説明

家具等と組合わせて使用されるスライドテーブル

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばキャビネット、ベッドサイドキャビネット、机、書庫、戸棚、箪笥、工作台、調理台等の家具と組合わせて使用されるスライドテーブルに関する。
【0002】
【従来の技術】図5は、従来のスライドテーブル(02)と組合わせた家具の一例としてのベッドサイドキャビネット(01)を示す斜視図である。スライドテーブルは、この外に、各種の家具等と組合わせて使用されているが、それらのスライドテーブルは、木製、金属板製、あるいは合成樹脂製である。
【0003】木製のスライドテーブルは、経年変化により生じる反りが大きくなってくると、スライドできなくなる場合もあり、また格納位置にあっては、スライドテーブルの前端部を掴み代として周囲の面より多少突出させてあるだけであるので、引出しにくい難点がある。
【0004】金属板製の場合には、下面の空所に指を掛けられるので引出し易いが、出し入れの際に、角や縁で手を怪我するおそれがある。
【0005】合成樹脂製の場合には、前記同様に、下面の空所に指を掛けられるが、やや重量の大きな物を載せたり、肘をついたりしたときに、ひび割れしたり破損したりするおそれがあり、かつ上面は板状で、下面は格子状のリブによって形成されているので、経年変化により反りが生じることもあり、これがひどくなると、スライドが不可能となる。さらに、面積が大きいため、これを製作するのに使用される成型用金型並びに射出成形機も大型となってコスト高となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、各種の材質による従来のスライドテーブルにおける(1)反りの発生によるスライドの困難(2)引出しにくさ(3)安全上の危惧(4)強度の不足(5)コスト高という問題点を解消したスライドテーブルを得ることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のスライドテーブルは、少なくとも左右両側より垂下するフランジ部を有する金属製テーブル本体の前端縁に、把手部を形成した合成樹脂製の前縁材を取付けた家具等と組合わせるスライドテーブルであって、前記フランジ部の前端に係止孔を穿設するとともに、前記前縁材の後部左右に、前記両フランジ部の内面側より係止する係止突起を有する係止アームを各々突設し、かつ、前記金属製テーブル本体の前端下面に取付片を突設し、前記前縁材の後部に、前記取付片に螺着される取付ボスを突設したことを特徴とする。
【0008】
【作用】本発明は上記のように構成されているため、(1)前縁材の左右が係止アーム、後部が取付ボスによって、夫々、テーブル本体に取付けられるために、取付強度が大きい。(2)金属板製のテーブル本体の少なくとも左右両側に垂下形成されたフランジ部と、その前端縁に取付けた合成樹脂製の前縁材との剛性により反りが生じないので、常に円滑な出し入れが出来る。
(3)前記の前縁材に形成した把手部の存在により、テーブルの引出しが容易である。
(4)前記の合成樹脂製前縁材は金属板製のテーブル本体の前端面を覆っているので、手指や他物を傷つけるおそれがない。
(5)テーブル本体は金属板製であり、かつ少なくとも左右両側より垂下するフラジ部と前縁材との存在によって、大きな強度を持っている。
(6)前縁材断面の形状は小さくて細長いので、合成樹脂成型用金型も比較的に小さくてよく、当然射出成型機も小さくて済み、両者相挨ってコストが低減される。
【0009】
【実施例】図1は、本発明のスライドテーブルの基本的な一実施例における、各部品間の関連を示す斜視図である。スライドテーブル(2)の金属板製の本体(3)の左右両側には、垂下するフランジ部(4)と、それに続く内側フランジ部(6)とが形成されている。左右両側の垂下したフランジ部(4)の前端近くには、係止孔(5)があけられている。さらに本体(3)の前端下面には、図3にも示すように、取付片(7)としてのL型金具が、例えば点溶接により固着されている。
【0010】前記のスライドテーブル本体に取付けられるべき前縁材(8)は、射出成型法による合成樹脂製品であり、図3に示すように、下側に把手部(12)が開口しており、また拡大詳細図である図2によっても明らかなとおり、左右両側に、前記のフランジ部(4)の内側に向かうように、くさび型の係止突起(10)を形成した係止アーム(9)を有している。
【0011】この係止アーム(9)は、前縁材(8)と一体に成型しても良く、また左右2個の係止アームを一体にした金属板製のプレス加工品としても良い。
【0012】スライドテーブル本体(3)と前記の前縁材(8)とを結合してスライドテーブル(2)を組立てるには、図1および図2において、前縁材(8)を矢印の方向へ動かして、その1対の係止アーム(9)を、それぞれ各フランジ部(4)の裏側に進入させると、停止した位置で、係止アーム(9)の弾性により、係止突起(10)が係止孔(5)に緊密に嵌入して、前縁材(8)とスライドテーブル本体(3)と一体化する。
【0013】これだけでは仮組立であるので、この後、図3に示すように、スライドテーブル本体(3)の下面に設けた既述の取付片(7)としてのL型金具と、それに対応する位置に設けた前縁材(8)の取付ボス(11)とを、例えばタッピングねじ(13)により螺着する。かくしてスライドテーブル(2)の組立が完了する。この後は、それぞれの用途を有する家具等に組込むのである。
【0014】前記のようにして家具に組込まれた場合に、考慮した方が好ましい条件を図4に示す。それは、前縁材(8)の一方あるいは両方の側面(14)を、家具の側面(15)と同一面とすることである。これによって、スライドテーブルと家具とは、調和のある組合わせを構成することができる。
【0015】
【発明の効果】本発明のスライドテーブルによると、次のような効果が得られる。
(1)前縁材の左右が係止アーム、後部が取付ボスによって、夫々テーブル本体に取付けられるために、取付強度が大きい。(2)金属板製のテーブル本体の少なくとも左右両側に垂下形成されたフランジ部と、その前端縁に取付けた合成樹脂製の前縁材との剛性により反りが生じないので、常に円滑な出し入れが出来る。
(3)前記の前縁材に形成した把手部の存在により、テーブルの引出しを、容易に、かつ手指を傷めることなく行いうる。
(4)前記の合成樹脂製前縁材は、金属板製のテーブル本体の前端面を覆っているので、手の指や他物を傷つけるおそれがない。
(5)テーブル本体は金属板製であり、かつ少なくとも左右両側に垂下したフラジ部と前縁材とを有しているので、強度は大である。
(6)前縁材断面の形状は小さくて細長いので、合成樹脂成型用金型は比較的に小さくてよく、当然射出成型機も小さくて済み、両者相挨ってコストが低減される。
(7)以上のような多大な効果を挙げ得る構造にも関わらず、部品はすべて大量生産が可能な物ばかりであるので、コストパフォーマンスが極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスライドテーブルの一実施例における要部の分解斜視図である。
【図2】図1における点線の円で囲んだ部分IIの拡大斜視図である。
【図3】本発明のスライドテーブルの一実施例における前部の垂直断面図である。
【図4】本発明のスライドテーブルを家具に組込んだ場合の一部分の切断平面図である。
【図5】従来のスライドテーブルを組込んだベッドサイドキャビネットの一例の斜視図である。
【符合の説明】
(2)スライドテーブル
(3)スライドテーブル本体
(4)フランジ部
(5)係止孔
(6)内側フランジ部
(7)取付片
(8)把手部
(9)係止アーム
(10)係止突起
(11)取付ボス
(12)把手部
(13)タッピングねじ
(14)前縁材の側面
(15)家具の側面
(01)ベッドサイドキャビネット
(02)スライドテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも左右両側より垂下するフランジ部を有する金属製テーブル本体の前端縁に、把手部を形成した合成樹脂製の前縁材を取付けた家具等と組合わせるスライドテーブルであって、前記フランジ部の前端に係止孔を穿設するとともに、前記前縁材の後部左右に、前記両フランジ部の内面側より係止する係止突起を有する係止アームを各々突設し、かつ、前記金属製テーブル本体の前端下面に取付片を突設し、前記前縁材の後部に、前記取付片に螺着される取付ボスを突設したことを特徴とするスライドテーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【特許番号】第2920227号
【登録日】平成11年(1999)4月30日
【発行日】平成11年(1999)7月19日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−6127
【出願日】平成7年(1995)1月19日
【公開番号】特開平8−191722
【公開日】平成8年(1996)7月30日
【審査請求日】平成9年(1997)1月22日
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【参考文献】
【文献】特開 平2−215409(JP,A)