説明

家庭用薄葉紙収納箱

【課題】蓋部を天面部に保持させやすく、且つ蓋部を閉めやすい家庭用薄葉紙収納箱を提供する。
【解決手段】内部にロール状シート20を収納して、少なくとも天面部1に設けられた蓋部7を開けて露出させた取出口6からロール状シートを取り出すロール状シート収納箱10において、天面部1に設けられた係止部13と、蓋部7に設けられ、係止部13に差し込むことが可能な凸形状の切込み部73と、を備え、係止部13は、平面視T字状に形成され、蓋部7は、天面部1に設けられたヒンジ軸7aにより回動可能に構成され、切込み部73は、正面部3側が凸となるように形成されるとともに、指が挿入される大きさに形成され、蓋部7が背面部4側に回動されて切込み部73が係止部13に差し込こまれることで蓋部7が係止部13に保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用薄葉紙収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、積層され、或いはロール状に巻回された家庭用薄葉紙を内部に収容し、上面部などに設けられた開口部から内部に収容された家庭用薄葉紙を取り出して使用する家庭用薄葉紙収納箱が知られている。
このような家庭用薄葉紙収納箱として、例えば、天板に、ヒンジ部を設け、このヒンジ部を介してシート取出口を塞ぐ蓋部を天板に一体的に連設し、蓋部の先端側に折線を介して差込片を形成する一方、ヒンジ部の後方にスリットをヒンジ部と平行に設けてなり、蓋部をヒンジ部を介して後方に反転させ、蓋部の先端側の差込片をスリット内に差し込み固定して蓋部を断面が3角形状となるように折り曲げたうえで天板上に保持させることが可能な家庭用薄葉紙収納箱が知られている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−295637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の家庭用薄葉紙収納箱は、蓋部をヒンジ部を介して後方に反転させ、蓋部の先端側の差込片をスリット内に差し込み固定して蓋部を断面が3角形状となるように折り曲げたうえで天板上に保持させるので、蓋部の保持作業が煩雑となっていた。
また、蓋部の先端側の差込片が反転されてスリット内に差し込まれるので、蓋部を閉じる場合に反対に折り曲げたくせが残り、十分に閉まらないという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、蓋部を天面部に保持させやすく、且つ蓋部を閉めやすい家庭用薄葉紙収納箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、天面部と、底面部と、正面部と、背面部と、及び左右一対の側面部とにより区画され、内部に家庭用薄葉紙を収納して、少なくとも前記天面部に設けられたミシン目を破断することにより形成された蓋部を開けて露出させた取出口から前記家庭用薄葉紙を取り出す家庭用薄葉紙収納箱において、
前記天面部に設けられたミシン目又はスリットにより形成される係止部と、
前記蓋部に設けられ、前記係止部に差し込むことが可能な凸形状の切込み部と、を備え、
前記係止部は、左右方向に延在する第1係止部と前後方向に延在する第2係止部とにより、平面視T字状、或いは平面視十字状の何れかの形状に形成され、
前記蓋部は、前記天面部に設けられた左右方向に平行なヒンジ軸により回動可能に構成され、
前記切込み部は、正面部側が凸となるように形成されるとともに、指が挿入される大きさに形成され、
前記蓋部が前記背面部側に回動されて前記切込み部が前記係止部に差し込こまれることで前記蓋部が前記係止部に保持されることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の家庭用薄葉紙収納箱において、
前記天面部の前記係止部が配置される部位の裏面側に、前記切込み部が挿入される空間部を有するように、フィルムが貼付されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載の家庭用薄葉紙収納箱において、
前記背面部に、指を挿入可能な大きさの指差込口を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の家庭用薄葉紙収納箱において、
前記切込み部は、左右方向の長さが先端側から基端側に漸次長くなることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の家庭用薄葉紙収納箱において、
前記切込み部の前後方向の長さ(g)が、10〜15mmであり、
前記切込み部の左右方向の長さ(e)が、20〜35mmであり、
前記切込み部の先端から内側に所定の長さ(h:2〜4mm)入ったところの左右方向の長さ(f)が、12〜16mmであり、
前記第1係止部の長さ(d)が、(f+1)mm〜35mmであり、
前記第2係止部のうち、前記第1係止部よりも前記背面部側の前後方向の長さ(b)が、0〜10mmであり、
前記第2係止部のうち、前記第1係止部よりも前記正面部側の前後方向の長さ(c)が、5〜15mmであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、取出口を開閉する蓋部に設けられた切込み部を指で押して天面部に設けられた係止部に当該切込み部を係止させることで蓋部を天面部に保持させることができるので、従来のように蓋部の先端を反転させて係止部に係止させるものに比べて、蓋部を容易に天面部に保持させることができる。
また、蓋部の先端を反対向きに折り曲げる必要がないので、従来のように蓋部の先端を反対側に折り曲げて係止部に係止させるものに比べて、折り曲げぐせが少なく蓋部を閉め易い。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、天面部の係止部が配置される部位の裏面側に、切込み部が挿入される空間部を有するように、フィルムが貼付されているので、係止部にスリットを設けた場合でも、切込み部の挿入が妨げられることなく、且つ家庭用薄葉紙収納箱内への異物の侵入を防止することができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、背面部に設けられた指差込口に指を挿入することができるので、手が小さいユーザでも当該家庭用薄葉紙収納箱を片手で容易に持つことができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、切込み部は、左右方向の長さが先端側から基端側に漸次長くなっているので、所謂先細り形状となって切込み部を係止部に係止させやすい。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、切込み部及び係止部が好適な寸法に形成されているので、より容易且つ確実に蓋部を係止部に係止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態のロール状シート収納箱の一例を示す斜視図である。
【図2】図1のロール状シート収納箱を展開した展開図である。
【図3】図1のロール状シート収納箱の蓋部を開いた状態を示す斜視図である。
【図4】図3のロール状シート収納箱の側面図である。
【図5】蓋部を係止部に係止させた状態を示す説明図である。
【図6】変形例である積層シート収納箱の一例を示す斜視図である。
【図7】変形例である積層シート収納箱の蓋部を開いた状態を示す斜視図である。
【図8】各寸法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
本実施形態では、家庭用薄葉紙収納箱として、ロール状シート収納箱を例示して説明を行う。
なお、以下の説明では、ロール状シート収納箱の厚み方向を上下方向(高さ)とし、ロール状シート収納箱の長辺方向を左右方向(幅)、上下方向及び左右方向の双方に直交する方向を前後方向(奥行き)とする。
【0018】
本実施形態のロール状シート収納箱10は、例えば、図1〜5に示すように、天面部1、底面部2、正面部3、背面部4、及び左右一対の側面部5(5a、5b)により区画された箱体である。このロール状シート収納箱10の内部には、ロール状シート20が収納され、天面部1から正面部3に亘って形成された取出口6からロール状シート20を外部へ引き出して使用するようになっている。
ここで、「箱体」とは、ロール状シート20を収納し得る内部空間が形成される形状のものであり、例えば、直方体状、立方体状等の六面体状のものを挙げることができる。例えば、図1は、ロール状シート収納箱10を直方体状に構成した例である。
【0019】
また、本実施形態のロール状シート収納箱10を構成する材質について特に制限はないが、箱体を折り曲げ形成する都合上、厚紙等の紙材料を構成材料とすることが好ましい。一般に、これらの紙材料としては、例えば、木材パルプ、古紙等を原料として製造されたものを好適に用いることができる。
ロール状シート収納箱10の大きさは特に限定するものではないが、例えば、左右方向の幅が、240〜250mm、前後方向の奥行きが、110〜120mm、高さ方向の高さが、50〜120mmとされている。
【0020】
また、「ロール状シート」とは、長尺な家庭用薄葉紙を芯(図示省略)の周囲に巻回されたものであるが、その種類について特に制限はなく、例えば、キッチンペーパー(キッチンタオル、クッキングペーパー等)、トイレットペーパー、ティシュペーパー(顔ふき紙、化粧紙等と呼ばれるもの)、等の使い捨て紙等を挙げることができる。
かかるロール状シート20には、巻回方向の所定間隔毎にミシン目(図示省略)が設けられており、取出口6から引き出して使用する際に所要の長さで切り離すことができるようになっている。
【0021】
天面部1、底面部2、正面部3、背面部4の両側縁からは、例えば、図2に示すように、それぞれ、一対の天面側フラップ11,12、一対の底面側フラップ21,22、一対の正面側フラップ31,32、一対の背面側フラップ41,42、が延出している。これらのフラップは、それぞれ、天面部1、底面部2、正面部3、背面部4との接続部(境界線)において内側に折り曲げられ、重なり合った状態で互いに糊付けされて側面部5(5a,5b)が形成されるようになっている。
【0022】
天面部1から正面部3に亘っては、取出口6の外周形状と一致するように形成された取出口形成用のミシン目61が設けられている。
より具体的には、ミシン目61は、正面部3の上下方向の所定の位置に、左右方向に延在する第1ミシン目61aと、この第1ミシン目61aの両端から天面部1との境界線を通って更に天面部1の前後方向の所定の位置まで延在する第2ミシン目61b、61bとで構成される。そして、ユーザがこのミシン目61を破断することによって、平面視コ字状の切込みが形成されるとともに、第2ミシン目61b、61bの背面部4側の端部同士を結ぶ左右方向に平行な線をヒンジ軸7aとして折り曲げることで、ミシン目61で囲まれた部分が蓋部7を形成するようになっている。
【0023】
この蓋部7を、ヒンジ軸7aにより回動させることで、取出口6を露出させたり、塞いだりすることができるようになっており、露出させた状態の取出口6からロール状シート20を取り出すことが可能となる。
蓋部7は、例えば、図3に示すように、左右方向に長尺な形状に形成されており、天面部1と正面部3との境界線にて屈曲した形状をなし、天面部1側の天面蓋部71と正面部3側の正面蓋部72とにより構成されている。
天面蓋部71の略中央付近には、正面部3側に凸形状の切込み部73が設けられている。
【0024】
切込み部73は、先端部が円弧状のアーチ状に形成されているとともに、左右方向の長さが先端側から基端側に漸次長くなっている。この切込み部73で囲まれた部分の大きさは、指が挿入可能な程度の大きさとされている。また、切込み部73は、出荷時においては、ミシン目により外形が形取られている。
【0025】
天面部1には、天面蓋部71よりも背面部4側の所定位置に、切込み部73が挿入されて係止される係止部13が設けられている。
係止部13は、左右方向に延在する第1係止部13aと前後方向に延在する第2係止部13bとにより、平面視T字状に形成されている。
なお、係止部13は、平面視十字状に形成されていてもよい。また、係止部13は、出荷時においてはミシン目によりその形状が形取られていて、使用に際し、ミシン目を破断してスリット状にしてもよいし、初めからスリット状に形成されていてもよい。
そして、図5に示すように、切込み部73に裏面側から指を当てた状態で、蓋部7をヒンジ軸7aを軸として背面部4側に回動させた際、切込み部73を形取るミシン目が破断されて当該切込み部73が蓋部7よりも更に背面部4側に倒れ込んで係止部13に挿入され係止されるようになっている。
【0026】
また、天面部1の係止部13が配置される部位の裏面側には、フィルム14が貼り付けられている。
フィルム14は、特に限定はしないがポリエチレンやポリプロピレンなどのプラスチック製であり、切込み部73が挿入される空間部73aを有するように天面部1に貼付されている。
【0027】
背面部4には、やや右側面部5bよりで且つ天面部1よりの所定の位置に、指差込用ミシン目4aが設けられ、この指差込用ミシン目4aを破断することで指差込口43が形成されるようになっている。
なお、指差込口43の位置は任意であるが、手が小さいユーザでも天面部1側から指が挿入可能な位置に設けることを目的としているため、なるべく天面部1側に近い位置が好ましい。また、指差込口43の大きさも任意である。
【0028】
(変形例)
以下、本実施形態の家庭用薄葉紙収納箱の変形例について説明する。
変形例の家庭用薄葉紙収納箱は、積層シート収納箱100である。
なお、積層シート収納箱100の説明にあたり、ロール状シート収納箱10と同様の構成については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0029】
変形例の積層シート収納箱100は、例えば、図6、図7に示すように、天面部1、底面部2、正面部3、背面部4、及び左右一対の側面部5(5a、5b)により区画された箱体である。この積層シート収納箱100の内部には、シート200が交互に折り畳まれ積層された積層シートが収納され、天面部1に形成された取出口60からシート200を外部へ引き出して使用するようになっている。
【0030】
天面部1には、取出口60の外周形状と一致するように形成された取出口形成用のミシン目601が設けられている。
より具体的には、ミシン目601は、天面部1の前後方向の所定の位置に、左右方向に延在する第1ミシン目601aと、この第1ミシン目601aの両端から前後方向の所定の位置まで延在する第2ミシン目601b、601bとで構成される。そして、ユーザがこのミシン目601を破断することによって、平面視コ字状の切込みが形成されるとともに、第2ミシン目601b、601bの背面部4側の端部同士を結ぶ線をヒンジ軸70aとして折り曲げることで、ミシン目601で囲まれた部分が蓋部70を形成するようになっている。即ち、蓋部70は、天面部1にのみ設けられている。
【0031】
この蓋部70を、ヒンジ軸70aを軸として回動させることで、取出口60を露出させたり、塞いだりすることができるようになっており、露出された状態の取出口60からシート200を取り出すことが可能となる。
蓋部70は、左右方向に長尺な矩形状に形成されており、略中央付近には、切込み部73が設けられている。
【0032】
天面部1には、係止部13が設けられている。係止部13は、左右方向に延在する第1係止部13aと前後方向に延在する第2係止部13bとにより、平面視T字状に形成されている。
また、天面部1の係止部13が配置される部位の裏面側には、図示は省略するが、フィルムが貼り付けられている。このフィルムは、ロール状シート収納箱10のフィルム14と略同じものである。
【0033】
背面部4には、やや右側面部5bよりで且つ天面部1よりの所定の位置に、図示は省略するが、指差込用ミシン目が設けられ、この指差込用ミシン目を破断することで指差込口が形成されるようになっている。この指差込口は、ロール状シート収納箱10の指差込口43と略同じものである。
【0034】
次に、ロール状シート収納箱10及び積層シート収納箱100の係止部13、切込み部73の各寸法について規定する。
【0035】
図8に示すように、係止部13の第1係止部13aにおける、天面部1の背面部4との境界線からの長さ(a)は、10mm以上である。
ここで、長さ(a)を10mm以上としたのは、10mmより短いと、カートナーでの形成時に、天面部1が裂ける可能性があるからである。
【0036】
第2係止部13bのうち、第1係止部13aよりも背面部4側の前後方向の長さ(b)は、0〜10mmの範囲、より好ましくは3〜5mmの範囲である。
ここで、長さ(b)の上限を10mmとしたのは、長さ(a)との関係を考慮したためである。なお、長さ(b)を3〜5mmにすると、切込み部73のはめ込みやすさと切込み部73と係止部13との間の保持力(以下、「保持力」という。)のバランスに優れるようになる。
【0037】
第2係止部13bのうち、第1係止部13aよりも正面部3側の前後方向の長さ(c)は、5〜15mmの範囲、より好ましくは5〜10mmの範囲である。
ここで、長さ(c)を5〜15mmとしたのは、長さ(c)が5mmを下回ると切込み部73を挿入しにくく、長さ(c)が15mmを超えると、「保持力」が弱くなるためである。なお、長さ(c)を5〜10mmにすると、切込み部73のはめ込みやすさと「保持力」のバランスに優れるようになる。
【0038】
第1係止部13aの左右方向の長さ(d)は、(f+1)mm〜35mmの範囲である。
ここで、長さ(d)を(f+1)mm〜35mmとしたのは、長さ(d)が(f+1)mm以上ないと、切込み部73をはめ込むことができないからであり、長さ(d)が35mmを超えると、「保持力」が弱くなるためである。
【0039】
切込み部73の左右方向の長さ(e)は、20〜35mmの範囲、より好ましくは20〜30mmの範囲である。
ここで、長さ(e)を20〜35mmとしたのは、長さ(e)が20mmを下回ると、人の指のサイズと比較して同等若しくはそれ以下となり、指をはめ込みにくく、切込み部73を係止しにくくなるからであり、長さ(e)が35mmを超えると、逆に大きすぎて切込み部73を係止部13にはめ込みにくくなるからである。なお、長さ(e)を20〜30mmにすると、切込み部73を係止部13により好適にはめ込むことができる。
【0040】
切込み部73の先端から内側に所定の長さ(h:2〜4mm)入ったところの左右方向の長さ(f)は、12〜16mmの範囲である。
ここで、長さ(f)を12〜16mmとしたのは、長さ(f)が12mmを下回ると、「保持力」が弱くなるためであり、長さ(f)が16mmを超えると、逆に長すぎて切込み部73を係止部13にはめ込みにくくなるからである。
【0041】
切込み部73の前後方向の長さ(g)は、10〜15mmの範囲である。
ここで、長さ(g)を10〜15mmとしたのは、長さ(g)が10mmを下回ると、切込み部73が曲がりにくく、係止部13にはめ込みにくくなるからであり、長さ(g)が15mmを超えると、切込み部73が逆に曲がりやすくなり、「保持力」が弱くなるためである。
【0042】
切込み部73の先端から内側の所定の長さ(h)が、2〜4mmの範囲である。
ここで、長さ(h)を2〜4mmとしたのは、2mmを下回ると、短すぎて切込み部73を係止部13にはめにくく、且つ「保持力」が弱くなるためであり、長さ(h)が4mmを超えると、長すぎて切込み部73を係止部13にはめ込みにくくなるからである。
【0043】
切込み部73の基端から蓋部のヒンジ軸までの長さ(i)が、10mm以上である。
ここで、長さ(i)を10mm以上としたのは、10mmを下回ると、ヒンジ軸との距離が近すぎて反発力が大きくなり、切込み部73が曲がりやすく、「保持力」も小さくなるからである。
【0044】
次に、係止部13、切込み部73の各寸法を規定した根拠を、実験結果を基に説明する。
(1)長さ(b)、長さ(c)の根拠
[実験条件]
家庭用薄葉紙収納箱として、左右方向の幅が、243mm、前後方向の奥行きが、115mm、上下方向の高さが、115mmの積層シート収納箱を使用した。
長さ(a)の寸法は、15mmである。長さ(b)の寸法は、0mm、3mm、5mm、7mm、10mm、13mmの6水準である。長さ(c)の寸法は、3mm、5mm、10mm、12mm、15mm、18mmの6水準である。長さ(d)の寸法は、15mm、25mmの2水準である。長さ(e)の寸法は、25mmである。長さ(f)の寸法は、14mmである。長さ(g)の寸法は、10mmである。長さ(h)の寸法は、3mmである。長さ(i)の寸法は、15mmである。
[評価方法]
ユーザ10人による、切込み部73の「はめ込みやすさ」と「保持力」についての官能評価であり、
◎;「はめ込みにくい」、「保持力が弱い」と感じた人数が0人
○;「はめ込みにくい」、「保持力が弱い」の何れかを感じた人数が1〜4人
×;「はめ込みにくい」、「保持力が弱い」の何れかを感じた人数が5人以上
で行った。
その結果を表1、表2に示す。
[実験結果]
表1は、長さ(d)が15mmの場合の結果であり、表2は、長さ(d)が25mmの場合の結果である。
【表1】

【0045】
【表2】

【0046】
表1、表2に示すように、長さ(b)が0〜10mmの範囲、且つ長さ(c)が、5〜15mmの範囲で「はめ込みやすさ」と「保持力」が良好であることが分かる。また、特に、長さ(b)が3〜5mmの範囲で、且つ長さ(c)が5〜10mmの範囲で「はめ込みやすさ」と「保持力」のバランスが優れていることが分かる。
【0047】
(2)長さ(a)の根拠
[実験条件]
家庭用薄葉紙収納箱として、左右方向の幅が、243mm、前後方向の奥行きが、115mm、上下方向の高さが、115mmの積層シート収納箱を使用した。
長さ(a)の寸法は、5mm、8mm、10mm、15mm、20mmの5水準である。
長さ(b)の寸法は、5mmである。長さ(c)の寸法は、10mmである。長さ(d)の寸法は、15mmである。長さ(e)の寸法は、25mmである。長さ(f)の寸法は、14mmである。長さ(g)の寸法は、10mmである。長さ(h)の寸法は、3mmである。長さ(i)の寸法は、15mmである。
[評価方法]
家庭用薄葉紙収納箱成形時の破れ、折れの発生の有無の評価であり、
○;破れ、折れの発生なし
×;破れ、折れの発生あり
で行った。
その結果を表3に示す。
[実験結果]
【表3】

【0048】
表3に示すように、長さ(a)が、10mm以上であれば、家庭用薄葉紙収納箱成形時の破れ、折れが発生しないことが分かった。
【0049】
(3)長さ(d)の根拠
[実験条件]
家庭用薄葉紙収納箱として、左右方向の幅が、243mm、前後方向の奥行きが、115mm、上下方向の高さが、115mmの積層シート収納箱を使用した。
長さ(a)の寸法は、15mmである。長さ(b)の寸法は、5mmである。長さ(c)の寸法は、10mmである。長さ(d)の寸法は、長さ(f)が12mmの場合、12mm、13mm、15mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mmの8水準、長さ(f)が16mmの場合、13mm、16mm、17mm、20mm、25mm、30mm、35mm、40mmの8水準である。長さ(e)の寸法は、25mmである。長さ(f)の寸法は、12mm、16mmの2水準である。長さ(g)の寸法は、10mmである。
長さ(h)の寸法は、3mmである。長さ(i)の寸法は、15mmである。
[評価方法]
「はめ込みやすさ」と「保持力」により評価を行った。
「はめ込みやすさ」の評価は、
○;ユーザ10人中4人以下が切込み部をはめ込みにくいと感じた場合
×;ユーザ10人中5人以上が切込み部をはめ込みにくいと感じた場合
で行った。
「保持力」の評価は、
○;切込み部をはめ込み後、高さ50cmから天面部1を上にした状態から10回落下させ、1回も切込み部が外れない場合
×;切込み部をはめ込み後、高さ50cmから天面部1を上にした状態から10回落下させ、1回でも切込み部が外れた場合
で行った。
その結果を表4、5に示す。
[実験結果]
表4は、長さ(f)が12mmの場合の結果であり、表5は、長さ(f)が16mmの場合の結果である。
【表4】

【0050】
【表5】

【0051】
表4、5に示すように、長さ(d)が、(f+1)mm〜35mmの範囲であれば、切込み部のはめ込みやすさと保持力の確保の両立が図れることが分かった。
【0052】
(4)長さ(g)の根拠
[実験条件]
家庭用薄葉紙収納箱として、左右方向の幅が、243mm、前後方向の奥行きが、115mm、上下方向の高さが、115mmの積層シート収納箱を使用した。
長さ(a)の寸法は、15mmである。長さ(b)の寸法が10mm、長さ(c)の寸法が15mm、長さ(d)の寸法が35mmの第1水準と、長さ(b)の寸法が0mm、長さ(c)の寸法が5mm、長さ(d)の寸法が13mmの第2水準の2水準である。
長さ(e)の寸法は、25mmである。長さ(f)の寸法は、12mmである。長さ(g)の寸法は、10mmである。長さ(h)の寸法は、2mmである。長さ(i)の寸法は、15mmである。
[評価方法]
「保持力」により評価を行った。
「保持力」の評価は、
○;切込み部をはめ込み後、高さ50cmから天面部1を上にした状態から10回落下させ、1回も切込み部が外れない場合
×;切込み部をはめ込み後、高さ50cmから天面部1を上にした状態から10回落下させ、1回でも切込み部が外れた場合
で行った。
その結果を表6、7に示す。
[実験結果]
表6は、第1水準の場合の結果であり、表7は、第2水準の場合の結果である。
【表6】

【0053】
【表7】

【0054】
表6、表7に示すように、長さ(g)が、10〜15mmの範囲であれば、保持力を良好に保つことができることが分かった。
【0055】
(5)長さ(h)の根拠
[実験条件]
家庭用薄葉紙収納箱として、左右方向の幅が、243mm、前後方向の奥行きが、115mm、上下方向の高さが、115mmの積層シート収納箱を使用した。
長さ(a)の寸法は、15mmである。長さ(b)の寸法は、10mmである。長さ(c)の寸法は、15mmである。長さ(d)の寸法は、35mmである。長さ(e)の寸法は、25mmである。長さ(f)の寸法は、12mmである。長さ(g)の寸法は、10mmである。長さ(h)の寸法は、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mmの7水準である。長さ(i)の寸法は、15mmである。
[評価方法]
「保持力」により評価を行った。
「保持力」の評価は、
○;切込み部をはめ込み後、高さ50cmから天面部1を上にした状態から10回落下させ、1回も切込み部が外れない場合
×;切込み部をはめ込み後、高さ50cmから天面部1を上にした状態から10回落下させ、1回でも切込み部が外れた場合
で行った。
その結果を表8に示す。
[実験結果]
【表8】

【0056】
表8に示すように、長さ(h)が、2〜4mmの範囲であれば、保持力を良好に保つことができる。
【0057】
(6)長さ(i)の根拠
[実験条件]
家庭用薄葉紙収納箱として、左右方向の幅が、243mm、前後方向の奥行きが、115mm、上下方向の高さが、115mmの積層シート収納箱を使用した。
長さ(a)の寸法は、15mmである。長さ(b)の寸法は、10mmである。長さ(c)の寸法は、15mmである。長さ(d)の寸法は、35mmである。長さ(e)の寸法は、25mmである。長さ(f)の寸法は、12mmである。長さ(g)の寸法は、10mmである。
長さ(h)の寸法は、2mmである。長さ(i)の寸法は、5mm、8mm、10mm、15mm、20mm、25mmの6水準である。
また、シートの米坪は、300g/m2、350g/m2、400g/m2の3水準である。
[評価方法]
「保持力」により評価を行った。
「保持力」の評価は、
○;切込み部をはめ込み後、高さ50cmから天面部1を上にした状態から10回落下させ、1回も切込み部が外れない場合
×;切込み部をはめ込み後、高さ50cmから天面部1を上にした状態から10回落下させ、1回でも切込み部が外れた場合
で行った。
その結果を表9に示す。
[実験結果]
【表9】

【0058】
表9に示すように、長さ(i)が、10mm以上であれば、保持力を良好に保つことができる。
【0059】
以上、本発明に係るロール状シート収納箱10及び積層シート収納箱100によれば、取出口6、60を開閉する蓋部7、70に設けられた切込み部73を指で押して天面部1に設けられた係止部13に当該切込み部73を係止させることで蓋部7、70を天面部1に保持させることができるので、従来のように蓋部の先端を反転させて係止部に係止させるものに比べて、蓋部7、70を容易に天面部1に保持させることができる。
また、蓋部7、70の先端を反対向きに折り曲げる必要がないので、従来のように蓋部の先端を反対側に折り曲げて係止部に係止させるものに比べて、折り曲げぐせが少なく蓋部7、70を閉め易い。
【0060】
また、天面部1の係止部13が配置される部位の裏面側に、切込み部73が挿入される空間部73aを有するように、フィルム14が貼付されているので、係止部13にスリットを設けた場合でも、切込み部73の挿入が妨げられることなく、ロール状シート収納箱10及び積層シート収納箱100内への異物の侵入を防止することができる。
【0061】
また、背面部4に設けられた指差込口43に指を挿入することができるので、手が小さいユーザでも当該ロール状シート収納箱10及び積層シート収納箱100を片手で容易に持つことができる。
【0062】
また、切込み部73は、左右方向の長さが先端側から基端側に漸次長くなっているので、切込み部73を係止部13に係止させやすい。
【0063】
また、切込み部73及び係止部13が好適な寸法に形成されているので、より容易且つ確実に蓋部7、70を係止部13に係止させることができる。
【符号の説明】
【0064】
10 ロール状シート収納箱(家庭用薄葉紙収納箱)
1 天面部
13 係止部
13a 第1係止部
13b 第2係止部
14 フィルム
2 底面部
3 正面部
4 背面部
43 指差込口
5(5a,5b) 側面部
6 取出口
61 ミシン目
7 蓋部
73 切込み部
20 ロール状シート(家庭用薄葉紙)
100 積層シート収納箱(家庭用薄葉紙収納箱)
60 取出口
601 ミシン目
70 蓋部
200 シート(家庭用薄葉紙)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面部と、底面部と、正面部と、背面部と、及び左右一対の側面部とにより区画され、内部に家庭用薄葉紙を収納して、少なくとも前記天面部に設けられたミシン目を破断することにより形成された蓋部を開けて露出させた取出口から前記家庭用薄葉紙を取り出す家庭用薄葉紙収納箱において、
前記天面部に設けられたミシン目又はスリットにより形成される係止部と、
前記蓋部に設けられ、前記係止部に差し込むことが可能な凸形状の切込み部と、を備え、
前記係止部は、左右方向に延在する第1係止部と前後方向に延在する第2係止部とにより、平面視T字状、或いは平面視十字状の何れかの形状に形成され、
前記蓋部は、前記天面部に設けられた左右方向に平行なヒンジ軸により回動可能に構成され、
前記切込み部は、正面部側が凸となるように形成されるとともに、指が挿入される大きさに形成され、
前記蓋部が前記背面部側に回動されて前記切込み部が前記係止部に差し込こまれることで前記蓋部が前記係止部に保持されることを特徴とする家庭用薄葉紙収納箱。
【請求項2】
前記天面部の前記係止部が配置される部位の裏面側に、前記切込み部が挿入される空間部を有するように、フィルムが貼付されていることを特徴とする請求項1記載の家庭用薄葉紙収納箱。
【請求項3】
請求項1又は2記載の家庭用薄葉紙収納箱において、
前記背面部に、指を挿入可能な大きさの指差込口を備えることを特徴とする家庭用薄葉紙収納箱。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の家庭用薄葉紙収納箱において、
前記切込み部は、左右方向の長さが先端側から基端側に漸次長くなることを特徴とする家庭用薄葉紙収納箱。
【請求項5】
請求項4に記載の家庭用薄葉紙収納箱において、
前記切込み部の前後方向の長さ(g)が、10〜15mmであり、
前記切込み部の左右方向の長さ(e)が、20〜35mmであり、
前記切込み部の先端から内側に所定の長さ(h:2〜4mm)入ったところの左右方向の長さ(f)が、12〜16mmであり、
前記第1係止部の長さ(d)が、(f+1)mm〜35mmであり、
前記第2係止部のうち、前記第1係止部よりも背面部側の長さ(b)が、0〜10mmであり、
前記第2係止部のうち、前記第1係止部よりも正面部側の長さ(c)が、5〜15mmであることを特徴とする家庭用薄葉紙収納箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−246190(P2011−246190A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124176(P2010−124176)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】