説明

室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物

【解決手段】(A)分子鎖両末端が水酸基及び/又は加水分解性基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)下記(B−1)と(B−2)の混合物:0.5〜30質量部、
(B−1)トリス(ケトキシム)シラン及び/又はその部分加水分解縮合物
(B−2)テトラキス(ケトキシム)シラン及び/又はその部分加水分解縮合物
但し、(B−1)成分と(B−2)成分の質量比は60:40〜90:10である。
(C)無機質充填剤:1〜500質量部、
(D)接着助剤:0.05〜20質量部
を含有してなり、有機金属触媒を含まない室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【効果】本発明によれば、有機系金属触媒なしで基材との密着強度の発現が速い縮合硬化型の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を得ることができる。特に生産性の向上を期待できるため、太陽電池の端子ボックスの固定用に有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーン系シーリング剤や接着剤として有用な室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物、特には有機系金属触媒なしで基材との接着強度の発現が速く、太陽電池の端子ボックス固定に有用な縮合硬化型の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
湿気により架橋する室温硬化性(RTV)シリコーンゴム組成物は、その取り扱いが容易な上に耐熱性、接着性、電気特性に優れるため、建材用のシーリング材、電気電子分野での接着剤など様々な分野で利用されている。特に一般工業用及び建築用としては、各種の被着体に良好に接着する上に耐候性にも優れる脱オキシムタイプRTVシリコーンゴム組成物が幅広く使用されている。
【0003】
また、生産性向上の目的から施工直後から接着強度や密着強度を高める必要もあるため、二成分型の縮合硬化型シリコーン系接着剤組成物(特開平7−118531号公報:特許文献1)やホットメルトシリコーン組成物(特許第3642584号公報、特開2006−316190号公報:特許文献2,3)等が開示されている。しかし、これらの組成物を使用するためには、混合機やホットメルトの吐出機など特殊な装置を使用する必要があるため、従来の一液材料で施工直後から接着強度や密着強度を高める方法が求められていた。
【0004】
このためには、触媒の増量も効果があるが、この方法は接着力の低下や耐熱性、耐湿性等の長期耐久性の悪化を招く。また、従来用いられている3官能性硬化剤をより反応性の高い4官能性硬化剤を用いた組成物も効果がある。しかし、特開平11−29708号公報、特開平11−60952号公報(特許文献4,5)で提案されている組成物は、耐油性の向上目的で添加しているため、短時間での接着性向上には効果がない。更に、特公昭63−19537号公報(特許文献6)では、有機系金属触媒無しで硬化性に優れる組成物とされているが、接着助剤の添加の記述がなく、接着剤としての使用には適していない。また、特開2010−120984号公報(特許文献7)には、端子ボックスの封止に好適な室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物が記載されているが、難燃性には優れるものの接着性においては十分なものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−118531号公報
【特許文献2】特許第3642584号公報
【特許文献3】特開2006−316190号公報
【特許文献4】特開平11−29708号公報
【特許文献5】特開平11−60952号公報
【特許文献6】特公昭63−19537号公報
【特許文献7】特開2010−120984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、特に有機系金属触媒なしで基材との接着強度の発現が速い縮合硬化型の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、オルガノポリシロキサン組成物に、3官能性ケトキシムシランと4官能性ケトキシムシランを特定の比率で併用した架橋剤、及び接着助剤を添加することにより、有機系金属触媒なしで基材との密着強度の発現が速い縮合硬化型の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を得ることができることを知見し、本発明をなすに至った。
【0008】
即ち、本発明は、
(A)分子鎖両末端が水酸基及び/又は加水分解性基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)下記(B−1)と(B−2)の混合物:1〜30質量部、
(B−1)トリス(ケトキシム)シラン及び/又はその部分加水分解縮合物
(B−2)テトラキス(ケトキシム)シラン及び/又はその部分加水分解縮合物
但し、(B−1)成分と(B−2)成分の質量比は60:40〜90:10である。
(C)無機質充填剤:1〜500質量部、
(D)接着助剤:0.05〜20質量部
を含有してなり、有機金属触媒を含まない室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供する。また、(D)成分の接着助剤は、アミノ基含有シランカップリング剤であることが好ましい。本発明の組成物は、特に太陽電池向けボックスの接着剤として有効に用いられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、有機系金属触媒なしで基材との接着強度の発現が速い縮合硬化型の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を得ることができる。特に生産性の向上を期待できるため、太陽電池の端子ボックスの接着剤として有効である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、3官能性ケトキシムシランと4官能性ケトキシムシランを特定割合で併用した架橋剤、及び接着助剤を添加した室温硬化型オルガノポリシロキサン組成物である。
【0011】
[(A)成分]
本発明のオルガノポリシロキサン組成物を構成するベース成分であり、分子鎖両末端のケイ素原子に水酸基及び/又は加水分解性基が結合している。
この加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;メチルエチルケトオキシム基等のケトキシム基;アセトキシ基;アミノオキシ基等が例示され、アルコキシ基が好ましい。分子鎖両末端としては、水酸基とアルコキシ基が特に好ましい。また、このオルガノポリシロキサンのケイ素原子に結合するその他の基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、2−エチルブチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基、シクロペンチル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、ビフェニリル基、フェナントリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、トリクロロプロピル基、トリフロロプロピル基、ブロモフェニル基、クロロシクロヘキシル基等のハロゲン化アルキル、アリールもしくはシクロアルキル基;2−シアノエチル基、3−シアノプロピル基、2−シアノブチル基等のシアノ化アルキル基が挙げられ、メチル基、ビニル基、フェニル基、トリフロロプロピル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0012】
このオルガノポリシロキサンの回転粘度計による25℃における粘度は、好ましくは10〜100,000mPa・s、より好ましくは100〜20,000mPa・s、更により好ましくは200〜10,000mPa・sの範囲となる数である。粘度が小さすぎると硬化物に十分な機械的特性が得られない場合があり、大きすぎると組成物の粘度が高くなり、作業性が低下することがある。
【0013】
また、(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0014】
[(B)成分]
(B)成分は、3官能性ケトキシムシランと4官能性ケトキシムシランの混合物であるが、特に4官能性ケトキシムシランを添加することにより施工直後の密着強度を高める効果がある。
(B−1)成分は、トリス(ケトキシム)シラン及び/又はその部分加水分解縮合物であり、具体例としては、メチルトリス(ジメチルケトキシム)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、エチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、メチルトリス(メチルイソブチルケトキシム)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、ビニルトリス(ジメチルケトキシム)シラン、フェニルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、フェニルトリス(ジメチルケトキシム)シラン等及びそれらの部分加水分解縮合物が例示される。
【0015】
(B−2)成分は、テトラキス(ケトキシム)シラン及び/又はその部分加水分解縮合物であり、具体例としてはテトラキス(ジメチルケトキシム)シラン、テトラキス(メチルエチルケトキシム)シラン、テトラキス(メチルイソブチルケトキシム)シラン等及びそれらの部分加水分解縮合物が例示される。
【0016】
ケトキシム基は、メチルエチルケトキシム基とメチルイソブチルケトキシム基が好ましく、更にメチルイソブチルケトキシム基の方が接着強度の発現に優れるため、メチルイソブチルケトキシム基がより好ましい。
【0017】
(B−1)成分と(B−2)成分の質量比は60:40〜90:10であり、好ましくは70:30〜85:15の範囲である。(B−2)成分の割合が多すぎると硬化が早くなりすぎるため作業性に劣り、少なすぎると接着強度の発現が遅くなる。
【0018】
(B)成分は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.5〜30質量部、好ましくは5〜20質量部の範囲で使用されるものであり、配合量が少なすぎると十分な架橋が得られず、目的とするゴム弾性を有する組成物とならず、配合量が多すぎると機械特性に劣るものとなる。
【0019】
[(C)成分]
(C)成分の無機質充填剤は、得られる硬化物に適度な補強性、ゴム特性を与える成分である。
この成分としては、ヒュームドシリカ(煙霧質シリカ)、沈降性シリカ、焼成シリカ等の補強性充填剤、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化チタン、珪藻土、マイカ等の非補強性充填剤が例示される。好ましくはヒュームドシリカや炭酸カルシウムである。また、これらの充填剤の表面をオルガノクロロシラン、オルガノアルコキシシラン、シラザン等の有機ケイ素化合物、脂肪酸やパラフィン系等で処理した充填剤を用いてもよい。またこの成分は1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0020】
(C)成分の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して1〜500質量部、特に5〜200質量部配合することが好ましい。1質量部未満では得られる硬化物の機械特性が不十分となり、500質量部を超える量では、得られる組成物の粘度が高すぎて作業性、吐出性が悪くなる。
【0021】
[(D)成分]
(D)成分の接着助剤は、接着強度を向上させると共に接着性付与成分としての作用を有する成分である。
接着助剤は、当該技術分野で公知のシランカップリング剤が好適に使用される。特には加水分解性基としてアルコキシシリル基又はアルケノキシシリル基を有するものが好ましく、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキプロピルトリイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキプロピルメチルジイソプロペノキシシラン等が例示される。特にはアミノ基含有シランカップリング剤の使用が好ましい。
【0022】
このシランカップリング剤の配合量は、(A)成分100質量部に対して0.05〜20質量部、好ましくは0.1〜15質量部、特に好ましくは0.5〜10質量部である。0.05質量部未満では十分な接着性が得られず、20質量部を超えると耐候性や機械特性に劣るものとなる。
【0023】
[その他の添加剤]
本発明のオルガノポリシロキサン組成物には、任意の添加剤として、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤;白金化合物、酸化アンチモン、塩化パラフィン等の難燃剤などを配合することができる。
【0024】
更に、チクソ性向上剤としてのポリエーテル;防かび剤;抗菌剤等が挙げられる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的を損なわない限り任意である。
【0025】
本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、上記(A)〜(D)成分、他の上記各種添加剤を混合、好ましくは乾燥雰囲気(実質的に湿分の不存在)下において均一に混合することにより得ることができる。
【0026】
本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、室温・大気中で塗布や成形することにより大気中の湿気により硬化するものであり、その硬化条件等は、通常市販されている室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物と同様でよい。
【0027】
本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、特に太陽電池向けの端子ボックスの固定用として好適に用いられる。
太陽電池パネル用端子ボックスは、複数の太陽電池パネルを電気的に接続するために用いる太陽電池パネルの背面外側に取り付けられるものであり、その端子ボックスの接着剤には、耐候性が必要とされるが、本発明の組成物は、耐候性にも優れると共に接着性の発現が速いため、作業性が著しく向上することができる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記例中の部は質量部、粘度は25℃での測定値を示したものである。
【0029】
[実施例1]
粘度20,000mPa・sの、分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部に、表面をジメチルジクロロシランで処理した煙霧状シリカ10質量部と重質炭酸カルシウム50質量部を加え減圧下で完全に混合して混合物を得た。この混合物にメチルトリス(メチルイソブチルケトキシム)シランとテトラキス(メチルイソブチルケトキシム)シランの質量比で80:20の混合物を10質量部加えて、減圧下で混合した。更に、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン1質量部を減圧下で完全に混合して組成物1を得た。
【0030】
[実施例2]
粘度20,000mPa・sの、分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部に、表面をジメチルジクロロシランで処理した煙霧状シリカ10質量部と重質炭酸カルシウム50質量部を加え減圧下で完全に混合して混合物を得た。この混合物にメチルトリス(メチルイソブチルケトキシム)シランとテトラキス(メチルイソブチルケトキシム)シランの質量比で85:15の混合物を10質量部加えて、減圧下で混合した。更に、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン1質量部を減圧下で完全に混合して組成物2を得た。
【0031】
[実施例3]
粘度20,000mPa・sの、分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部に、表面をジメチルジクロロシランで処理した煙霧状シリカ10質量部を加え減圧下で完全に混合して混合物を得た。この混合物にメチルトリス(メチルイソブチルケトキシム)シランとテトラキス(メチルイソブチルケトキシム)シランの質量比で80:20の混合物を10質量部加えて、減圧下で混合した。更に、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン1質量部を減圧下で完全に混合して組成物3を得た。
【0032】
[実施例4]
粘度20,000mPa・sの、分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部に、表面をジメチルジクロロシランで処理した煙霧状シリカ10質量部と重質炭酸カルシウム50質量部を加え減圧下で完全に混合して混合物を得た。この混合物にメチルトリス(メチルエチルケトキシム)シランとテトラキス(メチルエチルケトキシム)シランの質量比で80:20の混合物を10質量部加えて、減圧下で混合した。更に、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン1質量部を減圧下で完全に混合して組成物4を得た。
【0033】
[比較例1]
粘度20,000mPa・sの、分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部に、表面をジメチルジクロロシランで処理した煙霧状シリカ10質量部と重質炭酸カルシウム50質量部を加え減圧下で完全に混合して混合物を得た。この混合物にメチルトリス(メチルイソブチルケトキシム)シランを10質量部加えて、減圧下で混合した。更に、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン1質量部を減圧下で完全に混合して組成物5を得た。
【0034】
[比較例2]
粘度20,000mPa・sの、分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部に、表面をジメチルジクロロシランで処理した煙霧状シリカ10質量部と重質炭酸カルシウム50質量部を加え減圧下で完全に混合して混合物を得た。この混合物にメチルトリス(メチルイソブチルケトキシム)シランとテトラキス(メチルイソブチルケトキシム)シランの質量比で95:5の混合物を10質量部加えて、減圧下で混合した。更に、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン1質量部を減圧下で完全に混合して組成物6を得た。
【0035】
[比較例3]
粘度20,000mPa・sの、分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部に、表面をジメチルジクロロシランで処理した煙霧状シリカ10質量部と重質炭酸カルシウム50質量部を加え減圧下で完全に混合して混合物を得た。この混合物にメチルトリス(メチルイソブチルケトキシム)シランとテトラキス(メチルイソブチルケトキシム)シランの質量比で80:20の混合物を10質量部加えて、減圧下で混合し組成物7を得た。
【0036】
[比較例4]
粘度20,000mPa・sの、分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100質量部に、表面をジメチルジクロロシランで処理した煙霧状シリカ10質量部と重質炭酸カルシウム50質量部を加え減圧下で完全に混合して混合物を得た。この混合物にメチルトリス(メチルイソブチルケトキシム)シランとテトラキス(メチルイソブチルケトキシム)シランの質量比で50:50の混合物を10質量部加えて、減圧下で混合すると組成物中にゲル化した部分が発生し、均一な組成物が得られなかった。
【0037】
[試験方法]
太陽電池の端子ボックスに一般的に使用されている変性PPO(ポリフェニレンオキサイド)に対する接着性を評価するため、25×100×2mm厚の被着体に接着厚み2mm、接着面積2.5cm2となるよう組成物を塗布し剪断接着試験体を作製し、23℃,50%RHで7日間養生してせん断接着力、凝集破壊率を測定した。
また、硬化性の速さを確認するために以下の密着強度の測定を行った。ガラスの上に半径20mm,厚さ0.6mmになる組成物を計り、もう一枚のガラスで挟み込み、60分間23℃,50%RH環境下で放置後にプッシュプルゲージで一方のガラスを押して、ガラスが動く力を測定した。
結果を表1に示す。
【0038】
【表1】

【0039】
上記の結果から、本発明の組成物は、変性PPOに対して接着性があり、且つ密着強度の発現が速いことが分かる。一方で、3官能性ケトキシムシランのみを用いた比較例1の組成物、本発明の範囲外の3官能性ケトキシムシランと4官能性ケトキシムシラン量を使用した比較例2の組成物、接着助剤を使用していない比較例3は、変性PPOに対する接着性、密着強度共に劣ることが分かる。また、4官能性ケトキシムシランを本発明の範囲を超えて添加すると均一な組成物が得られないため、接着剤として不適当である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)分子鎖両末端が水酸基及び/又は加水分解性基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)下記(B−1)と(B−2)の混合物:0.5〜30質量部、
(B−1)トリス(ケトキシム)シラン及び/又はその部分加水分解縮合物
(B−2)テトラキス(ケトキシム)シラン及び/又はその部分加水分解縮合物
但し、(B−1)成分と(B−2)成分の質量比は60:40〜90:10である。
(C)無機質充填剤:1〜500質量部、
(D)接着助剤:0.05〜20質量部
を含有してなり、有機金属触媒を含まない室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項2】
(D)接着助剤が、アミノ基含有シランカップリング剤である請求項1記載の組成物。
【請求項3】
太陽電池用端子ボックスの接着剤である請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物。
【請求項4】
請求項3記載の接着剤で接着された太陽電池向け端子ボックス。

【公開番号】特開2013−103994(P2013−103994A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248764(P2011−248764)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】