説明

室外機

【課題】防音材が吸水することに起因する吸音性能の低下を防止する。
【解決手段】室外機10は、冷媒回路中の冷媒を圧縮する圧縮機22と、吸水性を有する吸音材41及び遮音材42を含みかつ圧縮機22の側面を覆う第1防音材3Aと、圧縮機22が設置される底板フレーム16とを含む。第1防音材3Aは、底板フレーム16の底板17aに下端部が当接した状態で前記側面を覆う遮音材42と、この遮音材42の内側の位置であって当該遮音材42の下端部よりも上側の位置で前記側面を覆う吸音材41と、当該吸音材41の下側に位置する防水部43と、を含む。当該防水部43は遮音材42と一体に成型されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機などの冷凍装置に適用される室外機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、空気調和機、冷蔵機、冷凍機およびヒートポンプ給湯器など、冷媒回路を備えた冷凍装置が知られている。この冷凍装置の室外機は、圧縮機と、この圧縮機の運転時に生じる騒音を低減するために圧縮機を覆う筒状の防音材と、これらを収容するケーシングとを備えている。防音材は、例えばゴムなどの遮音性に優れた材料により形成された遮音材と、吸音性に優れた材料により形成された吸音材とが積層された構造を有している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
吸音材の材料としては、例えばフェルトなどのように、内部に連続した空隙が形成されているものが用いられる。吸音材に音波が入射すると、空隙に存在する空気が振動し、この空気の振動が繊維の摩擦により熱エネルギーに変換され、結果として吸音現象が生じる。このように内部に連続した空隙が形成された吸音材は、高い吸水性も有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−8363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、室外機のケーシング内には、例えば熱交換器、アキュムレータなどが配設されており、これらの表面において生じた凝縮水が流下してケーシングの底板上に溜まることがある。底板上に溜まった水は、吸音材の下端部に接触すると毛細管現象により吸音材に吸い上げられ、吸音材の空隙に保水される。しかし、このように吸音材が保水すると、空気の上記振動が妨げられ、その結果、吸音材の吸音性能が低下する。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みて成されたものであり、圧縮機の側面を覆う防音材を備えた室外機において、防音材が吸水することに起因する吸音性能の低下を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の室外機は、冷媒回路中の冷媒を圧縮する圧縮機と、この圧縮機の側面を覆う防音材と、前記圧縮機が設置される底板と、を備え、前記防音材は、前記底板に下端部が当接した状態で前記側面を覆う遮音材と、前記遮音材の内側の位置であって当該遮音材の下端部よりも上側の位置で前記側面を覆う吸音材と、前記吸音材の下側に位置する防水部と、を含むものである。
【0008】
この構成では、遮音材の下端部が底板に当接した状態で圧縮機の側面が防音材により覆われることで高い遮音効果が得られる。また、吸音材の下側に防水部が備えられることで、底板上に溜まった水が吸音材により吸い上げられることが防止される。そのため、吸音材が吸水することによる吸音性能の低下が防止され、良好な吸音効果が維持される。
【0009】
この構成においては、前記遮音材が防水性を有する材料からなり、前記防水部は、前記遮音材と同一の材料により当該遮音材と一体に成形されているのが好ましい。
【0010】
この構成では、遮音材と防水部とが一体に成形される。この構成によれば、防水部を別部材として製造する必要がなく、防音材の生産性の向上及び低廉化に寄与する。また、防水部の位置ずれや脱落といった不都合が生じることを防止する上でも有利となる。
【0011】
なお、前記防音材は、シート状をなし、前記圧縮機に巻き付けられることにより前記側面を覆うものであってもよい。この場合、前記防水部は、前記遮音材に沿って一列に断続的に並ぶ複数の単位防水部を含み、これら単位防水部が、前記防音材が前記圧縮機に巻き付けられることにより、隣接するもの同士が互いに密接するように形成されているのが好ましい。
【0012】
この構成では、防音材が圧縮機に巻き付けられることにより当該防音材が圧縮機の側面を覆うが、この場合、防水部が一列に断続的に並ぶ複数の単位防水部を含むので、防音材の可撓性が向上し、圧縮機への巻き付けが行い易くなる。しかも、防音材が巻き付けられた状態では、隣接する単位防水部同士が互いに密接して連続する防水部を形成するため、巻きつけ方向に亘って確実にかつ連続的に防水部を設けることが可能となる。
【0013】
前記防水部は、前記吸音材と同一の材料により当該吸音材と一体に成形されかつ当該材料に防水剤が含浸されたものであってもよい。
【0014】
この構成では、吸音材と防水部とが一体に成形される。この構成によれば、防水部を別部材として製造する必要がなく、防音材の生産性の向上及び低廉化に寄与する。また、防水部の位置ずれや脱落といった不都合が生じることを防止する上でも有利となる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明の室外機によれば、遮音材及び吸音材を備えた防音材によって圧縮機の側面が覆われているため良好な防音効果が得られる。しかも、この防音材については、吸音材が底板上に溜まった水を吸い上げることが防止されるため、当該吸水による吸音材の吸音性能の低下が防止され、吸音材の有する吸音性能が良好に維持される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明が適用される空気調和装置の構成を示す配管系統図である。
【図2】底板フレームとこれに設置された圧縮機とを示す室外機の断面略図である。
【図3】防音材の構成を示す圧縮機等を含む斜視概略図である。
【図4】図2の要部拡大図である。
【図5】(a)は、防音材の変形例を示す断面図であり、(b)は、当該防音材を圧縮機に巻き付けた状態を示す断面図である。
【図6】防音材の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。
【0018】
図1は、本発明が適用される空気調和装置を配管系統図で示している。この図に示す空気調和装置1は、室外に設置される室外機10と、室内に設定される室内機12とを備えており、これらの間で冷媒を循環させながら冷房運転と暖房運転とを行う。
【0019】
前記室外機10は、圧縮機22、アキュムレータ24、四方切替弁26、室外熱交換器28、膨張弁30及びこれら圧縮機22等が収容されるケーシング11を備える。一方、室内機12は、室内熱交換器32及びこれが収容されるケーシング13を備える。
【0020】
前記圧縮機22、アキュムレータ24、四方切替弁26、室外熱交換器28、膨張弁30及び室内熱交換器32は配管で接続されており、これにより冷媒を循環させながら冷凍サイクルを実効するための冷媒回路20が構成されている。
【0021】
具体的に説明すると、前記圧縮機22は冷媒の吸入ポート及び吐出ポートを備える。吐出ポートは吐出管2aを介して四方切替弁26の第1ポート27aに接続され、吸入ポートは吸入管2bを介して四方切替弁26の第3ポート27cに接続されている。これにより圧縮機22は、吸入管2bを通じて冷媒を吸入、圧縮しながら当該圧縮された冷媒を吐出管2aに吐出する。この圧縮機22としては、例えば全密閉型の高圧ドーム型スクロール圧縮機が適用される。
【0022】
前記アキュムレータ24は、前記吸入管2bの途中に介設されており、圧縮機22に吸入される冷媒中から液体成分を分離する。このアキュムレータ24は、圧縮機22に形成された取付部に固定されることで圧縮機22に一体に組み付けられている(図3参照)。この圧縮機22には、防音対策として防音部材3が取付けられている。この防音部材3については後に詳述する。
【0023】
前記室外熱交換器28は、二つの入出力ポートを備える。一方側の入出力ポートはガス管2cを介して四方切替弁26の第2ポート27bに接続され、他方側の入出力ポートは液管2dを介して膨張弁30に接続されている。この室外熱交換器28には室外ファン29が付設されており、当該室外熱交換器28は、入出力ポートから導入される冷媒と前記室外ファン29により取り込まれる室外空気とを熱交換させる。前記室内熱交換器32も室外熱交換器28と同様に二つの入出力ポートを備える。一方側の入出力ポートはガス管2eを介して四方切替弁26の第4ポート27dに接続され、他方側の入出力ポートは液管2fを介して膨張弁30に接続されている。この室内熱交換器32には室内ファン33が付設されており、当該室内熱交換器32は、入出力ポートから導入される冷媒を、前記室内ファン33により取り込まれる室内空気と熱交換させる。これら室外熱交換器28及び室内熱交換器32としては、例えばクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ型熱交換器が適用される。
【0024】
前記膨張弁30は、室外熱交換器28から液管2dを通じて、又は室内熱交換器32から液管2fを通じて流入する冷媒を膨張させることで、当該冷媒を所定圧力に減圧させる。この膨張弁30としては、例えば開度可変の電子膨張弁が適用される。
【0025】
前記四方切替弁26は、第1ポート27aと第2ポート27bとが連通しかつ第3ポート27cと第4ポート27dが連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1ポート27aと第4ポート27dとが連通しかつ第2ポート27bと第3ポート27cとが連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り替え可能に構成され、図外の制御装置により切り替え制御される。
【0026】
以上のように冷媒回路20が構成されることで、冷房運転時には、四方切替弁26が第1状態に制御されることで、冷媒が図1に実線矢印で示す方向に循環し、その結果、室外熱交換器28が凝縮器(放熱器)として、室内熱交換器32が蒸発器としてそれぞれ機能する。すなわち、冷房運転では、圧縮機22から吐出された高温高圧の冷媒は、室外熱交換器28へ流れ、室外空気へ放熱することにより凝縮する。この凝縮した冷媒は、膨張弁30で減圧された後、室内熱交換器32へ流れ、室内空気から吸熱して蒸発する。そして、この蒸発した冷媒がアキュムレータ24を通って圧縮機22へ吸入される。
【0027】
一方、暖房運転時には、四方切替弁26が第2状態に制御されることで、冷媒が図1に破線矢印で示す方向に循環し、その結果、室外熱交換器28が蒸発器として、室内熱交換器32が凝縮器(放熱器)としてそれぞれ機能する。すなわち、暖房運転では、圧縮機22から吐出された高温高圧の冷媒は、室内熱交換器32へ流れ、室内空気へ放熱することにより凝縮する。この凝縮した冷媒は、膨張弁30で減圧された後、室外熱交換器28へ流れ、室外空気から吸熱して蒸発する。そして、この蒸発した冷媒が、アキュムレータ24を通って圧縮機22へ吸入されることになる。
【0028】
次に、圧縮機22とこれに取付けられる防音部材3について図2〜図4を用いて説明する。
【0029】
前記圧縮機22は、略円柱状の縦長の本体部22aとその下端部に繋がる複数の脚部22bとを備えており、前記ケーシング11の底板フレーム16上に載置された状態で前記室外機10内に収容されている。なお、アキュムレータ24は、圧縮機22の本体部22aよりも小径かつ短寸の略円柱状をなし、本体部22aの側面部分に固定されている。
【0030】
圧縮機22には、上記の通り、防音対策として防音部材3が取り付けられている。この防音部材3は、圧縮機22及びアキュムレータ24の側面を一体に覆う第1防音材3Aと、圧縮機22及びアキュムレータ24の上面を覆う第2防音材3Bとを含む。
【0031】
第1防音材3Aは、長方形のシート状をなす防音材本体40と、圧縮機22及びアキュムレータ24(以下、圧縮機22等と略す)に巻き付けられた当該防音材本体40をその巻き付け状態に保つための固定具45とを含む。
【0032】
防音材本体40は、一端部を他端部に重ね合わせた状態で圧縮機22等に巻き付けることが可能となるように、巻き付け方向の長さ寸法が設定されている。また、上下方向(巻き付け方向と直交する方向)については、前記圧縮機22の全体を覆うことが可能な長さ寸法を有する。具体的には、防音材本体40の下端部を底板フレーム16の上面に当接させた状態で、圧縮機22の脚部22bの下端から本体部22aのほぼ上端までを覆うことが可能な長さ寸法を有する。
【0033】
防音材本体40は、吸音材41および遮音材42が互いに厚み方向に積層、接着された構造を有しており、図2及び図3に示すように、圧縮機22等の側面に吸音材41が接触し、かつ、下端部が底板フレーム16の上面に当接するように当該圧縮機22等に巻き付けられている。そして、この巻き付け状態で、前記固定具45により防音材本体40の両端が繋ぎ止められることで、当該防音材本体40が圧縮機22等に取り付けられている。
【0034】
前記固定具45としては、文化鋲を備えている。文化鋲は、防音材本体40のうち、巻き付け方向の一端部に固定される円盤状の係止ボタン45aと、他端部に設けられる係止紐45bとからなり、係止紐45bが係止ボタン45aに巻き付けられることで防音材本体40の両端部を互いに繋ぎ止める。なお、文化鋲(係止ボタン45a、係止紐45b)は、前記遮音材42の外側面に設けられている。
【0035】
防音材本体40のうち吸音材41は、内部に多数の連続した空隙を有する繊維質の吸音材からなり、当実施形態では、略0.4〜3.5μmのガラス繊維が絡み合ったガラス繊維製のシート状の吸音材が適用されている。一方、遮音材42は、遮音性に加え防水性を有する材料、当実施形態ではゴムから形成されたシート状の遮音材が適用されている。
【0036】
図2及び図4に示すように、遮音材42は、その下端部に防水部43を備えている。この防水部43は、遮音材42のうちその下端部が他の部分よりも圧縮機22側に突出するように成型されることで当該遮音材42に一体に形成されている。この防水部43は、吸音材41が底板フレーム16上に溜まった水を吸水することを防止するためのものである。つまり、吸音材41は、その下端部が防水部43の上面に当接する状態で遮音材42に積層、接着されており、これにより遮音材42の内側の位置であって当該遮音材42の下端部よりも上側の位置で圧縮機22等を覆う。そして、このように防水部43の上側に吸音材41が位置することで、底板フレーム16上に溜まった水を吸音材41が吸水することが防止される。なお、底板フレーム16は、底板17aとその周縁に沿って立設される側板17bとを有しており、これによりアキュムレータ24や室外熱交換器28等から流下する凝縮水などが底板17a上に溜まるように形成されている。従って、底板フレーム16上に溜まった水を吸音材41が吸水することが確実に防止されるように、防水部43は、その上端部の位置が、底板17a上に溜まり得る水の想定水面高さH(側板17bの上端に等しい高さ)よりも上側に位置するように形成されている。
【0037】
一方、前記第2防音材3Bは、圧縮機22等の上面を一体的に覆うことが可能な形状、例えば卵形のシート状を有する。この第2防音材3Bも、図2に示すように、吸音材47と遮音材48とが互いに厚み方向に積層、接着された構造を有する。吸音材47及び遮音材48は、それぞれ第1防音材3Aのものと同等の材料ならなり、具体的には、吸音材47はガラス繊維製のシート状の吸音材からなり、遮音材48はゴムから形成されたシート状の遮音材からなる。
【0038】
この第2防音材3Bは、吸音材47が下側(圧縮機22等の側)に位置するように圧縮機22等の上面に被せられている。なお、第2防音材3Bは、同図及び図3に示すように、その厚み方向に貫通する一対の貫通孔50、52と、これら貫通孔50、52と第2防音材3Bの周縁とをそれぞれ結ぶスリット状の切込み部51、53とを備えており、これら切込み部51、53を通じて貫通孔50、52内に吐出管2a及び吸入管2bが挿入された状態で圧縮機22等の上面に被せられている。
【0039】
このように防音部材3が圧縮機22等に取り付けられることで、圧縮機22等の側面が吸音材41及び遮音材42を含む第1防音材3Aにより覆われるとともに、圧縮機22等の上面が同じく吸音材47及び遮音材48を含む第2防音材3Bにより覆われ、これら防音材3A,3Bによる遮音及び吸音の各作用により圧縮機22の防音効果が発揮される。
【0040】
その場合、上記第1防音材3Aによれば、吸音材41が防水部43の上に配置されているため、底板フレーム16に溜まった水を吸音材41が吸水することが防止される。そのため、吸音材41が吸水することに起因する吸音性能の低下が効果的に抑制される。特に、この第1防音材3Aでは、吸音材41がガラス繊維製の吸音材からなり、このようなガラス繊維製の吸音材は、連続する超微細な空隙が多数内部に存在するため高い吸音効果を発揮する反面、毛管現象により底板フレーム16に溜まった水を吸い上げ易いという性質があるが、この第1防音材3Aによれば、上記のように吸音材41の吸水が防止されるため、当該吸音材41が吸水することに起因する当該吸音材41の吸音性能の低下を未然に防止することができ、その結果、ガラス繊維を素材とする吸音材41が有する高い吸音効果を良好に享受できる。
【0041】
加えて、この第1防音材3Aでは、上記のように吸音材41が底板フレーム16上の水を吸水することが防止されるため、吸音材41が吸水した水が圧縮機22の本体部22aに長期的に触れて壁面を腐食させるといった不都合が生じることを未然に防止することができるという利点もある。
【0042】
なお、上述した室外機10は、本発明に係る室外機の実施形態の例示であって、室外機10の具体的な構成や、圧縮機22に取付けられる防音部材3の具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、以下のような構成も適用可能である。
(1)上記実施形態では、圧縮機22(本体部22a)の側面にアキュムレータ24が固定されているため、第1防音材3Aは、圧縮機22及びアキュムレータ24に一体的に巻き付けられている。しかし、圧縮機22とアキュムレータ24とが離れている場合には、第1防音材3Aは、圧縮機22にのみ巻き付けられるものであればよい。
(2)防音材本体40の防水部43は、圧縮機22等への巻付け前の状態(第1防音材3Aを展開した状態)において巻き付け方向に連続したものであってもよいが、例えば図5(a)に示すように、防水部43は、巻き付け方向に断続的に並ぶ複数の単位防水部43aからなり、第1防音材3Aが圧縮機22等に巻き付けられることで、隣接する単位防水部43a同士が密接して巻き付け方向に連続し得るように形成されていてもよい。同図の例では、各単位防水部43aは台形状に形成されている。このような構成によれば、隣接する単位防水部43aの間の肉厚が薄くなる分、遮音材42の可撓性が向上するので、第1防音材3Aを圧縮機22に巻き付け易くなるという利点がある。例えば第1防音材3Aが圧縮機22にのみ巻き付けられるものである場合には、同図(b)に示すように、第1防音材3Aが圧縮機22等に巻き付けられることにより全周に亘って連続する防水部43が形成されるように各単位防水部43aを形成するようにすればよい。
(3)上記実施形態では、防水部43は、遮音材42に一体に形成されているが、図6に示すように、防水部43とは別の部材(便宜上、防水部材という)によって防水部43を形成してもよい。この場合、防水部43は、遮音材42と同一材料(ゴム)から形成してもよいが、その他の防水性を有する材料(金属や樹脂)から形成してもよい。例えば樹脂系の基材に独立気泡が存在する発砲シール材などにより遮水部43を形成すれば、吸音材41の吸水を防止することができる一方で、圧縮機22への巻き付けの際の当該圧縮機22への追従性が向上するという利点がある。
【0043】
但し、実施形態のように、遮水部43が遮音材42に一体に形成された構造によれば、遮水部43を別部材として製造する必要がなく、第1防音材3A(防音材本体40)の生産性の向上及び低廉化に寄与する。また、遮水部43の位置ずれや脱落といった不都合が生じることを防止する上でも有利となる。
【0044】
なお、上記のように遮音材42とは別体の防水部材により防水部43を形成する場合も、図5(a)の例と同様に、巻き付け方向に断続的に並ぶ複数の単位防水部43aを設け、第1防音材3Aが圧縮機22等に巻き付けられることで、隣接する単位防水部43a同士が密接して周方向に連続する防水部43を形成するようにしてもよい。
(4)吸音材41と遮水部43とを一体に形成してもよい。すなわち、遮水部43は、吸音材41と同一の材料(ガラス繊維)により当該吸音材41と一体に成形されかつ当該材料に樹脂やゴムなどの成分を含む防水剤が含浸されたものであってもよい。この構成によれば、上記実施形態と同様に、遮水部43を別部材として製造する必要がなく、第1防音材3A(防音材本体40)の生産性の向上及び低廉化に寄与する。また、吸音材41と遮水部43とが一体に形成されているので、遮水部43の位置ずれや脱落といった不都合が生じることを防止する上でも有利となる。
(5)上記実施形態では、防音材本体40の吸音材41は、ガラス繊維製の吸音材からなるが、勿論、吸音材41は、フェルト等、ガラス繊維以外の材質からなる吸音材であってもよい。
(6)上記実施形態では、本発明を空気調和機に適用した例について説明したが、本発明は、勿論、冷蔵機、冷凍機およびヒートポンプ給湯器など、空気調和機以外の冷凍装置についても適用可能である。
【符号の説明】
【0045】
3 防音部材
3A 第1防音材
3B 第2防音材
16 底板フレーム
17a 底板
17b 側板
22 圧縮機
22a 本体部
22b 脚部
40 防音材本体
41 吸音材
41a 上側吸音材
41b 下側吸音材
42 遮音材
43 防水部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒回路(20)中の冷媒を圧縮する圧縮機(22)と、この圧縮機(22)の側面を覆う防音材(3A)と、前記圧縮機(22)が設置される底板(17a)と、を備え、
前記防音材(3A)は、前記底板(17a)に下端部が当接した状態で前記側面を覆う遮音材(42)と、前記遮音材(42)の内側の位置であって当該遮音材(42)の下端部よりも上側の位置で前記側面を覆う吸音材(41)と、前記吸音材(41)の下側に位置する防水部(43)と、を含むことを特徴とする室外機(10)。
【請求項2】
請求項1に記載の室外機(10)において、
前記遮音材(42)は防水性を有する材料からなり、
前記防水部(43)は、前記遮音材(42)と同一の材料により当該遮音材(42)と一体に成形されていることを特徴とする室外機。
【請求項3】
請求項2に記載の室外機(10)において、
前記防音材(3A)は、シート状をなし、前記圧縮機(22)に巻き付けられることにより前記側面を覆うものであり、
前記防水部(43)は、前記遮音材(42)に沿って一列に断続的に並ぶ複数の単位防水部(43a)を含み、これら単位防水部(43a)は、前記防音材(3A)が前記圧縮機(22)に巻き付けられることにより、隣接するもの同士が互いに密接するように形成されていることを特徴とする室外機。
【請求項4】
請求項1に記載の室外機(10)において、
前記防水部(43)は、前記吸音材(41)と同一の材料により当該吸音材(41)と一体に成形されかつ当該材料に防水剤が含浸されたものであることを特徴とする室外機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−88003(P2013−88003A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227805(P2011−227805)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)