説明

実験動物の飼育施設から排出される汚水の加熱滅菌装置

【課題】実験動物の飼育施設から排出される固形物を含む汚水を、比較的低い処理コストで、効率よく滅菌又は殺菌することのできる滅菌装置を提供すること。
【解決手段】実験動物の飼育施設から排出される固形物を含む汚水から、固形物を濾別する固液分離器5と分離された液体を加熱滅菌する滅菌槽7とを備え、高温水蒸気を、固液分離器5から加熱滅菌槽7内に送入して、固液分離器5内に残留する固形物と滅菌槽7内の液体とを同時に加熱滅菌するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実験動物の飼育施設から排出される固形物を含む汚水を固液分離し、高温滅菌する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、病原生物(バクテリア、ウイルス、寄生虫、真菌等)による感染症の研究、各種ワクチンの開発あるいは遺伝子改変動物の研究に多くの実験用動物が用いられている。
【0003】
飼育動物の汚水の処理は、専門業者に委託するのが一般的であるが、動物飼育実験施設等から排出される汚水には、病原生物等が混入している恐れがあるため、基本的には、飼育施設内で処理することが望ましい。
このような実験動物の飼育施設から排出される汚水を施設内で処理する方法として、特開2007−135402号公報(特許文献1)には、加熱空気の排出口が設けられたハウジング内に触媒燃焼処理部を配置し、このハウジング内で動物飼育実験施設から排出される汚水を焼却する方法が提案されている。
【0004】
しかし、このような方法では、処理施設が大掛かりなものとなる上に、液体まで焼却(高温処理)するため膨大な熱量を必要とし、汚水の処理コストが高くなるという問題がある。
【0005】
また、実験動物の飼育施設内で、固液分離器を用いて、汚水を、獣毛などの固体成分と液体成分とに分離し、それぞれを別個に加熱滅菌した上で、最終処理を業者に委託することも考えられるが、固体成分と液体成分とを別々に加熱処理するのでは、施設内の処理設備が大型化する上に、濃縮成分と透過成分を個別に加熱滅菌するため、汚水の処理コストが高くなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−135402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる従来の難点を解消すべくなされたもので、動物飼育実験施設のような実験動物の飼育施設から排出される固形物を含む汚水を、比較的低い処理コストで、効率よく滅菌又は殺菌することのできる滅菌装置を提供することを目的とする。
なお、本発明の装置は、加熱滅菌、加熱殺菌のいずれにも使用できるので、以下の説明では、単に、「加熱滅菌」というときは、「加熱滅菌又は加熱殺菌」を意味するものとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実験動物の飼育施設から排出される固形物を含む汚水の加熱滅菌装置は、実験動物の飼育施設内の側溝、汚水配管等から流入する固形物を含む汚水を収容する汚水タンクと;前記汚水タンクの下流側に配置された前記固形物を含む汚水から固形物を濾別する固液分離器と;前記固液分離器で濾別された固形物の流路の下流側に配置された固形物収容槽と;前記固液分離器を透過した液体の流路の下流側に配置された前記液体を収容して加熱滅菌する滅菌槽と;前記滅菌槽の下流側に配置された液体収容槽と;高温水蒸気殺菌手段と、を備えた加熱滅菌装置において、前記高温水蒸気殺菌手段は、高温水蒸気を、固形物を含む汚水の流入配管を介して前記固液分離器内に送入し、さらに、前記固液分離器を通過した高温水蒸気を前記加熱滅菌槽内に送入してバブリングを行うことを特徴とする。
【0009】
本発明に使用する固液分離器は、これを前記滅菌槽内に配置するとともに、高温水蒸気殺菌手段からの高温水蒸気を、固形物を含む汚水の流入配管から前記固液分離器内に送入し、固液分離器を通過した高温水蒸気で、そのまま滅菌槽内のバブリングを行わせるようにしてもよい。
【0010】
本発明に使用する固液分離器は、液体排出口を有する外筒と、微細孔径、例えば250μmの孔径の金属メッシュの内筒からなり、前記固形物を含む汚水は、流入配管を介して前記内筒内に流入し、ここで汚水中の液体は内筒の金属メッシュを透過して外筒の液体排出口から固液分離器に送られる。また、内筒内に残留した固形物は、開閉バルブの操作により、内筒底部から外筒底部を貫通して垂下する固形物排出配管から排出される。なお、固液分離器を滅菌槽内に設置する場合には、固液分離器の外筒は不要になる。
【0011】
また、固液分離器には、同軸のインペラーを内挿しておき、洗浄時にインペラーを回転させて内筒の金属メッシュに付着した固形物を掻き取るようにすることが望ましい。
【0012】
さらに、滅菌槽の上部には、槽内の気体を除菌してから放出するための除菌フィルターを装着することが望ましい。この除菌フィルターは、滅菌槽内の液体をバブリングした高温の排気(水蒸気)が通過する際この排気の熱により滅菌される。
【0013】
滅菌槽の外周には、高温水蒸気又は冷却水を流通させる加熱・冷却ジャケットを装備して、昇温・降温工程の時間を短縮させたり、洗浄時に加熱して洗浄効果を高めることもできる。
【0014】
また、前記固液分離器の内筒に開口する汚水の流入配管と内筒の固形物の排出配管には、バルブ操作により、高温水蒸気、洗浄水及び圧縮空気をそれぞれ供給可能な蒸気配管、洗浄水配管、圧縮空気配管を接続することが望ましい。
【0015】
さらに、本発明においては、前述した各種配管が接続された固液分離器と滅菌槽の組を、それぞれ2組並列的に設置して、汚水の流入、加熱滅菌、洗浄、リンス、固形物や液体の排出等各工程を、各組のタイミングをずらして行うことにより、処理の効率アップをはかることもできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果は以下の通りである。
(1)実験用動物の排泄物などに含まれる病原生物等は、滅菌されるので、一般の汚水と同様に専門業者に処理を委託することができる。
(2)固液分離器で分離された固形物と液体が同時に滅菌処理することができるので、熱の利用効率が高く、設備も簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態の構成を概略的に示す図である。
【図2】第1の実施形態の要部を拡大して示す図である。
【図3】第2の実施形態の構成を概略的に示す図である。
【図4】第2の実施形態の要部を拡大して示す図である。
【図5】第3の実施形態の構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1において、実験動物の飼育実験施設の側溝などに流れる獣毛などの固形物を含む汚水は、配管1によって、一旦汚水タンク2に集められる。汚水タンク2に収容された汚水は、ポンプ3により配管4を経て、固液分離器5に送られる。
ここで、汚水中の固形物は、固液分離器5で取り除かれ、分離された液体は配管6a,6bから滅菌槽7に送られる。
【0019】
滅菌槽7内の液体が所定のレベルに達すると、蒸気配管からの高温の水蒸気が固液分離器5に送られ、固液分離器5内の固形物と滅菌槽7内の液体が加熱され、バブリングで滅菌槽7の空間に放出された高温の水蒸気は、除菌フィルター10を加熱滅菌しつつ通過して大気中に放出される。この後、固液分離器5内の固形物は配管11を介して固形物収容槽8に排出され、滅菌槽7内の液体は配管12を介して液体収容槽13に排出される。
これらの滅菌処理の済んだ固形物や液体は、専門業者に処理が委託される。
図において、符号Vは開閉バルブ、Jは蒸気加熱及び水冷用のジャケット、「蒸気」、「洗浄水」、「圧縮空気」はそれぞれ「蒸気配管」、「洗浄水配管」、「圧縮空気配管」である。
【0020】
以下、図2により、この実施形態を詳しく説明する。
固液分離器5は、上下に2系統の液体排出用の枝管6a,6b及び加熱水蒸気等が送入される枝管6cを有する外筒5aと、外筒5aに同軸的に内挿された250μmの孔径の金属メッシュからなる内筒5bとから構成されている。固液分離器5の内筒5bの上端は開閉バルブV1を介して汚水を供給する配管4に接続され、内筒5bの下端は開閉バルブV2を介して固形物収容槽に続く配管に接続されている。固液分離器5の内筒5b内には、金属メッシュに付着した固形物を掻き落とすインペラー14が同軸的に内挿されている。符号Mはインペラー14を駆動させるモータである。
【0021】
滅菌槽7は、例えば、直径1m、容量500Lの上下面が半球上の円筒体であり、その上部側面に設けた流入口(短管)7aには固液分離器5の上部の枝管6aが接続され、その下部側面に設けた流入口(短管)7bには、固液分離器5の下部の枝管6bに開閉バルブV3を介して接続されている。滅菌槽7の底部には、バルブV4の開放により液体を液体収容槽8に排出する排出口が設けられている。
また、滅菌槽7の上部には、滅菌槽7内の空間部に連通する除菌フィルター10が設置され、外周には、高温の水蒸気や冷却水を送入可能な加熱・冷却ジャケットJ0が設けられている。
【0022】
固液分離器5に汚水を供給する配管4には、開閉バルブVs1,Vw1,Va1を介して、それぞれ蒸気配管S、洗浄水配管W,圧縮空気配管Aが接続されている。開閉バルブVs1,Vw1,Va1とポンプ3の間の配管4には開閉バルブV5が設けられている。
固液分離器5の外筒5aの下端部には、開閉バルブV6を介して配管15が接続されており、この配管15には、開閉バルブVs2,Vw2,Va2を介して、それぞれ蒸気配管S、洗浄水配管W,圧縮空気配管Aが接続されている。
【0023】
次に、この実施形態による処理方法を説明する。なお、以下の各工程では、図示を省略したタイマー、液位計、温度計などで制御される制御装置により各配管に設けた開閉バルブが操作れる。
【0024】
(汚水の送液・固液分離)
滅菌槽7のジャケットJに高温の水蒸気(100℃以上)が供給され、開閉バルブV1,V3,V5が開放され、ポンプ3が駆動されて汚水タンク2内の固形物を含む汚水が、固液分離器5の内筒5b内に送液される。汚水中の固形物は内筒5bの金属メッシュに遮られて内筒5b内に残留し、内筒を透過した液体だけが配管6a,6bから滅菌槽7内に送液される。滅菌槽7内の液体が、例えばポンプ3の起動から1分間経過で満水レベルに達すると開閉バルブV5が閉じられて固液分離器5への汚水の送液が停止される。
【0025】
(加熱滅菌)
次に、開閉バルブVs1,Vs2、V6が開放されて高温の水蒸気が固液分離器5内に送入される。固液分離器5内に送られた高温の水蒸気は、固液分離器5の金属メッシュを通過し、配管6a,6bを通って滅菌槽7内の液体をバブリングし、滅菌槽7の上部空間に放出され、除菌フィルター10を加熱しつつ通過して系外に放出される。
開閉バルブVs1,Vs2からの水蒸気の送入は、例えば2分間行われ、その間、固液分離器5内の固形物、滅菌槽7内の液体、除菌フィルターは、通常、80℃以上の温度にまで加熱されて滅菌(殺菌)が行われる。
【0026】
(冷却)
開閉バルブVs1,Vs2、及びジャケットJ内に高温の水蒸気を送る開閉バルブが閉じられ、開閉バルブVa1,Va2が開放されて圧縮空気が固液分離器5内に送入されると同時に、図示を省略したバルブ操作により、ジャケットJ内に冷却水が注水される。
この圧縮空気によるバブリングと水冷ジャケットJによる冷却が例えば2分間行われ、これによって、固液分離器5内の固形物と滅菌槽7内の液体は取り扱い可能な温度にまで冷却される。
【0027】
(固形物及び液体の排出)
開閉バルブV6とジャケットJ内に冷却水を注水する開閉バルブを閉じ、開閉バルブV2,V4を開放するとともに、インペラー14を回転させて、固形物を金属メッシュから掻き取りつつ固形物を固形物収容槽8に排出し、液体は液体収容槽13に排出する。この後、開閉バルブVa1,Va2,V6を開放し、圧縮空気を固液分離器5、滅菌槽7内に送入し、ジャケットJ内には高温の水蒸気を送入して、固液分離器5内の固形物と滅菌槽7内の液体をできるだけ完全に排出する。
【0028】
(洗浄・排水)
開閉バルブVs1,Vs2、Vw1,Vw2,V6及びジャケットJ内に高温の水蒸気を送る開閉バルブを開放して高温の水蒸気と洗浄水を固液分離器5内に送入する。固液分離器5内に送られた高温の水蒸気と洗浄水は、固液分離器5の金属メッシュを通過し、配管6a,6bを通って滅菌槽7内に入り、滅菌槽7内の液体をバブリングする。
この後、高温の水蒸気と洗浄水の固液分離器5への送入を停止し、圧縮空気を導入して滅菌槽7内を所定時間、例えば2分間バブリングした後開閉バルブV2,V4を開放して排液する。
【0029】
(リンス・排水)
開閉バルブV6を閉じ、開閉バルブVw1,V1,V2,V4,V4及びジャケットJ内に高温の水蒸気を送るバルブを開放して、滅菌槽7を加温しつつ、洗浄水で固液分離器5、滅菌槽7の内部及び流路となる配管内、開閉バルブ内を例えば2分間リンスする。
以上のように、洗浄、リンスを行った後、新たに処理を行うために汚水が送入される。
【0030】
(第2の実施形態)
図3は、本発明の第2実施形態の構成を概略的に示す図、図4は、その要部を拡大して示す図である。これらの図において、図1及び図2と対応する部分については同一の符号を付して説明が省略してある。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態における固液分離器5の外筒5aを外して内筒5bだけを滅菌槽7に設置して構成したものである。
【0031】
図3において、実験動物の飼育実験施設の側溝などに流れた獣毛などの固形物を含む汚水は、配管1によって、一旦汚水タンク2に集められた後、ポンプ3により配管4を経て、固液分離器5に送られる。
汚水中の固形物は、固液分離器5で取り除かれ、分離された液体はそのまま滅菌槽7内に排出される。
【0032】
滅菌槽7内の液体が所定のレベルに達すると、蒸気配管からの高温の水蒸気が固液分離器5に送られ、固液分離器5内の固形物と滅菌槽7内の液体がバブリング等により加熱され、バブリングで滅菌槽7の空間に放出された高温の水蒸気は、除菌フィルター10を加熱殺菌した後、大気中に放出される。この後、固液分離器5内の固形物は配管11を介して固形物収容槽8に排出され、滅菌槽7内の液体は配管12を介して液体収容槽13に排出される。
【0033】
図4は、固液分離器5と滅菌槽7を拡大して示す図である。
この実施形態では、以下のようにして固形物を含む汚水の処理が行われる。
この実施形態においても、以下の各工程は、図示を省略したタイマー、液位計、温度計などで制御される制御装置により各配管に設けたバルブの操作により行われる。
【0034】
(汚水の送液・固液分離)
滅菌槽7のジャケットJに高温の水蒸気(100℃以上)が供給され、汚水タンク2内の固形物を含む汚水が、固液分離器5の内筒5b内に送液される。汚水中の固形物は内筒5bの金属メッシュに遮られて内筒5b内に残留し、内筒を透過した液体だけが滅菌槽7内に放出される。滅菌槽7内の液体が満水レベルに達すると固液分離器5への汚水の送液が停止される。
(汚水の送液・固液分離)
【0035】
(加熱殺菌)
次に、高温の水蒸気が固液分離器5内に送入される。固液分離器5内に送られた高温の水蒸気は、固液分離器5の金属メッシュを通過し、滅菌槽7内の液体をバブリングし、高温の水蒸気は、さらに、除菌フィルター10を加熱しつつ通過して系外に放出される。
【0036】
(冷却)
高温の水蒸気の送入が停止し、圧縮空気が固液分離器5内に送入されると同時に、ジャケットJ内には冷却水が注水される。
【0037】
(固形物及び液体の排出)
ジャケットJ内への冷却水の注水を停止し、インペラー14を回転させて固形物を金属メッシュから掻き取りつつ固形物を固形物収容槽8に排出し、液体は液体収容槽13に排出する。 さらに、圧縮空気を滅菌槽7内に送入し、ジャケットJ内には高温の水蒸気を送入して、固液分離器5内の固形物と滅菌槽7内の液体をできるだけ完全に排出する。
【0038】
(洗浄・排水)
次に、高温の水蒸気と洗浄水を固液分離器5内に送入する。固液分離器5内に送られた高温の水蒸気と洗浄水は、固液分離器5の金属メッシュを通過して滅菌槽7内に入り、滅菌槽7内の液体をバブリングする。
この後、高温の水蒸気と洗浄水の固液分離器5への送入を停止し、圧縮空気を導入して滅菌槽7内を所定時間、例えば2分間バブリングした後排液する。
【0039】
(リンス・排水)
ジャケットJ内に高温の水蒸気を送るバルブを開放して滅菌槽7を加温しつつ、洗浄水で固液分離器5、滅菌槽7内を、例えば2分間リンスした後排水する。
この後、再び、新たな排液を受け入れる。
【0040】
(第3の実施形態)
図5は、第1の実施形態の固液分離器と滅菌槽を2組並列的に設置し、切換えバルブV7,V8を介して、いずれか一方の組に切換え可能とした実施形態形態であり、図2と同一部分には同一の符号を付してある。
この実施形態では、例えば、切換えバルブV7,V8を操作して、まず、固液分離器5a側に汚水タンク2内の固形物を含む汚水が送液され、固液分離器5aのメッシュを透過した液体は、滅菌槽7aに送液され、次いで、図2について説明したと同じように、固液分離器5a及び滅菌槽7aの加熱殺菌工程、洗浄工程が行われるが、例えば洗浄工程の間に、切換えバルブV7,V8の操作により、他方の側の固液分離器5bに汚水タンク2内の固形物を含む汚水が送られ、加熱殺菌工程が行われる。
【0041】
つまり、固液分離器5a、滅菌槽7aの組と固液分離器5b、滅菌槽7bの組は各工程をずらして並行的に処理が行われる。
したがって、この実施形態によれば、固液分離器、滅菌槽の組を2組設けることにより、2倍の処理効率で汚水の処理を行うことが可能となる。
【0042】
図5の実施形態では、図2の固液分離器5及び滅菌槽7を用いたが、図4に示した固液分離器5及び滅菌槽7を使用することも可能である。
なお、以上の実施形態では、汚水の処理を、「汚水の送液」、「固液分離」、「加熱滅菌」、「冷却」、「固形物及び液体の排出」、「洗浄・排水」、「リンス・排水」の各工程に分けておこなったが、本発明は、かかる実施形態に限定されるべきものではなく、適宜、省略したり、繰り返したり、他の方法と組み合わせたりするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1……汚水配管、2……汚水タンク、3……汚水ポンプ、4,4a,4b,6,12……配管、5……固液分離器、5a……外筒、5b……内筒、7……滅菌槽、8……蒸気配管、9……ジャケット、10……除菌フィルター、13……液体収容槽、14……インペラー、V1〜V8,Vs1,Vw1,Va1,Vs2,Vw2,Va2……開閉バルブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実験動物の飼育施設内の側溝、汚水配管等から流入する固形物を含む汚水を収容する汚水タンクと、
前記汚水タンクの下流側に配置された前記固形物を含む汚水から固形物を濾別する固液分離器と、
前記固液分離器で濾別された固形物の流路の下流側に配置された固形物収容槽と、
前記固液分離器を透過した液体の流路の下流側に配置された前記液体を収容して加熱滅菌(殺菌も含む。)する滅菌槽と、
前記滅菌槽の下流側に配置された液体収容槽と、
高温水蒸気殺菌手段と、を備えた加熱滅菌装置において、
前記高温水蒸気殺菌手段は、高温水蒸気を、固形物を含む汚水の流入配管を介して前記固液分離器内に送入し、さらに、前記固液分離器を通過した高温水蒸気を前記加熱滅菌槽内に送入してバブリングを行うことを特徴とする実験動物の飼育施設から排出される固形物を含む汚水の加熱滅菌装置。
【請求項2】
前記固液分離器は前記滅菌槽内に配置されるとともに、前記高温水蒸気殺菌手段は、高温水蒸気を、固形物を含む汚水の流入配管を介して前記固液分離器内に送入し、さらに、前記固液分離器を通過した高温水蒸気を前記滅菌槽内に送入してバブリングを行うことを特徴とする請求項1記載の実験動物の飼育施設から排出される固形物を含む汚水の加熱滅菌装置。
【請求項3】
前記固液分離器は、微細孔径の金属メッシュの円筒体からなり、前記固体を含む汚水は、流入配管を介して前記円筒体内に流入し、前記汚水中の液体は金属メッシュを透過して前記円筒体外へ流出することを特徴とする請求項1又は2記載の実験動物の飼育施設から排出される固形物を含む汚水の加熱滅菌装置。
【請求項4】
前記固液分離器は、前記円筒体内の付着物を除去する同軸のインペラーを前記円筒体内に有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の実験動物の飼育施設から排出される固形物を含む汚水の加熱滅菌装置。
【請求項5】
前記滅菌槽の上部には、槽内の気体を除菌して放出する除菌フィルターが装着されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の実験動物の飼育施設から排出される固形物を含む汚水の加熱滅菌装置。
【請求項6】
前記滅菌槽の外周には、高温水蒸気又は冷却水を流通する加熱・冷却ジャケットが装備されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の実験動物の飼育施設から排出される固形物を含む汚水の加熱滅菌装置。
【請求項7】
前記固液分離器の固形物を含む汚水の流入配管には、高温水蒸気、圧縮空気及び洗浄水の供給配管が、開閉バルブを介して接続されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の実験動物の飼育施設から排出される固形物を含む汚水の加熱滅菌装置。
【請求項8】
固液分離器及び滅菌槽は、切換え弁を備えた切換え配管を介してそれぞれ2組並列的に設けられ、前記固体を含む汚水の固液分離器への流入、固液分離器から前記固形物収容槽への固形物の排出及び殺菌槽から前記液体収容槽への前記液体の排出は、切換え弁の切換えにより、各組の工程をずらして行われることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の実験動物の飼育施設から排出される固形物を含む汚水の加熱滅菌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−160883(P2011−160883A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24620(P2010−24620)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000245531)野村マイクロ・サイエンス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】