説明

家庭用薄葉紙収納容器

【課題】片手のみの一連の動作で家庭用薄葉紙の取り出しを行うことができる家庭用薄葉紙収納容器を提供する。
【解決手段】容器本体10とキャップ部20とを備え、容器本体10とキャップ部20とが一体若しくは分離可能に構成された家庭用薄葉紙収納容器100において、キャップ部20の上面部21には、容器本体10に収納された家庭用薄葉紙を下方から上方に挿通させる第1挿通部22と、第1挿通部22を通過した家庭用薄葉紙を上方から下方に挿通させて当該家庭用薄葉紙Pを保持する第2挿通部23とが設けられ、キャップ部20の前側面には、外部から指を差し入れて第2挿通部23を通過した家庭用薄葉紙Pを外部へ取り出す取出部25が設けられ、第2挿通部23に保持された家庭用薄葉紙Pを取出部25を介して下方に引っ張ることで、当該家庭用薄葉紙Pに設けられた切離し部により、所定の長さの家庭用薄葉紙Pが切り離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用薄葉紙を収納する家庭用薄葉紙収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家屋の床やトイレ、或いは人体などを拭くための家庭用薄葉紙を収納する家庭用薄葉紙収納容器が知られている。
そして、容器内部に収納されている家庭用薄葉紙を取り出すのに蓋がワンタッチで開くものや、容器内部に家庭用薄葉紙を立てた状態で収納できるものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−280687号公報
【特許文献2】特開2006−282244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1、2の家庭用薄葉紙収納容器では、家庭用薄葉紙を引き出す場合、その取出口にかかる摩擦が大きく、家庭用薄葉紙を引くのと逆方向に押さえないと家庭用薄葉紙収納容器が動いてしまうため、片手しか使えないシーンでの使用が不便であるという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、片手のみの一連の動作で家庭用薄葉紙の取り出しを行うことができる家庭用薄葉紙収納容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、
請求項1に記載の発明は、
上面に開口部を有し、家庭用薄葉紙を内部に収納する容器本体と、
前記開口部を覆って閉塞させるキャップ部と、を備え、前記容器本体と前記キャップ部とが一体若しくは分離可能に構成された家庭用薄葉紙収納容器において、
前記キャップ部の上面部には、前記容器本体に収納された家庭用薄葉紙を下方から上方に挿通させる第1挿通部と、前記第1挿通部を通過した家庭用薄葉紙を上方から下方に挿通させると共に当該家庭用薄葉紙を保持する第2挿通部と、が設けられ、
前記キャップ部の一側端部には、外部から指の差し入れが可能であって、前記第2挿通部を通過した家庭用薄葉紙を外部へ取り出す取出部が設けられ、
前記第2挿通部に保持された家庭用薄葉紙を前記取出部を介して下方に引っ張ることで、当該家庭用薄葉紙に設けられた切離し部により、所定の長さの家庭用薄葉紙が切り離されるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の家庭用薄葉紙収納容器において、
前記容器本体には、前記取出部を内部側から塞ぐ蓋部が備えられ、
前記蓋部は、前記取出部への指の差し入れに応じて可動若しくは変形して、前記取出部の開閉を行うことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の家庭用薄葉紙収納容器において、
前記蓋部は、下端部がヒンジ軸によって固定された板体であって、
前記板体は、前記取出部の外部から押圧力が作用した場合、上端部が前記取出部の内部に向かうように倒伏し、前記外部からの押圧力が解除された場合、前記取出部を塞ぐ位置に起立することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の家庭用薄葉紙収納容器において、
前記蓋部は、下端部が固定された板状弾性体であって、
前記板状弾性体は、前記取出部の外部から押圧力が作用した場合、上端部が前記取出部の内部に向かうように折れ曲がり、前記外部からの押圧力が解除された場合、前記取出部を塞ぐ位置に復元することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の家庭用薄葉紙収納容器において、
前記蓋部は、前記取出部の内部から外部に向かう凸形状の弾性体であって、
前記弾性体は、前記取出部の外部から押圧力が作用した場合、前記取出部を開く凹形状に変形し、前記外部からの押圧力が解除された場合、前記取出部を塞ぐ凸形状に復元することを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に記載の発明は、請求項2〜5の何れか一項に記載の家庭用薄葉紙収納容器において、
前記蓋部の前記取出部の内部側周縁部に対向する縁部及び/又は前記取出部の内部側周縁部には、弾性変形可能な変形部材が備えられていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に記載の発明は、請求項2〜6の何れか一項に記載の家庭用薄葉紙収納容器において、
前記キャップ部は、前記蓋部の可動を許可する状態と阻止する状態とを切り替え可能なロック部材を備えていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の何れか一項に記載の家庭用薄葉紙収納容器において、
前記第2挿通部は、前記第1挿通部より高い位置に配されることを特徴とする。
【0014】
また、請求項9に記載の発明は、請求項1〜8の何れか一項に記載の家庭用薄葉紙収納容器において、
前記第2挿通部は、下方に向かった凸形状に形成されていることを特徴とする。
【0015】
また、請求項10に記載の発明は、請求項1〜9の何れか一項に記載の家庭用薄葉紙収納容器において、
前記容器本体の底面には、滑り止め防止部材が備えられていることを特徴とする。
【0016】
また、請求項11に記載の発明は、請求項1〜10の何れか一項に記載の家庭用薄葉紙収納容器において、
前記キャップ部の内部において、前記第1挿通部と前記第2挿通部との間には、前記第1挿通部に向かう家庭用薄葉紙が外気に触れるのを遮断するための遮断壁が備えられていることを特徴とする。
【0017】
また、請求項12に記載の発明は、請求項1〜11の何れか一項に記載の家庭用薄葉紙収納容器において、
前記取出部及び前記第2挿通部が、前記容器本体の側面より外側に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、容器本体に収納された家庭用薄葉紙は、キャップ部の上部に設けられた第1挿通部、第2挿通部を挿通して、その先端部が第2挿通部に保持された状態にセットされる。そして、使用時には、第2挿通部に保持された家庭用薄葉紙の先端部が、キャップ部の一側面に設けられた取出部を介して下方に引っ張られ、家庭用薄葉紙は切離し部により所定の長さに切り離される。
このため、家庭用薄葉紙収納容器は、家庭用薄葉紙を引っ張る力により下向きに押し付けられるので、家庭用薄葉紙収納容器を押さえなくても動くことがなく、また、引っ張るだけで家庭用薄葉紙が所定の長さに切り離される。
従って、片手のみの一連の動作で家庭用薄葉紙の取り出しを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態の家庭用薄葉紙収納容器を示す斜視図である。
【図2】図1の家庭用薄葉紙収納容器の背面図である。
【図3】図1の家庭用薄葉紙収納容器の分解斜視図である。
【図4】図1の家庭用薄葉紙収納容器のIV−IV線における断面模式図である。
【図5】家庭用薄葉紙を取り出し方について説明するための図である。
【図6】容器本体の変形例を示す図である。
【図7】キャップ部の変形例を示す図である。
【図8】第2実施形態の家庭用薄葉紙収納容器のキャップ部を示す断面模式図である。
【図9】第3実施形態の家庭用薄葉紙収納容器のキャップ部を示す断面模式図である。
【図10】第4実施形態の家庭用薄葉紙収納容器の容器本体を示す断面模式図である。
【図11】第5実施形態の家庭用薄葉紙収納容器の容器本体を示す断面模式図である。
【図12】第6実施形態の家庭用薄葉紙収納容器の容器本体を示す断面模式図である。
【図13】第7実施形態の家庭用薄葉紙収納容器の容器本体及びキャップ部を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図を参照して、本発明に係る家庭用薄葉紙収納容器の具体的な態様を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0021】
<第1実施形態>
先ず、構成について説明する。
家庭用薄葉紙収納容器(以下、収納容器という。)100は、例えば、図1〜4に示すように、上面に開口部11を有し、長尺なシートをロール状に巻回した家庭用薄葉紙Pを内部に収納する容器本体10と、開口部11を覆って閉塞させるキャップ部20と、を備えている。
【0022】
容器本体10は、底部から上端部近傍までほぼ一定の円筒状であり、上面には大きく開口した開口部11を有している。また、この容器本体10の上端部の外周面には、周方向に沿って突起部が形成されている。
容器本体10は、円筒状であることから、ロール状に巻回された家庭用薄葉紙P(例えば、ドライ或いはウェット状態のシートやティッシュペーパー等)をほぼ同心位置に配置して内部に収納することを可能としている。この家庭用薄葉紙Pは、ロールの中心側から紙片を繰り出すようになっている。
家庭用薄葉紙Pには、長さ方向に一定間隔をおいて切離し部としてのミシン目P1が施されており、そのミシン目P1に沿って切り離したサイズの家庭用薄葉紙Pを、使用者が使用するようになっている。
【0023】
開口部11の前端部には、キャップ部20部に設けられた取出部25(後述)を内部側から塞ぐ蓋部12が設けられている。
蓋部12は、容器本体10の内壁面から開口部11の中央側に向かって延出する蓋設置部13に取り付けられている。
具体的に、蓋部12は、取出部25より一回り大きな四角形状の板体により形成され、その下端部がヒンジ軸12aによって蓋設置部13に起立した状態で固定されている。ヒンジ軸12aには、ねじりコイルばねが備えられ、このねじりコイルばねの一端は、蓋部12に固定され、他端は、蓋設置部13に固定され、これにより、蓋部12が前端部に向けて付勢されている。なお、ヒンジ軸12aには、ねじりコイルばねの他にも、例えば、板バネなどを備えることとしても良い。
そして、この蓋部12は、取出部25の外部から押圧力が作用した場合、ヒンジ軸12aを回転軸として自由端となった上端部から取出部25の内部に向かうように倒伏すると共に、当該外部から押圧力が解除された場合、元の取出部25を塞ぐ位置に起立するようになっている。このように、蓋部12は、取出部25への指の差し入れに応じて可動して、取出部25の開閉を行う。
【0024】
また、容器本体10の底面には、滑り止め防止部材15が備えられている。
滑り止め防止部材15としては、例えば、ウレタン樹脂、シリコン樹脂又はアクリル樹脂等の合成樹脂素材等が用いられる。
滑り止め防止部材15は、薄いシート状に形成され、容器本体10の底面の一部又は全部(本実施形態においては、底面の左右両側)に貼付される。
なお、滑り止め防止部材15は、バランスよく配置されればどのような配置であっても良く、例えば、水玉状に点在させてもよいし、線状部を並設させても良い。
この滑り止め防止部材15は、家庭用薄葉紙Pの引き出し時に収納容器100に対して下方に力がかかった場合の滑り止めとなって、家庭用薄葉紙Pをより引き出しやすくすることができる。
【0025】
なお、容器本体10は、例えば、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)或いはABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂等の熱可塑性樹脂を用いて、インジェクション成形、ブロー成形、ブローインジェクション成形等の金型成型により各パーツが形成されて、組み上げられる。
また、蓋部12は、容器本体10と別パーツとして形成されても良いし、容器本体10と一体成型されていても良い。また、蓋部12は、二色成型により容器本体10と一体の別素材とされていても良い。
【0026】
キャップ部20は、容器本体10に比べて丈の短い円筒状であって、その上端側は前方が後方より高くなるように緩やかに傾斜した上面部21により閉塞され、下端側は開口となっている。
キャップ部20の外径は容器本体10の外径とほぼ等しく、その内周面には容器本体10の突起部が係合する係合部が形成されている。この係合部により、キャップ部20は、前述した容器本体10の上端部に対して着脱可能となっている。そして、キャップ部20が着脱可能であるため、キャップ部20を容器本体10から取り外した状態では、容器本体10の内部に家庭用薄葉紙Pを充填することを可能とし、キャップ部20を容器本体10に取り付けた状態では内部の家庭用薄葉紙Pのロールが外に出ないように保持することを可能としている。
【0027】
キャップ部20の上面部21には、家庭用薄葉紙Pを挿通させる第1挿通部22及び第2挿通部23が備えられている。
具体的には、図3、4に示すように、キャップ部20の上面部21には、前方から後方に亘る凹部21aが形成されており、この凹部21aに第1挿通部22及び第2挿通部23が設けられている。
また、凹部21aの前端部には、当該凹部21aに嵌合するように形成された小蓋24が開閉可能に取り付けられており、小蓋24は、閉状態において、第1挿通部22及び第2挿通部23の上方を覆いつつ上面部21の天面部21bを面一に形成している。
なお、小蓋24は、家庭用薄葉紙Pを新たにセットする際に開状態とされる以外は、通常(特に使用時)閉状態となっている。
【0028】
第1挿通部22は、キャップ部20の上面部21(凹部21a)の中央よりやや後方よりに位置する開口であって、容器本体10に収納された家庭用薄葉紙Pを下方から上方に挿通させることで、当該家庭用薄葉紙Pを引き上げる。
【0029】
また、第2挿通部23は、キャップ部20の上面部21(凹部21a)の中央よりやや前方よりに位置し、第1挿通部22を通過した家庭用薄葉紙Pを上方から下方に挿通させることで、当該家庭用薄葉紙Pをキャップ部20の内部前方に引き下げる。
ここで、第2挿通部23は、全体として下方に向かった凸形状を成し、平面視で十字状の切り込み部23aが形成されている。切り込み部23aは、家庭用薄葉紙Pがその中心を下方に向かって通過する際に、当該家庭用薄葉紙Pに適度に摺動抵抗を付与するようになっている。これにより、家庭用薄葉紙Pの使用時にその摺動抵抗が家庭用薄葉紙Pに作用し、ミシン目P1からの分離が促されると共に、次の家庭用薄葉紙Pの先端部が切り込み部23aに挟まれた状態で保持されるので、次の家庭用薄葉紙Pの先端部をキャップ部20の内部前方に維持することができる。
また、キャップ部20の上面部21が、前方が後方より高くなるように緩やかに傾斜しているため、第2挿通部23は、第1挿通部22より高い位置に配置されることとなる。これにより、家庭用薄葉紙Pのミシン目P1が、第1挿通部22に引っ掛かって分離してしまうのが防止されている。
なお、第2挿通部23の形状は、第1挿通部22よりホールド力が強い形状であれば良く、その形状は平面視十字状に限定されない。
【0030】
また、キャップ部20の前側部(一側端部)には、第1挿通部22及び第2挿通部23を通過してきた家庭用薄葉紙Pを外部に取り出す取出部25が備えられている。
取出部25は、外部から指の差し入れが可能な大きさの開口である。キャップ部20の内部前方には、第2挿通部23を通過した家庭用薄葉紙Pの先端部が保持されているため、使用者は取出部25から指を差し入れた際に、当該家庭用薄葉紙Pの先端部を摘むことができるようになっている。このとき、第2挿通部23が下方に向かった凸形状であるため、取出部25から使用者が指を入れた際に、指が届きやすくなっている。
この取出部25は、キャップ部20を容器本体10に装着した場合に、容器本体10に設けられた蓋部12により内部側から塞がれている。
蓋部12は、前述のように、取出部25への指の差し入れに応じて可動するため、取出部25は、指が差し入れられると開状態となり、指が引き抜かれると閉状態となる。
このように、取出部25への指の出し入れと連動して蓋部12が開閉するので、蓋部12を開閉する別個の動作が不要で、閉め忘れの心配もない。
【0031】
なお、キャップ部20は、例えば、PEやPP、PET或いはABS樹脂等の熱可塑性樹脂を用いて、インジェクション成形、ブロー成形、ブローインジェクション成形等の金型成型により各パーツが形成されて、組み上げられる。
【0032】
次に、作用について図5を用いて説明する。
収納容器100から家庭用薄葉紙Pを取り出す場合、使用者は、取出部25に指を差し込む。取出部25から指が指し込まれると、その押圧力によって取出部25を塞いでいる蓋部12が、容器内部に向かって倒伏する。
倒伏した蓋部12の上方には第2挿通部23が在るため、使用者の指は、第2挿通部23に保持された家庭用薄葉紙Pの先端部に接触することとなる。このとき、第2挿通部23は下方に向かった凸形状であるため、家庭用薄葉紙Pの先端部に指が届きやすくなっている(図5(a)参照)。
次に、使用者は、家庭用薄葉紙Pを取出部25の外部に引っ張りだす。このとき、取出部25は第2挿通部23よりも斜め下方に位置するため、家庭用薄葉紙Pは、下向きに引っ張られることとなる(図5(b)参照)。
そして、下向きに引っ張られることで、摺動抵抗が家庭用薄葉紙Pに作用し、ミシン目P1からの分離が促され、所定の長さの家庭用薄葉紙Pが取り出される(図5(c)参照)。
このとき、家庭用薄葉紙Pは下向きに引っ張られるため、収納容器100が下に押し付けられるため、収納容器100は押さえなくても動くことがない。
家庭用薄葉紙Pが取り出されると、蓋部12が、元の位置に起立する。
【0033】
以上のように、本実施形態の収納容器100によれば、容器本体10に収納された家庭用薄葉紙Pは、キャップ部20の上面部21に設けられた第1挿通部22、第2挿通部23を挿通して、その先端部が第2挿通部23に保持された状態にセットされる。そして、使用時には、第2挿通部23に保持された家庭用薄葉紙Pの先端部は、キャップ部20の前側面(一側面)に設けられた取出部25を介して下方に引っ張られ、ミシン目P1により所定の長さに切り離される。
このため、収納容器100は、家庭用薄葉紙Pを引っ張る力により下向きに押し付けられるので、押さえなくても動くことがなく、また、引っ張るだけで家庭用薄葉紙Pを所定の長さに切り離すころができる。
従って、片手のみの一連の動作で家庭用薄葉紙Pの取り出しを行うことができる。
【0034】
また、本実施形態の収納容器100によれば、容器本体10には、取出部25を内部側から塞ぐ蓋部12が備えられ、蓋部12は、取出部25への指の差し入れに応じて可動して、取出部25の開閉を行うようになっている。具体的に、本実施形態の蓋部12は、下端部がヒンジ軸12aによって固定された板体であって、板体は、取出部25の外部から押圧力が作用した場合、上端部から取出部25の内部に向かうように倒伏すると共に、外部からの押圧力が解除された場合、取出部25を塞ぐ位置に起立するようになっている。
このため、取出部25への指の出し入れと連動して蓋部12が開閉するので、蓋部12を開閉する別個の動作が不要で、閉め忘れの心配もない。
従って、片手のみの一連の動作で、家庭用薄葉紙Pの取り出しと蓋部12の開閉とを行うことができる。
【0035】
また、本実施形態の収納容器100によれば、第2挿通部23は、第1挿通部22より高い位置に配されている。
このため、家庭用薄葉紙Pのミシン目P1が、第1挿通部22に引っ掛かって分離してしまうのを防止することができる。
【0036】
また、本実施形態の収納容器100によれば、第2挿通部23は、下方に向かった凸形状に形成されている。
このため、取出部25から使用者が指をいれた際に、指が届きやすくすることができる。
【0037】
また、本実施形態の収納容器100によれば、容器本体10の底面には、滑り止め防止部材15が備えられている。
このため、家庭用薄葉紙Pの引き出し時に収納容器100に対して下方に力がかかった場合に、より取り出しやすくすることができる。
【0038】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
例えば、蓋部12は、図6に示すように、取出部25の内部側周縁部に対向する縁部に沿うように、弾性変形可能な変形部材14を備えることとしても良い。
変形部材14には、例えば、エラストマー、スポンジなどの押圧力が掛かった際に弾性変形する素材が用いられる。
この変形部材14により、蓋部12が取出部25を塞いでいる状態において、蓋部12と取出部25の内部側周縁部との隙間が埋まり、密閉性を高めることができる。
【0039】
また、取出部25の内部側周縁部に、図7に示すように、弾性変形可能な変形部材26を備えることとしても良い。
この変形部材26は、変形部材14と同様に、例えば、エラストマー、スポンジなどの押圧力が掛かった際に弾性変形する素材が用いられ、これにより、蓋部12が取出部25を塞いでいる状態において、蓋部12と取出部25の内部側周縁部との隙間が埋まり、密閉性を高めることができる。
また、これら変形部材14及び変形部材26の両方を備えることとしても良い。
【0040】
また、上記実施形態においては、容器本体10とキャップ部20とが分離可能な構成を例示して説明したが、容器本体10とキャップ部20とを一体に構成することとしても良い。この場合、家庭用薄葉紙Pを、例えば、容器本体10の底面から入れる構成とすることができる。
また、上記施形態においては、容器本体10及びキャップ部20として円筒状のものを例示しているが、容器本体10の蓋部12を設ける前側面、及びキャップ部20の取出部25を設ける前側面を平面としても良い。また、容器本体10及びキャップ部20を、角柱状としても良い。これにより、蓋部12が取出部25を塞ぎやすく、密閉性を高めることができる。
【0041】
また、第1挿通部22及び第2挿通部は、その一部が繋がっていても良い。
また、第2挿通部23の形状は下方に向かった凸形状に限定されず、例えば、凹部21aと面一であっても良い。
また、第2挿通部23は、別パーツとして形成されても良いし、二色成型によりキャップ部20の上面部21(凹部21a)と一体の別素材となっていても良い。また、第2挿通部23は、上面部21(凹部21a)自体に設けた孔部と、別パーツに設けた孔部とを組み合わせて形成しても良い。
【0042】
また、家庭用薄葉紙Pは、切離し部を備えた長尺なシートであれば良く、その構成は上記実施形態に限定されない。
例えば、上記実施形態においては、家庭用薄葉紙Pとして、長尺なシートをロール状に巻回したものを例示しているが、家庭用薄葉紙Pは、長尺なシートをジグザグに畳んだもの等であっても良い。
また、家庭用薄葉紙Pは、切離し部としてミシン目P1を備えることとしているが、かかる切離し部は、例えば、目付けを低くしたり、構成繊維のスペックを異ならせるなどすることで、引張強度が周辺より弱い構成であれば、ミシン目でなくとも良い。
このような構成であっても、長尺なシートである家庭用薄葉紙Pを、片手のみの一連の動作で所定の長さずつ分離しつつ取り出すことが可能である。
【0043】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明は省略する。
【0044】
本実施形態においては、図8に示すように、キャップ部20Aは、蓋部12の可動を許可する状態と阻止する状態とに切り替え可能なロック部材27を備えている。
具体的に、このロック部材27は、例えば、キャップ部20Aの第2挿通部23より前方であって蓋部12より後方となる位置に、上下動可能に挿入された板体である。
ロック部材27は、家庭用薄葉紙Pの未使用時には、蓋部12に当接するように押し込まれて(蓋部12の可動を阻止する状態となって)当該蓋部12が倒伏するのを阻止し、家庭用薄葉紙Pの使用時には、使用者によって引き上げられて(蓋部12の可動を許可する状態となって)、当該蓋部12が倒伏するのを許容する。
【0045】
これにより、蓋部12の可動にロックがかかって、例えば、持ち運び時などに不要意に蓋部12が開いてしまうのを防止することができる。
【0046】
なお、ロック部材27は、蓋部12の可動を切り替えることができるものであればその形状や取付位置に限定はなく、例えば、上記したような板体の他にも、棒状や楔形の部材を用いることもできる。
【0047】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明は省略する。
【0048】
本実施形態においては、図9に示すように、キャップ部20Bは、その内部において、第1挿通部22と第2挿通部23との間に、第1挿通部22に向かう家庭用薄葉紙Pが外気に触れるのを遮断するための遮断壁28を備えている。
具体的に、この遮断壁28は、キャップ部20Bの内部において、第1挿通部22と第2挿通部23との間を遮断する起立した第1面28aと、当該第1面28aの下端部から前方に延出する第2面28bと、からなる。
第2面28bの前部には、キャップ部20Bを容器本体10に取り付ける際に蓋部12を下方から挿入するための開口部28cが形成されている。この開口部28cは、キャップ部20Bを容器本体10に取り付けることにより閉塞する大きさに形成されている。
このため、キャップ部20Bの内部は、第1面28a後方の第1領域S1と、第1面28a前方の第2領域S2とに分離される。
第1領域S1は、容器本体10からの家庭用薄葉紙Pが第1挿通部22に向かう際に通過する領域であり、第2領域S2は、第2挿通部23からの家庭用薄葉紙Pが取出部25に向かう際に通過する領域である。
【0049】
これにより、家庭用薄葉紙Pを取り出す際に、取出部25が開いたとしても、遮断壁28により第1領域S1に外気が流れこむのが遮断されるため、家庭用薄葉紙Pが乾燥しにくく、また、容器本体中に溜まった液の漏れ出しも防ぐことができる。
【0050】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明は省略する。
【0051】
本実施形態においては、図10(a)に示すように、容器本体10Aは、板状弾性体により形成された蓋部17を備えている。
具体的に、この蓋部17は、その下端部が容器本体10Aの蓋設置部13に固定されている。そして、蓋部17は、取出部25の外部から押圧力が作用した場合、図10(b)に示すように、上端部が取出部25の内部に向かうように折れ曲がり、外部からの押圧力が解除された場合、元の取出部25を塞ぐ位置に復元するようになっている。
なお、蓋部17は、容器本体10Aと別パーツとして形成されても良いし、容器本体10Aと一体成型されていても良い。また、蓋部17は、二色成型により容器本体10Aと一体の別素材とされていても良い。
【0052】
これにより、片手のみの一連の動作で、家庭用薄葉紙Pの取り出しと蓋部17の開閉とを行うことができる。また、蓋部17自体が変形する素材であるためヒンジ機構等が必要なく、より簡単な構成で取出部の開閉を行う蓋部を形成することができる。
また、収納容器100の内部の液体の揮発や凝集により当該収納容器100の内圧が変化した場合に、蓋部17は膨張・収縮して容積を変化させることができるため、蒸散を防ぐことができる。
【0053】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明は省略する。
【0054】
本実施形態においては、図11(a)に示すように、容器本体10Bは、弾性部材により形成された蓋部18を備えている。
具体的に、この蓋部18は、当該蓋部18を後方下部から保持する保持部18aによって容器本体10Bの蓋設置部13に固定された球形の弾性部材であって、キャップ部20の取出部25の内部から外部に向かって押し付けられて凸形状を成している。
ここで、弾性部材としては、例えば、シリコン、オレフィン、ラテックス、イソプレン、ブタジエン等が用いられ、このため、蓋部18は、取出部25の外部から押圧力が作用した場合、図11(b)に示すように、取出部25を開く凹形状に変形すると共に、外部からの押圧力が解除された場合、取出部25を塞ぐ凸形状に復元するようになっている。
なお、蓋部18は、容器本体10Bと別パーツとして形成されても良いし、容器本体10Bと一体成型されていても良い。また、蓋部18は、二色成型により容器本体10Bと一体の別素材とされていても良い。
【0055】
これにより、片手のみの一連の動作で、家庭用薄葉紙Pの取り出しと蓋部18の開閉とを行うことができる。また、収納容器100の内部の液体の揮発や凝集により当該収納容器100の内圧が変化した場合に、蓋部18は膨張・収縮して容積を変化させることができるため、蒸散を防ぐことができる。
【0056】
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明は省略する。
【0057】
本実施形態においては、図12(a)に示すように、容器本体10Cは、弾性部材により形成された蓋部19を備えている。
具体的に、この蓋部19は、その上端部が第2挿通部23の後方に固定され、その下端部が蓋設置部13に固定され、キャップ部20の取出部25の内部から外部に向かって凸形状を成す弾性部材である。
ここで、弾性部材としては、例えば、シリコン、オレフィン、ラテックス、イソプレン、ブタジエン等が用いられ、このため、蓋部19は、取出部25の外部から押圧力が作用した場合、図12(b)に示すように、取出部25を開く凹形状に変形すると共に、外部からの押圧力が解除された場合、取出部25を塞ぐ凸形状に復元するようになっている。
なお、蓋部19は、容器本体10Cと別パーツとして形成されても良いし、容器本体10Cと一体成型されていても良い。また、蓋部19は、二色成型により容器本体10Cと一体の別素材とされていても良い。
【0058】
これにより、片手のみの一連の動作で、家庭用薄葉紙Pの取り出しと蓋部19の開閉とを行うことができる。また、収納容器100の内部の液体の揮発や凝集により当該収納容器100の内圧が変化した場合に、蓋部19は膨張・収縮して容積を変化させることができるため、蒸散を防ぐことができる。
【0059】
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態について説明する。
なお、第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明は省略する。
【0060】
本実施形態においては、図13に示すように、キャップ部20Cは、取出部25及び第2挿通部23が、容器本体10Dの側面より外側に位置するように形成されている。
具体的に、キャップ部20Cは、容器本体10Dの側面より前方に延出する延出部29を備え、延出部29に、取出部25及び第2挿通部23が配されるようになっている。
また、容器本体10Dも、開口部11の前端部が前方に延出して当該前端部に蓋部12が備えられた、キャップ部20Cと合致する形状となっている。
【0061】
これにより、容器本体10Dの上方に家庭用薄葉紙Pを挿通させるための空間を確保する必要がなく、収納容器を全体として低くすることができる。
また、容器本体10Dの大きさに制限されることがないため、取出部25を使用者が指を入れやすい形状とすることができる。
【符号の説明】
【0062】
100 収納容器(家庭用薄葉紙収納容器)
10、10A、10B、10C、10D 容器本体
11 開口部
12 蓋部(板体)
12a ヒンジ軸
13 蓋設置部
14 変形部材
15 滑り止め防止部材
17 蓋部(板状弾性体)
18 蓋部(弾性体)
18a 保持部
20、20A、20B、20C キャップ部
21 上部
21a 凹部
21b 天面部
22 挿通部
23 挿通部
23a 切り込み部
24 小蓋
25 取出部
26 変形部材
27 ロック部材
28 遮断壁
28a 第1面
28b 第2面
28c 開口部
S1 領域
S2 領域
29 延出部
P 家庭用薄葉紙
P1 ミシン目(切離し部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に開口部を有し、家庭用薄葉紙を内部に収納する容器本体と、
前記開口部を覆って閉塞させるキャップ部と、を備え、前記容器本体と前記キャップ部とが一体若しくは分離可能に構成された家庭用薄葉紙収納容器において、
前記キャップ部の上面部には、前記容器本体に収納された家庭用薄葉紙を下方から上方に挿通させる第1挿通部と、前記第1挿通部を通過した家庭用薄葉紙を上方から下方に挿通させると共に当該家庭用薄葉紙を保持する第2挿通部と、が設けられ、
前記キャップ部の一側端部には、外部から指の差し入れが可能であって、前記第2挿通部を通過した家庭用薄葉紙を外部へ取り出す取出部が設けられ、
前記第2挿通部に保持された家庭用薄葉紙を前記取出部を介して下方に引っ張ることで、当該家庭用薄葉紙に設けられた切離し部により、所定の長さの家庭用薄葉紙が切り離されるように構成されていることを特徴とする家庭用薄葉紙収納容器。
【請求項2】
前記容器本体には、前記取出部を内部側から塞ぐ蓋部が備えられ、
前記蓋部は、前記取出部への指の差し入れに応じて可動若しくは変形して、前記取出部の開閉を行うことを特徴とする請求項1に記載の家庭用薄葉紙収納容器。
【請求項3】
前記蓋部は、下端部がヒンジ軸によって固定された板体であって、
前記板体は、前記取出部の外部から押圧力が作用した場合、上端部が前記取出部の内部に向かうように倒伏し、前記外部からの押圧力が解除された場合、前記取出部を塞ぐ位置に起立することを特徴とする請求項2に記載の家庭用薄葉紙収納容器。
【請求項4】
前記蓋部は、下端部が固定された板状弾性体であって、
前記板状弾性体は、前記取出部の外部から押圧力が作用した場合、上端部が前記取出部の内部に向かうように折れ曲がり、前記外部からの押圧力が解除された場合、前記取出部を塞ぐ位置に復元することを特徴とする請求項2に記載の家庭用薄葉紙収納容器。
【請求項5】
前記蓋部は、前記取出部の内部から外部に向かう凸形状の弾性体であって、
前記弾性体は、前記取出部の外部から押圧力が作用した場合、前記取出部を開く凹形状に変形し、前記外部からの押圧力が解除された場合、前記取出部を塞ぐ凸形状に復元することを特徴とする請求項2に記載の家庭用薄葉紙収納容器。
【請求項6】
前記蓋部の前記取出部の内部側周縁部に対向する縁部及び/又は前記取出部の内部側周縁部には、弾性変形可能な変形部材が備えられていることを特徴とする請求項2〜5の何れか一項に記載の家庭用薄葉紙収納容器。
【請求項7】
前記キャップ部は、前記蓋部の可動を許可する状態と阻止する状態とを切り替え可能なロック部材を備えていることを特徴とする請求項2〜6の何れか一項に記載の家庭用薄葉紙収納容器。
【請求項8】
前記第2挿通部は、前記第1挿通部より高い位置に配されることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の家庭用薄葉紙収納容器。
【請求項9】
前記第2挿通部は、下方に向かった凸形状に形成されていることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の家庭用薄葉紙収納容器。
【請求項10】
前記容器本体の底面には、滑り止め防止部材が備えられていることを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の家庭用薄葉紙収納容器。
【請求項11】
前記キャップ部の内部において、前記第1挿通部と前記第2挿通部との間には、前記第1挿通部に向かう家庭用薄葉紙が外気に触れるのを遮断するための遮断壁が備えられていることを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の家庭用薄葉紙収納容器。
【請求項12】
前記取出部及び前記第2挿通部が、前記容器本体の側面より外側に位置することを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載の家庭用薄葉紙収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−25484(P2012−25484A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169003(P2010−169003)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】