説明

室内環境改善方法及び空気清浄装置

【課題】従来のハニカム構造を有するフィルターの効力と、該フィルターに塗布された木炭粉末を含有した塗料の効力(木炭の効力)とを生かしつつ、これら効力を長時間に渡って維持できるようにすること。
【解決手段】断面がハニカム構造であり貫通する複数の通気路が形成され、該通気路の内壁面に木炭粉末を含有した塗料が塗布されたハニカム状フィルターを備えた空気清浄装置であって、前記ハニカム状フィルターには、発電機または接地電極のいずれか一方または両方が接続させることによって、木炭の効力を長時間に渡って維持できるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルターを介して室外の空気を室内に通気させることによって、室内の空気環境を改善させる室内環境改善方法と、該室内環境改善方法に用いることができ、装置内に空気を通気させることによって該空気を清浄化する空気清浄装置とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術としては、例えば、一端面から他端面に貫通する多数の通気路を有するハニカム構造又は段ボール構造の板状部材の表面及び前記通気路内面に、木炭粉末とヨウ素化合物とを皮膜状に形成したフィルタ基材を複数枚積層させると共に、該積層させた複数枚のフィルタ基材の通気路同士がズレていることを特徴とする空気清浄フィルタがある(特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1の公知技術においては、ハニカム構造を有するフィルタ基材の通気路内面に、木炭粉末とヨウ素化合物とを皮膜状に形成させた空気清浄フィルタを用いる空気清浄機であり、除塵、化学物質の除去、及び除菌を性能良く行うことができるというものである。
【0004】
【特許文献1】特開2005−296782号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1の公知技術においては、フィルタ基材の皮膜に使用される木炭粉末の効力が長時間の使用によって低下するため、徐々にその得られる効力が減少してしまうという問題点を有する。
【0006】
従って、フィルターに塗布された木炭粉末を含有した塗料の効力(木炭の効力)を生かしつつ、該効力を長時間に渡って維持できるようにするということに解決しなければならない課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した従来例の課題を解決する具体的手段として本発明に係る第1の発明として、木炭粉末を含有した塗料が塗布された通気路の内壁面を有するフィルターを通して室内に空気を通気させて該室内の空気を清浄化する室内環境改善方法であって、前記フィルターには、発電機または接地電極のいずれか一方または両方が接続されていることを特徴とする室内環境改善方法を提供するものである。
【0008】
第2の発明として、断面がハニカム構造であり貫通する複数の通気路が形成され、該通気路の内壁面に木炭粉末を含有した塗料が塗布されたハニカム状フィルターを通して室内に空気を通気させて該室内の空気を清浄化する室内環境改善方法であって、前記ハニカム状フィルターには、発電機または接地電極のいずれか一方または両方が接続されていることを特徴とする室内環境改善方法を提供するものである。
【0009】
第3の発明として、通気路の内壁面に木炭粉末を含有した塗料が塗布されたフィルターを備えた空気清浄装置であって、前記フィルターには、発電機または接地電極のいずれか一方または両方が接続されていることを特徴とする空気清浄装置を提供するものである。
【0010】
第4の発明として、断面がハニカム構造であり貫通する複数の通気路が形成され、該通気路の内壁面に木炭粉末を含有した塗料が塗布されたハニカム状フィルターを備えた空気清浄装置であって、前記ハニカム状フィルターには、発電機または接地電極のいずれか一方または両方が接続されていることを特徴とする空気清浄装置を提供するものである。
【0011】
これら第3及び第4の発明において、空気清浄装置には、前記ハニカム状フィルターの前段部に、木炭粉末を含有した塗料が塗布された繊維素材からなるプレフィルターを配設させたこと;前記木炭粉末を含有した塗料は、ナイロン6と、ナイロン66と、ナイロン12と、ナイロン610とからなる高融点型ナイロン樹脂、ナイロン6と、ナイロン66と、ナイロン12とからなる低融点型ナイロン樹脂またはナイロン6と、ナイロン66と、ナイロン12とからなる高融点型ナイロン樹脂と、これらのナイロン樹脂の溶剤と、木炭粉末とを含有した塗料組成物であること;を付加的な要件として含むものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、通気路の内壁面に木炭粉末を含有した塗料が塗布されたフィルターを用い、該フィルターに発電機または接地電極のいずれか一方または両方を接続させることにより、ホルムアルデヒド等の化学物質、ほこり、排気粒子及び雑菌等の低減、室内のイオンバランスの改善等の効力を生かしつつ、更に前記木炭粉末の電気的なバランスを調整することで、これら効力を長時間に渡って維持できるようになり、更に、第2及び第4の発明においては、前記フィルターとして、断面がハニカム構造であるハニカム状フィルターを用いることで、フィルター中に通気される空気圧力の損失も低減されるようになるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態に係る空気清浄装置においては、断面がハニカム構造であり貫通する複数の通気路が形成され、該通気路の内壁面に木炭粉末を含有した塗料が塗布されたハニカム状フィルターを用い、前記前記木炭粉末を含有した塗料として、ナイロン6と、ナイロン66と、ナイロン12と、ナイロン610とからなる高融点型ナイロン樹脂、ナイロン6と、ナイロン66と、ナイロン12とからなる低融点型ナイロン樹脂またはナイロン6と、ナイロン66と、ナイロン12とからなる高融点型ナイロン樹脂と、これらのナイロン樹脂の溶剤と、木炭粉末とを含有した塗料組成物を使用し、前記ハニカム状フィルターに発電機または接地電極のいずれか一方または両方を接続した空気清浄装置を使用する。前記ハニカム状フィルターの前段部には、木炭粉末を含有した塗料が塗布された繊維素材からなるプレフィルターを配設させる。この空気清浄装置を介して室内に空気を通気させることによって、室内の空気を清浄化するものである。
【実施例1】
【0014】
次に、本発明を具体的な実施例に基づいて詳しく説明する。この実施例1の空気清浄装置を図1乃至図3を用いて説明する。図1に、空気清浄装置の全体的な構成を略示的に示した斜視図を示してある。空気清浄装置1は、空気清浄装置の本体部2と、該本体部2に接続される発電機3と、接地電極4とから構成されている。なお、これら発電機3と、接地電極4とは、必ずしも両方とも接続されていなければならないというものではなく、発電機3または接地電極4のうち少なくともいずれか一方が前記本体部2に接続されていれば良い。
【0015】
図2に、空気清浄装置の本体部2の内部を通気方向に沿って略示的に示した断面図を示し、図3に、空気清浄装置の本体部2の内部を通気方向と直交する方向の略示的な断面図を示してある。空気清浄装置の本体部2の内部には、ハニカム状フィルター5が配設されている。
【0016】
また、空気清浄装置の本体部2には、外気吸入口6と、室内給気口7とが設けられており、外気吸入口6から吸入された室外の空気は、本体部2内を通過し、室内給気口7から図示していない室内に給気される。つまり、室外の空気は、本体部2内に配設されたハニカム状フィルター5を通って室内給気口7から室内に通気されるのである。
【0017】
ハニカム状フィルター5は、図3に示したように、断面がハニカム構造に形成されており、外気吸入口6側から室内給気口7側に向かって貫通する複数の通気路8が形成されている。
【0018】
このハニカム構造(Honeycomb)とは、複数の六角形を整理した状態で順に並べた状態で形成される構造のことであり、いわゆる蜂の巣状の構造を示すものである。なお、本発明においては、通気方向と直交する方向の断面のみがハニカム構造に形成されるものであり、通気方向については空気が殆ど抵抗無く通気されるように貫通されているものである。
【0019】
このように、ハニカム構造を有するハニカム状フィルター5を用いることによって、該ハニカム状フィルター5中に通気される空気圧力の損失が低減され、また、該空気と通気路8の内壁面との接触面積を稍大きくして、フィルターの効率を向上させることができるのである。
【0020】
通気路8の内壁面には、木炭粉末を含有した塗料が塗布されている。この木炭粉末を含有した塗料としては、木炭粉末を含有した塗料であればいずれのものを使用しても良いが、特に、特許第3133962号公報に開示された技術であるナイロン(登録商標)6と、ナイロン(登録商標)66と、ナイロン(登録商標)12と、ナイロン(登録商標)610とからなる高融点型ナイロン(登録商標)樹脂、ナイロン(登録商標)6と、ナイロン(登録商標)66と、ナイロン(登録商標)12とからなる低融点型ナイロン(登録商標)樹脂またはナイロン(登録商標)6と、ナイロン(登録商標)66と、ナイロン(登録商標)12とからなる高融点型ナイロン(登録商標)樹脂と、これらのナイロン(登録商標)樹脂の溶剤と、木炭粉末とを含有した塗料組成物である、ヘルスコート(登録商標:アーテック工房(株)社製)等を使用することが好ましい。
【0021】
このように、通気路8の内壁面に木炭粉末を含有した塗料を塗布することによって、通気路8に空気が通気される際、木炭が多孔質であるため、その多数の孔に空気中に含まれるホルムアルデヒド等の揮発性有機化合物、塵、ほこり、排気粒子及び雑菌等が吸着され、更に、木炭が正イオンを吸着して、前記空気中に含まれる負イオンの割合を増やすことができるようになる。そのため、木炭粉末を含有した塗料が塗布されたハニカム状フィルター5を通して室内に空気を通気させることで、ホルムアルデヒド等の化学物質、ほこり、排気粒子及び雑菌等の低減を行って、前記室内の空気を清浄化することができると共に、室内のイオンバランスを改善できるようになるのである。
【0022】
また、空気清浄装置の本体部2及びハニカム状フィルター5は、例えば、鉄等の金属材、木材または合成樹脂材等を用いて形成すれば良く、仮にこれら空気清浄装置の本体部2及びハニカム状フィルター5を合成樹脂材等で形成したとしても、通気路8の内壁面に塗布された木炭粉末を含有した塗料(木炭)が電導性を有しているため、ハニカム状フィルター5の内壁面は通電性を有するようになる。
【0023】
本発明においては、この電導性を有しているハニカム状フィルター5(通気路8の内壁面)に発電機3または接地電極4のうちのいずれか一方または両方を接続させるものである。なお、空気清浄装置の本体部2を金属材等の導電性を有する部材で形成させ、該本体部2とハニカム状フィルター5とが電気的に接続されるようにした場合には、前記発電機3または接地電極4を前記本体部2に接続させても良い。
【0024】
このように、ハニカム状フィルター5に発電機3または接地電極4のうちのいずれか一方または両方を接続させることによって、前記ハニカム状フィルター5の通気路8の内壁面に塗布された木炭粉末を含有した塗料(木炭)の電気的なバランスが調整され、該木炭が有する効力を長時間に渡って維持できるようになるのである。
【0025】
また、空気清浄装置の本体部2には、ハニカム状フィルター5の前段部、即ち、外気吸入口6内にプレフィルター9を配設させても良い。該プレフィルター9としては、例えば、繊維素材等を使用することができ、該繊維素材に木炭粉末を含有した塗料を塗布して用いることが好ましい。
【実施例2】
【0026】
この実施例2においては、前記実施例1のハニカム状フィルター5に換えて複数の板部材が交互に配列されたフィルターを用いるものであり、その他の構成については、前記実施例1と同様であるため、前記実施例1と同様のものについては、前記実施例1と同一の符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0027】
この実施例2において、空気清浄装置の本体部2の内部には、複数の板部材10aが、例えば、左右交互に配列されており、これら板部材10aによりフィルター10が、構成されている。これら板部材10は、外気吸入口6側から室内給気口7側に向かって稍傾斜した角度で取り付けられており、フィルター10中に通気される空気の流通が妨げられることを軽減している。
【0028】
このように、本発明においては、通気路の内壁面に木炭粉末を含有した塗料が塗布されたいずれのフィルター10を備えた空気清浄装置1を用いた場合であっても、該フィルター10に発電機3及び/または接地電極4を接続させることによって、前記フィルター10の電気的なバランスが調整され、ホルムアルデヒド等の化学物質、ほこり、排気粒子及び雑菌等の低減、室内のイオンバランスの改善等の効力が長時間に渡って維持されるようになるのである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例1に係る空気清浄装置の全体的な構成を説明するための略示的な斜視図である。
【図2】同空気清浄装置の本体部の内部を通気方向に沿って略示的に示した断面図である。
【図3】同空気清浄装置の本体部の内部を通気方向と直交する方向の略示的な断面図である。
【図4】本発明の実施例2に係る空気清浄装置の本体部を略示的に示した斜視図であり、その内部構造を説明するために、その内部の一部を透かして見える状態にしたものである。
【図5】同空気清浄装置の本体部の内部を通気方向に沿って略示的に示した断面図である。
【符号の説明】
【0030】
1 空気清浄装置
2 空気清浄装置の本体部
3 発電機
4 接地電極
5 ハニカム状フィルター
6 外気吸入口
7 室内給気口
8 通気路
9 プレフィルター
10 フィルター
10a 板部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木炭粉末を含有した塗料が塗布された通気路の内壁面を有するフィルターを通して室内に空気を通気させて該室内の空気を清浄化する室内環境改善方法であって、
前記フィルターには、発電機または接地電極のいずれか一方または両方が接続されていること
を特徴とする室内環境改善方法。
【請求項2】
断面がハニカム構造であり貫通する複数の通気路が形成され、該通気路の内壁面に木炭粉末を含有した塗料が塗布されたハニカム状フィルターを通して室内に空気を通気させて該室内の空気を清浄化する室内環境改善方法であって、
前記ハニカム状フィルターには、発電機または接地電極のいずれか一方または両方が接続されていること
を特徴とする室内環境改善方法。
【請求項3】
通気路の内壁面に木炭粉末を含有した塗料が塗布されたフィルターを備えた空気清浄装置であって、
前記フィルターには、発電機または接地電極のいずれか一方または両方が接続されていること
を特徴とする空気清浄装置。
【請求項4】
断面がハニカム構造であり貫通する複数の通気路が形成され、該通気路の内壁面に木炭粉末を含有した塗料が塗布されたハニカム状フィルターを備えた空気清浄装置であって、
前記ハニカム状フィルターには、発電機または接地電極のいずれか一方または両方が接続されていること
を特徴とする空気清浄装置。
【請求項5】
空気清浄装置には、
前記フィルターまたはハニカム状フィルターの前段部に、木炭粉末を含有した塗料が塗布された繊維素材からなるプレフィルターを配設させたこと
を特徴とする請求項3または4に記載の空気清浄装置。
【請求項6】
前記木炭粉末を含有した塗料は、
ナイロン6と、ナイロン66と、ナイロン12と、ナイロン610とからなる高融点型ナイロン樹脂、ナイロン6と、ナイロン66と、ナイロン12とからなる低融点型ナイロン樹脂またはナイロン6と、ナイロン66と、ナイロン12とからなる高融点型ナイロン樹脂と、これらのナイロン樹脂の溶剤と、木炭粉末とを含有した塗料組成物であること
を特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の空気清浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−178509(P2008−178509A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−13529(P2007−13529)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(503474065)ヘルスコート・クリアウェイ株式会社 (7)
【Fターム(参考)】