説明

害虫駆除方法及び害虫駆除装置

【課題】害虫の回収作業が不要な害虫駆除方法及び害虫駆除装置を提供する。
【解決手段】植物に付着した害虫を駆除する方法であって、魚類が放流された液体が貯留されている処理槽を準備する工程と、魚類が放流された液体に植物を浸漬させる工程と、を含む、害虫駆除方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、害虫駆除方法及び害虫駆除装置に関する。
【背景技術】
【0002】
培養液により植物を栽培する水耕栽培においては、殺虫剤又は防虫剤の散布により植物に付着する害虫を駆除するのが一般的であるが、この場合、散布した殺虫剤や防虫剤が植物に残留してしまっていた。これに対して、本発明者等は、培養液中に植物を所定時間浸漬することにより、植物に付着した害虫を離脱及び窒息死させる方法を提案している(特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3000446号公報
【特許文献2】特許第3924753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような方法では、植物から離脱した害虫が培養液中に浮遊又は沈下し、再び植物に付着してしまう可能性がある。このため、培養液中に浮遊又は沈下した害虫を網等で回収して処分するという作業が必要であった。
【0005】
そこで、本発明は、害虫の回収作業が不要な害虫駆除方法及び害虫駆除装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る害虫駆除方法は、上記課題を解決するためになされたものであり、植物に付着した害虫を駆除する方法であって、魚類が放流された液体が貯留されている処理槽を準備する工程と、前記魚類が放流された液体に植物を浸漬させる工程と、を含んでいる。
【0007】
上記害虫駆除方法は、魚類が放流された液体に植物を浸漬させているため、植物から離脱し液体中に浮遊又は沈下する害虫は液体中の魚類によって捕食される。このため、植物から離脱した害虫が液体中に浮遊又は沈下したままの状態となることがほとんどなく、植物から離脱した害虫を回収する必要がない。また、植物の隙間に潜りこみ植物から離脱しない害虫も液体中の魚類によって捕食されるため、確実に害虫駆除をすることができる。さらに、処理槽内で魚類を生存させることにより、農薬や酸性雨等に含まれる毒性物質が処理槽の液体中に存在しないことを証明することもできる。
【0008】
また、上記害虫駆除方法は、植物に付着した害虫が植物から離脱するまで、魚類が放流された液体に植物を浸漬させることもできる。これにより、植物に害虫が残存するのを防止することができ、より確実に害虫駆除をすることができる。
【0009】
また、上記害虫駆除方法は、植物を反転させた状態で魚類が放流された液体中に浸漬させることもできる。これにより、植物からの害虫の離脱を促進することができ、さらに、植物を液体中から引き上げた際に容易に植物の水切りをすることもできる。
【0010】
また、上記害虫駆除方法は、魚類が放流された液体中で植物を振動させてもよい。これにより、植物からの害虫の離脱を促進することができる。
【0011】
また、本発明に係る害虫駆除装置は、上記課題を解決するためになされたものであり、植物に付着した害虫を駆除する装置であって、魚類が放流された液体が貯留されている貯留槽と、植物を保持するための保持部材と、を備え、前記保持部材に保持された植物は、前記魚類が放流された液体に浸漬される。
【0012】
上記害虫駆除装置において、保持部材に保持された植物が魚類が放流された液体に浸漬されるため、この植物から離脱し液体中に浮遊又は沈下する害虫は液体中の魚類によって捕食される。このため、植物から離脱した害虫が液体中に浮遊又は沈下したままの状態となることがほとんどなく、植物から離脱した害虫を回収する必要がない。また、気泡を抱えたまま植物の隙間に潜りこみ植物から離脱しない害虫も液体中の魚類によって捕食されるため、確実に害虫駆除をすることができる。さらに、処理槽内で魚類を生存させることにより、農薬や酸性雨等に含まれる毒性物質が処理槽の液体中に存在しないことを証明することもできる。
【0013】
また、上記害虫駆除装置は、貯留槽内の液体に植物が浸漬される位置に、保持部材を移動させる移動機構をさらに備えていてもよい。
【0014】
また、上記害虫駆除装置における保持部材は、中空の箱状に形成され、内部と外部とを連通させる貫通孔が形成されていてもよい。この保持部材は、植物の葉茎部が外部に露出するとともに植物の根部が内部に収納されるよう、貫通孔を介して植物を保持することができる。この構成によれば、植物の根部は、保持部材によって常に保護されることとなるため、害虫駆除に際して魚類に傷つけられることがない。
【0015】
この場合、保持部材の内部には、保水性を有しており植物の根部を保持するための保水材が収納されていることが好ましい。この保水材により植物の根部を確実に保持することができ、また、保持部材の内部に液体を貯留すると、保水部材がこの液体を含んで植物の根部に供給し、植物の根部の乾燥を防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、害虫の回収作業を省略することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態1に係る害虫駆除装置の正面断面図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る害虫駆除装置の部分平面図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る保持部材の斜視図である。
【図4】本発明の実施形態2に係る害虫駆除装置の正面断面図である。
【図5】本発明の実施形態2に係る害虫駆除装置の部分平面図である。
【図6】本発明の実施形態2に係る保持部材の正面断面図である。
【図7】上記実施形態の変形例に係る害虫駆除装置の正面断面図である。
【図8】上記実施形態の変形例に係る害虫駆除装置の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態1)
以下、本発明に係る害虫駆除装置及び害虫駆除方法の実施形態1について、図1〜図3を参照しつつ説明する。なお、説明の便宜上、図1における左側を前、右側を後と称することとする。
【0019】
実施形態1に係る害虫駆除装置1は、害虫駆除を行うための処理槽2と、植物Pが保持された複数の保持部材3と、保持部材3を移動させるための移動機構5と、を備えている。
【0020】
処理槽2は、図1に示すように、底面積よりも上面積の方が大きく上端が開口した形状に形成されており、内部には一匹以上の魚類22が放流された培養液21が貯留されている。また、処理槽2は、培養液21を内部に流入させるための流入管23、及び培養液21を排出するための排出管24が設けられている。この処理槽2の上方には、栽培槽4が設けられており、この栽培槽4内にも処理槽2の培養液21と同様の組成の培養液41が貯留されている。培養液21及び41としては、例えば、窒素、リン酸、カリ等の化学肥料や、堆肥抽出液、動植物の発酵液等の有機肥料を適当な溶媒に溶解させたものを使用することができるが、培養液21と41とを同じ組成又は異なる組成とすることができ、また、培養液21又は41に換えて水を使用することもできる。魚類22としては、特に限定されるものではないが、淡水魚であることが好ましく、例えば、培養液21の温度が25〜30℃の場合は、キンギョ、フナ、コイ、ドジョウ、メダカ、チチブ、又はグッピー等、培養液21の温度が20〜25℃の場合は、ホンモロコ、ヨシノボリ、ハヤ、イザザ、又はタナゴ等、培養液21の温度が15〜20℃の場合は、ニジマス、アマゴ、ヨシノボリ、ハヤ、アユ、又はワカサギ等が挙げられる。
【0021】
複数の保持部材3は、図1及び図2に示すように、前後方向に沿って並べられ互いに連結された状態で、栽培槽4の培養液41に浮かべられている。各保持部材3は、図2に示すように、矩形の板状に形成されており、複数の貫通孔31が設けられている。この貫通孔31は、図1及び図3に示すように、葉茎部が保持部材3の上面側に突出するとともに、根部が保持部材3の下面側に突出し且つ培養液41に浸漬されるよう植物Pを保持する。なお、保持部材3は、特に限定されるものではないが、例えば、縦1000〜5000mm×横100〜1000mm×高さ10〜100mmの板状とすることができる。保持部材3の材質としては、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、又はポリエチレン樹脂等の合成樹脂発泡体や、合成樹脂発泡体と、合成樹脂板、木板、又はステンレス等の金属板との複合材等が挙げることができ、合成樹脂発泡体で保持部材3を形成した場合は、保持部材3の表面にポリウレタン樹脂塗料(登録商標リボールマイティ)等の防水塗料を塗布することが好ましい。貫通孔31の大きさとしては、例えば、直径10〜200mmとすることができ、貫通孔31間の間隔は、例えば、50〜600mmとすることができる。
【0022】
上述した複数の保持部材3は、移動機構5により、図1における矢印Y1方向に向かって移動可能となっている。移動機構5は、図1に示すように、モータ(図示省略)の駆動により第1回転軸56周りに回転する一対の駆動プーリー51と、駆動プーリー51の回転に伴って第2回転軸57周りに回転する一対の従動プーリー52とを備えている。また、移動機構5は、処理槽2内に設けられた一対の第1ガイドプーリー53、及び一対の第2ガイドプーリー54を備えている。そして、駆動プーリー51、従動プーリー52、第1ガイドプーリー53、及び第2ガイドプーリー54に一対の無端ワイヤロープ55が掛け回されており、この一対の無端ワイヤロープ55は、図1及び図2に示すように、テンションプーリー58により撓まないよう張力がかけられ、栽培槽4に浮かべられた保持部材3の下面に固定されている。このような構成により、モータ(図示省略)の駆動により駆動プーリー51が図1における反時計回り(矢印Y2)に回転すると、無端ワイヤロープ55及び保持部材3が図1における矢印Y1方向に移動し、従動プーリー52、第1ガイドプーリー53、及び第1ガイドプーリー54も反時計回りに回転する。
【0023】
次に、上述したように構成された害虫駆除装置1を用いて植物Pに付着した害虫を駆除する方法について説明する。
【0024】
初期状態では、保持部材3は栽培槽4内に位置しており、保持部材3の植物Pは葉茎部を上にした順姿勢となっている。まず、モータ(図示省略)を駆動することにより、駆動プーリー51を図1における反時計回り(矢印Y2)に回転させる。これにより、無端ワイヤロープ55及び栽培槽4内の保持部材3が図1における矢印Y1方向に移動し、従動プーリー52、第1ガイドプーリー53、及び第1ガイドプーリー54も反時計回りに回転する。駆動プーリー51を回転させ続けると、保持部材3は無端ワイヤロープ55とともに処理槽2内まで移動する。このとき、図1において一点鎖線で示すように、保持部材3は、下面に無端ワイヤロープ55が固定されているため、この処理槽2内では上下が反転した状態となり、保持部材3に保持された植物Pも葉茎部を下にした反転姿勢となる。このとき、植物Pは、葉茎部及び根部の双方が処理槽2内の培養液21に浸漬されるか、あるいは、葉茎部のみが培養液21に浸漬され根部が培養液21の外に露出する。
【0025】
この状態でモータ(図示省略)を停止し、通常1〜10分間、好ましくは10〜180分間、保持部材3を培養液21内で停止させる。これにより、保持部材3の植物Pに付着していたアブラムシ、アオムシ、ヨトウムシ、コナガムシ等の害虫が植物Pから離脱して培養液21中に浮遊又は沈下する。培養液21中の魚類22は、このように浮遊又は沈下した害虫を捕食し、さらに、植物Pの隙間に潜りこんで植物Pから離脱しない害虫を捕食する。
【0026】
次に、モータ(図示省略)を再度駆動し、駆動プーリー51を図1における反時計回り(矢印Y2)に回転させる。これにより、処理槽2内の保持部材3は、図1における矢印Y1方向に移動し、処理槽2から引き上げられる。そして、この保持部材3が栽培槽4内の元の位置まで移動した時点で、モータ(図示省略)を停止して保持部材3の移動を停止させる。
【0027】
以上のように、上記実施形態1においては、植物Pから離脱した害虫は、処理槽2内の培養液21中に浮遊又は沈下するが、培養液21中の魚類22によって捕食される。このため、害虫が培養液21中に浮遊又は沈下したままの状態が長時間続くことがほとんどなく、培養液21中の害虫を網等で回収する必要がない。また、植物Pの隙間に潜りこんで植物Pから離脱しない害虫も魚類22に捕食させることができるため、確実に植物Pの害虫駆除を行うことができる。
【0028】
(実施形態2)
以下、本発明に係る害虫駆除装置及び害虫駆除方法の実施形態2について、図4〜図6を参照しつつ説明する。なお、説明の便宜上、図4における左側を前、右側を後と称することとする。また、上記実施形態1と同様の構成要素については、同符号を付して説明を省略する。
【0029】
実施形態2に係る害虫駆除装置10は、害虫駆除を行うための処理槽12と、植物Pが保持された複数の保持部材13と、保持部材13を移動させるための移動機構15と、を備えている。
【0030】
処理槽12は、図4に示すように、底面積よりも上面積の方が大きく上端が開口した形状に形成されている。この処理槽12の上方には、後述する保持部材13を移動させるための移動機構15が設けられている。この移動機構15は、第3回転軸154周りに回転する一対の駆動スプロケット151、及び第4回転軸155周りに一対の従動スプロケット152を備えている。この駆動スプロケット151及び従動スプロケット152には一対の無端チェーン153が掛け回されており、図5に示すように、無端チェーン153は保持部材13の下面に固定されている。このような構成により、モータ(図示省略)を駆動すると、駆動スプロケット151が回転して無端チェーン153及び保持部材13が図4における矢印Y3方向に移動し、従動スプロケット152が図4における反時計回り(矢印Y4)に回転する。
【0031】
複数の保持部材3は、図4〜図6に示すように、前後方向に沿って並べられ互いに連結されており、それぞれ中空の直方体状に形成され、上面を開放可能なよう上下に分割されている。保持部材13の上面には複数の貫通孔131が設けられており、この貫通孔131により、図6に示すように、植物Pの葉茎部が上面に露出し、保持部材13の内部に植物Pの根部が収納されるよう植物Pが保持される。保持部材13の内部には、培養液41が貯留されており、必要に応じてシート状の保水材132を収納しておくこともできる。この保水材132は、植物Pの根部に絡んで植物Pを保持するともに培養液41を含んで植物Pの根部に供給するものであり、保水性を有していれば特に限定されるものではないが、例えば、発泡スチロールチップや、発砲ポリウレタンチップ、スポンジチップ、糸玉、又は紙片等であってもよく、繊維質のもの(例えば繊維マット)であることが好ましい。また、保持部材13は培養液給送管(図示省略)及び培養液排出管(図示省略)に連結されており、培養液給送管(図示省略)を介して培養液タンク(図示省略)から保持部材13内に培養液41が供給され、培養液排出管(図示省略)を介して保持部材13から培養液タンク(図示省略)に培養液41が戻されるよう構成されている。
【0032】
なお、保持部材13は、特に限定されるものではないが、例えば、縦300〜5000mm×横100〜1000mm×高さ10〜100mmの直方体状とすることができ、側壁の厚さを10〜150mmとすることができる。貫通孔131の大きさとしては、例えば、直径10〜200mmとすることができ、貫通孔131間の間隔は、例えば、50〜600mmとすることができる。また、保持部材13の材質としては、断熱性を有するものが好ましいが特に限定されるものではなく、上述した保持部材3と同様のものを使用することができる。
【0033】
次に、上述したように構成された害虫駆除装置10を用いた害虫駆除方法について説明する。
【0034】
初期状態では、保持部材13は処理槽12の上方に位置しており、保持部材13の植物Pは葉茎部を上にした順姿勢となっている。まず、モータ(図示省略)を駆動させることにより、駆動スプロケット151図4における反時計回り(矢印Y4)に回転させ、無端チェーン153及び保持部材13を図4における矢印Y3方向に移動させる。駆動スプロケット151を回転させ続けると、保持部材13は処理槽12まで移動する。このとき、図4において一点鎖線で示すように、保持部材3は、下面に無端チェーン153が固定されているため、処理槽12内では保持部材13は上下が反転した状態となり、保持部材13に保持された植物Pも葉茎部を下にした反転姿勢となる。保持部材13は培養液21の液面に浮かんでおり、植物Pは葉径部のみが培養液21に浸漬される。なお、植物Pは、根部が保持部材13内の保水材132に絡んでいるため、このように反転姿勢をとった場合でも落下しないようしっかりと保持されている。
【0035】
この状態で、上記実施形態1と同様に、植物Pを培養液21中に一定時間浸漬する。その後、再びモータ(図示省略)を駆動させ、無端チェーン153及び保持部材13を図4における矢印Y3方向に移動させる。そして、保持部材13が元の位置までに戻った時点で、モータ(図示省略)を停止し、保持部材13を停止させる。
【0036】
以上のように、上記実施形態2においては、害虫の回収が不要なこと及び確実な害虫駆除が可能なことに加え、植物Pの根部が保持部材13内に収納された状態で害虫駆除を行うため、魚類22によって植物Pの根部が傷つけられるのを防止することができる。
【0037】
以上、本発明の実施形態1及び2について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態1及び2においては植物を反転した状態で培養液21に浸漬していたが、植物を反転させずに培養液21に浸漬させることもできる。
【0038】
また、上記実施形態1及び2においては、コンベヤ式の移動機構5及び15により保持部材3及び13を移動させていたが、植物が培養液21に浸漬される位置に保持部材3及び13を移動させることができればこれに限定されず、例えば、単に保持部材を昇降させるような移動機構により植物を培養液に浸漬させることもできる。
【0039】
また、上記実施形態1及び2においては、保持部材3及び13に保持された植物を移動させることにより培養液21に浸漬させていたが、植物を移動させずに魚類が放流された培養液に浸漬させることもできる。例えば、図7に示すように、処理槽202内において、魚類が放流された培養液21に植物Pの根部のみが浸漬されるよう、保持部材203により植物を保持しておき(図7(a))、保持部材23を固定した状態でこの処理槽22に培養液21を追加し、処理槽202内の水位を上げることにより、植物Pの葉茎部を魚類が放流された培養液21に浸漬してもよい(図7(b))。また、図8に示すように、例えば、内側底面303が斜面となった処理槽302を準備し、処理槽302内において、魚類が放流された培養液21に植物が浸漬されないよう、内側底面303の高い位置に植物を配置しておく(図8(a))。そして、処理槽302に培養液21を追加して水位を上げることにより、植物を魚類が放流された培養液21に浸漬してもよい(図8(b))。
【0040】
また、上記実施形態1及び2においては、保持部材3及び13に保持された植物を培養液21中で停止させていたが、魚類が放流された培養液に植物が浸漬されていればこれに限定されず、例えば、植物を培養液中で移動させたり振動させたりすることもできる。
【0041】
また、上記実施形態1における保持部材3は矩形の板状に形成されていたが、例えば、多角形の板状や円板状等、種々の形状に形成することができる。また、上記実施形態2における保持部材13は中空の直方体状に形成されていたが、例えば、中空の多角柱状や中空の円柱状等、種々の形状に形成することができる。
【符号の説明】
【0042】
1、10 害虫駆除装置
2、12 処理槽
21 培養液(液体)
22 魚類
3、13 保持部材
31、131 貫通孔
5、15 移動機構
132 保水材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物に付着した害虫を駆除する方法であって、
魚類が放流された液体が貯留されている処理槽を準備する工程と、
前記魚類が放流された液体に植物を浸漬させる工程と、
を含む、害虫駆除方法。
【請求項2】
植物に付着した害虫が植物から離脱するまで、前記魚類が放流された液体に植物を浸漬させる、請求項1に記載の害虫駆除方法。
【請求項3】
植物を反転させた状態で前記魚類が放流された液体中に浸漬させる、請求項1又は2に記載の害虫駆除方法。
【請求項4】
前記魚類が放流された液体中で植物を振動させる、請求項1〜3のいずれかに記載の害虫駆除方法。
【請求項5】
植物に付着した害虫を駆除する装置であって、
魚類が放流された液体が貯留されている貯留槽と、
植物を保持するための保持部材と、
を備え、
前記保持部材に保持された植物は、前記魚類が放流された液体に浸漬される、害虫駆除装置。
【請求項6】
前記貯留槽内の液体に植物が浸漬される位置に、前記保持部材を移動させる移動機構をさらに備える、請求項5に記載の害虫駆除装置。
【請求項7】
前記保持部材は、中空の箱状に形成され、内部と外部とを連通させる貫通孔が形成されており、植物の葉茎部が外部に露出するとともに植物の根部が内部に収納されるよう前記貫通孔を介して植物を保持する、請求項5又は6に記載の害虫駆除装置。
【請求項8】
前記保持部材は、保水性を有するとともに植物の根部を保持するための保水材を内部に収納している、請求項7に記載の害虫駆除装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−130765(P2011−130765A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262304(P2010−262304)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(395021239)株式会社生物機能工学研究所 (21)
【Fターム(参考)】