説明

実装配線体、ヘッド配線体、ヘッドスタックアセンブリ、電子機器、およびヘッドスタックアセンブリの製造方法

【課題】 HDDの信号の高速伝送を低ロスで実現することができ、かつ製造コストが低い、実装配線体等を得る。
【解決手段】 実装配線体3は、ヘッドスタックアセンブリ50に用いられための、実装用のフレキシブルプリント配線板の配線体であって、フレキシブルプリント配線板は、折り曲げ部と、ヘッドの側の端を構成する端子部とを備え、その折り曲げ部が、フレキシブルプリント配線板の板面を、アームの側面と上面または下面とにおける一方面から他方面へと移行させるための折り曲げ部であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装配線体、ヘッド配線体、ヘッドスタックアセンブリ、電子機器、およびヘッドスタックアセンブリの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクドライブ(HDD)は、ヘッドを磁気ディスク上の任意の位置に移動させるアクチュエータを備える。アクチュエータは、ボイスコイルモータ(VCM)によって駆動され、揺動軸を中心として揺動することによって、ヘッドを磁気ディスクの半径方向に移動させる。これによってヘッド内のヘッド素子部が、磁気ディスクにおける任意のトラックにアクセスして、データの読み出し/書き込み処理を行うことができる。
ヘッドを保持し、磁気ディスク上の任意の位置に移動する部品複合体は、ヘッドスタックアセンブリ(HSA:Head Stack Assembly)と呼ばれる。ヘッドスタックアセンブリは、VCMコイル、サスペンション(ヘッド、ジンバル、フレキシブルプリント配線体であるヘッド配線体など)、アーム、軸受けユニット、およびフレキシブルプリント配線板である実装配線体など、から構成される(特許文献1)。
【0003】
上記の部品のうち、サスペンションは、ヘッドを保持するジンバルを支持する板状部品(ロードビーム、マウントプレート)などの弾性金属薄板を含む機械部品と、ヘッドとの間で信号を伝達するフレキシブルプリント配線板であるヘッド配線体とを備える。ヘッド配線体は、ヘッドと、プリアンプを搭載するフレキシブルプリント配線板である実装配線体とを電気的に接続する。ヘッドとの間の信号は、この実装配線体および筐体のボードに固定されたコネクタを経て、電子回路へと伝えられる。このコネクタが、実装配線体に実装される構成(コネクタ実装配線体)、または、コネクタは実装配線体と別体で、コネクタは実装配線体の端子部と接続される構成(コネクタ別体)がある。サスペンションは、比較的厚みのある金属板で形成された三角形状のアームに取り付けられる。アームは、上記のアクチュエータによって駆動されて、揺動軸の周りを回転する。
実装配線体は、少なくともプリアンプを実装するフレキシブルプリント配線板であり、上記コネクタ実装配線体の場合には、HDDの筐体のボードに、コネクタ等が実装された板状の端子部が固定される。そのコネクタの実装部から、筐体のボード面に幅方向を立てるようにして、フレキシブルプリント配線体の屈曲部(余裕長さ部分)はアームの側面部へと延び、その面をアームの側面部に沿わせる。コネクタ別体の場合は、実装配線体の幅方向が筐体のボードに立つように、別体のコネクタの端子部が設けられ、その端子部に当該実装配線体の端子が接続される。アーム側面部へと延びる屈曲部などの構造は、コネクタ実装配線体の場合と同じである。
実装配線体には、この側面部において、ヘッド配線体からの信号を増幅するために、上記のプリアンプが搭載される。ヘッドに接続されてアームの側縁部を伝って延在するヘッド配線体と、実装配線体とは、アームの側面部において端子同士が接続される。プリアンプは、実装配線体上、アームの側面部に沿って、横向き、すなわちプリアンプ裏面をアーム側面に沿わせて配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−4513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
HDDの今後の大きな開発課題として、ヘッドの微細な位置制御、信号の高速伝送、および低コスト化、がある。限られたスペースでのヘッドの微細な位置制御とヘッドとの間の信号の高速伝送を両立させるには、ヘッドと、プリアンプとの間の配線増と微細化、グランド(GND(接地))を強化して伝送ロスを少なくするという課題を満たす必要がある。従来のヘッドスタックアセンブリでは、上記の問題の他に、製造コスト低減を推進するための改良が求められている。
本発明は、HDDの信号の高速伝送を低ロスで実現することができ、かつ製造コストが低い、ヘッドスタックアセンブリ、そこに用いられる実装配線体、ヘッド配線体、電子機器、およびヘッドスタックアセンブリの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実装配線体は、磁気ディスクを記録媒体とするHDDにおいて、ヘッドおよびアームを含むヘッドスタックアセンブリに用いられるための、実装用のフレキシブルプリント配線板の配線体である。このフレキシブルプリント配線板は、折り曲げ部と、ヘッドの側の端を構成する端子部とを備え、その折り曲げ部が、フレキシブルプリント配線板の板面を沿わせる面を、アームの側面と、上面または下面と、における、一方面から他方面へと移行させるための折り曲げ部であることを特徴とする。
【0007】
上記の構成によれば、実装配線体は、アームの側面部からアームの上面または下面に乗り移って、ヘッドに向かって延在することができる。この結果、ヘッド配線体(トレースまたはフレキシャ)の長さを短くすることができる。これによってGND強化を安価に実現でき、信号の高速伝送におけるロスを少なくすることができる。また、高価なヘッド配線体の使用量を低減することで、製造コストを下げることができる。
本発明の実装配線体やヘッドスタックアセンブリ等については、次のことを前提としている。すなわち、本発明のHDDは磁気ディスク1枚だけを用いる装置を対象とする。このため、アームまたはヘッド支持体の上面もしくは下面でのヘッド配線体(フレキシャなど)との接続は、特定の1つのヘッドの信号のみを増幅することになるが(プリアンプがアーム側面部に配置された場合でも)、これは阻害要因にはならない。本発明が対象とするHDDでは、磁気ディスク1枚のみに対応した構成をとるからである。近年の磁気ディスクのデータ記憶容量の増大は、一枚の磁気ディスクで対処可能な用途を大きくしている。本発明は、一枚の磁気ディスクで対処可能な用途を対象として、信号の高速伝送を、安価に、実現する機構を提案するものである。
【0008】
上記以外の利点は次のとおりである。
従来は、ヘッド配線体を、揺動軸付近のアーム側面部まで、アームに沿わせるために、ヘッド配線体を固定する部品または機構を必要とした。上記の構成では、ヘッド配線体は、先端部に限定されるので、固定部品や固定機構は不要となる。これによって、さらに製造コストを削減することができる。
【0009】
なお、折り曲げ部とは、配線体が平面的に見て2箇所の曲がり部を有し、その2箇所の曲がり部の間の部分をさす。たとえば、斜めに延在する配線部分Cの一方の端に当該Cに交差して一方側に延びる配線部A、Cの他方の端に配線部Aと逆方向に延びる配線部Bがある場合、配線体(A/C/B)は、折り曲げ部Cを持つことになる。このときAとBとは平行である必要はないが、ほぼ並行する場合が多い。すなわち、平面的に見て、AからCへの曲がりは、CからBへの曲がりによって元に戻される形態をとる。折り曲げ部Cの一箇所で立体的に折れて(または重複するように折れて)、一方の面から他方の面に移行する。換言すれば、上記の配線体は、その接する面を折り曲げ部Cの中の折れ線において、一方の面から他方の面に変える。
【0010】
フレキシブルプリント配線板は、プリアンプを搭載するように作られたプリアンプ搭載部を有し、プリアンプ搭載部が、ヘッド側端子部と折り曲げ部との間に位置するか、または折り曲げ部を基準にヘッド側端子部と反対側に位置する構成をとることができる。これによれば、(1)アームの上面もしくは下面にプリアンプを搭載するか、または(2)アーム側面にプリアンプを搭載することができる。これによって、このあと説明する製造方法において工程省略などを実現でき、この点からも製造コストの削減を得ることができる。また、上記(1)の場合には、(2)の場合に比べて、プリアンプ搭載部の幅が大きいと、アームを貫通する揺動軸の高さを大きくする必要がある。この結果、HDDの厚肉化を招くおそれがある。(1)の構成によれば、プリアンプ搭載部の幅に関係なく揺動軸の高さを決めることができるので、プリアンプ搭載部に起因するHDDの厚み増大の可能性は除かれる。また(2)の場合は、従来の経験を生かしながら、実装配線体をアームの先まで延ばすことの利点を得ることができる。
【0011】
ヘッドおよびアームは磁気ディスクの上面側に位置し、ヘッドはアームの下面側で磁気ディスクの上面にアクセスするものであり、フレキシブルプリント配線板(実装配線体)は、アームの側面部に当該フレキシブルプリント配線板の板面を沿わせて、折り曲げ部で、側面部からアームの上面に移行する構成をとることができる。これによって、ヘッド配線体の短縮などの利点に加えて、アームと実装配線体とを一体化して進めるアーム組み立て工程と、ヘッド、ヘッド配線体などを含むサスペンションの組み立て工程とを並行させて、最後にその両者を結合するという、簡単な製造方法となる。この結果、製造コストを低減することができる。
なお、上および下の関係は、磁気ディスクを嵌め込む方向を上から下への方向とする。したがって、磁気ディスクを装着する軸は、上向きに立っている。ただし、「下面上」に搭載するなどの表現については、本発明の趣旨にしたがって解釈すべきであり、当然、「下面」に接触して、または「下面」に沿って搭載する、と解釈するべきである。また、下面を裏面、上面を表面と記すこともある。
【0012】
ヘッドおよびアームは磁気ディスクの上面側に位置し、ヘッドはアームの下面側で磁気ディスクの上面にアクセスするものであり、フレキシブルプリント配線板(実装配線体)は、アームの側面部に当該フレキシブルプリント配線板の板面を沿わせて、折り曲げ部で、アームの下面に移行する構成をとることができる。これによって、上記の簡単な製造方法をとることができ、製造コストを低減することができる。また、ヘッド配線体に折り曲げ部を設けることなく、実装配線体との電気的接続を得ることができる。このため、ヘッド配線体を短く、しかも直線状(折り曲げ部なし)とできるので、高速信号伝送の特性向上に大きく寄与することができる。
【0013】
ヘッドおよびアームは磁気ディスクの下面側に位置し、ヘッドはアームの上面側で磁気ディスクの下面にアクセスするものであり、フレキシブルプリント配線板(実装配線体)は、アームの側面部に当該フレキシブルプリント配線板の板面を沿わせて、折り曲げ部で、アームの上面に移行する構成をとることができる。これによって、上記の簡単な製造方法をとることができ、製造コストを低減することができる。また、ヘッド配線体に折り曲げ部を設けることなく、実装配線体との電気的接続を得ることができる。このため、ヘッド配線体を短く、しかも直線状とできるので、高速信号伝送の特性向上に大きく寄与することができる。
【0014】
プリアンプ搭載部は、アームの上面もしくは下面に位置するか、またはアームの側面部に位置することができる。これによって、実装配線体をアーム側面部から折り曲げ部を経てアームの上面もしくは下面に乗り移らせて、プリアンプは、アームの上面もしくは下面に配置するか、またはアーム側面に配置することができる。どちらの場合も製造工程は、簡単化することができる。アームの上面もしくは下面にプリアンプを配置する場合は、上述のようにHDDの厚肉化を抑制することができる。また、アーム側面部にプリアンプを配置する場合は、従来の経験を生かして、たとえば従来の部品等を一部使用できる利点を有する。
【0015】
本発明のヘッド配線体は、磁気ディスクを記録媒体とするHDDにおいて、ヘッド、アームおよび前記アームの先に取り付けられて前記ヘッドを支持するヘッド支持体を含むヘッドスタックアセンブリ(HSA:Head Stack Assembly)に用いられるための、ヘッドと、アームの根本側に配置される実装用のフレキシブルプリント配線板である実装配線体とを電気的に接続するフレキシブルプリント配線板である。このヘッド配線体は、ヘッドへの接続端と、実装配線体への接続端との間に、ヘッド支持体の下面および上面における一方の面から他方の面へと各面に沿って移行するための表裏面移行の折り曲げ部が形成されていることを特徴とする。
実際のHDDにおける具体的な構成としては、次のようになる。ヘッドおよびアームは磁気ディスクの上面側に位置し、ヘッドはアームの下面側で磁気ディスクの上面にアクセスするものであり、実装配線体は、アームの上面にそのフレキシブルプリント配線板の板面を沿わせ、ヘッド配線体は、アームの下面側に当たるヘッド支持体の下面側でヘッドと接続され、表裏面移行の折り曲げ部で、ヘッド支持体の下面側から上面側に移行して、実装配線体と接続される構成をとることができる。
【0016】
上記の構造によって、ヘッド配線体は、ヘッド支持体(ロードビーム、マウントプレートなど)の下面側から上面側に移行して、アーム上面上に位置する実装配線体の端子部との接続がとられる。この結果、アームの側縁部を伝ってピボット辺まで延在する、長いヘッド配線体とならないので、高価な微細フレキシブルプリント配線板を大幅に短縮することができる。この結果、ヘッド配線体の部品コストを下げることができる。また、アームの側縁部に沿ってフレキシブルプリント配線板を這わせるための特別の部品、樹脂やヒンジにより固定する機構などを要しないので、このための部品コストおよび取り付け工数を削減することができる。
また、上述の作用効果に加えて、従来のヘッドスタックアセンブリの製造で用いられた接続方法、たとえば、はんだ接続、金めっき端子の超音波接続、異方導電性薄膜(ACF:Anisotropic Conductive Film)などによる接続が可能である利点を有する。
【0017】
本発明の別のヘッド配線体は、磁気ディスクを記録媒体とするHDDにおいて、ヘッド、アームおよび前記アームの先に取り付けられて前記ヘッドを支持するヘッド支持体を含むヘッドスタックアセンブリに用いられるための、ヘッドと、アームの根本側に配置される実装用のフレキシブルプリント配線板である実装配線体と、を電気的に接続するフレキシブルプリント配線板の配線体である。このヘッド配線体は、ヘッドへの接続端と、実装配線体への接続端との間では、当該配線体の板面を沿わせるヘッド支持体の面が同一面であり、沿わせる面を変更するための折り曲げ部を備えないことを特徴とする。
実際のHDDにおける具体的な構成としては、次の(1)または(2)の構成をとることができる。
(1)ヘッドおよびアームは磁気ディスクの上面側に位置し、ヘッドはアームの下面側で磁気ディスクの上面にアクセスするものであり、ヘッド配線体は、アームの下面側に当たるヘッド支持体の下面側でヘッドと接続され、該ヘッド配線体の接続端と、実装配線体とは、ヘッド支持体の下面側において接続されている構成。
(2)ヘッドおよびアームは磁気ディスクの下面側に位置し、ヘッドはアームの上面側で磁気ディスクの下面にアクセスするものであり、ヘッド配線体は、アームの上面側に当たるヘッド支持体の上面側でヘッドと接続され、該ヘッド配線体の接続端と、実装配線体とは、ヘッド支持体の上面側において接続されている構成。
【0018】
上記の構成によれば、ヘッド配線体(フレキシャ、トレース)を画期的に短くすることができ、かつ折り曲げ部をもたない。このため、高速信号伝送の特性向上に大きく寄与することができる。製造プロセスの簡単化、部品点数の削減等による製造コストの低減は、言うまでもなく得ることができる。
【0019】
本発明のヘッドスタックアセンブリは、磁気ディスクを記録媒体とするHDDにおいて、磁気ディスクの上面側に位置するヘッド、アームおよびアームの先に取り付けられてヘッドを支持するヘッド支持体を備えて該磁気ディスクの上面にアクセスする。このヘッドスタックアセンブリでは、ヘッドは、アームの下面側に当たるヘッド支持体の下面側に位置し、ヘッド支持体の下面において一端をヘッドに接続され、アームの上面側に当たるヘッド支持体の上面に位置する他端を有するヘッド配線体と、アームの上面側において、ヘッド配線体の他端と接続される実装配線体とを備え、ヘッド配線体は、ヘッド支持体の下面および上面における一方の面から他方の面へと各面に沿って移行するための表裏面移行の折り曲げ部において、ヘッド支持体の下面から上面に移行していることを特徴とする。
【0020】
上記の構造によって、ヘッド配線体の配線部は、ヘッド支持体(ロードビーム、マウントプレートなど)の下面側から上面側に移行して、アーム上面上に位置する実装配線体の端子部との接続がとられる。この結果、アームの側縁部に沿ってピボット辺まで延びる、長いヘッド配線体とならないので、大幅に短縮することができる。この結果、ヘッド配線体の部品コストを下げることができる。また、アームの側縁部に沿って配線部を這わせるための特別の部品、樹脂やヒンジにより固定する機構などを要しないので、このための部品コストおよび取り付け工数を削減することができる。
【0021】
本発明の他のヘッドスタックアセンブリは、磁気ディスクを記録媒体とするHDDにおいて、磁気ディスクの上面側に位置するヘッド、アームおよびアームの先に取り付けられてヘッドを支持するヘッド支持体を備えて該磁気ディスクの上面にアクセスする。このヘッドスタックアセンブリでは、ヘッドは、アームの下面側に当たるヘッド支持体の下面側に位置し、ヘッド支持体の下面において一端をヘッドに接続され、アームの下面側に当たるヘッド支持体の下面に位置する他端を有するヘッド配線体と、アームの下面側において、ヘッド配線体の他端と接続される実装配線体とを備え、ヘッド配線体は、一端と他端との間では、当該ヘッド配線体の板面を沿わせるヘッド支持体の面が同一面であり、沿わせる面を変更するための折り曲げ部を備えないことを特徴とする。
さらに別の本発明のヘッドスタックアセンブリは、磁気ディスクを記録媒体とするHDDにおいて、磁気ディスクの下面側に位置するヘッド、アームおよびアームの先に取り付けられてヘッドを支持するヘッド支持体を備えて該磁気ディスクの下面にアクセスする。このヘッドスタックアセンブリでは、ヘッドは、アームの上面側に当たるヘッド支持体の上面側に位置し、ヘッド支持体の上面において一端をヘッドに接続され、アームの上面側に当たるヘッド支持体の上面に位置する他端を有するヘッド配線体と、アームの上面側において、ヘッド配線体の他端と接続される実装配線体とを備え、ヘッド配線体は、一端と他端との間では、当該ヘッド配線体の板面を沿わせる前記ヘッド支持体の面が同一面であり、沿わせる面を変更するための折り曲げ部を備えないことを特徴とする。
【0022】
上記の2つの本発明のヘッドスタックアセンブリでは、実装配線体は、アームの側面部から上面または下面へと移行して、ヘッド側へと延在する。この結果、ヘッド配線体(トレースまたはフレキシャ)の長さを短くすることができる。これによってGND強化を安価に実現でき、信号の高速伝送におけるロスを少なくすることができる。また、高価なヘッド配線体の使用量を低減することで、製造コストを下げることができる。
また、従来は、ヘッド配線体を揺動軸付近のアーム側面部まで、アームに沿わせるために、ヘッド配線体を固定する部品または機構を必要とした。上記の構成では、ヘッド配線体は、先端部に限定されるので、固定する部品または機構は不要となる。これによって、さらに製造コストを削減することができる。
さらに、ヘッド配線体は折り曲げ部を持たず、直線状なので高速信号伝送の特性向上に大きな貢献をすることができる。
【0023】
プリアンプ搭載部は、アームの上面もしくは下面に位置するか、またはアームの側面部に位置することができる。これによって、実装配線体をアーム側面部から折り曲げ部を経てアームの上面もしくは下面に乗せておいて、プリアンプは、アームの上面もしくは下面に配置するか、またはアーム側面に配置することができる。どちらの場合も製造工程は、工程省略などにより簡単化することができる。アームの上面もしくは下面にプリアンプを配置する場合は、上述のようにHDDの厚肉化を抑制することができる。また、アーム側面部にプリアンプを配置する場合は、従来の部品を一部使用できる利点を有する。
また、上述の作用効果に加えて、従来のヘッドスタックアセンブリの製造で用いられた接続方法、たとえば、はんだ接続、金めっき端子の超音波接続、異方導電性薄膜(ACF)などによる接続を用いることができる。
【0024】
本発明の電子機器は、上記のいずれかの実装配線体、いずれかのヘッド配線体、またはヘッドスタックアセンブリ、のいずれか1つを備えることを特徴とする。これによって、信号の高速化に対処しながら、コスト低減をはかった電子機器を得ることができる。
【0025】
本発明のヘッドスタックアセンブリの製造方法は、磁気ディスクを記録媒体とするHDDに用いられるための、ヘッド、アームおよびアームの先に取り付けられてヘッドを支持するヘッド支持体を含むヘッドスタックアセンブリを製造する。この製造方法では、ヘッド支持体に配置されたヘッドに、フレキシブルプリント配線体のヘッド配線体を接続して、サスペンションを形成する工程と、アームに、フレキシブルプリント配線板の実装配線体を取り付ける工程と、実装配線体のアームの上面もしくは下面上上に位置するプリアンプ搭載部、またはアームの側面部に位置するプリアンプ搭載部、にプリアンプを搭載する工程と、実装配線体が取り付けられたアームに軸受けを設ける工程と、軸受けが設けられたアームに、サスペンションを取り付ける工程とを備えることを特徴とする。
【0026】
上記の方法によれば、ヘッド+ヘッド支持体+ヘッド配線体などのサスペンションの製造工程と、アーム+実装配線体(プリアンプ、コネクタ搭載)+軸受けなどのアーム周辺部の製造工程とを、別々に分けて製造することができる。そして、最後に、ヘッド配線体を含むサスペンションと、実装配線体を含むアーム周辺部とを組み合わせることができる。このため、製造工程を簡略化して、製造コストを低減することができる。
【0027】
プリアンプを搭載する前に、ボイスコイルモータコイル(VCMコイル)をアームに固定するか、またはプリアンプを搭載した後であって軸受けを設ける前に、ボイスモータコイル(VMC)をアームに固定することができる。これによって、製造現場のラインの特性に応じて、適切なタイミングにVCMモータを設けることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によって、HDDの信号の高速伝送を低ロスで実現することができ、かつ製造コストが低い、ヘッドスタックアセンブリ、そこに用いられる実装配線体、ヘッド配線体、電子機器、およびヘッドスタックアセンブリの製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態1におけるHSAを用いたHDDを示す図である。
【図2】図1のHSAにおける実装配線体を示す平面図である。
【図3】図1のHSAにおけるヘッド配線体を示す平面図である。
【図4】図1のHSAの断面図である。
【図5】図1に示すHSAの製造方法のフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態2におけるHSAの断面図である。
【図7】図6のHSAにおけるヘッド配線体を示す平面図である。
【図8】本発明の実施の形態3におけるHSAの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるヘッドスタックアセンブリ50を備えるHDD100を示す図である。後で詳しく説明するように、本発明の対象とするHDD100は、1枚の磁気ディスク90を備えるものを対象とする。HDD100は、データを記録する磁気ディスク90と、磁気ディスクとの間で、データの書き込みおよび読み出しを行うヘッド(図1には図示せず)を備えている。ヘッドは、ヘッド支持体(ロードビーム、マウントプレートなど)31に取り付けられて磁気ディスク90に対面している。ヘッド、ヘッド支持体31などは、アーム21の先に取り付けられており、ヘッドとの間で信号の伝送を行う配線体3,5とともにヘッドスタックアセンブリ(HSA)を形成する。HSA50は、ボイスコイルモータ、VCMコイル33等によって駆動されるアクチュエータを構成し、磁気ディスク90の所定の位置へとヘッドを、軸受け19の回りに回転移動させる。ヘッドとの間で信号の伝送を行う配線体は、ともにフレキシブルプリント配線板である、ヘッド配線体5と、実装配線体3である。
HSA50は、ヘッド、ヘッド支持体31、アーム21、軸受け19、VCMコイル33、ヘッド配線体5、実装配線体3などによって構成される。
【0031】
実装配線体3は、HSA50の回転に支障をきたさないように、幅方向をHDDの床面に対して立てた屈曲部3fを持ち、一方の端3bにはコネクタ(図示せず)等を実装して、床面に固定する。図2は、実装配線体3を示す平面図である。コネクタ等を実装する部分は、別体として接続端子同士を接続してもよいし、連続したフレキシブルプリント配線板としてもよい。図1および図2を参照して、実装配線体3は、屈曲部3fから、その配線部の面を回転するアーム側面部Sに沿わせて、折り曲げ部3kの中の一箇所でほぼ直角に折れ曲がり、アーム21の上面に移行(乗り上げ)する。図2において、折り曲げ部3kにおける折れ曲がり線を破線で示す。アーム側面部Sは軸受け回りに位置し、アーム21等と共に回転するため、実装配線体3はアーム側面部Sに局所的に固定されるのがよい。なお、本発明において、アーム側面またはアーム側面部とは、揺動軸19の付近の側面、または平面的に見て磁気ディスク90と揺動軸19との間付近の側面をいう。
折り曲げ部3kは、ほぼ並行する端子部3a,3bを含む両端の部分に対して斜めに交差するように接続しており、上述のA/C/BのCに当たる。Aは端子部3a側の配線板、またBは端子部3bの側の配線板に対応する。アームの側面部Sからアーム21の上面にのるほぼ直角になる折り目は、図2に示す折り曲げ部3kの中の破線によって示される。
信号を増幅するためのプリアンプ13は、アーム上面21aの実装配線体のプリアンプ搭載部に実装される。プリアンプ13の先には、ヘッド配線体5と接続するための端子部3aが設けられている。
図3にヘッド配線体5を示す。ヘッド配線体5は、ヘッド支持体31の裏面側に位置するヘッドに、一端を接続され、折り曲げ部5kの中の折り目で裏面(下面)から表面(上面)に移行する。フレキシブルプリント配線板は、製造時には重複部そのものは形成できず、図3の破線部を折り目で折り返すことで重複部が形成される。折り曲げ部5k内のこの折り目において、ヘッド支持体31の端縁で下面から上面へと移行する。ヘッド支持体31の上面をアーム21側へと延びた他端に、接続部5bが設けられている。ヘッド配線体5の接続部5bと、実装配線体3の接続端子3aとは、はんだ、またはACFなど周知の接続手段で接続することができる。図1では、接続手段の図示は省略してある。具体的な接続手段は、図4、図6、図8などに示されている。
【0032】
従来の実装配線は、屈曲部3fからアーム側面部Sまでに限られ、プリアンプはアーム側面部Sにおいて、実装配線体に実装されていた。したがって、ヘッド配線体(フレキシャまたはトレースなどの名称のフレキシブルプリント配線体)は、ヘッド支持体およびアームの側縁部を伝ってアーム側面部までの長い距離にわたって配置されていた。上述のように、HDDの今後の主要な開発課題として、ヘッドの微細な位置制御、信号の高速化と低コスト化がある。ヘッドの微細な位置制御とヘッドとの間の信号の高速化を両立させるには、ヘッドとプリアンプの間の配線を増加しつつ微細化することでGNDを強化して伝送ロスを少なく必要がある。ヘッド配線体自体をGNDが強化されて伝送ロスの小さいものにすることは可能である。しかし、微細化されたヘッド配線体は高価であり、従来の構造では低コスト化を実現することが難しい。
本実施の形態におけるポイントは、実装配線体3をアーム側面部Sで止めずに、アーム21の上面21aにまで延ばして、アーム上面の実装配線体3にプリアンプ13を搭載した点にある。この結果、ヘッド配線体5は短縮され、コスト低減を得ることができる。ヘッド配線体5の短縮の程度は、図1から、1/2〜1/3とみることができる。ヘッド配線体5は高価なので、この短縮により、大きなコスト削減を実現することができる。また、ヘッド配線体5の短縮によって、高速伝送に対応した微細なフレキシブル配線体であっても、伝送ロスを低減することができる。すなわち、高速伝送に対応した非常に高性能のヘッド配線体を用いた場合であっても、短縮自体による伝送ロスの低減を得ることができる。
【0033】
図4は、本実施の形態におけるヘッド9からプリアンプ13に至る伝送路を示す断面図である。上述のように、本発明のHDD100は、1枚の磁気ディスク90を備えたものを対象とする。本実施の形態では、磁気ディスク90の上にアーム21およびヘッド9が位置し、したがって、マウントプレート、ロードビーム等を含むヘッド支持体31も磁気ディスク90の上に位置する。ヘッド9は、ヘッド支持体31の先端側を構成するジンバル(図示せず)に取り付けられており、このヘッド9にヘッド配線体5の接続端が接続される。ヘッド配線体5は、両面板でも片面板でもよいが、通常、片面板が用いられ、磁気ディスク90の側に導電体が配置される。ヘッド配線体5は、ヘッド9から見て、折り曲げ部5kにおいて、ヘッド支持体31の下面側から上面側へと移行する。ヘッド支持体31の上面側において、上向きの接続端の配置となる。アーム21上の実装配線体3が、片面板の場合で、上向きの端子部3aの配置の場合には、図4に示すように、はんだによって接続するのがよい。
上述のように、このHDD100において、磁気ディスク90は1枚だけなので、プリアンプ13等による、アーム21の上面側の容積占有の増大は阻害要因にはならない。近年の磁気ディスクのデータ記憶容量の増大は、一枚の磁気ディスクで対処可能な用途を大きくしている。本発明は、一枚の磁気ディスクで対処可能な用途を対象として、信号の高速伝送を安価に実現しようとするものである。
【0034】
上記のHSA50は、図5に示す手順で製造することができる。最初は、実装配線体3を扱う工程と、ヘッド配線体5を扱う工程とに分けられる。
(実装配線体のプロセス):(A)実装配線体3は、アーム21に取り付けられる。このとき、HSA50をアクチュエータとして駆動させるVCMコイルをアームに取り付けることができる。次いで、実装配線体3のプリアンプ搭載部にプリアンプ13を実装する。また、同じ機会に、プリアンプと反対側の端の実装部にコネクタなどを実装する。上記のVCMコイルは、このあと、アームに取り付けてもよい。次いで、アームに軸受けを取り付ける。
(ヘッド配線体のプロセス):(A)ヘッド配線体5の一方の端をヘッドに接続する。このとき、ヘッドは未だジンバル等に固定されていない状態にある。次いで、ジンバルにヘッドを取り付け、ロードビーム、マウントプレート等のヘッド支持体31を組み付けて、ヘッドジンバルアセンブリ(HGA)を形成する。
(統合):実装配線体、プリアンプ、軸受け等を組み付けたアーム(A)と、ヘッド配線体を含むHGA(A)とを、統合して、HSAを形成する。
一方、従来の製造方法では、(B)実装配線体にプリアンプ等を実装する。これとは別に、(B)アームに、VCMコイル、軸受けを取り付ける。この後、アームに実装がなされた実装配線体が組み付けられる(B+B)。またこれらと独立して、(B)HGAが形成されている。その後で、HGA(B)と、上記の状態のアーム(B+B)とが統合されて、HSAが形成されていた。
本実施の形態のHSAの製造では、従来の(工程B+工程B)を、工程Aで置き換えることができる。これによって、製造ラインの簡単化を実現し、かつ製造に要する延べ人員を少なくすることができる。これによって、製造コストの削減を得ることができる。
【0035】
その他の利点を、次に挙げる。
(1)仮に、実装配線体を、プリアンプまで含めてアーム側面部に沿わせる場合、プリアンプ搭載部の幅が大きいと、アームを貫通する揺動軸の高さを大きくする必要がある。この結果、HDDの厚肉化を招くおそれがあった。しかし、上記の構成によれば、プリアンプ搭載部の幅に関係なく揺動軸の高さを決めることができるので、プリアンプ搭載部に起因するHDDの厚み増大の可能性は除かれる。
(2)実装配線体と、ヘッド配線体との接続には、従来の接続手段である、金めっき端子の超音波接続、はんだ、ACFなどをそのまま用いることができる利点がある。
【0036】
(実施の形態2)
図6は、本発明の実施の形態2におけるHSA50の断面図である。本実施の形態では、アーム21、実装配線体3、ヘッド配線体5は、磁気ディスク90の上側に位置して、磁気ディスク90の上面にアクセスする点では、実施の形態1と同じである。しかし、実装配線体3およびヘッド配線体5が、アーム21の下面(裏面)側に位置する点で相違する。ヘッド9は、ヘッド支持体31の先側部分を構成するジンバル(図示せず)に下向きに取り付けられている。実装配線体3およびヘッド配線体5が、アーム21の下面(裏面)側に位置すると、ヘッド配線体5は折り曲げ部を持つ必要がない。
図7は、本実施の形態におけるヘッド配線体5を示す図である。ヘッド配線体5は折り曲げ部を持たないので、実施の形態1のヘッド配線体よりもさらに短くすることができる。また、表面から裏面に移行する折り曲げ部に起因する高速信号の伝送ロス等の不都合を除去することができる。
【0037】
図6および図7を参照して、ヘッド9、ヘッド支持体31については、実施の形態1における図4の構成と同じである。ヘッド配線5は、ヘッド支持体31の下面(裏面)に沿っており、折り曲げ部を持たない。実装配線体3は、アーム21の下面21bに沿って延在している。プリアンプ13は、アーム下面21bに沿う実装配線体3に実装される。実装配線体3の端子部3aと、ヘッド配線体5の接続端5bとは、ACF25を介在させて電気的に接続される。
【0038】
本実施の形態におけるポイントは、ヘッド配線体5から折り曲げ部を除いて、実施の形態1におけるヘッド配線体よりもさらに大幅に短くした点にある。この利点を得るために、実装配線体3をアーム21の下面21bに沿わせて延在させる。したがって、ヘッド配線体5は、ヘッド支持体31の下面にのみ沿って延在し、折り曲げ部なしに、実装配線体3と電気的に接続することができる。ヘッド配線体5の部品コストをさらに大きく低減することができる。実施の形態1における製造上の利点などは、同じように得ることができる。
【0039】
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態3におけるHSA50の断面図である。本実施の形態では、アーム22、実装配線体3、ヘッド配線体5は、磁気ディスク90の下側に位置して、磁気ディスク90の下面にアクセスする点で、実施の形態1および2と相違する。ヘッド9は、ヘッド支持体32の先側部分を構成するジンバル(図示せず)に上向きに取り付けられている。実装配線体3およびヘッド配線体5が、アーム21の上面(裏面)側に位置して、磁気ディスク90の下面にアクセスする構造では、実施の形態2と同じように、ヘッド配線体5は折り曲げ部を持つ必要がない。したがって、ヘッド配線体5については、図7と同じものを用いることができる。ヘッド配線体5は折り曲げ部を持たないので、実施の形態1のヘッド配線体よりもさらに大幅に短くすることができる。また、表面から裏面に移行する折り曲げ部に起因する高速信号の伝送ロス等の不都合を除去することができる。
【0040】
図8を参照して、ヘッド9、ヘッド支持体32については、実施の形態1および2におけるヘッド支持体31の構成と同じである。ヘッド配線5は、ヘッド支持体32の上面(裏面)に沿っており、折り曲げ部を持たない。実装配線体3は、アーム22の上面22aに沿って延在している。プリアンプ13は、アーム上面22aに沿う実装配線体3に実装される。実装配線体3の端子部3aと、ヘッド配線体5の接続端5bとは、ACF25を介在させて電気的に接続される。
【0041】
本実施の形態におけるポイントは、ヘッド配線体5から折り曲げ部を除いて、さらに大幅に短くした点にある。この利点を得るために、実装配線体3をアーム22の上面22aに沿わせて延在させる。したがって、ヘッド配線体5は、ヘッド支持体32の上面にのみ沿って延在し、折り曲げ部なしに、実装配線体3と電気的に接続することができる。ヘッド配線体5の部品コストをさらに大きく低減することができる。 実施の形態1における製造上の利点などは、同じように得ることができる。
【0042】
本発明におけるヘッドスタックアセンブリ等では、実施の形態1におけるヘッド配線体の短縮にとどまらず、実施の形態2、3におけるヘッド配線体の折り曲げ部無し(直線状化)と、その長さの短縮の極限とを得ることができる。これを可能にするのは、1枚だけの磁気ディスクを用いるHDDを対象とするからである。1枚だけの磁気ディスクを用いる場合、アーム上面または下面にプリアンプを実装しても弊害は生じない。アーム側面にプリアンプを搭載することは、実装配線体の先端部は延長されてアームの上面または下面まで延びる点は相違するが、元々行われていたので、当然、問題はない。
従来は、複数のヘッドまたは複数のアームからの複数のヘッド配線における信号を、1つのプリアンプで増幅する必要があり、そのためにその1つのプリアンプをアーム側面部に配置して、複数のヘッド配線体を各アームに沿ってアーム側面部(各ヘッドからほぼ等距離に位置する)にまで延ばして1つの実装配線体に接続していた。しかし、本発明では、1つのヘッド(磁気ディスク)の信号のみを増幅するので、プリアンプの位置の制約はなくなり、本発明の技術思想を生むこととなった。これにともない、従来の複数の長いヘッド配線体と1つの実装配線体との組み合わせではなく、本発明における1つの短縮されたヘッド配線体と1つの延長された実装配線体との組み合わせが生じることとなった。近年の磁気ディスクのデータ記憶容量の増大は、一枚の磁気ディスクで対処可能な用途を大きくしている。本発明は、磁気ディスクの記憶容量の増大を利用して、一枚の磁気ディスクで対処可能な用途を対象として、信号の高速伝送を、安価に、実現する構造を提案するものである。
なお、実施の形態1〜3においては、プリアンプをアームの上面または下面に配置する構成を説明したが、上述のようにプリアンプをアームの側面に沿って搭載する構成の実装配線体またはHSAも、本発明の実施の一態様になることは言うまでもない。プリアンプをアーム側面において搭載することで、これまでの多くの経験を生かしながら、実装配線体をアームの先まで延ばすことの利点を得ることができる。
【0043】
上記において、本発明の実施の形態および実施例について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態および実施例は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明によれば、1つの磁気ディスクを収納するHDDの信号の高速伝送を低ロスで実現することができ、かつ製造コストが低い、ヘッドスタックアセンブリ等を得ることができる。とくに、ヘッド配線体が折り曲げ部を持つ必要がない配置をとることで、高速信号伝送に合致したHSAを低い製造コストで実現することができる。
【符号の説明】
【0045】
3 実装配線体、3a,3b 端子部、3f 屈曲部、3k 折り曲げ部、5 ヘッド配線体、5a,5b 接続端、5k 折り曲げ部、13 プリアンプ、19 軸受け、21,22 アーム、21a,22a アーム上面、21b アーム下面、25 ACF、27 はんだ、31,32 ヘッド支持体、33 VOCコイル、50 HSA、90 磁気ディスク、100 HDD、S アーム側面部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気ディスクを記録媒体とするHDDにおいて、ヘッドおよびアームを含むヘッドスタックアセンブリ(HSA:Head Stack Assembly)に用いられるための、実装用のフレキシブルプリント配線板の配線体であって、
前記フレキシブルプリント配線板は、折り曲げ部と、前記ヘッドの側の端を構成する端子部とを備え、
その折り曲げ部が、前記フレキシブルプリント配線板の板面を、前記アームの側面と、上面または下面と、における、一方面から他方面へと移行させるための折り曲げ部であることを特徴とする、実装配線体。
【請求項2】
前記フレキシブルプリント配線板は、前記プリアンプを搭載するように作られたプリアンプ搭載部を有し、前記プリアンプ搭載部が、前記ヘッド側端子部と前記折り曲げ部との間に位置するか、または前記折り曲げ部を基準に前記ヘッド側端子部と反対側に位置することを特徴とする、請求項1に記載の実装配線体。
【請求項3】
前記ヘッドおよびアームは前記磁気ディスクの上面側に位置し、前記ヘッドは前記アームの下面側で前記磁気ディスクの上面にアクセスするものであり、前記フレキシブルプリント配線板は、前記アームの側面部に当該フレキシブルプリント配線板の板面を沿わせて、前記折り曲げ部で、前記側面部から前記アームの上面に移行することを特徴とする、請求項1または2に記載の実装配線体。
【請求項4】
前記ヘッドおよびアームは前記磁気ディスクの上面側に位置し、前記ヘッドは前記アームの下面側で前記磁気ディスクの上面にアクセスするものであり、前記フレキシブルプリント配線板は、前記アームの側面部に当該フレキシブルプリント配線板の板面を沿わせて、前記折り曲げ部で、前記アームの下面に移行することを特徴とする、請求項1または2に記載の実装配線体。
【請求項5】
前記ヘッドおよびアームは前記磁気ディスクの下面側に位置し、前記ヘッドは前記アームの上面側で前記磁気ディスクの下面にアクセスするものであり、前記フレキシブルプリント配線板は、前記アームの側面部に当該フレキシブルプリント配線板の板面を沿わせて、前記折り曲げ部で、前記アームの上面に移行することを特徴とする、請求項1または2に記載の実装配線体。
【請求項6】
前記プリアンプ搭載部は、前記アームの上面もしくは下面に位置するか、または前記アームの側面部に位置することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の実装配線体。
【請求項7】
磁気ディスクを記録媒体とするHDDにおいて、ヘッド、アームおよび前記アームの先に取り付けられて前記ヘッドを支持するヘッド支持体を含むヘッドスタックアセンブリ(HSA:Head Stack Assembly)に用いられるための、前記ヘッドと、前記アームの根本側に配置される実装用のフレキシブルプリント配線板である実装配線体と、を電気的に接続するフレキシブルプリント配線板の配線体であって、
前記ヘッドへの接続端と、前記実装配線体への接続端との間に、前記ヘッド支持体の下面および上面における一方の面から他方の面へと各面に沿って移行するための表裏面移行の折り曲げ部が形成されていることを特徴とする、ヘッド配線体。
【請求項8】
前記ヘッドおよびアームは前記磁気ディスクの上面側に位置し、前記ヘッドは前記アームの下面側で前記磁気ディスクの上面にアクセスするものであり、前記実装配線体は、前記アームの上面に前記フレキシブルプリント配線板の板面を沿わせ、前記ヘッド配線体は、前記アームの下面側に当たる前記ヘッド支持体の下面側で前記ヘッドと接続され、前記表裏面移行の折り曲げ部で、前記ヘッド支持体の下面側から上面側に移行して、前記実装配線体と接続されることを特徴とする、請求項7に記載のヘッド配線体。
【請求項9】
磁気ディスクを記録媒体とするHDDにおいて、ヘッド、アームおよび前記アームの先に取り付けられて前記ヘッドを支持するヘッド支持体を含むヘッドスタックアセンブリ(HSA:Head Stack Assembly)に用いられるための、前記ヘッドと、前記アームの根本側に配置される実装用のフレキシブルプリント配線板である実装配線体と、を電気的に接続するフレキシブルプリント配線板の配線体であって、
前記ヘッドへの接続端と、前記実装配線体への接続端との間では、当該配線体の板面を沿わせる前記ヘッド支持体の面が同一面であり、前記沿わせる面を変更するための折り曲げ部を備えないことを特徴とする、ヘッド配線体。
【請求項10】
前記ヘッドおよびアームは前記磁気ディスクの上面側に位置し、前記ヘッドは前記アームの下面側で前記磁気ディスクの上面にアクセスするものであり、前記ヘッド配線体は、前記アームの下面側に当たる前記ヘッド支持体の下面側で前記ヘッドと接続され、該ヘッド配線体の接続端と、前記実装配線体とは、前記ヘッド支持体の下面側において接続されていることを特徴とする、請求項9に記載のヘッド配線体。
【請求項11】
前記ヘッドおよびアームは前記磁気ディスクの下面側に位置し、前記ヘッドは前記アームの上面側で前記磁気ディスクの下面にアクセスするものであり、前記ヘッド配線体は、前記アームの上面側に当たる前記ヘッド支持体の上面側で前記ヘッドと接続され、該ヘッド配線体の接続端と、前記実装配線体とは、前記ヘッド支持体の上面側において接続されていることを特徴とする、請求項9に記載のヘッド配線体。
【請求項12】
磁気ディスクを記録媒体とするHDDにおいて、前記磁気ディスクの上面側に位置するヘッド、アームおよび前記アームの先に取り付けられて前記ヘッドを支持するヘッド支持体を備えて該磁気ディスクの上面にアクセスするヘッドスタックアセンブリであって、
前記ヘッドは、前記アームの下面側に当たる前記ヘッド支持体の下面側に位置し、
前記ヘッド支持体の下面において一端を前記ヘッドに接続され、前記アームの上面側に当たる前記ヘッド支持体の上面に位置する他端を有するヘッド配線体と、
前記アームの上面側において、前記ヘッド配線体の前記他端と接続される実装配線体とを備え、
前記ヘッド配線体は、前記ヘッド支持体の下面および上面における一方の面から他方の面へと各面に沿って移行するための表裏面移行の折り曲げ部において、前記ヘッド支持体の下面から上面に移行していることを特徴とする、ヘッドスタックアセンブリ。
【請求項13】
磁気ディスクを記録媒体とするHDDにおいて、前記磁気ディスクの上面側に位置するヘッド、アームおよび前記アームの先に取り付けられて前記ヘッドを支持するヘッド支持体を備えて該磁気ディスクの上面にアクセスするヘッドスタックアセンブリであって、
前記ヘッドは、前記アームの下面側に当たる前記ヘッド支持体の下面側に位置し、
前記ヘッド支持体の下面において一端を前記ヘッドに接続され、前記アームの下面側に当たる前記ヘッド支持体の下面に位置する他端を有するヘッド配線体と、
前記アームの下面側において、前記ヘッド配線体の前記他端と接続される実装配線体とを備え、
前記ヘッド配線体は、前記一端と他端との間では、当該ヘッド配線体の板面を沿わせる前記ヘッド支持体の面が同一面であり、前記沿わせる面を変更するための折り曲げ部を備えないことを特徴とする、ヘッドスタックアセンブリ。
【請求項14】
磁気ディスクを記録媒体とするHDDにおいて、前記磁気ディスクの下面側に位置するヘッド、アームおよび前記アームの先に取り付けられて前記ヘッドを支持するヘッド支持体を備えて該磁気ディスクの下面にアクセスするヘッドスタックアセンブリであって、
前記ヘッドは、前記アームの上面側に当たる前記ヘッド支持体の上面側に位置し、
前記ヘッド支持体の上面において一端を前記ヘッドに接続され、前記アームの上面側に当たる前記ヘッド支持体の上面に位置する他端を有するヘッド配線体と、
前記アームの上面側において、前記ヘッド配線体の前記他端と接続される実装配線体とを備え、
前記ヘッド配線体は、前記一端と他端との間では、当該ヘッド配線体の板面を沿わせる前記ヘッド支持体の面が同一面であり、前記沿わせる面を変更するための折り曲げ部を備えないことを特徴とする、ヘッドスタックアセンブリ。
【請求項15】
前記プリアンプ搭載部は、前記アームの上面もしくは下面に位置するか、または前記アームの側面部に位置することを特徴とする、請求項12〜14のいずれか1項に記載のヘッドスタックアセンブリ。
【請求項16】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の実装配線体、請求項7〜11のいずれか1項に記載のヘッド配線体、または請求項12〜15のいずれか1項に記載のヘッドスタックアセンブリ、のいずれか1つを備えることを特徴とする電子機器。
【請求項17】
磁気ディスクを記録媒体とするHDDに用いられるための、ヘッド、アームおよび前記アームの先に取り付けられて前記ヘッドを支持するヘッド支持体を含むヘッドスタックアセンブリの製造方法であって、
前記ヘッド支持体に配置されたヘッドに、フレキシブルプリント配線体のヘッド配線体を接続して、サスペンションを形成する工程と、
前記アームに、フレキシブルプリント配線板の実装配線体を取り付ける工程と、
前記実装配線体の前記アームの上面もしくは下面上に位置するプリアンプ搭載部、または前記アームの側面部に位置するプリアンプ搭載部、にプリアンプを搭載する工程と、
前記実装配線体が取り付けられたアームに軸受けを設ける工程と、
前記軸受けが設けられたアームに、前記サスペンションを取り付ける工程とを備えることを特徴とする、ヘッドスタックアセンブリの製造方法。
【請求項18】
前記プリアンプを搭載する前に、ボイスコイルモータコイル(VCMコイル)を前記アームに固定するか、または前記プリアンプを搭載した後であって前記軸受けを設ける前に、ボイスモータコイル(VMC)を前記アームに固定することを特徴とする、請求項17に記載のヘッドスタックアセンブリの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−262685(P2010−262685A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−110391(P2009−110391)
【出願日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(500400216)住友電工プリントサーキット株式会社 (197)
【Fターム(参考)】