説明

家庭用薄葉紙収納箱

【課題】蓋部を天面部に保持させやすく、且つ蓋部を閉めやすく、更に、蓋部の先端をロール状シートが切断されやすい形状に形成することが容易な家庭用薄葉紙収納箱を提供する。
【解決手段】天面部1から正面部3にかけて設けられたミシン目61を破断することにより形成された蓋部7を開けて露出させた取出口6からロール状シート20を取り出すロール状シート収納箱10において、ミシン目を破断することによって、平面視コ字状の切込みが形成されるとともに、ミシン目の背面部側の端部同士を結ぶ線をヒンジ軸7aとして折り曲げることで、蓋部が形成され、ミシン目が破断されることにより天面部に形成された一対の天面開口縁部13は、天面部の前後方向の所定の位置で互いに対向するように設けられた凹部13aを備え、蓋部は、前後方向に延在する一対の端部に、凹部に係止される等幅部位72a1を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用薄葉紙収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロール状に巻回された家庭用薄葉紙を内部に収容し、上面部などに設けられた取出口から内部に収容された家庭用薄葉紙を取り出して使用する家庭用薄葉紙収納箱が知られている。
このような家庭用薄葉紙収納箱として、例えば、天板に、ヒンジ部を設け、このヒンジ部を介してシート取出口を塞ぐ蓋部を天板に一体的に連設し、蓋部の先端側に折線を介して差込片を形成する一方、ヒンジ部の後方にスリットをヒンジ部と平行に設けてなり、蓋部をヒンジ部を介して後方に反転させ、蓋部の先端側の差込片をスリット内に差し込み固定して蓋部を断面が3角形状となるように折り曲げたうえで天板上に保持させることが可能な家庭用薄葉紙収納箱が知られている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−295637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の家庭用薄葉紙収納箱は、蓋部をヒンジ部を介して後方に反転させ、蓋部の先端側の差込片をスリット内に差し込み固定して蓋部を断面が3角形状となるように折り曲げたうえで天板上に保持させるので、蓋部の保持作業が煩雑となっていた。
また、蓋部の先端側の差込片が反転されてスリット内に差し込まれるので、蓋部を閉じる場合に反対に折り曲げたくせが残り、十分に閉まらないという問題があった。
更に、蓋部の先端側に差込片が設けられているため、蓋部の先端をロール状シートが切断されやすい形状に形成することが難しいという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、蓋部を天面部に保持させやすく、且つ蓋部を閉めやすく、更に、蓋部の先端をロール状シートが切断されやすい形状に形成することが容易な家庭用薄葉紙収納箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、天面部と、底面部と、正面部と、背面部と、及び左右一対の側面部とにより区画され、内部にロール状に巻回された家庭用薄葉紙を収納して、前記天面部から前記正面部にかけて設けられたミシン目を破断することにより形成された蓋部を開けて露出させた取出口から前記家庭用薄葉紙を取り出す家庭用薄葉紙収納箱において、
前記ミシン目は、前記正面部の上下方向の所定の位置に、左右方向に延在する第1ミシン目と、この第1ミシン目の両端から前記天面部との境界線を通って更に前記天面部の前後方向の所定の位置まで延在する一対の第2ミシン目と、を備え、
前記ミシン目を破断することによって、平面視コ字状の切込みが形成されるとともに、前記一対の第2ミシン目の背面部側の端部同士を結ぶ左右方向に平行な線をヒンジ軸として折り曲げることで、前記ミシン目で囲まれた部分により前記蓋部が形成され、
前記一対の第2ミシン目が破断されることにより前記天面部に形成された一対の天面開口縁部は、前記天面部の前後方向の所定の位置で互いに対向するように設けられた凹部又は凸部からなる係止部を備え、
前記蓋部は、前後方向に延在する一対の端部のうち前記正面部の前記第2ミシン目により形成された部位に、前記係止部に係止される被係止部を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の家庭用薄葉紙収納箱において、
前記蓋部は、前記天面部と前記正面部との境界線にて屈曲した形状をなし、前記天面部側の天面蓋部と前記正面部側の正面蓋部と、を備え、
前記係止部は、凹部により形成され、
前記正面蓋部は、前記境界線から先端側に漸次幅広となる幅広部を備え、
前記幅広部は、中間にて前記係止部間の幅と等しくなる等幅部位を備え、
前記等幅部位が、前記被係止部を構成することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の家庭用薄葉紙収納箱において、
前記係止部は、V字状をなしていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3記載の家庭用薄葉紙収納箱において、
前記係止部のV字状をなす角度(θ)が、30〜120度であり、
前記係止部の深さ(e1)が、1〜10mmであることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の家庭用薄葉紙収納箱において、
前記蓋部の先端に、前記家庭用薄葉紙を切断するための切断部が設けられ、
前記切断部の形状が、鋸刃状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、一対の天面開口縁部に備えられた凹部又は凸部からなる係止部に、蓋部に設けられた被係止部を係止させることで蓋部を天面部に保持させることができるので、従来のように蓋部の先端を反転させて係止部に係止させるものに比べて、蓋部を容易に天面部に保持させることができる。
また、蓋部の先端を反対向きに折り曲げる必要がないので、従来のように蓋部の先端を反対側に折り曲げて係止部に係止させるものに比べて、折り曲げぐせが少なく蓋部を閉め易い。
更に、蓋部の先端側に差込片を設ける必要がないため、蓋部の先端をロール状の家庭用薄葉紙が切断されやすい形状に形成することが容易である。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、凹部により形成された係止部に、正面蓋部に備えられた幅広部を差し込んで上方に上げると、途中で幅広部の等幅部位が係止部に引っ掛かり、蓋部が係止部に係止される。従って、所謂くさび効果により、蓋部がより強固に係止部に係止されることとなる。
また、蓋部の先端部分でロール状の家庭用薄葉紙を切断する際に上方に力が掛かっても、蓋部が係止部から外れないため、好適に家庭用薄葉紙を切断することができる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、係止部がV字状をなしているので、蓋部と係止部との間のくさび効果をより効果的に発揮させることができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、係止部のV字状をなす角度(θ)と係止部の深さ(e1)とが好適な寸法で形成されているので、より確実に蓋部を係止部に係止させることができる。
【0015】
請求項5記載の発明によれば、破断部の形状が鋸刃状に形成されているので、ロール状の家庭用薄葉紙をより容易に切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態のロール状シート収納箱の一例を示す斜視図である。
【図2】図1のロール状シート収納箱を展開した展開図である。
【図3】図1のロール状シート収納箱の蓋部を開いた状態(はめ込み前)を示す斜視図である。
【図4】図1のロール状シート収納箱の蓋部を開いた状態(はめ込み後)を示す斜視図である。
【図5】係止部の変形例を示す説明図である。
【図6】各寸法を説明するための説明図である。
【図7】切断部の変形例であるロール状シート収納箱の蓋部を開いた状態(はめ込み後)を示す斜視図である。
【図8】第2実施形態のロール状シート収納箱の一例を示す斜視図である。
【図9】図8のロール状シート収納箱の蓋部を開いた状態(はめ込み後)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
(第1実施形態)
本実施形態では、家庭用薄葉紙収納箱として、ロール状シート収納箱を例示して説明を行う。
なお、以下の説明では、ロール状シート収納箱の厚み方向を上下方向(高さ)とし、ロール状シート収納箱の長辺方向を左右方向(幅)、上下方向及び左右方向の双方に直交する方向を前後方向(奥行き)とする。
【0018】
本実施形態のロール状シート収納箱10は、例えば、図1〜4に示すように、天面部1、底面部2、正面部3、背面部4、及び左右一対の側面部5(5a、5b)により区画された箱体である。このロール状シート収納箱10の内部には、ロール状シート20が収納され、天面部1から正面部3に亘って形成された取出口6からロール状シート20を外部へ引き出して使用するようになっている。
ここで、「箱体」とは、ロール状シート20を収納し得る内部空間が形成される形状のものであり、例えば、直方体状、立方体状等の六面体状のものを挙げることができる。例えば、図1は、ロール状シート収納箱10を直方体状に構成した例である。
【0019】
また、本実施形態のロール状シート収納箱10を構成する材質について特に制限はないが、箱体を折り曲げ形成する都合上、厚紙等の紙材料を構成材料とすることが好ましい。一般に、これらの紙材料としては、例えば、木材パルプ、古紙等を原料として製造されたものを好適に用いることができる。
ロール状シート収納箱10の大きさは特に限定するものではないが、例えば、左右方向の幅が、240〜250mm、前後方向の奥行きが、110〜120mm、高さ方向の高さが、110〜120mmとされている。
【0020】
また、「ロール状シート」とは、長尺な家庭用薄葉紙を芯(図示省略)の周囲に巻回されたものであるが、その種類について特に制限はなく、例えば、キッチンペーパー(キッチンタオル、クッキングペーパー等)、トイレットペーパー、ティシュペーパー(顔ふき紙、化粧紙等と呼ばれるもの)、等の使い捨て紙等を挙げることができる。
かかるロール状シート20には、巻回方向の所定間隔毎にミシン目(図示省略)が設けられており、取出口6から引き出して使用する際に所要の長さで切り離すことができるようになっている。
【0021】
天面部1、底面部2、正面部3、背面部4の両側縁からは、例えば、図2に示すように、それぞれ、一対の天面側フラップ11,12、一対の底面側フラップ21,22、一対の正面側フラップ31,32、一対の背面側フラップ41,42、が延出している。これらのフラップは、それぞれ、天面部1、底面部2、正面部3、背面部4との接続部(境界線)において内側に折り曲げられ、重なり合った状態で互いに糊付けされて側面部5(5a,5b)が形成されるようになっている。
【0022】
天面部1から正面部3に亘っては、取出口6の外周形状と一致するように形成された取出口形成用のミシン目61が設けられている。
より具体的には、ミシン目61は、正面部3の上下方向の所定の位置に、左右方向に延在する第1ミシン目61aと、この第1ミシン目61aの両端から天面部1との境界線Bを通って更に天面部1の前後方向の所定の位置まで延在する第2ミシン目61b、61bとで構成される。そして、ユーザがこのミシン目61を破断することによって、平面視コ字状の切込みが形成されるとともに、第2ミシン目61b、61bの背面部4側の端部同士を結ぶ左右方向に平行な線をヒンジ軸7aとして折り曲げることで、ミシン目61で囲まれた部分が蓋部7を形成するようになっている。
この蓋部7を、ヒンジ軸7aにより回動させることで、取出口6を露出させたり、塞いだりすることができるようになっており、露出させた状態の取出口6からロール状シート20を取り出すことが可能となる。
【0023】
蓋部7は、例えば、図2に示すように、左右方向に長尺な形状に形成されており、天面部1と正面部3との境界線Bにて屈曲した形状をなし、天面部1側の天面蓋部71と正面部3側の正面蓋部72とにより構成されている。
【0024】
天面蓋部71は、ヒンジ軸7aから前後方向に延在する直線部71aと、この直線部71aと連続するとともに境界線B近傍に位置し、左右方向外側に突出した突出部71bと、を備えている。
正面蓋部72は、境界線Bから先端側に漸次幅広となる幅広部72aと、この幅広部72aと連続し、左右方向内側に凹んだ凹み部72bと、正面蓋部72の先端に位置し、ロール状シートを切断する切断部72cを備えている。
幅広部72aは、中間にて後述する凹部13a、凹部13a間の幅と等しくなる等幅部位72a1を備え、この等幅部位72a1が、被係止部を構成する。
切断部72cは、左右方向に直線状に形成されている。これにより、ロール状シート20を切断部72cにより容易に切断することができる。
【0025】
天面部1には、第2ミシン目61b、61bが破断されることにより形成され、取出口6に面する左右一対の天面開口縁部13、13を備えている。
天面開口縁部13、13は、天面蓋部71の突出部71bに対応する位置に設けられた係止部としての左右一対の凹部13a、13aを備えている。
凹部13aは、平面視V字状をなしている。なお、凹部13aの先端部の形状は、例えば、図5(a)に示すように、尖った形状であってもよいし、図5(b)に示すように、丸みを帯びた形状であってもよい。
また、左右一対の凹部13a、13a間の距離は、幅広部72aの等幅部位72a1の幅と等しくされている。
【0026】
正面部3には、第1ミシン目61a及び第2ミシン目61b、61bが破断されることにより形成され、取出口6に面する左右一対の正面開口縁部33、33を備えている。
正面開口縁部33、33は、正面蓋部72の幅広部72aに対応する傾斜部33a、33aと、凹み部72bに対応する突部33b、33bと、切断部72cに対応する下縁部33cを備えている。
突部33b、33b間の幅は、ロール状シート20の左右方向の幅よりも短くされ、ロール状シートの巻径が小さくなってもロール状シート収納箱10に収納されたロール状シート20が容易に箱外に飛び出さないようになっている。
【0027】
次に、蓋部7の天面部1への係止動作について説明する。
まず、図3に示すように、蓋部7をヒンジ軸7aを軸として背面部4に回動させ、正面蓋部72を左右方向の軸に対して少し斜めに曲げて取出口6内に挿入するとともに、凹部13a、13a内に幅広部72aを位置させて正面蓋部72を上方に上げる。すると、図4に示すように、幅広部72aの等幅部位72a1が凹部13aに係止される。これにより、蓋部7が天面部1に係止される。
そして、取出口6からロール状シート20を取り出して、正面蓋部72の切断部72cによりロール状シート20を適宜の長さで切断する。
【0028】
次に、ロール状シート収納箱10の凹部13a、幅広部72aの各寸法について規定する。
図6に示す天面部1の背面部4との境界線からヒンジ軸7aまでの前後方向の長さ(a)は、10mm以上である。
ここで、長さ(a)を10mm以上としたのは、10mmより短いとカートナーでの成形時に天面部1が裂ける可能性があるからである。
【0029】
図6に示す正面部3と底面部2との境界線から正面蓋部72までの上下方向の長さ(b)は、15mm以上である。
ここで、長さ(b)を15mm以上としたのは、15mmよりも短いとカートナーでの成形時に正面部3が裂ける可能性があるからである。
【0030】
図6に示す正面部3と側面部5との境界線から幅広部72aの最大幅部までの左右方向の長さ(c)は、10mm以上である。
ここで、長さ(c)を10mm以上としたのは、10mmよりも短いとカートナーでの成形時に正面部3が裂ける可能性があるからである。
【0031】
図6に示す正面部3と側面部5との境界線から凹み部72bまでの最大の左右方向の長さ(d)は、(c+1)mm〜(c+10)mmの範囲、より好ましくは(c+1)mm〜(c+5)mmである。
ここで、長さ(d)を(c+1)mm〜(c+10)mmとしたのは、蓋部7の「はめ込みやすさ」と「蓋部の歪み」と「保持力」のバランスが図れるからである。特に、(c+1)mm〜(c+5)mmの範囲であれば、「はめ込みやすさ」と「蓋部の歪みのなさ」に優れる。
【0032】
図6に示す正面部3と側面部5との境界線から凹部13aまでの最小の左右方向の長さ(e)は、長さ(d)と同じである。
長さ(d)と長さ(e)を同じにした理由は、(d)>(e)の場合、係止部が緩み保持力が落ち、(e)>(d)の場合、蓋部が歪むからである。
【0033】
図5に示す凹部13aのV字状をなす角度(θ)は、30〜120度の範囲、より好ましくは50〜90度の範囲である。
ここで、角度(θ)を30〜120度としたのは、蓋部7の凹部13aへの「はめ込み易さ」と「保持力」とを考慮したものであり、特に、角度(θ)を50〜90度の範囲にすると、「はめ込み易さ」と「保持力」のバランスに優れる。
【0034】
図5に示す凹部の深さ(e1)は、1〜10mmの範囲、より好ましくは1〜5mmの範囲である。
ここで、深さ(e1)を1〜10mmとしたのは、蓋部7の凹部13aへの「はめ込み易さ」と「保持力」とを考慮したものであり、特に、深さ(e1)を1〜10mmの範囲にすると、「はめ込み易さ」と「保持力」のバランスに優れる。
【0035】
次に、ロール状シート収納箱10の凹部13a、幅広部72aの各寸法を規定した根拠を、実験結果を基に説明する。
(1)長さ(a)の根拠
[実験条件]
家庭用薄葉紙収納箱として、左右方向の幅が、243mm、前後方向の奥行きが、115mm、上下方向の高さが、115mmのロール状シート収納箱を使用した。
長さ(a)の寸法は、5mm、8mm、10mm、15mm、20mmの5水準である。
長さ(b)の寸法は、15mmである。長さ(c)の寸法は、15mmである。長さ(d)の寸法は、17mmである。長さ(e)の寸法は、17mmである。長さ(e1)の寸法は、2mmである。角度(θ)は、50°である。
[評価方法]
家庭用薄葉紙収納箱成形時の破れ、折れの発生の有無の評価であり、
○;破れ、折れの発生なし
×;破れ、折れの発生あり
で行った。
その結果を表1に示す。
[実験結果]
【表1】

【0036】
表1に示すように、長さ(a)が、10mm以上であれば、ロール状シート収納箱成形時の破れ、折れが発生しないことが分かった。
【0037】
(2)長さ(b)の根拠
[実験条件]
家庭用薄葉紙収納箱として、左右方向の幅が、243mm、前後方向の奥行きが、115mm、上下方向の高さが、115mmのロール状シート収納箱を使用した。
長さ(a)の寸法は、10mmである。長さ(b)の寸法は、5mm、8mm、10mm、15mm、20mmの5水準である。長さ(c)の寸法は、15mmである。長さ(d)の寸法は、17mmである。長さ(e)の寸法は、17mmである。長さ(e1)の寸法は、2mmである。角度(θ)は、50°である。
[評価方法]
家庭用薄葉紙収納箱成形時の破れ、折れの発生の有無の評価であり、
○;破れ、折れの発生なし
×;破れ、折れの発生あり
で行った。
その結果を表2に示す。
[実験結果]
【表2】

【0038】
表2に示すように、長さ(b)が、15mm以上であれば、ロール状シート収納箱成形時の破れ、折れが発生しないことが分かった。
【0039】
(3)長さ(c)の根拠
[実験条件]
家庭用薄葉紙収納箱として、左右方向の幅が、243mm、前後方向の奥行きが、115mm、上下方向の高さが、115mmのロール状シート収納箱を使用した。
長さ(a)の寸法は、10mmである。長さ(b)の寸法は、15mmである。長さ(c)の寸法は、5mm、8mm、10mm、15mm、20mmの5水準である。長さ(d)の寸法は、17mmである。長さ(e)の寸法は、17mmである。長さ(e1)の寸法は、2mmである。角度(θ)は、50°である。
[評価方法]
家庭用薄葉紙収納箱成形時の破れ、折れの発生の有無の評価であり、
○;破れ、折れの発生なし
×;破れ、折れの発生あり
で行った。
その結果を表3に示す。
[実験結果]
【表3】

【0040】
表3に示すように、長さ(c)が、10mm以上であれば、ロール状シート収納箱成形時の破れ、折れが発生しないことが分かった。
【0041】
(4)長さ(d)、(e)の根拠
[実験条件]
家庭用薄葉紙収納箱として、左右方向の幅が、243mm、前後方向の奥行きが、115mm、上下方向の高さが、115mmのロール状シート収納箱を使用した。
長さ(a)の寸法は、10mmである。長さ(b)の寸法は、15mmである。長さ(c)の寸法は、10mmである。長さ(d)の寸法は、11mm、13mm、15mm、20mm、25mmの5水準である。長さ(e)の寸法は、11mm、13mm、15mm、20mm、25mmの5水準である。長さ(e1)の寸法は、2mmである。角度(θ)は、50°である。
[評価方法]
「はめ込みやすさ」、「蓋部歪み」、「保持力」により評価を行った。
「はめ込みやすさ」の評価は、
◎;ユーザ10人中0人が蓋部をはめ込みにくいと感じた場合
○;ユーザ10人中1〜4人が切込み部をはめ込みにくいと感じた場合
×;ユーザ10人中5人以上が切込み部をはめ込みにくいと感じた場合
で行った。
「蓋部歪み」の評価は、
◎;ユーザ10人中0人が蓋部が歪むと感じた場合
○;ユーザ10人中1〜4人が蓋部が歪むと感じた場合
×;ユーザ10人中5人以上が蓋部が歪むと感じた場合
「保持力」の評価は、
◎;ユーザ10人中0人が保持力が悪いと感じた場合
○;ユーザ10人中1〜4人が保持力が悪いと感じた場合
×;ユーザ10人中5人以上が保持力が悪いと感じた場合
で行った。
その結果を表4に示す。
[実験結果]
【表4】

【0042】
表4に示すように、長さ(d)、(e)が、(c+1)mm〜(c+10)mmの範囲であれば、蓋部7の「はめ込みやすさ」と「蓋部の歪み」と「保持力」のバランスが図れることが分かった。特に、(c+1)mm〜(c+5)mmの範囲であれば、「はめ込みやすさ」と「蓋部の歪み」に優れることが分かった。
【0043】
(5)深さ(e1)と角度(θ)の根拠
[実験条件]
家庭用薄葉紙収納箱として、左右方向の幅が、243mm、前後方向の奥行きが、115mm、上下方向の高さが、115mmのロール状シート収納箱を使用した。
長さ(a)の寸法は、10mmである。長さ(b)の寸法は、15mmである。長さ(c)の寸法は、10mmである。長さ(d)の寸法は、17mmである。長さ(e)の寸法は、17mmである。長さ(e1)の寸法は、1mm、3mm、5mm、7mm、10mm、13mmの6水準である。角度(θ)は、20度、30度、50度、90度、120度、135度である。
[評価方法]
ユーザ10人による、蓋部7の「はめ込みやすさ」と「保持力」についての官能評価であり、
◎;「はめ込みにくい」、「保持力が弱い」と感じた人数が0人
○;「はめ込みにくい」、「保持力が弱い」の何れかを感じた人数が1〜4人
×;「はめ込みにくい」、「保持力が弱い」の何れかを感じた人数が5人以上
で行った。
その結果を表5に示す。
[実験結果]
【表5】

【0044】
表5に示すように、深さ(e1)が1〜10mmの範囲、且つ角度(θ)が、30〜120度の範囲で「はめ込みやすさ」と「保持力」が良好であることが分かる。また、特に、深さ(e1)が1〜5mmの範囲で、且つ角度(θ)が50〜90度の範囲で「はめ込みやすさ」と「保持力」のバランスが優れていることが分かる。
【0045】
以上、上記実施形態に係るロール状シート収納箱10によれば、一対の天面開口縁部13に備えられた凹部13aに、蓋部7に設けられた幅広部72aの等幅部位72a1を係止させることで蓋部7を天面部1に保持させることができるので、従来のように蓋部の先端を反転させて係止部に係止させるものに比べて、蓋部7を容易に天面部1に保持させることができる。
また、蓋部7の先端を反対向きに折り曲げる必要がないので、従来のように蓋部の先端を反対側に折り曲げて係止部に係止させるものに比べて、折り曲げぐせが少なく蓋部7を閉め易い。
更に、蓋部7の先端側に差込片を設ける必要がないため、蓋部7の先端をロール状シートが切断されやすい形状に形成することが容易である。
【0046】
また、凹部13aに、正面蓋部72に備えられた幅広部72aを差し込んで上方に上げると、途中で幅広部72aの等幅部位72a1が凹部13aに引っ掛かり、蓋部7が凹部13aに係止される。従って、所謂くさび効果により、蓋部7がより強固に凹部13aに係止されることとなる。
また、蓋部7の切断部72cでロール状シート20を切断する際に上方に力が掛かっても、蓋部7が凹部13aから外れないため、好適にロール状シート10を切断することができる。
【0047】
また、凹部13aがV字状をなしているので、蓋部7と凹部13aとの間のくさび効果をより効果的に発揮させることができる。
また、凹部13aのV字状をなす角度(θ)と凹部13aの深さ(e1)とが好適な寸法で形成されているので、より確実に蓋部7を凹部13aに係止させることができる。
【0048】
なお、図7に示すロール状シート収納箱10aのように、切断部72c1の形状は、鋸刃状に形成されていてもよい。このようにすることで、例えば、ロール状シート20にミシン目が形成されていなくても、ロール状シート20をより容易に切断することができる。
【0049】
(第2実施形態)
以下、本実施形態の家庭用薄葉紙収納箱としてのロール状シート収納箱100について説明する。
なお、ロール状シート収納箱100の説明にあたり、ロール状シート収納箱10と同様の構成については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0050】
ロール状シート収納箱100は、例えば、図8、図9に示すように、天面部1、底面部2、正面部3、背面部4、及び左右一対の側面部5(5a、5b)により区画された箱体である。このロール状シート収納箱100の内部には、ロール状シート20が収納され、天面部1から正面部3に亘って形成された取出口60からロール状シート20を外部へ引き出して使用するようになっている。
【0051】
天面部1には、取出口60の外周形状と一致するように形成された取出口形成用のミシン目601が設けられている。
より具体的には、ミシン目601は、正面部3の上下方向の所定の位置に、左右方向に延在する第1ミシン目601aと、この第1ミシン目601aの両端から天面部1との境界線Bを通って更に天面部1の前後方向の所定の位置まで延在する第2ミシン目601b、601bとで構成される。そして、ユーザがこのミシン目601を破断することによって、平面視コ字状の切込みが形成されるとともに、第2ミシン目601b、601bの背面部4側の端部同士を結ぶ左右方向に平行な線をヒンジ軸70aとして折り曲げることで、ミシン目601で囲まれた部分が蓋部70を形成するようになっている。
【0052】
この蓋部70を、ヒンジ軸70aにより回動させることで、取出口60を露出させたり、塞いだりすることができるようになっており、露出させた状態の取出口60からロール状シート20を取り出すことが可能となる。
蓋部70は、例えば、図9に示すように、左右方向に長尺な形状に形成されており、天面部1と正面部3との境界線Bにて屈曲した形状をなし、天面部1側の天面蓋部701と正面部3側の正面蓋部702とにより構成されている。
【0053】
天面蓋部701は、ヒンジ軸70aから前後方向に平行な第1直線部701aと、この第1直線部701aと連続するとともに境界線B近傍に位置し、左右方向内側に凹んだ天面蓋凹み部701bと、を備えている。
正面蓋部702は、境界線Bから先端側に直線的に延在する第2直線部702aと、この第2直線部702aと連続し、左右方向外側に突出した正面蓋突出部702bと、正面蓋部702の先端に位置し、ロール状シート20を切断する切断部702cを備えている。
第2直線部702aは、後述する凸部130aに係止される被係止部を構成する。
【0054】
天面部1には、第2ミシン目601b、601bが破断されることにより形成され、取出口60に面する左右一対の天面開口縁部130、130を備えている。
天面開口縁部130、130は、天面蓋部701の天面蓋凹み部701bに対応する位置に設けられた係止部としての左右一対の凸部130a、130aを備えている。
左右一対の凸部130a、130a間の距離は、第2直線部702aよりも狭くなっている。従って、蓋部70を取出口60に挿入した場合、第2直線部702aをこの左右一対の凸部130a、130aに係止させることができるようになっている。
【0055】
正面部3には、第1ミシン目601a及び第2ミシン目601b、601bが破断されることにより形成され、取出口60に面する左右一対の正面開口縁部330、330を備えている。
正面開口縁部330、330は、正面蓋部702の第2直線部702aに対応する側面縁部330a、330aと、正面蓋突出部702b、702bに対応する凹み部330b、330bと、切断部702cに対応する下縁部330cを備えている。
【0056】
次に、蓋部70の天面部1への係止動作について説明する。
まず、蓋部70をヒンジ軸70aを軸として背面部4に回動させ、正面蓋部702を左右方向の軸に対して少し斜めに曲げて取出口60内に挿入する。すると、図9に示すように、第2直線部702aが凸部130aに係止される。これにより、蓋部70が天面部1に係止される。
そして、取出口60からロール状シート20を取り出して、正面蓋部702の切断部702cによりロール状シート20を適宜の長さで切断する。
【0057】
以上、本発明に係るロール状シート収納箱100によれば、一対の天面開口縁部130に備えられた凸部130aに、蓋部70の第2直線部702aを係止させることで蓋部70を天面部1に保持させることができるので、従来のように蓋部の先端を反転させて係止部に係止させるものに比べて、蓋部70を容易に天面部1に保持させることができる。
また、蓋部70の先端を反対向きに折り曲げる必要がないので、従来のように蓋部の先端を反対側に折り曲げて係止部に係止させるものに比べて、折り曲げぐせが少なく蓋部70を閉め易い。
更に、蓋部70の先端側に差込片を設ける必要がないため、蓋部70の先端をロール状シート20が切断されやすい形状に形成することが容易である。
また、蓋部70の切断部702cでロール状シート20を切断する際に、上方に力が掛かっても、正面蓋突出部702bが天面部1に引っ掛かるので蓋部70が天面部1から外れないため、好適にロール状シート20を切断することができる。
【0058】
なお、本実施形態のロール状シート収納箱10においても、切断部702cの形状を鋸刃形状としてもよい。
また、凸部130aを、天面開口縁部130、130の前後方向に所定の間隔で二つ設け、凸部130aの間に蓋部70を係止させてもよい。
【符号の説明】
【0059】
10 ロール状シート収納箱(家庭用薄葉紙収納箱)
1 天面部
13 天面開口縁部
13a 凹部(係止部)
130 天面開口縁部
130a 凸部(係止部)
2 底面部
3 正面部
4 背面部
5(5a,5b) 側面部
6 取出口
61 ミシン目
61a 第1ミシン目
61b 第2ミシン目
7 蓋部
7a ヒンジ軸
71 天面蓋部
72 正面蓋部
72a 幅広部
72c 切断部
72a1 等幅部位(被係止部)
20 ロール状シート(家庭用薄葉紙)
100 ロール状シート収納箱(家庭用薄葉紙収納箱)
60 取出口
601 ミシン目
601a 第1ミシン目
601b 第2ミシン目
70 蓋部
70a ヒンジ軸
701 天面蓋部
702 正面蓋部
702a 第2直線部(被係止部)
702c 切断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面部と、底面部と、正面部と、背面部と、及び左右一対の側面部とにより区画され、内部にロール状に巻回された家庭用薄葉紙を収納して、前記天面部から前記正面部にかけて設けられたミシン目を破断することにより形成された蓋部を開けて露出させた取出口から前記家庭用薄葉紙を取り出す家庭用薄葉紙収納箱において、
前記ミシン目は、前記正面部の上下方向の所定の位置に、左右方向に延在する第1ミシン目と、この第1ミシン目の両端から前記天面部との境界線を通って更に前記天面部の前後方向の所定の位置まで延在する一対の第2ミシン目と、を備え、
前記ミシン目を破断することによって、平面視コ字状の切込みが形成されるとともに、前記一対の第2ミシン目の背面部側の端部同士を結ぶ左右方向に平行な線をヒンジ軸として折り曲げることで、前記ミシン目で囲まれた部分により前記蓋部が形成され、
前記一対の第2ミシン目が破断されることにより前記天面部に形成された一対の天面開口縁部は、前記天面部の前後方向の所定の位置で互いに対向するように設けられた凹部又は凸部からなる係止部を備え、
前記蓋部は、前後方向に延在する一対の端部のうち前記正面部の前記第2ミシン目により形成された部位に、前記係止部に係止される被係止部を備えることを特徴とする家庭用薄葉紙収納箱。
【請求項2】
請求項1記載の家庭用薄葉紙収納箱において、
前記蓋部は、前記天面部と前記正面部との境界線にて屈曲した形状をなし、前記天面部側の天面蓋部と前記正面部側の正面蓋部と、を備え、
前記係止部は、凹部により形成され、
前記正面蓋部は、前記境界線から先端側に漸次幅広となる幅広部を備え、
前記幅広部は、中間にて前記係止部間の幅と等しくなる等幅部位を備え、
前記等幅部位が、前記被係止部を構成することを特徴とする家庭用薄葉紙収納箱。
【請求項3】
請求項2に記載の家庭用薄葉紙収納箱において、
前記係止部は、V字状をなしていることを特徴とする家庭用薄葉紙収納箱。
【請求項4】
請求項3に記載の家庭用薄葉紙収納箱において、
前記係止部のV字状をなす角度(θ)が、30〜120度であり、
前記係止部の深さ(e1)が、1〜10mmであることを特徴とする家庭用薄葉紙収納箱。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の家庭用薄葉紙収納箱において、
前記蓋部の先端に、前記家庭用薄葉紙を切断するための切断部が設けられ、
前記切断部の形状が、鋸刃状に形成されていることを特徴とする家庭用薄葉紙収納箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−246192(P2011−246192A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124198(P2010−124198)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】