害虫防除システム
【課題】対象物に対し害虫防除部材を簡単に取付け及び取外し可能であり、害虫防除部材の交換等のメンテナンスを容易に行うことができ、適切な害虫防除効果を継続的に発揮させることが可能な害虫防除システムを提供する。
【解決手段】樹脂と害虫防除剤とを含有する害虫防除部材10と、害虫から保護すべき対象物100に取付けられ、害虫防除部材10を着脱可能に保持するホルダ部材50とを備え、害虫防除部材10は、少なくとも一部がホルダ部材50から突出した状態で配設されてなる害虫防除システム1である。
【解決手段】樹脂と害虫防除剤とを含有する害虫防除部材10と、害虫から保護すべき対象物100に取付けられ、害虫防除部材10を着脱可能に保持するホルダ部材50とを備え、害虫防除部材10は、少なくとも一部がホルダ部材50から突出した状態で配設されてなる害虫防除システム1である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、建物や、各種機器のハウジング、或いは植物等、様々な対象物に設置可能であり、当該対象物内に害虫が侵入することを防止する、或いは駆除する害虫防除システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、例えば、ゴキブリ、蟻、クモ、ムカデ等の昆虫等や、ネズミ等の小動物等(以下、このような昆虫や小動物等を総称して「害虫」と記す)が、建物や各種機器等のような様々な対象物内に侵入することを防止するため、害虫防除性能を有する薬剤を対象物の周りに散布することが行われている。
【0003】
このような害虫防除性能を有する薬剤として、例えば、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、スルホンアミド誘導体、スルホン酸エステル誘導体、リン酸エステル誘導体、ホスファゼン誘導体、カルボン酸アミド誘導体、カルボン酸エステル誘導体より選ばれる少なくとも1種の化合物と、小動物防除性を有する薬剤と、を含有する小動物防除性樹脂組成物を、構造材料等として用いられる樹脂材料として用い、この樹脂材料から構成された害虫防除部材が紹介されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
近年では、人体への悪影響や環境汚染等の問題から、前記薬剤を散布する代わりに、例えば、害虫防除成分が含有された樹脂から構成された害虫防除部材を害虫から保護すべき対象物に取付けることにより、当該害虫防除部材から徐々に放出される害虫防除成分の効果によって、前記対象物を害虫から保護するものが紹介されている。(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、建物やハウジング等の対象物に設置され、害虫防除成分が含有された材料から少なくとも一部が形成されると共に、当該害虫の対象物に対する侵入経路を強制的に変更し、当該侵入経路に沿って前進する害虫を落下或いは前進を停止させる害虫防除部材も紹介されている。(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2000−212005号公報
【特許文献2】特開2004−357553号公報
【特許文献3】特開2008−35776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1〜3に記載された発明は、例えば、建物や各種機器のハウジング等、様々な対象物に害虫防除部材を簡単に取付け、或いは取外しを行うことで、害虫防除部材の交換等のメンテナンスを容易に行うことができる構成については考慮されていない。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、対象物に対し害虫防除部材を簡単に取付け及び取外し可能であり、害虫防除部材の交換等のメンテナンスを容易に行うことができ、適切な害虫防除効果を継続的に発揮させることが可能な害虫防除システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため本発明は、害虫から保護すべき対象物に設置可能であり、当該対象物内に害虫が侵入することを防除する害虫防除システムであって、樹脂と害虫防除剤とを含有する害虫防除部材と、前記対象物に取付けられ、前記害虫防除部材を着脱可能に保持するホルダ部材と、を備えてなり、前記害虫防除部材は、少なくとも一部が前記ホルダ部材から突出した状態で配設されてなる害虫防除システムを提供するものである。
【0010】
この構成を備えた害虫防除システムは、害虫防除部材をホルダ部材によって対象物に着脱可能に取付けられるため、当該対象物に対し害虫防除部材を簡単に取付け及び取外し可能である。このため、害虫防除部材の交換等のメンテナンスを容易に行うことができる。したがって、常に適切な害虫防除効果を継続的に発揮させることができる。また、前記害虫防除部材の少なくとも一部が、前記ホルダ部材から突出した状態で配設されているため、当該害虫防除部材の一面全てをホルダ部材によって覆う場合に比べ、害虫防除部材の露出される面積を大きく取ることができる。したがって、害虫防除効果を効率よく発揮することができる。
【0011】
また、本発明にかかる害虫防除システムでは、前記害虫防除部材を複数のホルダ部材によって着脱可能に保持することもできる。このようにすることで、害虫防除部材をさらに安定して対象物に取付けることができる。
【0012】
そしてまた、本発明にかかる害虫防除システムでは、前記害虫防除部材は、前記対象物に対する害虫の侵入経路を強制的に変更し、当該侵入経路に沿って前進する害虫を落下させる及び/または害虫の前進を停止させる侵入経路変更部を有することができる。害虫防除部材をこのように構成することで、前記利点に加え、害虫が対象物に侵入することを物理的に阻止することもできる。
【0013】
さらにまた、本発明にかかる害虫防除システムでは、前記害虫防除部材は、前記ホルダ部材によって前記対象物に取付けられた際に、当該害虫防除部材の一部であり且つ当該害虫防除部材の右側端となる位置から左側端となる位置に亘る領域が、前記対象物と接触してなるよう構成することもできる。このように構成することで、害虫防除部材が害虫の侵入経路上に存在することになるため、前記利点に加え、害虫をさらに効率よく防除することができる。
【0014】
また、本発明にかかる害虫防除システムでは、前記ホルダ部材は、前記害虫防除部材の一端と係脱可能に係合する第1の係合部と、前記害虫防除部材の他端と係脱可能に係合する第2の係合部と、を備え、前記害虫防除部材は、前記第1の係合部に係合した一端を支点として弾性変形することにより、前記他端を前記第2の係合部に挿入し、弾性復元することで当該他端を当該第2の係合部に係合させるよう構成することもできる。このように構成することで、前記ホルダ部材と害虫防除部材とがファスニング機構によって着脱されることになる。したがって、ホルダ部材に対し害虫防除部材をワンタッチで簡単に着脱することができる。
【0015】
そしてまた、本発明にかかる害虫防除システムでは、前記ホルダ部材は、前記害虫防除部材を受容して保持する保持部を備え、前記保持部は、弾性変形することにより、前記害虫防除部材を受容し、弾性復元することで当該害虫防除部材を保持するよう構成することもできる。このように構成することで、前記ホルダ部材と害虫防除部材とがファスニング機構によって着脱されることになる。したがって、ホルダ部材に対し害虫防除部材をワンタッチで簡単に着脱することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる害虫防除システムは、害虫防除部材がホルダ部材から突出した状態で、当該ホルダ部材によって対象物に着脱可能に取付けられるため、当該対象物に対し害虫防除部材を簡単に取付け及び取外し可能であると共に、害虫防除部材の露出される面積を大きく取ることができる。この結果、害虫防除部材の交換等のメンテナンスを容易に行うことができ、且つ害虫防除効果を効率よく発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の好適な実施の形態にかかる害虫防除システムについて図面を参照して説明する。なお、以下に記載される実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施の形態にのみ限定するものではない。したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる害虫防除システムを示す斜視図、図2は、図1に示す害虫防除システムの構成要素である害虫防除部材の斜視図、図3は、図1に示す害虫防除システムの構成要素であるホルダ部材の斜視図、図4は、図3に示すホルダ部材に図2に示す害虫防除部材を保持させた状態を示す断面図、図5及び図6は、図3に示すホルダ部材に図2に示す害虫防除部材を保持させる工程の一部を示す断面図、図7は、図3に示すホルダ部材に図2に示す害虫防除部材を保持させた状態の一部を破断して示す斜視図である。なお、前記各図では、説明を判り易くするため、各部材の厚さやサイズ、拡大・縮小率等は、実際のものとは一致させずに記載した。
【0019】
図1に示す害虫防除システム1は、少なくとも樹脂と害虫防除剤を含有して構成され、弾性変形可能な害虫防除部材10と、害虫から保護すべき対象物100に取付けられ、害虫防除部材10を着脱可能に保持するホルダ部材50とを備えている。
【0020】
害虫防除部材10は、図2及び図4〜図7に示すように、略板状の平面部11と、平面部11に連続形成され且つ略半球状に湾曲した湾曲部12とを備え、側面視で略J字状を呈している。この害虫防除部材10は、特に図4に示すように、平面部11の先端11Aを、後に詳述するホルダ部材50の第1の係合部54(図3〜図7参照)に係合させ、且つ、湾曲部12の先端12Aを、後に詳述するホルダ部材50の第2の係合部55(図3〜図7参照)に係合させた状態で、複数のホルダ部材50に着脱可能に保持されることで対象物100に取付け及び取外し可能に配設される。
【0021】
湾曲部12は、害虫防除部材10がホルダ部材50に保持された際に、先端12Aが下方(地面)を向いた状態で湾曲されており、対象物100に対する害虫の侵入経路を強制的に変更し、侵入経路に沿って前進する害虫を落下させたり、前進を停止させる役割を果たしている。
【0022】
この害虫防除部材10は、後に詳述する複数のホルダ部材50によってその一部が保持されることにより、対象物100に取付けられる。すなわち、害虫防除部材10は、特に図1に示すように、ホルダ部材50から水平方向(図1でいう左右方向)に突出した(延出した)状態で対象物100に取付けられており、ホルダ部材50に保持されていない領域は、外部に露出された状態となっており、害虫防除効果を効率よく発揮することができる。
【0023】
ホルダ部材50は、図1に示すように、略水平方向に所定の間隔をおいて対象物100に複数取付けられており、害虫防除部材10の一部を保持している。すなわち、ホルダ部材50は、対象物100に取付けられている際に、水平方向(図1でいう左右方向)の長さが害虫防除部材10の水平方向の長さよりも短く構成されている。このホルダ部材50は、図3〜図7に示すように、略板状の平面部51と、平面部51に連続形成され且つ平面部51に対し略垂直に屈曲された略板状の平面部52と、平面部52に連続形成された湾曲部53とを備えている。平面部51の先端には、略U字状に屈曲し、当該屈曲により形成された内側空間に害虫防除部材10の先端11Aを係脱可能に係合する第1の係合部54が形成されている。また、湾曲部53の先端には、略U字状に屈曲し、当該屈曲により形成された内側空間に害虫防除部材10の湾曲部12側の先端12Aを係脱可能に係合する第2の係合部55が形成されている。なお、ホルダ部材50の内側空間によって、害虫防除部材10を保持する保持部56が形成されている。
【0024】
なお、ホルダ部材50は、例えば、ネジ、ボルトとナット、釘、接着剤等、所望の固定部材により対象物100に取付けられている。このホルダ部材50は、所望により、対象物100に対して着脱可能に取付けてもよく、対象物100に固定してもよい。
【0025】
このホルダ部材50に害虫防除部材10を保持させるには、先ず、図5に示すように、害虫防除部材10の平面部11側の先端11Aを、ホルダ部材50の第1の係合部54によって画定される内部空間内に挿入するように、第1の係合部54の先端に引っ掛けて、図6に示すように、先端11Aを支点として害虫防除部材10を図5及び図6でいう反時計回りに回転させながら、害虫防除部材10を弾性変形させ、害虫防除部材10を保持部56内に押し込んで収容し、図4に示すように、害虫防除部材10の湾曲部12側の先端12Aをホルダ部材50の第2の係合部55によって画定される内部空間内に挿入する。この動作により、害虫防除部材10は弾性復元し、先端12Aが第2の係合部55に係合する。このように、害虫防除部材10を、ワンタッチで簡単にホルダ部材50に保持させることができる。
【0026】
一方、ホルダ部材50から害虫防除部材10を取外す際は、図4に示す害虫防除部材10の湾曲部12を上方(平面部52に近づける方向)に持ち上げるように弾性変形させ、害虫防除部材10の先端12Aと第2の係合部55との係合を解除すればよい。或いは、湾曲部12を弾性変形させ、害虫防除部材10の先端11Aと第1の係合部54との係合を解除すればよい。
【0027】
なお、害虫防除部材10は、基本的には、樹脂と、害虫防除剤とを含有して構成されていればよいが、実施の形態1では、可塑剤、無機充填剤、添加剤の少なくとも1種を、樹脂及び害虫防除剤に加え、これらを混練して所望の形状に成型することで得た。
【0028】
害虫防除部材10に含有される樹脂は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリスチレン樹脂(PS)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリカーボネート樹脂(PC)、塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリフェニレンオキシド樹脂(PPO)、ポリカプロラクトン樹脂(PCL)、ポリブチレンサクシネート樹脂(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート樹脂(PBSA)、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、(EVA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合樹脂(EEA)、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、液晶性ポリエステル樹脂の何れか1種を単独で、またはこれらから選ばれた2種以上の混合物、及びこれらの樹脂にエストラマーを混合した熱可塑性エストラマーの少なくとも1種の樹脂を選択することができる。
【0029】
ポリアミド樹脂の具体例としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12樹脂等のポリアミド樹脂、ポリアミドMXD、ポリアミド6T樹脂等の芳香族ポリアミド樹脂を例示できる。
【0030】
ポリアセタール樹脂の具体例としては、オキシメチレン単位のみからなる単独重合体の他、オキシメチレン単位を主成分とし、これに副成分としてオキシエチレン単位等の他の共重合単位を含む共重合体、これらを架橋させてなる架橋重合体、またはグラフト共重合させてなるグラフト共重合体を例示できる。
【0031】
ポリエチレン樹脂の具体例としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンを例示できる。
【0032】
ポリプロピレン樹脂の具体例としては、ポリプロピレンのホモポリマー、及びエチレンとプロピレンのランダム共重合体やブロック共重合体を例示できる。
【0033】
また、害虫防除部材10に含有される害虫防除剤としては、各種の農業害虫、衛生害虫その他の昆虫類、蜘蛛類、ダニ類、鼠等の小動物の防除活性を有する薬剤であり、小動物忌避活性を有する化合物、殺虫活性、殺ダニ活性、殺蜘蛛活性若くは殺鼠活性等の殺小動物活性を有する化合物、小動物の摂食阻害活性を有する化合物、小動物の成長コントロール活性を有する化合物等を例示できる。
【0034】
このような害虫防除剤の具体例としては、イミダクロプリドの様なクロロニコチニル系殺虫剤、シラフルオフェンの様なケイ素原子を有するネオフィルラジカルからなる化合物、ベンフラカルブ、アラニカルブ、メトキシジアゾン、カルボスファン、フェノブカルブ、カルバリル、メソミル、プロポクサー、フェノキシカルブ等のカーバメート系化合物、ピレトリン、アレスリン、dl,d-T80−アレスリン、d-T80-レスメトリン、バイオアレスリン、d-T80-フタルスリン、フタルスリン、レスメトリン、フラメトリン、プロパスリン、ペルメトリン、アクリナトリン、エトフェンプロックス、トラロメトリン、フェノトリン、d-フェノトリン、フェンバレレート、エンペントリン、プラレトリン、テフルスリン、ベンフルスリン等のピレスロイド系化合物、ジクロロボス、フェニトロチオン、ダイアジノン、マラソン、プロモフォス、フェンチオン、トリクロルホン、ナレド、テメホス、フェンクロホス、クロルピリホスメチル、シアホス、カルクロホス、アザメチホス、ピリダフェンチオン、プロペタンホス、クロルピリホス等の有機リン系化合物及びこれらの異性体、誘導体、類縁体等を例示できる。また、メトプレン、ピリプロキシフェン、キノプレン、ハイドロプレン、デオヘノラン、NC-170、フルフェノロクスロン、ジフルベンズロン、ルフェヌロン、クロルアズロン等の小動物の成長をコントロールする活性を有する化合物が挙げられる。また、殺ダニ剤としてケルセン、クロルフェナビル、デブフェンピラドピリダベン、ミルベメクチン、フェンピロキシメート、殺鼠剤としてはシリロシド、ノルボマイド、隣化亜鉛、硫酸タリウム、貴隣、アンツー、ワルファリン、エンドサイド、クマリン、クマテトラリン、プロマジオロン、ディフェチアロン等が挙げられる。さらに、タイワンヒノキ、アスナロ、ヒノキアスナロ(青森ヒバ)等に含まれるヒノキチオールや、ハーブや、ヒノキに含まれるカジノール誘導体(α−カジノール,T−カジノール)や、クローブ、ナツメグ、コリアンダー、クミン等の香油植物に多く含まれるゲラニオール、ピネン、カリオフィレン、ボルネオール、オイゲノール等の天然由来の薬剤も使用することができる。
【0035】
可塑剤としては、前記樹脂に対して可塑性能を付与し得るものであれば特に限定されるものではないが、例えば、スルホンアミド誘導体、スルホン酸エステル誘導体、カルボン酸アミド誘導体、カルボン酸エステル誘導体より選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましく、これらは、害虫防除成分を溶解保持し、徐放性を付与する作用を有するものと考えられる。このような可塑剤のうち、カルボン酸エステル誘導体としては、水酸基、ニトロ基、アミノ基、エポキシ基、ハロゲン等で置換されてもよい各種カルボン酸のアルキルエステル、芳香族エステル等を例示でき、水酸基やエポキシ基を有するものはポリアミドとの相溶性が良好であるため好ましい。
【0036】
なお、可塑剤の中には、害虫防除剤が含有する害虫防除成分を徐々に放出させるための徐放性を付与する作用を有するものがあり、このような可塑剤を添加することで、薬理的な害虫防除効果を長期間にわたって発揮させることが期待できる。
【0037】
無機充填材としては、粒子状無機充填材、繊維状無機充填材、或いは鱗片状無機充填材を使用することができる。
【0038】
粒子状無機充填材としては、チタン酸カリウム粒子、チタニア粒子、単斜晶系チタニア粒子、シリカ粒子等を例示でき、これらを単独で又は混合して用いることができる。該粒子状無機充填材の中では、チタン酸カリウム粒子が特に好ましい。
【0039】
また、繊維状無機充填材としては、例えば、平均繊維径0.05〜10μm、平均繊維長3〜150μm、好ましくは、平均繊維径0.1〜7μm、平均繊維長5〜50μmの形状を有する繊維状無機充填材を好適に使用することができ、該繊維状無機充填材としては、例えば、4チタン酸カリウム繊維、6チタン酸カリウム繊維、8チタン酸カリウム繊維、チタニア繊維、単斜晶系チタニア繊維、シリカ繊維、ワラストナイト、ゾノトライト等を例示でき、これらを単独で又は混合して用いることができる。これらの繊維状無機充填剤の中では、8チタン酸カリウム繊維が特に好ましい。
【0040】
また、鱗片状無機充填材としては、チタン酸カリウム、チタン酸カリウムリチウム、チタン酸カリウムマグネシウム、タルク、合成マイカ、天然マイカ、セリサイト、板状アルミナ、窒化ホウ素等を例示でき、これらを単独で又は混合して用いることができる。該鱗片状無機充填材の中では、チタン酸カリウムが特に好ましい。
【0041】
無機充填材は、そのままでも使用し得るが、樹脂との界面接着性を向上させ機械的物性を一層向上させるために、アミノシラン、エポキシシラン、アクリルシラン等のシランカップリング剤またはチタネートカップリング剤等の表面処理剤で表面処理して用いてもよい。
【0042】
また、害虫防除部材10には、本発明の目的を損なわない範囲で、ゼオライト、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、珪酸カルシウム、酸化亜鉛、ホウ酸アルミニウム、アルミナ(酸化アルミニウム)等の無機充填材を併用することもできる。
【0043】
なお、無機充填材の中には、害虫防除剤が含有する害虫防除成分を徐々に放出させるための徐放性を付与する作用を有するものがあり、このような無機充填材を添加することで、薬理的な害虫防除効果を長期間にわたって発揮させることが期待できる。また、無機充填材の配合は機械的物性の向上にも寄与し得るものとなる。
【0044】
また、害虫防除部材10には、樹脂表面における皮膜形成を抑制し得る添加剤を含有させることができる。このような添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、紫外線吸収性光安定剤、ヒンダードアミン系光安定剤、及びカーボンからなる群より選択される1種または2種以上を挙げることができる。
【0045】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)]、ビス-[3,3-ビス-(4’-ハイドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)-ブタノイックアシッド]-グリコールエステル、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,3',3'',5,5',5''-ヘキサ-tert-ブチル-a,a',a''-(メチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のヒンダードフェノール系酸化防止剤を挙げることができる。
【0046】
リン系酸化防止剤としては、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)フォスファイト、トリス[2-[[2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン-6-イル]オキシ]エチル]アミン、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジイルビスホスフォナイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-フェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリストールジフォスファイト等のリン系酸化防止剤を挙げることができる。
【0047】
紫外線吸収剤としては、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール、プロパンジオックアシッド,[(4-メトキシフェニル)-メチレン]-ジメチルエステル等の紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0048】
ヒンダードアミン系光安定剤としては、N,N’,N’’,N’’’-テトラキス-(4,6-ビス-(ブチル-(Nメチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)-トリアジン-2-イル)-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、ポリ[(6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ))、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、2,2,4,4-テトラメチル-7-オキサ-3,20-ジアザ-ジスピロ-[5.1.11.2]-ヘンエイコサン-21-オン、プロパン二酸,[(4-メトキシフェニル)-メチレン]-,ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)エステル、1,3-ベンゼンジカルボキシアミド、N,N-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)、2-エチル,2'-エトキシ-オキサラニリド等のヒンダードアミン系光安定剤を挙げることができる。
【0049】
なお、添加剤は、これらを単独でまたは混合して用いることができる。中でも、ベースレジンとの相溶性と皮膜形成の阻害性に優れるという観点から、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)]、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジイルビスホスフォナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-エチル,2'-エトキシ-オキサラニリド、N,N’,N’’,N’’’-テトラキス-(4,6-ビス-(ブチル-(Nメチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)-トリアジン-2-イル)-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、ポリ[(6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ))、1,3-ベンゼンジカルボキシアミド、N,N'-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)を好適に使用できる。
【0050】
ホルダ部材50は、害虫防除部材10と同様の樹脂から構成してもよく、異なった種類の樹脂から構成してもよい。また、害虫防除部材10の弾性変形を利用してホルダ部材50に害虫防除部材10を保持させる場合、ホルダ部材50は、樹脂以外の材料(例えば、金属やセラミックス等)から構成してもよい。
【0051】
また、実施の形態1では、害虫防除部材10の先端11Aを第1の係合部54に係合させて先端11Aを支点として害虫防除部材10を弾性変形させ、害虫防除部材10の先端12Aを第2の係合部55によって画定される内部空間内に挿入し、次いで、害虫防除部材10が弾性復元することにより先端12Aを第2の係合部55に係合させることで、ホルダ部材50に害虫防除部材10を保持させた場合について説明したが、これに限らず、害虫防除部材10の弾性によっては、害虫防除部材10の先端12Aを第2の係合部55に係合させた後、先端11Aを第1の係合部54に係合させてもよい。
【0052】
そしてまた、実施の形態1では、害虫防除部材10の弾性変形を利用してホルダ部材50に害虫防除部材10を保持させた場合について説明したが、これに限らず、ホルダ部材50の弾性変形を利用してホルダ部材50に害虫防除部材10を保持させてもよい。
【0053】
さらにまた、上述した実施の形態1の場合、対象物100と害虫防除部材10の平面部11との間に、ホルダ部材50の平面部51の厚さ分の隙間が形成されることになるが、ホルダ部材50に害虫防除部材10を保持させた際に、害虫防除部材10の平面部11のホルダ部材50に保持されない領域が水平方向に沿って対象物100に接触するように、この領域を対象物100側に凸部を形成してもよい。このようにすることで、害虫防除システム1の右側端となる位置から左側端となる位置に亘る領域が対象物100に接触し、この接触領域が害虫の侵入経路上に存在することになるため、害虫をさらに効率よく防除することができる。なお、この場合、凸部は、ホルダ部材50と、これに隣接するホルダ部材50に亘って連続して形成することが好ましいが、平面部11の上下方向全域に亘って形成させる必要はない。したがって、例えば、凸部は、ホルダ部材50と、これに隣接するホルダ部材50に亘って連続して形成された線状を有していてもよい。
【0054】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2にかかる害虫防除システムについて図面を参照して説明する。なお、実施の形態2では、実施の形態1で説明した部材と同様の部材には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0055】
図8は、本発明の実施の形態2にかかる害虫防除システムの構成要素である害虫防除部材の斜視図、図9は、実施の形態2にかかる害虫防除システムの構成要素であるホルダ部材の側面図、図10は、図9に示すホルダ部材に図8に示す害虫防除部材を保持させた状態を示す断面図、図11及び図12は、図9に示すホルダ部材に図8に示す害虫防除部材を保持させる工程の一部を示す断面図、図13は、図9に示すホルダ部材に図8に示す害虫防除部材を保持させた状態の一部を破断して示す斜視図である。なお、前記各図では、説明を判り易くするため、各部材の厚さやサイズ、拡大・縮小率等は、実際のものとは一致させずに記載した。
【0056】
実施の形態2にかかる害虫防除システム2は、図13に示すように、少なくとも樹脂と害虫防除剤を含有して構成され、弾性変形可能な害虫防除部材20と、害虫から保護すべき対象物100に取付けられ、害虫防除部材20を着脱可能に保持するホルダ部材60とを備えている。
【0057】
害虫防除部材20は、図8及び図10〜図13に示すように、実施の形態1で説明した害虫防除部材10の背面に、第1の係合爪21と第2の係合爪22を互いに間隔をおいて対向配置した構成を有している。第1の係合爪21は、平面部11の先端11Aに連続形成され且つ平面部11に対し略垂直に屈曲された平面部23と、平面部23に連続形成され且つ平面部23に対し略垂直に第2の係合爪22に向けて屈曲された平面部24とを備えて構成されている。また、第2の係合爪22は、平面部11の湾曲部12側の先端に連続形成され且つ平面部11に対し略垂直に屈曲された平面部25と、平面部25に連続形成され且つ平面部25に対し略垂直に第1の係合爪21に向けて屈曲された平面部26とを備えて構成されている。
【0058】
第1の係合爪21と第2の係合爪22は、害虫防除部材20がホルダ部材60に取付けられた際に、平面部24及び26の対象物100に対向する面が対象物100接触するよう、平面部23及び25の平面部11に対する突出長さと平面部24及び26の厚さが設定されている。なお、この害虫防除部材20は、後に詳述するが、第1の係合爪21と第2の係合爪22を、後に詳述するホルダ部材60の段部63(図9〜図13参照)に係合させた状態で、複数のホルダ部材60に着脱可能に保持されることで対象物100に取付け及び取外し可能に配設される。
【0059】
ホルダ部材60は、図13に示すように、略水平方向に所定の間隔をおいて対象物100に複数取付けられている。このホルダ部材60は、図9〜図13に示すように、略円盤形状を有する円盤部61と、円盤部61と略同心円状に円盤部61から連続的に突出形成され且つ円盤部61よりも径が小さい円盤形状を有するベース部62を有している。円盤部61とベース部62との境界部分には、円盤部61とベース部62との径の差によって形成される段部63が位置している。円盤部61は、図11に示すように、段部63側の径が、第1の係合爪21の平面部24の先端と、第2の係合爪22の平面部26の先端との距離よりも若干大きく、段部63から遠い側の径(先端側の径)が、平面部24の先端と平面部26の先端との距離とほぼ同じとなるように構成されている。そして、円盤部61の外周部には、段部63側に向けてなだらかに傾斜した湾曲面64が形成されている。
【0060】
なお、このホルダ部材60は、ベース部62の円盤部61とは反対側の面を対象物100に当接させた状態で、例えば、ネジ、ボルトとナット、釘、接着剤等、所望の固定部材により対象物100に取付けられている。このホルダ部材60は、所望により、対象物100に対して着脱可能に取付けてもよく、対象物100に固定してもよい。
【0061】
ホルダ部材60に害虫防除部材20を保持させるには、先ず、図11に示すように、害虫防除部材20の第1の係合爪21と第2の係合爪22を、ホルダ部材60の円盤部61の先端側に当接させる。次いで、この状態から、図12に示すように、害虫防除部材20をホルダ部材60に押し当てると、第1の係合爪21及び第2の係合爪22と、平面部11とが弾性変形しながら、第1の係合爪21の平面部24の先端と、第2の係合爪22の平面部26の先端を湾曲面64に沿って段部63に向けて移動させる。この状態からさらに害虫防除部材20をホルダ部材60に押し当てると、第1の係合爪21及び第2の係合爪22は、円盤部61を越え、害虫防除部材20は弾性復元し、図10に示すように、平面部24及び26が段部63に確実に係合する。このように、害虫防除部材20を、ワンタッチで簡単にホルダ部材60に保持させることができる。
【0062】
このようにしてホルダ部材60に保持された害虫防除部材20は、ホルダ部材60から延出しており、外部に露出された状態となっているため、害虫防除効果を効率よく発揮することができる。また、この時、平面部24及び26の対象物100と対向する面は、対象物100に接触しているため、害虫防除部材20の右側端となる位置から左側端となる位置に亘る領域が対象物100に接触し、この接触領域が害虫の侵入経路上に存在することになるため、害虫をさらに効率よく防除することができる。
【0063】
一方、ホルダ部材60から害虫防除部材20を取外す際は、例えば、害虫防除部材20の湾曲部12を下方に引いて、害虫防除部材20を弾性変形させ、第2の係合爪22と段部63との係合を解除すればよい。
【0064】
なお、害虫防除部材20は、基本的には、樹脂と、害虫防除剤とを含有して構成されていればよいが、例えば、実施の形態1で説明した害虫防除部材10と同様に構成することもできる。また、ホルダ部材60も、実施の形態1で説明したホルダ部材50に準じた材料から構成することができる。
【0065】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3にかかる害虫防除システムについて図面を参照して説明する。なお、実施の形態3では、実施の形態1及び2で説明した部材と同様の部材には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0066】
図14は、本発明の実施の形態3にかかる害虫防除システムの構成要素である害虫防除部材の斜視図、図15は、実施の形態3にかかる害虫防除システムの構成要素であるホルダ部材の側面図、図16は、図15に示すホルダ部材に図14に示す害虫防除部材を保持させた状態を示す断面図、図17及び図18は、図15に示すホルダ部材に図14に示す害虫防除部材を保持させる工程の一部を示す断面図、図19は、図15に示すホルダ部材に図14に示す害虫防除部材を保持させた状態の一部を破断して示す斜視図である。なお、前記各図では、説明を判り易くするため、各部材の厚さやサイズ、拡大・縮小率等は、実際のものとは一致させずに記載した。
【0067】
実施の形態3にかかる害虫防除システム3は、図19に示すように、少なくとも樹脂と害虫防除剤を含有して構成された害虫防除部材30と、害虫から保護すべき対象物100に取付けられ、害虫防除部材30を着脱可能に保持するホルダ部材70とを備えている。
【0068】
害虫防除部材30は、図14及び図16〜図19に示すように、平面部11と、平面部11に連続形成され、且つ害虫防除部材30がホルダ部材70に取付けられた際に、平面部11よりも対象物100側に突出して対象物100に接触可能な略半球状に湾曲した湾曲部32とを備えている。この害虫防除部材30は、特に図19に示すように、後に詳述するホルダ部材70の保持部76に平面部11を挿入させた状態で、複数のホルダ部材70に着脱可能に保持されることで対象物100に取付け及び取外し可能となっている。
【0069】
ホルダ部材70は、図19に示すように、略水平方向に所定の間隔をおいて対象物100に複数取付けられており、害虫防除部材30の一部を保持している。このホルダ部材70は、弾性変形可能であり、図15〜図19に示すように、略板状の平面部71と、平面部71に連続形成され且つ平面部71に対し略垂直に屈曲された略板状の平面部72と、平面部72に連続形成され且つその先端が平面部71に接触するように傾斜した傾斜部73と、傾斜部73に連続形成され且つ傾斜部73に対し平面部71から遠ざかる方向へ略垂直に屈曲された略板状の平面部74とを備えている。そして、平面部71及び72、傾斜部73及び平面部74によって画定される空間が、害虫防除部材30の平面部11を挿入して保持する保持部76となっている。
【0070】
なお、ホルダ部材70は、例えば、ネジ、ボルトとナット、釘、接着剤等、所望の固定部材により対象物100に取付けられている。このホルダ部材70は、所望により、対象物100に対して着脱可能に取付けてもよく、対象物100に固定してもよい。
【0071】
ホルダ部材70に害虫防除部材30を保持させるには、先ず、図17に示すように、害虫防除部材30の平面部11の先端11Aを、ホルダ部材70の平面部71と平面部74によって画定される空間に挿入する。次に、この状態で害虫防除部材30をホルダ部材70の保持部76に押し込もうとすると、図18に示すように、平面部74が平面部71から離れるようにホルダ部材70が弾性変形し、これによって形成された平面部71と平面部74との隙間に、害虫防除部材30の平面部11を挿入する。この状態からさらに害虫防除部材30を保持部76に押し込むことで、図16及び図19に示すように、ホルダ部材70に害虫防除部材30が76に完全に挿入され、害虫防除部材30は、ホルダ部材70の弾性復元力によって確実にホルダ部材70に保持される。このように、害虫防除部材30を、ワンタッチで簡単にホルダ部材70に保持させることができる。
【0072】
このようにしてホルダ部材70に保持された害虫防除部材30は、ホルダ部材70から延出しており、外部に露出された状態となっているため、害虫防除効果を効率よく発揮することができる。また、この時、湾曲部32の対象物100と対向する面の突出の頂点となる部分が対象物100に接触している。すなわち、害虫防除部材30の右側端となる位置から左側端となる位置に亘る領域が対象物100に接触し、この接触領域が害虫の侵入経路上に存在することになるため、害虫をさらに効率よく防除することができる。
【0073】
一方、ホルダ部材70から害虫防除部材30を取外す際は、ホルダ部材70の弾性復元力に抗して、害虫防除部材30を保持部76から引き抜けばよい。
【0074】
なお、害虫防除部材30は、基本的には、樹脂と、害虫防除剤とを含有して構成されていればよいが、例えば、実施の形態1で説明した害虫防除部材10と同様に構成することもできる。また、ホルダ部材70は、例えば、実施の形態1で説明した害虫防除部材10に使用される樹脂等を使用して構成することができる。
【0075】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4にかかる害虫防除システムについて図面を参照して説明する。なお、実施の形態4では、実施の形態1〜3で説明した部材と同様の部材には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0076】
図20は、本発明の実施の形態4にかかる害虫防除システムの構成要素である害虫防除部材の斜視図、図21は、実施の形態4にかかる害虫防除システムの構成要素であるホルダ部材の斜視図、図22は、図21に示すホルダ部材に図20に示す害虫防除部材を保持させた状態の一部を破断して示す斜視図である。なお、前記各図では、説明を判り易くするため、各部材の厚さやサイズ、拡大・縮小率等は、実際のものとは一致させずに記載した。
【0077】
実施の形態4にかかる害虫防除システム4は、図22に示すように、少なくとも樹脂と害虫防除剤を含有して構成された害虫防除部材40と、害虫から保護すべき対象物100に取付けられ、害虫防除部材40を着脱可能に保持するホルダ部材80とを備えている。
【0078】
害虫防除部材40は、図20及び図22に示すように、平面部11と、湾曲部12とを備えている。平面部11の先端11Aには、後に詳述するホルダ部材80の係合部84に係合する係合爪15が形成されている。係合爪15は、先端にいくにしたがって肉薄となるテーパ形状を有している。この害虫防除部材40は、後に詳述するホルダ部材80の係合部84に係合爪15を挿脱可能に係合させることで対象物100に取付け及び取外し可能となっている。
【0079】
ホルダ部材80は、特に図示しないが、前述した実施の形態と同様に、略水平方向に所定の間隔をおいて対象物100に複数取付けられており、害虫防除部材40の一部を保持している。このホルダ部材80は、図21及び22に示すように、略板状の平面部81を備えており、平面部81の先端に、害虫防除部材40に形成された係合爪15が挿脱可能に係合する係合部84が形成されている。係合部84は、先端にいくにしたがって肉薄となるテーパ形状を有しており、ホルダ部材80が対象物100に取付けられた際に、係合部84と対象物100との間に隙間が形成されるようになっている。
【0080】
なお、ホルダ部材80は、例えば、ネジ、ボルトとナット、釘、接着剤等、所望の固定部材により対象物100に取付けられている。このホルダ部材80は、所望により、対象物100に対して着脱可能に取付けてもよく、対象物100に固定してもよい。
【0081】
ホルダ部材80に害虫防除部材40を保持させるには、先ず、害虫防除部材40の平面部11の先端11Aに形成された係合爪15を、ホルダ部材80の係合部84と対象物100との間に形成された隙間に挿入する。次に、この状態で害虫防除部材40をさらに押し込むと、係合部84が弾性変形し、これによって拡げられた前記隙間に係合爪15を挿入される、この動作によって、係合爪15と係合部84は、係合部84の弾性復元力によって確実に係合すると共に、平面部11は、係合部84の弾性復元力によって対象物100に押圧され、平面部11の対象物100と対向する面が、対象物100に接触する。このように、害虫防除部材40を、ワンタッチで簡単にホルダ部材80に保持させることができる。
【0082】
このようにしてホルダ部材80に保持された害虫防除部材40は、ホルダ部材80から延出しており、外部に露出された状態となっているため、害虫防除効果を効率よく発揮することができる。また、この時、平面部11の対象物100と対向する面が対象物100に接触しているため、この接触領域が害虫の侵入経路上に存在することになり、害虫をさらに効率よく防除することができる。
【0083】
一方、ホルダ部材80から害虫防除部材40を取外す際は、例えば、害虫防除部材40の湾曲部12を下方に引いて、害虫防除部材40及び係合部84を弾性変形させ、係合爪15と係合部84との係合を解除すればよい。
【0084】
なお、害虫防除部材40は、基本的には、樹脂と、害虫防除剤とを含有して構成されていればよいが、例えば、実施の形態1で説明した害虫防除部材10と同様に構成することもできる。また、ホルダ部材80は、例えば、実施の形態1で説明した害虫防除部材10に使用される樹脂等を使用して構成することができる。
【0085】
そしてまた、害虫防除部材40は、平面部11の代わりに、図23及び図25に示すように、湾曲部12の先端12Aとは反対側の先端に、湾曲部12と連続形成され且つ略垂直方向に屈曲した平面部41を形成してもよい。この平面部41は、図23でいう下面に係合爪16が形成されており、この係合爪16が、図23及び図25に示すホルダ部材90に形成された係合部94に挿脱可能に係合されるようになっている。平面部41は、害虫防除部材40がホルダ部材90に保持された際に、対象物100と対向する面が、対象物100に接触するようになっている。係合爪16は、平面部41に対し略垂直方向に突出しており、その先端に、略やじり状の爪が両側に延出して形成されている。なお、係合爪16は、係合爪15と同様に、片側にやじり状に突出した形状であってもよい。
【0086】
ホルダ部材90は、特に図示しないが、前述した実施の形態と同様に、略水平方向に所定の間隔をおいて対象物100に複数取付けられており、害虫防除部材40の一部を保持している。このホルダ部材90は、図24及び図25に示すように、略直方体の一面(図24及び図25でいう上面)に、係合爪16が係合する係合部94が形成されている。この係合部94は、係合爪16が挿入される係合孔96と、係合孔96の入口に対向して形成され且つ当該入口を狭くするために互いに近づく方向に延出された凸部97及び98を備えている。
【0087】
なお、ホルダ部材90は、例えば、ネジ、ボルトとナット、釘、接着剤等、所望の固定部材により対象物100に取付けられている。このホルダ部材90は、所望により、対象物100に対して着脱可能に取付けてもよく、対象物100に固定してもよい。
【0088】
ホルダ部材90に図23に示す害虫防除部材40を保持させるには、先ず、害虫防除部材40の係合爪16をホルダ部材90の係合部94に押し当てると、係合爪16が弾性変形し、係合孔96内に挿入される。係合爪16が係合孔96内に挿入されると、係合爪16は弾性復元して、係合部94の凸部97及び98に確実に係合すると共に、平面部41の対象物100と対向する面が、対象物100に接触する。このように、害虫防除部材40を、ワンタッチで簡単にホルダ部材90に保持させることができる。
【0089】
なお、この場合も、ホルダ部材90に保持された害虫防除部材40は、ホルダ部材90から延出しており、外部に露出された状態となっているため、害虫防除効果を効率よく発揮することができる。また、この時、平面部41の対象物100と対向する面が対象物100に接触しているため、この接触領域が害虫の侵入経路上に存在することになり、害虫をさらに効率よく防除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる害虫防除システムを示す斜視図である。
【図2】図1に示す害虫防除システムの構成要素である害虫防除部材の斜視図である。
【図3】図1に示す害虫防除システムの構成要素であるホルダ部材の斜視図である。
【図4】図3に示すホルダ部材に図2に示す害虫防除部材を保持させた状態を示す断面図である。
【図5】図3に示すホルダ部材に図2に示す害虫防除部材を保持させる工程の一部を示す断面図である。
【図6】図3に示すホルダ部材に図2に示す害虫防除部材を保持させる工程の一部を示す断面図である。
【図7】図3に示すホルダ部材に図2に示す害虫防除部材を保持させた状態の一部を破断して示す斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態2にかかる害虫防除システムの構成要素である害虫防除部材の斜視図である。
【図9】実施の形態2にかかる害虫防除システムの構成要素であるホルダ部材の側面図である。
【図10】図9に示すホルダ部材に図8に示す害虫防除部材を保持させた状態を示す断面図である。
【図11】図9に示すホルダ部材に図8に示す害虫防除部材を保持させる工程の一部を示す断面図である。
【図12】図9に示すホルダ部材に図8に示す害虫防除部材を保持させる工程の一部を示す断面図である。
【図13】図9に示すホルダ部材に図8に示す害虫防除部材を保持させた状態の一部を破断して示す斜視図である。
【図14】本発明の実施の形態3にかかる害虫防除システムの構成要素である害虫防除部材の斜視図である。
【図15】実施の形態3にかかる害虫防除システムの構成要素であるホルダ部材の側面図である。
【図16】図15に示すホルダ部材に図14に示す害虫防除部材を保持させた状態を示す断面図である。
【図17】図15に示すホルダ部材に図14に示す害虫防除部材を保持させる工程の一部を示す断面図である。
【図18】図15に示すホルダ部材に図14に示す害虫防除部材を保持させる工程の一部を示す断面図である。
【図19】図15に示すホルダ部材に図14に示す害虫防除部材を保持させた状態の一部を破断して示す斜視図である。
【図20】本発明の実施の形態4にかかる害虫防除システムの構成要素である害虫防除部材の斜視図である。
【図21】実施の形態4にかかる害虫防除システムの構成要素であるホルダ部材の斜視図である。
【図22】図21に示すホルダ部材に図20に示す害虫防除部材を保持させた状態の一部を破断して示す斜視図である。
【図23】本発明の他の実施の形態にかかる害虫防除システムの構成要素である害虫防除部材の斜視図である。
【図24】本発明の他の実施の形態にかかる害虫防除システムの構成要素であるホルダ部材の斜視図である。
【図25】図24に示すホルダ部材に図23に示す害虫防除部材を保持させた状態の一部を破断して示す斜視図である。
【符号の説明】
【0091】
1、2、3、4 害虫防除システム
10、20、30、40 害虫防除部材
11、23〜26、41、71〜74、81 平面部
12、32 湾曲部
15、16 係合爪
50、60、70、80、90 ホルダ部材
54、55、84、94 係合部
56、76 保持部
100 対象物
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、建物や、各種機器のハウジング、或いは植物等、様々な対象物に設置可能であり、当該対象物内に害虫が侵入することを防止する、或いは駆除する害虫防除システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、例えば、ゴキブリ、蟻、クモ、ムカデ等の昆虫等や、ネズミ等の小動物等(以下、このような昆虫や小動物等を総称して「害虫」と記す)が、建物や各種機器等のような様々な対象物内に侵入することを防止するため、害虫防除性能を有する薬剤を対象物の周りに散布することが行われている。
【0003】
このような害虫防除性能を有する薬剤として、例えば、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂より選ばれる少なくとも1種の樹脂と、スルホンアミド誘導体、スルホン酸エステル誘導体、リン酸エステル誘導体、ホスファゼン誘導体、カルボン酸アミド誘導体、カルボン酸エステル誘導体より選ばれる少なくとも1種の化合物と、小動物防除性を有する薬剤と、を含有する小動物防除性樹脂組成物を、構造材料等として用いられる樹脂材料として用い、この樹脂材料から構成された害虫防除部材が紹介されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
近年では、人体への悪影響や環境汚染等の問題から、前記薬剤を散布する代わりに、例えば、害虫防除成分が含有された樹脂から構成された害虫防除部材を害虫から保護すべき対象物に取付けることにより、当該害虫防除部材から徐々に放出される害虫防除成分の効果によって、前記対象物を害虫から保護するものが紹介されている。(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、建物やハウジング等の対象物に設置され、害虫防除成分が含有された材料から少なくとも一部が形成されると共に、当該害虫の対象物に対する侵入経路を強制的に変更し、当該侵入経路に沿って前進する害虫を落下或いは前進を停止させる害虫防除部材も紹介されている。(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2000−212005号公報
【特許文献2】特開2004−357553号公報
【特許文献3】特開2008−35776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1〜3に記載された発明は、例えば、建物や各種機器のハウジング等、様々な対象物に害虫防除部材を簡単に取付け、或いは取外しを行うことで、害虫防除部材の交換等のメンテナンスを容易に行うことができる構成については考慮されていない。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、対象物に対し害虫防除部材を簡単に取付け及び取外し可能であり、害虫防除部材の交換等のメンテナンスを容易に行うことができ、適切な害虫防除効果を継続的に発揮させることが可能な害虫防除システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため本発明は、害虫から保護すべき対象物に設置可能であり、当該対象物内に害虫が侵入することを防除する害虫防除システムであって、樹脂と害虫防除剤とを含有する害虫防除部材と、前記対象物に取付けられ、前記害虫防除部材を着脱可能に保持するホルダ部材と、を備えてなり、前記害虫防除部材は、少なくとも一部が前記ホルダ部材から突出した状態で配設されてなる害虫防除システムを提供するものである。
【0010】
この構成を備えた害虫防除システムは、害虫防除部材をホルダ部材によって対象物に着脱可能に取付けられるため、当該対象物に対し害虫防除部材を簡単に取付け及び取外し可能である。このため、害虫防除部材の交換等のメンテナンスを容易に行うことができる。したがって、常に適切な害虫防除効果を継続的に発揮させることができる。また、前記害虫防除部材の少なくとも一部が、前記ホルダ部材から突出した状態で配設されているため、当該害虫防除部材の一面全てをホルダ部材によって覆う場合に比べ、害虫防除部材の露出される面積を大きく取ることができる。したがって、害虫防除効果を効率よく発揮することができる。
【0011】
また、本発明にかかる害虫防除システムでは、前記害虫防除部材を複数のホルダ部材によって着脱可能に保持することもできる。このようにすることで、害虫防除部材をさらに安定して対象物に取付けることができる。
【0012】
そしてまた、本発明にかかる害虫防除システムでは、前記害虫防除部材は、前記対象物に対する害虫の侵入経路を強制的に変更し、当該侵入経路に沿って前進する害虫を落下させる及び/または害虫の前進を停止させる侵入経路変更部を有することができる。害虫防除部材をこのように構成することで、前記利点に加え、害虫が対象物に侵入することを物理的に阻止することもできる。
【0013】
さらにまた、本発明にかかる害虫防除システムでは、前記害虫防除部材は、前記ホルダ部材によって前記対象物に取付けられた際に、当該害虫防除部材の一部であり且つ当該害虫防除部材の右側端となる位置から左側端となる位置に亘る領域が、前記対象物と接触してなるよう構成することもできる。このように構成することで、害虫防除部材が害虫の侵入経路上に存在することになるため、前記利点に加え、害虫をさらに効率よく防除することができる。
【0014】
また、本発明にかかる害虫防除システムでは、前記ホルダ部材は、前記害虫防除部材の一端と係脱可能に係合する第1の係合部と、前記害虫防除部材の他端と係脱可能に係合する第2の係合部と、を備え、前記害虫防除部材は、前記第1の係合部に係合した一端を支点として弾性変形することにより、前記他端を前記第2の係合部に挿入し、弾性復元することで当該他端を当該第2の係合部に係合させるよう構成することもできる。このように構成することで、前記ホルダ部材と害虫防除部材とがファスニング機構によって着脱されることになる。したがって、ホルダ部材に対し害虫防除部材をワンタッチで簡単に着脱することができる。
【0015】
そしてまた、本発明にかかる害虫防除システムでは、前記ホルダ部材は、前記害虫防除部材を受容して保持する保持部を備え、前記保持部は、弾性変形することにより、前記害虫防除部材を受容し、弾性復元することで当該害虫防除部材を保持するよう構成することもできる。このように構成することで、前記ホルダ部材と害虫防除部材とがファスニング機構によって着脱されることになる。したがって、ホルダ部材に対し害虫防除部材をワンタッチで簡単に着脱することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる害虫防除システムは、害虫防除部材がホルダ部材から突出した状態で、当該ホルダ部材によって対象物に着脱可能に取付けられるため、当該対象物に対し害虫防除部材を簡単に取付け及び取外し可能であると共に、害虫防除部材の露出される面積を大きく取ることができる。この結果、害虫防除部材の交換等のメンテナンスを容易に行うことができ、且つ害虫防除効果を効率よく発揮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の好適な実施の形態にかかる害虫防除システムについて図面を参照して説明する。なお、以下に記載される実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施の形態にのみ限定するものではない。したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる害虫防除システムを示す斜視図、図2は、図1に示す害虫防除システムの構成要素である害虫防除部材の斜視図、図3は、図1に示す害虫防除システムの構成要素であるホルダ部材の斜視図、図4は、図3に示すホルダ部材に図2に示す害虫防除部材を保持させた状態を示す断面図、図5及び図6は、図3に示すホルダ部材に図2に示す害虫防除部材を保持させる工程の一部を示す断面図、図7は、図3に示すホルダ部材に図2に示す害虫防除部材を保持させた状態の一部を破断して示す斜視図である。なお、前記各図では、説明を判り易くするため、各部材の厚さやサイズ、拡大・縮小率等は、実際のものとは一致させずに記載した。
【0019】
図1に示す害虫防除システム1は、少なくとも樹脂と害虫防除剤を含有して構成され、弾性変形可能な害虫防除部材10と、害虫から保護すべき対象物100に取付けられ、害虫防除部材10を着脱可能に保持するホルダ部材50とを備えている。
【0020】
害虫防除部材10は、図2及び図4〜図7に示すように、略板状の平面部11と、平面部11に連続形成され且つ略半球状に湾曲した湾曲部12とを備え、側面視で略J字状を呈している。この害虫防除部材10は、特に図4に示すように、平面部11の先端11Aを、後に詳述するホルダ部材50の第1の係合部54(図3〜図7参照)に係合させ、且つ、湾曲部12の先端12Aを、後に詳述するホルダ部材50の第2の係合部55(図3〜図7参照)に係合させた状態で、複数のホルダ部材50に着脱可能に保持されることで対象物100に取付け及び取外し可能に配設される。
【0021】
湾曲部12は、害虫防除部材10がホルダ部材50に保持された際に、先端12Aが下方(地面)を向いた状態で湾曲されており、対象物100に対する害虫の侵入経路を強制的に変更し、侵入経路に沿って前進する害虫を落下させたり、前進を停止させる役割を果たしている。
【0022】
この害虫防除部材10は、後に詳述する複数のホルダ部材50によってその一部が保持されることにより、対象物100に取付けられる。すなわち、害虫防除部材10は、特に図1に示すように、ホルダ部材50から水平方向(図1でいう左右方向)に突出した(延出した)状態で対象物100に取付けられており、ホルダ部材50に保持されていない領域は、外部に露出された状態となっており、害虫防除効果を効率よく発揮することができる。
【0023】
ホルダ部材50は、図1に示すように、略水平方向に所定の間隔をおいて対象物100に複数取付けられており、害虫防除部材10の一部を保持している。すなわち、ホルダ部材50は、対象物100に取付けられている際に、水平方向(図1でいう左右方向)の長さが害虫防除部材10の水平方向の長さよりも短く構成されている。このホルダ部材50は、図3〜図7に示すように、略板状の平面部51と、平面部51に連続形成され且つ平面部51に対し略垂直に屈曲された略板状の平面部52と、平面部52に連続形成された湾曲部53とを備えている。平面部51の先端には、略U字状に屈曲し、当該屈曲により形成された内側空間に害虫防除部材10の先端11Aを係脱可能に係合する第1の係合部54が形成されている。また、湾曲部53の先端には、略U字状に屈曲し、当該屈曲により形成された内側空間に害虫防除部材10の湾曲部12側の先端12Aを係脱可能に係合する第2の係合部55が形成されている。なお、ホルダ部材50の内側空間によって、害虫防除部材10を保持する保持部56が形成されている。
【0024】
なお、ホルダ部材50は、例えば、ネジ、ボルトとナット、釘、接着剤等、所望の固定部材により対象物100に取付けられている。このホルダ部材50は、所望により、対象物100に対して着脱可能に取付けてもよく、対象物100に固定してもよい。
【0025】
このホルダ部材50に害虫防除部材10を保持させるには、先ず、図5に示すように、害虫防除部材10の平面部11側の先端11Aを、ホルダ部材50の第1の係合部54によって画定される内部空間内に挿入するように、第1の係合部54の先端に引っ掛けて、図6に示すように、先端11Aを支点として害虫防除部材10を図5及び図6でいう反時計回りに回転させながら、害虫防除部材10を弾性変形させ、害虫防除部材10を保持部56内に押し込んで収容し、図4に示すように、害虫防除部材10の湾曲部12側の先端12Aをホルダ部材50の第2の係合部55によって画定される内部空間内に挿入する。この動作により、害虫防除部材10は弾性復元し、先端12Aが第2の係合部55に係合する。このように、害虫防除部材10を、ワンタッチで簡単にホルダ部材50に保持させることができる。
【0026】
一方、ホルダ部材50から害虫防除部材10を取外す際は、図4に示す害虫防除部材10の湾曲部12を上方(平面部52に近づける方向)に持ち上げるように弾性変形させ、害虫防除部材10の先端12Aと第2の係合部55との係合を解除すればよい。或いは、湾曲部12を弾性変形させ、害虫防除部材10の先端11Aと第1の係合部54との係合を解除すればよい。
【0027】
なお、害虫防除部材10は、基本的には、樹脂と、害虫防除剤とを含有して構成されていればよいが、実施の形態1では、可塑剤、無機充填剤、添加剤の少なくとも1種を、樹脂及び害虫防除剤に加え、これらを混練して所望の形状に成型することで得た。
【0028】
害虫防除部材10に含有される樹脂は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリスチレン樹脂(PS)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリカーボネート樹脂(PC)、塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリフェニレンオキシド樹脂(PPO)、ポリカプロラクトン樹脂(PCL)、ポリブチレンサクシネート樹脂(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート樹脂(PBSA)、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、(EVA)、エチレン・アクリル酸エチル共重合樹脂(EEA)、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、液晶性ポリエステル樹脂の何れか1種を単独で、またはこれらから選ばれた2種以上の混合物、及びこれらの樹脂にエストラマーを混合した熱可塑性エストラマーの少なくとも1種の樹脂を選択することができる。
【0029】
ポリアミド樹脂の具体例としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12樹脂等のポリアミド樹脂、ポリアミドMXD、ポリアミド6T樹脂等の芳香族ポリアミド樹脂を例示できる。
【0030】
ポリアセタール樹脂の具体例としては、オキシメチレン単位のみからなる単独重合体の他、オキシメチレン単位を主成分とし、これに副成分としてオキシエチレン単位等の他の共重合単位を含む共重合体、これらを架橋させてなる架橋重合体、またはグラフト共重合させてなるグラフト共重合体を例示できる。
【0031】
ポリエチレン樹脂の具体例としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンを例示できる。
【0032】
ポリプロピレン樹脂の具体例としては、ポリプロピレンのホモポリマー、及びエチレンとプロピレンのランダム共重合体やブロック共重合体を例示できる。
【0033】
また、害虫防除部材10に含有される害虫防除剤としては、各種の農業害虫、衛生害虫その他の昆虫類、蜘蛛類、ダニ類、鼠等の小動物の防除活性を有する薬剤であり、小動物忌避活性を有する化合物、殺虫活性、殺ダニ活性、殺蜘蛛活性若くは殺鼠活性等の殺小動物活性を有する化合物、小動物の摂食阻害活性を有する化合物、小動物の成長コントロール活性を有する化合物等を例示できる。
【0034】
このような害虫防除剤の具体例としては、イミダクロプリドの様なクロロニコチニル系殺虫剤、シラフルオフェンの様なケイ素原子を有するネオフィルラジカルからなる化合物、ベンフラカルブ、アラニカルブ、メトキシジアゾン、カルボスファン、フェノブカルブ、カルバリル、メソミル、プロポクサー、フェノキシカルブ等のカーバメート系化合物、ピレトリン、アレスリン、dl,d-T80−アレスリン、d-T80-レスメトリン、バイオアレスリン、d-T80-フタルスリン、フタルスリン、レスメトリン、フラメトリン、プロパスリン、ペルメトリン、アクリナトリン、エトフェンプロックス、トラロメトリン、フェノトリン、d-フェノトリン、フェンバレレート、エンペントリン、プラレトリン、テフルスリン、ベンフルスリン等のピレスロイド系化合物、ジクロロボス、フェニトロチオン、ダイアジノン、マラソン、プロモフォス、フェンチオン、トリクロルホン、ナレド、テメホス、フェンクロホス、クロルピリホスメチル、シアホス、カルクロホス、アザメチホス、ピリダフェンチオン、プロペタンホス、クロルピリホス等の有機リン系化合物及びこれらの異性体、誘導体、類縁体等を例示できる。また、メトプレン、ピリプロキシフェン、キノプレン、ハイドロプレン、デオヘノラン、NC-170、フルフェノロクスロン、ジフルベンズロン、ルフェヌロン、クロルアズロン等の小動物の成長をコントロールする活性を有する化合物が挙げられる。また、殺ダニ剤としてケルセン、クロルフェナビル、デブフェンピラドピリダベン、ミルベメクチン、フェンピロキシメート、殺鼠剤としてはシリロシド、ノルボマイド、隣化亜鉛、硫酸タリウム、貴隣、アンツー、ワルファリン、エンドサイド、クマリン、クマテトラリン、プロマジオロン、ディフェチアロン等が挙げられる。さらに、タイワンヒノキ、アスナロ、ヒノキアスナロ(青森ヒバ)等に含まれるヒノキチオールや、ハーブや、ヒノキに含まれるカジノール誘導体(α−カジノール,T−カジノール)や、クローブ、ナツメグ、コリアンダー、クミン等の香油植物に多く含まれるゲラニオール、ピネン、カリオフィレン、ボルネオール、オイゲノール等の天然由来の薬剤も使用することができる。
【0035】
可塑剤としては、前記樹脂に対して可塑性能を付与し得るものであれば特に限定されるものではないが、例えば、スルホンアミド誘導体、スルホン酸エステル誘導体、カルボン酸アミド誘導体、カルボン酸エステル誘導体より選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましく、これらは、害虫防除成分を溶解保持し、徐放性を付与する作用を有するものと考えられる。このような可塑剤のうち、カルボン酸エステル誘導体としては、水酸基、ニトロ基、アミノ基、エポキシ基、ハロゲン等で置換されてもよい各種カルボン酸のアルキルエステル、芳香族エステル等を例示でき、水酸基やエポキシ基を有するものはポリアミドとの相溶性が良好であるため好ましい。
【0036】
なお、可塑剤の中には、害虫防除剤が含有する害虫防除成分を徐々に放出させるための徐放性を付与する作用を有するものがあり、このような可塑剤を添加することで、薬理的な害虫防除効果を長期間にわたって発揮させることが期待できる。
【0037】
無機充填材としては、粒子状無機充填材、繊維状無機充填材、或いは鱗片状無機充填材を使用することができる。
【0038】
粒子状無機充填材としては、チタン酸カリウム粒子、チタニア粒子、単斜晶系チタニア粒子、シリカ粒子等を例示でき、これらを単独で又は混合して用いることができる。該粒子状無機充填材の中では、チタン酸カリウム粒子が特に好ましい。
【0039】
また、繊維状無機充填材としては、例えば、平均繊維径0.05〜10μm、平均繊維長3〜150μm、好ましくは、平均繊維径0.1〜7μm、平均繊維長5〜50μmの形状を有する繊維状無機充填材を好適に使用することができ、該繊維状無機充填材としては、例えば、4チタン酸カリウム繊維、6チタン酸カリウム繊維、8チタン酸カリウム繊維、チタニア繊維、単斜晶系チタニア繊維、シリカ繊維、ワラストナイト、ゾノトライト等を例示でき、これらを単独で又は混合して用いることができる。これらの繊維状無機充填剤の中では、8チタン酸カリウム繊維が特に好ましい。
【0040】
また、鱗片状無機充填材としては、チタン酸カリウム、チタン酸カリウムリチウム、チタン酸カリウムマグネシウム、タルク、合成マイカ、天然マイカ、セリサイト、板状アルミナ、窒化ホウ素等を例示でき、これらを単独で又は混合して用いることができる。該鱗片状無機充填材の中では、チタン酸カリウムが特に好ましい。
【0041】
無機充填材は、そのままでも使用し得るが、樹脂との界面接着性を向上させ機械的物性を一層向上させるために、アミノシラン、エポキシシラン、アクリルシラン等のシランカップリング剤またはチタネートカップリング剤等の表面処理剤で表面処理して用いてもよい。
【0042】
また、害虫防除部材10には、本発明の目的を損なわない範囲で、ゼオライト、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、珪酸カルシウム、酸化亜鉛、ホウ酸アルミニウム、アルミナ(酸化アルミニウム)等の無機充填材を併用することもできる。
【0043】
なお、無機充填材の中には、害虫防除剤が含有する害虫防除成分を徐々に放出させるための徐放性を付与する作用を有するものがあり、このような無機充填材を添加することで、薬理的な害虫防除効果を長期間にわたって発揮させることが期待できる。また、無機充填材の配合は機械的物性の向上にも寄与し得るものとなる。
【0044】
また、害虫防除部材10には、樹脂表面における皮膜形成を抑制し得る添加剤を含有させることができる。このような添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、紫外線吸収性光安定剤、ヒンダードアミン系光安定剤、及びカーボンからなる群より選択される1種または2種以上を挙げることができる。
【0045】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)]、ビス-[3,3-ビス-(4’-ハイドロキシ-3’-tert-ブチルフェニル)-ブタノイックアシッド]-グリコールエステル、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,3',3'',5,5',5''-ヘキサ-tert-ブチル-a,a',a''-(メチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のヒンダードフェノール系酸化防止剤を挙げることができる。
【0046】
リン系酸化防止剤としては、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)フォスファイト、トリス[2-[[2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン-6-イル]オキシ]エチル]アミン、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジイルビスホスフォナイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-フェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリストールジフォスファイト等のリン系酸化防止剤を挙げることができる。
【0047】
紫外線吸収剤としては、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール、プロパンジオックアシッド,[(4-メトキシフェニル)-メチレン]-ジメチルエステル等の紫外線吸収剤を挙げることができる。
【0048】
ヒンダードアミン系光安定剤としては、N,N’,N’’,N’’’-テトラキス-(4,6-ビス-(ブチル-(Nメチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)-トリアジン-2-イル)-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、ポリ[(6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ))、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、2,2,4,4-テトラメチル-7-オキサ-3,20-ジアザ-ジスピロ-[5.1.11.2]-ヘンエイコサン-21-オン、プロパン二酸,[(4-メトキシフェニル)-メチレン]-,ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)エステル、1,3-ベンゼンジカルボキシアミド、N,N-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)、2-エチル,2'-エトキシ-オキサラニリド等のヒンダードアミン系光安定剤を挙げることができる。
【0049】
なお、添加剤は、これらを単独でまたは混合して用いることができる。中でも、ベースレジンとの相溶性と皮膜形成の阻害性に優れるという観点から、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)]、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)フォスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジイルビスホスフォナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-エチル,2'-エトキシ-オキサラニリド、N,N’,N’’,N’’’-テトラキス-(4,6-ビス-(ブチル-(Nメチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)-トリアジン-2-イル)-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、ポリ[(6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ))、1,3-ベンゼンジカルボキシアミド、N,N'-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)を好適に使用できる。
【0050】
ホルダ部材50は、害虫防除部材10と同様の樹脂から構成してもよく、異なった種類の樹脂から構成してもよい。また、害虫防除部材10の弾性変形を利用してホルダ部材50に害虫防除部材10を保持させる場合、ホルダ部材50は、樹脂以外の材料(例えば、金属やセラミックス等)から構成してもよい。
【0051】
また、実施の形態1では、害虫防除部材10の先端11Aを第1の係合部54に係合させて先端11Aを支点として害虫防除部材10を弾性変形させ、害虫防除部材10の先端12Aを第2の係合部55によって画定される内部空間内に挿入し、次いで、害虫防除部材10が弾性復元することにより先端12Aを第2の係合部55に係合させることで、ホルダ部材50に害虫防除部材10を保持させた場合について説明したが、これに限らず、害虫防除部材10の弾性によっては、害虫防除部材10の先端12Aを第2の係合部55に係合させた後、先端11Aを第1の係合部54に係合させてもよい。
【0052】
そしてまた、実施の形態1では、害虫防除部材10の弾性変形を利用してホルダ部材50に害虫防除部材10を保持させた場合について説明したが、これに限らず、ホルダ部材50の弾性変形を利用してホルダ部材50に害虫防除部材10を保持させてもよい。
【0053】
さらにまた、上述した実施の形態1の場合、対象物100と害虫防除部材10の平面部11との間に、ホルダ部材50の平面部51の厚さ分の隙間が形成されることになるが、ホルダ部材50に害虫防除部材10を保持させた際に、害虫防除部材10の平面部11のホルダ部材50に保持されない領域が水平方向に沿って対象物100に接触するように、この領域を対象物100側に凸部を形成してもよい。このようにすることで、害虫防除システム1の右側端となる位置から左側端となる位置に亘る領域が対象物100に接触し、この接触領域が害虫の侵入経路上に存在することになるため、害虫をさらに効率よく防除することができる。なお、この場合、凸部は、ホルダ部材50と、これに隣接するホルダ部材50に亘って連続して形成することが好ましいが、平面部11の上下方向全域に亘って形成させる必要はない。したがって、例えば、凸部は、ホルダ部材50と、これに隣接するホルダ部材50に亘って連続して形成された線状を有していてもよい。
【0054】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2にかかる害虫防除システムについて図面を参照して説明する。なお、実施の形態2では、実施の形態1で説明した部材と同様の部材には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0055】
図8は、本発明の実施の形態2にかかる害虫防除システムの構成要素である害虫防除部材の斜視図、図9は、実施の形態2にかかる害虫防除システムの構成要素であるホルダ部材の側面図、図10は、図9に示すホルダ部材に図8に示す害虫防除部材を保持させた状態を示す断面図、図11及び図12は、図9に示すホルダ部材に図8に示す害虫防除部材を保持させる工程の一部を示す断面図、図13は、図9に示すホルダ部材に図8に示す害虫防除部材を保持させた状態の一部を破断して示す斜視図である。なお、前記各図では、説明を判り易くするため、各部材の厚さやサイズ、拡大・縮小率等は、実際のものとは一致させずに記載した。
【0056】
実施の形態2にかかる害虫防除システム2は、図13に示すように、少なくとも樹脂と害虫防除剤を含有して構成され、弾性変形可能な害虫防除部材20と、害虫から保護すべき対象物100に取付けられ、害虫防除部材20を着脱可能に保持するホルダ部材60とを備えている。
【0057】
害虫防除部材20は、図8及び図10〜図13に示すように、実施の形態1で説明した害虫防除部材10の背面に、第1の係合爪21と第2の係合爪22を互いに間隔をおいて対向配置した構成を有している。第1の係合爪21は、平面部11の先端11Aに連続形成され且つ平面部11に対し略垂直に屈曲された平面部23と、平面部23に連続形成され且つ平面部23に対し略垂直に第2の係合爪22に向けて屈曲された平面部24とを備えて構成されている。また、第2の係合爪22は、平面部11の湾曲部12側の先端に連続形成され且つ平面部11に対し略垂直に屈曲された平面部25と、平面部25に連続形成され且つ平面部25に対し略垂直に第1の係合爪21に向けて屈曲された平面部26とを備えて構成されている。
【0058】
第1の係合爪21と第2の係合爪22は、害虫防除部材20がホルダ部材60に取付けられた際に、平面部24及び26の対象物100に対向する面が対象物100接触するよう、平面部23及び25の平面部11に対する突出長さと平面部24及び26の厚さが設定されている。なお、この害虫防除部材20は、後に詳述するが、第1の係合爪21と第2の係合爪22を、後に詳述するホルダ部材60の段部63(図9〜図13参照)に係合させた状態で、複数のホルダ部材60に着脱可能に保持されることで対象物100に取付け及び取外し可能に配設される。
【0059】
ホルダ部材60は、図13に示すように、略水平方向に所定の間隔をおいて対象物100に複数取付けられている。このホルダ部材60は、図9〜図13に示すように、略円盤形状を有する円盤部61と、円盤部61と略同心円状に円盤部61から連続的に突出形成され且つ円盤部61よりも径が小さい円盤形状を有するベース部62を有している。円盤部61とベース部62との境界部分には、円盤部61とベース部62との径の差によって形成される段部63が位置している。円盤部61は、図11に示すように、段部63側の径が、第1の係合爪21の平面部24の先端と、第2の係合爪22の平面部26の先端との距離よりも若干大きく、段部63から遠い側の径(先端側の径)が、平面部24の先端と平面部26の先端との距離とほぼ同じとなるように構成されている。そして、円盤部61の外周部には、段部63側に向けてなだらかに傾斜した湾曲面64が形成されている。
【0060】
なお、このホルダ部材60は、ベース部62の円盤部61とは反対側の面を対象物100に当接させた状態で、例えば、ネジ、ボルトとナット、釘、接着剤等、所望の固定部材により対象物100に取付けられている。このホルダ部材60は、所望により、対象物100に対して着脱可能に取付けてもよく、対象物100に固定してもよい。
【0061】
ホルダ部材60に害虫防除部材20を保持させるには、先ず、図11に示すように、害虫防除部材20の第1の係合爪21と第2の係合爪22を、ホルダ部材60の円盤部61の先端側に当接させる。次いで、この状態から、図12に示すように、害虫防除部材20をホルダ部材60に押し当てると、第1の係合爪21及び第2の係合爪22と、平面部11とが弾性変形しながら、第1の係合爪21の平面部24の先端と、第2の係合爪22の平面部26の先端を湾曲面64に沿って段部63に向けて移動させる。この状態からさらに害虫防除部材20をホルダ部材60に押し当てると、第1の係合爪21及び第2の係合爪22は、円盤部61を越え、害虫防除部材20は弾性復元し、図10に示すように、平面部24及び26が段部63に確実に係合する。このように、害虫防除部材20を、ワンタッチで簡単にホルダ部材60に保持させることができる。
【0062】
このようにしてホルダ部材60に保持された害虫防除部材20は、ホルダ部材60から延出しており、外部に露出された状態となっているため、害虫防除効果を効率よく発揮することができる。また、この時、平面部24及び26の対象物100と対向する面は、対象物100に接触しているため、害虫防除部材20の右側端となる位置から左側端となる位置に亘る領域が対象物100に接触し、この接触領域が害虫の侵入経路上に存在することになるため、害虫をさらに効率よく防除することができる。
【0063】
一方、ホルダ部材60から害虫防除部材20を取外す際は、例えば、害虫防除部材20の湾曲部12を下方に引いて、害虫防除部材20を弾性変形させ、第2の係合爪22と段部63との係合を解除すればよい。
【0064】
なお、害虫防除部材20は、基本的には、樹脂と、害虫防除剤とを含有して構成されていればよいが、例えば、実施の形態1で説明した害虫防除部材10と同様に構成することもできる。また、ホルダ部材60も、実施の形態1で説明したホルダ部材50に準じた材料から構成することができる。
【0065】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3にかかる害虫防除システムについて図面を参照して説明する。なお、実施の形態3では、実施の形態1及び2で説明した部材と同様の部材には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0066】
図14は、本発明の実施の形態3にかかる害虫防除システムの構成要素である害虫防除部材の斜視図、図15は、実施の形態3にかかる害虫防除システムの構成要素であるホルダ部材の側面図、図16は、図15に示すホルダ部材に図14に示す害虫防除部材を保持させた状態を示す断面図、図17及び図18は、図15に示すホルダ部材に図14に示す害虫防除部材を保持させる工程の一部を示す断面図、図19は、図15に示すホルダ部材に図14に示す害虫防除部材を保持させた状態の一部を破断して示す斜視図である。なお、前記各図では、説明を判り易くするため、各部材の厚さやサイズ、拡大・縮小率等は、実際のものとは一致させずに記載した。
【0067】
実施の形態3にかかる害虫防除システム3は、図19に示すように、少なくとも樹脂と害虫防除剤を含有して構成された害虫防除部材30と、害虫から保護すべき対象物100に取付けられ、害虫防除部材30を着脱可能に保持するホルダ部材70とを備えている。
【0068】
害虫防除部材30は、図14及び図16〜図19に示すように、平面部11と、平面部11に連続形成され、且つ害虫防除部材30がホルダ部材70に取付けられた際に、平面部11よりも対象物100側に突出して対象物100に接触可能な略半球状に湾曲した湾曲部32とを備えている。この害虫防除部材30は、特に図19に示すように、後に詳述するホルダ部材70の保持部76に平面部11を挿入させた状態で、複数のホルダ部材70に着脱可能に保持されることで対象物100に取付け及び取外し可能となっている。
【0069】
ホルダ部材70は、図19に示すように、略水平方向に所定の間隔をおいて対象物100に複数取付けられており、害虫防除部材30の一部を保持している。このホルダ部材70は、弾性変形可能であり、図15〜図19に示すように、略板状の平面部71と、平面部71に連続形成され且つ平面部71に対し略垂直に屈曲された略板状の平面部72と、平面部72に連続形成され且つその先端が平面部71に接触するように傾斜した傾斜部73と、傾斜部73に連続形成され且つ傾斜部73に対し平面部71から遠ざかる方向へ略垂直に屈曲された略板状の平面部74とを備えている。そして、平面部71及び72、傾斜部73及び平面部74によって画定される空間が、害虫防除部材30の平面部11を挿入して保持する保持部76となっている。
【0070】
なお、ホルダ部材70は、例えば、ネジ、ボルトとナット、釘、接着剤等、所望の固定部材により対象物100に取付けられている。このホルダ部材70は、所望により、対象物100に対して着脱可能に取付けてもよく、対象物100に固定してもよい。
【0071】
ホルダ部材70に害虫防除部材30を保持させるには、先ず、図17に示すように、害虫防除部材30の平面部11の先端11Aを、ホルダ部材70の平面部71と平面部74によって画定される空間に挿入する。次に、この状態で害虫防除部材30をホルダ部材70の保持部76に押し込もうとすると、図18に示すように、平面部74が平面部71から離れるようにホルダ部材70が弾性変形し、これによって形成された平面部71と平面部74との隙間に、害虫防除部材30の平面部11を挿入する。この状態からさらに害虫防除部材30を保持部76に押し込むことで、図16及び図19に示すように、ホルダ部材70に害虫防除部材30が76に完全に挿入され、害虫防除部材30は、ホルダ部材70の弾性復元力によって確実にホルダ部材70に保持される。このように、害虫防除部材30を、ワンタッチで簡単にホルダ部材70に保持させることができる。
【0072】
このようにしてホルダ部材70に保持された害虫防除部材30は、ホルダ部材70から延出しており、外部に露出された状態となっているため、害虫防除効果を効率よく発揮することができる。また、この時、湾曲部32の対象物100と対向する面の突出の頂点となる部分が対象物100に接触している。すなわち、害虫防除部材30の右側端となる位置から左側端となる位置に亘る領域が対象物100に接触し、この接触領域が害虫の侵入経路上に存在することになるため、害虫をさらに効率よく防除することができる。
【0073】
一方、ホルダ部材70から害虫防除部材30を取外す際は、ホルダ部材70の弾性復元力に抗して、害虫防除部材30を保持部76から引き抜けばよい。
【0074】
なお、害虫防除部材30は、基本的には、樹脂と、害虫防除剤とを含有して構成されていればよいが、例えば、実施の形態1で説明した害虫防除部材10と同様に構成することもできる。また、ホルダ部材70は、例えば、実施の形態1で説明した害虫防除部材10に使用される樹脂等を使用して構成することができる。
【0075】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4にかかる害虫防除システムについて図面を参照して説明する。なお、実施の形態4では、実施の形態1〜3で説明した部材と同様の部材には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0076】
図20は、本発明の実施の形態4にかかる害虫防除システムの構成要素である害虫防除部材の斜視図、図21は、実施の形態4にかかる害虫防除システムの構成要素であるホルダ部材の斜視図、図22は、図21に示すホルダ部材に図20に示す害虫防除部材を保持させた状態の一部を破断して示す斜視図である。なお、前記各図では、説明を判り易くするため、各部材の厚さやサイズ、拡大・縮小率等は、実際のものとは一致させずに記載した。
【0077】
実施の形態4にかかる害虫防除システム4は、図22に示すように、少なくとも樹脂と害虫防除剤を含有して構成された害虫防除部材40と、害虫から保護すべき対象物100に取付けられ、害虫防除部材40を着脱可能に保持するホルダ部材80とを備えている。
【0078】
害虫防除部材40は、図20及び図22に示すように、平面部11と、湾曲部12とを備えている。平面部11の先端11Aには、後に詳述するホルダ部材80の係合部84に係合する係合爪15が形成されている。係合爪15は、先端にいくにしたがって肉薄となるテーパ形状を有している。この害虫防除部材40は、後に詳述するホルダ部材80の係合部84に係合爪15を挿脱可能に係合させることで対象物100に取付け及び取外し可能となっている。
【0079】
ホルダ部材80は、特に図示しないが、前述した実施の形態と同様に、略水平方向に所定の間隔をおいて対象物100に複数取付けられており、害虫防除部材40の一部を保持している。このホルダ部材80は、図21及び22に示すように、略板状の平面部81を備えており、平面部81の先端に、害虫防除部材40に形成された係合爪15が挿脱可能に係合する係合部84が形成されている。係合部84は、先端にいくにしたがって肉薄となるテーパ形状を有しており、ホルダ部材80が対象物100に取付けられた際に、係合部84と対象物100との間に隙間が形成されるようになっている。
【0080】
なお、ホルダ部材80は、例えば、ネジ、ボルトとナット、釘、接着剤等、所望の固定部材により対象物100に取付けられている。このホルダ部材80は、所望により、対象物100に対して着脱可能に取付けてもよく、対象物100に固定してもよい。
【0081】
ホルダ部材80に害虫防除部材40を保持させるには、先ず、害虫防除部材40の平面部11の先端11Aに形成された係合爪15を、ホルダ部材80の係合部84と対象物100との間に形成された隙間に挿入する。次に、この状態で害虫防除部材40をさらに押し込むと、係合部84が弾性変形し、これによって拡げられた前記隙間に係合爪15を挿入される、この動作によって、係合爪15と係合部84は、係合部84の弾性復元力によって確実に係合すると共に、平面部11は、係合部84の弾性復元力によって対象物100に押圧され、平面部11の対象物100と対向する面が、対象物100に接触する。このように、害虫防除部材40を、ワンタッチで簡単にホルダ部材80に保持させることができる。
【0082】
このようにしてホルダ部材80に保持された害虫防除部材40は、ホルダ部材80から延出しており、外部に露出された状態となっているため、害虫防除効果を効率よく発揮することができる。また、この時、平面部11の対象物100と対向する面が対象物100に接触しているため、この接触領域が害虫の侵入経路上に存在することになり、害虫をさらに効率よく防除することができる。
【0083】
一方、ホルダ部材80から害虫防除部材40を取外す際は、例えば、害虫防除部材40の湾曲部12を下方に引いて、害虫防除部材40及び係合部84を弾性変形させ、係合爪15と係合部84との係合を解除すればよい。
【0084】
なお、害虫防除部材40は、基本的には、樹脂と、害虫防除剤とを含有して構成されていればよいが、例えば、実施の形態1で説明した害虫防除部材10と同様に構成することもできる。また、ホルダ部材80は、例えば、実施の形態1で説明した害虫防除部材10に使用される樹脂等を使用して構成することができる。
【0085】
そしてまた、害虫防除部材40は、平面部11の代わりに、図23及び図25に示すように、湾曲部12の先端12Aとは反対側の先端に、湾曲部12と連続形成され且つ略垂直方向に屈曲した平面部41を形成してもよい。この平面部41は、図23でいう下面に係合爪16が形成されており、この係合爪16が、図23及び図25に示すホルダ部材90に形成された係合部94に挿脱可能に係合されるようになっている。平面部41は、害虫防除部材40がホルダ部材90に保持された際に、対象物100と対向する面が、対象物100に接触するようになっている。係合爪16は、平面部41に対し略垂直方向に突出しており、その先端に、略やじり状の爪が両側に延出して形成されている。なお、係合爪16は、係合爪15と同様に、片側にやじり状に突出した形状であってもよい。
【0086】
ホルダ部材90は、特に図示しないが、前述した実施の形態と同様に、略水平方向に所定の間隔をおいて対象物100に複数取付けられており、害虫防除部材40の一部を保持している。このホルダ部材90は、図24及び図25に示すように、略直方体の一面(図24及び図25でいう上面)に、係合爪16が係合する係合部94が形成されている。この係合部94は、係合爪16が挿入される係合孔96と、係合孔96の入口に対向して形成され且つ当該入口を狭くするために互いに近づく方向に延出された凸部97及び98を備えている。
【0087】
なお、ホルダ部材90は、例えば、ネジ、ボルトとナット、釘、接着剤等、所望の固定部材により対象物100に取付けられている。このホルダ部材90は、所望により、対象物100に対して着脱可能に取付けてもよく、対象物100に固定してもよい。
【0088】
ホルダ部材90に図23に示す害虫防除部材40を保持させるには、先ず、害虫防除部材40の係合爪16をホルダ部材90の係合部94に押し当てると、係合爪16が弾性変形し、係合孔96内に挿入される。係合爪16が係合孔96内に挿入されると、係合爪16は弾性復元して、係合部94の凸部97及び98に確実に係合すると共に、平面部41の対象物100と対向する面が、対象物100に接触する。このように、害虫防除部材40を、ワンタッチで簡単にホルダ部材90に保持させることができる。
【0089】
なお、この場合も、ホルダ部材90に保持された害虫防除部材40は、ホルダ部材90から延出しており、外部に露出された状態となっているため、害虫防除効果を効率よく発揮することができる。また、この時、平面部41の対象物100と対向する面が対象物100に接触しているため、この接触領域が害虫の侵入経路上に存在することになり、害虫をさらに効率よく防除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる害虫防除システムを示す斜視図である。
【図2】図1に示す害虫防除システムの構成要素である害虫防除部材の斜視図である。
【図3】図1に示す害虫防除システムの構成要素であるホルダ部材の斜視図である。
【図4】図3に示すホルダ部材に図2に示す害虫防除部材を保持させた状態を示す断面図である。
【図5】図3に示すホルダ部材に図2に示す害虫防除部材を保持させる工程の一部を示す断面図である。
【図6】図3に示すホルダ部材に図2に示す害虫防除部材を保持させる工程の一部を示す断面図である。
【図7】図3に示すホルダ部材に図2に示す害虫防除部材を保持させた状態の一部を破断して示す斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態2にかかる害虫防除システムの構成要素である害虫防除部材の斜視図である。
【図9】実施の形態2にかかる害虫防除システムの構成要素であるホルダ部材の側面図である。
【図10】図9に示すホルダ部材に図8に示す害虫防除部材を保持させた状態を示す断面図である。
【図11】図9に示すホルダ部材に図8に示す害虫防除部材を保持させる工程の一部を示す断面図である。
【図12】図9に示すホルダ部材に図8に示す害虫防除部材を保持させる工程の一部を示す断面図である。
【図13】図9に示すホルダ部材に図8に示す害虫防除部材を保持させた状態の一部を破断して示す斜視図である。
【図14】本発明の実施の形態3にかかる害虫防除システムの構成要素である害虫防除部材の斜視図である。
【図15】実施の形態3にかかる害虫防除システムの構成要素であるホルダ部材の側面図である。
【図16】図15に示すホルダ部材に図14に示す害虫防除部材を保持させた状態を示す断面図である。
【図17】図15に示すホルダ部材に図14に示す害虫防除部材を保持させる工程の一部を示す断面図である。
【図18】図15に示すホルダ部材に図14に示す害虫防除部材を保持させる工程の一部を示す断面図である。
【図19】図15に示すホルダ部材に図14に示す害虫防除部材を保持させた状態の一部を破断して示す斜視図である。
【図20】本発明の実施の形態4にかかる害虫防除システムの構成要素である害虫防除部材の斜視図である。
【図21】実施の形態4にかかる害虫防除システムの構成要素であるホルダ部材の斜視図である。
【図22】図21に示すホルダ部材に図20に示す害虫防除部材を保持させた状態の一部を破断して示す斜視図である。
【図23】本発明の他の実施の形態にかかる害虫防除システムの構成要素である害虫防除部材の斜視図である。
【図24】本発明の他の実施の形態にかかる害虫防除システムの構成要素であるホルダ部材の斜視図である。
【図25】図24に示すホルダ部材に図23に示す害虫防除部材を保持させた状態の一部を破断して示す斜視図である。
【符号の説明】
【0091】
1、2、3、4 害虫防除システム
10、20、30、40 害虫防除部材
11、23〜26、41、71〜74、81 平面部
12、32 湾曲部
15、16 係合爪
50、60、70、80、90 ホルダ部材
54、55、84、94 係合部
56、76 保持部
100 対象物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
害虫から保護すべき対象物に設置可能であり、当該対象物内に害虫が侵入することを防除する害虫防除システムであって、
樹脂と害虫防除剤とを含有する害虫防除部材と、
前記対象物に取付けられ、前記害虫防除部材を着脱可能に保持するホルダ部材と、
を備えてなり、
前記害虫防除部材は、少なくとも一部が前記ホルダ部材から突出した状態で配設されてなる害虫防除システム。
【請求項2】
前記害虫防除部材は、複数のホルダ部材によって着脱可能に保持されてなる請求項1記載の害虫防除システム。
【請求項3】
前記害虫防除部材は、前記対象物に対する害虫の侵入経路を強制的に変更し、当該侵入経路に沿って前進する害虫を落下させる及び/または害虫の前進を停止させる侵入経路変更部を有してなる請求項1または請求項2記載の害虫防除システム。
【請求項4】
前記害虫防除部材は、前記ホルダ部材によって前記対象物に取付けられた際に、当該害虫防除部材の一部であり且つ当該害虫防除部材の右側端となる位置から左側端となる位置に亘る領域が、前記対象物と接触してなる請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の害虫防除システム。
【請求項5】
前記ホルダ部材は、前記害虫防除部材の一端と係脱可能に係合する第1の係合部と、前記害虫防除部材の他端と係脱可能に係合する第2の係合部と、を備え、
前記害虫防除部材は、前記第1の係合部に係合した一端を支点として弾性変形することにより、前記他端を前記第2の係合部に挿入し、弾性復元することで当該他端を当該第2の係合部に係合させる請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の害虫防除システム。
【請求項6】
前記ホルダ部材は、前記害虫防除部材を受容して保持する保持部を備え、前記保持部は、弾性変形することにより、前記害虫防除部材を受容し、弾性復元することで当該害虫防除部材を保持する請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の害虫防除システム。
【請求項1】
害虫から保護すべき対象物に設置可能であり、当該対象物内に害虫が侵入することを防除する害虫防除システムであって、
樹脂と害虫防除剤とを含有する害虫防除部材と、
前記対象物に取付けられ、前記害虫防除部材を着脱可能に保持するホルダ部材と、
を備えてなり、
前記害虫防除部材は、少なくとも一部が前記ホルダ部材から突出した状態で配設されてなる害虫防除システム。
【請求項2】
前記害虫防除部材は、複数のホルダ部材によって着脱可能に保持されてなる請求項1記載の害虫防除システム。
【請求項3】
前記害虫防除部材は、前記対象物に対する害虫の侵入経路を強制的に変更し、当該侵入経路に沿って前進する害虫を落下させる及び/または害虫の前進を停止させる侵入経路変更部を有してなる請求項1または請求項2記載の害虫防除システム。
【請求項4】
前記害虫防除部材は、前記ホルダ部材によって前記対象物に取付けられた際に、当該害虫防除部材の一部であり且つ当該害虫防除部材の右側端となる位置から左側端となる位置に亘る領域が、前記対象物と接触してなる請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の害虫防除システム。
【請求項5】
前記ホルダ部材は、前記害虫防除部材の一端と係脱可能に係合する第1の係合部と、前記害虫防除部材の他端と係脱可能に係合する第2の係合部と、を備え、
前記害虫防除部材は、前記第1の係合部に係合した一端を支点として弾性変形することにより、前記他端を前記第2の係合部に挿入し、弾性復元することで当該他端を当該第2の係合部に係合させる請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の害虫防除システム。
【請求項6】
前記ホルダ部材は、前記害虫防除部材を受容して保持する保持部を備え、前記保持部は、弾性変形することにより、前記害虫防除部材を受容し、弾性復元することで当該害虫防除部材を保持する請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の害虫防除システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2009−256292(P2009−256292A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−110282(P2008−110282)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(000226507)株式会社ニックス (96)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(000226507)株式会社ニックス (96)
【Fターム(参考)】
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