説明

室内照明装置

【課題】室内の照明による演出効果を高め得る室内照明装置を提供する。
【解決手段】本装置は、天井面Cに取り付けられる室内照明装置1であって、光源(バルブ2)と、前記光源を囲むハウジング3と、下方透光部13及び側方透光部14が設けられ、前記ハウジングに対して回動可能な回動シェード4と、下方透光部16及び側方透光部17,18が設けられ、前記ハウジングに対して固定された固定シェード5と、を備え、前記回動シェードの回動操作により、前記回動シェードの下方透光部と前記固定シェードの下方透光部とが重なる第1照明状態Pと、前記回動シェードの下方透光部と前記固定シェードの下方透光部とが相互に塞がれた第2照明状態Qと、を切り替えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内照明装置に関し、さらに詳しくは、室内の照明による演出効果を高めることができる室内照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車等においては、夜間の車室内の照明を目的として天井部に室内灯が設置されていることが一般的である。しかし、最近では、単に車室内の照明だけを目的とするのではなく、車室内の雰囲気を向上させる目的も兼ね合わせた室内灯の要望が高まっている。
ここで、従来の室内灯として、多様な照明を行うことができるものが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
上記特許文献1には、1つの光源と、この光源の光線を遮蔽する回動シェードと、を備え、回動シェードの回動操作により光源の光線を遮蔽又は非遮蔽することによって、車室内の全体照明(直接照明)とスポット照明(直接照明)とを切り替えることができる室内灯が開示されている。
また、上記特許文献2には、1つの光源と、この光源を覆う回動可能な円盤カバーと、を備え、この円盤カバーには数種類のレンズカット部が設けられており、円盤カバーの回動操作によって、車室内の全体照明(直接照明)とスポット照明(直接照明)とを切り替えることができる室内灯が開示されている。
しかし、上記特許文献1及び2では、直接照明でしか複数の照明パターンを切り替えることができないので、車室内の雰囲気を向上させるための光の演出効果が不足しているという問題点がある。
【0003】
【特許文献1】特開昭52−69137号公報
【特許文献2】特開2002−347513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、室内の照明による演出効果を高めることができる室内照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の通りである。
1.天井面に取り付けられる室内照明装置であって、
光源と、
前記光源を囲むハウジングと、
下方透光部及び側方透光部が設けられ、前記ハウジングに対して回動可能な回動シェードと、
下方透光部及び側方透光部が設けられ、前記ハウジングに対して固定された固定シェードと、を備え、
前記回動シェードの回動操作により、前記回動シェードの下方透光部と前記固定シェードの下方透光部とが重なる第1照明状態と、前記回動シェードの下方透光部と前記固定シェードの下方透光部とが相互に塞がれた第2照明状態と、を切り替えることができることを特徴とする室内照明装置。
2.前記ハウジングには、前記回動シェードの側方透光部に対応する箇所にレンズカット部が設けられており、
前記第1照明状態では、前記回動シェードの側方透光部と前記レンズカット部とが重ならず、
前記第2照明状態では、前記回動シェードの側方透光部と前記レンズカット部とが重なる上記1.記載の室内照明装置。
3.前記回動シェードの中心側には開口部が設けられており、
前記固定シェードには、前記開口部を塞ぐ遮蔽部が設けられており、
前記第1照明状態では、前記開口部から下方に前記光源の光線が通過し、
前記第2照明状態では、前記開口部が前記遮蔽部によって遮蔽される上記1.又は2.に記載の室内照明装置。
4.前記固定シェードの側方透光部は、第1側方透光部と第2側方透光部とを有しており、
前記第1照明状態では、前記回動シェードの側方透光部と前記固定シェードの第1側方透光部及び第2側方透光部とが重なり、
前記第2照明状態では、前記回動シェードの側方透光部と前記固定シェードの第1側方透光部及び第2側方透光部のうちの一方の側方透光部とが重なる上記1.乃至3.のいずれか一項に記載の室内照明装置。
5.前記固定シェードは、前記回動シェードに隣接して配置され、該回動シェード及び該固定シェードのうちの一方のシェードの下方透光部の周縁側には、他方のシェードに向かって突出する突起が設けられている上記1.乃至4.のいずれか一項に記載の室内照明装置。
6.前記回動シェード、前記固定シェード、及び前記ハウジングの天井面側を構成するベゼルのそれぞれの表面には、前記光源からの光線を反射する反射部が設けられている上記1.乃至5.のいずれか一項に記載の室内照明装置。
7.前記回動シェードの下方透光部及び側方透光部、並びに前記固定シェードの下方透光部及び側方透光部のそれぞれはスリットである上記1.乃至6.のいずれか一項に記載の室内照明装置。
8.前記光源は1つである上記1.乃至7.のいずれか一項に記載の室内照明装置。
9.前記室内照明装置は車両用である上記1.乃至8.のいずれか一項に記載の室内照明装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明の室内照明装置によると、回動シェードの回動操作により、回動シェードの下方透光部と固定シェードの下方透光部とが重なる第1照明状態と、回動シェードの下方透光部と固定シェードの下方透光部とが相互に塞がれた第2照明状態とが切り替えられる。そして、第1照明状態では、回動シェード及び固定シェードの相互に重ねられた下方透光部を介して光源からの光線が下方に向かうと共に、回動シェード及び固定シェードの側方透光部を介して光源からの光線が側方に向かうことで、直接照明と間接照明を兼ね備えた室内全体の全体照明が行われる。一方、第2照明状態では、回動シェード及び固定シェードの相互に塞がれた下方透光部によって光源からの下方へ向かう光線が遮断されると共に、回動シェードの側方透光部及び固定シェードの側方透光部を介して光源からの光線が側方に向かい、その光線が天井面等で反射されて間接照明が行われる。このように、室内全体の全体照明である第1照明状態と天井面等の間接照明である第2照明状態とを切り替えることができるので、室内の照明による演出効果を高めることができる。
また、前記ハウジングには、前記回動シェードの側方透光部に対応する箇所にレンズカット部が設けられており、前記第1照明状態では、前記回動シェードの側方透光部と前記レンズカット部とが重ならず、前記第2照明状態では、前記回動シェードの側方透光部と前記レンズカット部とが重なる場合は、第1照明状態では、回動シェードの側方透光部を介した光源からの光線がハウジングのレンズカット部を介さずに側方に向かうことでドームライトとしての機能を果たし、第2照明状態では、回動シェードの側方透光部及びレンズカット部を介して光源からの光線が側方に向かう。したがって、レンズカット部に形成された照明パターンを任意に設定することで間接照明の演出効果を更に高めることができる。
また、前記回動シェードの中心側には開口部が設けられており、前記固定シェードには、前記開口部を塞ぐ遮蔽部が設けられており、前記第1照明状態では、前記開口部から下方に前記光源の光線が通過し、前記第2照明状態では、前記開口部が前記遮蔽部によって遮蔽される場合は、第1照明状態では、回動シェードの開口部を介して光源からの光線が下方に向かって照射され、室内全体の全体照明時に室内の所定箇所をスポット照明することができる。
また、前記固定シェードの側方透光部が、第1側方透光部と第2側方透光部とを有しており、前記第1照明状態では、前記回動シェードの側方透光部と前記固定シェードの第1側方透光部及び第2側方透光部とが重なり、前記第2照明状態では、前記回動シェードの側方透光部と前記固定シェードの第1側方透光部及び第2側方透光部のうちの一方の側方透光部とが重なる場合は、室内全体の全体照明及び間接照明において、回動シェード及び固定シェードの側方透光部を介する光源からの光線の異なる方向性を演出することができる。
また、前記固定シェードが、前記回動シェードに隣接して配置され、該回動シェード及び該固定シェードのうちの一方のシェードの下方透光部の周縁側には、他方のシェードに向かって突出する突起が設けられている場合は、一方のシェードの突起が他方のシェードに接触することにより、回動シェードの回動時にその摩擦抵抗を低減して円滑に回動させることができる。
また、前記回動シェード、前記固定シェード、及び前記ハウジングの天井面側を構成するベゼルのそれぞれの表面には、前記光源からの光線を反射する反射部が設けられている場合は、光源からの光線を効率的に反射して室内に導くことができる。また、別の反射部材を設ける必要がなく、部品点数を低減できる。
また、前記回動シェードの下方透光部及び側方透光部、並びに前記固定シェードの下方透光部及び側方透光部のそれぞれがスリット状である場合は、スリット(孔部)を形成するだけでよく、透光部として特殊な加工を施す必要がない。
さらに、前記光源が1つである場合は、照明装置の小型化が可能となる。
さらに、前記室内照明装置が車両用である場合は、車両の車室内天井を効果的に照明することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
1.室内照明装置
本実施形態1.に係る室内照明装置は、天井面に取り付けられる室内照明装置であって、以下に述べる光源、ハウジング、回動シェード、及び固定シェードを備えている。
なお、上記室内照明装置の用途等は特に問わないが、車両用であることが好ましい。
【0008】
上記「光源」は、光を発する限り、その構成、形状、大きさ、個数、設置形態等は特に問わない。この光源としては、例えば、白熱電球等のバルブ、蛍光灯、発光ダイオード、エレクトロルミネセンスライト等を挙げることができる。この光源は、例えば、1つであることができる。
【0009】
上記「ハウジング」は、上記光源を囲む限り、その構成、形状、大きさ、個数、設置形態等は特に問わない。このハウジングは、例えば、天井面に取り付けられる円盤状のベゼルと、このベゼルに取り付けられる皿状のカバーと、を備えることができる。
【0010】
上記「回動シェード」は、下方透光部及び側方透光部が設けられ且つ上記ハウジングに対して回動可能である限り、その構成、形状、大きさ、個数、回動形態等は特に問わない。この回動シェードは、通常、上記ハウジングの内部で上下方向の軸回りに回動可能に支持されている。また、回動シェードは、例えば、人手により回動されたり、電動機構により回動されたりできる。
上記下方透光部は、上記光源からの光線を下方に向かわせる限り、その構成、形状、大きさ、個数、設置形態等は特に問わない。この下方透光部は、例えば、スリットであることができる。
上記側方透光部は、上記光源からの光線を側方に向かわせる限り、その構成、形状、大きさ、個数、設置形態等は特に問わない。この側方透光部は、例えば、スリットであることができる。
【0011】
上記「固定シェード」は、下方透光部及び側方透光部が設けられ且つ上記ハウジングに対して固定されている限り、その構成、形状、大きさ、個数、固定形態等は特に問わない。この固定シェードは、通常、上記ハウジングの内部に固定されている。また、固定シェードは、例えば、上記回動シェードに隣接して配置されていることができる。この場合、回動シェード及び固定シェードのうちの一方のシェードの下方透光部の周縁側には、他方のシェードに向かって突出する突起が設けられていることが好ましい。回動シェードの回動時にその摩擦抵抗を低減して円滑に回動させ得るためである。なお、上記突起は、例えば、一方の下方透光部の周縁側の全周にわたって設けられる環状のものであったり、一方の下方透光部の周縁側の一部に設けられる1又は2以上のものであったりすることができる。
上記下方透光部は、上記光源からの光線を下方に向かわせる限り、その構成、形状、大きさ、個数、設置形態等は特に問わない。この下方透光部は、例えば、スリットであることができる。
上記側方透光部は、上記光源からの光線を側方に向かわせる限り、その構成、形状、大きさ、個数、設置形態等は特に問わない。この側方透光部は、例えば、スリットであることができる。
【0012】
上記実施形態1.の室内照明装置では、上記回動シェードの回動操作により、回動シェードの下方透光部と固定シェードの下方透光部とが重なる第1照明状態と、回動シェードの下方透光部と固定シェードの下方透光部とが相互に塞がれた第2照明状態と、を切り替えることができるようになっている。
なお、上記「相互に塞がれた」とは、回動シェードの下方透光部が固定シェードにより塞がれると共に、固定シェードの下方透光部が回動シェードにより塞がれている状態を意図する。
【0013】
上記実施形態1.の室内照明装置としては、例えば、上記ハウジングには、回動シェードの側方透光部に対応する箇所にレンズカット部が設けられており、第1照明状態では、回動シェードの側方透光部とレンズカット部とが重ならず、第2照明状態では、回動シェードの側方透光部とレンズカット部とが重なる形態を挙げることができる。
上記レンズカット部の照明パターン、形状、大きさ、個数、設置形態等は特に問わない。
上記室内照明装置が車両用である場合、例えば、レンズカット部は車両の前後方向の側に配置されていることができる。
【0014】
上記実施形態1.の室内照明装置としては、例えば、上記回動シェードの中心側には開口部が設けられており、固定シェードには、回動シェードの開口部を塞ぐ遮蔽部が設けられており、第1照明状態では、回動シェードの開口部から下方に光源の光線が通過し、第2照明状態では、回動シェードの開口部が固定シェードの遮蔽部によって遮蔽される形態を挙げることができる。
上記開口部の形状、大きさ、個数、設置形態等は特に問わない。
上記遮蔽部の形状、大きさ、個数、設置形態等は特に問わない。
【0015】
上記実施形態1.の室内照明装置としては、例えば、上記固定シェードの側方透光部は、第1側方透光部と第2側方透光部とを有しており、第1照明状態では、回動シェードの側方透光部と固定シェードの第1側方透光部及び第2側方透光部とが重なり、第2照明状態では、回動シェードの側方透光部と固定シェードの第1側方透光部及び第2側方透光部のうちの一方の側方透光部とが重なる形態を挙げることができる。
上記室内照明装置が車両用である場合、例えば、第1側方透光部は車両の幅方向の側に配置されており、第2側方透光部は車両の前後方向の側に配置されていることができる。
【0016】
上記実施形態1.の室内照明装置としては、例えば、上記回動シェード、固定シェード、及びハウジングの天井面側を構成するベゼルのそれぞれの表面には、光源からの光線を反射する反射部が設けられている形態を挙げることができる。
上記反射部は、例えば、メッキ処理により形成されたり、フィルム貼付により形成されたりされる。
【実施例】
【0017】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例では、本発明に係る「室内照明装置」として、図8及び図9に示すように、車室内の天井面Cの略中央部に取り付けられる車両用の室内照明装置1を例示する。
【0018】
(1)室内照明装置の構成
本実施例に係る室内照明装置1は、図1〜3に示すように、天井面Cに取り付けられる1つのバルブ2(本発明に係る「光源」として例示する。)と、このバルブ2を囲むハウジング3と、このハウジング3内に設けられる皿状の回動シェード4及び固定シェード5とを備えている。
【0019】
上記ハウジング3は、天井面Cに取り付けられる円盤状のベゼル7と、このベゼル7に固定される皿状で半透明のカバー8とを備えている。このベゼル7の下面の外周縁側には、固定シェード5の上端外周縁側が固定されている。この固定シェード5の上端外周縁側には環状リブ5aが設けられている、この環状リブ5aには、回動シェード4の上端外周縁側に設けられた環状凹部4aが支持されている。そして、回動シェード4は、固定シェード5の中心軸回りに回動可能とされている。この回動シェード4の底面中心側には、下方に向かって突出する突出部9が設けられている。この突出部9には、キャップ状のダイヤル10が固定されている。このダイヤル10の外周面側には、指先で摘み操作可能な操作部10aが設けられている。また、ダイヤル10と突出部9との間にはスポット用レンズ11が挟持されている。このスポット用レンズ11はダイヤル10の中心孔部10bに配置されている。また、上記ベゼル7の下面には、バルブ2からの光線を反射する反射部7b(例えば、メッキ部)が設けられている。
【0020】
上記回動シェード4の底面側には、スリットである複数(例えば、30個)の下方透光部13が円周方向に沿って所定間隔(例えば、12度間隔)で形成されている。また、回動シェード4の側面側には、スリットである複数(例えば、30個)の側方透光部14が円周方向に沿って所定間隔(例えば、12度間隔)で形成されている。これら下方透光部13及び側方透光部14は、円周方向に同じ位相で配置されている。また、上記回動シェード4の上面には、バルブ2からの光線を反射する反射部4b(例えば、メッキ部)が設けられている。
【0021】
上記固定シェード5の底面側には、スリットである複数(例えば、30個)の下方透光部16が円周方向に沿って所定間隔(例えば、12度間隔)で形成されている。これらの下方透光部16は、上記回動シェード4の下方透光部13と平面視で同じ形状に形成されている。また、これらの下方透光部16の外周縁側には、回動シェード4に向かって突出する突起16aが設けられており、これらの突起16aが回動シェード4の下面に接触している。したがって、この固定シェード5は、所定の空隙をもって回動シェード4に隣接して配置されている。また、固定シェード5の側面側には、スリットである複数(例えば、14個)の第1側方透光部17が円周方向に沿って所定間隔(例えば、12度間隔)で形成されている。これらの第1側方透光部17は車両の幅方向の側に配置されている。さらに、固定シェード5の側面側には、平面視で円弧孔状に形成された複数(例えば、2個)の第2側方透光部18が形成されている。これらの第2側方透光部18は車両の前後方向の側に配置されている。また、上記固定シェード5の上面には、バルブ2からの光線を反射する反射部5b(例えば、メッキ部)が設けられている。
【0022】
ここで、本実施例の室内照明装置1では、上記回動シェード4の回動操作により、回動シェード4の下方透光部13と固定シェード5の下方透光部16とが重なる第1照明状態P(図1及び図4参照)と、回動シェード4の下方透光部13と固定シェード5の下方透光部16とが相互に塞がれた第2照明状態Q(図2及び図5参照)とを切り替えることができるようになっている。この第1照明状態Pでは、回動シェード4の側方透光部14と固定シェード5の第1及び第2側方透光部17,18とが重なり、第2照明状態Qでは、回動シェード5の側方透光部14と固定シェード5の第1及び第2側方透光部17,18のうちの第2側方透光部18とが重なるようになっている。
【0023】
上記カバー8の内面の側面側には、図1〜3に示すように、回動シェード4の側方透光部14及び固定シェード5の第2側方透光部18に対応する箇所に複数(例えば、14個)のレンズカット部20が設けられている。これらのレンズカット部20は、車両の前後方向の側に配置されている。これらのレンズカット部20には、バルブ2からの光線を側方へより遠方に向かわせる照明パターンが形成されている。そして、第1照明状態Pでは、回動シェード4の側方透光部14とレンズカット部20とが重ならず、第2照明状態Qでは、回動シェード4の側方透光部14とレンズカット部20とが重なるようになっている。
【0024】
上記回動シェード4の突出部9には、図6及び図7に示すように、開口部22が設けられている。また、固定シェード5には、開口部22を塞ぎ得る平板状の遮蔽部23が設けられている。そして、第1照明状態P(図1及び図6参照)では、開口部22から下方にバルブ2の光線が通過し、第2照明状態Q(図2及び図7参照)では、開口部22が遮蔽部23によって遮蔽されるようになっている。この開口部22及びスポット照明用レンズ11の形状、配置箇所等は、バルブ2の光線が開口部22及びスポット照明用レンズ11を通過してシートベルト(図示省略)のバックル位置を照明するように設定されている。
【0025】
上記回動シェード4の突出部9には、図6及び図7に示すように、固定シェード5の遮蔽部23の左右の側面23a,23bに当接又は近接する左右の規制面24a,24bが形成されている。そして、固定シェード5に対する回動シェード4の回動範囲A(図7(b)参照)は約55度に設定されている。また、回動シェード5の突出部9の外周面側には、複数(例えば、3個)の係止部26a〜26cが円周方向に沿って所定間隔(例えば、90度間隔)で設けられている。また、固定シェード5の内周面側には、係止部26a〜26cが係止する一対の突起からなる複数(例えば、4個)の突起部27a〜27dが円周方向に沿って所定間隔(例えば、90度間隔)で設けられている。そして、第1照明状態Pでは、遮蔽部23の側面23aに回動シェード4の規制面24aが当接又は近接すると共に、係止部26a〜26cが突起部27a〜27cに係止し、第2照明状態(図7参照)では、遮蔽部23の側面23bに回動シェード4の規制面24bが当接又は近接すると共に、係止部26a〜26cが突起部27d,27a,27bに係止するようになっている。
【0026】
(2)室内照明装置の作用
次に、上記構成の室内照明装置1の作用について説明する。
ダイヤル10と共に回動シェード4を回動操作して第1照明状態Pとすると、図1及び図4に示すように、回動シェード4の下方透光部13と固定シェード5の下方透光部16とが重なると共に、回動シェード4の側方透光部14と固定シェード5の第1及び第2側方透光部17,18とが重なり、さらに回動シェード4の側方透光部14とレンズカット部20とが重ならない。すると、相互に重ねられた下方透光部13,16を介してバルブ2からの光線が下方に向かうと共に、相互に重ねられた側方透光部14,17,18を介してバルブ2からの光線がレンズカット部20を介さずに側方に向かい、ドームライトとして室内全体が全体照明される(図8参照)。また、第1照明状態Pでは、開口部22が遮蔽部23で遮蔽されていないので、開口部22及びスポット照明用レンズ11から下方にバルブ2の光線が通過してシートベルトのバックル位置がスポット照明される。
【0027】
一方、ダイヤル10と共に回動シェード4を回動操作して第2照明状態Qとすると、図2及び図5に示すように、回動シェード4の下方透光部13と固定シェード5の下方透光部16とが相互に塞がれると共に、回動シェード4の側方透光部14とレンズカット部20とが重なり、さらに固定シェード5の第1側方透光部17が回動シェード4によって塞がれ、回動シェード4の側方透光部14と固定シェード5の第2側方透光部18とが重なる。すると、相互に塞がれた下方透光部13,16によってバルブ2からの下方へ向かう光線が遮断されると共に、固定シェード5の第1側方透光部17が回動シェード4によって塞がれるために側方(車両幅方向)に向かうバルブ2からの光線が遮断され、また、回動シェード4の側方透光部14、固定シェード4の第2側方透光部18及びレンズカット部20を介してバルブ2からの光線が側方(車両の前後方向)に向かい、その光線が天井面Cで反射されて間接照明が行われる(図9参照)。また、第2照明状態Qでは、開口部22が遮蔽部23によって遮蔽されるので、開口部22からのバルブ2の下方へ向かう光線が遮断されてスポット照明が行われない。
【0028】
(3)実施例の効果
以上より、本実施例の室内照明装置1によると、回動シェード4の回動操作により、回動シェード4の下方透光部13と固定シェード5の下方透光部16とが重なる第1照明状態Pと、回動シェード4の下方透光部13と固定シェード5の下方透光部16とが相互に塞がれた第2照明状態Qとを切り替え得るようにしたので、第1照明状態Pでは、回動シェード4及び固定シェード5の相互に重ねられた下方透光部13,16を介してバルブ2からの光線が下方に向かうと共に、回動シェード4及び固定シェード5の側方透光部14,17,18を介してバルブ2からの光線が側方に向かうことで、直接照明と間接照明を兼ね備えた室内全体の全体照明が行われる。一方、第2照明状態Qでは、回動シェード4及び固定シェード5の相互に塞がれた下方透光部13,16によってバルブ2からの下方へ向かう光線が遮断されると共に、固定シェード5の第1側方透光部17が回動シェード4によって塞がれるために側方(車両幅方向)に向かうバルブ2からの光線が遮断され、また、回動シェード4の側方透光部14及び固定シェード5の第2側方透光部18を介してバルブ2からの光線が側方(車両の前後方向)に向かい、その光線が天井面Cで反射されて間接照明が行われる。このように、室内全体の全体照明である第1照明状態Pと天井面Cの間接照明である第2照明状態Qとを切り替えることができるので、室内の照明による演出効果を高めることができる。
【0029】
また、本実施例では、カバー8の回動シェード4の側方透光部14及び固定シェード5の第2側方透光部18に対応する箇所にレンズカット部20を設け、第1照明状態Pでは、回動シェード4の側方透光部14とレンズカット部20とが重ならず、第2照明状態Qでは、回動シェード4の側方透光部14とレンズカット部20とが重なるようにしたので、第1照明状態Pでは、回動シェード4の側方透光部14を介したバルブ2からの光線がカバー8のレンズカット部20を介さずに側方に向かうことでドームライトとしての機能を果たし、第2照明状態Qでは、回動シェード4の側方透光部14及びレンズカット部20を介してバルブ2からの光線が側方に向かう。したがって、レンズカット部20に形成された照明パターンを任意に設定することで間接照明の演出効果をさらに高めることができる。
【0030】
また、本実施例では、回動シェード4の中心側に開口部22を設け、固定シェード5に開口部22を塞ぐ遮蔽部23を設け、第1照明状態Pでは、回動シェード5の開口部22から下方にバルブ2の光線が通過し、第2照明状態Qでは、回動シェード5の開口部22が固定シェード4の遮蔽部23によって遮蔽されるようにしたので、第1照明状態Pでは、回動シェード5の開口部22を介してバルブ2からの光線が下方に向かって照射され、室内全体の全体照明時に室内の所定箇所をスポット照明することができる。
【0031】
また、本実施例では、固定シェード4に第1及び第2側方透光部17,18を設け、第1照明状態Pでは、回動シェード4の側方透光部14と固定シェード5の第1及び第2側方透光部17,18とが重なり、第2照明状態Qでは、回動シェード4の側方透光部14と固定シェード5の第1及び第2側方透光部17,18のうちの第2側方透光部18とが重なるようにしたので、室内全体の全体照明及び間接照明において、回動シェード4及び固定シェード5の側方透光部14,17,18を介するバルブ2からの光線の異なる方向性を演出することができる(図8,9参照)。
【0032】
また、本実施例では、回動シェード4の上面、固定シェード5の上面、及びベゼル7の下面に、バルブ2からの光線を反射する反射部4b,5b,7bを設けたので、バルブ2からの光線を効率的に反射して室内に導くことができる。また、別の反射部材を設ける必要がなく、部品点数を低減できる。
【0033】
また、本実施例では、回動シェード4の下方透光部13及び側方透光部14、並びに固定シェード5の下方透光部16及び側方透光部17,18のそれぞれをスリットとしたので、スリット(孔部)を形成するだけでよく、透光部として特殊な加工を施す必要がない。
【0034】
また、本実施例では、バルブ2が1つであるので、照明装置1の小型化が可能となる。
【0035】
また、本実施例では、固定シェード5の下方透光部16の周縁側に、回動シェード4に向かって突出する突起16aを設けたので、回動シェード4の回動時にその摩擦抵抗を低減して円滑に回動させることができる。
【0036】
また、本実施例では、回動シェード4に、固定シェード5の遮蔽部23の左右の側面23a,23bに当接又は近接する左右の規制面24a,24bを形成したので、開口部22の遮蔽機能を有する遮蔽部23を利用して回動シェード4の回動範囲の規制機能を持たせることができ、別の回動範囲の設定部を設ける必要がなく、部品点数を低減できる。
【0037】
さらに、本実施例では、回動シェード4に係止部26a〜26cを設け、固定シェード5に係止部26a〜26cが係止する一対の突起からなる突起部27a〜27dを設けたので、回動シェード4を回動操作して第1照明状態P又は第2照明状態Qとした際に係止部26a〜26cと突起部27a〜27dとの係止により適当な節度感が与えられる。
【0038】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例では、第1照明状態Pにおいて、回動シェード4及び固定シェード5の各下方透光部13,16の全体が完全に重なる形態を例示したが、これに限定されず、例えば、回動シェード4及び固定シェード5の各下方透光部13,16が部分的に重なるようにしてもよい。
【0039】
また、上記実施例では、回動シェード4及び固定シェード5の各下方透光部13,16を同じ形状に形成した形態を例示したが、これに限定されず、例えば、回動シェード4及び固定シェード5の各下方透光部13,16を異なる形状に形成してもよい。
【0040】
また、上記実施例では、第1及び第2照明状態P,Qの異なる2種類の照明状態を切り替えるようにしたが、これに限定されず、例えば、異なる3種類以上の照明状態を切り替えるようにしてもよい。例えば、上記実施例において、第1及び第2照明状態P,Qに加えて、回動シェード4及び固定シェード5の各下方透光部13,16が部分的に重なる状態を第3照明状態として設定してもよい。
【0041】
また、上記実施例では、レンズカット部20として、バルブ2からの光線をより遠方の側方に向かわせる形態を例示したが、これに限定されず、例えば、バルブ2からの光線を拡散させつつ側方に向かわせるレンズカット部としてもよい。
【0042】
また、上記実施例では、回動シェード4及び固定シェード5の各側方透光部14,17,18としてスリット状に形成された形態を例示したが、これに限定されず、例えば、所定の図柄形状(例えば、星形状、ハート形状等)に形成された側方透光部としてもよい。
【0043】
また、上記実施例では、回動シェード4及び固定シェード5の各側方透光部14,17,18としてスリット(孔部)を形成する形態を例示したが、これに限定されず、例えば、スリット(孔部)に他の透光部材を取り付けるようにしてもよい。
【0044】
また、上記実施例では、ハウジング3において、天井側から回動シェード4、固定シェード5、カバー8の順に配置した形態を例示したが、その順序はこれに限定されない。
【0045】
また、上記実施例では、回動シェード4に対して固定シェード5を隣接して配置する形態を例示したが、これに限定されず、例えば、回動シェード4と固定シェード5とを所定間隔をもって離間して配置するようにしてもよい。
【0046】
また、上記実施例では、室内照明装置1として平面円形の形態を例示したが、これに限定されず、例えば、平面楕円、多角形、異形等の室内照明装置としてもよい。
【0047】
さらに、上記実施例では、車両の天井面Cの略中央部に配置される室内照明装置1を例示したが、これに限定されず、例えば、車両の天井面Cのフロントガラス寄り側に配置される室内照明装置としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
演出効果を高めて室内を照明する技術として広く利用される。特に、車両の車室内を照明する技術として好適に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】実施例に係る室内照明装置の第1照明状態を示す縦断面図である。
【図2】上記室内照明装置の第2照明状態を示す縦断面図である。
【図3】上記室内照明装置を示す分解斜視図である。
【図4】上記室内照明装置の第1照明状態を示す平面図である。
【図5】上記室内照明装置の第2照明状態を示す平面図である。
【図6】上記室内照明装置のスポット照明(第1照明状態)を説明するための説明図であり、(a)は回動シェード及び固定シェードの要部斜視図を示し、(b)は回動シェード及び固定シェードの要部平面図を示す。
【図7】上記室内照明装置の非スポット照明(第2照明状態)を説明するための説明図であり、(a)は回動シェード及び固定シェードの要部斜視図を示し、(b)は回動シェード及び固定シェードの要部平面図を示す。
【図8】車室内に組み付けられた上記室内照明装置の第1照明状態を示す斜視図である。
【図9】車室内に組み付けられた上記室内照明装置の第2照明状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
1;室内照明装置、2;バルブ、3;ハウジング、4;回動シェード、5;固定シェード、7;ベゼル、13;回動シェードの下方透光部、14;回動シェードの側方透光部、16;固定シェードの下方透光部、17;固定シェードの第1側方透光部、18;固定シェードの第2側方透光部、20;レンズカット部、22;開口部、23;遮蔽部、4a,5b,7b;反射部、C;天井面、P;第1照明状態、Q;第2照明状態。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井面に取り付けられる室内照明装置であって、
光源と、
前記光源を囲むハウジングと、
下方透光部及び側方透光部が設けられ、前記ハウジングに対して回動可能な回動シェードと、
下方透光部及び側方透光部が設けられ、前記ハウジングに対して固定された固定シェードと、を備え、
前記回動シェードの回動操作により、前記回動シェードの下方透光部と前記固定シェードの下方透光部とが重なる第1照明状態と、前記回動シェードの下方透光部と前記固定シェードの下方透光部とが相互に塞がれた第2照明状態と、を切り替えることができることを特徴とする室内照明装置。
【請求項2】
前記ハウジングには、前記回動シェードの側方透光部に対応する箇所にレンズカット部が設けられており、
前記第1照明状態では、前記回動シェードの側方透光部と前記レンズカット部とが重ならず、
前記第2照明状態では、前記回動シェードの側方透光部と前記レンズカット部とが重なる請求項1記載の室内照明装置。
【請求項3】
前記回動シェードの中心側には開口部が設けられており、
前記固定シェードには、前記開口部を塞ぐ遮蔽部が設けられており、
前記第1照明状態では、前記開口部から下方に前記光源の光線が通過し、
前記第2照明状態では、前記開口部が前記遮蔽部によって遮蔽される請求項1又は2に記載の室内照明装置。
【請求項4】
前記固定シェードの側方透光部は、第1側方透光部と第2側方透光部とを有しており、
前記第1照明状態では、前記回動シェードの側方透光部と前記固定シェードの第1側方透光部及び第2側方透光部とが重なり、
前記第2照明状態では、前記回動シェードの側方透光部と前記固定シェードの第1側方透光部及び第2側方透光部のうちの一方の側方透光部とが重なる請求項1乃至3のいずれか一項に記載の室内照明装置。
【請求項5】
前記固定シェードは、前記回動シェードに隣接して配置され、該回動シェード及び該固定シェードのうちの一方のシェードの下方透光部の周縁側には、他方のシェードに向かって突出する突起が設けられている請求項1乃至4のいずれか一項に記載の室内照明装置。
【請求項6】
前記回動シェード、前記固定シェード、及び前記ハウジングの天井面側を構成するベゼルのそれぞれの表面には、前記光源からの光線を反射する反射部が設けられている請求項1乃至5のいずれか一項に記載の室内照明装置。
【請求項7】
前記回動シェードの下方透光部及び側方透光部、並びに前記固定シェードの下方透光部及び側方透光部のそれぞれはスリットである請求項1乃至6のいずれか一項に記載の室内照明装置。
【請求項8】
前記光源は1つである請求項1乃至7のいずれか一項に記載の室内照明装置。
【請求項9】
前記室内照明装置は車両用である請求項1乃至8のいずれか一項に記載の室内照明装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate