家庭用薄葉紙収納箱の製造方法
【課題】シートを取り出して使用する段階で、香料成分が揮散するマイクロカプセル担持層を安定して形成でき、もって、製品完成前における香料成分の揮散などを防止する。
【解決手段】箱上面に形成された開封蓋部分全体を広く覆う領域をもって裏面側に固定された収納シート材料に取り出し用スリットが形成され、使用時に前記開封蓋部分を除去し、前記スリットを家庭用薄葉紙の取り出し口として家庭用薄葉紙を取り出すようにした家庭用薄葉紙収納箱の製造方法において、前記収納シート材料に予めコロナ放電処理しておき、前記家庭用薄葉紙の取り出し時に擦れる部分に香料成分を封入するマイクロカプセル担持層を形成し、前記収納箱内に前記家庭用薄葉紙束を収納する前の段階で、前記の収納シート材料を前記裏面側に固定する。
【解決手段】箱上面に形成された開封蓋部分全体を広く覆う領域をもって裏面側に固定された収納シート材料に取り出し用スリットが形成され、使用時に前記開封蓋部分を除去し、前記スリットを家庭用薄葉紙の取り出し口として家庭用薄葉紙を取り出すようにした家庭用薄葉紙収納箱の製造方法において、前記収納シート材料に予めコロナ放電処理しておき、前記家庭用薄葉紙の取り出し時に擦れる部分に香料成分を封入するマイクロカプセル担持層を形成し、前記収納箱内に前記家庭用薄葉紙束を収納する前の段階で、前記の収納シート材料を前記裏面側に固定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティシュペーパー、キッチンペーパー、タオルペーパーなどの家庭用薄葉紙収納箱の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ティシュペーパーの収納箱において、ティシュペーパーや収納箱に香料を塗布して、使用時にその揮散した香りを嗅ぐようにしたものが知られている(特許文献1、特許文献2)。
しかし、香り成分は時間の経過と共に揮散するので、製品を消費者が実際に使用する段階では香りの強弱が生じてしまい、製品価値として十分とは言えないものであった。その結果、提案としては存在するものの、香料入りトイレットペーパーロールが市販されている程度である。
【特許文献1】実開昭59‐172184号公報
【特許文献2】実開平5‐49680号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の主たる課題は、シートを取り出して使用する段階で、香料成分が揮散するよう構成することによって、使用時期に関係なく、経時的に安定した香りを生じせしめるようにすることにある。他の課題は、マイクロカプセル担持層を安定して形成でき、もって、製品完成前における香料成分の揮散などを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1項記載の発明>
箱上面に形成された開封蓋部分全体を広く覆う領域をもって裏面側に固定された収納シート材料に取り出し用スリットが形成され、使用時に前記開封蓋部分を除去し、前記スリットを家庭用薄葉紙の取り出し口として、収納箱内に収納した家庭用薄葉紙束から家庭用薄葉紙を取り出すようにした家庭用薄葉紙収納箱の製造方法において、
前記収納シート材料における、少なくとも前記家庭用薄葉紙の取り出し時に擦れる部分に香料成分を封入するマイクロカプセル担持層を形成し、かつ、前記家庭用薄葉紙の取り出し時に、当該家庭用薄葉紙がマイクロカプセルに擦れて接触し、前記マイクロカプセルから香料成分が揮散するようにしたものであり、
少なくとも前記マイクロカプセル担持層の形成領域に対応する前記収納シート材料面を予めコロナ放電処理しておき、
少なくとも前記収納箱内に前記家庭用薄葉紙束を収納する前の段階で、前記の収納シート材料を前記裏面側に固定する、
ことを特徴とする家庭用薄葉紙収納箱の製造方法。
【0005】
(作用効果)
取り出し口を形成する収納シート材料における、少なくとも前記シートの取り出し時に擦れる部分に香料成分を封入するマイクロカプセル担持層が設けられ、前記シートの取り出し時に、当該シートがマイクロカプセルに擦れて接触し、前記マイクロカプセルから香料成分が揮散するようにしたので、使用時期に関係なく、経時的に安定した香りを生じさせることができる。
また、開封蓋部分の裏面側に固定された収納シート材料に、すなわち外力を直接受けない部分に、マイクロカプセル担持層が形成されているので、実際に消費者が開封蓋を開けて家庭用薄葉紙の取り出しまでの流通過程などにおいて、マイクロカプセルが破壊されて香料成分が揮散することがない。
さらに、少なくとも前記マイクロカプセル担持層の形成領域に対応する前記収納シート材料面を予めコロナ放電処理により凹凸を形成しておくことで、マイクロカプセル担持層を安定して形成でき、その担持層の脱落や、マイクロカプセルの剥離や崩壊によって香料成分が揮散を防止でき、特に、前記の収納シート材料を収納箱の裏面側に固定すると、前記収納箱内に前記家庭用薄葉紙束を収納する段階で、前記家庭用薄葉紙束の最上面と擦れがちとなるとしても、マイクロカプセル担持層の脱落などによる不具合を解決できる。
【0006】
<請求項2項記載の発明>
前記収納シート材料はプラスチックシートであり、前記マイクロカプセル担持層はマイクロカプセルとバインダーとを主体とする請求項1記載の家庭用薄葉紙の収納箱の製造方法。
【0007】
(作用効果)
プラスチックシートとして、接着性が良好でないポリエチレンなどを使用したとしても、コロナ放電処理によってマイクロカプセル担持層を安定して形成できる。
【0008】
<請求項3項記載の発明>
前記プラスチックシートの前記マイクロカプセル担持層形成面と反対側の面もコロナ放電処理面とされ、前記プラスチックシートが箱上面の裏面側に接着剤により固定されている請求項2記載の家庭用薄葉紙収納箱の製造方法。
【0009】
(作用効果)
プラスチックシートのマイクロカプセル担持層形成面と反対側の面もコロナ放電処理面とされていると、プラスチックシートと箱上面との接着剤による接着性が高まる。
【発明の効果】
【0010】
以上のとおり、本発明によれば、要するに、シートを取り出して使用する段階で、香料成分が揮散するよう構成することによって、使用時期に関係なく、経時的に安定した香りを生じさせることができる。
また、マイクロカプセル担持層を安定して形成でき、もって、製品完成前における香料成分の揮散などを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次いで、本発明をティシュペーパーの実施の形態によってさらに詳述する。
図1は、紙製収納箱たるティシュカートンTcの展開状態である。このティシュカートンTcは、中央部分が底面1、側面2、上面3、側面4として構成され、これら底面1、側面2、上面3、側面4の長手方向両側縁に、それぞれ底面側端面片11,11、側面端面片12,12、上面側端面片13,13、側面端面片14,14が連接されている。また、底面1に貼着フラップ5が連接されている。さらに、前記上面3にはティシュペーパー取り出し用のミシン目により画成された開封蓋部分20が形成されている。
【0012】
かかるティシュカートンTcは、内部にティシュペーパーPの束が収納された状態で、汎用の組み立て形態により図2のように直方体形状にホットメルト接着剤により組立てられる。
【0013】
また、予め、図6に示すように、上面3の裏面側には、開封蓋部分20全体を広く覆う領域をもって、収納シート材料としての、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレンなどのプラスチックシート30が接着剤33などにより前記上面3の裏面に接着固定されている。なお、前述した収納シート材料としては、これらシート材料を混抄させた不織布、例えばポリエチレンとポリプロピレンを混抄させた不織布が用いることができ、形態面からは、エアースルー不織布、メルトブロー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布等が用いることができる。また、合成紙も可能であり、混抄する合成繊維又は化学繊維としては、レーヨン、アセテート、ビニルアセテートが好適であり、他にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等も使用可能である。
【0014】
接着剤33としては、ホットメルトを用いることができるとともに、他に酢酸ビニル系接着剤やアクリル系接着剤等のいわゆるコールドグルーも用いることができる。
【0015】
プラスチックシート30には、図3に示すように開封蓋部分20の長さより短い、図4に示すように開封蓋部分20の長さと実質的に同一、図5に示すように開封蓋部分20の長さより長いなどの形態により、単位ティシュペーパーPを取り出すための取り出し口としてのスリット31が形成されている。
【0016】
上記の収納箱の構造自体は基本的に公知である。
【0017】
しかるに、本発明においては、プラスチックシート30の少なくともティシュペーパーPの取り出し時に擦れる部分に香料成分を封入するマイクロカプセル担持層40が設けられている。
【0018】
また、プラスチックシート30表面に直接マイクロカプセル担持層40を塗布などにより形成することもできるが、望ましくは、プラスチックシート30表面にコロナ放電処理により凹凸32A、32Bを形成してマイクロカプセル担持層40の接着性を高めるのが望ましい。
【0019】
かかるコロナ放電処理により凹凸32A、32Bを形成した面(特にポリエチレンフィラメント表面)の「ぬれ張力」(JIS K 6768:1999)としては、1〜50mN/mであることが望ましい。50mN/mを超えると、透明性を阻害し見栄えが悪くなり、1mN/m未満であると、接着性が劣ってしまう不具合が生じる。
【0020】
マイクロカプセル担持層40の形成形態としては、形成領域を図面の交差ハッチングで示すと、図7のようにプラスチックシート30全体に、図8のようにプラスチックシート30のスリット31の両側部分のみに、図9のようにスリット31と直交する方向に延びるストライプ状に、あるいは図10のように格子状になどの形態で形成できる。
【0021】
すなわち、ティシュペーパーPの取り出し時に、当該ティシュペーパーがマイクロカプセルに擦れて接触し、マイクロカプセルから香料成分が揮散する形態であれば、マイクロカプセル担持層40の形成形態は限定されない。
【0022】
本発明にかかる香料としては、特に限定されるものではないが、具体例として、例えば、リュウゼン香、安息香、海狸香、霊猫香、丁字油、ガルバナム、ジャスミンアブソリュート、ラブタナム、マテ茶、メリロット、ミモザ、ムスクトンキン、ミルラ、オークモスまたはモスドシェーヌ、乳香、ビャクシ香、オリス、バチュリ、ローズマリー油、白檀油、ベチバー油、バイオレットリーフアブソリュートなどの天然香料、高級アルコール、アルデヒド、ベンズアルデヒド、安息香酸、ケイ皮酸、ケイ皮アルデヒド、ケイ皮アルコール、クマリン、エステル、インドール、ケトン、サリチル酸と関連化合物、テルペノイド、バニリンなどの各種の合成香料あるいはこれらの2つ以上の混合物を挙げることができる。市販品を使用することもできる。
【0023】
このような香料を封入するマイクロカプセルの製法は公知の方法を用いることができ、特に限定されるものではない。具体的には、芯物質を香料とし、例えば、スチレン−無水マレイン酸の部分加水分解物と、メラミンまたは尿素とホルマリンのプレポリマを用い、インサイチュ法によってカプセル壁材であるメラミンまたは尿素−ホルマリン樹脂を形成し、香料を封入したマイクロカプセルを生成する。水系に生成した香料を封入したマイクロカプセルをそのまま使用することもできる。
【0024】
マイクロカプセルの粒径に限定はないが、たとえば平均粒径0.3〜50μm、特に3〜20μmが望ましい。
【0025】
マイクロカプセル担持層40の形成方法としては、ロール転写塗布やスプレー塗布などの適宜の方法を採用できる。特に、塗布液のグラビア塗工が望ましい。
【0026】
塗布液としては、バインダーを使用するのが望ましく、たとえばでんぷん、PVA、ウレタン樹脂、アクリル樹脂を使用できる。マイクロカプセルはバインダーに対して、たとえば1〜20重量%に分散させたものを、固形分量でたとえば2.3〜23g/m2の塗布量で塗布することが望ましい。塗布液中に適宜分散剤、たとえば溶剤を使用できる。
【0027】
(製造方法)
本発明における製造方法については、既に多くを説明したが、実施例としてティシュペーパーで説明すると、少なくとも収納箱(ティシュカートンTc)内にティシュペーパー束を収納する前の段階で、前記の収納シート材料、具体例としてはプラスチックシート30を収納箱の裏面側に固定するものである。
【0028】
すなわち、図1に示したティシュカートンTcを得る段階で、マイクロカプセル担持層40を形成したプラスチックシート30を固定しておく。
【0029】
その後、フラップ5においてホットメルト接着剤などにより側面4と接合して成形を完了させたものを製造ラインに持ち込む。
【0030】
製造ラインでは、図11に示される成形完了した折り畳み状態のティシュカートンTcを上方または下方から吸引し及び/又は側方から押して、図12に示すように、長手方向両側面を開口させて各筒状にするとともに、各端面片11,12,13,14を外方に向かってほぼ90度折り曲げる。その後、図13に示されるように、前記側部開口部からティシュカートンTc内に、公知のインターホルダにより積層化したティシュペーパー束Tpを収容する。この収容は例えば、角筒状のティシュカートンTcとティシュペーパー束Tpとを並走させ、前記側部開口部からティシュカートンTc内にティシュペーパーTpを押して収容する従来既知の方法により行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】ティシュペーパーの収納箱本体の展開図である。
【図2】ティシュペーパーの収納箱の斜視図である。
【図3】スリットの形成例のティシュペーパー収納箱の平面図である。
【図4】スリットの形成例のティシュペーパー収納箱の平面図である。
【図5】スリットの形成例のティシュペーパー収納箱の平面図である。
【図6】図2の6−6線矢視図である。
【図7】マイクロカプセル担持層のプラスチックシートの平面図である。
【図8】マイクロカプセル担持層のプラスチックシートの平面図である。
【図9】マイクロカプセル担持層のプラスチックシートの平面図である。
【図10】マイクロカプセル担持層のプラスチックシートの平面図である。
【図11】ティシュカートンの折り畳み状態の斜視図である。
【図12】その後の製造過程を示す斜視図である。
【図13】ティシュペーパー束の収納過程を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1…底面、3…上面、20…開封蓋部分、30…プラスチックシート、31…スリット、32A、32B…凹凸、33…接着剤、40…マイクロカプセル担持層、P…ティシュペーパー、Tc…ティシュカートン。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティシュペーパー、キッチンペーパー、タオルペーパーなどの家庭用薄葉紙収納箱の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ティシュペーパーの収納箱において、ティシュペーパーや収納箱に香料を塗布して、使用時にその揮散した香りを嗅ぐようにしたものが知られている(特許文献1、特許文献2)。
しかし、香り成分は時間の経過と共に揮散するので、製品を消費者が実際に使用する段階では香りの強弱が生じてしまい、製品価値として十分とは言えないものであった。その結果、提案としては存在するものの、香料入りトイレットペーパーロールが市販されている程度である。
【特許文献1】実開昭59‐172184号公報
【特許文献2】実開平5‐49680号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の主たる課題は、シートを取り出して使用する段階で、香料成分が揮散するよう構成することによって、使用時期に関係なく、経時的に安定した香りを生じせしめるようにすることにある。他の課題は、マイクロカプセル担持層を安定して形成でき、もって、製品完成前における香料成分の揮散などを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1項記載の発明>
箱上面に形成された開封蓋部分全体を広く覆う領域をもって裏面側に固定された収納シート材料に取り出し用スリットが形成され、使用時に前記開封蓋部分を除去し、前記スリットを家庭用薄葉紙の取り出し口として、収納箱内に収納した家庭用薄葉紙束から家庭用薄葉紙を取り出すようにした家庭用薄葉紙収納箱の製造方法において、
前記収納シート材料における、少なくとも前記家庭用薄葉紙の取り出し時に擦れる部分に香料成分を封入するマイクロカプセル担持層を形成し、かつ、前記家庭用薄葉紙の取り出し時に、当該家庭用薄葉紙がマイクロカプセルに擦れて接触し、前記マイクロカプセルから香料成分が揮散するようにしたものであり、
少なくとも前記マイクロカプセル担持層の形成領域に対応する前記収納シート材料面を予めコロナ放電処理しておき、
少なくとも前記収納箱内に前記家庭用薄葉紙束を収納する前の段階で、前記の収納シート材料を前記裏面側に固定する、
ことを特徴とする家庭用薄葉紙収納箱の製造方法。
【0005】
(作用効果)
取り出し口を形成する収納シート材料における、少なくとも前記シートの取り出し時に擦れる部分に香料成分を封入するマイクロカプセル担持層が設けられ、前記シートの取り出し時に、当該シートがマイクロカプセルに擦れて接触し、前記マイクロカプセルから香料成分が揮散するようにしたので、使用時期に関係なく、経時的に安定した香りを生じさせることができる。
また、開封蓋部分の裏面側に固定された収納シート材料に、すなわち外力を直接受けない部分に、マイクロカプセル担持層が形成されているので、実際に消費者が開封蓋を開けて家庭用薄葉紙の取り出しまでの流通過程などにおいて、マイクロカプセルが破壊されて香料成分が揮散することがない。
さらに、少なくとも前記マイクロカプセル担持層の形成領域に対応する前記収納シート材料面を予めコロナ放電処理により凹凸を形成しておくことで、マイクロカプセル担持層を安定して形成でき、その担持層の脱落や、マイクロカプセルの剥離や崩壊によって香料成分が揮散を防止でき、特に、前記の収納シート材料を収納箱の裏面側に固定すると、前記収納箱内に前記家庭用薄葉紙束を収納する段階で、前記家庭用薄葉紙束の最上面と擦れがちとなるとしても、マイクロカプセル担持層の脱落などによる不具合を解決できる。
【0006】
<請求項2項記載の発明>
前記収納シート材料はプラスチックシートであり、前記マイクロカプセル担持層はマイクロカプセルとバインダーとを主体とする請求項1記載の家庭用薄葉紙の収納箱の製造方法。
【0007】
(作用効果)
プラスチックシートとして、接着性が良好でないポリエチレンなどを使用したとしても、コロナ放電処理によってマイクロカプセル担持層を安定して形成できる。
【0008】
<請求項3項記載の発明>
前記プラスチックシートの前記マイクロカプセル担持層形成面と反対側の面もコロナ放電処理面とされ、前記プラスチックシートが箱上面の裏面側に接着剤により固定されている請求項2記載の家庭用薄葉紙収納箱の製造方法。
【0009】
(作用効果)
プラスチックシートのマイクロカプセル担持層形成面と反対側の面もコロナ放電処理面とされていると、プラスチックシートと箱上面との接着剤による接着性が高まる。
【発明の効果】
【0010】
以上のとおり、本発明によれば、要するに、シートを取り出して使用する段階で、香料成分が揮散するよう構成することによって、使用時期に関係なく、経時的に安定した香りを生じさせることができる。
また、マイクロカプセル担持層を安定して形成でき、もって、製品完成前における香料成分の揮散などを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次いで、本発明をティシュペーパーの実施の形態によってさらに詳述する。
図1は、紙製収納箱たるティシュカートンTcの展開状態である。このティシュカートンTcは、中央部分が底面1、側面2、上面3、側面4として構成され、これら底面1、側面2、上面3、側面4の長手方向両側縁に、それぞれ底面側端面片11,11、側面端面片12,12、上面側端面片13,13、側面端面片14,14が連接されている。また、底面1に貼着フラップ5が連接されている。さらに、前記上面3にはティシュペーパー取り出し用のミシン目により画成された開封蓋部分20が形成されている。
【0012】
かかるティシュカートンTcは、内部にティシュペーパーPの束が収納された状態で、汎用の組み立て形態により図2のように直方体形状にホットメルト接着剤により組立てられる。
【0013】
また、予め、図6に示すように、上面3の裏面側には、開封蓋部分20全体を広く覆う領域をもって、収納シート材料としての、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレンなどのプラスチックシート30が接着剤33などにより前記上面3の裏面に接着固定されている。なお、前述した収納シート材料としては、これらシート材料を混抄させた不織布、例えばポリエチレンとポリプロピレンを混抄させた不織布が用いることができ、形態面からは、エアースルー不織布、メルトブロー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布等が用いることができる。また、合成紙も可能であり、混抄する合成繊維又は化学繊維としては、レーヨン、アセテート、ビニルアセテートが好適であり、他にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等も使用可能である。
【0014】
接着剤33としては、ホットメルトを用いることができるとともに、他に酢酸ビニル系接着剤やアクリル系接着剤等のいわゆるコールドグルーも用いることができる。
【0015】
プラスチックシート30には、図3に示すように開封蓋部分20の長さより短い、図4に示すように開封蓋部分20の長さと実質的に同一、図5に示すように開封蓋部分20の長さより長いなどの形態により、単位ティシュペーパーPを取り出すための取り出し口としてのスリット31が形成されている。
【0016】
上記の収納箱の構造自体は基本的に公知である。
【0017】
しかるに、本発明においては、プラスチックシート30の少なくともティシュペーパーPの取り出し時に擦れる部分に香料成分を封入するマイクロカプセル担持層40が設けられている。
【0018】
また、プラスチックシート30表面に直接マイクロカプセル担持層40を塗布などにより形成することもできるが、望ましくは、プラスチックシート30表面にコロナ放電処理により凹凸32A、32Bを形成してマイクロカプセル担持層40の接着性を高めるのが望ましい。
【0019】
かかるコロナ放電処理により凹凸32A、32Bを形成した面(特にポリエチレンフィラメント表面)の「ぬれ張力」(JIS K 6768:1999)としては、1〜50mN/mであることが望ましい。50mN/mを超えると、透明性を阻害し見栄えが悪くなり、1mN/m未満であると、接着性が劣ってしまう不具合が生じる。
【0020】
マイクロカプセル担持層40の形成形態としては、形成領域を図面の交差ハッチングで示すと、図7のようにプラスチックシート30全体に、図8のようにプラスチックシート30のスリット31の両側部分のみに、図9のようにスリット31と直交する方向に延びるストライプ状に、あるいは図10のように格子状になどの形態で形成できる。
【0021】
すなわち、ティシュペーパーPの取り出し時に、当該ティシュペーパーがマイクロカプセルに擦れて接触し、マイクロカプセルから香料成分が揮散する形態であれば、マイクロカプセル担持層40の形成形態は限定されない。
【0022】
本発明にかかる香料としては、特に限定されるものではないが、具体例として、例えば、リュウゼン香、安息香、海狸香、霊猫香、丁字油、ガルバナム、ジャスミンアブソリュート、ラブタナム、マテ茶、メリロット、ミモザ、ムスクトンキン、ミルラ、オークモスまたはモスドシェーヌ、乳香、ビャクシ香、オリス、バチュリ、ローズマリー油、白檀油、ベチバー油、バイオレットリーフアブソリュートなどの天然香料、高級アルコール、アルデヒド、ベンズアルデヒド、安息香酸、ケイ皮酸、ケイ皮アルデヒド、ケイ皮アルコール、クマリン、エステル、インドール、ケトン、サリチル酸と関連化合物、テルペノイド、バニリンなどの各種の合成香料あるいはこれらの2つ以上の混合物を挙げることができる。市販品を使用することもできる。
【0023】
このような香料を封入するマイクロカプセルの製法は公知の方法を用いることができ、特に限定されるものではない。具体的には、芯物質を香料とし、例えば、スチレン−無水マレイン酸の部分加水分解物と、メラミンまたは尿素とホルマリンのプレポリマを用い、インサイチュ法によってカプセル壁材であるメラミンまたは尿素−ホルマリン樹脂を形成し、香料を封入したマイクロカプセルを生成する。水系に生成した香料を封入したマイクロカプセルをそのまま使用することもできる。
【0024】
マイクロカプセルの粒径に限定はないが、たとえば平均粒径0.3〜50μm、特に3〜20μmが望ましい。
【0025】
マイクロカプセル担持層40の形成方法としては、ロール転写塗布やスプレー塗布などの適宜の方法を採用できる。特に、塗布液のグラビア塗工が望ましい。
【0026】
塗布液としては、バインダーを使用するのが望ましく、たとえばでんぷん、PVA、ウレタン樹脂、アクリル樹脂を使用できる。マイクロカプセルはバインダーに対して、たとえば1〜20重量%に分散させたものを、固形分量でたとえば2.3〜23g/m2の塗布量で塗布することが望ましい。塗布液中に適宜分散剤、たとえば溶剤を使用できる。
【0027】
(製造方法)
本発明における製造方法については、既に多くを説明したが、実施例としてティシュペーパーで説明すると、少なくとも収納箱(ティシュカートンTc)内にティシュペーパー束を収納する前の段階で、前記の収納シート材料、具体例としてはプラスチックシート30を収納箱の裏面側に固定するものである。
【0028】
すなわち、図1に示したティシュカートンTcを得る段階で、マイクロカプセル担持層40を形成したプラスチックシート30を固定しておく。
【0029】
その後、フラップ5においてホットメルト接着剤などにより側面4と接合して成形を完了させたものを製造ラインに持ち込む。
【0030】
製造ラインでは、図11に示される成形完了した折り畳み状態のティシュカートンTcを上方または下方から吸引し及び/又は側方から押して、図12に示すように、長手方向両側面を開口させて各筒状にするとともに、各端面片11,12,13,14を外方に向かってほぼ90度折り曲げる。その後、図13に示されるように、前記側部開口部からティシュカートンTc内に、公知のインターホルダにより積層化したティシュペーパー束Tpを収容する。この収容は例えば、角筒状のティシュカートンTcとティシュペーパー束Tpとを並走させ、前記側部開口部からティシュカートンTc内にティシュペーパーTpを押して収容する従来既知の方法により行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】ティシュペーパーの収納箱本体の展開図である。
【図2】ティシュペーパーの収納箱の斜視図である。
【図3】スリットの形成例のティシュペーパー収納箱の平面図である。
【図4】スリットの形成例のティシュペーパー収納箱の平面図である。
【図5】スリットの形成例のティシュペーパー収納箱の平面図である。
【図6】図2の6−6線矢視図である。
【図7】マイクロカプセル担持層のプラスチックシートの平面図である。
【図8】マイクロカプセル担持層のプラスチックシートの平面図である。
【図9】マイクロカプセル担持層のプラスチックシートの平面図である。
【図10】マイクロカプセル担持層のプラスチックシートの平面図である。
【図11】ティシュカートンの折り畳み状態の斜視図である。
【図12】その後の製造過程を示す斜視図である。
【図13】ティシュペーパー束の収納過程を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
1…底面、3…上面、20…開封蓋部分、30…プラスチックシート、31…スリット、32A、32B…凹凸、33…接着剤、40…マイクロカプセル担持層、P…ティシュペーパー、Tc…ティシュカートン。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱上面に形成された開封蓋部分全体を広く覆う領域をもって裏面側に固定された収納シート材料に取り出し用スリットが形成され、使用時に前記開封蓋部分を除去し、前記スリットを家庭用薄葉紙の取り出し口として、収納箱内に収納した家庭用薄葉紙束から家庭用薄葉紙を取り出すようにした家庭用薄葉紙収納箱の製造方法において、
前記収納シート材料における、少なくとも前記家庭用薄葉紙の取り出し時に擦れる部分に香料成分を封入するマイクロカプセル担持層を形成し、かつ、前記家庭用薄葉紙の取り出し時に、当該家庭用薄葉紙がマイクロカプセルに擦れて接触し、前記マイクロカプセルから香料成分が揮散するようにしたものであり、
少なくとも前記マイクロカプセル担持層の形成領域に対応する前記収納シート材料面を予めコロナ放電処理しておき、
少なくとも前記収納箱内に前記家庭用薄葉紙束を収納する前の段階で、前記の収納シート材料を前記裏面側に固定する、
ことを特徴とする家庭用薄葉紙収納箱の製造方法。
【請求項2】
前記収納シート材料はプラスチックシートであり、前記マイクロカプセル担持層はマイクロカプセルとバインダーとを主体とする請求項1記載の家庭用薄葉紙収納箱の製造方法。
【請求項3】
前記プラスチックシートの前記マイクロカプセル担持層形成面と反対側の面もコロナ放電処理面とされ、前記プラスチックシートが箱上面の裏面側に接着剤により固定されている請求項2記載の家庭用薄葉紙収納箱の製造方法。
【請求項1】
箱上面に形成された開封蓋部分全体を広く覆う領域をもって裏面側に固定された収納シート材料に取り出し用スリットが形成され、使用時に前記開封蓋部分を除去し、前記スリットを家庭用薄葉紙の取り出し口として、収納箱内に収納した家庭用薄葉紙束から家庭用薄葉紙を取り出すようにした家庭用薄葉紙収納箱の製造方法において、
前記収納シート材料における、少なくとも前記家庭用薄葉紙の取り出し時に擦れる部分に香料成分を封入するマイクロカプセル担持層を形成し、かつ、前記家庭用薄葉紙の取り出し時に、当該家庭用薄葉紙がマイクロカプセルに擦れて接触し、前記マイクロカプセルから香料成分が揮散するようにしたものであり、
少なくとも前記マイクロカプセル担持層の形成領域に対応する前記収納シート材料面を予めコロナ放電処理しておき、
少なくとも前記収納箱内に前記家庭用薄葉紙束を収納する前の段階で、前記の収納シート材料を前記裏面側に固定する、
ことを特徴とする家庭用薄葉紙収納箱の製造方法。
【請求項2】
前記収納シート材料はプラスチックシートであり、前記マイクロカプセル担持層はマイクロカプセルとバインダーとを主体とする請求項1記載の家庭用薄葉紙収納箱の製造方法。
【請求項3】
前記プラスチックシートの前記マイクロカプセル担持層形成面と反対側の面もコロナ放電処理面とされ、前記プラスチックシートが箱上面の裏面側に接着剤により固定されている請求項2記載の家庭用薄葉紙収納箱の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−50905(P2007−50905A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−237064(P2005−237064)
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】
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