説明

室温耐衝撃性二成分構造接着剤

本発明は、二成分エポキシ樹脂組成物の分野、および修理用接着剤、特に車両製造における修理用接着剤としてのその使用に関する。本発明による二成分エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂成分K1と共に、1〜10重量%の間のアミノ基末端ポリアミドBを含む硬化剤成分K2を含有する。この組成物は、許容できる引張剪断強度が保持されている一方で、耐衝撃性が大幅に向上していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二成分エポキシ樹脂組成物の分野に関し、修理用接着剤、特に車両の製造における修理用接着剤としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
高品質接着剤は、車両および付属品の製造、または機械および装置の製造においても、スクリューおよびボルト、リベット、打抜または溶接等の従来の接合方法と代えてまたは組み合わせて、ますます使用されている。接着によって構造的な部分を結合する場合、接着剤の高強度および耐衝撃性が最も重要である。
【0003】
車両の製造において、および車両の修理の分野において、通常60℃超の、および場合によっては170℃もの温度で硬化される熱硬化性接着剤が、その地位を確立している。しかし、その使用は、例えば熱硬化に必要な設備が利用できない修理工場での車両の修理には、多くの場合不利である。さらに、車両の修理は、その製造とは異なって、完全に組み立てられた車両上で行われるので熱に敏感な材料が影響を受ける可能性がある。
【0004】
したがって、室温でも硬化され得る接着剤、特に二成分エポキシ樹脂接着剤の重要性が増す。しかし、多くの場合これには熱硬化性接着剤と同等の機械的特性がなく、さらに改善の余地がある。
【0005】
一般に、エポキシ接着剤は、高機械的強度、特に高引張強度が特徴である。しかし、これによって形成された接着接合に衝撃負荷を与えた場合、従来のエポキシ接着剤はほとんどの場合脆すぎて、高張力および剥離応力の両方が関与する衝突事故を考慮する特に自動車産業の必要条件を全く満たさない。この点に関して、高温においてだけでなく特に-10℃未満の低温においても強度は不十分である。
【0006】
様々な方法を使用することによって、エポキシ接着剤の耐衝撃性を改善する試みがなされてきた。
【0007】
文献によれば、本質的には、エポキシ接着剤の脆弱性を低減することによって耐衝撃性を改善する2つの方法が提案されてきた。一方において、コア/シェルポリマーのラテックス等の少なくとも部分的に架橋された高分子化合物または他の柔軟化ポリマーおよびコポリマーの添加によって、目的を達成することができる。他方において、ある程度の靭性の増加を、ソフトセグメントの導入、例えばエポキシ成分を必要に応じて変性することによって達成することができる。
【0008】
WO2009/025991A1は、車両の製造に使用される、比較的低温で硬化するエポキシ樹脂接着剤について記述している。この文献に開示された構造用接着剤は、3つの主成分を有しており、すなわち、15〜50重量%の第一級または第二級アミノ基末端ポリエーテル、4〜40重量%の第一級または第二級アミノ基末端ゴム、および、50℃以下の融点を有する、10〜30重量%の第一級または第二級アミノ基末端ポリアミドである。さらに、この組成物は少なくとも1つの耐衝撃性改良剤も含む。
【0009】
しかし、記述された二成分エポキシ樹脂組成物には、耐衝撃性の点から改善の余地が残されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】WO2009/025991A1
【特許文献2】WO2006/052725A1
【特許文献3】WO2006/052726A1
【特許文献4】WO2006/052727A1
【特許文献5】WO2006/052728A1
【特許文献6】WO2006/052729A1
【特許文献7】WO2006/052730A1
【特許文献8】WO2005/097893A1
【特許文献9】米国特許第6,322,890号
【特許文献10】US2005/0070634A1
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Macromolecules 1996、29、6994〜7002
【非特許文献2】Macromolecules 2000、33、9522〜9534
【非特許文献3】J. Polym. Sci. Part B: Polym. Phys. 2007、45、3338〜3348
【非特許文献4】Rompp, CD Rompp Chemie Lexikon, Version 1, Stuttgart/New York, Georg Thieme Verlag 1995
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明は、許容できる引張剪断強度を保持しつつ、同時に耐衝撃性を大幅に向上させることができる新規なエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
驚いたことに、請求項1に記載の新規な二成分エポキシ樹脂組成物が、現況技術の欠点を克服することが分かった。
【0014】
エポキシ樹脂組成物は、高い機械的負荷を受けた場合でも、例えば、事故の場合においても、接着接合がそれらの完全性を維持することが必要とされるような、車両の製造に特に適する。
【0015】
本発明の他の態様は追加の独立クレームの主題である。特に好ましい実施形態は従属クレームの主題である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、二成分エポキシ樹脂組成物の分野に関し、修理用接着剤、特に車両の製造における修理用接着剤としてのその使用に関する。
【0017】
第一の実施態様において、本発明は、下記を含む二成分エポキシ樹脂組成物に関する。
- 1分子当たり平均して1個より多いエポキシ基を含有する少なくとも1種のエポキシ樹脂Aを含む1つのエポキシ樹脂成分K1;および
- 硬化剤成分の総重量に基づいて1〜10重量%の間、好ましくは4〜8重量%の間のアミノ基末端ポリアミドBを含む1つの硬化剤成分K2
を含有し、成分K1、K2の少なくとも1つが、少なくとも1種の耐衝撃性改良剤Cを含有する、二成分エポキシ樹脂組成物に関する。
【0018】
本明細書全文において、例えば「ポリアミド」、「ポリイソシアネート」、「ポリオール」または「ポリフェノール」における接頭辞「ポリ」は、2個以上の各官能基を形式的に含む分子を示す。
【0019】
本明細書において、「耐衝撃性改良剤」は、エポキシ樹脂マトリックスへの添加物であって、少量の添加、特に0.1〜35重量%、好ましくは0.5〜15重量%の添加であっても硬化したマトリックスの靱性の明らかな増加をもたらし、これにより、マトリックスがひび割れるまたは破壊する前に、より高い曲げ、引張、衝突、または衝撃応力に耐えることができるものを意味する。典型的には、ISO 11343による衝撃剥離強度が耐衝撃性の基準として使用される。ここで、破壊エネルギー(FE)は、測定カーブ(ISO 11343による25%〜90%)の下の面積で示される。典型的には、ISO 11343による衝撃剥離強度は、耐衝撃性の別の尺度として使用することができる。
【0020】
本明細書中、「ポリマー」の用語は、一方では、重合度、分子量、および鎖長に関してはさまざまであるが、重合反応(重合、重付加、または重縮合)によって調製される、化学的には均一な高分子の集合体を含む。他方では、この用語は、重合反応による高分子のそのような集合体の誘導体、言い換えれば、存在する高分子上での官能基の付加または置換などの反応によって得られ、化学的に均一もしくは化学的に不均一であってもよい化合物をも含む。さらにこの用語は、プレポリマーと呼ばれるもの、すなわち、その官能基が高分子の構築に関与する反応性有機予備付加体もさらに包含する。
【0021】
本明細書において、置換基、部分、または基に関連した、「互いに独立に」という用語の使用は、同じ分子中で、同じ記号で表した置換基、部分、または基が同時に、異なる定義のものになり得ることが可能であることを意味すると解釈される。
【0022】
1分子当たり平均して1個より多いエポキシ基を含有する、エポキシ樹脂成分K1中のエポキシ樹脂Aは、好ましくは液状エポキシ樹脂または固体エポキシ樹脂である。用語「固体エポキシ樹脂」は、エポキシの当業者に非常によく知られており、「液状エポキシ樹脂」とは対比して使用される。固体樹脂のガラス転移温度は室温より高く、すなわち、それらは室温で流動する粉末に粉砕することができる。
【0023】
好ましい固体エポキシ樹脂は式(IX)を有する。
【0024】
【化1】

【0025】
この式において、置換基R'およびR''は各々、互いに独立に、HまたはCH3である。さらに、添字sは、1.5を超える値、特に2〜12の値を有する。
【0026】
そのような固体エポキシ樹脂は、例えば、Dow、HuntsmanまたはHexionから市販されている。
【0027】
添字sが1〜1.5の間である式(IX)の化合物は、当業者によって半固体エポキシ樹脂と呼ばれている。本発明においては、それらは同様に固体樹脂であると考えられる。しかし、より狭い意味でのエポキシ樹脂、すなわち、添字sが1.5を超える値を有するエポキシ樹脂が好ましい。
【0028】
好ましい液状エポキシ樹脂は式(X)を有する。
【0029】
【化2】

【0030】
この式において、置換基R'''およびR''''は各々、互いに独立に、HまたはCH3である。さらに、添字rは、0〜1の値を有する。好ましくは、rは、0.2未満の値を有する。
【0031】
したがって、これらは、好ましくは、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル(DGEBA)、ビスフェノールFのジグリシジルエーテル、およびビスフェノールA/Fのジグリシジルエーテルである(呼称「A/F」は、ここでは、その調製において反応物として使用されるアセトンとホルムアルデヒドとの混合物を指す)。そのような液状樹脂は、例えば、Araldite(登録商標)GY250、Araldite(登録商標)PY304、Araldite(登録商標)GY282(Huntsman)またはD.E.R.(商標)331またはD.E.R.(商標)330(Dow)またはEpikote828(Hexion)として入手可能である。
【0032】
さらにいわゆるノボラックAが適切なエポキシ樹脂である。これらは特に下記式を有する:
【0033】
【化3】

【0034】
式中、R2=
【0035】
【化4】

【0036】
またはCH2であり、R1=Hまたはメチルであり、z=0〜7である。
【0037】
特に、これらはフェノールノボラックまたはクレゾールノボラック(R2=CH2)である。
【0038】
そのようなエポキシ樹脂は、HuntsmanからEPNまたはECNおよびTactix(登録商標)556という商品名で、またはDow ChemicalからD.E.N.(商標)という製品シリーズで市販されている。
【0039】
好ましくは、エポキシ樹脂Aは式(X)の液状エポキシ樹脂である。よりさらに好ましい実施形態において、熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、式(IX)の少なくとも1つの固体エポキシ樹脂と共に式(X)の少なくとも1つの液状エポキシ樹脂をも含む。
【0040】
エポキシ樹脂Aの割合は、組成物の重量に対して好ましくは10〜85重量%、特に15〜70重量%、好ましくは15〜60重量%である。
【0041】
本発明による組成物は、さらにエポキシ樹脂用の少なくとも1種の硬化剤成分K2を含む。この硬化剤は、好ましくは、ポリ(エチレンイミン)、ポリアミドアミン、アミノ基末端ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、およびポリアミンからなる群から選択される化合物である。
【0042】
ポリアミンは、特に500g/mol未満の分子量を有するポリオキシアルキレンジアミン(Jeffamine(登録商標)D-230、Jeffamine D400、Jeffamine(登録商標)EDR148)、4,7,10-トリオキサトリデカン-1-13-ジアミン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、エチレンジアミン、および/または3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン(Celanese Chemicals製造のTCD-Diamine(登録商標))である。
【0043】
一実施形態において、硬化剤成分K2は、硬化剤成分の重量に基づいて20重量%以内のポリ(エチレンイミン)をさらに含有する。
【0044】
硬化剤成分K2は、硬化剤成分の総重量に基づいて、1〜10重量%の間、好ましくは4〜8重量%の間のアミノ基末端ポリアミドBを含む。1〜10重量%の間の範囲とは、それぞれの極値、すなわち1および10重量%を含まない。この割合を超過すると、特に、硬化された接着剤の耐衝撃性が著しく低下することが分かった。アミノ基末端ポリアミドBの割合が8重量%を超えるともはや、接着剤組成物の耐衝撃性は、全ての選択された試験条件下で著しく低下する。したがって、接着剤組成物がポリアミドを8重量%超または特に10重量%以上を含む場合、0℃、23℃(それぞれ7日後)、および60℃(それぞれ2時間後)の両方の耐衝撃性が、著しく低下することが分かった(図も参照)。
【0045】
耐衝撃性の増加は、全体として引張剪断強度の比較的わずかな減少を伴ったが、本明細書に記述した実施例では、特性全体が明確に改善された二成分接着剤組成物を提供することができる。
【0046】
好ましくは、アミノ基末端ポリアミドBは、第一級または第二級アミノ基末端ポリアミドである。
【0047】
好ましくは、ポリアミドは、1分子当たり平均して少なくとも1.5、特に好ましくは少なくとも1.8、最も好ましくは少なくとも2.0の第一級または第二級アミノ基を含む。代表例は、1分子当たり2〜3の第一級または第二級アミノ基であるが、1分子当たり6以上の第一級または第二級のアミノ基も考えられる。
【0048】
特に好ましいポリアミドは、二量化した脂肪酸とポリアミンとの反応生成物である。そのようなポリアミドの例としては、Cognisという会社のVersamid(登録商標)115、Versamid(登録商標)125およびVersamid(登録商標)140という商品名で入手可能なものが挙げられる。
【0049】
一実施形態において、組成物は、耐衝撃性改良剤Cとして、イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーと、第一級ジアミンと、任意選択で少なくとも1つのマイケル受容体とを反応させることにより調製されるアミノ基末端耐衝撃性改良剤C1を含有し、イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーが、少なくとも1種のポリイソシアネート、および少なくとも2つのヒドロキシ基を有する少なくとも1種のポリエステルまたはポリエーテルポリオールから調製され、前記耐衝撃性改良剤が、硬化剤成分K2の一成分、特に、硬化剤成分K2の重量に基づいて1〜30重量%の量の成分である、である。
【0050】
特に、ジアミンは、エーテル基含有脂肪族ジアミン、特に、ポリオキシアルキレンジアミン;特にポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン;ポリオキシブチレンジアミン、アミノ基末端ポリブタジエン、およびブタジエン/アクリロニトリルコポリマーまたはその混合物からなる群から選択される。
【0051】
特に、これらは、2つのアミノ基を有するポリオキシアルキレンポリアミンであり、例えば、市販の名称Jeffamine(登録商標)(Huntsman Chemicals)、名称Polyetheramin(BASF)、名称PC Amine(登録商標)(Nitroil)、および上述のポリアミンの混合物である。
【0052】
好ましいジアミンは、2つのアミノ基を有するポリオキシアルキレンポリアミンであり、特に式(VIIIa)のものである。
【0053】
【化5】

【0054】
式において、g'は、プロピレンオキシド由来の構造要素を表し、h'は、エチレンオキシド由来の構造要素を表す。さらに、g、hおよびiの合計≧1の場合、g、hおよびiは各々0から40までの値を表す。特に、100〜4,000g/molの間の分子量が好ましい。
【0055】
特に好ましいジアミンは、Huntsman Chemicalsにより、Jeffamine(登録商標)の名称で、Dシリーズ、EDシリーズとして入手可能であり、例えば、Jeffamine(登録商標)D-230、Jeffamine(登録商標)D-400、Jeffamine(登録商標)D-2000、Jeffamine(登録商標)D-4000、Jeffamine(登録商標)ED-600、Jeffamine(登録商標)ED-900、Jeffamine(登録商標)ED-2003である。
【0056】
本発明によれば、耐衝撃性改良剤C1は、いくつかの反応経路によって調製することができる。これらの反応経路では、アミノ基末端ポリウレタン、および/または第一級ジアミン、および/またはジアミンと反応させたイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを、マイケル受容体と反応させる。
【0057】
したがって、一実施形態において、アミノ基末端耐衝撃性改良剤は、第二級アミノ基で末端化されたものであってよく、第一級アミノ基を含むアミノ基末端耐衝撃性改良剤とマイケル受容体との反応に由来するものであってもよい。
【0058】
一実施形態において、本発明により使用される耐衝撃性改良剤C1は、ポリウレタンプレポリマーの調製に、少なくとも1種のポリエーテルまたはポリエステルポリオールに加えて、末端アミノ基、末端チオール基、または末端ヒドロキシ基を有する少なくとも1種のポリマーQPM、および/または任意に置換されていてもよい少なくとも1種のポリフェノールQPPを使用することができることを特徴とする。
【0059】
末端アミノ基、末端チオール基、または末端ヒドロキシ基を有するポリマーQPMとして、2個もしくは3個の末端アミノ基、末端チオール基または末端ヒドロキシ基を有するポリマーQPMが特に好適である。
【0060】
好ましくは、ポリマーQPMは、300〜6,000、特に600〜4,000、好ましくは700〜2,200g/NCO反応性基当量という当量質量を有する。
【0061】
適切なポリマーQPMは、多価アルコール、例えば以下の市販の多価アルコールまたはその任意の混合物である。
- ポリオキシアルキレンポリオールは、ポリエーテルポリオールまたはオリゴエーテルオールとも称するが、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-もしくは2,3-ブチレンオキシド、オキセタン、テトラヒドロフラン、またはその混合物の重合生成物であり、任意選択で、2つ以上の活性水素原子を有する開始剤分子を用いて重合され、この開始剤分子は、例えば水、アンモニア、または複数のOH基もしくはNH基を有する化合物、例えば、1,2-エタンジオール、1,2-および1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール異性体およびトリプロピレングリコール、ブタンジオール異性体、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、1,3-および1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、アニリン、ならびに上述の化合物の混合物である。低い不飽和度(ASTM D-2849-69に従って測定し、ポリオール1グラム当たりの不飽和度をミリ当量で示す(mEq/g))を有し、例えばいわゆる二元金属シアニド錯体触媒(DMC触媒)を用いて製造されるポリオキシアルキレンポリオールも、比較的高い不飽和度を有し、NaOH、KOH、CsOH、またはアルカリアルコラート等のアニオン性触媒などを用いて製造されるポリオキシアルキレンポリオールも両方使用することができる。
【0062】
特に、ポリオキシアルキレンジオールまたはポリオキシアルキレントリオール、特にポリオキシプロピレンジオールまたはポリオキシプロピレントリオールが適している。特に適しているのは、0.02mEq/g未満の不飽和度および1,000〜30,000g/molの範囲内の分子量を有するポリオキシアルキレンジオールおよびポリオキシアルキレントリオールならびに400〜8,000g/molの分子量を有するポリオキシプロピレンジオールおよびポリオキシプロピレントリオールである。
【0063】
同様に、いわゆるエチレンオキシド末端化(「EO終端化」、エチレンオキシド終端化)ポリオキシプロピレンポリオールも特に適している。これは、特殊なポリオキシプロピレンポリオキシエチレンポリオールであり、例えば、純粋なポリオキシプロピレンポリオール、特にポリオキシプロピレンジオールおよびポリオキシプロピレントリオールを、エチレンオキシドとのポリプロポキシル化反応の終了後に、さらにアルコキシル化し、その結果として第一級ヒドロキシ基を有させることにより得ることができる。
【0064】
さらに、典型的な化合物は次のとおりである。
- 例えば1,3-ブタジエンおよびアリルアルコールの重合により、またはポリブタジエンの酸化により調製されるような、ヒドロキシ末端をもつポリブタジエンポリオール、ならびにその水素化生成物。
- 特に、例えばElastogranからLupranol(登録商標)の名称で供給されているような、スチレンアクリロニトリルまたはアクリロニトリルメチルメタクリレートがグラフトされたポリエーテルポリオール。
- 例えば、二価〜三価のアルコール、例えば1,2-エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン、または上述のアルコールの混合物と、有機ジカルボン酸またはその無水物もしくはエステル、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、コルク酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびヘキサヒドロフタル酸、または上述の酸の混合物とを用いて調製されるオリゴエステルオールとも呼ばれるポリエステルポリオール、ならびにラクトン、例えばε-カプロラクトンから調製されるポリエステルポリオール。
- 例えば、上述のポリエステルポリオール生成に用いられたアルコールと、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、またはホスゲンとの反応によって得られるポリカーボネートポリオール。
- ポリアクリレートポリオールおよびポリメタクリレートポリオール。
- ポリヒドロキシ官能性の脂肪および油、例えば天然の脂肪および油、特にヒマシ油;
または天然の脂肪および油の化学変性によって得られるポリオール、いわゆる油脂化学のポリオール、例えば不飽和油のエポキシ化および続けてカルボン酸もしくはアルコールとの開環によって得られるエポキシポリエステルもしくはエポキシポリエーテル、または不飽和油のヒドロホルミル化および水素化によって得られるポリオール;または分解プロセス、例えばアルコール分解もしくはオゾン分解およびこれに続いてこれによって得られた分解生成物もしくはその誘導体の化学的架橋、例えば再エステル化もしくはダイマー化によって天然の脂肪および油から得られるポリオール。天然の脂肪および油の好適な分解生成物は、特に脂肪酸および脂肪アルコール、ならびに脂肪酸エステル、例えばそのメチルエステル(FAME)であり、これらは例えばヒドロホルミル化および水素化によってヒドロキシ脂肪酸エステルへと誘導体化することができる。
- ポリ炭化水素ポリオール(オリゴヒドロカルボノールとも呼ばれる)、例えば、ポリヒドロキシ官能性のエチレン-プロピレン、エチレン-ブチレン、もしくはエチレン-プロピレン-ジエンコポリマー(例えば、Kraton Polymersという会社によって製造されているもの)、または、ジエン(例えば、1,3-ブタジエンまたはジエン混合物)およびビニルモノマー(例えば、スチレン、アクリロニトリル、もしくはイソブチレン)由来のポリヒドロキシ官能性コポリマー、または、ポリヒドロキシ官能性ポリブタジエンポリオール(例えば、1,3-ブタジエンとアリルアルコールとを共重合させることによって調製されるもので、水素化されていてもよい)である。
- 例えば、エポキシまたはアミノアルコールおよびカルボキシル末端アクリロニトリル-ブタジエンコポリマー(Hypro(商標)(旧Hycar(登録商標))CTBNおよびCTBNXの名称で、Nanoresins AG、GermanyまたはEmerald Performance Materials LLCから市販)から合成できるようなポリヒドロキシ末端アクリロニトリル-ブタジエンコポリマー。
- 少なくとも1つのヒドロキシ基がある両親媒性のブロックコポリマー。
【0065】
本明細書中において、「少なくとも1つのヒドロキシ基を有する両親媒性ブロックコポリマー」とは、エポキシ樹脂と混和性のブロックセグメント少なくとも1つと、エポキシ樹脂と非混和性のブロックセグメント少なくとも1つを含むコポリマーを意味する。特に、両親媒性のブロックコポリマーはWO2006/052725A1、WO2006/052726A1、WO2006/052727A1、WO2006/052728A1、WO2006/052729A1、WO2006/052730A1、およびWO2005/097893A1に開示されているものであり、これらの内容を参照により本明細書に援用する。
【0066】
エポキシ樹脂と混和性のブロックセグメントの例は、特にポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリ(エチレンオキシド-co-プロピレンオキシド)、およびポリ(エチレンオキシド-ran-プロピレンオキシド)ブロックおよびこれらの混合物である。
【0067】
一方では、エポキシ樹脂中に混和不可能なブロックセグメントの例は、特に、少なくとも4個の炭素原子を有するアルキレンオキシド、好ましくはブチレンオキシド、ヘキシレンオキシド、および/またはドデシレンオキシドから調製されたポリエーテルブロックである。特にこのようなポリエーテルブロックとして好ましいのは、ポリブチレンオキシドブロック、ポリヘキシレンオキシドブロック、ポリドデシレンオキシドブロック、およびこれらの混合物である。
【0068】
他方では、エポキシ樹脂中に混合不可能なブロックセグメントの例は、特に、ポリエチレンブロック、ポリエチレンプロピレンブロック、ポリブタジエンブロック、ポリイソプレンブロック、ポリジメチルシロキサンブロック、ポリアルキルメタクリレートブロック、およびこれらの混合物である。
【0069】
一実施形態では、少なくとも1つのヒドロキシ基を有する両親媒性ブロックコポリマーは、エチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド、ならびに少なくとも4個の炭素原子を有する少なくとも1種のさらなるアルキレンオキシド(好ましくはブチレンオキシド、ヘキシレンオキシド、およびドデシレンオキシドからなる群からのもの)からなるブロックコポリマーである。
【0070】
さらなる好ましい一実施形態では、少なくとも1つのヒドロキシ基を有する両親媒性ブロックコポリマーは、ポリ(イソプレン-block-エチレンオキシド)ブロックコポリマー(PI-b-PEO)、ポリ(エチレンプロピレン-b-エチレンオキシド)ブロックコポリマー(PEP-b-PEO)、ポリ(ブタジエン-b-エチレンオキシド)ブロックコポリマー(PB-b-PEO)、ポリ(イソプレン-b-エチレンオキシド-b-イソプレン)ブロックコポリマー(PI-b-PEO-PI)、ポリ(イソプレン-b-エチレンオキシド-メチルメタクリレート)ブロックコポリマー(PI-b-PEO-b-PMMA)、およびポリ(エチレンオキシド)-b-ポリ(エチレン-alt-プロピレン)ブロックコポリマー(PEO-PEP)からなる群から選択される。
【0071】
両親媒性ブロックコポリマーは、特にジブロック、トリブロック、またはテトラブロックの形態として存在することができる。マルチブロックの場合、すなわち、特にトリブロックまたはテトラブロックの場合、ブロックは直鎖状で、または分枝状、特に星形ブロック(star block)の形態として存在することができる。
【0072】
両親媒性ブロックコポリマーの調製は、当業者には例えばMacromolecules 1996、29、6994〜7002およびMacromolecules 2000、33、9522〜9534およびJ. Polym. Sci. Part B: Polym. Phys. 2007、45、3338〜3348から知られており、これらの文献の開示を参照により本明細書に援用する。この両親媒性ブロックコポリマーは、少なくとも1つのヒドロキシ基を有する。この両親媒性ブロックコポリマーは、調製方法に応じて1つまたは複数のヒドロキシ基を有することができる。
【0073】
例えばアルキレンオキシドの重合においてメタノールによって開始し、酸によって停止する場合、1つのヒドロキシ基を有する両親媒性ブロックコポリマーが生じる。
【0074】
これに対し、ジオール、例えばエチレングリコールによって重合を開始する場合、2つのヒドロキシ基を有する両親媒性ブロックコポリマーが得られる。
【0075】
3つ、4つ、またはそれ以上のヒドロキシ基を有するアルコールを開始剤として使用すれば、それに対応して3つ、4つ、またはそれ以上のヒドロキシ基を有する両親媒性ブロックコポリマーが生じる。
【0076】
この調製は、例えば、第1のモノマー、例えばブチレンオキシドを開始剤の助けを借りて最初に重合し、次に第2のモノマー、例えばエチレンオキシドを添加してこれが第1のモノマーから得られるポリマーの末端に重合される逐次合成法によって行うことができる。こうして例えば、開始剤としてモノオールを使用して、両親媒性ジブロックコポリマー、ポリ(エチレンオキシド)-b-ポリ(ブチレンオキシド)(PEO-PBO)を調製することができる。こうして例えば、ジオールを使用して、両親媒性トリブロックコポリマー、ポリ(エチレンオキシド)-b-ポリ(ブチレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)(PEO-PBO-PEO)が得られる。
【0077】
しかし、第1のモノマー、例えばブチレンオキシドを開始剤の助けを借りて最初に重合し、次に2種以上のモノマー、例えばエチレンオキシドとブチレンオキシドの混合物を添加すると、これは第1のモノマーから得られるポリマーの末端に重合する。こうして例えば、両親媒性ブロックコポリマー、ポリ(エチレンオキシド/ブチレンオキシド)-ポリ(ブチレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド/ブチレンオキシド)(PEO/BO-PBO-PEO/BO)を調製することができる。
【0078】
少なくとも1つのヒドロキシ基を有するこのような両親媒性のブロックコポリマーの例として、Dow ChemicalのFortegra(商標)100がここで挙げられる。
【0079】
上述したこれらのポリオール類に加えて、少量の低分子量の二価または多価アルコール、例えば、1,2-エタンジオール、1,2-および1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコール異性体、ブタンジオール異性体、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、1,3-および1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、二量体の脂肪アルコール、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリトリトール、糖アルコール(例えば、キシリトール、ソルビトール、またはマンニトール等)、糖(例えば、サッカロース等)、他の多価アルコール、前述の二価および多価のアルコールの低分子量アルコキシル化生成物、ならびに前述したアルコールの混合物等を、ポリマーQPMの調製において同時に用いることができる。3より高い平均OH官能性を有する少量のポリオール、例えば糖ポリオールを同時に用いることもできる。
【0080】
ポリマーQPMは、OH当量質量が300〜6,000g/OH当量、特に600〜4,000g/OH当量、好ましくは700〜2,200g/OH当量で、好ましくは官能基が2つ以上のポリオールである。さらに好ましくは、ポリオールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールブロックコポリマー、ポリブチレングリコール、ヒドロキシ末端ポリブタジエン、ヒドロキシ末端ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、ヒドロキシ末端合成ゴム、その水素化生成物、および上述のポリオールの混合物からなる群から選択される。
【0081】
ある種の適用例には、ポリマーQPMとして、特にヒドロキシ基を有するポリブタジエンもしくはポリイソプレンまたはその部分的もしくは完全に水素化された反応生成物が適している。
【0082】
さらにポリマーQPMとして、官能基が2つ以上のアミノ末端ポリエチレンエーテル、ポリプロピレンエーテル(例えばJeffamine(登録商標)の名称でHuntsmanから市販されている)、ポリブチレンエーテル、ポリブタジエン、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー(例えばHypro(商標)(旧Hycar(登録商標))ATBNの名称でドイツのNanoresins AGまたはEmerald Performance Materials LLCから市販されている)を使用することができる。
【0083】
ポリマーQPMとして、ヒドロキシ基、メルカプト基、またはアミノ基で終端しているポリシロキサンを使用することもできる。
【0084】
さらに、ポリマーQPMを鎖延長することも可能であり、これは例えば当業者に既知の方法で、ポリアミンと、ポリオールと、ポリイソシアネートとの、特にジアミンと、ジオールと、ジイソシアネートとの反応によって実施することができる。
【0085】
鎖延長には、特にジオールおよび/またはジアミンおよびジイソシアネートが好ましい。もちろん、より高官能性のポリオール、例えばトリメチロールプロパンもしくはペンタエリトリトール、またはより高官能性のポリイソシアネート、例えばジイソシアネートのイソシアヌレートも鎖延長のために使用できることは、当業者には明らかである。
【0086】
一般的にポリウレタンポリマーの場合は、特に鎖延長されたポリウレタンポリマーの場合は、ポリマーが高過ぎる粘性を有さないよう注意を払うことが有利であり、鎖延長のために比較的高官能性の化合物を使用する際には特にそうである。
【0087】
ポリマーQPMとして、分子量600〜6000ダルトンのポリオールが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコールブロックポリマー、ポリブチレングリコール、ヒドロキシ末端ポリブタジエン、ヒドロキシ末端ブタジエン-アクリロニトリルコポリマー、およびその混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0088】
ポリマーQPMとして特に好ましいのは、C2〜C6アルキレン基または混合C2〜C6アルキレン基を有し、アミノ基、チオール基、もしくは好ましくはヒドロキシ基で終端しているα,ω-ジヒドロキシポリアルキレングリコール、またはヒドロキシ基含有ポリブタジエンもしくはポリイソプレン、またはこれらの部分的もしくは完全に水素化された反応生成物である。
【0089】
ポリフェノールQPPとしては、ビスフェノール、トリスフェノール、およびテトラフェノールが特に適している。これは、純粋なフェノールだけでなく、任意選択で置換されたフェノールをも意味する。置換の種類は非常に多種多様であり得る。特にこれは、フェノール性OH基が結合している芳香族環での直接的な置換を意味する。さらにフェノールは、単核の芳香族だけでなく、多核のまたは縮合された芳香族または複素環式芳香族とも理解され、これらはフェノール性OH基を直接に芳香環または複素環式芳香環上に有している。
【0090】
特に適しているのはビスフェノールおよびトリスフェノールである。ビスフェノールまたはトリスフェノールとして適しているのは、例えば1,4-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,2-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシトルエン、3,5-ジヒドロキシベンゾエート、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン(=ビスフェノールF)、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン(=ビスフェノールS)、ナフトレゾルシノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシアントラキノン、ジヒドロキシビフェニル、3,3-ビス(p-ヒドロキシフェニル)フタリド、5,5-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン、フェノールフタレイン、フルオレセイン、4,4'-[ビス(ヒドロキシフェニル)-1,3-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)](=ビスフェノールM)、4,4'-[ビス(ヒドロキシフェニル)-1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)](=ビスフェノールP)、2,2'-ジアリルビスフェノールA、フェノールまたはクレゾールとジイソプロピリデンベンゼンとの反応によって調製されるジフェノールおよびジクレゾール、フロログルシン、没食子酸エステル、2.0〜3.5の-OH官能性を有するフェノールノボラックまたはクレゾールノボラック、ならびに上述の化合物の全ての異性体である。
【0091】
フェノールまたはクレゾールとジイソプロピリデンベンゼンとの反応によって調製された好ましいジフェノールおよびジクレゾールは、クレゾールについて下に例として示すような化学構造式を有する。
【0092】
【化6】

【0093】
特に好ましいのは低揮発性ビスフェノールである。ビスフェノールM、ビスフェノールS、および2,2'-ジアリルビスフェノールAが最も好ましいとされる。
【0094】
好ましくは、QPPは、2つまたは3つのフェノール基を有する。
【0095】
ポリウレタンポリマーを合成するために、少なくとも1種のポリイソシアネートが使用される。このために用いられるポリイソシアネートは、特にジイソシアネートまたはトリイソシアネートである。
【0096】
脂肪族、脂環式、または芳香族のポリイソシアネート、特にジイソシアネートが、ポリイソシアネートとして使用することができる。特に適切なのは下記である:
- 1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2-メチルペンタメチレン、1,5-ジイソシアネート、2,2,4-および2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,10-デカメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、リジンおよびリジンエステルジイソシアネート、シクロヘキサン1,3-イソシアネートおよび1,4-ジイソシアネートおよびこれらの異性体のあらゆる混合物、1-メチル-2,4-および-2,6-ジイソシアナトシクロヘキサン、およびこれらの異性体のいかなる混合物(HTDIまたはH6TDI)、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(=イソフォロンジイソシアネートまたはIPDI)、パーハイドロ-2,4'-および-4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDIまたはH12MDI)、1,4-ジイソシアナト-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、1,3-および1,4-ビス-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m-およびp-キシレンジイソシアネート(m-およびp-XDI)、m-およびp-テトラメチル-1,3-および-1,4-キシリレンジイソシアネート(m-およびp-TMXDI)、ビス-(1-イソシアナト-1-メチルエチル)-ナフタレン。
- 2,4-および2,6-トルイレンジイソシアネートおよびこれらの異性体(TDI)のあらゆる混合物、4,4'-、2,4'-および2,2'-ジフェニルメタンジイソシアネート、およびこれらの異性体(MDI)のあらゆる混合物、1,3-および1,4-フェニレンジイソシアネート、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-ジイソシアナトベンゼン、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート(NDI)、3,3'-ジメチル-4,4'-ジイソシアナトジフェニル(TOD1)、ジアニシジンジイソシアネート(DADI)。
- 上述のモノマーのジイソシアネートのオリゴマー(例えばビウレット、イソシアヌレート)およびポリマー。
- 上述のポリポリイソシアネートのあらゆる混合物。
【0097】
モノマーのジイソシアネート、特にMDI、TDI、HDIおよびIPDIが好ましい。
【0098】
一実施形態において、本発明により使用される耐衝撃性改良剤C1の調製に適したマイケル受容体は、式(I)または(Ia)
【0099】
【化7】

【0100】
[式中、
R4は、水素原子であるか、またはR7、-COOR7および-CNからなる群から選択される部分であり、
R5'は、COOR7、CONH2、CONHR7、CONR72、CN、NO2、PO(OR7)2、SO2R7およびSO2OR7からなる群から選択される部分であり、
R6は、水素原子であるか、または-CH3、-R7、-COOR7および-CH2COOR7からなる群から選択される部分であり、
R7は、1〜20個の炭素原子を有する一価の炭化水素部分である]
を有する。
【0101】
別の実施形態において、イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーと反応させたマイケル受容体はヒドロキシ基を有する。
【0102】
本発明によれば、ヒドロキシ基を有するマイケル受容体は、特に式(VII)または(VIIa)
【0103】
【化8】

【0104】
[式中、
R4'は、水素原子であるか、またはR7、-COOR7および-CNからなる群から選択される部分あり、
R5'は、COOR7、CONH2、CONHR7、CONR72、CN、NO2、PO(OR7)2、SO2R7および-SO2OR7からなる群から選択される部分であり、
R6'は、水素原子であるか、または-R7、-COOR7および-CH2COOR7からなる群から選択される部分であり、
R7は、1〜20個の炭素原子を有する一価の炭化水素部分であり、
Y4は、1〜6個の炭素原子を有するアルキレン基であるか、またはpおよびp'=0の場合は、存在せず;
pは0または1である]
を有する。
【0105】
特に、式(VII)および(VIIa)の化合物の好ましい実施形態は、Y4が存在せず、pが0である化合物(ビニルアルコール);Y4がCH2であり、pが0である化合物(アリルアルコール);Y4がCH2CH2であり、pが1であり、R4'がHまたはCH3である化合物(ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEA)(HEMA);Y4がプロピレンであり、pが1であり、R4'がHまたはCH3である化合物(ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(HPA)(HPMA);Y4がブチレンであり、pが1であり、R4'がHまたはCH3である化合物(ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート)である。
【0106】
適切なマイケル受容体の例は、マレイン酸またはフマル酸のジエステル(例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジエチル);シトラコン酸ジエステル(例えば、シトラコン酸ジメチル);アクリル酸またはメタクリル酸のエステル(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート);アクリル酸アミドまたはメタクリル酸アミド(例えば、(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリルアミド、ブチル(メタ)アクリルアミド)、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジブチル(メタ)アクリルアミド);イタコン酸ジエステル(例えば、イタコン酸ジメチル);桂皮酸エステル(例えば、桂皮酸メチル);ビニルホスホン酸ジエステル(例えば、ビニルホスホン酸ジメチルエステル);ビニルスルホン酸エステル、特に、ビニルスルホン酸アリールエステル;ビニルスルホン;ビニルニトリル(例えば、アクリロニトリル、クロトニトリル、2-ペンテンニトリル、またはフマロニトリル);1-ニトロエチレン(例えば、β-ニトロスチレン);クネーフェナーゲル縮合(Knoevenagel condensation)生成物、例えば、マロン酸ジエステルとアルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、またはベンズアルデヒド)とから得られるものである。特に適切なのは、マレイン酸ジエステル、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド、ホスホン酸ジエステルおよびビニルニトリルである。
【0107】
好ましいマイケル受容体は、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルおよびマレイン酸ジブチルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチルおよび(メタ)アクリル酸-3-ヒドロキシプロピルエステル、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N,Nジメチル(メタ)アクリルアミド、ホスホン酸ジメチル、ホスホン酸ジエチルおよびホスホン酸ジブチルエステル、アクリロニトリル、2-ペンテンニトリル、フマロニトリル、およびβ-ニトロスチレン、ならびにこれら化合物の混合物である。
【0108】
一実施形態において、本発明により使用される耐衝撃性改良剤C1は一般式(II):
【0109】
【化9】

【0110】
[式中、Y1は、全ての末端イソシアネート基を除いた後の、m+m'個のイソシアネート基で末端化された直鎖状または分岐状のポリウレタンプレポリマーであり;
Y2は、C2〜C6のアルキレン基を有するポリオキシアルキレン、ポリブタジエン、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーまたは合成ゴムの二価の基であり;
Y3は、互いに独立に、Hであるか、または1〜10個の炭素原子を有するアルキル基または式(III)
【0111】
【化10】

【0112】
(式中、
R4は、水素原子であるか、またはR7、-COOR7および-CNからなる群から選択される部分であり、
R5は、COOR7、CONH2、CONHR7、CONR72、CN、NO2、PO(OR7)2、SO2R7およびSO2OR7からなる群から選択される部分であり、
R6は、水素原子であるか、または-R7、-COOR7、-CH2COOR7および-CNからなる群から選択される部分であり、
R7は、1〜20個の炭素原子を有する一価の炭化水素部分である)
の部分であり、
Y4は、1〜6個の炭素原子を有するアルキレン基であるか、またはpおよびp'=0の場合は、存在せず;
Y5は、式(IV)または(IV')
【0113】
【化11】

【0114】
(式中、
R4'は、水素原子であるか、またはR7、-COOR7および-CNからなる群から選択される部分であり、
R5'は、COOR7、CONH2、CONHR7、CONR72、CN、NO2、PO(OR7)2、SO2R7およびSO2OR7からなる群から選択される部分であり、
R6'は、水素原子であるか、または-R7、-COOR7、-CH2COOR7、-CNからなる群から選択される部分である)
の二価の基であり;
R7は、1〜20個の炭素原子を有する一価の炭化水素部分であり;
pおよびp'は各々、0または1であり;
qおよびq'は各々、0または1であり;
mおよびm'は各々、0〜7の値であり、好ましくは0、1または2の値であり、但し、m+m'は1〜8の値であり、特に1または2の値である]
を有する。
【0115】
qおよびq'=0の場合は、式(II)は式(V):
【0116】
【化12】

【0117】
[式中、Y1は、全ての末端イソシアネート基を除いた後の、m+m'個のイソシアネート基で末端化された直鎖状または分岐状のポリウレタンプレポリマーであり;
Y2は、C2〜C6アルキレン基を有するポリアルコキシレン、ポリブタジエン、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーまたは合成ゴムの二価の基であり;
Y3は、互いに独立に、Hであるか、または1〜10個の炭素原子を有するアルキル基または式(VI)
【0118】
【化13】

【0119】
(式中、
R4は、水素原子であるか、またはR7、-COOR7および-CNからなる群から選択される部分であり、
R5は、COOR7、CONH2、CONHR7、CONR72、CN、NO2、PO(OR7)2、SO2R7およびSO2OR7からなる群から選択される部分であり、
R6は、水素原子であるか、または-R7、-COOR7、-CH2COOR7および-CNからなる群から選択される部分であり、
R7は、1〜20個の炭素原子を有する一価の炭化水素部分である)
の部分であり、
mおよびm'は、各々0〜7の値であり、好ましくは0、1または2の値であり、但し、m+m'は1〜8の値であり、特に1または2の値である]
に単純化される。
【0120】
本明細書中の式中の破線はそれぞれの場合に、その特定の置換基とそれに対応する分子の部分との間の結合を表す。
【0121】
別の実施形態において、耐衝撃性改良剤C1は、イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーと、マイケル受容体との反応から得られた反応生成物をさらに第一級ジアミンと反応させ、続いて、任意選択で、マイケル受容体、またはマイケル受容体との反応によって調製された第二級ジアミンと反応させることを特徴とし、ここで、第一級アミンは、100〜4,000g/molの分子量、好ましくは400〜3,000g/mol、特に好ましくは、600〜2,200g/molの分子量を有する。
【0122】
第二の実施態様において、本発明は、イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーと、第一級ジアミンと、任意選択で少なくとも1つのマイケル受容体とを反応させることにより調製されるアミノ基末端耐衝撃性改良剤であって、イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーが、少なくとも1つのポリイソシアネート、および少なくとも2つのヒドロキシ基を有する少なくとも1つのポリエステルまたはポリエーテルポリオールから調製され、但し、第一級ジアミンが600g/mol未満の分子量を有する場合には、マイケル受容体がアミノ基末端耐衝撃性改良剤の調製に関与することが必須であり、イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーに対して、アミノ基に対するイソシアネート基の比率が0.5未満であるように、第一級ジアミンが使用される、アミノ基末端耐衝撃性改良剤に関する。
【0123】
特に、アミノ基に対するイソシアネート基の比率は0.4未満、好ましくは0.25未満である。
【0124】
耐衝撃性改良剤C1を調製する方法を以下に説明する。本発明によれば、アミノ基末端耐衝撃性改良剤C1は、イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマー、第一級ジアミン、および任意選択で少なくとも1つのマイケル受容体を反応させることによって調製される。本方法では、反応順序および反応生成物について多くの可能性が開かれている。
【0125】
さらに耐衝撃性改良剤C1の合成を明確にするために、特に以下の反応ルートが有利なことが判明した:
【0126】
反応スキームI:
【0127】
【化14】

【0128】
反応スキームIに従って、まず、式(VIII)の第一級ジアミンを、式(XII)のイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーと反応させ、本発明のアミノ基末端耐衝撃性改良剤(Va)を得る。この場合、アミノ基末端耐衝撃性改良剤は第一級アミノ基を有する。
【0129】
ここで、式(VIII)のジアミンを、式(XII)のポリウレタンプレポリマーに対して、化学量論的過剰量で、特に、NCO基に対するNH2基の比率が2を超え、特に2.5を超え、好ましくは4を超える量で使用する。これにより、単純な付加体を確実に生成させ、高分子オリゴマーの付加生成物の生成を予防する。
【0130】
あるいは、第一級ジアミン(VIII)を、第1の反応工程において式(I)のマイケル受容体と反応させ、式(XIII)の第二級アミンを得る。式(I)のマイケル受容体に対する第一級アミン(VIII)の化学量論に応じて、式(XIII)および式(IIb)のRはHまたは式(VI)の置換基を表す。次のステップにおいて、式(XIII)のこの第二級アミンを、式(XII)のイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーと反応させて、式(IIb)の本発明のアミノ基末端耐衝撃性改良剤を得る。この場合、アミノ基末端耐衝撃性改良剤は第二級アミノ基を有する。
【0131】
あるいは、式(IIb)のこのアミノ基末端耐衝撃性改良剤は、式(I)のマイケル受容体で式(Va)の耐衝撃性改良剤と反応させることによって入手することができる。ここで、式(I)のマイケル受容体の使用量に応じて、式(IIa)または(IIb)のアミノ基末端耐衝撃性改良剤が得られる。前者の場合、アミノ基末端耐衝撃性改良剤は第一級および第二級アミノ基の両方を有する;後者の場合、式(Va)のアミノ基末端耐衝撃性改良剤の両方の第一級アミノ基が、マイケル受容体と反応して、第二級アミノ基を生成する。
【0132】
反応スキームII:
【0133】
【化15】

【0134】
ヒドロキシ基含有マイケル受容体をマイケル受容体として使用する場合、新たな生産ルートが続いて起こる。特に、反応スキームIIおよびIIIは、式(VII)によるヒドロキシ基含有マイケル受容体に基づくそのような反応ルートを示す。
【0135】
反応スキームIIによれば、式(XII)のイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを、式(VII)によるヒドロキシ基含有マイケル受容体と反応させる。式(XII)のイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーのイソシアネート基の数に対するマイケル受容体のヒドロキシ基の数の比率が、0.5であるように、式VIIによるヒドロキシ基含有マイケル受容体の量が選択されていれば、この反応は式(VIII)の第一級ジアミンが次の反応工程で(過剰に)加えられる式(XIV)のイソシアネート基含有中間生成物を定量的に生成する。中間生成物の二重結合へのこのジアミンの付加に依存して、式(IIc-1)または式(IIc-2)の本発明による耐衝撃性改良剤がこの反応で形成される。
【0136】
反応スキームIII:
【0137】
【化16】

【0138】
ヒドロキシ基含有マイケル受容体に対して、式(XII)によるイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを、化学量的に、あるいは化学量論的に過剰(すなわち、式(XII)のイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーのイソシアネート基の数に対するマイケル受容体のヒドロキシ基の数の比率の値が≧1)で、式(VII)によるヒドロキシ基含有マイケル受容体と反応させる場合、反応スキームIIIで示されるように、式(XV)による中間生成物が定量的に形成される。
【0139】
反応スキームIIIによる別の反応工程において、式(XV)による中間生成物を式(VIII)の第一級ジアミンと反応させる。式(XV)の中間生成物の二重結合へのこのジアミンの付加に依存して、式(IId-1)または式(IId-2)の本発明による耐衝撃性改良剤がこの反応で形成される。
【0140】
式(VII)によるヒドロキシ基含有マイケル受容体および式(Xll)のイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを、式(XII)のイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーのイソシアネート基の数に対してマイケル受容体のヒドロキシ基の数の比率が、0.5〜1の間の値を有するように反応において使用する場合には、反応スキームIIにおいて示された式(XIV)の反応生成物および反応スキームIIIにおいて示された反応生成物(XV)の混合物が形成され、式(VIII)の第一級ジアミンとのさらなる反応の後に、式(IIc-1)、または中間生成物の二重結合へのジアミンの付加に依存する式(IIc-2)および式(IId-1)、または中間生成物の二重結合へのジアミンの付加に依存する式(IId-2)の、本発明による耐衝撃性改良剤の混合物の生成がもたらされることは当業者に明らかである。
【0141】
式(VII)によるマイケル受容体が、マイケル受容体、すなわちヒドロキシ基含有マイケル受容体の好ましい実施形態であることに注目すべきである。したがって、反応スキームIによる合成経路とは対照的に、反応スキームIIIにおいて示した合成経路は、マイケル受容体およびイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーの直接反応を達成する可能性を提供し、これによりアミノ基末端耐衝撃性改良剤のポリマーバックボーン鎖(ポリマーバックボーン)においてマイケル受容体に由来する構造要素の統合がポリマー末端からより隔てられて生じる。
【0142】
一実施形態において、二成分エポキシ樹脂組成物は、エポキシ末端ポリマー、特に、エポキシ末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーを含有する液状ゴムC2であって、エポキシ樹脂成分K1の1つの成分、特に、エポキシ樹脂成分K1の重量に対して1〜45重量%の量の成分ある液状ゴムC2を含有する。
【0143】
別の実施形態において、耐衝撃性改良剤は式(XI)のポリマーC3である。
【0144】
【化17】

【0145】
この式において、nおよびn'は、互いに独立にそれぞれ0〜7の値、好ましくは0、1または2の値であり、但し、n+n'は1〜8の値、特に1または2の値である。
【0146】
さらに、R1は、全ての末端イソシアネート基を除いた後の、n+n'個のイソシアネート基で末端化された直鎖状または分岐状ポリウレタンプレポリマーである。
【0147】
R2およびR3は、それぞれ互いに独立に、
【0148】
【化18】

【0149】
からなる群から選択される置換基を表す。
【0150】
ここで、R14は、第一級または第二級ヒドロキシ基を含む脂肪族、脂環式、芳香族、または芳香脂肪族のエポキシからヒドロキシ基またはエポキシ基を除いた後の部分であり、ppは1、2または3の値を表す。
【0151】
本明細書では、「芳香脂肪族部分」は、アラルキル基、すなわち、アリール基によって置換されているアルキル基を意味する(Rompp, CD Rompp Chemie Lexikon, Version 1, Stuttgart/New York, Georg Thieme Verlag 1995参照)。
【0152】
さらに、式中、R15、R16、R17およびR18はそれぞれ互いに独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基またはアリールアルキル基を表し、あるいはR15はR16と一緒に、またはR17はR18と一緒に、任意選択で置換された4〜7員環の一部を形成する。
【0153】
さらに、R19、R19'およびR20はそれぞれ互いに独立に、アルキル基、アラルキル基もしくはアリールアルキル基、またはアルキルオキシ基、アリールオキシ基もしくはアラルキルオキシ基を表し、R11はアルキル基を表す。
【0154】
R23およびR24はそれぞれ互いに独立に、2〜5個の炭素原子をもつアルキレン基(これは任意選択で二重結合を有するかまたは置換されている)またはフェニレン基もしくは水素化フェニレン基を表し、R25、R26およびR27はそれぞれ互いに独立に、Hまたはアルキル基、アリール基もしくはアラルキル基を表す。
【0155】
最後に、R28はアラルキル基または単核もしくは多核の置換もしくは非置換の芳香族基(これは任意選択で芳香族ヒドロキシ基を有する)を表す。
【0156】
ヒドロキシ基を除いた後のフェノールまたはビスフェノールが、特に第一にR28として考えられる。そのようなフェノールおよびビスフェノールの好ましい例としては、特に、フェノール、クレゾール、レゾルシノール、カテコール、カルダノール(3-ペンタデセニルフェノール(カシューナッツ油由来))、ノニルフェノール、スチレンまたはジシクロペンタジエンと反応させたフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、および2,2'-ジアリルビスフェノールAが挙げられる。
【0157】
ヒドロキシ基を除いた後のヒドロキシベンジルアルコールおよびベンジルアルコールが、特に第二にR28として考えられる。
【0158】
R15、R16、R17、R18、R19、R19'、R20、R21、R25、R26またはR27がアルキル基を表す場合は、アルキル基は特に直鎖状または分岐状のC1〜C20アルキル基である。
【0159】
R15、R16、R17、R18、R19、R19'、R20、R25、R26、R27またはR28がアラルキル基を表す場合は、アラルキル基は特にメチレンを介して結合された芳香族基、特にベンジル基である。
【0160】
R15、R16、R17、R18、R19、R19'またはR24がアルキルアリール基を表す場合は、アルキルアリール基は特に、フェニレン基を介して結合されたC1〜C20アルキル基、例えば、トリルまたはキシリルである。
【0161】
特に好ましいR2および/またはR3の部分は、下記からなる群から選択される部分であり、
【0162】
【化19】

【0163】
式中、Y部分は、1〜20個の炭素原子、特に1〜15個の炭素原子を有する飽和またはオレフィン性不飽和の炭化水素部分を表す。好ましいYは、特にアリル基、メチル基、ノニル基、ドデシル基または1〜3個の二重結合を有する不飽和のC15アルキル基である。
【0164】
R部分は、アルキル基、アリール基、アラルキル基、特にHまたはメチルを表す。
【0165】
指数z'およびz''は0、1、2、3、4、または5の値を表し、但し、z'+z''の合計は1〜5の間の値を表すことを条件とする。
【0166】
好ましくは、置換基R2およびR3は同一である。
【0167】
式(XI)の耐衝撃性改良剤C3は、n+n'イソシアネート基および1つまたは複数のイソシアネート反応性化合物R2Hおよび/またはR3Hで末端化された直鎖状または分岐状ポリウレタンプレポリマーから調製されている。そのようなイソシアネート反応性化合物を複数使用した場合、反応は連続してまたはこれらの化合物の混合物とともに進行することができる。
【0168】
置換基R2およびR3がエポキシ基に対して反応的な場合、式(XI)の耐衝撃性改良剤C3は硬化剤成分K2の一部である。置換基R2およびR3がアミノ基に対して反応的な場合、式(Xl)の耐衝撃性改良剤C3は硬化剤成分K1の一部である。置換基R2およびR3が室温でエポキシ基に対して反応的でなく、アミノ基に対して反応的でない場合、式(XI)の耐衝撃性改良剤C3は、エポキシ樹脂成分K1および/または硬化剤成分K2の一部である。式(XI)の耐衝撃性改良剤C3の割合は、好ましくは、それぞれの成分K1および/またはK2の重量に基づいて、1〜45重量%の量で、特に10〜30重量%で使用される。
【0169】
最後に、別の実施形態において、耐衝撃性改良剤は、アミノ基末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーC4でもよく、これは、硬化剤成分K2の一部であり、特に、硬化剤成分K2の重量に基づいて10〜40重量%の量である。
【0170】
別の好ましい実施形態において、本発明による二成分エポキシ樹脂組成物は、耐衝撃性改良剤Cとして、アミノ基末端耐衝撃性改良剤C1および/または液状ゴムC2および/または式(XI)を有するポリマーC3および/またはアミノ基末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーC4の組み合わせを含む。
【0171】
それぞれの成分(K1、K2)に含まれる、アミノ基末端耐衝撃性改良剤C1、液状ゴムC2、ポリマーC3、およびアミノ基末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーC4の総重量は、それぞれの成分(K1、K2)の重量に対して好ましくは80重量%以下、特に、50重量%以下である。
【0172】
一実施形態において、本発明による二成分エポキシ樹脂組成物は、少なくとも1つのコア-シェルポリマーをさらに含み得る。コア-シェルポリマーは、弾性のコアポリマーと剛性のシェルポリマーとから構成される。特に好適なコア-シェルポリマーは、弾性アクリレートポリマーまたは弾性ブタジエンポリマーのコアと、それを取り囲む剛性熱可塑性ポリマーの剛性なシェルから構成される。このコア-シェル構造は、ブロックコポリマーの偏析(demixing)または自己組織化によって自発的に形成されるかまたは、ラテックスもしくは懸濁重合の形態で、続いてグラフト化を伴う重合法によって処方されるかのいずれかである。好ましいコア-シェルポリマーは、MBSポリマーとして知られているものであり、これはAtofinaのClearstrength(商標)、Rohm and HaasのParaloid(商標)、またはZeonのF-351(商標)として市販されている。
【0173】
乾燥したポリマーラテックスの形態で提供されるコア-シェルポリマー粒子が特に好ましい。これらの例は、ポリシロキサンコアとアクリレートシェルを有するWackerのGENIOPERL M23A、Eliokemによって製造されたNEPラインからの放射線架橋ゴム粒子、またはLanxessのNanoprene、またはRohm and HaasのParaloid EXLである。
【0174】
コア-シェルポリマーのその他の同等の例は、Nanoresins AG、GermanyからAlbidur(商標)として供給されている。好ましくは、コア-シェルポリマーが、エポキシ樹脂成分K1において使用される。
【0175】
一実施形態において、本発明による二成分エポキシ樹脂組成物は、さらに少なくとも1種のフィラーFを含み得る。これは、好ましくは、マイカ、タルク、カオリン、ウォラストナイト、長石、閃長石(シエナイト)、緑泥石(クロライト)、ベントナイト、モンモリロナイト、炭酸カルシウム(沈降性もしくは粉砕)、ドロマイト、石英、シリカ(ヒュームドまたは沈降性)、クリストバライト、酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、中空セラミックビーズ、中空ガラスビーズ、中空有機ビーズ、ガラスビーズおよび着色顔料である。用語フィラーFは、有機コーティングされたフィラーおよびコーティングされていない形態の両者を意味し、これらは市販されており、当業者に知られている。
【0176】
さらなる例は、例えばUS6,322,890に記載されているような官能化アルミノキサンであり、この文献の内容全体は本明細書において包含される。
【0177】
好ましくは、フィラーF全体の総含有量は、全組成物の重量に対して3〜50重量%、好ましくは5〜35%重量、特に5〜25重量%である。
【0178】
フィラーの使用は、接着剤の耐老化性を改善し、機械的性質に有利に影響を及ぼすという点で有利である。
【0179】
さらに、二成分エポキシ樹脂組成物は追加の成分を含んでもよい。例えば:
- 溶媒、フィルム形成助剤またはエクステンダー、例えばトルエン、キシレン、メチルエチルケトン、2-エトキシエタノール、2-エトキシエチルアセテート、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、N-メチルピロリドン、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジフェニルメタン、ジイソプロピルナフタレン、鉱油留分、(例えばSolvessoタイプ(Exxon))、芳香族炭化水素樹脂、特に、フェノール基含有タイプ、セバケート、フタレート、有機リン酸エステル、およびスルホン酸エステルならびにスルホンアミド;
- 反応的希釈剤、例えば上述のエポキシ反応性希釈剤、エポキシド化大豆油または亜麻油、アセトアセテート基を有する化合物、特にアセトアチル化ポリオール、ブチロラクトン、さらに、反応基を有するイソシアネートおよびシリコーン;
- ポリアミン、例えば、
脂肪族、脂環式またはアリール脂肪族第一級ジアミン、
例えばエチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,2-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,3-ブタンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,3-ペンタンジアミン(DAMP)、1,5-ペンタンジアミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(MPMD)、2-ブチル-2-エチル-1,5-ペンタンジアミン(C11-ネオジアミン)、1,6-ヘキサンジアミン、2,5-ジメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン(TMD)、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-エカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,2-、1,3-および1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス-(4-アミノシクロヘキシル)メタン(H12-MDA)、ビス-(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、ビス-(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン、ビス-(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン、ビス-(4-アミノ-3-エチル-5-メチルシクロヘキシル)メタン(M-MECA)、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(=イソホロンジアミンまたはIPDA)、2-および4-メチル-1,3-ジアミノシクロヘキサンおよびこれらの混合物、1,3-および1,4-ビス-(アミノメチル)シクロヘキサン、2,5(2,6)-ビス-(アミノメチル)-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(NBDA)、3(4),8(9)-ビス-(アミノメチル)-トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDA)、1,8-メンタンジアミン、3,9-ビス-(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンおよび1,3-および1,4-キシリレンジアミン;
エーテル基含有脂肪族第一級ジアミン、例えばビス(2-アミノエチル)エーテル)、3,6-ジオキサオクタン-1,8-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4,7-ジオキサデカン-2,9-ジアミン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、5,8-ジオキサドデカン-3,10-ジアミン、4,7,10-トグリオキサトリデカン-1,13-ジアミンおよびこれらジアミンのより高いオリゴマー、ビス-(3-アミノプロピル)ポリテトラヒドロフラン、および例えば350〜2000の範囲の分子量を有するその他のポリテトラヒドロフランジアミン、ならびにポリオキシアルキレンジアミン。最後のものは典型的にはポリオキシアルキレンジオールのアミノ化からの生成物を表し、例えば、Jeffamine(登録商標)(Huntsman)の名称で、Polyetheramine(BASF)の名称で、またはPC Amine(登録商標)(Nitroil)の名称で入手できる。特に適したポリオキシアルキレンジアミンは、Jeffamine(登録商標)D-230、Jeffamine(登録商標)D-400、Jeffamine(登録商標)D-2000、Jeffamine(登録商標)XTJ-511、Jeffamine(登録商標)ED-600、Jeffamine(登録商標)ED-900、Jeffamine(登録商標)ED-2003、Jeffamine(登録商標)XTJ-568、Jeffamine(登録商標)XTJ-569、Jeffamine(登録商標)XTJ-523、Jeffamine(登録商標)XTJ-536、Jeffamine(登録商標)XTJ-542、Jeffamine(登録商標)XTJ-559、Jeffamine(登録商標)EDR-104、Jeffamine(登録商標)EDR-148、Jeffamine(登録商標)EDR-176;Polyetheramine D230、Polyetheramine D400、およびPolyetheramine D2000、PC Amine(登録商標)DA250、PC Amine(登録商標)DA400、PC Amine(登録商標)DA650、およびPC Amine(登録商標)DA2000;
【0180】
第二級アミノ基を有するポリアミン、
例えば、ジエチレントリアミン(DETA)、ジプロピレントリアミン(DPTA)、ビスヘキサメチレントリアミン(BHMT)、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルアミン、N3-(3-アミノペンチル)-1,3-ペンタンジアミン、N5-(3-アミノプロピル)-2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、N5-(3-アミノ-1-エチルプロピル)-2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、N,N’-ジブチルエチレンジアミン;N,N’-ジ-tert.ブチル-エチレンジアミン、N,N’-ジエチル-1,6-ヘキサンジアミン、1-(1-メチルエチルアミノ)-3-(1-メチルエチルアミノメチル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(Jefflink(登録商標)754(Huntsman))、N4-シクロヘキシル-2-メチル-N2-(2-メチルプロピル)-2,4-ペンタンジアミン、N,N’-ジアルキル-1,3-キシリレンジアミン、ビス-(4-(N-アルキルアミノ)シクロヘキシル)メタン、4,4’-トリメチレンジピペリジン、N-アルキル化ポリエーテルアミン、例えば、Jeffamine(登録商標)のSD-231、SD-401、SD-404、およびSD-2001タイプ(Huntsman);
【0181】
アミン/ポリエポキシド付加体、
特に、少なくとも2/1のモル比を有するジエポキシド、特に2/1〜6/1のモル比を有する前述のポリアミンの付加体;
【0182】
ポリアミドアミン
ポリアミドアミンは、モノカルボン酸もしくはポリカルボン酸、またはそれらのエステルもしくは酸無水物と、二量体の脂肪族、脂環式、または芳香族ポリアミンとの間の反応生成物であり、ポリアミンは化学量論的過剰量で用いられ、特に、ポリアルキレンアミン、例えば、DETAまたトリエチレンテトラミン(TETA)、特に、市販されているポリアミドアミン、Versamid(登録商標)100、125、140および150(Cognis)、Aradur(登録商標)223、250および848(Huntsman)、Euretek(登録商標)3607、Euretek(登録商標)530(Huntsman)、Beckopox(登録商標)EH651、EH654、EH655、EH661およびEH663(Cytec);
【0183】
ポリエチレンイミン(PEI)。
これらはエチレンイミンの重合に由来した、分岐ポリマーのアミンである。典型的には、適切なポリエチレンイミンは250〜25,000g/molの範囲の平均分子量を有し、第三級アミノ基、第二級アミノ基および第一級アミノ基を含む。ポリエチレンイミンは例えば、商品名Lupasol(登録商標)(BASF)、例えばLupasol(登録商標)FGタイプ、Lupasol(登録商標)G20タイプ、Lupasol(登録商標)PR8515タイプとして得られる;
【0184】
- ポリマー、例えば、ポリアミド、ポリスルフィド、ポリビニルホルマール(PVF)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリウレタン(PUR)、カルボキシル基含有ポリマー、ポリアミド、ブタジエン-アクリロニトリルコポリマー、スチレン-アクリロニトリルコポリマー、ブタジエン-スチレンコポリマー、不飽和モノマー(特に、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、イソプレン、ビニルアセテート、およびアルキル(メタ)アクリレートを含む群からの不飽和モノマー)のホモポリマーまたはコポリマー、特に、クロロスルホン化ポリエチレン、フッ素含有ポリマー、スルホンアミド変性メラミンおよび清浄モンタンワックス;
- 繊維、例えば、プラスチックファイバーまたはガラスファイバー;
- 顔料、例えば、二酸化チタンまたは酸化鉄;
- アミノ基とエポキシ基との間の反応を加速する促進剤、例えば、酸、または加水分解して酸を形成し得る化合物、例えば、有機カルボン酸、(例えば、酢酸、安息香酸、サリチル酸、2-ニトロ安息香酸、乳酸)、有機スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、または4-ドデシルベンゼンスルホン酸)、スルホン酸エステル、他の有機酸または無機酸(例えば、リン酸、または上述の酸および酸エステルの混合物);第三級アミン(例えば、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ベンジルジメチルアミン、α-メチルベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノプロピルアミン)、これらの第三級アミンの塩、第四級アンモニウム塩(例えば、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド)、フェノール、特に、ビスフェノール、フェノール樹脂、およびマンニッヒ塩基(例えば、(2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス-(ジメチルアミノメチル)フェノール)、ホスファイト(例えば、ジ-またはトリフェニルホスファイト)、ならびに既に上述のメルカプト基含有化合物。
- レオロジー改質剤、例えば、特に、増粘剤、例えば、層状シリケート(例えば、ベントナイト)、ヒマシ油の誘導体、水素化ヒマシ油、ポリアミド、ポリウレタン、尿素化合物、焼成ケイ酸、セルロースエーテル、および疎水性変性ポリオキシエチレン;
- 接着促進剤、例えば、オルガノアルコキシシラン、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-N'-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、または、メトキシ基の代わりにエトキシ基もしくは(ポリ)エトキシ基を有する相当するオルガノシラン;
- 酸化安定剤、熱安定剤、光安定剤および紫外線安定剤;
- 難燃剤、特に、アルミナ(Al(OH)3;「アルミニウムトリハイドレード」ATHとも呼ばれる)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2;「マグネシウム二水和物」MDHとも呼ばれる)、硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)、ホウ酸(B(OH)3)、ホウ酸亜鉛、メラミンホウ酸塩およびメラミンシアヌレート等の化合物;アンモニウムホスフェート((NH4)3PO4)、アンモニウムポリホスフェート、メラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリス-(2-エチルヘキシル)スフェート、トリオクチルホスフェート、mono-、bis-およびtris(イソプロピルフェニル)ホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールジホスフェートオリゴマー、テトラフェニルレゾルシノールジホスフェート、エチレンジアミンジホスフェートおよびビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)等のリン含有化合物;クロロアルキルホスフェート、特に、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェートおよびトリス(ジクロロイソプロピルホスフェート、ポリ臭化ジフェニルエーテル、特に、デカブロモジフェニルエーテル、ポリ臭化酸化ジフェニル、(トリス[3-ブロモ-2,2-ビス(ブロモメチル)プロピル]ホスフェート、テトラブロモビスフェノールA、ビスフェノールAのビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、臭素化エポキシ樹脂、エチレン-ビス(テトラブロモフタルイミド)、エチレンビス(ジブロモノルボルネンジカルボキシイミド)、1,2-ビス-(トリブロモフェノキシ)エタン、トリス(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート、トリブロモフェノール、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(ヘキサクロロシクロペンタジエノ)シクロオクタンおよびクロロパラフィン等のハロゲン含有化合物;およびハロゲン含有化合物と、三酸化アンチモン(Sb2O3)または五酸化アンチモン(Sb2O5)との組み合わせ;
- 界面活性剤、例えば、湿潤剤、流動性制御剤、脱気剤、または消泡剤;
- 殺生物剤、例えば、殺藻剤、殺菌剤、またはかびの生成を阻害する物質。
【0185】
樹脂成分K1に加えてもよい成分、および硬化剤成分K2に加えてもよい成分は、当業者には明らかであり知られている。ここで、特に、そのような付加的な成分によって、貯蔵安定性が、たとえごくわずかであっても損なわれることのないよう保証されなければならない。したがって、ポリアミンが樹脂成分においてエポキシドと反応し、したがって単に硬化剤成分の成分にしかなり得ないことは当業者に明らかである。
【0186】
硬化剤成分K2に対するエポキシ樹脂成分K1の重量比は、好ましくは4/1〜1/1、特に好ましくは2/1である。
【0187】
別の態様において、本発明は、
i)上記に定義される二成分エポキシ樹脂組成物を混合する工程;
ii)この組成物を基材S1、特に金属の表面に適用(apply)する工程;
iii)適用したエポキシ樹脂組成物を、別の基材S2、特に金属の表面と接触させる工程;および
iv)エポキシ樹脂組成物を100℃以下、好ましくは10〜40℃の温度で硬化させる工程
を含む、基材を接着させる方法に関する。
【0188】
接着剤としての用途において、組成物は基材S1および/または基材S2に適用される。したがって、接着剤は1つの基材または他方、または両方の基材に適用されてもよい。その後、接着される部分は合わされ、接着剤が硬化する。ここで、両方の接着物が互いに確実に接着されるために、可使時間として知られている時間内に、この部分の接合が確実に行われるべきである。
【0189】
接着剤またはシーラントは好ましくは均一に適用される。
【0190】
どちらの用途においても、基材S1は基材S2と同じでも異なっていても良い。
【0191】
基材S1または基材S2として適しているのは、例えばガラス、ガラスセラミックス、コンクリート、モルタル、れんが、タイル、石膏、および花崗岩または大理石といった天然石等の無機基材;特に、アルミニウム、鋼、非鉄金属、亜鉛めっきを施した金属等の金属または合金;木材、PVC等のプラスチック、ポリカーボネート、PMMA、ポリエステル、エポキシ樹脂、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等の有機基材;粉体塗装された金属または合金などの塗装基材;ならびに塗料およびラッカー、特に自動車塗装用ラッカーである。
【0192】
二成分エポキシ樹脂組成物が特に電気亜鉛めっきされた鋼によく付着し、高い耐衝撃性をもたらすことが分かった。
【0193】
本発明による耐衝撃性改良剤は、高温度で硬化された時に効果的であるだけでなく、室温で硬化された時でも耐衝撃性が増すことを理解することは重要である。一方で、耐衝撃性の発展が硬化中の相分離によって多くの場合説明され、また一方でこの相分離は温度依存なので、これは決して明らかではない。
【0194】
記述された耐衝撃性改良剤は、典型的に、ISO 11343に従って測定して、23℃で8.0J超および0℃で5.5J超の破断エネルギーを有する、エポキシ樹脂組成物を処方することを可能にする。典型的には、23℃で9.5J〜12Jおよび0℃で6〜9Jの破断エネルギーを有する組成物を処方することができる。
【0195】
さらに、ISO 11343に従って測定された破砕(衝撃剥離)に対する耐性は、23℃で20N/mm超および0℃で15N/m超を実現することができる。典型的には、23℃で26〜30Nおよび0℃で18〜25Nの破砕に対する耐性を有する組成物を処方することができる。
【0196】
必要な場合には、基材は、接着剤またはシーラントの適用の前に前処理することができる。このような前処理には、特に物理的および/または化学的クリーニング法(グラインディング、研磨、ブラッシング等)、または洗浄剤もしくは溶媒による処理、または接着促進剤、接着促進剤溶液もしくはプライマーの適用が含まれる。
【0197】
基材S1およびS2が本発明の組成物によって接着されるか封着され、結合物品が得られる。この種の物品は詳細には建造構造物、より詳細には建築または土木工学の建造構造物、または輸送手段であり得る。好ましくは、物品は、輸送手段、例えば水上または陸上車両、特に自動車、バス、トラック、列車もしくは船舶、またはそれらの設置用の構成要素である。特に好ましくは、結合物品が輸送手段、特に自動車であり、または輸送手段、特に自動車設置用の構成要素である。
【0198】
本組成物を、車両の製造において弾性接合のための接着剤として用いる場合には、構造的に粘性を有するペースト状の粘稠度を有することが好ましい。この種の接着剤を、適切な装置、好ましくは実質的に円形または三角形の切断面領域を有するビーズの形態で使用することによって、基材に適用する。接着剤を適用する好適な方法は、例えば、手動または圧縮空気によって行われる市販のカートリッジからの適用、または輸送ポンプまたは押出機による、任意選択で適用ロボットによるドラムまたはブリキのペール缶(hobbock)からの適用である。良好な適用特性を有する接着剤は、荷重下での高安定性および短い糸引き性を特徴とする。つまり、適用後も適用された形態のままであり、言い換えれば、流れ出すことなく、糸引きをしないかあったとしても非常に短い糸引きしか形成せず、そのため、基材は汚染されない。
【0199】
車両の製造において、接着は、例えば、接着部品、例えばプラスチックカバー、トリム、フランジ、バンパー、運転席、もしくは他の付属品の輸送手段の塗装車体に対する接着、または車体に対するガラスの接着である。車両としては、車、トラック、バス、列車、および船舶が挙げられる。
【0200】
好ましい実施形態において、上に定義された二成分エポキシ樹脂組成物は、車両の製造における二成分の修理接着剤として使用される。
【0201】
別の態様において、本発明は、上述された方法によって得られ、特に車両または車両の付属品である結合物品を提供する。
【実施例】
【0202】
本発明をさらに明確にするいくつかの実施例を示す。これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものでは決してなく、単に可能な実施態様のいくつかを示すだけのものである。Table 2(表2)に、従来技術と比較した本発明によるエポキシ樹脂組成物の試験から得た評価を示す。
【0203】
組成物の調製方法
Table 1(表1)のリストに記載した出発物質を、調製において使用した。
【0204】
【表1】

【0205】
アミノ基末端耐衝撃性改良剤SM1
200gのPoly-THF2000、48.18gのIPDIおよび0.03gのジブチル錫ジラウレートを計量して、容器に入れ真空下で80℃に加熱する。約120分後に、NCO含有量が3.5%に定量される。次に、形成されたプレポリマーP-1を、60分間真空下で(25℃まで)冷却する。234.60gのJeffamine(登録商標)D-2000を添加し、70gのプレポリマーP-1を窒素雰囲気下で撹拌しながらゆっくり加える。その反応を60分間継続させ、アミノ基末端耐衝撃性改良剤SM1を製造する。NCO基のNH2基に対する比率は0.248である。
【0206】
アミノ基末端耐衝撃性改良剤SM2
80gのPoly-THF2000、35.18gのIPDI、0.03gのジブチル錫ジラウレートおよび80.0gのLiquiflex Hを計量して容器に入れ真空下で80℃に加熱する。120分後、NCO含有量が3.5%に定量化される。内容物を真空下80℃で90分間撹拌し、続いて60分間で50℃へ冷却した(=プレポリマーP-2)。233.20gのJeffamine(登録商標)D-2000を第2反応槽に加え、一方で第1反応槽において35℃に冷却しておいたプレポリマーP-2、35gを撹拌しながらゆっくり加える。その反応を60分間継続させ、アミノ基末端耐衝撃性改良剤SM2を製造する。NCO基のNH2基に対する比率は0.125である。
【0207】
アミノ基末端耐衝撃性改良剤SM3
50gのPoly-THF2000、33.93gのIPDIおよび0.02gのジブチル錫ジラウレートを計量して容器に入れ真空下で80℃に加熱する。約60分後、NCO含有量が4.11%に定量化される。その後、1gのトリメチロールプロパンを加え、さらに75分間真空下で反応させる。その時、NCO含有量が2.60%に定量化される。次のステップで、8.70gのヒドロキシエチルアクリレート(ヒドロキノン0.1%含有)を計量し、上記反応混合物に70℃で加える。この温度で真空下3時間撹拌後、こうして形成されたプレポリマーP-3の測定されたNCO含有量は0.55%である。最後に、200.30gのJeffamine(登録商標)D-2000を第2反応槽に加え、一方で第1反応槽において35℃に冷却しておいたプレポリマーP-3、40gを窒素雰囲気下撹拌しながらゆっくり(60分以内に)加える。その反応を60分間継続させ、アミノ基末端耐衝撃性改良剤SM3を製造する。
【0208】
アミノ基末端耐衝撃性改良剤SM4
150gのPoly-THF2000、33.93gのIPDI、および0.02gのジブチル錫ジラウレートを計量して容器に入れ真空下で80℃に加熱する。約60分後、NCO含有量が4.11%に定量化される。次いで、1gのトリメチロールプロパンを加え、さらに反応を75分間真空下で継続させ、NCO含有量が2.60%に定量化される。
【0209】
次のステップで、8.70gのヒドロキシ-エチルアクリレート(ヒドロキノン0.1%含有)を計量し、70℃で上記反応混合物に加える。この温度で真空下3時間撹拌後、形成されたプレポリマーP-4の測定されたNCO含有量は0.55%である。最後に、100.1gのJeffamine(登録商標)D400を第2反応槽に加え、一方で第1反応槽において25℃に冷却しておいたプレポリマーP-4、100gをゆっくり(60分以内に、撹拌しながら)加える。その反応を60分間継続させ、アミノ基末端耐衝撃性改良剤SM4を製造する。
【0210】
アミノ基末端耐衝撃性改良剤SM5
80.00gのPoly-THF2000、30.53gのIPDI、0.02gのジブチル錫ジラウレート、ならびに80gのDynacoll(登録商標)7250を計量して容器に入れ真空下で80℃に加熱する。NCO含有量を、およそ120分後に定量化する(3.00%)。このように形成されたポリマーP-5を60分間に20℃まで冷却する。最後に、201.20gのJeffamine(登録商標)D-2000を第2反応槽に加え、一方で第1反応槽において25℃に冷却しておいたプレポリマーP-5、35gをゆっくり(60分以内で、撹拌しながら)加える。その反応を60分間継続させ、アミノ基末端耐衝撃性改良剤SM5を製造する。NCO基のNH2基に対する比率は0.063である。
【0211】
アミノ基末端耐衝撃性改良剤SM6
210.0gのDynacoll(登録商標)7490、27.81gのIPDI、0.03gのジブチル錫ジラウレートを計量して容器に入れ真空下で80℃に加熱する。NCO含有量を、およそ120分後に定量化する(2.60%)(=プレポリマーP-6)。最後に、146.20gのJeffamine(登録商標)D-2000を第2反応槽に加え、一方で第1反応槽において25℃に冷却しておいたプレポリマーP-6、40gをゆっくり(60分以内で、撹拌しながら)加える。その反応を60分間継続させ、アミノ基末端耐衝撃性改良剤SM6を製造する。NCO基のNH2基に対する比率は0.085である。
【0212】
アミノ基末端耐衝撃性改良剤SM7
220gのAcclaim(登録商標)4200N、27.4gのIPDI、0.01gのジブチル錫ジラウレートを計量して容器に入れ真空下で加熱する。約2時間後、2.25%のNCO含有量が測定される。このように形成されたポリマーP-7(=プレポリマーP-7)を20℃に冷却する。最後に、69.8gのJeffamin(登録商標)D400 tert-ブチルアクリレート、ならびにJeffamine(登録商標)D400およびtert-ブチルアクリレートの反応生成物(比率1:0.8)を第2反応槽に加え、プレポリマーP-7、40gをゆっくり(60分以内で、撹拌しながら)加える。その反応を60分間継続させ、アミノ基末端耐衝撃性改良剤SM7を製造する。
【0213】
耐衝撃性改良剤C3-1の調製
150gのPoly-THF(登録商標)2000(OH値、57mg/gのKOH、BASF)および150gのLiquiflex H(OH値、46mg/gのKOH、Krahn)を30分間105℃真空下で乾燥した。90℃へ温度を低下させた後、64.0gのイソフォロンジイソシアネートおよび0.13gのジブチル錫ジラウレートを加えた。2.5時間後に3.30%の一定のNCO含有量が得られるまで(算定されたNCO含有量:3.38%)、90℃の真空下で反応を継続させた。続いて、103.0gのブロック剤Cardolite(登録商標)NC-700(Cardanol、Cardolite)を加えた。3.5時間後にNCO含有量が0.1%未満に減少するまで、105℃真空下で撹拌を継続した。このように形成されたブロックポリウレタン耐衝撃性改良剤を、C3-1とした。
【0214】
Table 2(表2)に記載した二成分エポキシ樹脂組成物を調製した。Table 2(表2)において、成分について記載した数値は、重量部である。それぞれの樹脂成分または硬化剤成分は、それぞれの液状成分を40℃で撹拌槽に加え、続いて、23℃で固体成分に混合し、真空を適用することにより調製した。ペースト状の粘稠度を有する形成された樹脂成分または硬化剤成分を、ブリキ缶に充填し、密封した。
【0215】
【表2】

【0216】
比較例1はDow Automotiveにより市販されている接着剤Betamate(商標)2096を示す。比較例2は、WO2009/025991に記述された成分「A1」および「B1」から作られた、先行技術の例「接着剤実施例1」を示す。比較例3は、WO2009/025991の実施例に記述されている従来技術に相当し、それに従って、成分「A1」および充填された硬化剤成分「B1」を重量比2:1で混合する。比較例4は本発明の実施例1〜6に使用した樹脂成分と、WO2009/025991に記述されている先行技術の硬化剤成分「B1」との組み合わせに相当する。比較例5は、本発明の実施例1〜6に使用した樹脂成分と、WO2009/025991の硬化剤成分「B1」に調整され充填された硬化剤成分との重量比が2:1の組み合わせに相当し、この硬化剤成分は、30重量%のVersamidを含有し、これはWO2009/025991の請求項1に記載のポリアミド(Versamid)用の上限として示した重量である。比較例6は、本発明の実施例1〜6に使用した樹脂成分と、WO2009/025991の硬化剤成分「B1」に調整され充填された硬化剤成分との重量比が2:1の組み合わせに相当し、この硬化剤成分は、10重量%のVersamidを含有し、これはWO2009/025991の請求項1に記載のポリアミド(Versamid)用の下限として示した重量である。
【0217】
試験方法:
試験では、Table 2(表2)のそれぞれの樹脂成分および硬化剤成分を重量比2:1で、撹拌機を使用してほぼ均質に混合し、使用する基材表面に直接適用し、試験片を準備した。
【0218】
引張剪断強度(TSS)(DIN EN 1465)
寸法が100×25×1.5mmである、電気亜鉛めっきしたDC04鋼(eloZn)を用いて、記載の実施例組成物から試験片を準備した。接着に先立って、基材をアセトンで清掃した。接着表面積は25×10mmで層の厚さは0.3mmであった。23℃で7日間硬化させた後、引張剪断強度(TSS7d,RT)を、引張速度10mm/minで測定した。結果をTable 3(表3)にまとめる。
【0219】
衝撃/剥離作業(ISO 11343)
寸法が90×20×0.8mmであり、接着表面積が25×30mmで層の厚さが0.3mmである、電気亜鉛めっきしたDC04鋼(eloZn)を用いて、記述した実施例組成物から試験片を準備した。これらを23℃で7日間硬化した。衝撃/剥離作業は、23℃(FERT)および0℃(FE0℃)でそれぞれ測定した。衝撃速度は2m/sであった。ジュール単位の破壊エネルギー(FE)(FERTまたはFE0℃)として質量曲線下面積(ISO 11343に準じて25%〜90%)を示す。衝撃剥離強度値(衝撃剥離)を、ISO 11343によって23℃(IPRT)および0℃(IP0℃)で測定した。
【0220】
結果をTable 3(表3)にまとめる。
【0221】
【表3】

【0222】
Table 3(表3)は、比較例1〜6の電気亜鉛めっきされた鋼上の衝撃強さ(破断エネルギーおよび衝撃剥離強度)が、本発明による組成物1〜6と比較して、著しくより低いことを示す。より正確に言えば、本発明による組成物1〜6は、先行技術の組成物に相当する比較例の組成物に対して10倍優れた衝撃剥離強度値を有する。引張剪断強度がわずかに低減されるが、それらは依然として高く合格水準である。Table 2(表2)の結果は、低減されたポリアミド含有率の、特にアミノ基末端耐衝撃性改良剤と組み合わせた場合の好ましい影響を示す。
【0223】
フィラーを含有する本発明による組成物においてさえ、フィラーの使用によって生じた破断エネルギーおよび衝撃剥離強度の減少(比較例2と3の間の比較)は補われて余りあるものである(実施例1と比較例2の間の比較)。
【0224】
本発明による組成物は、それらの増加した可撓性による破断エネルギーの明らかな増加を示す。したがって、高い衝撃荷重下においてさえ接着剤接合は脆くならず、本発明の組成物には完全に接着保全を維持するのに十分な可撓性がある。しかし、比較例の可撓性は顕著により低い。この結果、接着剤接合はより低いストレスでさえ壊れるであろう。
【0225】
したがって、本発明による耐衝撃性改良剤、およびこれを含むエポキシ樹脂化合物は、高い機械的負荷、例えば、事故の場合においても、接着剤接合がそれらの一体性を維持することが必要とされるような、車両の製造に特に適する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 1分子当たり平均して1個より多いエポキシ基を含有する少なくとも1種のエポキシ樹脂Aを含む1つのエポキシ樹脂成分K1;および
- 硬化剤成分の総重量に基づいて1〜10重量%の間、好ましくは4〜8重量%のアミノ基末端ポリアミドBを含む1つの硬化剤成分K2
を含有し、
成分K1、K2の少なくとも1つが少なくとも1種の耐衝撃性改良剤C
を含有する、二成分エポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
耐衝撃性改良剤Cとして、イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーと、第一級ジアミンと、任意選択で少なくとも1種のマイケル受容体とを反応させることにより調製されるアミノ基末端耐衝撃性改良剤C1を含有し、
前記イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーが、少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも2個のヒドロキシ基を有する少なくとも1種のポリエステルまたはポリエーテルポリオールとから調製され、
前記アミノ基末端耐衝撃性改良剤C1が、硬化剤成分K2の成分、特に、硬化剤成分K2の重量に基づいて1〜30重量%の量の成分であることを特徴とする、請求項1に記載の二成分エポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
アミノ基末端耐衝撃性改良剤C1が式(II):
【化1】

[式中、Y1は、全ての末端イソシアネート基を除いた後の、m+m'個のイソシアネート基で末端化された直鎖状または分岐状のポリウレタンプレポリマーであり;
Y2は、C2〜C6のアルキレン基を有するポリオキシアルキレン、ポリブタジエン、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、または合成ゴムの、二価の基であり;
Y3は、互いに独立に、H、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、または式(III)
【化2】

(式中、
R4は、水素原子、または、R7、-COOR7および-CNからなる群から選択される部分であり、
R5は、COOR7、CONH2、CONHR7、CONR72、CN、NO2、PO(OR7)2、SO2R7およびSO2OR7からなる群から選択される部分であり、
R6は、水素原子、または、-R7、-COOR7、-CH2COOR7および-CNからなる群から選択される部分であり、
R7は、1〜20個の炭素原子を有する一価の炭化水素部分である)
の部分であり、
Y4は、1〜6個の炭素原子を有するアルキレン基であるか、あるいはpおよびp'=0である場合には存在せず;
Y5は、式(IV)または(IV')
【化3】

(式中、
R4'は、水素原子、または、R7、-COOR7および-CNからなる群から選択される部分であり、
R5'は、COOR7、CONH2、CONHR7、CONR72、CN、NO2、PO(OR7)2、SO2R7およびSO2OR7からなる群から選択される部分であり、
R6'は、水素原子、または、-R7、-COOR7、-CH2COOR7および-CNからなる群から選択される部分である)
の二価の部分であり;
R7は、1〜20個の炭素原子を有する一価の炭化水素部分であり;
pおよびp'は各々、0または1であり;
qおよびq'は各々、0または1であり;
mおよびm'は各々、0〜7の値、好ましくは0、1または2の値であり、但し、m+m'は1〜8の値、特に1または2の値である]
を有することを特徴とする、請求項2に記載の二成分エポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
耐衝撃性改良剤Cとして、エポキシ末端ポリマー、特に、エポキシ末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーを含有する液状ゴムC2を含有し、
前記液状ゴムC2が、エポキシ樹脂成分K1の1つの成分、特に、エポキシ樹脂成分K1の重量に対して1〜45重量%の量の成分であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の二成分エポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
耐衝撃性改良剤Cとして、式(Xl):
【化4】

[式中、R1は、全ての末端イソシアネート基を除いた後の、n+n'個のイソシアネート基で末端化された直鎖状または分岐状のポリウレタンプレポリマーであり;
R2およびR3は各々、互いに独立に、
【化5】

からなる群から選択される置換基であり、
式中、R14は、第一級または第二級ヒドロキシ基を有する脂肪族、脂環式、芳香族、または芳香脂肪族エポキシからヒドロキシ基またはエポキシ基を除いた後の部分であり;
ppは1、2または3の値であり;
R15、R16、R17およびR18は各々、互いに独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、もしくはアリールアルキル基であるか、または
R15はR16と一緒に、またはR17はR18と一緒に、任意に置換されていてもよい4〜7員環の一部を形成し;
R19、R19'およびR20は各々、互いに独立に、アルキル基、アラルキル基、もしくはアリールアルキル基、または、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、もしくはアラルキルオキシ基であり;
R11はアルキル基であり;
R23およびR24は各々、互いに独立に、任意に二重結合を有していても置換されていてもよい2〜5個の炭素原子を有するアルキレン基であるか、またはフェニレン基もしくは水素化フェニレン基であり;
R25、R26およびR27は各々、互いに独立に、H、または、アルキル基、アリール基、もしくはアラルキル基であり;
R28は、アラルキル基、または、芳香族ヒドロキシ基を任意に有していてもよい単核もしくは多核の置換もしくは非置換の芳香族基であり;
nおよびn'は各々、互いに独立に0〜7の値、好ましくは0、1または2の値であり、但しn+n'が1〜8の値、特に1または2の値である]
のポリマーC3を含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の二成分エポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
耐衝撃性改良剤Cとして、アミノ基末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーC4を含有し、アミノ基末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーC4が、硬化剤成分K2の成分、特に、硬化剤成分K2の重量に基づいて10〜40重量%の量の成分であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の二成分エポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
耐衝撃性改良剤Cとして、アミノ基末端耐衝撃性改良剤C1、および/または液状ゴムC2、および/または下記式(XI)を有するポリマーC3、および/またはアミノ基末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーC4の組み合わせを含む
【化6】

[式中、R1は、全ての末端イソシアネート基を除いた後の、n+n'個のイソシアネート基で末端化された直鎖状または分岐状のポリウレタンプレポリマーであり;
R2およびR3は各々、互いに独立に、
【化7】

からなる群から選択される置換基であり、
式中、R14は、第一級または第二級ヒドロキシ基を含む脂肪族、脂環式、芳香族、または芳香脂肪族エポキシからヒドロキシ基またはエポキシ基を除いた後の部分であり;
ppは1、2または3の値であり;
R15、R16、R17およびR18は各々、互いに独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、もしくはアリールアルキル基であるか、または、
R15はR16と一緒に、もしくはR17はR18と一緒に、任意に置換されていてもよい4〜7員環の一部を形成し;
R19、R19'およびR20は各々、互いに独立に、アルキル基、アラルキル基、もしくはアリールアルキル基、または、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、もしくはアラルキルオキシ基であり;
R11はアルキル基であり;
R23およびR24は各々、互いに独立に、任意に二重結合を有していても置換されていてもよい2〜5個の炭素原子を有するアルキレン基、または、フェニレン基、もしくは水素化フェニレン基であり;
R25、R26およびR27は各々、互いに独立に、H、または、アルキル基、アリール基、もしくはアラルキル基であり;
R28は、芳香族ヒドロキシ基を任意に有していてもよい、アラルキル基または単核もしくは多核の置換もしくは非置換の芳香族基であり;
nおよびn'は各々、互いに独立に0〜7の値、好ましくは0、1または2の値であり、但しn+n'は1〜8の値、特に1または2の値である]
ことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の二成分エポキシ樹脂組成物。
【請求項8】
それぞれの成分(K1、K2)中に存在する、アミノ基末端耐衝撃性改良剤C1、液状ゴムC2、ポリマーC3、およびアミノ基末端アクリロニトリル/ブタジエンコポリマーC4の合計重量が、前記それぞれの成分(K1、K2)の重量に対して好ましくは80重量%以下、特に、50重量%以下であることを特徴とする、請求項7に記載の二成分エポキシ樹脂組成物。
【請求項9】
硬化剤成分K2が、前記硬化剤成分の総重量に基づいて最高で20重量%までのポリ(エチレンイミン)をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の二成分エポキシ樹脂組成物。
【請求項10】
少なくとも1種のフィラーFを、特に、全組成物の重量に対して3〜50重量%の量でさらに含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の二成分エポキシ樹脂組成物。
【請求項11】
硬化剤成分K2に対するエポキシ樹脂成分K1の重量比が、4/1〜1/1、好ましくは2/1であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の二成分エポキシ樹脂組成物。
【請求項12】
アミノ基末端ポリアミドBが、二量化した脂肪酸とポリアミンとの反応生成物であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の二成分エポキシ樹脂組成物。
【請求項13】
i)請求項1〜12のいずれか一項に記載の二成分エポキシ樹脂組成物を混合する工程;
ii)前記組成物を基材S1、特に金属の表面に適用する工程;
iii)前記適用したエポキシ樹脂組成物を、別の基材S2、特に金属の表面と接触させる工程;および
iv)前記エポキシ樹脂組成物を140℃以下、好ましくは10〜60℃の温度で硬化させる工程
を含む、基材を接着させる方法。
【請求項14】
車両の製造における二成分修理用接着剤としての、請求項1〜12のいずれか一項に記載の二成分エポキシ樹脂組成物の使用。
【請求項15】
請求項13に記載の方法によって得られ、特に車両または車両の付属物である、結合物品。

【公表番号】特表2013−521362(P2013−521362A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555391(P2012−555391)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【国際出願番号】PCT/EP2011/052972
【国際公開番号】WO2011/107450
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】