説明

家庭紙収納箱

【課題】ティッシュペーパーなどのいわゆる家庭紙の収納箱の上面において広範な情報掲示用スペースを確保しつつ、家庭紙の取り出し容易性を確保して家庭紙製品本来の機能が損われないようにする。
【解決手段】家庭紙収納箱として、1)蓋部の剥離により形成される取出口が箱上面部の長手方向の中心を境とした片面領域内に形成されるようにする、2)取出口の幅を上記長手方向の中心に近づくにつれて徐々に広くなるようにする、3)取出口の幅が最も広がった部分に取出口の中心側に凸となるようにされた折り曲げ自在のガイドフラップを形成する、4)箱上面部に対する蓋部の接続を、上記蓋部の全周にわたっては行わず上記長手方向の中心に近い部分に非接続部が与えられるようにして行う。これにより箱上面の片面に広範な情報掲示用スペースを確保しつつ家庭紙の取り出し容易性を確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばティッシュペーパーなどの家庭紙を取り出し可能に収納した家庭紙製品に用いられる家庭紙収納箱に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2005−320048号公報
【特許文献2】実開昭49−89134号公報
【特許文献3】登録実用新案第3116098号公報
【背景技術】
【0003】
従来より、略直方体状の箱内に複数枚のティッシュペーパーを折り畳んで収納し、ティッシュペーパーを1枚1枚継続して取り出し可能とされたティッシュペーパー製品が広く普及している。
このようなティッシュペーパー製品は、一般的に、箱の外形寸法がおよそ120mm(縦)×250mm(縦)×110mm(高さ)を超えない程度のものが流通している。現状では、箱のサイズのコンパクト化を図るために、高さ=65mm程度のものが主流となりつつある。
【0004】
なお、このようなティッシュペーパー製品に用いられるティッシュペーパーの収納箱に関する従来技術に関しては、例えば上記の各特許文献を挙げることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ティッシュペーパー製品は、その便利さや価格の安さなどからいわゆる粗品として用いられることが多い。
このような性質を利用して、ティッシュペーパー製品を広告・宣伝媒体として用いたり、企業の営業活動などに用いることが考えられる。具体的な例としては、ティッシュペーパーの収納箱外面に宣伝や営業のための情報を印刷などにより掲示した製品を無料で配布するなどといったことが挙げられる。
【0006】
このとき、情報の掲示は、ティッシュの正常使用時に最も人目に付き易いという意味で、収納箱の上面部に対して行うことが効果的であるが、一般的なティッシュペーパー製品においては、収納箱の上面部の比較的広範囲にわたってティッシュペーパーの取出口が形成されており、情報掲示のためのスペースが思うように確保できないものとなっている。
そこで、情報掲示スペースの確保を優先して取出口の位置をシフトさせたりサイズを縮小化するなどといったことが考えられるが、これによると、ティッシュペーパーの取り出し容易性を確保することが困難となってしまい、結果として、ティッシュペーパー製品本来の機能を損なうものとなってしまい、本末転倒である。
【0007】
本発明の課題は、ティッシュペーパーなどのいわゆる家庭紙の収納箱の上面において広範な情報掲示用スペースを確保しつつ、家庭紙の取り出し容易性を確保して家庭紙製品本来の機能が損われないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題に鑑み、本発明では家庭紙収納箱として以下のように構成することとした。
すなわち、本発明の家庭紙収納箱は、その上面部の一部にミシン目を伴って剥離可能に接続された蓋部が形成され、該蓋部の剥離により上記家庭紙を取り出すための取出口が形成されるように為された略直方体状の家庭紙収納箱であって、先ず、上記蓋部の剥離により形成される上記取出口の位置が、上記上面部の長手方向の中心を境とした片面領域内とされ、且つ、上記取出口の幅が上記長手方向の中心に近づくにつれて徐々に広くなるようにされている。
また、上記取出口の幅が最も広がった部分に対し、上記取出口の中心側に凸となるようにされた折り曲げ自在のガイドフラップが形成されている。
さらに、上記上面部に対する上記蓋部の接続が、上記蓋部の全周にわたっては行われず、上記長手方向の中心に近い部分で非接続部が得られるようにして行われているものである。
【0009】
本発明のポイントは、大きく分けて以下の4点にある。すなわち、
1)蓋部の剥離により形成される取出口が、箱上面部の長手方向の中心を境とした片面領域内に形成される
2)取出口の幅が上記長手方向の中心に近づくにつれて徐々に広くなるようにされている
3)取出口の幅が最も広がった部分に取出口の中心側に凸となるようにされた折り曲げ自在のガイドフラップが形成されている
4)箱上面部に対する蓋部の接続が、上記蓋部の全周にわたっては行われず、上記長手方向の中心に近い部分に非接続部が与えられている
である。
上記1)のポイントにより、箱上面部の片側面には取出口(開口部)が形成されないようにでき、これによって比較的広い情報掲示スペースを箱上面部において確保できる。
但し、このように開口部を箱上面部の片面のみに形成してしまうと、収納された家庭紙の取り出しが困難となる虞がある。上記2)及び3)は、その対策のためのポイントとなっている。
具体的に、この場合は取出口が片面のみに形成されるので、家庭紙の取り出しにあたっては収納された家庭紙の主に上記情報掲示用スペースで隠れた部分を取出口から引き出すことになるため、これに伴い、この場合の家庭紙の取り出し時には、取出口における上記箱上面部の長手方向の中心に近い部分ほど多くの摩擦抵抗が生じることになる。
このため、上記2)のようにして取出口の幅を上記長手方向の中心に近づくにつれて徐々に広くすれば、家庭紙取り出し時の摩擦抵抗を効果的に低減できる。
また上記3)のガイドフラップを設けることによっては、当該ガイドフラップの折り曲げ部分により、上記取出口の縁部のうち上記長手方向の中心側となる縁部(最も多くの摩擦抵抗が生じる)を平滑な状態とすることができ、結果、家庭紙の取り出し時に生じる摩擦抵抗をこの点でも効果的に低減できる。
また、上記本発明によると、箱上面部に接続された蓋部を剥離して取出口が形成されるものとなるが、このとき蓋部を剥離した部分(つまり取出口の縁部)には、剥離に応じた細かな刃部(ミシン刃)が形成されてしまい、これが家庭紙取り出し時における家庭紙の破れを誘発する虞がある。このとき、上記のように本発明では取出口の上記長手方向の中心に近い部分ほど取り出し時の負荷が大きくなるので、上記4)のようにして、当該長手方向の中心に近い部分にて蓋部と箱上面部との非接続部分が与えられるようにされている(つまり剥離に伴う刃部が形成されないようにされている)ことで、家庭紙取り出し時における家庭紙の破れの発生を効果的に抑制して、家庭紙の取り出し容易性を向上できる。
【発明の効果】
【0010】
上記のようにして本発明によれば、ティッシュペーパーなどのいわゆる家庭紙の収納箱の上面において広範な情報掲示用スペースを確保しつつ、家庭紙の取り出し容易性を確保して家庭紙製品本来の機能が損われないようにすることができる。
この結果、本発明の家庭紙収納箱を用いた家庭紙製品を、例えば広告・宣伝や企業の営業活動などための粗品として用いるといった場合に対応して、人目に付き易い箱上面部に比較的広い情報掲示用スペースを確保しつつ、家庭紙製品本来の機能が損なわれないように家庭紙の取り出し容易性を確保した優れた家庭紙製品を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態の家庭紙収納箱の外観斜視図である。
【図2】実施の形態の家庭紙収納箱の展開図である。
【図3】実施の形態の家庭紙収納箱の上面部のみを抽出して示した図である。
【図4】同じく実施の形態の家庭紙収納箱の上面部のみを抽出して示した図である。
【図5】家庭紙の取り出し時における家庭紙収納箱の断面図である。
【図6】家庭紙収納箱の上面部に設けられた蓋部とその周囲の構成を拡大して示した図である。
【図7】家庭紙収納箱の上面部に形成される取出口6とその周囲の構成を拡大して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明していく。

[家庭紙収納箱の全体構成]

図1は、本発明の実施の形態としての家庭紙収納箱1の外観斜視図を、また図2は家庭紙収納箱1の展開図をそれぞれ示している。
ここで「家庭紙」は、ティッシュペーパーやトイレットペーパー、キッチンペーパーなどの家庭用紙製品の資材を指すものとする。本実施の形態の場合、家庭紙収納箱1には家庭紙としてティッシュペーパーが収納される場合を例示する。
【0013】
家庭紙収納箱1は、図2に示すような1枚のカートンブランク(ブランク状のカートン)を図1に示すような略直方体状の形状に組み立てて形成されることになる。上記カートンブランクの材料(つまり家庭紙収納箱1の材料)は、例えば板紙など紙を主体とした材料とされる。
【0014】
家庭紙収納箱1は、大まかに分けて上面部1up、下面部1lw、右側面部1sr、左側面部1sl、前面部1f、後面部1bの6面を有する。これら各面部は長方形状とされ、[上面部1up、下面部1lw]の組、[右側面部1sr、左側面部1sl]の組、[前面部1f、後面部1b]の組は、それぞれ面積が等しいものとなっている。
この場合、各面の面積は、[上面部1up、下面部1lw]>[右側面部1sr、左側面部1sl]>[前面部1f、後面部1b]とされている。
【0015】
上記上面部1upには、家庭紙収納箱1内部に収納されることになるティッシュペーパーを取り出すための取出口(取出口6)を覆うための蓋部2が接続されている。また上面部1upには、使用者による上記蓋部2の剥離を容易とするためのつめ差し4が形成されている。
また上面部1upには、後述するガイドフラップ3、カード係止部5(図中では5a,5b,5c)が形成されている。
【0016】
図2に示すカートンブランクについて説明すると、上記上面部1upには、その長手方向辺の一方の辺には上記右側面部1srが、また他方の長手方向辺には上記左側面部1slがそれぞれ連接されている。また上記上面部1upの一方の短手方向辺には上記前面部1fが、また他方の短手方向辺には上記後面部1bがそれぞれ連接されている。
この場合、下面部1lwは、上記右側面部1srと連接されている。
【0017】
本実施の形態の家庭紙収納箱1は、いわゆるサック式(キャラメル式)の箱状容器として形成されるものとなる。
このために、上記前面部1f、後面部1bに対しては、上記上面部1upに対して連接される辺とは逆側の辺に対して、折り曲げ可能なフラップ(差し込み用のフラップ)が連接されている。上記前面部1fに連接される差し込み用のフラップは差込用フラップ1f-f、上記後面部1bに対して連接される差し込み用のフラップは差込用フラップ1b-fとする。
また、上記右側面部1sr、左側面部1slのそれぞれの長手方向における両端部に対しても、折り曲げ可能なフラップが連接されている。図示するように右側面部1srにおける前面部1fが形成される方向と同方向側の端部に連接されるフラップはフラップ1sr-ff、後面部1bが形成される方向と同方向側の端部に連接されるフラップはフラップ1sr-fbとする。
同様に左側面部1slの前面部1fが形成される方向と同方向側の端部に連接されるフラップはフラップ1sl-ff、後面部1bが形成される方向と同方向側の端部に連接されるフラップはフラップ1sl-fbとする。
【0018】
また、下面部1lwの上記右側面部1srと連接されていない側の辺には、折り曲げ可能なフラップ1lw-fが形成されている。このフラップ11w-fは、左側面部1slの裏側面との接着を可能とするための接着片として機能することになる。
【0019】
この図2に示すカートンブランクの組み立てについて説明しておく。
先ずは、右側面部1srと左側面部1slとを上面部1upとの連接部分においてそれぞれ折り曲げると共に、下面部1lwを上記右側面部1srとの連接部分において折り曲げ、下面部1lwに連接されたフラップ1lw-fを折り曲げて、当該折り曲げられたフラップ1lw-fを上記折り曲げられた状態にある左側面部1slの裏側面に対して接着することで、カートンブランクを角筒状に組み立てる。
【0020】
このように角筒状に組み上がった状態では、右側面部1sr,左側面部1slのそれぞれのフラップ(1sr-ff,1sr-fb、及び1sl-ff,1sl-fb)、及び前面部1fと後面部1bが非折り曲げ状態となっており、開口部が形成されている。
図示による説明は省略するが、この開口部から、複数枚のティッシュペーパーPを筒内に収納する。具体的には、薄葉状のペーパーの2枚1組を1枚のティッシュペーパーPとして、複数枚のティッシュペーパーPをいわゆるポップアップ方式で折り畳む(ティッシュペーパーP1枚1枚が継続して箱から取り出されるようにティッシュペーパーPを1枚1枚交互に折り重ねる)。そしてこのように折り畳まれた複数枚のティッシュペーパーPを上記開口部より収納する。
【0021】
その上で、右側面部1sr,左側面部1slのそれぞれのフラップ(1sr-ff,1sr-fb、及び1sl-ff,1sl-fb)を折り曲げ、さらに前面部1fと差込用フラップ1f-f、及び後面部1bと差込用フラップ1b-fとを折り曲げて、角筒状に組み上がった本体の開口部を閉塞するようにして上記差込用フラップ1f-f、差込用フラップ1b-fを上記折り曲げれたフラップ1sr-ff,1sr-fb、フラップ1sl-ff,1sl-fbにそれぞれ係合するようにして差し込む。
これにより、図1に示されるような略直方体状の家庭紙収納箱1が組み立てられると共に、その内部に複数枚のティッシュペーパーPを収納したティッシュペーパー製品が完成する。
【0022】
[上面部の構成]

本実施の形態の家庭紙収納箱1は、その上面部1upに特徴的な構成を有する。
以下、図3〜図7を参照して上面部1upの構成について説明していく。
図3及び図4は、家庭紙収納箱1の上面部1upのみを抽出して示している。
【0023】
先ず図3において、本実施の形態の家庭紙収納箱1においては、上面部1upにおける蓋部2の形成位置(つまり取出口6の形成位置と同じ)に特徴を有する。具体的に、蓋部2(取出口6)は、上面部1upにおける長手方向の中心cを境として片面側の領域内において形成される。
これにより、上面部1upにおいては、上記蓋部2(取出口6)が形成されないもう一方の片面側に対して、比較的広範な情報掲示用スペースを確保することができる。
【0024】
本実施の形態では、このように上面部1upに形成される情報掲示用スペースに対し、名刺大カード(例えば55mm×91mm)を係止するためのカード係止部5を形成するものとしている。具体的にこの場合は、名刺大カードの角部を係止するための複数のカード係止部5を形成するものとしている。
より具体的には、図4の破線により示される如く、名刺大カードを横配置及び縦配置の双方の配置状態で係止可能とするために最低限必要となる、3つのカード係止部5a、5b、5cを設けるものとしている。
【0025】
図3、図4に示されるように、各カード係止部5は、上面部1upにおいて略T字状の切り込みが与えられることで形成されている。これにより、2つ1組のカード係止部5によって(この場合はカード係止部5a・5bの組、又は5a・5cの組によって)、名刺大カードのそれぞれの角部を係止することができる。
【0026】
また本実施の形態では、各カード係止部5において、上記略T字状の切り込みにおけるT字の横棒部に該当する切り込み部に対し、所要のアール(曲線形状)を与えるものとしている。これにより、名刺大カードが係止される際に与えられる負荷によって上面部1upのカード係止部5からの破れが生じてしまうことの防止が図られる。
【0027】
ここで、家庭紙収納箱1にティッシュペーパーPを収納したティッシュペーパー製品を宣伝・広告用や企業の営業活動用などの粗品として利用する用途を想定した場合、上面部1upにおける上記情報掲示用スペースには、印刷などによる情報掲示を行うことも有効である。
しかしながら、情報掲示を印刷により行う場合は、ティッシュペーパー製品の使用用途・業者に応じて印刷内容を変更する必要があり、その分、製造コストが嵩むものとなってしまう。
【0028】
そこで本実施の形態では、上記のようにしてカード係止部5を設けるものとし、該カード係止部5に係止する名刺大カードの差し替えによる掲示情報の変更が可能となるようにしている。
これによれば、当該家庭紙収納箱1にティッシュペーパーPを収納したティッシュペーパー製品を利用する業者ごとに掲示情報が異なる場合にも、家庭紙収納箱1に対する印刷内容は少なくとも1種のみに統一することができ、その分、ティッシュペーパー製品の製造コストの削減化が図られ、それによって当該ティッシュペーパー製品を利用した宣伝費・営業費等の低コスト化を図ることができる。
このことは、ティッシュペーパー製品の製造業者側から見れば、ティッシュペーパー製品の普及の促進を図る上での大きなメリットとなり、従ってティッシュペーパー製品の売り上げ向上を図ることができる。
【0029】
〜取出口の形状の工夫〜

上記のようにして本実施の形態では、上面部1upの片側面内において取出口6が形成されるようにしていることで、上面部1upのもう片方側の面に比較的広い情報掲示用スペースを確保できる。
但し、単に取出口6を片側面内に形成したのみでは、収納されたティッシュペーパーPの取り出しが困難となる虞がある。
具体的に、この場合は取出口6が片面のみに形成されることになるので、ティッシュペーパーPの取り出しにあたっては収納されたティッシュペーパーPの主に上記情報掲示用スペースで隠れた部分を取出口6から引き出すことになるため、これに伴い、この場合のティッシュペーパPの取り出し時には、取出口6における上面部1upの中心cに近い部分ほど多くの摩擦抵抗が生じることになる。
【0030】
このことに対応し本実施の形態では、取出口6の形状に工夫を凝らすものとしている。具体的には、図3からも明らかなように、取出口6の幅を、上記中心cに近づくにつれて徐々に広げるようにしている。
このようにして取出口6の幅が中心cに近づくにつれて徐々に広くなるようにされていることで、ティッシュペーパーPの取り出し時の摩擦抵抗を効果的に低減することができる。
【0031】
〜ガイドフラップ〜

また、本実施の形態では、上記のようにして取出口6における上面部1upの中心cに近い部分ほど多くの摩擦抵抗が生じることを考慮して、ガイドフラップ3を設けるものとしている。
図3に示すように、上記ガイドフラップ3は、取出口6の幅が最も広がった部分においてその付け根部分(上面部1upとの連接部)が位置するようにして形成するものとしている。換言すれば、上記ガイドフラップ3は、取出口6の幅が最も広がった部分において、取出口6の中心側に凸となるようにして形成されるものである。
このガイドフラップ3は、当該ガイドフラップ3が上記付け根部分において折り曲げ自在となるようにして上面部1upに対して連接されている。
また本実施の形態の場合、ガイドフラップの形状は図のように円弧状としている。
【0032】
ここで、図5は、内部に複数枚のティッシュペーパーPが収納された家庭紙収納箱1の断面図により、ティッシュペーパーPが取り出させる際の様子を示しているが、この図5に示されるようにガイドフラップ3は、上記のように上面部1upに対して折り曲げ自在に連接されていることで、ティッシュペーパーPの取り出し時には、家庭紙収納箱1の外側方向に反り返るようにして折り曲げられる。そしてこれに伴い、図中の破線の丸で囲うような折り曲げ部分が形成されることになる。
【0033】
仮に、ガイドフラップ3が設けられなければ、取出口6における上面部1upの中心c側の縁部の形状は矩形状とされてしまう(カートンブランクは一般にカッティングにより形成されるため)。これは、取り出し時に最もティッシュペーパーPに負荷が与えられる部分が矩形状となってしまうことを意味し、これに伴い、ティッシュペーパーPの引っ掛かりや場合によっては破れを誘発するものとなって、結果としてティッシュペーパーPの取り出し容易性を著しく低下させてしまう。
【0034】
これに対し、上記のようなガイドフラップ3を設けて上記折り曲げ部分が形成されるようにすることによっては、取出口6における上面部1upの中心c側の縁部(取り出し時に最もティッシュペーパーPに負荷が与えられる部分)の形状を平滑にすることができる。
このことで、ティッシュペーパーPの取り出し容易性の向上を図ることができる。
【0035】
また本実施の形態では、ガイドフラップ3の形状を円弧状としているが、この点でもティッシュペーパーPの取り出し容易性の向上が図られる。
つまり図5からも明らかなように、取り出し時にはガイドフラップ3の縁部にもティッシュペーパーPが接触することになるので、ガイドフラップ3の形状は例えば矩形状とされる場合よりも円弧状とされる方が、よりティッシュペーパーPの取り出し容易性を向上することができる。
【0036】
また図3に示されるように、本実施の形態では、上記ガイドフラップ3の付け根部分に対して押しケイ3aを形成して、ガイドフラップ3の付け根部分の断面厚がより薄くなるようにしている。
この押しケイ3aの形成によって、ティッシュペーパーPの取り出し時にガイドフラップ3がより容易に折り曲がるようにできると共に、ガイドフラップ3の折り曲げ部分がより平滑な形状となるように図ることができる。
ガイドフラップ3がより容易に折り曲がれば、ティッシュペーパーPの取り出し時の抵抗を低減してこの点でもティッシュペーパーPの取り出し容易性を向上できる。
またガイドフラップ3の折り曲げ部分がより平滑な形状となれば、ティッシュペーパーPの取り出し容易性はさらに向上させることができる。
【0037】
〜蓋部の接続についての工夫〜

また、本実施の形態では、ティッシュペーパーPの取り出し容易性の向上のために、上面部1upに対する蓋部2の接続についても工夫を凝らすものとしている。
図6は、上面部1upにおける蓋部2とその周囲の構成を拡大して示している。
本実施の形態では、上面部1upに対する上記蓋部2の接続を上記蓋部2の全周にわたっては行うものとせず、中心cに近い部分に非接続部が与えられるようにして行うものとしている。
図中では、破線の丸で囲った部分が上面部1upと蓋部2との接続部分を表している。
具体的に、楕円形状の破線丸で囲った部分は、ミシン目を伴う比較的広範な接続部を表している。
また、真円形状の破線丸で囲った部分は、いわゆる刃止めにより極力小さな接続部を形成した部分を表している。注意すべきは、ガイドフラップ3と蓋部2との接続は、当該刃止めにより行われているという点である。
このようにして本実施の形態では、中心cに近い部分(つまり取り出し時により負荷が掛かる部分)において、蓋部2と上面部1upとの接続部が少なくなるように図られている。
【0038】
なお、図示するように蓋部2における上記中心c側の縁と対向する縁側においては、つめ差し4が形成されている。
つめ差し4は、その付け根部分が、蓋部2が剥離されて形成されることになる取出口6の幅が最も狭まった部分に位置するようにして上面部1upに形成(連接)されている。換言すれば、このつめ差し4は、取出口6の中心側に凸となるようにして上面部1upに対して形成されている。
本実施の形態の場合、当該つめ差し4としてもその形状が円弧状とされいる。このようなつめ差し4の円弧状の縁部が、蓋部2に対して上記刃止めにより接続されている。これにより、使用者はつめ差し4を押圧して当該つめ差し4と蓋部2との接続を容易に解除することができ、この接続解除した部分から蓋部2を摘んで当該蓋部2を上面部1upから容易に剥離することができる。
なお図示による説明は省略するが、つめ差し4の付け根部分はミシン目が入れられることで上面部1upから切除可能な状態とされている。つまり実際の使用時(ティッシュペーパーPの取り出し時)においてつめ差し4は、使用者によって上面部1upから切除されていることになる。
【0039】
ここで、蓋部2を剥離することによっては、次の図7に示されるように、蓋部2を接続していた部分において細かな刃部(いわゆるミシン刃)が形成されることになる。すなわち、取出口6の縁には細かな刃部が形成されてしまう。
このようにして形成された細かな刃部は、取り出し時におけるティッシュペーパーPの破れを誘発する。このために本実施の形態では、上記のように中心cに近い部分に非接続部分が与えられるように蓋部2の接続を行うものとして、取出口6の特に中心cに近い部分の刃部の形成数が少なくなるようにしている。これにより、ティッシュペーパーPの破れの発生を効果的に抑制することができ、その分、ティッシュペーパーPの取り出し容易性を向上できる。
【0040】
また本実施の形態では、ガイドフラップ3と蓋部2との接続を刃止めにより行っているが、このことで、取り出し時のティッシュペーパーPの破れの発生はさらに抑制でき、ティッシュペーパーPの取り出し容易性をさらに向上できる。
【0041】
以上で説明してきたように、本実施の形態によれば、家庭紙収納箱1の上面において広範な情報掲示用スペースを確保しつつ、内部に収納されるティッシュペーパーPなどの家庭紙の取り出し容易性を確保して家庭紙製品本来の機能が損われないようにすることができる。
この結果、家庭紙収納箱1を用いた家庭紙製品を例えば広告・宣伝や企業の営業活動などための粗品として用いるといった場合に対応して、人目に付き易い箱上面部に比較的広い情報掲示用スペースを確保しつつ、家庭紙製品本来の機能が損なわれないように家庭紙の取り出し容易性を確保した優れた家庭紙製品を実現することができる。
【0042】
[変形例]

ここで、本発明はこれまでで説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えばこれまでの説明では、カード係止部5により係止するカードが名刺大のカードとされる場合を例示したが、他のサイズによるカードを係止するように構成することもできる。
【0043】
また、これまでの説明ではカード係止部5がカードの角部を係止するものとして、カード係止部5をT字状の切り込みで形成する場合を例示したが、カード係止部5としてはカードの係止が可能とされたものであればよく、その構成については特に限定されるべきものではない。
【0044】
また、取出口6を片面側にオフセットさせたことで確保した情報掲示用スペースに対しては印刷による情報掲示を行っても良い点は言うまでもない。
【符号の説明】
【0045】
1 家庭紙収納箱、
1up 上面部、
1lw 下面部、
1f-f,1b-f 差込用フラップ、
1sr 右側面部、
1sl 左側面部、
1f 前面部、
1b 後面部、
1sr-ff,1sr-fb,1sl-ff,1sl-fb,1lw-f フラップ
2 蓋部、
3 ガイドフラップ
4 つめ差し
5a,5b,5c カード係止部
6 取出口
P ティッシュペーパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その上面部の一部にミシン目を伴って剥離可能に接続された蓋部が形成され、該蓋部の剥離により家庭紙を取り出すための取出口が形成されるように為された略直方体状の家庭紙収納箱であって、
上記蓋部の剥離により形成される上記取出口の位置が、上記上面部の長手方向の中心を境とした片面領域内とされ、且つ、上記取出口の幅が上記長手方向の中心に近づくにつれて徐々に広くなるようにされていると共に、
上記取出口の幅が最も広がった部分に対し、上記取出口の中心側に凸となるようにされた折り曲げ自在のガイドフラップが形成され、
さらに上記上面部に対する上記蓋部の接続が、上記蓋部の全周にわたっては行われず、上記長手方向の中心に近い部分で非接続部が得られるようにして行われている
ことを特徴とする家庭紙収納箱。
【請求項2】
上記上面部のサイズが短手方向115mm〜120mm、長手方向220mm〜250mmとされる
ことを特徴とする請求項1に記載の家庭紙収納箱。
【請求項3】
上記ガイドフラップの付け根部分は、押しケイによりその断面厚が薄くされている
ことを特徴とする請求項1に記載の家庭紙収納箱。
【請求項4】
上記ガイドフラップの形状が円弧状とされていることを特徴とする請求項1に記載の家庭紙収納箱。
【請求項5】
上記上面部における上記取出口が形成されない側の片面領域内には、名刺大カードを係止するための係止部が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の家庭紙収納箱。
【請求項6】
上記係止部は、上記上面部の複数箇所に略T字状の切り込みが与えられることで形成され、これら複数の略T字状の切り込みの個々において上記名刺大カードの角部を係止可能とされている
ことを特徴とする請求項5に記載の家庭紙収納箱。
【請求項7】
上記略T字状の切り込みにおけるT字の横棒部に相当する切り込み部分に対してアールが与えられている
ことを特徴とする請求項6に記載の家庭紙収納箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−241463(P2010−241463A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−92382(P2009−92382)
【出願日】平成21年4月6日(2009.4.6)
【出願人】(591276732)マスコット紙業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】