説明

実質的に粘着付与剤を含まない熱膨張性材料

【課題】未硬化の状態で実質的にべとつかない表面を有し、既存の製造装置での処理が容易である熱膨張性材料を提供する。
【解決手段】熱膨張性材料は、エポキシ樹脂;複数の熱可塑性ポリマー(ここで、少なくとも一つの熱可塑性ポリマーが前記エポキシ樹脂と反応しうる少なくとも一つの化学的部分を含む);及び加熱によって活性化される発泡剤を含む。熱膨張性材料は実質的に粘着付与剤を含まず、該材料は膨張の際に基体に粘着する。膨張後のバッフル材料もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2005年7月20日に出願され、ここに参照のために取り込むこととする米国仮出願第60/701112号の出願日の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
熱膨張性材料は、自動車産業及び幾つかの他の産業において長年使用されている。熱膨張性材料は、消音(バッフル)目的及び構造補強目的のために使用される。例えば、所定の膨張性材料は担体表面で成型してピラー等の自動車キャビティ中に設置することができる。次いで、膨張性材料は活性化温度に加熱することができる。前記材料は、活性化されると膨張する。膨張の際、該材料は自動車キャビティーの少なくとも一部に粘着して効果的にキャビティーを密閉する。膨張に次いで、前記材料は硬化する。硬化した材料は、消音もしくはバッフル効果を有する。
【0003】
更に、例としては、所定の膨張性材料は自動車の表面を含む表面に構造補強を提供可能である。例えば、膨張性材料は(それ自体または担体と共に)、自動車構造中のプラスチック表面もしくは金属表面、例えばフレームレール等として基体に隣接してもしくは基体近傍に配置可能である。前記材料は、次いで活性化温度に加熱される。該材料は、活性化されると膨張する。膨張の際、該材料は基体の少なくとも一部に粘着する。膨張に次いで、前記材料は硬化する。硬化した材料は前記基体の構造的補強を提供する。すなわち、前記基体は、前記硬化材料のためにより湾曲しにくく、ねじれにくく、波状になりにくい等となる。
【0004】
シーカ社(Sika Corporation of Madison Heights, Mechigan)は、商品名SIKABAFFLEの下に熱膨張性材料を市販しており、これはいずれもその全体を参照のためにここに取り込むこととする米国特許第5266133号及び第5373027号に開示されている。シーカ社はまた、SIKAREINFORCERの商品名でも熱膨張性補強材料を市販している。これら一連の熱膨張性補強材料は、シーカ社が所有するものであり、ここにその全体を参照のために取り込むこととする米国特許第6387470号に開示されている。
【0005】
膨張の際に基体(例えばプラスチックもしくは金属)に粘着する従来の熱膨張性材料には、粘着付与剤、例えばロジンまたは炭化水素樹脂が含まれる。粘着付与剤は、硬化した熱膨張性材料の粘着特性を増大させるために使用されている。残念なことに、熱膨張性材料中に粘着付与剤を配合すると、他にも理由はあるが粘着付与剤が処理装置に粘着しがちであるために、該材料を調製するための処理時間が延長される。このため熱膨張性材料を市場に出すためには実質的により費用がかかることになる。更に、従来の液体粘着付与剤は、未膨張の膨張性材料の表面に移動して該材料の表面を望ましからぬべとつく感触にする可能性がある。更に、従来の液体粘着付与剤を含む熱膨張性材料を含む一群の部品を一緒に輸送すると、こうした移動の結果として互いに貼りつく可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国仮出願第60/701112号
【特許文献2】米国特許第5266133号
【特許文献3】米国特許第5373027号
【特許文献4】米国特許第6387470号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
バッフル目的に使用される熱膨張性材料については、所定の望ましい特性がある。熱膨張性材料としては、その未硬化の状態で既存の製造装置での処理が容易である−該装置に貼りつかない−ことが好ましい。更に、熱膨張性材料としては、その未硬化の状態で、実質的にべとつかない表面を有することが好ましい。このようであれば、バッフル材料を含む輸送部品は、輸送の際に互いに貼りつきにくい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実質的に粘着付与剤を含まない熱膨張性材料が、熱膨張性バッフル材料について所望される特性の一つ以上を満たすために提供される。実質的に粘着付与剤を含まない膨張性材料の幾つかの実施態様をここに開示する。開示される実施態様は、添付の請求項の範囲を制限することを企図しない。熱膨張性材料は、(a)エポキシ樹脂;(b)複数の熱可塑性ポリマー(ここで、少なくとも一つの熱可塑性ポリマーが前記エポキシ樹脂と反応しうる少なくとも一つの化学的部分を含む);及び(c)加熱によって活性化される発泡剤;を含む熱膨張性材料(この材料は実質的に粘着付与剤を含まない)であって、膨張の間に基体に粘着しうる。
【0009】
驚くべきことに、熱膨張性材料中の成分の相乗混合物が、自動車キャビティー内のバッフルとしての用途を含む工業用途向けの基体に、前記材料が実質的に粘着付与剤を含まないにも関わらず適切に粘着することが判明した。とりわけ、理論に束縛されることなく、エポキシ樹脂の未反応のエポキシ基及び熱可塑性ポリマーの未反応であるが反応性である基(例えばMAH改質EVAの未反応MAH基)が、膨張の際に基体、特に金属もしくはプラスチックの基体に接着することのできる熱膨張性材料を提供すると考えられる。
【0010】
適当な熱膨張性材料は、エポキシ樹脂;複数の熱可塑性ポリマー(ここで、少なくとも一つの熱可塑性ポリマーが前記エポキシ樹脂と反応しうる少なくとも一つの化学的部分を含む);及び加熱によって活性化される発泡剤を含み、前記熱膨張性材料は実質的に粘着付与剤を含まない。適当な熱膨張性材料は、別の成分、例えば限定なしに、湿度安定化剤、衝撃改質剤、加硫剤、促進剤、充填材、フリーラジカル安定化システム、界面活性剤、チキソトロピック剤、及び着色剤等を含んでよい。別の適当な熱膨張性材料は、合成時には液体可塑剤を含む液体成分を実質的に含まないものであってよい。更に別の適当な熱膨張性材料は、フタレート及び芳香族オイル並びにこれらの混合物等の可塑剤を実質的に含まないものであってよい。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(エポキシ樹脂)
「エポキシ樹脂」は、多数のエポキシ基を含む広範な化学品を意味する。エポキシ樹脂は当業者には周知であり、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering, Volume 6, pp. 322-382 (1986)の第二版の「エポキシ樹脂」と題する章に記載されている。固体、半固体、及び液体のエポキシ樹脂が熱膨張性材料に使用するために適当である。一つ以上のエポキシ樹脂を使用してよい。
【0012】
適当な固体エポキシ樹脂は、2006年6月30日に出願され、ここに参照のためにその全体を取り込むこととする米国特許出願第11/480022号に開示されている。適当なエポキシ樹脂は、ビスフェノールA並びに膨張の際に架橋反応に実質的に関与するあらゆる別のタイプの固体、半固体、及び液体のエポキシ樹脂を更に含む。エポキシ樹脂、特に膨張の際に架橋反応に実質的に関与しない(架橋に関与するエポキシ基が約20%に満たない)液体エポキシ樹脂は、ここでは「粘着付与剤」と見なされる。
適当なエポキシ樹脂には、ARALDITE樹脂(Huntsman Advanced Materialsより入手可能)、DER樹脂(The Dow Chemical Co. より入手可能)、及びEPON樹脂(Resolution Performance Products から入手可能)が含まれる。
【0013】
適当なエポキシ樹脂は、約65℃から約160℃(さらに好ましくは約70℃から約120℃)の範囲にメトラー軟化点を有する。適当なエポキシ樹脂は、1分子あたり平均約2つのエポキシ基を有する。しかしながら、多官能性エポキシ樹脂(2つより多いエポキシドを持つ樹脂)を使用してもよい。適当なエポキシ樹脂は約350から約2000(さらに好ましくは約375から約1000)の範囲のエポキシド当量を示す。これらの要求に見合う多くのエポキシ樹脂が、当業者に知られた販売元から入手可能である。
【0014】
理論に縛られることなく、膨張性材料の、粘着付与剤を実質的に含まない場合でさえも予想外に優れた粘着特性は、少なくとも部分的にはエポキシ樹脂表面の未反応のエポキシ基に起因しうる。したがって、膨張性材料中に未反応のエポキシ基、すなわち架橋反応に消費されないエポキシ基を過剰に有することは有用でありうる。理論に縛られることなく、過剰のエポキシは、同様のビスフェノールAエポキシ化学を利用して電着された下塗並びに極性及び/またはポリマー性の基体と反応して強固な粘着を提供する。
【0015】
適当な熱膨張性材料中に、エポキシ樹脂またはエポキシ樹脂の組み合わせは、約0.5から約20.0重量%(さらに好ましくは、約2から約12重量%、あるいは約2から約8重量%)存在してよい。特記のない限り、全ての%は重量%であり、100%とは熱膨張性材料の重量である。
【0016】
(熱可塑性ポリマー)
「熱可塑性ポリマー」は、加熱されると軟化し、冷却されると硬化するポリマーであることが当業者には周知である。一般的に、熱可塑性ポリマーは著しい化学変化無しに多数の加熱/冷却サイクルを経ることができ、このため射出成形、熱成形等には理想的である。適当な熱膨張性材料中には、少なくとも一つの改質もしくは「活性化」された熱可塑性ポリマーが含まれ、且つ少なくとも一つの未改質熱可塑性ポリマーが含まれる。
【0017】
改質もしくは「活性化」された熱可塑性ポリマーは、1つ以上の反応性化学部分を有し、その少なくとも一つは繰り返しであり、すなわちエポキシ樹脂中のエポキシ基と反応することができる。こうした活性化熱可塑性ポリマーには、ポリマーの骨格の一部として、あるいは側鎖としてポリマーにグラフト結合した、反応性化学部分を有するポリマーが含まれる。更に、活性化熱可塑性ポリマーは、合成時に所望の反応性化学部分を選択的熱可塑ポリマーにグラフト結合させることにより、合成処理の間に造成させてよい。エポキシ基と反応するあらゆる反応性化学部分を使用して良い。適当な反応性化学部分には、無水物、特に無水マレイン酸が含まれる。
【0018】
適当な活性化熱可塑性ポリマーは、無水物改質ターポリマーである。無水物改質熱可塑性ポリマーは、グラフト化もしくは重合化された無水物官能性を含んで良い。活性化ポリマーは、以下に限定されるものではないが無水物改質エチレンビニルアセテートポリマー及び無水物、エチレン、アクリルエステルターポリマーを含む。適当な活性化ポリマーには、以下に限定されるものではないがBYNELもしくはFUSABOND(DuPont)として市販のポリマー及びLotader(Arkema)製品が含まれる。
【0019】
適当なターポリマーは、エチレンアクリルエステルターポリマーである。適当な活性化エチレンアクリルエステルターポリマーは、その使用を容易にし、且つ別のポリマー及び添加剤と容易適合性にする反応性、結晶化度、及び流動性を有する。適当なエチレンアクリルエステルターポリマーは、わずかな粘度変化及び変色を伴う熱安定性を、特に抗酸化剤とともに配合された場合に有する。適当なエチレンアクリルエステルターポリマーは、別の官能性ポリマーと反応して適当な熱膨張性材料中での粘着特性、耐熱性、または長期劣化性を増大させることのできる化学結合を形成することができる。
【0020】
エチレンアクリルエステルターポリマーの特性はその構成モノマーによって異なる。第一モノマーはエチレンである。第二モノマーはアクリルエステル、好ましくはメチル、エチル、あるいは特にブチルである。理論に縛られることなく、アクリルエステルを含む第二モノマーはターポリマーの結晶化度を低減し、機械特性の保持を補助する。第三モノマーは反応性化学部分である。第三モノマーは好ましくは酸無水物、例えば無水マレイン酸であり、以下に限定されるものではないがグリシジルメタクリレート等の別の反応性化学部分であってもよい。理論に縛られることなく、無水物を含む第三モノマーは、極性基体への粘着を増大させ、例えば極性基体、金属、ポリマー、電着された下塗り等の基体との化学結合の形成を可能にする。
【0021】
理論に縛られることなく、最終的な粘着特性の増大は少なくとも部分的には、特に第三モノマーが無水マレイン酸などの無水物である場合には前記第三モノマーの未反応基によってもたらされると考えられる。粘着付与剤が実質的にない場合の予期せぬ粘着性は、少なくとも部分的には、熱可塑性ポリマーの未反応無水物基に起因しうる。従って、未反応の無水物基、すなわち、架橋反応に消費されない無水物基を有することは有用でありうる。余剰の無水物は、エポキシに対する無水物の比率を調整することによって得られ、無水物比は5:1乃至1:100(更に好ましくは1:3乃至1:90)である。
【0022】
好ましいエチレンアクリルエステルターポリマーは、100%をターポリマーの重量として約9重量%から約28重量%のアクリルエステルの含量を有する。適当なエチレンアクリルエステルターポリマーは、低から中程度の酸無水物、特に無水マレイン酸の含量を有する。適当なエチレンアクリルエステルターポリマーは、約2g/10mnから約200g/10mnのメルトフローインデックスを有する(190℃−2.16kg)。適当な活性化熱可塑性ポリマーは化学部分含量を0.1から10重量%(更に好ましくは0.1から4重量%)含んで良い。適当な熱膨張性材料中には、活性化熱可塑性ポリマーもしくは活性化熱可塑性ポリマーの組み合わせが、100重量%を熱膨張性材料として約5重量%から約50重量%(更に好ましくは約10重量%から約40重量%、または約15重量%から約20重量%)存在して良い。
【0023】
適当な熱膨張性材料には、無水物で活性化されていない未改質熱可塑性ポリマーが含まれる。以下に限定されるものではないが、エチレンコポリマー、ポリエチレン、及びポリプロピレンを含む当業者に既知のあらゆる熱可塑性ポリマーを使用して良い。エチレンコポリマー、特にエチレンビニルアセテートが適当である。エチレンビニルアセテートポリマーは高度に可撓性のポリマーであり、他の多くのポリマー及び添加剤と適合性であり、且つ処理が容易である。エチレンビニルアセテートの適当な等級には、以下に限定されるものではないが、DuPont社製の製品ラインElvax及びArkema社製の製品ラインEvataneが含まれる。
【0024】
理論に縛られることなく、エチレンビニルアセテートポリマーは高度に可撓性であり、結合力及び適合性をもたらし、広範な基体への適当な粘着を保証し、且つ破壊に対して高度に耐性であると考えられる。実際、理論に縛られることなく、好ましい実施態様におけるエチレンビニルアセテートの存在は、実質的に粘着付与剤がない場合でさえもその粘着特性に貢献しうる。
【0025】
エチレンビニルアセテートコポリマーは、多数のポリエチレンワックス及び改質ワックスと適合性であるために有用である。エチレンビニルアセテートポリマーは1つ以上の抗酸化剤、熱安定剤、またはUV安定化剤と共に配合してよい。
【0026】
適当なエチレンビニルアセテートは、約3g/10mnから約800g/10mnのメルトフローインデックスを有する(190℃−2.16kg)。適当な熱膨張性材料中には、1つ以上の未改質熱可塑性ポリマーが、100%を熱膨張性材料の重量として約20重量%から約85重量%(更に好ましくは約40重量%から約75重量%)存在して良い。
【0027】
適当な熱膨張性材料は、少なくとも一つの活性化熱可塑性ポリマー及び少なくとも一つの未改質熱可塑性ポリマーを含む。適当な熱膨張性材料中には、熱可塑性ポリマーの組み合わせが、100%を熱膨張性材料の重量として約30重量%から約90重量%(更に好ましくは約50重量%から約80重量%あるいは約60重量%から約75重量%)存在して良い。
【0028】
(湿度安定化システム)
適当な熱膨張性材料は少なくとも一つの湿度安定化剤を含む。湿度安定化剤は、熱膨張性材料が未硬化の状態で湿分にさらされた場合にその膨張性能の相当量を失うことを回避する。適当な湿度安定化剤はワックス、更に好ましくはポリエチレンワックスまたはミクロクリスタリンワックスまたはパラフィンワックスである。
【0029】
理論に縛られることなく、ワックスの疎水特性は熱膨張性材料の水への暴露に対する保護を補助する。ワックスは湿度安定化剤として使用されるにも関わらず、固体可塑剤としても機能する。
【0030】
適当な熱膨張性材料中には、湿度安定化のために、100%を熱膨張性材料の重量として約0重量%から約20重量%(更に好ましくは約5重量%から約15重量%、あるいは約5重量%から約10重量%)で1つ以上の安定化剤がさらに存在して良い。
【0031】
(加熱によって活性化される発泡剤)
「加熱によって活性化される発泡剤」は、時に当業者によって「起泡剤」と呼称され、規定の熱の適用に際してそのホストを規定量膨張させる物理性剤または化学性剤である。加熱によって活性化される発泡剤の例は、ここにその全体を取り込むこととする米国特許第6451876号に発泡剤として記載されている。
【0032】
加熱によって活性化されるあらゆる既知の物理的発泡剤を、熱膨張性材料中に使用して良い。加熱によって活性化される適当な物理的発泡剤には、以下に限定されるものではないが、イソブテンまたはイソペンタンなどの低分子量炭化水素を封入した球状プラスチック粒子が含まれる。特定の炭化水素の沸点まで加熱されると、ミクロスフェアが体積にして40倍超に膨張しうる。
【0033】
加熱によって活性化されるあらゆる既知の化学的発泡剤を、熱膨張性材料中に使用して良い。加熱によって活性化される適当な化学的発泡剤には、アゾジカルボンアミド及びその改質化合物、p,p’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p-トルエンスルホニルセミカルバジド、5-フェニルテトラゾールが含まれる。
【0034】
加熱による活性化は、熱の外的適用または発熱反応における熱の放出によって生じる内的活性化のいずれによってもたらされてもよい。一つの実施態様においては、膨張が活性化される温度は少なくとも約170℃、更に好ましくは少なくとも約140℃である。一つの実施態様においては、所望の膨張が、45分間の暴露の際に好ましくは190℃、更に好ましくは210℃に保持されねばならない。膨張の量は、発泡剤の0%から2500%までの添加または減量によって調整することができる。発泡剤を所定の別の成分、特に触媒の添加または減量によって微調整し、発泡剤が活性化される温度の範囲を調節してよい。
【0035】
熱膨張性材料中には、加熱によって活性化される発泡剤または加熱によって活性化される発泡剤の組み合わせが、100%を熱膨張性材料の重量として約1%から約15%(更に好ましくは約1%から約10%)存在して良い。熱膨張性材料中においては、加熱によって活性化される発泡剤または加熱によって活性化される発泡剤の組み合わせが、その活性化前の状態から約10%から約2500%(更に好ましくは約500%から約2000%)の膨張を引き起こす。
【0036】
(充填材)
熱膨張性材料は、1つ以上の充填材を任意に含んで良い。1つ以上の充填材を使用して良い。米国特許第6562884号は既知の充填材を開示しており、これは参照のためにここに取り込むこととする。
【0037】
適当な充填材には、繊維充填材、球状充填材、平板状充填材、及びナノ粒子充填材が含まれる。繊維充填材は無機のもの、例えばガラス繊維または珪灰石繊維であってよく、あるいはまた天然もしくは有機のものであってよい。天然もしくは有機の充填材には、以下に限定されるものではないが、炭素繊維、アラミド繊維、セルロース繊維、ジュート、ヘンプ等が含まれる。球状充填材は有機または無機のものであってよい。以下に限定されるものではないが、有機球状充填材はポリマー球であってよく、無機球状充填材はガラスミクロバルーン、セラミックミクロスフェア、ヒュームドシリカ(有機改質もしくは未改質のもの)、焼成シリカ(有機改質もしくは未改質のもの)等であってよい。平板状充填材は好ましくは無機のもの、例えばグラファイト、タルク、マイカ、及び当業者に既知の別の物質である。ナノ粒子充填材は、以下に限定されるものではないが、ナノクレイ、ナノシリカ(好ましくは反応性基を持つもの)、及び炭素ナノチューブ、ハイブリッド無機−有機コポリマー−多面−オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)を含んで良い。
【0038】
例えば炭酸カルシウム(被覆及び/または沈降炭酸カルシウムを含む)、セラミック繊維、酸化カルシウム、アルミナ、クレイ、砂、金属(例えばアルミニウム粉末)、ガラスもしくはセラミックのミクロスフェア、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、及びカーボン(これら全てが中密または中空であり、膨張したまたは膨張性であってよい)等を含む、熱硬化性樹脂技術において知られる別の充填材を使用しても良い。
【0039】
充填材は円錐形状または平板状であってよい。適当な小板サイズは、長さが1から10mm、幅が5から10ミクロンの範囲をとりうる。一つの実施態様においては、充填材は様々な形状及びサイズを有する繊維の混合物を含む。こうした混合物は優れた充填密度を有し、これにより低温、例えば約-40℃から約-5℃の範囲の温度における優れた衝撃耐性をもたらす。
【0040】
熱膨張性材料中に、充填材または充填材の組み合わせは、100%を当該熱膨張性材料の重量として約0重量%から約30重量%(更に好ましくは約0重量%から約15重量%、更にいっそう好ましくは約0重量%から約7.5重量%)存在して良い。
【0041】
(衝撃改質剤)
熱膨張性材料は、製剤に添加されて該製剤の衝撃耐性を改善するあらゆる物質を意味する「タフナー(toughener)」としても既知である「衝撃改質剤」を、任意に含んで良い。多くの市販の衝撃改質剤が当業者に知られており、熱膨張性材料中における使用に適当である。一つの適当な衝撃改質剤はスチレンブタジエンラバーである。天然もしくは合成のエラストマーを熱膨張性材料中に配合して良い。理論に縛られることなく、衝撃改質剤は好ましい熱膨張性材料に可撓性を付与し、その融解挙動を変更しうる。適当な衝撃改質剤には、以下に限定されるものではないが、標準的なゴム(SBR、EPDM等);予め架橋したゴム、熱可塑性エラストマー/ブロックポリマー、アイオノマー性熱可塑性エラストマー、及び改質熱可塑性ポリマーが含まれる。
【0042】
熱膨張性材料中に、衝撃改質剤または衝撃改質剤の組み合わせは、100%が熱膨張性材料とすると約0重量%から約20重量%(更に好ましくは約0重量%から約10重量%、更にいっそう好ましくは約0重量%から約5重量%)存在して良い。
【0043】
(加硫剤)
熱膨張性材料は、加硫剤を任意に含んで良く、これは熱膨張性材料のポリマー成分と架橋する化学組成物である。当業者はこうした化学品を、硬化剤、硬膜剤、活性化剤、触媒、または促進剤とも呼称する。所定の加硫剤が触媒作用によって硬化を促進する一方で、他のものは固体エポキシ樹脂の反応に直接関与するのであり、開環反応、イオン重合、及び/または樹脂の架橋によって形成される熱硬化性ポリマーネットワーク中に導入される。多くの市販の、当業者に既知である加硫剤は、Encyclopedia of Polymer Science and Engineeringの上述の章に記載されている。幾つかの加硫剤は、上述の米国特許第6562884号に「硬化剤」と記載されている。
【0044】
適当な加硫剤は、ほぼ室温にて固体であり、約140℃までは潜在性を維持する。1つ以上の加硫剤を使用して良い。適当な加硫剤には、ジシアンジアミド;以下に限定されるものではないが3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、及びこれらのブレンドを含む芳香族ジアミン;イミダゾール;多官能性固体無水物/酸;並びに単核フェノールを含むフェノール、例えばレゾルシノール、ヒドロキノン、及びN,N-ビス(2-ヒドロキシエチルアミノ)ジフェニルメタンを含むフェノールが含まれる。
【0045】
他の適当な加硫剤には、アミノ化合物、アミン塩、及び第四級アンモニウム化合物、アミン−エポキシ付加物、ハロゲン化ホウ素アミン付加物、尿素、及びグアニジンが含まれる。適当なハロゲン化ホウ素付加物には、アミンのハロゲン化ホウ素付加物、例えばモノエタノールアミン、ジエチルアミン、ジオクチルメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ベンジルアミン、ベンジルジメチルアミン等が含まれる。
【0046】
熱膨張性材料中に、加硫剤または加硫剤の組み合わせは100%を熱膨張性材料として約0重量%から約3重量%(更に好ましくは約0重量%から約1.5重量%)存在して良い。
【0047】
(促進剤)
熱膨張性材料は、熱膨張性材料の硬化速度を速めるためかまたは硬化温度を低下させるために「促進剤」を任意に含んで良い。上述の通り、当業者は時にこの語を「硬化剤」及び「加硫剤」と互換性をもたせて使用する。促進剤には、入手可能なあらゆるエポキシ−無水物の反応促進剤が含まれる。適当な促進剤には、アミノ化合物、第一級−第二級−第三級アミン、アミン塩、金属塩、有機金属塩、及び金属酸化物が含まれる。
【0048】
別の適当な促進剤には、以下に限定されるものではないが、置換尿素、フェノール、及びイミダゾールが含まれる。尿素の例には、フェニルジメチル尿素、4-クロロフェニルジメチル尿素、2,4-トルエンビス(ジメチル尿素)、4,4’-メチレンビス(フェニルジメチル尿素)、脂環族ビス尿素等が含まれる。イミダゾールの例には、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル=4-メチルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール等が含まれる。
【0049】
熱膨張性材料中に、促進剤または促進剤の組み合わせは、100%を熱膨張性材料として約0重量%から約2.5重量%(更に好ましくは約0重量%から約1重量%)存在して良い。
【0050】
(フリーラジカル安定化システム)
熱膨張性材料は、安定化システムを形成するための少なくとも一つの安定化剤を含む。好ましくは、安定化システムの少なくとも一部が望ましからぬ反応を防止するためにフリーラジカルを管理する。
【0051】
フリーラジカルを管理するための安定化システムの一部として、あらゆる既知の抗酸化剤を使用して良い。適当な抗酸化剤は立体障害フェノールの抗酸化剤、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)である。
【0052】
一つの実施態様では、フリーラジカルの管理のために、安定化システム中に熱安定化剤が含まれる。あらゆる既知の熱安定化剤を使用して良い。適当な熱安定化剤は、ジオデシル3,3’-チオジプロピオネートである。
【0053】
一つの実施態様では、酸捕捉処理安定化剤がフリーラジカルを管理するための安定化システムに含まれる。あらゆる既知の酸捕捉処理安定化剤を使用して良い。適当な酸捕捉処理安定化剤は、炭酸ヒドロキシマグネシウムアルミニウム水和物(magnesium-aluminum-hydroxy-carbonate hydrate)である。
【0054】
一つの実施態様では、ホスホナイト処理安定化剤がフリーラジカルを管理するための安定化システムに含まれる。あらゆる既知のホスホナイト処理安定化剤を使用して良い。適当なホスホナイト処理安定化剤は、トリス(2,4-ジtert-ブチルフェニル)ホスファイトである。
【0055】
熱膨張性材料中には、フリーラジカルの管理のために、1つ以上の安定化剤が、100%を熱膨張性材料として約0重量%から約2重量%(更に好ましくは約0重量%から約1重量%)存在して良い。
【0056】
(界面活性剤)
熱膨張性材料は、界面活性化剤または湿潤剤としても既知の界面活性剤を任意に含んで良い。界面活性剤は、電気的特性によって分類することができる。非イオン性界面活性剤は荷電基を持たない。イオン性界面活性剤は正味荷電を担持する。荷電が負であれば界面活性剤は更に特定的にアニオン性と呼称され、荷電が正であれば界面活性剤は更に特定的にカチオン性と呼称される。界面活性剤が2つの逆の荷電基を有する頭部を含む場合は、これは双性イオン性と呼称される。
【0057】
一般的なアニオン性界面活性剤には、ナトリウムドデシルスルフェート(SDS)及び別のアルキルスルフェート塩が含まれる。一般的なカチオン性界面活性剤には、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)及び別のアルキルトリメチルアンモニウム塩、セチルピリジニウムクロライド、ポリエトキシル化タロウアミン(POEA)等が含まれる。一般的な非イオン性界面活性剤には、アルキルポリ(エチレンオキシド)及び、以下に限定されるものではないがオクチルグルコシド及びデシルマルトシドを含むアルキルポリグルコシドが含まれる。一般的な双性イオン性界面活性剤には、以下に限定されるものではないがドデシルベタイン及びドデシルジメチルアミンオキシドが含まれる。
【0058】
熱膨張性材料中に、界面活性剤または界面活性剤の組み合わせは、100%を熱膨張性材料として約0重量%から約1重量%(更に好ましくは約0重量%から約0.5重量%、更にいっそう好ましくは約0重量%から約0.25重量%)存在して良い。
【0059】
(チキソトロピック剤)
熱膨張性材料は、最終生成物にチキソトロピーをもたらすために「チキソトロピック剤」を任意に含んで良い。「チキソトロピー」とは撹拌に際して軟化し、静置されると元の状態に戻るという所定の物質の特性を意味する。チキソトロピック剤は、熱膨張の後の最終組成物の温度での沈下の防止及び低減を補助する。
【0060】
適当なチキソトロピック剤には、未改質または疎水的に改質されたヒュームドシリカ及び沈降シリカが含まれる。別の適当なチキソトロピック剤には、有機改質クレイ、例えばベントン、ラポナイト、モンモリロナイト等が含まれる。当業者には既知の別のチキソトロピック剤、例えば被覆沈降炭酸カルシウム及びポリアミドワックスが、有機のものであるか無機のものであるかに関わらず、好ましい熱膨張性材料中での使用に適当である。更に適当なチキソトロピック剤には、尿素誘導体が含まれ、これは以下に限定されるものではないが、ブチルアミンをMDIと反応させることによって製造することができ、非移動性反応性液体ゴム中の分散物として使用することができる。充填材として上述した物質の中には、平板状充填材及び繊維充填材等のようにチキソトロピック効果も有するものがある。
【0061】
熱膨張性材料中に、チキソトロピック剤またはチキソトロピック剤の組み合わせは、100%を熱膨張性材料として約0重量%から約10重量%(更に好ましくは約0重量%から約5重量%、更にいっそう好ましくは約0重量%から約2.5重量%)存在して良い。
【0062】
(他の添加剤)
熱膨張性材料は、着色剤、可塑剤、及び他の一般的成分等の、それぞれが市販され当業者に周知である他の添加剤を更に含んで良い。
【0063】
一つの実施態様では、熱膨張性材料は可塑剤(固体可塑剤として作用しうるワックスを除く)を実質的に含まない。換言すれば、この実施態様では、該材料はワックスを含んで良いが、フタレート(例えばDEHP等)、脂肪族オイル、芳香族オイル、ナフテン系オイル、エステル(例えばセバシン酸エステル、アジピン酸エステル、アゼライン酸エステル、グルタル酸エステル等)、あるいはホスフェート(トリオクチルホスフェート等)を含む極性もしくは無極性可塑剤を約2重量%超含むことはない。
【0064】
一つの実施態様では、熱膨張性材料はほぼ標準温度及び圧力(STP)にて実質的に液体成分を含まない。この実施態様では、液体エポキシ樹脂は使用されず、液体可塑剤も使用されない。ほぼSTPでは、あらゆる成分もしくはその組み合わせのわずか約2重量%が液体である。理論に縛られることなく、このことが、べたつきをもたらす成分が該材料の表面に移動し、表面にべたつきを引き起こすことを実質的に防止すると考えられる。
【0065】
熱膨張性材料中に、他の添加剤は、100%を熱膨張性材料として約0重量%から約2重量%(更に好ましくは約0重量%から約1重量%、更にいっそう好ましくは約0重量%から約0.5重量%)存在して良い。
【0066】
(実質的に非存在である粘着付与剤)
熱膨張性材料において、粘着付与剤は製剤に添加されない。特に、熱膨張性材料は実質的に粘着付与剤を含まず、これは100%を熱膨張性材料として僅か2%、好ましくは約0%が製剤中に存在すること、最も好ましくは粘着付与剤が全く存在しないことを意味する。
【0067】
「粘着付与剤」なる語は、従来の炭化水素粘着付与樹脂を包含することを意味する。粘着付与剤はまた、天然及び改質されたロジン、例えばガムロジン、ウッドロジン、タル油ロジン、蒸留ロジン、水素化ロジン、二量化ロジン、及び重合ロジン;天然及び改質ロジンのグリセロールエステル及びペンタエリスリトールエステル、例えばペールウッドロジンのグリセロールエステル、水素化ロジンのグリセロールエステル、重合ロジンのグリセロールエステル、ペールウッドロジンのペンタエリスリトールエステル、水素化ロジンのペンタエリスリトールエステル、タル油ロジンのペンタエリスリトールエステル、及びロジンのフェノール改質ペンタエリスリトールエステル;ASTM法E28-58Tにより測定して、約60℃から約140℃の軟化点を有するポリテルペン樹脂(後者のポリテルペン樹脂は一般的にテルペン炭化水素、例えばピネンとして既知のモノテルペンの、フリーデルクラフツ触媒の存在下でのやや低温での重合から生成する)を包含する。更に含まれるのは、水素化ポリテルペン樹脂;天然テルペンのコポリマー及びターポリマー、例えばスチレン/テルペン、アルファ-メチルスチレン/テルペン、及びビニルトルエン/テルペン;フェノール改質テルペン樹脂、例えば酸性媒質中のテルペンとフェノールとの縮合により生成する樹脂生成物;約600℃から約140℃の環球式軟化点を有する脂肪族石油炭化水素樹脂であり(後者の樹脂は、主にオレフィン及びジオレフィンからなるモノマーの重合から生成する);更に含まれるのは、水素化脂肪族石油炭化水素樹脂であり、このタイプのC5-オレフィンフラクションに基づくこうした市販の樹脂は、Sartomer Companyにより市販の「Wingtack 95」及び「Wingtack 115」粘着付与樹脂であり;芳香族石油炭化水素及びその水素化誘導体;並びに脂肪族/芳香族石油誘導炭化水素及びその水素化誘導体である。
【0068】
粘着付与剤は、所定のエポキシ樹脂を更に含む。特に粘着付与剤(特にSTPにて液体である粘着付与剤)は、膨張の際に起こる架橋反応に実質的に関与しないエポキシ樹脂を含む。これは、エポキシ樹脂のエポキシ基のうち約20%未満しか、エポキシ樹脂に粘着付与するための架橋反応に関与しないことを意味する。粘着付与エポキシ樹脂のこの範囲には、エポキシ樹脂基の約10%未満、約5%未満、更に約1%未満が架橋に関与するエポキシ樹脂が含まれる。
【0069】
表1は、請求項に係る熱膨張性材料の実施態様を製剤化するために使用してよい成分のパーセンテージ範囲についての一般的指標を提供する。ここでは100%は熱膨張性材料の重量である。
【0070】
【表1】

【0071】
粘着付与剤を実質的に含まない熱膨張性材料の試料を、表1の第3欄に記載された指標に従って製剤化した。これらの試料は、添付の請求項の範囲に何らの制限を加えるものではない。逆に、本明細書の記載を読んだ後には、本発明の精神及び/または添付の請求項の範囲から逸脱することなく様々な別の実施態様、変形、並びにこれらの等価物が可能なことが当業者には自ずと示唆されることが明確に理解されるはずである。
【0072】
熱膨張性材料は、静けさが望まれる構造体、例えば自動車構造体のキャビティに使用可能である。このような熱膨張性材料を使用する非制限的方法の一つは、担体に熱膨張性材料を射出成型(あるいは貼り付けまたは固定または導入)し、担体を自動車構造体のキャビティー中に設置することである。担体は必須ではなく、あるいは熱膨張性材料は活性化温度に加熱する前にキャビティー内に設置または固定することができる。この非制限的実施例では、例えば塗料焼き付けの間などの自動車が活性化温度に加熱される際に、該材料は膨張してキャビティーを形成する基体に実質的に粘着し、キャビティーを効果的に密閉し、よってバッフル効果を提供することができる。
【0073】
熱膨張性材料は、膨張の間及び/または後に、基体に粘着する。一つの実施態様では、基体は、以下に限定されるものではないが低温圧延鋼材、亜鉛メッキ鋼、亜鉛メッキ電着被覆鋼等を含む金属を含む。別の実施態様では、膨張性材料は電着被覆と下層の金属との両方に接着する。別の実施態様では、基板はプラスチック及び/または別の物質で被覆されたプラスチックを含む。
【実施例】
【0074】
以下の実施例は、ブレンダー内で成分を撹拌した後、これをペレタイザーを備えたツインスクリュー押出成形機で混合することにより調製した。成分の全パーセンテージは重量パーセントである。
【0075】
【表2】

【0076】
【表3】

【0077】
上記の「凝集破壊」なる語は、発泡体を手で基体から引っ張った後に、基体と接触する発泡体の表面積の100%が残渣を残すことを意味する。これは、基体に対する実施例の接着が、膨張後の実施例材料の内部強度よりも強かったことを意味する。
【0078】
当業者であれば、本発明にはその範囲から逸脱することなく多くの修正及び変形が可能であることを認識するであろう。従って、以上の詳細な説明及び実施例は例示のみを意味しており、添付の請求項に記載される本発明の範囲をどのように制限することも企図しない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)エポキシ樹脂;
(b)複数の熱可塑性ポリマー(ここで、少なくとも一つの熱可塑性ポリマーが前記エポキシ樹脂と反応しうる少なくとも一つの化学的部分を含む);及び
(c)加熱によって活性化される発泡剤;
を含む熱膨張性材料(この材料は実質的に粘着付与剤を含まない)であって、膨張の間に基体に粘着しうる熱膨張性材料。
【請求項2】
前記エポキシ樹脂が、固体エポキシ樹脂である、請求項1の材料。
【請求項3】
前記エポキシ樹脂が約0.5重量%から約20重量%を成す、請求項1の材料。
【請求項4】
少なくとも一つの熱可塑性ポリマーが、無水物官能化熱可塑性コポリマーである、請求項1の材料。
【請求項5】
少なくとも一つの熱可塑性ポリマーが、無水物官能化熱可塑性ターポリマーである、請求項1の材料。
【請求項6】
前記エポキシ樹脂と反応しうる少なくとも一つの熱可塑性ポリマーが約5重量%から約50重量%を成す、請求項1の材料。
【請求項7】
標準的温度及び圧力において実質的に液体成分を含まない、請求項1の材料。
【請求項8】
実質的に可塑剤を含まない、請求項1の材料。
【請求項9】
熱安定化システムを更に含む、請求項1の材料。
【請求項10】
前記熱安定化システムが、ワックスを含む、請求項9の材料。
【請求項11】
前記熱安定化システムが約0重量%から約20重量%を成す、請求項9の材料。
【請求項12】
(a)約2%から約8%の固体エポキシ樹脂;
(b)約15%から約20%の少なくとも一つの無水物改質熱可塑性ポリマー;
(c)約5%から約10%のワックス;及び
(d)約1%から約10%の加熱により活性化される発泡剤;
を含む熱膨張性バッフル材料であって、実質的に粘着付与剤を含まず、膨張の間に基体に粘着しうる、熱膨張性バッフル材料。
【請求項13】
熱膨張性材料の未膨張の体積の約10%から約2500%熱膨張しうる、請求項12の材料。
【請求項14】
熱膨張性材料の未膨張の体積の約500%から約2000%熱膨張しうる、請求項12の材料。
【請求項15】
標準温度及び圧力において、実質的に液体成分を含まない、請求項12の材料。
【請求項16】
フタレート及び芳香族オイル及びこれらの混合物からなる群より選択される可塑剤を実質的に含まない、請求項12の材料。
【請求項17】
(a)エポキシ樹脂;
(b)少なくとも一つの活性化された熱可塑性ポリマー;
(c)加熱によって活性化される発泡剤;
を含む熱膨張したバッフル材料であって、実質的に粘着付与剤を含まず、基体に粘着した、熱膨張したバッフル材料。
【請求項18】
前記基体が金属を含む、請求項17の材料。
【請求項19】
前記基体が、低温圧延鋼材、亜鉛メッキ鋼、亜鉛メッキ電着被覆鋼及びこれらの組み合わせからなる群より選択される金属を含む、請求項17の材料。
【請求項20】
前記基体がプラスチックを含む、請求項17の材料。

【公開番号】特開2013−60605(P2013−60605A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−268393(P2012−268393)
【出願日】平成24年12月7日(2012.12.7)
【分割の表示】特願2008−522970(P2008−522970)の分割
【原出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】