続することにより、リード部13、および配線基板15Aに対してリード部13が固定された箇所の周辺に生じる変形応力を応力緩和部材20が変形することによって緩和することができるため、放熱板11に取り付けられた電子部品3のリード部13の折れや、電子部品3が実装された配線基板15Aの基板配線15Cの剥離といった不具合を防止することができる。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明によれば、配線基板の基板配線に固定された接合連結部品と、放熱板に取り付けられた電子部品のリード部とを、導電性および可変形性を有する応力緩和部材を介して接続することにより、リード部、および配線基板に対してリード部が固定された箇所の周辺に生じる変形応力を応力緩和部材が変形することによって緩和することができるため、放熱板に取り付けられた電子部品のリード部の折れや、電子部品が実装された配線基板の基板配線の剥離の発生しない実装基板を提供することができる。
【0070】また、請求項2の発明によれば、配線基板の基板配線に固定された複数の接合連結部品と、1つの放熱板に対して取り付けられた複数の電子部品のリード部とを、導電性および可変形性を有する応力緩和部材で接続することによって、リード部、および配線基板に対してリード部が固定された箇所の周辺に生じる変形応力を応力緩和部材が変形することによって緩和することができるため、放熱板に取り付けられた電子部品のリード部の折れや、電子部品が実装された配線基板の基板配線の剥離の発生しない実装基板を提供することができる。さらに、複数の電子部品本体のうち隣接する電子部品本体を結ぶ線が配線基板が形成する面に対して平行とならないようにすることによって、複数の電子部品本体を1つの放熱板に対して疎に取り付けることができるため、複数の電子部品本体から放熱板に伝導する熱どうしの干渉を低減することができる。したがって、放熱板の放熱の効率を高めることができるため、同じ放熱に必要な放熱板の大きさを比較的小さくすることができ、放熱板に要する材料費の削減を図ることができる。
【0071】また、請求項3の発明によれば、配線基板に対する垂直な方向への配線基板と電子部品本体との距離を、リード部の配線基板に対する垂直な方向への長さよりも長くすることによって、電子部品本体から放熱板に熱が伝導する位置から放熱板の端部までの距離を長くすることができるため、放熱板の放熱能力の有効活用、および、放熱板の製作に必要な材料費の削減を図ることができる。
【0072】また、請求項4の発明によれば、接合連結部品に応力緩和部材を保持する容器である保持部を設けることによって、多少流動性のある応力緩和部材も接合連結部品に保持することができるため、応力緩和部材に用いる材料の選択の幅を広げることができる。
【0073】また、請求項5の発明によれば、接合連結部は、保持部の底面から突設されて配線基板のスルーホールに固定される棒部を備え、配線基板に対して接合連結部品を接合する際に、接合連結部品に設けた保持部が、接合位置を決定する第1のストッパーとして働くことによって、配線基板に対する接合連結部品の接合作業を容易に行うことができる。
【0074】また、請求項6の発明によれば、配線基板に対して接合連結部品を接合する際に接合位置を決定するための第1のストッパーを、接合連結部品の棒部に設けることによって、接合連結部品の長さを長くした場合においても、保持部を小さくすることができるため、接合連結部品の形状が簡易なものとなり、接合連結部品の加工が容易に実施でき、かつ、保持部内の容積の減少に伴って応力緩和部材の使用量も低減することができる。したがって、コスト低減を図ることができる。
【0075】また、請求項7の発明によれば、リード部と接合連結部材とを接続するための応力緩和部材を抱持する筒状の抱持部品を接合連結部品とは別部品として設けることによって、各部品の形状が簡単なものとなり、部品を容易に製作することができる。また、抱持部品には、導電性が要求されないため、応力緩和部材を流れる電流量によって決まる発熱量によって、抱持部品に多様な材料を用いることができる。
【0076】また、請求項8の発明によれば、接合連結部品に対する抱持部品の据え付け位置を決定するための第2のストッパーを接合連結部品に設けることによって、抱持部品の接合連結部品に対する据え付け位置を容易に決定することができるため、作業効率を向上させることができる。
【0077】また、請求項9の発明によれば、接合連結部品を筒状の抱持部品の内壁側に対して隙間なくはめ込むような形態とすることによって、接合連結部品と抱持部品とが容器を形成するため、多少流動性を有する応力緩和部材であっても抱持部品の内側で抱持することができ、応力緩和部材に使用される材料の選択の幅を広げることができる。
【0078】また、請求項10の発明によれば、配線基板に対して接合連結部品を接合する際に、接合位置を決定するための第1のストッパーを接合連結部品に設けることによって、配線基板に対する接合連結部品の接合が容易となるため、接合作業の効率を向上させることができる。
【0079】また、請求項11の発明によれば、接合連結部品のうち、配線基板および応力緩和部材とそれぞれ電気的に接続するための部分以外の少なくとも一部を絶縁部材によって被覆することによって、接合連結部品と他の部品等とが接触しても、短絡等が発生するといった不具合を防ぐことができ、実装基板の信頼性、ひいては、実装基板が取り付けられたデバイスの信頼性を向上させることができる。
【0080】また、請求項12の発明では、請求項1に記載の発明と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態に係る実装基板の一部を示す斜視図である。
【図2】 図1に示す実装基板の一部を示す断面模式図である。
【図3】 第2実施形態に係る実装基板の一部を示す正面模式図である。
【図4】 接合連結部品周辺の構造を説明する図である。
【図5】 接合連結部品周辺の構造を説明する図である。
【図6】 接合連結部品周辺の構造を説明する図である。
【図7】 接合連結部品周辺の構造を説明する図である。
【図8】 第3実施形態に係るリード部と接合連結部品との接続について説明する図である。
【図9】 第4実施形態に係るリード部と接合連結部品との接続について説明する図である。
【図10】 リード部と接合連結部品との接続について説明する図である。
【図11】 リード部と接合連結部品との接続について説明する図である。
【図12】 表面実装タイプの実装基板の一部を例示する模式図である。
【図13】 図12に示した実装基板の接合連結部品周辺を示す模式図である。
【図14】 電子部品が放熱板に取り付けられている従来例を示す斜視図である。
【図15】 従来の実装基板を示す斜視図である。
【図16】 従来の実装基板を示す断面図である。
【図17】 大型の放熱板に複数の電子部品が取り付けられて、配線基板に実装されている実装基板の一部の従来例を示す正面模式図である。
【符号の説明】
1 実装基板、2,2S,2L,9,110 実装用デバイス、3 電子部品、5,5S,5L,55,115,205 実装用部品、10 電子部品本体、11 放熱板、13 リード部、14,34S,34L,64S,74S,84S,94,95,96,120 接合連結部品、14a,34a,64a,74a 保持部、15,15A 配線基板、15C 基板配線、20 応力緩和部材、64st,95st,96st 突起部、74d 段差部、84c 絶縁部材、100,200 抱持部品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 配線基板と、前記配線基板の基板配線に固定された接合連結部品と、放熱板に取り付けられた電子部品本体と、前記電子部品本体から突設され、前記電子部品本体と外部との電気的接続を行うためのリード部とを有する電子部品と、前記接合連結部品と前記リード部とを接続する導電性および可変形性を有する応力緩和部材と、を備えることを特徴とする実装基板。
【請求項2】 配線基板と、前記配線基板の基板配線に固定された複数の接合連結部品と、放熱板に取り付けられた複数の電子部品本体と、前記複数の電子部品本体から突設され、前記複数の電子部品本体と外部との電気的接続を行うための複数のリード部とを有する複数の電子部品と、前記複数の接合連結部品と前記複数のリード部とを接続する導電性および可変形性を有する応力緩和部材と、を備え、前記複数の電子部品本体のうち隣接する電子部品本体どうしを結ぶ線が前記配線基板の形成する面に対して平行でないことを特徴とする実装基板。
【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の実装基板であって、前記配線基板に対する垂直な方向への当該配線基板と前記電子部品本体との距離が、前記リード部の前記配線基板に対する垂直な方向への長さよりも長いことを特徴とする実装基板。
【請求項4】 請求項1から請求項3のいずれかに記載の実装基板であって、前記接合連結部品が、前記応力緩和部材を保持する容器である保持部を備えることを特徴とする実装基板。
【請求項5】 請求項4に記載の実装基板であって、前記接合連結部品は、前記保持部の底面から突設され前記配線基板のスルーホールに固定される棒部をさらに備え、前記保持部が、前記接合連結部品と前記配線基板とを接合する際に、当該接合連結部品と前記配線基板との接合位置を決定する第1のストッパーとして働くことを特徴とする実装基板。
【請求項6】 請求項4に記載の実装基板であって、前記接合連結部品は、前記保持部の底面から突設され前記配線基板のスルーホールに固定される棒部をさらに備え、前記棒部が、前記接合連結部品と前記配線基板とを接合する際に、当該接合連結部品と前記配線基板との接合位置を決定する第1のストッパーを備えることを特徴とする実装基板。
【請求項7】 請求項1から請求項3のいずれかに記載の実装基板であって、前記接合連結部品とは別部品として、前記応力緩和部材を抱持するための筒状の抱持部をさらに備えることを特徴とする実装基板。
【請求項8】 請求項7に記載の実装基板であって、前記接合連結部品が、当該接合連結部品に対する前記抱持部の据え付け位置を決定するための第2のストッパーを備えることを特徴とする実装基板。
【請求項9】 請求項7または請求項8に記載の実装基板であって、前記接合連結部品を前記抱持部の内壁側に対して隙間なくはめ込むことを特徴とする実装基板。
【請求項10】 請求項7から請求項9のいずれかに記載の実装基板であって、前記接合連結部品が、当該接合連結部品と前記配線基板とを接合する際に、当該接合連結部品と前記配線基板との接合位置を決定する第1のストッパーを備えることを特徴とする実装基板。
【請求項11】 請求項1から請求項10のいずれかに記載の実装基板であって、前記接合連結部品のうち、前記配線基板および前記応力緩和部材とそれぞれ電気的に接続するための部分以外の少なくとも一部が絶縁部材によって被覆されていることを特徴とする実装基板。
【請求項12】 電子部品本体と、前記電子部品本体から突設され、前記電子部品本体と外部との電気的接続を行うためのリード部とを有する電子部品を、配線基板に実装するための実装用部品であって、前記配線基板の基板配線に固定するための接合連結部品と、前記接合連結部品と前記リード部とを接続する導電性および可変形性を有する応力緩和部材と、を備えることを特徴とする実装用部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図14】
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【図11】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2003−229187(P2003−229187A)
【公開日】平成15年8月15日(2003.8.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−28258(P2002−28258)
【出願日】平成14年2月5日(2002.2.5)
【出願人】(500104233)エヌイーシー三菱電機ビジュアルシステムズ株式会社 (22)
【Fターム(参考)】