説明

室外機

【課題】ケーシングの外部から内部の電装部品への水の浸入を抑制する。
【解決手段】このの室外機は、側板44及び天板43を有するケーシング40と、ケーシング40内に収容される端子台60と、端子台60の近傍位置で開口する配線用開口部46aと、配線用開口部46aを覆う閉鎖弁カバー50とを備えている。閉鎖弁カバー50の上端部53には、天板43の縁部43bの外側に配置される外側壁部53aと、天板43の縁部43bの内側に配置される内側壁部53bと、外側壁部53aと内側壁部53bとの間に設けられる凹部53cとが形成されている。そして、配線用開口部46aの上方の位置において、天板43の縁部43bが閉鎖弁カバー50の上端部53に形成される凹部53cに挿入され、且つ、側板44の配線用開口部46aの上側部分47が、内側壁部53bの内側に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室外機に関し、特に、ケーシングの外側に配置される開口カバーを備えた室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーシングの側面には、ケーシングの内部に収容される電装部品に接続される配線をケーシングの内部から外部に引き回すための開口部が設けられている。そして、当該開口部を介してケーシングの外部から内部に雨水等が侵入しないように、ケーシングの側板の外側に開口部を覆う開口カバー(閉鎖弁カバー)が取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−61885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この特許文献1に記載される空気調和機の室外機では、閉鎖弁カバーの上端部が開口部の上縁部分に係合しているので、当該係合部分と電装部品(通常、開口部の近傍に電装部品が配置される)との距離が近くなる。そのため、室外機が水道水で洗浄される場合や台風などの水圧では、閉鎖弁カバーと側板との係合部分における隙間からケーシングの内部の電装部品に水が浸入してしまうおそれがあった。
【0005】
そこで、この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、ケーシングの外部から内部の電装部品への水の浸入を抑制することが可能な室外機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明にかかる室外機は、底板、底板から立設される側板、及び、底板と対向配置される天板を有するケーシングと、ケーシング内に収容される電装部品と、側板に形成され、電装部品の近傍位置で開口する開口部と、側板の外側に配置され、開口部を覆う開口カバーとを備え、開口カバーの上端部には、天板の縁部の外側に配置される外側壁部と、天板の縁部の内側に配置される内側壁部と、外側壁部と内側壁部との間に設けられる凹部とが形成されており、開口部の上方の位置において、天板の縁部が開口カバーの上端部に形成される凹部に挿入され、且つ、側板の開口部の上側部分が、内側壁部の内側に配置される。
【0007】
この室外機では、
(1)開口部の上方の位置において天板の縁部と開口カバーの上端部とが係合するので、開口部付近に開口カバーの取付箇所を設ける場合(例えば、特許文献1のように、閉鎖弁カバーの上端部が開口部の上縁部分に嵌合する場合)に比べて、当該係合部分と開口部との間の距離を確保することができる。これにより、ケーシングの外部から内部の電装部品までの浸水経路長を長くすることができるので、当該係合部分を介して浸水する水の勢いを低下させて、電装部品への浸水を抑止することができる。
(2)さらに、外側壁部と内側壁部との間に設けられる凹部内に天板の縁部を挿入することで、天板の縁部と開口カバーの上端部との間に蛇行した隙間が形成される。このように構成されたトラップ構造により、電装部品への浸水を効果的に抑止することができる。
(3)また、側板の開口部の上側部分を、内側壁部の内側に配置することによって、当該側板の上側部分が電装部品への浸水を防ぐ防水壁として機能するので、電装部品への浸水をさらに抑止することができる。
【0008】
第2の発明にかかる室外機は、第1の発明にかかる室外機において、側板は、内側壁部の上方に配置される庇部を含む。
【0009】
この室外機では、ケーシングの外部から浸入した水が、天板の縁部と開口カバーの上端部との係合部分を通過した場合でも、内側壁部の上方に配置される庇部によって、側板の上方を乗り越えて側板の内側に浸水するのを抑止することができる。つまり、庇部を追加することで、電装部品への浸水をさらに抑止することができる。
【0010】
第3の発明にかかる室外機は、第2の発明にかかる室外機において、庇部は、天板の縁部に接触している。
【0011】
この室外機では、側板の庇部と天板の縁部との間に形成される隙間が実質的に無くなり、側板の庇部と天板の縁部との間を介した電装部品への浸水を確実に抑止することができる。
【0012】
第4の発明にかかる室外機は、第1〜第3のいずれかの発明にかかる室外機において、側板の開口部の上側部分は、内側壁部に接触している。
【0013】
この室外機では、内側壁部と側板との間に形成される隙間が実質的に無くなり、開口カバーの内側壁部と側板の上側部分との間を介した電装部品への浸水を確実に抑止することができる。
【0014】
第5の発明にかかる室外機は、第1〜第4のいずれかの発明にかかる室外機において、凹部は、開口カバーの幅方向に沿って形成されている。
【0015】
この室外機では、開口部の上辺の全幅をカバーすることが可能となるので、開口部の上方からの浸水を抑止することが可能となる。
【0016】
第6の発明にかかる室外機は、第1〜第5のいずれかの発明にかかる室外機において、側板の外側面であって開口部の周囲の少なくとも一部に、溝部が形成される。
【0017】
この室外機では、電装部品の周囲に配置される開口部の手前で、ケーシングの外部から侵入した水を、この溝部によって所定の排水箇所に案内することができる。
【0018】
第7の発明にかかる室外機は、第6の発明にかかる室外機において、溝部は、開口部の側方に配置され且つ開口カバーの側端部が挿入される側方溝部を含む。
【0019】
この室外機では、側板の側方溝部内に開口カバーの側端部を挿入することで、側板の側方溝部と開口カバーの側端部との間に蛇行した隙間が形成される。このように構成されたトラップ構造により、開口部の側方において、電装部品への浸水を効果的に抑止することができる。
【0020】
第8の発明にかかる室外機は、第7の発明にかかる室外機において、側方溝部は、側板の高さ方向に沿って形成されている。
【0021】
この室外機では、開口部の側辺の全幅をカバーすることが可能となるので、開口部の側方からの浸水を抑止することが可能となる。
【0022】
第9の発明にかかる室外機は、第7又は第8の発明にかかる室外機において、側方溝部は、開口部の両側に設けられている。
【0023】
この室外機では、開口部の両側方において、電装部品への浸水を効果的に抑止することができる。
【0024】
第10の発明にかかる室外機は、第6〜第10のいずれかの発明にかかる室外機において、溝部は、開口部の上方に配置され且つ開口カバーの上端部が挿入される上方溝部を含む。
【0025】
この室外機では、側板の上方溝部内に開口カバーの上端部を挿入することで、側板の上方溝部と開口カバーの上端部との間に蛇行した隙間が形成される。このように構成されたトラップ構造により、開口部の上方において、電装部品への浸水を効果的に抑止することができる。
【0026】
第11の発明にかかる室外機は、第10の発明にかかる室外機において、上方溝部は、側板の幅方向に沿って形成されている。
【0027】
この室外機では、開口部の上辺の全幅をカバーすることが可能となるので、開口部の上方からの浸水を抑止することが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0029】
第1の発明では、
(1)開口部の上方の位置において天板の縁部と開口カバーの上端部とが係合するので、開口部付近に開口カバーの取付箇所を設ける場合に比べて、当該係合部分と開口部との間の距離を確保することができる。これにより、ケーシングの外部から内部の電装部品までの浸水経路長を長くすることができるので、当該係合部分を介して浸水する水の勢いを低下させて、電装部品への浸水を抑止することができる。
(2)さらに、外側壁部と内側壁部との間に設けられる凹部内に天板の縁部を挿入することで、天板の縁部と開口カバーの上端部との間に蛇行した隙間が形成される。このように構成されたトラップ構造により、電装部品への浸水を効果的に抑止することができる。
(3)また、側板の開口部の上側部分を、開口カバーの上端部と天板の縁部との係合部分の内側に配置することによって、内側壁部の内側に配置される側板の上側部分が電装部品への浸水を防ぐ防水壁として機能するので、電装部品への浸水をさらに抑止することができる。
【0030】
また、第2の発明では、ケーシングの外部から浸入した水が、天板の縁部と開口カバーの上端部との係合部分を通過した場合でも、内側壁部の上方に配置される庇部によって、側板の内側に浸水するのを抑止することができる。つまり、庇部を追加することで、電装部品への浸水をさらに抑止することができる。
【0031】
また、第3の発明では、側板の庇部と天板の縁部との間に形成される隙間が実質的に無くなり、側板の庇部と天板の縁部との間を介した電装部品への浸水を確実に抑止することができる。
【0032】
また、第4の発明では、内側壁部と側板との間に形成される隙間が実質的に無くなり、開口カバーの内側壁部と側板の上側部分との間を介した電装部品への浸水を確実に抑止することができる。
【0033】
また、第5の発明では、開口部の上辺の全幅をカバーすることが可能となるので、開口部の上方からの浸水を抑止することが可能となる。
【0034】
また、第6の発明では、電装部品の周囲に設けられる開口部の手前で、ケーシングの外部から侵入した水を、この溝部によって所定の排水箇所に案内することができる。
【0035】
また、第7の発明では、側板の側方溝部内に開口カバーの側端部を挿入することで、側板の側方溝部と開口カバーの側端部との間に蛇行した隙間が形成される。このように構成されたトラップ構造により、開口部の側方において、電装部品への浸水を効果的に抑止することができる。
【0036】
また、第8の発明では、開口部の側辺の全幅をカバーすることが可能となるので、開口部の側方からの浸水を抑止することが可能となる。
【0037】
また、第9の発明では、開口部の両側方において、電装部品への浸水を効果的に抑止することができる。
【0038】
また、第10の発明では、側板の上方溝部内に開口カバーの上端部を挿入することで、側板の上方溝部と開口カバーの上端部との間に蛇行した隙間が形成される。このように構成されたトラップ構造により、開口部の上方において、電装部品への浸水を効果的に抑止することができる。
【0039】
また、第11の発明では、開口部の上辺の全幅をカバーすることが可能となるので、開口部の上方からの浸水を抑止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係る空気調和機の冷媒配管図である。
【図2】図1に示した空気調和機の室外機の全体構成を示した斜視図である。
【図3】図1に示した空気調和機の室外機の右側板を示した正面図である。
【図4】図1に示した空気調和機の室外機を右側板側から見た拡大斜視図である。
【図5】図4のM−M線に沿った断面図である。
【図6】図4のN−N線に沿った断面図である。
【図7】図1に示した空気調和機の室外機の天板、右側板及び閉鎖弁カバーによって構成されるトラップ構造を示した断面拡大模式図である。
【図8】図1に示した空気調和機の室外機の閉鎖弁カバーを示した正面図である。
【図9】図8のJ−J線に沿った断面図である。
【図10】図1に示した空気調和機の室外機の電装品ボックス及び端子台取付板の分解斜視図である。
【図11】図10に示した電装品ボックスに設けられる爪部近傍の拡大斜視図である。
【図12】図10に示した電装品ボックスの爪部の撓ませ方法を示した模式図である。
【図13】図10に示した電装品ボックスの爪部による配線の固定方法を示した模式図である。
【図14】変形例に係る電装品ボックスの爪部の撓ませ方法を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面に基づいて、本発明に係る室外機を備える空気調和機の実施形態について説明する。
【0042】
[空気調和機の全体構成]
本実施形態の空気調和機1は、図1に示すように、室内の壁面等に設置される室内機2と、室外に設置される室外機3と、室内機2と室外機3とを接続する接続配管4とを備えている。そして、室内機2内及び室外機3内に収納された機器・弁類と、接続配管4とが接続されて冷媒回路を構成している。冷媒回路は、主として、室内熱交換器20、室外熱交換器30、圧縮機31および電動膨張弁32により構成される。冷房運転時には、圧縮機31から吐出された高温高圧冷媒が室外熱交換器30に流入する。そして、室外熱交換器(凝縮器)30で凝縮した冷媒は、電動膨張弁32で減圧された後、室内熱交換器20に流入する。そして、室内熱交換器(蒸発器)20で蒸発した冷媒が、圧縮機31の吸入側に戻る。このようにして、室内熱交換器20の周囲の空気が冷却されて、冷風が室内に供給される。また、暖房運転時には、圧縮機31から吐出された高温高圧冷媒が室内熱交換器20に流入する。そして、室内熱交換器(凝縮器)20で凝縮した冷媒は、電動膨張弁32で減圧された後、室外熱交換器30に流入する。そして、室外熱交換器(蒸発器)30で蒸発した冷媒が、圧縮機31の吸入側に戻る。このようにして、室内熱交換器20の周囲の空気が加熱されて、温風が室内に供給される。なお、本実施形態では、本発明の「室外機」を空気調和機に適用したが、本発明の「室外機」は、給湯器にも適用可能である。この場合、給湯器は、ヒートポンプユニットとしての室外機と、タンクユニットとを備える。
【0043】
[室内機]
室内機2は、上記した室内熱交換器20と、室内熱交換器20に付設される室内ファン(クロスフローファン)21とを備えている。
【0044】
[室外機]
室外機3は、上記した室外熱交換器30と、吸入した冷媒を圧縮する圧縮機31と、室外熱交換器30に接続された電動膨張弁32と、室外熱交換器30に付設される室外ファン(プロペラファン)33と、圧縮機31の吸入側に接続されるアキュームレータ34と、圧縮機31の吐出側に接続される四路切換弁35とを備えている。また、室外機3には、接続配管4が接続される液閉鎖弁36及びガス閉鎖弁37が設けられている。
【0045】
[ケーシング]
上記した各機器(圧縮機31,電動膨張弁32,室外ファン33,アキュームレータ34,四路切換弁35)は、図2に示すように、略箱状のケーシング40内に収容されている。このケーシング40は、圧縮機31などが載置される底板41と、底板41の縁部から立設される側板42と、底板41に対向配置される天板43とを含んでいる。側板42は、ケーシング40の右側面を構成する右側板44と、ケーシング40の左側面を構成する左側板(図示せず)と、ケーシング40の前面を構成する前板45とを含んでいる。天板43は、ケーシング40の天面を構成する矩形状の天面部43aと、天面部43aの各々の端部に直交接続された縁部43bとを有している。
【0046】
[右側板]
図3及び図6に示すように、右側板44は、水平断面が略L字状であって、ケーシング40の右側面に配置される本体部44aと、本体部44aの側端部から屈曲し且つケーシング40の裏面に配置される裏面部44bとを有している。図3に示すように、右側板44の高さ方向(Z方向)中央より上側には、ケーシング40の内部に配置される端子台60に接続される配線(図示せず)をケーシング40の内部から外部へ引き回すための配線用開口部46aが設けられている。この配線用開口部46aは、端子台60の近傍位置で開口している。具体的には、配線用開口部46aから露出する位置に端子台60が配置されており、右側板44の高さ方向(Z方向)及び幅方向(X方向)に関して、配線用開口部46aの開口範囲内に端子台60が設けられている。また、右側板44の高さ方向(Z方向)中央より下側には、上記した液閉鎖弁36及びガス閉鎖弁37を露出させるための閉鎖弁用開口部46bが設けられている。
【0047】
そして、本実施形態では、配線用開口部46aの上側部分47は、図5及び図7に示すように、閉鎖弁カバー50の上端部53と天板43の縁部43bとの係合部分Kの内側、つまり、後述する内側壁部53bの内側に配置されている。なお、上側部分47は、内側壁部53bの上方位置まで延在している。
【0048】
図3に示すように、右側板44の外側面であって配線用開口部46aの周囲の少なくとも一部には、溝部48が形成されている。この溝部48は、配線用開口部46aの上辺に沿って形成される水平溝48Hと、配線用開口部46aの左辺及び右辺に沿って形成される垂直溝48L及び48Rとを含んでいる。水平溝48Hと、垂直溝48L及び48Rとは、互いの端部が接続されており、全体として略コの字の溝部を形成している。右側板44の幅方向(X方向)に関して、水平溝48Hの幅W1は、配線用開口部46aの幅W2より長く設定されていると共に、右側板44の高さ方向(Z方向)に関して、垂直溝48L及び48Rの幅W3は、いずれも配線用開口部46aの幅W4より長く設定されている。ここで、本実施形態では、図5及び図7に示すように、右側板44の水平溝48Hの上側部分には、外側に突出する庇部49が設けられている。この庇部49は、後述する閉鎖弁カバー50の内側壁部53bの上方に配置されており、天板43の縁部43bと閉鎖弁カバー50の上端部53との間の隙間を通過した水が、右側板44を乗り越えて進入するのを防止する機能を有している。本実施形態では、天板43の天面部43aと内側壁部53bとの間に空間を設けておき、当該空間に庇部49を配置している。
【0049】
[閉鎖弁カバー]
図4に示すように、右側板44の外側には、樹脂製の閉鎖弁カバー(開口カバー)50が取り付けられている。この閉鎖弁カバー50は、右側板44に形成される配線用開口部46a(図3参照)、その配線用開口部46aから引き出される配線(図示せず)、及び、右側板44の閉鎖弁用開口部46b(図3参照)から露出する液閉鎖弁36及びガス閉鎖弁37を覆うために設けられている。図4、図8及び図9に示すように、閉鎖弁カバー50には、作業者が製品を移動する際に把持する把持部51と、外側に膨出し且つ液閉鎖弁36及びガス閉鎖弁37を覆う膨出部52とが設けられている。本実施形態の閉鎖弁カバー50は、その上端部53が天板43の縁部43bに係合している(図5及び図7参照)。この閉鎖弁カバー50の上端部53は、図5、図7及び図9に示すように、天板43の縁部43bの外側に配置される外側壁部53aと、天板43の縁部43bの内側に配置される内側壁部53bと、外側壁部53aと内側壁部53bとの間に設けられる凹部53cとを含んでいる。そして、天板43の縁部43bが、上端部53の凹部53c内に挿入されることで、天板43の縁部43bと閉鎖弁カバー50の上端部53とが係合する。上記した外側壁部53a、内側壁部53b及び凹部53cは、いずれも閉鎖弁カバー50の幅方向(X方向)に沿って延在している。
【0050】
また、図6に示すように、閉鎖弁カバー50の側端部54L及び54Rは、右側板44側に突出しており、上記した右側板44の垂直溝48L及び48R内に配置されている。この側端部54L及び54Rには、それぞれ凹部55L及び55Rが形成されている。当該側端部54L及び54Rは、右側板44の垂直溝48L及び48R内を上下方向(Z方向)にスライド可能であって、この垂直溝48L及び48R内を下方から上方にスライドさせることによって、閉鎖弁カバー50の上端部53に形成される凹部53c内に天板43の縁部43bが挿入される。また、側端部54L及び54Rの右側板44の幅方向(X方向)の中央部分から垂直溝48L及び48Rに至る角部48a及び48bに対向する部分には、それぞれ切欠部56L及び56Rが形成されている。
【0051】
図5、図7及び図9に示すように、外側壁部53aの先端部分であって内側壁部53bに対向する部分53d、及び、内側壁部53bの先端部分であって外側壁部53aに対向する部分53eは、テーパ状に形成されており、天板43の縁部43bを凹部53cに挿入しやすくなっている。また、本実施形態では、内側壁部53bの高さH2は、外側壁部53aの高さH1より高くなっている(図9参照)。
【0052】
次に、端子台60などの電装部品への浸水を防止するトラップ構造について詳細に説明する。
【0053】
[閉鎖弁カバー50と天板43との間に形成されるトラップ構造P]
図7に示すように、閉鎖弁カバー50の上端部53と天板43の縁部43bとの間には、閉鎖弁カバー50の上端部53からの水の浸入を防止するトラップ構造Pが形成されている。このトラップ構造Pは、閉鎖弁カバー50の上端部53に形成される凹部53c内に天板43の縁部43bが挿入されることによって構成されている。トラップ構造Pは、外側壁部53aと天板43の縁部43bとの間に形成される垂直隙間A、凹部53c内の底面と天板43の縁部43bの下端面との間に形成される水平隙間B、及び、内側壁部53bと天板43の縁部43bとの間に形成される垂直隙間Cを含んでいる。この垂直隙間A、水平隙間B及び垂直隙間Cは、全体として略コの字状の蛇行した隙間を形成している。図7では、各隙間A,B,Cの間隔を誇張して描写しているが、実際には、天板43の縁部43bと閉鎖弁カバー50の上端部53とは実質的に接触している。
【0054】
[閉鎖弁カバー50と右側板44との間に形成されるトラップ構造Q]
図7に示すように、閉鎖弁カバー50の上端部53の内側壁部53bと右側板44との間には、上記したトラップ構造Pの隙間を通過した水の浸入を防止するトラップ構造Qが形成されている。このトラップ構造Qは、右側板44の水平溝48H内に内側壁部53bが配置されることによって構成されている。このトラップ構造Qは、内側壁部53bの上端面と右側板44の庇部49との間に形成される水平隙間D、及び、水平溝48Hと内側壁部53bとの間に形成される垂直隙間Eを含んでいる。この水平隙間D及び垂直隙間Eは、全体として略Lの字状の隙間を形成している。図7では、各隙間D,Eの間隔を誇張して描写しているが、実際には、右側板44と閉鎖弁カバー50の内側壁部53bとは実質的に接触している。
【0055】
そして、上記した、垂直隙間A、水平隙間B、垂直隙間C、水平隙間D及び垂直隙間Eは、全体として略S字状の蛇行した隙間を形成している。
【0056】
[天板43と右側板44との間に形成されるトラップ構造R]
図7に示すように、天板43と右側板44の庇部49との間には、上記したトラップ構造Pの隙間を通過した水の浸入を防止するトラップ構造Rが形成されている。このトラップ構造Rは、庇部49が内側壁部53bの上方に配置されると共に、庇部49が天板43の内壁面に沿って配置されることによって形成されている。このトラップ構造Rは、天板43の縁部43bと庇部49の先端面との間に形成される垂直隙間F、及び、天板43の天面部43aと庇部49の上端面との間に形成される水平隙間Gを含んでいる。この垂直隙間F及び水平隙間Gは、全体として略L字状の隙間を形成している。図7では、各隙間F,Gの間隔を誇張して描写しているが、実際には、天板43の縁部43b庇部49との間には微小な隙間しか形成されていない。なお、天板43の縁部43bと庇部49とを接触させてもよい。この場合、天板43の縁部43bと庇部49との間に形成される隙間F及びGが実質的に無くなり、右側板44の庇部49と天板43の縁部43bとの間を介した端子台60などの電装部品への浸水を確実に抑止することができる。
【0057】
[閉鎖弁カバー50と右側板44との間に形成されるトラップ構造S]
図6に示すように、上記したトラップ構造P,Q,Rは、閉鎖弁カバー50の上端部53周辺からの浸水を防止するために設けられているが、トラップ構造Sは、閉鎖弁カバー50の側端部54L及び54Rの周辺からの浸水を防止するために設けられている。図6に示すように、このトラップ構造Sは、右側板44の垂直溝48L及び48R内に、閉鎖弁カバー50の側端部54L及び54Rがそれぞれ配置されることによって構成されている。
【0058】
[電装品ボックス]
次に、図10〜図13を参照して、ケーシング40の内部に配置される電装品ボックス70について詳細に説明する。この電装品ボックス70には、各種の電子部品が実装された制御基板62が取り付けられる。この制御基板62は、圧縮機31、電動膨張弁32、室外ファン33などの各機器の動作を制御している。
【0059】
電装品ボックス70は、樹脂製であって、一体成形によって構成されている。図10に示すように、電装品ボックス70の内部には、制御基板62を収容する基板収容部70aが設けられている。基板収容部70aは、天面部71と、底面部72と、右側面部73と、左側面部74とによって囲まれた領域であって、制御基板62は、電装品ボックス70内で立設した状態で配置される。この基板収容部70aには、基板収容部70aの深さ方向(X方向)に関して、制御基板62を所定の位置で支持する複数の支持リブ75が各所に設けられている。また、基板収容部70aには、制御基板62の切欠部62aに係合する爪部76が設けられている。この爪部76は、撓み変形可能であって、当該爪部76が切欠部62aに係合することによって制御基板62が固定される。上記した爪部76や基板収容部70aの各所に設けられる突起部77(図10参照)に対応する部分には、金型を抜くための金型用穴78が形成されている。
【0060】
また、本実施形態の電装品ボックス70の右側面部73の外側面には、端子台取付板61を設置するための取付板設置部70bが設けられている。この取付板設置部70bには、図11に示すように、電装品ボックス70の内部側及び外部側(Y方向)に撓み変形可能な爪部80A及び80Bが設けられている。この爪部80A及び80Bの各々は、右側面部73をコの字状に型抜くことによって形成されている。爪部80Aは、X方向の一方側を支点としてX方向の他方側が撓むように構成されており、且つ、爪部80Bは、X方向の他方側を支点としてX方向の一方側が撓むように構成されている。このように構成すれば、爪部80Aに挟まれた配線65(図12参照)の抜け方向と、爪部80Bに挟まれた配線65の抜け方向とが互いに反対方向となるので、爪部80A及び80Bに挟まれた配線65の固定が外れるを防止することができる。これにより、配線65の処理が容易になる。
【0061】
そして、本実施形態では、図11に示すように、爪部80Aの外側面(端子台取付板61に対向する面)には、突起部81Aが形成されていると共に、爪部80Bの外側面(端子台取付板61に対向する面)には、突起部81Bが形成されている。この突起部81A及び81Bは、Z方向に延在するように形成されている。図12に示すように、爪部80Aは、その突起部81が取付板設置部70bに設置される端子台取付板61に押圧されて、電装品ボックス70の内側に撓む。この際、爪部80Aが電装品ボックス70の内側に撓むことによって、当該電装品ボックス70内に引き回される配線65を挟持する構造となる。なお、図12では、爪部80Aについて記載したが、爪部80Bについても同様であるのでその説明を省略する。これにより、電装品ボックス70内の配線65を爪部80A及び80Bで固定することが可能となる。この図12では、配線65を突起部81Aの手前で固定したが、図13に示すように、配線65を突起部81Aを乗り越えた位置で固定してもよい。この場合、突起部81Aが、配線65の抜け防止手段として機能するので、より強固に配線65を固定することが可能となる。
【0062】
[本実施形態の室外機の特徴]
本実施形態の室外機には、以下のような特徴がある。
【0063】
本実施形態の室外機3では、配線用開口部46aの上方の位置において天板43の縁部43bと閉鎖弁カバー50の上端部53とが係合するので、配線用開口部46a付近に閉鎖弁カバー50の取付箇所を設ける場合に比べて、当該係合部分Kと配線用開口部46aとの間の距離を確保することができる。これにより、ケーシング40の外部から内部の端子台60などの電装部品までの浸水経路長を長くすることができるので、当該係合部分Kを介して浸水する水の勢いを低下させて、端子台60などの電装部品への浸水を抑止することができる。
【0064】
本実施形態の室外機3では、外側壁部53aと内側壁部53bとの間に設けられる凹部53c内に天板43の縁部43bを挿入することで、天板43の縁部43bと閉鎖弁カバー50の上端部53との間に蛇行した隙間(垂直隙間A、水平隙間B、垂直隙間C)が形成される。このように構成されたトラップ構造Pにより、端子台60などの電装部品への浸水を効果的に抑止することができる。
【0065】
本実施形態の室外機3では、右側板44の配線用開口部46aの上側部分47を、内側壁部53bの内側に配置することによって、当該上側部分47が端子台60などの電装部品への浸水を防ぐ防水壁として機能するので、端子台60などの電装部品への浸水をさらに抑止することができる。
【0066】
本実施形態の室外機3では、右側板44に庇部49を設けることによって、ケーシング40の外部から浸入した水が、天板43の縁部43bと閉鎖弁カバー50の上端部53との係合部分K(トラップ構造P)を通過した場合でも、内側壁部53bの上方に配置される庇部49によって、水が右側板44を乗り越えてその右側板44の内側に浸水するのを抑止することができる。
【0067】
本実施形態の室外機3では、右側板44の配線用開口部46aの上側部分47と内側壁部53bとを接触させることによって、内側壁部53bと右側板44との間に形成される隙間が実質的に無くなり、閉鎖弁カバー50の内側壁部53bと右側板44の上側部分47との間を介した端子台60などの電装部品への浸水を確実に抑止することができる。
【0068】
本実施形態の室外機3では、凹部53cを閉鎖弁カバー50の幅方向(X方向)に沿って形成することによって、配線用開口部46aの上辺の全幅をカバーすることが可能となるので、配線用開口部46aの上方からの浸水を抑止することが可能となる。
【0069】
本実施形態の室外機3では、右側板44の外側面であって配線用開口部46aの周囲の少なくとも一部に、溝部48を形成することによって、端子台60などの電装部品の近傍位置に配置される配線用開口部46aの手前で、ケーシング40の外部から侵入した水を当該溝部48によって所定の排水箇所に案内することができる。
【0070】
本実施形態の室外機3では、右側板44の垂直溝48L及び48R内に閉鎖弁カバー50の側端部54L及び54Rを挿入することで、右側板44の垂直溝48L及び48Rと閉鎖弁カバー50の側端部54L及び54Rとの間に蛇行した隙間が形成される。このように構成されたトラップ構造Sにより、配線用開口部46aの側方において、端子台60などの電装部品への浸水を効果的に抑止することができる。
そして、垂直溝48L及び48Rを右側板44の高さ方向(Z方向)に沿って形成することによって、配線用開口部46aの側辺の全幅をカバーすることが可能となるので、配線用開口部46aの側方からの浸水をさらに抑止することが可能となる。
【0071】
本実施形態の室外機3では、垂直溝48L及び48Rを配線用開口部46aの両側に設けることによって、配線用開口部46aの両側方において、端子台60などの電装部品への浸水を効果的に抑止することができる。
【0072】
本実施形態の室外機3では、右側板44の水平溝48H内に閉鎖弁カバー50の上端部53を挿入することで、右側板44の水平溝48Hと閉鎖弁カバー50の上端部53との間に蛇行した隙間(水平隙間D及び垂直隙間E)が形成される。このように構成されたトラップ構造Qにより、配線用開口部46aの上方において、端子台60などの電装部品への浸水を効果的に抑止することができる。
そして、その水平溝48Hを右側板44の幅方向(X方向)に沿って形成することによって、配線用開口部46aの上辺の全幅をカバーすることが可能となるので、配線用開口部46aの上方からの浸水をさらに抑止することが可能となる。
【0073】
また、本実施形態の室外機3では、電装品ボックス70の外側に他部材(端子台取付板61)を取り付ける際の押圧力により爪部80A及び80Bを撓ませる構造を採用している。このように構成すれば、(1)端子台取付板61や端子台60などの現行の部品を外側からの押し付け部品として利用することで、部品点数を増加することなく、本構造の実現が可能となる。(2)また、電装品ボックス70の内部に突起部(突起部77など)を設ける場合には、金型を抜くための金型用穴78が必要になると共に、その穴78を塞ぐためのシール材が必要になるが、この電装品ボックス70では、爪部80A及び80Bの外側面に突起部81A及び81Bを形成しているので、金型用穴78やシール材などが不要になる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0075】
例えば、上記実施形態では、電装品ボックス70の爪部80A及び80Bに突起部81A及び81Bを形成して、当該突起部81A及び81Bを端子台取付板61で押圧することによって、爪部80A及び80Bを電装品ボックス70の内側に撓ませたが、本発明はこれに限らず、図14に示した変形例に係る電装品ボックス170及び端子台取付板161のように構成してもよい。具体的には、変形例に係る電装品ボックス170には、突起部が設けられていない爪部180が設けられており、且つ、端子台取付板161の当該爪部180に対向する部分には、ビスなどの突起部162が設けられている。このように構成すれば、爪部180は、端子台取付板161に設けられる突起部162に押圧されて、電装品ボックス70の内側に撓む。これにより、電装品ボックス70内の配線65を爪部180で固定することが可能となる。つまり、前述した爪部80A及び80Bを撓ませるために設けられる突起部81A及び81Bは、爪部80A、80B側に形成されていてもよいし、端子台取付板61側に形成されていてもよい。また、上記した突起部162としてのビスが他部品の固定のためのビスである場合、当該爪部80A及び80Bによってビスの先端部のエッジをカバーすることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明を利用すれば、ケーシングの外部から内部の電装部品への水の浸入を抑制することが可能な室外機を得ることができる。
【符号の説明】
【0077】
1 空気調和機
3 室外機
40 ケーシング
41 底板
43 天板
43b 縁部
44 右側板
46a 配線用開口部(開口部)
48 溝部
48H 水平溝(上方溝部)
48L,48R 垂直溝(側方溝部)
49 庇部
50 閉鎖弁カバー(開口カバー)
53 上端部
54L及び54R 側端部
60 端子台(電装部品)
53a 外側壁部
53b 内側壁部
53c 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板、前記底板から立設される側板、及び、前記底板と対向配置される天板を有するケーシングと、
前記ケーシング内に収容される電装部品と、
前記側板に形成され、前記電装部品の近傍位置で開口する開口部と、
前記側板の外側に配置され、前記開口部を覆う開口カバーとを備え、
前記開口カバーの上端部には、前記天板の縁部の外側に配置される外側壁部と、前記天板の縁部の内側に配置される内側壁部と、前記外側壁部と前記内側壁部との間に設けられる凹部とが形成されており、
前記開口部の上方の位置において、前記天板の縁部が前記開口カバーの上端部に形成される凹部に挿入され、且つ、前記側板の前記開口部の上側部分が、前記内側壁部の内側に配置されることを特徴とする、室外機。
【請求項2】
前記側板は、前記内側壁部の上方に配置される庇部を含むことを特徴とする、請求項1に記載の室外機。
【請求項3】
前記庇部は、前記天板の縁部に接触していることを特徴とする、請求項2に記載の室外機。
【請求項4】
前記側板の前記開口部の上側部分は、前記内側壁部に接触していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の室外機。
【請求項5】
前記凹部は、前記開口カバーの幅方向に沿って形成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の室外機。
【請求項6】
前記側板の外側面であって前記開口部の周囲の少なくとも一部に、溝部が形成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の室外機。
【請求項7】
前記溝部は、前記開口部の側方に配置され且つ前記開口カバーの側端部が挿入される側方溝部を含むことを特徴とする、請求項6に記載の室外機。
【請求項8】
前記側方溝部は、前記側板の高さ方向に沿って形成されていることを特徴とする、請求項7に記載の室外機。
【請求項9】
前記側方溝部は、前記開口部の両側に設けられていることを特徴とする、請求項7又は8に記載の室外機。
【請求項10】
前記溝部は、前記開口部の上方に配置され且つ前記開口カバーの上端部が挿入される上方溝部を含むことを特徴とする、請求項6〜9のいずれか1項に記載の室外機。
【請求項11】
前記上方溝部は、前記側板の幅方向に沿って形成されていることを特徴とする、請求項10に記載の室外機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−21776(P2011−21776A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165386(P2009−165386)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】