説明

実験液用のモジュール式の貯蔵システム

本発明によれば、実験用液のためのモジュール式の貯蔵システムは、キャリア枠体が少なくとも2つの異なる実験容器インサートのために所定数の挿入場所を有し、該実験容器インサートが任意に互いに交換可能にかつ任意に組合わせ可能に形状接続的にキャリア枠体の前記挿入場所内に挿入可能であり、挿入場所がそれぞれ少なくとも1つの実験容器及び/又は少なくとも1つの実験容器のための少なくとも1つの挿入小室を有していることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は実験液用のモジュール式の貯蔵システムに関する。
【0002】
試料を貯蔵するための公知のシステムは可能な限り高い検査量を目的とする所定の分析装置に1次的に適している。これらのシステムは特に臨床分析装置の分野で既知である。この場合には、可能な限り多数の試料を受取り、貯蔵し、管理しかつ分析のために準備するという課題が解決される。これらのシステムは相応に複雑に構成されている。特にこれらのシステムにおいては、可能な限り迅速に行なわれる複雑な分析ステップへの統合は汚染なしに達成される必要がある。又、反応容器を封止することによって、非常に高価であり得る試薬の蒸発を回避することも重視されている。
【0003】
相応する構成形態は米国特許第4,933,146号明細書に見出せる。この場合には同等に構成された封止されたキューベットが環状の配置で、信号を識別する機構の構成要素として能動的な加熱及び冷却装置の存在下で用いられている。
【0004】
前記目的は同様にEP0651254A1号明細書でも達成されている。臨床的な分析装置に必要な個々の試薬キットは冷却可能なコンテナ内で直線的な配置で、ベルチェ素子を備えた冷却システムの上に配置される。
【0005】
医学分野からの別の課題は、US2006/0012773A1号明細書で解決されている。この発明によれば同等の容器のアレイにレーザマイクロ解剖からの生物学的な物体が貯蔵される。
【0006】
試料の識別性に関する臨床的な要求に応えるためには、特に臨床的な解析装置では、試料を識別する手段、例えばUS6,432,359B1号明細書又はUS5,672,317号明細書に開示されたバーコード又は機械的な走査システムが考慮されている。特別な構成形態では1つの試料システムのすべての製品情報も考慮されている(US5,589,137号明細書)。
【0007】
DE10333545A1号明細書に開示されている自動化された高処理用の装置は新しい開発技術である。この場合には同じ課題のためのできるだけ多くの試料が同等の容器内で3つの段階から成るカートリッジシステム内に配置されかつ挿入される。
【0008】
他の構成形態はUS5,788,929号明細書に見られる。これは可動な試料の搬送および処理に関し、試料は調整の必要なく大気温度よりも低く保持しようとしている。
【0009】
例えばUS6,156,275号又はPCT WO00/45953号明細書に開示されている他の場合には、自動化の理由から、容器のための受容機構はきわめて複雑に構成されている。
【0010】
記述されている構成では、通常同等タイプの試料を長時間適切に貯蔵するため、試料を一時的に解析装置に提供するためおよび試料を出発位置へ戻すために技術的に費用のかかる構成である。この場合には液体を貯蔵するためのシステムは同じタイプの容器を必要とする。
【0011】
これに対し、一般的な実験領域では他の目的が前提である。最新のワークステーションは実験室におけるプログラム化された液体の処理に用いられ、ワークステーションは場所をとらないように構成されている。それらの目的は、貯蔵、臨床的な分析及び/又は高い処理量などのルーチン課題ではない。この別の課題は例えば液体取扱いステーション、真空チャンバ、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)のための熱循環装置、遠心分離機、アレイスポッタ又は他の器具のような作業モジュールの装備を常に変化させることが必要になる。
【0012】
本発明の課題は、常に変化する作業環境のために液体又は他の物質のための貯蔵システムであって、適応性があり、場所をとらず、コスト的に好適で、有利には温度調整可能で、持運びでき、多くの異なるタイプの容器及び他の容器に適した貯蔵システムを提供することである。
【0013】
この課題は本発明によれば、請求項1の特徴を有するモジュレート式の貯蔵システムにより解決された。有利な構成は従属請求項に記載されている。
【0014】
本発明によれば実験用液体のためのモジュール式の貯蔵装置は、1つのキャリア枠体と少なくとも2つの異なる実験容器インサートとを有している。この容器インサートは任意に互いに交換可能でありかつ任意に組合わせてキャリア枠体に挿入可能である。キャリア枠はこのために、所定数の挿入場所を有し、この挿入場所は実験容器インサートと形状接続するためにその形状を前記課題に適合されている。実験容器インサートはそれぞれ直接的に統合されて少なくとも1つの実験容器を有しかつ/又は少なくとも1つの個別の実験容器のために少なくとも1つの挿入小室を有している。したがって本発明による貯蔵システムにおいては従来の実験容器を同様に、例えば特に所定の使用例のためにその容積又はその幾何学的な形状を適合させて配置することができる。さらに将来的に市場に出現する実験容器も貯蔵システムに統合することもできる。このためには相応に適合された挿入小室を有する実験容器が構成される。
【0015】
本発明の貯蔵システムは実験室用のコンピュータ化されたワークステーションの作業環境及びプロプログラミングに容易に組込むことができる。特に有利であることは多数の実験容器を無秩序に受容装置内へ統合できることである。この場合、容器の形、直径、高さ、材料及び閉鎖設計はそれぞれ異なる。最新のワークステーションの高い相互作用性はシステム構成要素の位置、配向及び形式に関して、自動的に可能である認識によって助成される。例えばきわめて高価な物質の蒸発を阻止すると共にその安定性を損わないためには、試料は目標温度に維持されることができる。したがって有利な形式でシステム全体に温度制御装置を統合することが有利である。
【0016】
本発明の目的は、有利には温度制御可能な貯蔵システムであって、小さな面の上に、種々の形、直径及び高さの種々異なる実験容器又は他の容器を同時に受容することを可能にする形式の装置を提供することである。容器は自由にかつ互いに無関係にモジュール式の貯蔵システム内へもたらすことができるので、全体として、提供される空間は好適に利用される。特に実験室領域の自動化されたワークステーションにおいてきわめて多くの容器タイプへの接近が、同時に温度制御されて達成される。
【0017】
多くの実験プロセスにおいては液体及び他の物質を冷却、加熱及び温度安定化と関係して貯蔵することは避けられない。又、多くの場合には多数の異なる試料容器を同時に、できるだけ小さい面の上で取扱うことが必要である。本発明はこれらの目的の好適な実現を最終的に可能にする。この場合、容器という概念には固体状又は液状の物質を実験室にて貯蔵するために使用されるすべての対象が含まれる。
【0018】
本発明の貯蔵システムはワークステーションに統合された温度制御装置内に配置されることができる。貯蔵システムは有利には異なる温度制御モジュールを受容するモジュールラックを備えている。各温度制御モジュールは有利にはその上端に多機能挿入補助具を有し、温度制御しようとする容器を受容する。貯蔵システムは全体的に又は部分的に耐オートクレーブであると有利である。
【0019】
温度制御モジュールという概念はここでは、インサートの少なくとも1つの実験容器を少なくとも部分的に取囲む、熱伝導性の材料から成る本体を有する本発明による実験容器インサートである。前記本体の下面は有利には平坦であり、キャリア枠体内に挿入されて、前記本体が下面側で枠体から突出し、一緒に有利には平坦な下面を形成する。この下面は温度制御装置の温度制御面のための接触面を形成する。しかしながら、温度制御装置自体が適合する温度表面を有していると、モジュール下面がキャリア枠体内へ引込むことも可能である。特に有利であることは、キャリア枠体が温度制御装置内へ挿入されるときに、モジュールが温度制御装置の温度制御面から若干持上げられ、温度制御面とモジュールの下面との表面接触が特にモジュールの自重によって確実にされることである。
【0020】
これに相応して、温度制御装置という概念には実験室内で用いられる、必要とされる熱伝導を達成する平坦な又はその他の面形状を有するすべての装置が含まれる。温度制御装置はアルミニウム、銀又は他の金属あるいは合金から製造することが有利である。代替材料には例えばナノ粒子を含む高伝導プラスチック及びコーティング材料である。
【0021】
モジュールラック内に温度制御モジュールを選択自由に配置することにより、非常に多様な容器を空間的に好適に受容することができる。温度制御モジュールと温度制御装置との熱的な接触を介して容器内の試料には、熱伝導により所望の温度及び温度経過が与えられる。
【0022】
温度制御装置は、適当な例えば形状接続的な受容装置により、貯蔵装置又はその1部が手動で又は適当なロボット搬送装置によって形状接続的に温度制御装置の上に配置できるようにワークステーション内に組込まれる。温度及び温度経過は、例えばワークステーションの制御ユニットによってプログラミングすることができる。
【0023】
モジュールラックは有利には立方体形で、一体に成形される、上部と下部にて開放している保持体(キャリア枠体)から構成されている。又択一的にマルチパート形状も考えられ得る。有利には単数又は接続された複数のマイクロプレート(SBS)のフォーマットと互換性のある基面のためのフォーマットが使用される。生物分子スクリーニング学会(SBS)のマイクロプレートのための公開規格は例えばANSI/SBS 1−2004、ANSI/SBS 2−2004、ANSI/SBS 3−2004、ANSI/SBS 4−2004である。SBSは、特に実験自動化の開発を容易にしかつユーザーに大きな安全性を提供するためにマイクロプレートの規格化に関わる。
【0024】
温度制御装置に面したモジュールラックの部分は、温度制御装置に対しモジュールラックを位置決めするために適当な受容エレメントを備えていると有利である。モジュールラックの上部は温度制御モジュールを形状接続的にかつセンタリングされて特に多機能性の補助具を用いて受容する切込みを有している。モジュールラックはワークステーションにおけるその存在を識別するため及びその位置を識別するための指標を有している。好適な実施形態においては、レーザダイオードを用いた光学読取り装置がワークステーションにおいて識別のために用いられている。しかし、別の識別方法、例えば対応するスキャナを用いたバーコードの識別、機械的な走査システムを用いた識別、レーザを用いたRFIDタグによる識別又は光学画像処理による識別を使用することもできる。
【0025】
有利には高熱伝導材料又は蓄熱性の良好な材料から製造された温度制御モジュールはその表面に多機能挿入補助具を有することができる。多機能挿入補助具は小さい方の側面に、モジュールラックと形状接続的に固定する位置決めウェブを有している。温度制御モジュールは有利にはアルミニウム、銀又は他の金属又は合金から製作されていることができる。択一的な材料は高伝導性のプラスチック並びに例えばナノ粒子を用いたコーティング材料である。
【0026】
さらに断熱された実験容器インサートが本発明のシステムに所属することもできる。この場合には実験容器(又はそのための挿入小室)は断熱された、熱的に高伝導性ではない工作材料本体で取囲まれている。
【0027】
位置決めウェブは有利には、温度制御モジュールのその都度のタイプの識別を可能にする標識又はコードを備えている。有利な実施例ではワークステーション内にこれをレーザダイオードで識別する光学的な読取り装置が用いられている。しかし、他の識別方法、例えば所属のスキャナを有するバーコード、機械的な走査システム、レーザを用いたRFIDタグス又は光学的な画像処理方法を使用することもできる。有利な実施例では標識を光学的に走査可能なエレメントは有利には円又は方形又は他の形を形成する。択一的に機械的な走査のために高められた構造又は低められた構造を使用することもできる。読取り誤差を回避するためには有利には過多なコーディングが使用される。有利な実施形態では、コーディングの欠除(零コーディング)はワークステーションのプログラムにおける中断ルーチンを実行し、これにより補正ステップが行なわれる。
【0028】
有利な実施形態においては位置決めウェブの1つにおけるコード化は例えば容器の取り違えを回避するために温度制御モジュールの指向性の識別を可能にする。例えばフィルムヒンジカバーを有する試験管のための別の実施形態においては、位置決め補助具にはカバー固定ウェブが設けられている。固定ウェブは、特に容器開口に対する例えば自動ピペットの規定された接近が妨げられないために、試験管のカバーを開放しておく挿入開口を備えている。
【0029】
有利には個々の温度制御モジュールは均等な温度分布が可能な限り迅速に得られるように、質量及び形状が好適化される。質量の好適化は、全体的に熱搬送と熱容積からの効率を好適化する実験室領域における構成的な特徴を意味する。形状の好適化はこのプロセスを適当な3次元的な設計によって支援される。
【0030】
多機能挿入補助具は、容器を温度制御モジュール内に受容するための開口を備えている。温度制御モジュールの受容キャビティは受容しようとする容器の形態に応じて種々の高さ、直径、間隔及び形態を有していることができる。受容キャビティは洗浄又はリンスプロセスを助けるために底に向かっても開放されていることができる。受容キャビティの高さは、挿入された容器が多機能補助具から突出して縁が同一平面上に位置するような寸法を有している。有利な実施形態においては、長さの異なる収容された容器には、側面に挿入可能な下部ストッパによって、上部で同じ高さを与えることができる。有利には多機能挿入補助具もオートクレープに適した材料から製作される。
【0031】
貯蔵システムの代替的又は補助的な利用は、ワークステーションの外でも、例えば冷却又は冷凍ユニット、培養ユニットにて分子生物学的な生産物を中間貯蔵するため、タンパク質又は抗体あるいは他の生成物を例えばPCRプロセス前又はPCRプロセス中又はPCRプロセス後に一時的に貯蔵するため又は異なるワークステーションの間で又は該ワークステーションの内部で又は実験室通路内で搬送するために利用することである。
【0032】
システムのための温度制御装置は、付加的に別の機能を有するシステムのための熱的な機能のために、例えば容器内の試料のより効果的な混合を保証するために設けることができる。これによって例えば固体物質、例えばタブレット又は粉体状の材料の溶解が支援される。
【0033】
モジュールラックは温度制御モジュールの代わりに実験室におけるプロセス支援するための別のモジュール、例えば液体又は廃棄物用タンクを受容することもできる。実験容器インサート又はモジュールの別の有利な実施形態は比較的に小さい実験課題のためのボルテクス混合インサート又は例えばDNAの精製における磁気的なビーズ用の物質分離のための他の電気的な小型装置のインサートであることができる。
【0034】
モジュールラックとこれに接合された構成要素の有利な実施形態は直方体形である。有利な実施形態は下面にてマイクロタイタープレート(SBS)に厳密に適合している。しかし、別の形、例えば円形の形、典型的な環状構造又はメリーゴーランドの形状を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】1つのキャリア枠体と7つの実験容器インサートとを有する本発明によるモジュール式の貯蔵システムを示した斜視図。
【図2】部分的に、各挿入受容室に実験容器を有する9つの異なる実験容器インサートの斜視図。
【図3】本発明の貯蔵システム(図示せず)を使用できるワークステーションの斜視図。
【図4】図3のワークステーションの把持具に保持された、図1に示された貯蔵システムの斜視図。
【図5】図2に示された9つの異なる実験容器インサートを上部では斜視図で、左下では横断面図でかつ右下では側面図で示した図。
【図6】図2に示された9つの異なる実験容器インサートを上部では斜視図で、左下では横断面図でかつ右下では側面図で示した図。
【図7】図2に示された9つの異なる実験容器インサートを上部では斜視図で、左下では横断面図でかつ右下では側面図で示した図。
【図8】図2に示された9つの異なる実験容器インサートを上部では斜視図で、左下では横断面図でかつ右下では側面図で示した図。
【図9】図2に示された9つの異なる実験容器インサートを上部では斜視図で、左下では横断面図でかつ右下では側面図で示した図。
【図10】図2に示された9つの異なる実験容器インサートを上部では斜視図で、左下では横断面図でかつ右下では側面図で示した図。
【図11】図2に示された9つの異なる実験容器インサートを上部では斜視図で、左下では横断面図でかつ右下では側面図で示した図。
【図12】図2に示された9つの異なる実験容器インサートを上部では斜視図で、左下では横断面図でかつ右下では側面図で示した図。
【図13】図2に示された9つの異なる実験容器インサートを上部では斜視図で、左下では横断面図でかつ右下では側面図で示した図。
【0036】
図1に示された実験液(図示せず)用のモジュール式の貯蔵システム2は、シートメタルから折り曲げられたキャリア枠体4を有している。キャリア枠体4は下面にSBS規格のマイクロプレートを備えている。この結果、キャリア枠体4は例えばワークステーション8(図3)の種々異なる位置に挿入することができるが、この接続寸法で設けられた他の実験装置内に形状接続的に挿入することもできる。
【0037】
さらに図1に示されたキャリア枠体4は実験容器インサート12から22までのために全部で7つの挿込み場所10を有している。番号1と2の挿込み場所10は、低槽の形をした同等の実験容器インサート12(図2も参照)で装備される一方で、番号3から7までが付された残りの挿込み場所10はそれぞれ少なくとも4つの実験容器のための実験容器インサートで装備されている。
【0038】
ワークステーション8内で搬送するためには、キャリア枠体4と各実験容器インサート12から28までとはいずれも把持構造を有しているので、実験容器インサートが挿入されたキャリア枠体は、ワークステーション8のロボット式の把持具9(図4)によって自動的にかつ/又は手動的に置換え可能でかつ実験容器インサートを個別に置換えること、つまりキャリア枠体から取出しかつキャリア枠体内へ挿入することができる。
【0039】
図1に示されたキャリア枠体4における実験容器インサート12から22までの他に、図1に示されていない実験容器インサート24,26,28が図2だけではなく、図5から図13までにも3つの異なる図式で示されている。実験容器インサート12から22まではそれぞれ温度制御モジュールとして構成され、アルミニウムから構成された部体30を有している。この部体30は、図1に示された貯蔵システム2が平らな下面32で温度制御装置、例えば図3に示されたワークステーション8の温度制御装置34の上に置かれたときに均等な温度分布を得るために役立つ。熱伝導材料から成るインサート12から28までの部体30は、各インサート12から28までの各容器(1部図示せず)を少なくとも部分的に取囲んでおり、温度制御装置34からの温度を、各容器により受容された液体に伝導する。温度制御装置34から、平らな下面32を介して容器内へ均等に温度が供給されるように、各部体30の平らで、キャリア枠体4内へ挿入されたインサートの各部体30は下側で枠体4からわずかに突出する。したがってインサート12から22までは温度制御装置34の温度制御表面によりいくらか持上げられ、その自重によって温度制御接触が助けられている。この結果、枠体4がその下面側のコーナ6で形状接続的に温度制御装置34内へ挿入され、そこで特に平らな温度制御装置34の温度制御面に載せられると、まずインサート12から28までの部体38の平らな下面32が温度制御面と係合し、次いで形状接続コーナ6が貯蔵システム2の装置全体を温度制御装置34の対応するコーナ保持部にて形状接続的に確保する。
【0040】
すでに述べたように、実験容器インサート12から28の各々は図2に示すように所定の実験容器40のために少なくとも1つの挿入受容部38を有している。つまり、図2の左から右へ向かってインサート24(図5も参照)は円柱状の大容量容器のために2つの円筒形の挿入受容部38を有している。この容器40の1つは図2においてはインサート24内に図示されている。インサート26,14,16及び18はいずれの場合にも、同様に円筒状の実験容器のために、4つの受容部(図6〜9も参照)を有する。もちろん、インサート26,14,16及び18はいずれもインサート24の場合よりも細身である。インサート24と同様にインサート26は、挿入受容部38の比較的に大きな直径に基づき、他のインサート12から22までとインサート28とに比較してインサート24と26との2倍の幅を有している。インサート20と22は8つの実験容器のための挿入受容部38を有し、しかも同様に円筒形の挿入受容部を有しているのに対し、インサート12と28とは低い槽40もしくは高い槽40のための挿入受容部を有している。特にインサート28の高い槽40の場合には、インサートが図1に示されているようにキャリア枠体4内に密に列を成して並べて配置されていることが有利である。何故ならばこのような形式で1つのインサート28の槽容器40は隣接するインサートの温度制御部体30により一緒に加熱されるからである。
【0041】
インサートのいくつか(18〜22)は、その多機能的な挿入補助具42の上側に、カバー固定ウェブ44を有している。このカバー固定ウェブ44は例えばインサート22の容器40のフィルムヒンジカバーを90°外へ旋回させたカバー位置、つまり垂直に起立したカバー位置に保持することができる。図1と2とにおいてはインサート22内の容器40のフィルムヒンジカバーは閉鎖状態で示されており、図9(上部)においてはインサート22における容器40のフィルムヒンジカバーは90°垂直に上方へ向けられた位置へカバー固定ウェブ44によって開放されている。
【0042】
図1のキャリア枠体4内の挿込み場所10の各々は、両側で、キャリア枠体4の上縁部にY字形のノッチを有しており、該ノッチには、各インサート12から28までの少なくとも1つの位置決め突起46が形状接続的に保持される。Y字形のノッチはキャリア枠体4の上縁のシートメタル舌片48の側面を形成している。シートメタル舌片48は図1の観察者に向いた側ではY字形のノッチ46と同程度の高さしか有していないが、逆側の、図1の観察者とは反対側(図1にてインサート12から22により覆われている側)では、それらの高さはY字形のノッチ46を下方に延ばすシートメタル壁の切込みによって弾性的な舌片にまで延長されている。この弾性的な舌片(図示せず)は図1における各インサート12から22までを観察者に向かってキャリア枠体4の前壁における舌片48に対してクランプする。したがって舌片48はインサート12から22までを高精度で位置決めするための位置合わせされた基準線を形成する。
【0043】
両方の狭幅側の一方(図1における右側の狭幅側)にキャリア枠体4は別のY字形のノッチ50を有している。このY字形のノッチ50は例えばワークステーション8の温度制御装置34の形状接続的な保持装置内での枠体の180°の回動を光学的に検出することを可能にする。インサート12から28までも各多機能挿入補助具42の両方の狭幅側の一方に、コード化ノッチ52を有している。このコード化ノッチ52は各実験容器インサートの形式をその一義的な位置により一義的に検出することを可能にする。さらにインサートが場合によって180°回動させられてキャリア枠体4内に挿入されているか否かは、ノッチ52における適当な、例えば光学的なセンサで識別することができる。
【符号の説明】
【0044】
2 貯蔵システム
4 キャリア枠体
6 マイクロプレート
8 ワークステーション
9 把持具
10 挿込み場所
12〜28 インサート
30 部体
32 下面
34 温度制御装置
38 挿入受容部
42 多機能挿入補助具
44 カバー固定ウェブ
46 位置決め突起
48 シートメタル舌片
50 ノッチ
52 コード化ノッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの異なる実験容器インサートのために所定数の挿入場所を備えたキャリア枠体を有し、実験容器インサートが任意に互いに交換可能にかつ任意に組合わせ可能に形状接続的にキャリア枠体の挿入場所に挿入可能でありかつ挿入場所がそれぞれ少なくとも1つの実験容器及び/又は少なくとも1つの実験容器のための少なくとも1つの挿込小室を有することを特徴とする、実験液用のモジュール式の貯蔵システム。
【請求項2】
前記インサートが前記枠体にて長方形の領域に配置されることを特徴とする、モジュール式の貯蔵システム。
【請求項3】
前記挿入場所が1列に互いに隣接して配置されていることを特徴とする、請求項1又は2記載のモジュール式の貯蔵システム。
【請求項4】
前記インサートをそれぞれ1つの前記挿入場所内にクランプ保持する少なくとも1つのばね要素を特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のモジュール式の貯蔵システム。
【請求項5】
前記ばね要素が前記インサートを、すべての前記挿入場所を通して整合する零線に対し横方向にクランプすることを特徴とする、請求項4記載のモジュール式の貯蔵システム。
【請求項6】
前記枠体の各挿入場所のために少なくとも1つのばね要素を有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のモジュール式の貯蔵システム。
【請求項7】
前記挿入小室が、挿入された実験容器のカバーを開放位置に係止する成形エレメントを有していることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のモジュール式の貯蔵システム。
【請求項8】
前記インサートが180°回転できるように前記枠体内に挿入可能でありかつ前記枠体及び/又は前記インサートが180°の回転を特に光学的に検出可能にするマーキングを有することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載のモジュール式の貯蔵システム。
【請求項9】
前記インサートが該インサート及び/又は前記少なくとも1つの実験容器のタイプ及び/又は存在さえも特に光学的に検出可能にするコードを有することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載のモジュール式の貯蔵システム。
【請求項10】
前記少なくとも1つの実験容器の少なくとも1つの特性を、特にその内容物に関して、特に光学的に検出可能であるように前記インサートがコード化可能である、請求項1から9までのいずれか1項記載のモジュール式の貯蔵システム。
【請求項11】
前記インサートが、前記少なくとも1つの容器を少なくとも部分的に囲む、熱伝導材料から成る本体を有することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載のモジュール式の貯蔵システム。
【請求項12】
熱伝導材料から成る前記本体の下面が平坦であり、前記インサートが前記枠体内に挿入されて、前記本体の前記下面が一緒に平坦な下面を形成することを特徴とする、請求項11記載のモジュール式の貯蔵システム。
【請求項13】
前記枠体が下面においてマイクロプレートの規格フォーマットSBSを有していることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載のモジュール式の貯蔵システム。
【請求項14】
前記枠体がメタルシートから折り曲げられると共に前記挿入場所を囲んでいることを特徴とする請求項1から13までのいずれか1項記載のモジュール式の貯蔵システム。
【請求項15】
前記挿入された実験容器インサートを有する前記キャリア枠体及び/又は前記実験容器インサートが個別に、適当な装置によって、特にロボット状の把持器によってワークステーション内で自動的にかつ/又は手動で搬送可能であることを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載のモジュール式の貯蔵システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2009−541038(P2009−541038A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516911(P2009−516911)
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006508
【国際公開番号】WO2008/003338
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(591121683)エッペンドルフ アクチエンゲゼルシャフト (23)
【Fターム(参考)】