説明

実験用水循環/収容装置用微生物防除剤、および実験用水循環/収容装置の微生物防除方法

【課題】細菌、かび、酵母または藻などの有害微生物に対する優れた防除効果を発現し、かつ、より取扱性および安全性に優れ、さらには、金属の腐食を防止することのできる実験用水循環/収容装置用微生物防除剤および実験用水循環/収容装置の微生物防除方法を提供すること。
【解決手段】実験用水循環/収容装置用微生物防除剤の有効成分として、ビス四級アンモニウム化合物、例えば、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムアセテート)を含有させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実験用水循環/収容装置用微生物防除剤およびそれを用いる微生物防除方法、詳しくは、実験用水循環/収容装置における微生物の発生を防除するための微生物防除剤および微生物防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水を循環したり収容する実験装置には、細菌、かび、酵母、藻などの有害な微生物が繁殖しやすく、濁り、ヌメリや悪臭が発生し、検体の汚染、精度の低下や機器の故障等の原因となっている。そのため、このような有害微生物の繁殖を防除すべく、そのような実験装置には、抗菌、防かび、防腐、防藻効果を発現する種々の微生物防除剤を添加することが知られている。
【0003】
例えば、科学機器に於ける、水を媒体とする反応恒温槽、特に自動分析装置に於ける恒温槽中に、ジデシルジメチルアンモニウムアジペートなどの第四級アンモニウム化合物を添加することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開パンフレットWO2006/093249
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した公知の第四級アンモニウム化合物は、その効果を発現させるために、恒温槽中の水の液性について、刺激性の強いアルカリ性条件を推奨しており、そのため、装置の取扱性や安全性を十分に図れないという不具合がある。
【0006】
また、日常的あるいは長時間、水を循環したり収容する装置では、金属が腐食されないことが要求されている。このため、金属の腐食を防止し、かつ、取扱性および安全性の向上を図ることのできる実験用水循環/収容装置用微生物防除剤の開発が望まれている。
【0007】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、細菌、かび、酵母または藻などの有害微生物に対する優れた防除効果を発現し、かつ、より取扱性および安全性に優れ、さらには、金属の腐食を防止することのできる実験用水循環/収容装置用微生物防除剤および実験用水循環/収容装置の微生物防除方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明者らは、実験用水循環/収容装置に発生する有害微生物を防除するための微生物防除剤について鋭意検討したところ、特定のビス四級アンモニウム化合物が、十分な防除効果を発現し、かつ、取扱性および安全性に優れ、さらには、金属の腐食を防止する知見を見出し、さらに研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)下記一般式(1)で示されるビス四級アンモニウム化合物を含有することを特徴とする、実験用水循環/収容装置用微生物防除剤、
一般式(1):
【0010】
【化3】

【0011】
(式中、R1およびR2は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を、R3およびR4は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基または水素原子を、R5は、置換基を有していてもよい炭化水素基または炭素−炭素間単結合を、Y1は、−NRnCO−、−CONRn−、−NRnCS−、−CRnO−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)、−COO−、−COS−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合を、Y2は、−CONRn−、−NRnCO−、−OCRn−、−CSNRn−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)、−OOC−、−SOC−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合を、Zはアニオン、aは、1または2の整数を示す。)
(2)一般式(1)で示されるビス四級アンモニウム化合物の式中、R1およびR2が、炭素数1〜18のアルキル基であり、R3およびR4が、水素原子であり、R5が、炭素数2〜18のアルキレン基であり、Y1が、−CONRn−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)であり、Y2が、−NRnCO−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)であることを特徴とする、前記(1)に記載の実験用水循環/収容装置用微生物防除剤、
(3)一般式(1)で示されるビス四級アンモニウム化合物の式中、R1およびR2が、炭素数1〜18のアルキル基であり、R3およびR4が、水素原子であり、R5が、炭素数2〜18のアルキレン基であり、Y1が、−CRnO−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)であり、Y2が、−OCRn−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)であることを特徴とする、前記(1)に記載の実験用水循環/収容装置用微生物防除剤、
(4)下記一般式(1)で示されるビス四級アンモニウム化合物の有効量を、実験用水循環/収容装置に添加することを特徴とする、実験用水循環/収容装置の微生物防除方法
を提供するものである。
【0012】
一般式(1):
【0013】
【化4】

【0014】
(式中、R1およびR2は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を、R3およびR4は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基または水素原子を、R5は、置換基を有していてもよい炭化水素基または炭素−炭素間単結合を、Y1は、−NRnCO−、−CONRn−、−NRnCS−、−CRnO−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)、−COO−、−COS−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合を、Y2は、−CONRn−、−NRnCO−、−OCRn−、−CSNRn−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)、−OOC−、−SOC−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合を、Zはアニオン、aは、1または2の整数を示す。)
【発明の効果】
【0015】
本発明の実験用水循環/収容装置用微生物防除剤およびそれを用いる微生物防除方法は、実験用水循環/収容装置において、細菌、かび、酵母または藻などの有害微生物に対する十分な防除効果を発現し、取扱性および安全性の向上を図ることができ、さらには、金属の腐食を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1および比較例1の時間経過に対する生菌数を示すグラフである。
【図2】実施例1の1か月経過後の水の顕微鏡写真である。
【図3】比較例1の1か月経過後の水の顕微鏡写真である。
【図4】実施例2および実施例3の時間経過に対する生菌数を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実験用水循環/収容装置用微生物防除剤は、下記一般式(1)で示されるビス四級アンモニウム化合物を含有している。
【0018】
一般式(1):
【0019】
【化5】

【0020】
(式中、R1およびR2は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を、R3およびR4は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基または水素原子を、R5は、置換基を有していてもよい炭化水素基または炭素−炭素間単結合を、Y1は、−NRnCO−、−CONRn−、−NRnCS−、−CRnO−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)、−COO−、−COS−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合を、Y2は、−CONRn−、−NRnCO−、−OCRn−、−CSNRn−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)、−OOC−、−SOC−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合を、Zはアニオン、aは、1または2の整数を示す。)
一般式(1)の式中、R1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基およびアラルキル基などが挙げられる。
【0021】
アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、iso−ペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、イソデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどの炭素数1〜18のアルキル基が挙げられる。
【0022】
アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、メタリル、イソプロペニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプチニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、オクタデセニルなどの炭素数2〜18のアルケニル基が挙げられる。
【0023】
アルキニル基としては、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、ブチニル、ペンチニル、オクテニルなどの炭素数2〜8のアルキニル基が挙げられる。
【0024】
シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどの炭素数3〜8のシクロアルキル基が挙げられる。
【0025】
アリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、ビフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、アズレニルなどの炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。
【0026】
アラルキル基としては、例えば、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、1−フェニルプロピル、2−フェニルプロピル、3−フェニルプロピル、ジフェニルメチル、o、mまたはp−メチルベンジル、o、mまたはp−エチルベンジル、o、mまたはp−イソプロピルベンジル、o、mまたはp−tert−ブチルベンジル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジメチルベンジル、2,3,4−、3,4,5−または2,4,6−トリメチルベンジル、5−イソプロピル−2−メチルベンジル、2−イソプロピル−5−メチルベンジル、2−メチル−5−tert−ブチルベンジル、2,4−、2,5−または3,5−ジイソプロピルベンジル、3,5−ジ−tert−ブチルベンジル、1−(2−メチルフェニル)エチル、1−(3−メチルフェニル)エチル、1−(4−メチルフェニル)エチル、1−(2−イソプロピルフェニル)エチル、1−(3−イソプロピルフェニル)エチル、1−(4−イソプロピルフェニル)エチル、1−(2−tert−ブチルフェニル)エチル、1−(4−tert−ブチルフェニル)エチル、1−(2−イソプロピル−4−メチルフェニル)エチル、1−(4−イソプロピル−2−メチルフェニル)エチル、1−(2,4−ジメチルフェニル)エチル、1−(2,5−ジメチルフェニル)エチル、1−(3,5−ジメチルフェニル)エチル、1−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)エチルなどの炭素数7〜16のアラルキル基が挙げられる。
【0027】
R1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基の置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(例えば、塩素、フッ素、臭素およびヨウ素など)、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどの炭素数1〜6のアルコキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニルなどの炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基など)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオなどの炭素数1〜4のアルキルチオ基など)およびアリールチオ基(例えば、フェニルチオ基など)などが挙げられる。これらの置換基は同一または相異なって1〜5個、好ましくは1〜3個置換していてもよい。
【0028】
上記したR1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基としては、置換基を有していない炭化水素基が好ましく、その中でも、アルキル基が好ましい。
【0029】
アルキル基としては、好ましくは、炭素数が1〜18のアルキル基、より好ましくは、炭素数が7以上である、ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、イソデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどの炭素数7〜18のアルキル基が挙げられる。
【0030】
一般式(1)の式中、R3およびR4で示される置換基を有していてもよい炭化水素基としては、R1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられ、好ましくは、アルキル基、より好ましくは、例えば、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、iso−ペンチル、sec−ペンチル、ヘキシルなどの炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
【0031】
また、R3およびR4で示される置換基を有していてもよいアルコキシ基のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシなどの炭素数1〜8のアルコキシ基が挙げられる。
【0032】
また、R3およびR4で示される置換基を有していてもよいアルコキシ基の置換基としては、R1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基の置換基と同様のものが挙げられる。
【0033】
上記したR3およびR4で示される置換基を有していてもよいアルコキシ基としては、置換基を有していないアルコキシ基が好ましく、その中でも、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなどの炭素数1〜3のアルコキシ基が挙げられる。
【0034】
R3およびR4は、同一または相異なって、それぞれ炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基または水素原子であることが好ましく、その中でも、ともに水素原子であることが好ましい。
【0035】
一般式(1)の式中、R5で示される置換基を有していてもよい炭化水素基の炭化水素基としては、好ましくは、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、アリレン基などの2価の炭化水素基が挙げられる。
【0036】
アルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、iso−プロピレン、ブチレン、iso−ブチレン、sec−ブチレン、ペンチレン、iso−ペンチレン、sec−ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、2−エチルヘキシレン、ノニレン、デシレン、イソデシレン、ドデシレン、テトラデシレン、ヘキサデシレン、オクタデシレンなどの炭素数1〜18のアルキレン基が挙げられる。
【0037】
アルケニレン基としては、例えば、ビニレン、プロペニレン、ブテニレン、ブタジエニレン、オクテニレン、デセニレン、ウンデセニレン、ドデセニレン、テトラデセニレン、ヘキサデセニレン、オクタデセニレンなどの炭素数2〜18のアルケニレン基が挙げられる。
【0038】
アルキニレン基としては、例えば、エチニレン、プロピニレン、ブチニレン、ペンチニレン、オクテニレンなどの炭素数2〜8のアルキニレン基が挙げられる。
【0039】
シクロアルキレン基としては、例えば、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、シクロオクチレンなどの炭素数3〜8のシクロアルキレン基が挙げられる。
【0040】
アリレン基としては、例えば、フェニレン、トリレン、キシリレン、ナフチレンなどの炭素数6〜10のアリレン基が挙げられる。
【0041】
また、R5で示される置換基を有していてもよい炭化水素基の置換基としては、R1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基の置換基と同様のものが挙げられ、好ましくは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどの炭素数1〜6のアルコキシ基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニルなどの炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。
【0042】
R5で示される置換基を有していてもよい炭化水素基として、好ましくは、炭素数2〜18のアルキレン基が挙げられる。
【0043】
また、一般式(1)の式中、Y1で示される−NRnCO−、−CONRn−、−NRnCS−、−CRnO−、および、Y2で示される−CONRn−、−NRnCO−、−OCRn−、−CSNRn−のRnとしては、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子が挙げられ、置換基を有していてもよい炭化水素基としては、R1およびR2で示される置換基を有していてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられる。好ましくは、アルキル基または水素原子が挙げられ、アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、iso−ペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシルなどの炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。
【0044】
一般式(1)の式中、Y1として、好ましくは、−NHCO−、−CONH−、−CHO−、−COO−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合が挙げられ、さらに好ましくは、−CONH−および−CHO−が挙げられる。また、Y2として、好ましくは、−CONH−、−NHCO−、−OCH−、−OOC−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合が挙げられ、さらに好ましくは、−NHCO−および−OCH−が挙げられる。
【0045】
一般式(1)の式中、Zで示されるアニオンとしては、例えば、無機アニオン、有機アニオンが挙げられる。
【0046】
無機アニオンとしては、例えば、ハロゲンイオン(例えば、F-、Cl-、Br-、I-など)、ヨウ素酸イオン(IO-)、臭素酸イオン(BrO-)、塩素酸イオン(ClO-)、過ヨウ素酸イオン(IO-)、過塩素酸イオン(ClO-)、硫酸イオン(SO-)、硝酸イオン(NO-)、リン酸イオン(PO-)、亜硫酸イオン(SO-)、亜硝酸イオン(NO-)などが挙げられる。
【0047】
有機アニオンとしては、例えば、遊離の有機カルボン酸や遊離の有機スルホン酸などの遊離の有機酸などが挙げられる。遊離の有機酸としては、炭素数1〜20、好ましくは、炭素数1〜10の遊離の有機酸が挙げられる。
【0048】
遊離の有機カルボン酸としては、例えば、1価の飽和カルボン酸イオン、2価の飽和カルボン酸イオン、1価の不飽和カルボン酸イオン、2価の不飽和カルボン酸イオン、ヒドロキシカルボン酸イオン、オキソカルボン酸イオン、芳香族カルボン酸イオンなどが挙げられる。
【0049】
1価の飽和カルボン酸イオンとしては、例えば、蟻酸イオン(HCOO-)、酢酸イオン(CHCOO-)、プロピオン酸イオン(CCOO-)、酪酸イオン(CCOO-)、イソ酪酸イオン((CHCHCOO-)、吉草酸イオン(CH(CHCOO-)、イソ吉草酸イオン((CHCHCHCOO-)、ピバル酸イオン((CHCCOO-)、オクタン酸イオン(CH(CHCOO-)、デカン酸イオン(CH(CHCOO-)、ラウリン酸イオン(CH(CH10COO-)、ミリスチン酸イオン(CH(CH12COO-)、パルミチン酸イオン(CH(CH14COO-)、ステアリン酸イオン(CH(CH16COO-)などの炭素数1〜18の1価の飽和カルボン酸イオンなどが挙げられる。
【0050】
2価の飽和カルボン酸イオンとしては、例えば、シュウ酸イオン((COO-))、マロン酸イオン(CH(COO-))、コハク酸イオン((-OOC)(CH(COO-))、グルタル酸イオン((-OOC)(CH(COO-))、アジピン酸イオン((-OOC)(CH(COO-))、ピメリン酸イオン((-OOC)(CH(COO-))、スベリン酸イオン((-OOC)(CH(COO-))、アゼライン酸イオン((-OOC)(CH(COO-))、セバシン酸イオン((-OOC)(CH(COO-))などの炭素数2〜10の2価の飽和カルボン酸イオンなどが挙げられる。
【0051】
1価の不飽和カルボン酸イオンとしては、例えば、アクリル酸イオン(CH=CHCOO-)、メタクリル酸イオン(CH=C(CH)COO-)、クロトン酸イオン(CHCH=CHCOO-)、cis−クロトン酸イオン(CHCH=CHCOO-)、ソルビン酸イオン(CHCH=CHCH=CHCOO-)、オレイン酸イオン(CH(CHCH=CH(CHCOO-)、trans-9-オクタデセン酸イオン(CH(CHCH=CH(CHCOO-)、フランカルボン酸イオン(COCOO-)などの炭素数3〜18の1価の不飽和カルボン酸イオンなどが挙げられる。
【0052】
2価の不飽和カルボン酸イオンとしては、例えば、マレイン酸イオン(CH(COO-)=CHCOO-)、シトラコン酸イオン((CH)C(COO-)=CHCOO-)、メサコン酸イオン((COO-)C(CH)=CHCOO-)などの炭素数4〜5の2価の不飽和カルボン酸イオンなどが挙げられる。
【0053】
ヒドロキシカルボン酸イオンとしては、例えば、乳酸イオン(CHCH(OH)COO-)、リンゴ酸イオン(CH(OH)(COO-)CHCOO-)、クエン酸イオン(CH(COO-)C(OH)(COO-)CHCOO-)、グリコン酸イオン(CH(OH)CH(OH)CH(OH)CH(OH)CH(OH)COO-)などの炭素数3〜6のヒドロキシカルボン酸イオンなどが挙げられる。
【0054】
オキソカルボン酸イオンとしては、例えば、ピルビン酸イオン(CHCOCOO-)、アセト酢酸イオン(CHCOCHCOO-)などの炭素数3〜4のオキソカルボン酸イオンなどが挙げられる。
【0055】
芳香族カルボン酸イオンとしては、例えば、安息香酸イオン(CCOO-)、フタル酸イオン(C(COO-))、ナフタレンカルボン酸イオン(C10COO-)、ピリジンカルボン酸イオン(CNCOO-)などの炭素数5〜11の芳香族カルボン酸イオンなどが挙げられる。
【0056】
また、遊離の有機スルホン酸としては、例えば、メチル硫酸イオン((CH)SO-)、エチル硫酸イオン((C)SO-)、メチルベンゼンスルホン酸イオン(CHSO-)などの炭素数1〜7の有機スルホン酸イオンが挙げられる。
【0057】
また、一般式(1)の式中、Zで示される有機アニオンとしては、その他に、アミノ酸、エリソルビン酸、アスコルビン酸、デヒドロ酢酸、アルコラート、フェノラートおよび水酸基に起因する有機アニオンなどが挙げられる。
【0058】
これらアニオンは、単独または2種以上併用してもよい。好ましくは、有機アニオンおよびハロゲンイオンが挙げられる。
【0059】
また、aは、1または2の整数を示し、具体的には、ビス四級アンモニウム化合物およびアニオンの種類に応じて、適宜決定される。aは、1が好ましい。
【0060】
このようなビス四級アンモニウム化合物は、以下に示す具体的な化合物に準じて公知の方法により製造することができ、その具体例としては、例えば、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(4−カルバモイル−1−オクチルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(4−カルバモイル−1−ドデシルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(4−カルバモイル−1−テトラデシルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(4−カルバモイル−1−ヘキサデシルピリジニウム塩)などのN,N’−アルキレン−ビス(4−カルバモイル−1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3−カルバモイル−1−オクチルピリジニウム塩、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3−カルバモイル−1−デシルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3−カルバモイル−1−ドデシルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3−カルバモイル−1−テトラデシルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3−カルバモイル−1−ヘキサデシルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3−カルバモイル−1−オクタデシルピリジニウム塩)などのN,N’−アルキレン−ビス(3−カルバモイル−1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−オクチルピリジニウム塩)、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウム塩)、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−ドデシルピリジニウム塩)、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−テトラデシルピリジニウム塩)、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−ヘキサデシルピリジニウム塩)などの4,4’−(アルキレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、4,4’−(ヘキサメチレンジチオ)ビス(1−オクチルピリジニウム塩)などの4,4’−(アルキレンジチオ)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、4,4’−(p−キシリルジチオ)ビス(1−ブチルピリジニウム塩)、4,4’−(p−キシリルジチオ)ビス(1−ヘキシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−キシリルジチオ)ビス(1−オクチルピリジニウム塩)、4,4’−(p−キシリルジチオ)ビス(1−デシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−キシリルジチオ)ビス(1−ドデシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−キシリルジチオ)ビス(1−テトラデシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−キシリルジチオ)ビス(1−ヘキサデシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−キシリルジチオ)ビス(1−オクタデシルピリジニウム塩)などの4,4’−(p−キシリルジチオ)ビス((1−アルキル)ピリジニウム塩)、例えば、3,3’−(m−キシリルジチオ)ビス(1−テトラデシルピリジニウム塩)などの3,3’−(m−キシリルジチオ)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、N,N’−(p−フェニレン)ビス(4−カルバモイル−1−ヘキシルピリジニウム塩)、N,N’−(p−フェニレン)ビス(4−カルバモイル−1−オクチルピリジニウム塩)、N,N’−(p−フェニレン)ビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウム塩)、N,N’−(p−フェニレン)ビス(4−カルバモイル−1−ドデシルピリジニウム塩)、N,N’−(p−フェニレン)ビス(4−カルバモイル−1−テトラデシルピリジニウム塩)、N,N’−(p−フェニレン)ビス(4−カルバモイル−1−ヘキサデシルピリジニウム塩)、N,N’−(p−フェニレン)ビス(4−カルバモイル−1−オクタデシルピリジニウム塩)などのN,N’−(p−フェニレン)ビス(4−カルバモイル−1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、N,N’−(m−フェニレン)ビス(3−カルバモイル−1−ドデシルピリジニウム塩)などのN,N’−(m−フェニレン)ビス(3−カルバモイル−1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−ブチルピリジニウム塩)、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−ペンチルピリジニウム塩)、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−ヘキシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−ヘプチルピリジニウム塩)、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−オクチルピリジニウム塩)、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−デシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−ドデシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−テトラデシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−ヘキサデシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−オクタデシルピリジニウム塩)などの4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、3,3’−(m−フタルアミド)ビス(1−オクタデシルピリジニウム塩)などの3,3’−(m−フタルアミド)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、1,4−テトラメチレンビス(4−カルバモイル−1−ヘキサデシルピリジニウム塩)、1,6−ヘキサメチレンビス(3−カルバモイル−1−ドデシルピリジニウム塩)、1,6−オクタメチレンビス(3−カルバモイル−1−テトラデシルピリジニウム塩)、3,3’−(1,3−トリメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−ドデシルピリジニウム塩)などの(アルキレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、4,4’−(1,8−オクタメチレンジオキシ)ビス(1−ドデシルピリジニウム塩)、3,3’−(1,6−ヘキサメチレンジオキシ)ビス(1−ヘキサドデシルピリジニウム塩)などの(アルキレンジオキシ)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、4,4’−(1,6−ヘキサメチレンジオキシジカルボニル)ビス(1−オクチルピリジニウム塩)、3,3’−(1,6−テトラメチレンジオキシジカルボニル)ビス(1−ドデシルピリジニウム塩)などの(アルキレンジオキシジカルボニル)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、4,4’−(1,4−テトラメチレンジカルボニルジオキシ)ビス(1−オクチルピリジニウム塩)などの(アルキレンジカルボニルジオキシ)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、4,4’−(1,8−オクタメチレンジカルボニルジチオキシ)ビス(1−オクタデシルピリジニウム塩)などの(アルキレンジカルボニルジチオキシ)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、3,3’−(p−フタロイルジオキシ)ビス(1−デシルピリジニウム塩)、3,3’−(m−フタロイルジチオキシ)ビス(1−デシルピリジニウム塩)などの(フタロイルジチオキシ)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、1−オクチル−1’−(3−ヒドロキシトリメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−オクチル−1’−(6−ヒドロキシヘキサメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−オクチル−1’−(8−ヒドロキシオクタメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−オクチル−1’−(10−ヒドロキシデカメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−オクチル−1’−(12−ヒドロキシドデカメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−デシル−1’−(3−ヒドロキシトリメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−デシル−1’−(6−ヒドロキシヘキサメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−デシル−1’−(8−ヒドロキシオクタメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−デシル−1’−(10−ヒドロキシデカメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−デシル−1’−(12−ヒドロキシドデカメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−ドデシル−1’−(3−ヒドロキシトリメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−ドデシル−1’−(6−ヒドロキシヘキサメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−ドデシル−1’−(8−ヒドロキシオクタメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−ドデシル−1’−(10−ヒドロキシデカメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−ドデシル−1’−(12−ヒドロキシドデカメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩などの1−アルキル−1’−(12−ヒドロキシアルキレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、例えば、1,1’−ジデシル−3,3’−[ブタン−1,4−ジイルビス(オキシメチレン)]ジピリジニウム塩などの1,1’−ジアルキル−3,3’−[アルキル−1,4−ジイルビス(オキシメチレン)]ジピリジニウム塩などが挙げられる。
【0061】
なお、上記したビス四級アンモニウム化合物のピリジニウム塩としては、上記したZで示されるアニオンとの塩であれば特に制限されないが、例えば、ブロマイド(ピリジニウムブロマイド)、アイオダイド(ピリジニウムアイオダイド)、アセテート(ピリジニウムアセテート)などが挙げられる。
【0062】
これらのうち、好ましくは、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムブロマイド)(ダイマー38、日本エンバイロケミカルズ社製)、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムアセテート)(フレッシュメイト DA5、日本エンバイロケミカルズ社製)、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウムブロマイド)(ダイマー136、イヌイ社製)、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウムアセテート)(ダイマー136A、イヌイ社製)、1,1’−ジデシル−3,3’−[ブタン−1,4−ジイルビス(オキシメチレン)]ジピリジニウム=ジブロミドが挙げられる。さらに好ましくは、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムブロマイド)(ダイマー38、日本エンバイロケミカルズ社製)、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムアセテート)(フレッシュメイト DA5、日本エンバイロケミカルズ社製)、1,1’−ジデシル−3,3’−[ブタン−1,4−ジイルビス(オキシメチレン)]ジピリジニウム=ジブロミドが挙げられる。これらビス四級アンモニウム化合物は、単独または2種以上併用してもよい。
【0063】
本発明の実験用水循環/収容装置用微生物防除剤を製剤化するには、特に制限されることなく、公知の方法を用いることができ、その目的および用途に応じて、例えば、液剤(水懸濁剤および油剤を含む。)、ペースト剤、粉剤、粒剤、マイクロカプセルなどの公知の種々の剤型に製剤化することができる。また、包接化合物として調製してもよく、さらに、層状ケイ酸塩などのモンモリロナイト(スメクタイト類など)などに担持させ、あるいは、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルクなどに吸着させることにより調製することもできる。
【0064】
これらのうち、例えば、液剤として製剤化する場合には、ビス四級アンモニウム化合物を、適宜溶剤に溶解または分散すればよい。より具体的には、例えば、溶剤が、1〜99.8重量%、ビス四級アンモニウム化合物が0.1〜95重量%となる割合で配合し、溶解または分散させればよい。用いられる溶剤としては、ビス四級アンモニウム化合物を溶解または分散し得る溶剤であれば特に制限されない。
【0065】
このような溶剤としては、例えば、水、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノールなどのアルコール系溶剤、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール系溶剤、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピレンカーボネートなどのケトン系溶剤、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルエーテルなどのエーテル系溶剤、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、γ−ブチロラクトン、アジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチル、コハク酸ジメチルなどのエステル系溶剤、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N−メチルピロリドンなどの極性溶剤などが挙げられる。
【0066】
これらのうち、好ましくは、水、アルコール系溶剤、グリコール系溶剤、極性溶剤が挙げられる。これら溶剤は、単独または2種以上併用してもよい。
【0067】
また、本発明の実験用水循環/収容装置用微生物防除剤は、本発明の優れた効果を阻害しない範囲において、公知の添加剤、例えば、他の防藻剤および/または防かび剤、界面活性剤、酸化防止剤、光安定剤などを添加してもよい。
【0068】
他の防藻剤および/または防かび剤としては、例えば、イソチアゾリン系化合物、ニトロアルコール系化合物、ジチオール系化合物、チオフェン系化合物、ハロアセチレン系化合物、フタルイミド系化合物、ハロアルキルチオ系化合物、ピリチオン系化合物、フェニルウレア系化合物、トリアジン系化合物、グアニジン系化合物、トリアゾール系化合物、ベンズイミダゾール系化合物、四級アンモニウム塩系化合物などが挙げられる。
【0069】
イソチアゾリン系化合物としては、例えば、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンツイソチアゾリン−3−オン、N−n−ブチル−1,2−ベンツイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
【0070】
ニトロアルコール系化合物としては、例えば、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロ−1−エタノールなどが挙げられる。
【0071】
ジチオール系化合物としては、例えば、4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−3−オンなどが挙げられる。
【0072】
チオフェン系化合物としては、例えば、3,3,4−トリクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシドなどが挙げられる。
【0073】
ハロアセチレン系化合物としては、例えば、N−ブチル−3−ヨードプロピオール酸アミド、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメートなどが挙げられる。
【0074】
フタルイミド系化合物としては、例えば、N−1,1,2,2−テトラクロロエチルチオ−テトラヒドロフタルイミド(Captafol)、N−トリクロロメチルチオ−テトラヒドロフタルイミド(Captan)、N−ジクロロフルオロメチルチオフタルイミド(Fluorfolpet)、N−トリクロロメチルチオフタルイミド(Folpet)などが挙げられる。
【0075】
ハロアルキルチオ系化合物としては、例えば、N−ジメチルアミノスルホニル−N−トリル−ジクロロフルオロメタンスルファミド(Tolylfluanide)、N−ジメチルアミノスルホニル−N−フェニル−ジクロロフルオロメタンスルファミド(Dichlofluanide)などが挙げられる。
【0076】
ピリチオン系化合物としては、例えば、ナトリウムピリチオン、ジンクピリチオンなどが挙げられる。
【0077】
フェニルウレア系化合物としては、例えば、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレアなどが挙げられる。
【0078】
トリアジン系化合物としては、例えば、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジンなどが挙げられる。
【0079】
グアニジン系化合物としては、例えば、1,6−ジ−(4’−クロロフェニルジグアニド)−ヘキサン、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩などが挙げられる。
【0080】
トリアゾール系化合物としては、例えば、α−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−α−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール(慣用名:テブコナゾール)、1−[[2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−n−プロピル−1,3−ジオキソラン−2−イル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール(慣用名:プロピコナゾール)、1−[[2−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−ジオキソラン−2−イル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール(慣用名:アザコナゾール)、α−(4−クロロフェニル)−α−(1−シクロプロピルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール(慣用名:シプロコナゾール)などが挙げられる。
【0081】
ベンズイミダゾール系化合物としては、例えば、メチル 2−ベンズイミダゾールカルバメート、エチル 2−ベンズイミダゾールカルバメート、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾールなどが挙げられる。
【0082】
四級アンモニウム塩系化合物としては、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ジ−n−デシル−ジメチルアンモニウムクロライド、1−ヘキサデシルピリジニウムクロライドなどが挙げられる。
【0083】
また、他の防藻剤および/または防かび剤として、その他に、例えば、ジヨードメチル−p−トルイルスルホン、p−クロロフェニル−3−ヨードプロパルギルフォルマールなどの有機ヨウ素系化合物、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィドなどのチオカーバメート系化合物、例えば、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルなどのニトリル系化合物、例えば、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジンなどのピジリン系化合物、例えば、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾールなどのベンゾチアゾール系化合物、例えば、3−ベンゾ[b]チエン−2−イル−5,6−ジヒドロ−1,4,2−オキサチアジン−4−オキサイドなどのオキサチアジン系化合物などが挙げられる。
【0084】
これらの他の防藻剤および/または防かび剤は、単独または2種以上併用してもよい。また、他の防藻剤および/または防かび剤の配合割合は、その剤型および目的ならびに用途によって適宜決定されるが、例えば、ビス四級アンモニウム塩化合物100重量部に対して、1〜9000重量部、好ましくは、3〜8000重量部である。
【0085】
また、界面活性剤としては、例えば、石鹸類、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン界面活性剤、高分子界面活性剤など、公知の界面活性剤が挙げられ、好ましくは、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤が挙げられる。
【0086】
また、酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス[4−メチル−6−t−ブチルフェノール]などのフェノール系酸化防止剤、例えば、アルキルジフェニルアミン、N,N’−ジ−s−ブチル−p−フェニレンジアミンなどのアミン系酸化防止剤などが挙げられる。
【0087】
これら、界面活性剤および酸化防止剤は、例えば、液剤の場合には、液剤100重量部に対して0.1〜5重量部添加される。
【0088】
また、光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートなどのヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられる。
【0089】
このような光安定剤は、例えば、液剤の場合には、液剤100重量部に対して0.1〜10重量部添加される。
【0090】
また、本発明の実験用水循環/収容装置用微生物防除剤は、pHが、3〜13、好ましくは、4〜12の適用対象に用いることができ、さらには、例えば、SO−、SO−、HSO−、HSO−、S−、好ましくは、SO−、HSO−、S−などの還元剤の存在下においても、その効力を有効に発現することができる。なお、この場合の還元剤の濃度は、例えば、製品中1〜10000ppmであることが好ましい。
【0091】
なお、本発明の実験用水循環/収容装置用微生物防除剤は、実験用水循環/収容装置に応じて添加量を適宜決定すればよいが、例えば、1〜1000mg(全有効成分)/kg(製品)、好ましくは、5〜500mg(全有効成分)/kg(製品)の濃度として用いることができる。
【0092】
本発明において、適用対象である実験用水循環/収容装置は、実験用水循環装置および実験用水収容装置を含んでいる。
【0093】
実験用水循環装置とは、実験に用いる装置であって、装置に収容した水を、ポンプなどにより、循環させることのできる装置として定義される。例えば、外部循環装置付恒温水槽、循環アスピレーター、冷水循環機などが挙げられる。
【0094】
外部循環装置付恒温水槽は、外部循環装置としてポンプなどを備える恒温水槽である。恒温水槽は、配管を介して外部循環対象である培養装置や分析機器などと接続される。恒温水槽には水が収容され、その恒温水槽内で温度調整された水が、外部循環装置により、配管を介して、外部循環対象を循環する。これによって、外部循環装置付恒温水槽は、外部循環対象の温度を管理できる。恒温水槽、配管などの水との接触部分は、通常、鉄やステンレスなどの金属製である。
【0095】
循環アスピレーターは、水を収容する水槽と、アスピレーターと、アスピレーターに送水する送水装置としてポンプなどとを備える装置である。水槽、アスピレーターおよび送水装置は、配管を介して接続される。送水装置は、水槽に収容した水を、アスピレーターに送水し、送水された水は、アスピレーター内を通過し、再度水槽に還流される。これによって、循環アスピレーターは、減圧状態を実現できる。水槽、アスピレーターおよび配管などの水との接触部分は、通常、鉄やステンレスなどの金属製である。
【0096】
冷水循環機は、水を収容する水槽と、水を冷却する冷却機構と、水を送水する送水装置としてポンプなどとを備える装置である。水槽は、配管を介して外部循環対象である培養装置や蒸留装置などと接続される。冷却機構は、水槽内に収容した水を冷却し、その冷却された水が、送水装置により、配管を介して、外部循環対象を循環する。これによって、冷水循環機は、外部循環対象を冷却できる。水槽、冷水機構および配管などの水との接触部分は、通常、鉄やステンレスなどの金属製である。
【0097】
実験用水収容装置とは、実験に用いる装置であって、水を収容できる装置として定義される。例えば、恒温水槽、振とう式恒温水槽、ウォーターバス、超音波洗浄機などが挙げられる。
【0098】
恒温水槽は、水を収容する水槽と、水槽内の水の温度を一定に保つ温度調整機構とを備える装置である。水槽内に収容された水は、温度調整機構によって、一定温度に保たれる。水槽、温度調整機構などの水との接触部分は、通常、鉄やステンレスなどの金属製である。
【0099】
振とう式恒温水槽は、試験管やフラスコなどを振とうする振とう機構を備える恒温水槽である。試験管やフラスコなどは、振とう機構によって、恒温水槽内で振とうされる。恒温水槽、振とう機構などの水との接触部分は、通常、鉄やステンレスなどの金属製である。
【0100】
ウォーターバスは、水を収容する水槽と、水槽内の水を加熱する加熱機構などとを備える装置である。水槽内に収容された水は、加熱機構によって、加熱される。水槽、加熱機構などの水との接触部分は、通常、鉄やステンレスなどの金属製である。
【0101】
超音波洗浄機は、洗浄槽と、超音波を発生させる機構とを備える装置である。洗浄槽は水を収容し、超音波を発生させる機構は、洗浄槽に収容した水に超音波を付与する。これによって、超音波洗浄機は、洗浄槽に洗浄対象を入れることで、その洗浄対象を洗浄できる。洗浄槽などの水との接触部分は、通常、鉄やステンレスなどの金属製である。
【0102】
そして、本発明の実験用水循環/収容装置用微生物防除剤は、上記した実験用水循環/収容装置に発生する細菌、かび、酵母、藻などに対する防除作用を効果的に発現することができる。
【0103】
また、このような実験用水循環/収容装置では、実験の際や定期的なメンテナンスの際などに、装置に収容している水が作業者に頻繁に接触する。そのため、収容している水が、刺激性の強いアルカリ性などであると、実験用水循環/収容装置の取扱性および安全性の向上を十分に図ることが困難である。
【0104】
一方、本発明では、有効成分であるビス四級アンモニウム化合物は、刺激性の強いアルカリ条件でなくとも、防除作用を効果的に発現することができる。そのために、本発明の実験用水循環/収容装置用微生物防除剤は、実験用水循環/収容装置の取扱性および安全性の向上を図ることができる。
【0105】
また、有効成分であるビス四級アンモニウム化合物は、金属の腐食を防止できる。そのため、実験用水循環/収容装置において、水槽や配管などの水との接触部分が金属製である場合にも、そのような接触部分の腐食を有効に防止することができる。
【実施例】
【0106】
次に、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例および比較例により限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例に用いる有効成分の略号を下記に示す。
HMDP−Ac:N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムアセテート)
HMDP−Br:N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムブロマイド)
DBDP−Br:1,1’−ジデシル−3,3’−[ブタン−1,4−ジイルビス(オキシメチレン)]ジピリジニウム=ジブロミド
DDAC:塩化ジデシルジメチルアンモニウム
BAC:塩化ベンザルコニウム
MITs:2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(以下略号をCL−MITとする。)との混合物
実施例1
フレッシュメイトDA5(HMDP−Ac:5重量%水溶液、日本エンバイロケミカルズ社製)2mlを添加した水道水10Lを、外部循環装置付恒温水槽の恒温水槽に入れ、外部循環対象に循環させることなく、自己循環させた。運転時間は、毎日9時〜17時の8時間、運転温度は、室温から40℃の範囲とした。
比較例1
水道水10Lを、外部循環装置付恒温水槽の恒温水槽に入れ、外部循環対象に循環させることなく、自己循環させた。運転時間は、毎日9時〜17時の8時間、運転温度は、室温から40℃の範囲とした。
試験例1
所定の期間毎に水道水を試験液として採取し、SCDLP寒天培地「ダイゴ」(日本製薬社製)を用いてコロニー計数法により、実施例1および比較例1の恒温水槽内の水道水における生菌数を測定した。その結果を図1に示す。
試験例2
実施例1および比較例1の1か月後の循環水について濁度(OD660)を測定した。
【0107】
その結果、実施例1では、0.002、比較例1では、0.042であった。
試験例3
実施例1および比較例1において、恒温水槽にスライドガラスを浸漬しておき、1か月後に、スライドガラスを取り出して、それを顕微鏡観察した。その結果を図2および図3に示す。
【0108】
図2および図3から明らかなように、フレッシュメイトDA5を添加した実施例1の水において、無添加の比較例1の水と比較して、バイオフィルム形成を阻害していることが確認された。
実施例2
循環装置付恒温水槽に85Lの水道水を入れ、フレッシュメイトDA5(HMDP−Ac:5重量%水溶液、日本エンバイロケミカルズ社製)30mlを添加して、25℃で毎日9時〜17時の8時間循環させた。
実施例3
循環装置付恒温水槽に85Lの水道水を入れ、1,1’−ジデシル−3,3’−[ブタン−1,4−ジイルビス(オキシメチレン)]ジピリジニウム=ジブロミド(DBDP−Br:純度98.6%)2gを添加し、25℃で毎日9時〜17時の8時間循環させた。
試験例4
所定の期間毎に水道水を試験液として採取し、SCDLP寒天培地「ダイゴ」(日本製薬社製)を用いたコロニー計数法により、実施例2および実施例3の恒温水槽内の水道水における生菌数を測定した。その結果を図4に示す。
実施例4
ダイマー38(HMDP−Br:98.9重量%、日本エンバイロケミカルズ社製)を、プロピレングリコールに溶解し、ダイマー38の4重量%プロピレングリコール溶液を調製した。その溶液を蒸留水で希釈し、有効成分濃度10ppm、および100ppmの液剤を調製した。
実施例5
フレッシュメイトDA5(HMDP−Ac:5重量%水溶液、日本エンバイロケミカルズ社製)を蒸留水で希釈し、有効成分濃度10ppm、および100ppmの液剤を調製した。
実施例6
1,1’−ジデシル−3,3’−[ブタン−1,4−ジイルビス(オキシメチレン)]ジピリジニウム=ジブロミド(DBDP−Br:純度98.6%)を蒸留水に溶解し、有効成分濃度10ppm、および100ppmの液剤を調製した。
比較例2
スラオフ 91(DDAC:50重量%、日本エンバイロケミカルズ社製)を蒸留水で希釈し、有効成分濃度10ppm、および100ppmの液剤を調製した。
比較例3
10% 塩化ベンザルコニウム溶液(BAC:10重量%、和光純薬社製)を蒸留水で希釈し、有効成分濃度10ppm、および100ppmの液剤を調製した。
比較例4
ケーソンWT plus(MITs:14重量%、ロームアンドハース社製)を蒸留水で希釈し、有効成分濃度10ppm、および100ppmの液剤を調製した。
試験例5
上記で得られた実施例4〜6および比較例2〜4の各液剤50mlをガラス瓶に入れ、テストピースとして、冷間圧延鋼板(SPCC,60×25×0.8mm、太佑機材社製)および、冷間圧延ステンレス板(SUS304,60×25×0.8mm、太佑機材社製)を、そのガラス瓶の中に浸漬した。そのガラス瓶に蓋をして、40℃の恒温室に静置し、所定期間毎に、テストピース表面の錆の発生を観察した。その結果を表1に示す。なお、表1には、各液剤が添加されていない無添加の結果も、コントロールとして併せて示している。
【0109】
【表1】

【0110】
表1の判定は、次の基準による。
【0111】
−;錆び面積=0%
+;0%<錆び面積<25%
++;25%≦錆び面積<50%
+++;50%≦錆び面積<75%
++++;75%≦錆び面積<100%
+++++;錆び面積=100%


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示されるビス四級アンモニウム化合物を含有することを特徴とする、実験用水循環/収容装置用微生物防除剤。
一般式(1):
【化1】

(式中、R1およびR2は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を、R3およびR4は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基または水素原子を、R5は、置換基を有していてもよい炭化水素基または炭素−炭素間単結合を、Y1は、−NRnCO−、−CONRn−、−NRnCS−、−CRnO−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)、−COO−、−COS−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合を、Y2は、−CONRn−、−NRnCO−、−OCRn−、−CSNRn−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)、−OOC−、−SOC−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合を、Zはアニオン、aは、1または2の整数を示す。)
【請求項2】
一般式(1)で示されるビス四級アンモニウム化合物の式中、R1およびR2が、炭素数1〜18のアルキル基であり、R3およびR4が、水素原子であり、R5が、炭素数2〜18のアルキレン基であり、Y1が、−CONRn−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)であり、Y2が、−NRnCO−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)であることを特徴とする、請求項1に記載の実験用水循環/収容装置用微生物防除剤。
【請求項3】
一般式(1)で示されるビス四級アンモニウム化合物の式中、R1およびR2が、炭素数1〜18のアルキル基であり、R3およびR4が、水素原子であり、R5が、炭素数2〜18のアルキレン基であり、Y1が、(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)であり、Y2が、(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)であることを特徴とする、請求項1に記載の実験用水循環/収容装置用微生物防除剤。
【請求項4】
下記一般式(1)で示されるビス四級アンモニウム化合物の有効量を、実験用水循環/収容装置に添加することを特徴とする、実験用水循環/収容装置の微生物防除方法。
一般式(1):
【化2】

(式中、R1およびR2は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を、R3およびR4は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基または水素原子を、R5は、置換基を有していてもよい炭化水素基または炭素−炭素間単結合を、Y1は、−NRnCO−、−CONRn−、−NRnCS−、−CRnO−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)、−COO−、−COS−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合を、Y2は、−CONRn−、−NRnCO−、−OCRn−、−CSNRn−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)、−OOC−、−SOC−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合を、Zはアニオン、aは、1または2の整数を示す。)

【図1】
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【図4】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−36125(P2012−36125A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177299(P2010−177299)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(503140056)日本エンバイロケミカルズ株式会社 (95)
【Fターム(参考)】