説明

家禽のワクチン接種のための方法及び組成物

本発明は、鳥類をクロストリジウム感染から保護し、及び/又は鳥類を壊死性腸炎などの関連疾患から保護するための、鳥類にクロストリジウム属の種に対する免疫応答を誘導する方法を提供する。本方法は卵内及び/又は孵化後に実施可能である。本発明は、更に本発明の組成物及び組成物を胚体に卵内直接送達する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の陳述
本出願は、2006年3月30日に出願された米国仮出願第60/787,567号の米国特許法第119条に基づく利益を主張するものであり、この全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、鳥類の対象(subject)の胚に直接卵内で(in ovo)免疫組成物を送達させることによって、鳥類の対象に免疫応答を誘導する組成物及び方法を提供する。本発明は、更に鳥類の対象をクロストリジウム類(Clostridium spp.)感染から保護し、また鳥類の対象の壊死性腸炎などの関連疾患から保護するための、鳥類の対象においてクロストリジウム属の種(Clostridium species)に対する免疫応答を誘導する免疫原性組成物及び方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
卵内ワクチン接種(vaccination)は、一様でかつ自動的な送達の可能性;他のワクチンとの卵内で共投与(co-administration)と、それにより孵化後の鳥類取扱いを減らすこと;そして抗生物質の使用低減を含む、鳥類の最新の制御方法及び可能性のある孵化後ワクチネーションに優る様々な利点を家禽産業に対して提供する。
【0004】
一定のワクチン(例えば、不活化又は非複製ワクチン)を、胚体に送達して強い免疫応答(鳥類を孵化日にワクチン接種する場合に期待されるのと同じか又はより良い)を引き出すことが可能であるという発見は、そのようなワクチン類の卵内適用時に胚体を標的にし得る(特に胚体周囲の羊水を避けて)自動装置の開発を可能にする。加えて、不活化ワクチンを胚体に優先的に送達すべきであることが分かれば、胚体内への接種により適合性のワクチン組成物の開発を可能にする。本発見前には、強い免疫応答を引き出すのに不活化ワクチンを優先的に胚体に投与する必要があることは、知られておらず又は予想されていなかった。
【0005】
従って、本発明は、不活化(死菌)ワクチンを卵内投与するためのより効率的な方法を提供することによる、従来技術を凌ぐ改善である。本発明の前には、胚体周囲の胚液体(羊水)に不活化ワクチンを投与することが、胚体に不活化ワクチンを投与することと異なるという証拠は存在しなかった。本発明は、不活化ワクチンを胚体周囲の体液よりもむしろ優先的に胚体に卵内送達する必要があることを明らかに示す。胚体が最適効率の適切な標的であることが分かれば、不活化ワクチンの開発及び卵内経路の送達法を可能にする。本発明は、家禽及び他の鳥類への免疫原性組成物の卵内投与を包含する。
【0006】
従って、本発明は、鳥類及び他の病原体による感染及び/又は汚染から鳥類を保護し、そして鳥類を関連疾患から保護するために、胚に卵内投与する改善された免疫原性組成物及び鳥類に免疫応答を誘導する方法に対する技術上の要求を満たす。
【0007】
クロストリジウムパーフリンジェンス(Clostridium perfringens)は、家禽の様々な疾病、最も著しくは壊死性腸炎(クロストリジウムパーフリンジェンスA型及びC型)に関係するが、また胆管肝炎、蜂巣炎、砂嚢糜爛、及び臍帯感染症を含む疾病にも関係する。これらの細菌は正常な腸管内菌叢の成分に該当するものであるが、種々の要因が鳥類を発病し易くしている。このような要因としては、高レベルの魚粉、小麦、大麦又はライ麦を含む餌料;高水分敷料;又はコクシジウム類への曝露が挙げられる。臨床的には、疾病の徴候としては、一般的に下痢、食欲減退、腸病変、機能低下、及び死亡が挙げられる。伝統的に、これらの疾病は飼料中の抗生物質によって制御される;しかしながら、抗生物質の過度の使用は、ヒトと動物に著しい健康リスクをもたらす細菌の抗生物質耐性株の発生を招く可能性がある。更に、特定の管轄区域では、抗生物質の使用は非常に嫌悪されるか又は禁止されることもある。
【0008】
クロストリジウム類(Clostridium spp.)を制御する他の方法としては、腸粘膜を刺激する成分を回避した餌料、例えばとうもろこし−大豆飼料;木材鉋屑又は籾殻などの吸収材料を含む低湿度の敷料、腸内細菌叢の正常な平衡を維持する競合排除製品、例えば、Primalac (Star−Labs/Forage Research, Inc., Clarksdale, MO)、AVIGUARDTM(Bayer Corporation, Kansas City, MO)、及びBIO−MOS(登録商標) (Alltech, Inc., Nicholasville, KY)の使用;及び疾病期間の損失を最小化する強力予防水による酸性化又は消毒が含まれる。ワクチン接種は、ウシ、ヒツジ、ヤギ及びブタを含む他の種のクロストリジウム疾病を制御するために使用されてきた。C.パーフリンジェンスに対する2つの主要型のワクチンが非家禽種で開発されている:トキソイド(不活化トキシン)及びバクテリン−トキソイド(不活化[「死菌」]細菌培養物及び不活化トキシン)。アンチトキシン(トキシン[類]に特異的な抗体)も、また非家禽種のクロストリジウム疾病に対する予防及び治療に使用される。
【0009】
本発明者らが知るかぎり、C.パーフリンジェンスワクチンの卵内投与(即ち、発生中の鳥類胚を含有する卵に対して)を記載する過去の報告はない。胚に有害な可能性のある既存のトキソイド又はバクテリンワクチンは、卵内期間中(例えば、マレック病に対してワクチン接種するために)通常投与される他の生物に対する生ワクチンを不活化する可能性があり、及び/又は既存の卵内接種器具と不適合であり得る、アジュバントの使用を必要とすることから、このようなワクチンの卵内での使用は不確かである。C.パーフリンジェンスに対する卵内ワクチン接種は、一様でかつ自動的な送達の可能性;他のワクチンとの卵内共投与と、それにより孵化後の鳥類取扱いを減らすこと;そして抗生物質の使用低減を含む、鳥類の現行の制御方法及び可能性のある孵化後ワクチン接種に優る様々な利点を家禽産業に対して提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、鳥類をクロストリジウム感染症から保護し、そして鳥類を壊死性腸炎などの関連疾患から保護するために、鳥類におけるクロストリジウムに対する改善された免疫原性組成物及び免疫応答を誘導する方法に対する、当技術における必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
いくつかの実施態様において、本発明は、病原体に対する免疫応答を誘導する組成物の免疫有効用量を孵卵の最終クォーター時点で卵内投与することを含み、ここでその免疫原性組成物を直接卵内接種によって胚体に投与する病原体(例えば、鳥病原体又は鳥によって媒介される非鳥病原体)に対して鳥類の対象を免疫する方法を提供する。
【0012】
本発明の更なる実施態様において、本組成物は、以下の非限定的な疾病、感染症及び/又は障害の例:コクシジウム症、マレック病、伝染性ファブリキウス嚢病、ニューカッスル病、鶏痘感染症、クロストリジウム類感染症、鳥インフルエンザ、伝染性気管支炎、雛貧血ウイルス感染症、鳥喉頭気管炎、鳥メタ肺炎感染症、鳥レオウイルス感染症、鳥アデノウイルス感染症、ロタウイルス感染症、アストロウイルス感染症、封入体肝炎、産卵低下症候群、大腸菌(Escherichia coli)感染症、マイクロプラズマ類(Mycoplasma spp.)感染症、サルモネラ類(Salmonella spp.)感染症、カンピロバクター類(Campylobacter spp.)感染症、リステリア類(Listeria spp.)感染症、ヘモフィルス類(Haemophilus spp.)感染症、パスツレラ類(Pasteurella spp.)感染症及びそれらのいずれかの併発を引き起こす病原体への曝露又は接触に起因する鳥類の感染及び/又は汚染を、治療及び/又は予防するための免疫応答を誘導する。
【0013】
本発明の尚更なる実施態様において、本組成物は、鳥病原体、及び/又はサルモネラ類感染症、カンピロバクター類感染症、リステリア類感染症、大腸菌感染症などの、食物媒介疾病を引き起こす病原体に対する免疫応答を誘導する、非複製剤を含む、実質的に非複製剤から成る、及び/又は非複製剤から成ることができる。
【0014】
本発明は、更に鳥病原体に対して免疫応答を誘導する2つ又はそれ以上の組成物の免疫有効用量を胚に卵内投与する方法を含み、ここで2つ又はそれ以上の組成物を同時に又は任意の順序で逐次的に投与する。
【0015】
更に本発明により、鳥病原体に対する免疫応答を誘導する2つ又はそれ以上の組成物の免疫有効用量を卵内投与し、少なくとも1つの組成物を胚に投与する方法であって、ここで該2つ又はそれ以上の組成物を同時に又は任意の順序で逐次的に投与する方法が提供される。
【0016】
本発明は、鳥類をクロストリジウム属の種(Clostridium species)感染から保護し、及び/又は鳥類を壊死性腸炎などの関連疾患から保護するために、鳥類においてクロストリジウム属の種(例えば、クロストリジウムパーフリンジェンス)に対する免疫応答を誘導する方法を提供する。本方法は、卵内で及び/又は孵化後に実施することができる。本発明は、更に鳥類をクロストリジウム感染から保護し、及び/又は鳥類を壊死性腸炎などの関連疾患から保護するために、鳥類においてクロストリジウム属の種に対する免疫応答を誘導する免疫原性組成物を提供する。
【0017】
従って、1つの側面として、本発明は、クロストリジウムパーフリンジェンスに対する免疫応答を誘導する、免疫原性組成物の免疫有効用量を卵内投与する(例えば、孵卵の最終クォーターの間に)ことを含む壊死性腸炎に対して鳥類の対象(例えば、ニワトリ)を免疫する方法であって、ここでその免疫原性組成物を卵内接種によって投与する方法を提供する。特定の実施態様において、本免疫原性組成物は、羊膜又は胚に投与する。本方法は、場合により他の免疫レジメン(例えば、伝染性ファブリキウス嚢病、マレック病、ニューカッスル病及び/又はコクシジウム症)及び/又は栄養剤及び/又は腸内調節剤の卵内飼養の組み合わせで実施することができる。
【0018】
別の側面として、本発明は、薬学的に許容される担体中に弱毒化クロストリジウム属の種の免疫有効用量を含む免疫原性組成物を提供する。特定の実施態様において、本免疫原性組成物は、更に、例えば、デポ型アジュバントであり得るアジュバントを含む。本発明の典型的アジュバントは、水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン)、リン酸アルミニウム、又はアルガムリン(algannmulin)などのアルミニウム塩を含むがこれに限定されるものではなく、並びに/又はカルシウム、マグネシウム、鉄及び/若しくは亜鉛の塩、若しくはミネラルゲルであってもよく、並びに/又はアシル化チロシン、若しくはアシル化糖、カチオン性若しくはアニオン性誘導体化多糖類、若しくはポリホスファゼンの不溶性懸濁液、及び/又はQuil Aなどのサポニン類、及び/又は油中水型及び水中油中水型などの油型乳剤、及び/又は完全若しくは不完全フロイント、又はそれらの任意の組合せであってよい。典型的実施態様において、免疫原性組成物は水中油中水型乳剤を含む。場合により、本免疫原性組成物は、更に他の鳥病原体に対する免疫応答を誘導する1つ又はそれ以上の添加剤(例えば、アイメリア(Eimeria)、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス、マレック病ウイルス及び/又はニューカッスル病ウイルスに対する免疫応答を誘導する薬剤)及び/又は栄養剤及び/又は腸内調節剤を含むことができる。1つ又はそれ以上の添加剤は、アイメリア、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス、マレック病ウイルス及び/又はニューカッスル病ウイルスに対する感染防御免疫応答を誘導する免疫剤(unmunizing agent)であり得る。
【0019】
更なる側面として、本発明は薬学的に許容される担体中に:
(a)クロストリジウムトキソイド、クロストリジウムバクテリン、クロストリジウムトキシン、又は上記のものの任意の組み合わせの免疫有効用量;及び
(b)コクシジウム症ワクチン、マレック病ワクチン、伝染性ファブリキウス嚢病ワクチン、ニューカッスル病ワクチン、鶏痘ワクチン、又は上記のものの任意の組み合わせの免疫有効用量;
を含む免疫原性組成物を提供する。
【0020】
本発明は、また薬学的に許容される担体中に:
(a)クロストリジウムトキソイド、クロストリジウムバクテリン、クロストリジウムトキシン、又は上記のものの任意の組み合わせの免疫有効用量;及び
(b)油乳剤;
を含む免疫原性組成物を提供する。
【0021】
尚別の側面として、本発明は薬学的に許容される担体中に:
(a)クロストリジウムトキソイド、クロストリジウムバクテリン、クロストリジウムトキシン、又は上記のものの任意の組み合わせの免疫有効用量;及び
(b)アルミニウム誘導アジュバント、サポニン、オイル、又は上記のものの任意の組み合わせを含むアジュバント;
を含む免疫原性組成物を提供する。
【0022】
更なる実施態様において、本発明は、クロストリジウムバクテリン・トキソイド組成物の免疫有効用量を、孵卵の最終クォーターの間で卵内接種により鳥類の対象に投与することを含む、クロストリジウム属の種による感染症に対して鳥類の対象を免疫する方法を提供する。本発明のいくつかの実施態様において、クロストリジウムの種はクロストリジウムパーフリンジェンスであり得る。
【0023】
本発明は、またクロストリジウム属の種の組換型トキシン又はその免疫原性フラグメントの免疫有効用量を、孵卵の最終クォーターの間で卵内接種により鳥類の対象に投与することを含む、クロストリジウム属の種による感染症に対して鳥類の対象を免疫する方法を提供する。いくつかの実施態様において、トキシン又はその免疫原性フラグメントは、クロストリジウムパーフリンジェンストキシン又はその免疫原性フラグメントである。
【0024】
本発明のこれらの及び他の側面は、以下の本発明の説明の中により詳細に示される。
【0025】
本発明のいくつかの側面は、特定の抗原性又は免疫原性組成物が、本組成物を胚体に直接卵内投与した場合、鳥類においてより有効な免疫応答を可能にするという予期しえない発見に基づいている。
【0026】
このように、1つの実施態様において、本発明は病原体[これは鳥病原体及び/又は鳥類の対象によって媒介される非鳥病原体(例えば、ヒト食物媒介病原体)であり得る]に対して鳥類の対象を免疫する方法であって、その鳥病原体に対する免疫応答を誘導する組成物の免疫有効用量を孵卵の最終クォーターの間に卵内投与することを含み、ここでその免疫原性組成物を胚体内に直接卵内注入によって投与する、上記方法を提供する。本発明の方法において、本組成物は胚の骨格筋組織に直接投与することができ、そして骨格筋組織は胸筋組織及びピッピング筋組織であり得るが、これに限定されるものではない。更なる実施態様において、本組成物は、胚の頭部、頚部、肩、翼、背部、胸部、脚又はその任意の組合せ内に直接投与することができる。
【0027】
更に、本発明の方法において、本組成物は胚体内で皮下投与できる。更なる実施態様において、本組成物は、頭部、頚部、肩、翼、背部、胸部、脚又はその任意の組合せに皮下投与できる。
【0028】
胚内へのいずれの適切な投与経路も、本発明の方法を用いるのに適している。例えば、本組成物は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、腹腔内又はその任意の組合せで胚に投与することができる。
【0029】
本発明の鳥類の対象は如何なる鳥であってもよく、また特定の実施態様では、その対象はニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、キジ、ウズラ、ヤマウズラ、ホロホロチョウ、ダチョウ、エミュー若しくはクジャク及びその他の商業的に加工処理される鳥、並びに/又は本発明の方法で取り扱い可能なそれらの卵であってもよい。
【0030】
対象がニワトリである実施態様において、本発明の組成物は孵卵の15日から20日の終りまでの期間中に卵内投与することが望ましく、また特定の実施態様において、本組成物は孵卵の18日又は19日に投与することができる。対象がシチメンチョウの場合、本発明の組成物は孵卵の21日から28日の終りまでの期間中に投与することができ、また特定の実施態様において、本組成物は孵卵の24日又は25日に投与できる。対象がガチョウである他の実施態様において、本発明の組成物は孵卵の23日から31日の終りまでの期間中に投与することができ、また特定の実施態様において、本組成物は孵卵の28日又は29日に投与することができる。対象がアヒルである更なる実施態様において、本発明の組成物は孵卵の21日から28日の終りまでの期間中に投与することができ、また特定の実施態様において、本組成物は孵卵の25日又は26日に投与できる。
【0031】
他の鳥の種では、本発明の組成物の卵内投与にとっての孵卵の最終クォーター及び従ってその最適範囲は、当技術においてよく知られた方法に従って決定することができる。例えば、タイワンアヒルは33〜35日の範囲の孵卵期間があり、コウライキジは23〜24日の孵卵期間があり、ニホンウズラは17〜18日の孵卵期間があり、コリンウズラは23日の孵卵期間があり、イワシャコヤマウズラ(chuckar partridge)は22〜23日の孵卵期間があり、ホロホロチョウは26〜28日の孵卵期間があり、そしてクジャクは28日の孵卵期間がある。
【0032】
本発明の特定の実施態様において、本組成物は、免疫原性組成物及びアジュバントを含み、実質的にそれらから成り、及び/又はそれらから成ることができる。本発明のアジュバントの非限定的な例は、アルミニウム由来アジュバント、サポニン、ミネラルゲル、ポリアニオン、プルロニック・ポリオール、サポニン誘導体、リゾレシチン及び他の類似の界面活性剤、グリコシド、あらゆるタイプのオイル並びにその任意の組合せを含む。本発明の特定の実施態様において、本組成物は水中油中水型乳剤を含むことができる。
【0033】
本明細書において検討されているように、本発明のいくつかの実施態様において、本発明の組成物は、アジュバントを含むことができ、特定の実施態様において、これはアルミニウム由来アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)、サポニン(例えば、QuilA QS21を含むQuil A)、又はオイル(フロイント完全若しくは不完全アジュバントなど)などのアジュバント、それらの任意の組み合わせであり得る。
【0034】
本発明のアジュバントの更に非限定的な例としては、無機塩類(例えば、水酸化アルミニウム;リン酸アルミニウム;リン酸カルシウム)、油乳剤及び界面活性剤系の製剤(例えば、フロイント乳化油アジュバント);Arlacel A; 鉱油; 乳化落花生油アジュバント
(アジュバント 65); MF59 (ミクロ流動化界面活性剤安定化水中油型乳剤); QS21 (精製サポニン); AS02[SBAS2](水中油型+MPL+QS21); Montanide ISA−51;ISA−720 (安定化油中水型乳剤)、細菌産物及び誘導体[例えば、百日咳菌(Bordatella pertussis); コリネバクテリウムグラヌロスム(Corynebacterium granulosum)由来P40成分;リポ多糖類 (体液性及び細胞性免疫の両者に対するアジュバント); マイコバクテリウム及びその成分 (MDP、ヒト非許容性アジュバント); コレラトキシン(粘膜アジュバント)]、微生物誘導体 (天然及び合成) [例えば、モノホスホリルリピドA(MPL); Detox[MPL+チモテ菌(M. phlei)細胞壁骨格]; AGP[RC−529] (合成アシル化単糖); DC−Chol (リポソームに自己組織化できるリポイド免疫刺激剤); OM−174(リピドA誘導体);CpGモチーフ(免疫活性化CpGモチーフを含有する合成オリゴヌクレオチド); 改変LT及びCT(非毒性アジュバント効果を与える遺伝子改変細菌毒素)]、内因性ニワトリ免疫調節剤[サイトカイン; 抗体;hGM−CSF又はhIL−12(蛋白質か又はコード化プラスミドとして投与され得るサイトカイン); Immudaptin (C3dタンデムアレイ); スクアレン]、粒子アジュバント [ビロゾーム (抗原を組み込んだ単ラメラリポソームビヒクル); AS04([SBAS4]MPLとAl塩); ISCOM[サポニンと脂質の構造化複合体(structured complex)]; ポリラクチド−co−グリコリド (PLG);及び不活性ビヒクル(金粒子; 銀粒子)が挙げられる。
【0035】
本発明の更なるアジュバントとしては、ミネラルゲル、ポリアニオン、プルロニック・ポリオール、サポニン誘導体、リゾレシチン及び他の類似界面活性物質を含むことができる。更なるアジュバントとしては、例えば、TLR−1のアゴニスト (例えば、トリアシルリポペプチド);TLR−2のアゴニスト [例えば、連鎖球菌属類(streptococci)及びブドウ球菌属類(staphylococci)のようなグラム陽性菌のペプチドグリカン; リポテイコ酸]; TLR−3のアゴニスト(例えば、二本鎖RNA及びポリ1:Cなどのそれらのアナログ); TLR−4のアゴニスト[例えば、サルモネラ属(Salmonella)及び大腸菌(E. coli)のようなグラム陰性菌のリポ多糖類 (エンドトキシン)];TLR−5のアゴニスト[例えばリステリア属(Listeria)のような運動性細菌のフラジェリン]; TLR−6のアゴニスト[例えば、TLR−2ペプチドグリカン及びある種の脂質 (ジアシルリポペプチド)と共に]; TLR−7のアゴニスト[例えば、インフルエンザ、麻疹、及びムンプスなどのウイルスの一本鎖RNA (ssRNA)ゲノム; 及びロキソリビンのような低分子合成グアノシン−塩基抗ウイルス性分子及びssRNA及びそれらのアナログ]; TLR−8のアゴニスト(例えばssRNAを結合); TLR−9のアゴニスト(例えば、病原体のDNAの非メチル化CpG及びそれらのアナログ;TLR−10のアゴニスト(機能は未確立)、並びにTLR−11− (例えば、いくつかの感染性原生動物[アピコンプレックス門(Apicomplexa)]によって発現する蛋白質を結合)を含む、トール様受容体(TLR)アゴニスト類を含むことができる。ニワトリは、哺乳動物に認められるものと広範囲に類似したほぼ10のTLRを伴う良く発達したTLR系を有する。
【0036】
本発明のアジュバントの更に多くの例は、C3d(補体成分)が微生物のCHOによって活性化される、補体受容体(分泌PRR) を含む。この補体経路は病原体のオプソニン化及び迅速食作用をもたらす。
【0037】
更なる実施態様において、本発明のアジュバントは、アジュバントとして機能するペプチド、蛋白質フラグメント又は全蛋白質であるアミノ酸配列であってもよく、又は本アジュバントは、アジュバントとして機能するペプチド、蛋白質フラグメント又は全蛋白質をコードする核酸であってもよい。明細書で使用される「アジュバント」とは、対象に対する有害作用なしに対象における免疫応答を強化し、改善し、若しくはその他の方法で調節するために、ポリペプチド又は核酸ワクチンとの組み合わせ可能な、任意の免疫調節物質であり得る物質を表わす。
【0038】
本発明のアジュバントは、例えば、免疫刺激性サイトカイン(GM/CSF、インターロイキン−2、インターロイキン−12、インターフェロン−ガンマ、インターロイキン−4、 腫瘍壊死因子−アルファ、インターロイキン−1、造血因子flt3L、CD40L、B7.1共刺激分子(co-stimulatory molecules)及びB7.2共刺激分子を含むが、これらに限定されない)、リン酸緩衝生理食塩水中5% (wt/vol) スクアレン (DASF, Parsippany, N. J.)、2.5%プルロニック、L121ポリマー (Aldrich Chemical, Milwaukee)、及び0.2%ポリソルベート(Tween 80, Sigma)から構成されるSYNTEXアジュバント製剤 1(SAF−1)であり得るが、これに限定されない。また適切なアジュバントは、水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン)、リン酸アルミニウム、若しくはアルガムリン(algannmulin)のようなアルミニウム塩を含むが、同様にカルシウム、鉄若しくは亜鉛の塩であってもよく、若しくはアシル化チロシン、若しくはアシル化糖、カチオン性若しくはアニオン性誘導体化多糖類、又はポリホスファゼンの不溶性懸濁液であってもよい。
【0039】
他のアジュバントはこの技術分野でよく知られており、そしてN−アセチル−ムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル− D−イソグルタミン (CGP11637、ノル−MDPと称する)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミン (CGP19835A、MTP−PEと称する) 及び2% スクワレン/Tween 80乳剤に細菌から抽出した3成分としてモノホスホリルリピドA、トレハロースジミコラート及び細胞壁骨格(MPL+TDM+CWS) を含有するRIBIを含む。
【0040】
更なるアジュバントは、例えば、モノホスホリルリピドA、好ましくは3−デ−O−アシル化モノホスホリルリピドA (3D−MPL)とアルミニウム塩と一緒の組み合わせを含むことができる。強化アジュバント系には、PCT公開番号WO第94/00153号 (その全文は、参照により本明細書に組み込まれる)に開示されたモノホスホリルリピドA及びサポニン誘導体の組み合わせ、特にQS21及び3D−MPLの併用、又はPCT公開番号WO第96/33739号 (その全文は、参照により本明細書に組み込まれる)に開示された、QS21がコレステロールでクエンチされた低応答原性(less reactogenic)の組成物を含む。水中油型乳剤中にQS21−3D−MPL&トコフェロールを含む特に強力なアジュバント製剤は、PCT公開番号WO第95/17210号 (その全文は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0041】
本発明の組成物及び方法は、コクシジウム症、マレック病、伝染性ファブリキウス嚢症、ニューカッスル病、鶏痘感染症、クロストリジウム類感染症[例えば、壊死性腸炎、壊疽性皮膚炎、胆管肝炎、セルライト、潰瘍性腸炎、ボツリヌス中毒症、ティザー(Tyzzer)病]、鳥インフルエンザ、伝染性気管支炎、雛貧血ウイルス感染症、 鳥喉頭気管炎、鳥メタ肺炎ウイルス、鳥レオウイルス感染症、鳥アデノウイルス感染症、ロタウイルス感染症、アストロウイルス感染症、封入体肝炎、産卵低下症候群、アデノウイルス感染症、大腸菌感染症、マイコプラズマ類感染症、サルモネラ類感染症、カンピロバクター類感染症、リステリア類、ヘモフィルス類感染症、パスツレラ類;ボルデテラ類(Bordetella spp.)、ブドウ球菌類(Staphylococcus spp.)、連鎖球菌類(Streptococcus spp.)、マイコバクテリウム類(Mycobacterium spp.)、エリシペロスリクス類(Erysipelothrix spp.)、及びそれらの任意の併発などの疾病及び障害を治療及び/又は予防する免疫応答を誘導するために使用することができる。
【0042】
従って、特定の実施態様において、本発明の組成物は、マレック病ウイルス、伝染性気管支炎ウイルス、マイコプラズマ類、鳥白血病ウイルス、レオウイルス、ポックスウイルス、アデノウイルス、クリプトスポリジウム属(cryptosporidium)、ニワトリ伝染性貧
血ウイルス、パスツレラ属の種、鳥インフルエンザウイルス、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、伝染性ファブリキウス嚢症ウイルス(IBDV)、ラウス肉腫ウイルス、大腸菌、鶏コクシジウム原虫(Eimeria tenella)(コクシジウム症を引き起こす)などのアイメリア(Eimeria)属の種、ヘモフィルス属の種、マイコプラズマ属の種、リステリア属の種、サルモネラ属の種、カンピロバクター属の種、クロストリジウム属の種[例えば、クロストリジウムパーフリンジェンス、クロストリジウムセプチカム(C. septicum)、クロストリジウムソルデリー(C. sordellii)、クロストリジウムディフィシル(C. difficile)、クロストリジウムノビイ(C. novyi)、ボツリヌス菌(C. botulinum)、クロストリジウムコリヌム(C. colinum)、気腫疽菌(C. chauvoei)、クリストリジウムファラックス(C. fallax)、クロストリジウムスポロゲネス(C. sporogenes)、及びティザー菌(C. piliforme)]及びその任意の組合せ由来の、抗原又は免疫原を含み、実質的にそれらから成り、及び/又はそれらから成ることができる。
【0043】
本発明は、鳥類に疾病を引き起こす病原体、及び/又は鳥類(汚染鳥類)によって媒介され、そしてそのような汚染した鳥類を扱い又は食するヒト及び動物へ伝播する病原体であり得る、病原体に対し鳥類を免疫する方法及び組成物を包含するものとする。従って、本発明は、鳥病原体に対して、又は汚染した鳥類の卵又は肉若しくは他の身体部分との接触又はその摂食により、他の動物に疾病を引き起こす病原体に対して免疫応答を誘導する非複製剤を含み、実質的に非複製剤から成り、及びその非複製剤から成る組成物を提供する。このような病原体としては、サルモネラ類、カンピロバクター類、リステリア、大腸菌、エリシペロスリクス類、マイコバクテリウム類、クロストリジウム類、などを含むが、これに限定されない。
【0044】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の本発明の方法では、本発明の組成物の追加抗原用量を孵化後の鳥類の対象に投与する工程を、更に含むことができる。
【0045】
本発明の方法の更なる実施態様において、鳥病原体に対して免疫応答を誘導する2つ又はそれ以上の組成物の免疫有効用量を胚に卵内投与し、ここで2つ又はそれ以上の組成物を同時に又は任意の順序で逐次的に投与する。従って、本発明の組成物及び方法は、複数の組成物を単一部位に、複数の組成物を複数の部位に、及び/又は単一組成物を複数の部位に投与することを含む装置及び技術を用いて行なうことができる。このような方法では、卵内への単一侵入部位、又は卵内への複数侵入部位が利用され得る。このような器具及び技術の非限定的な例は、米国特許第4,903,635号、米国特許第5,136,979号、米国特許(再発行)第35,973号、米国特許第5,339,766号、米国特許第6,032,612号、米国特許第6,286,455号、米国特許第5,158,038号、米国特許第6,601,534号及び米国特許第6,981,470号に記載されており、その各々の全文は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0046】
鳥病原体に対して免疫応答を誘導する2つ又はそれ以上の組成物の免疫有効用量を卵内投与し、ここで少なくとも1つの組成物を胚に投与し、且つ2つ又はそれ以上の組成物を同時に又は任意の順序で逐次的に投与する方法も、本発明に含まれる。これらの方法のいくつかの実施態様において、少なくとも1つの組成物は、羊水、胚体及び卵黄嚢を含む羊膜に投与することができ、及び/又は少なくとも1つの組成物は、羊水、胚体及び/又は卵黄嚢に、個々に又はその任意の組合せにて直接投与することができる。
【0047】
本発明のいくつかの実施態様において、本方法は、更に、孵卵期の任意の時点で免疫刺激剤を卵内投与することを含むことができ、ここで免疫刺激剤及び本組成物を同時に又は任意の順序で逐次的に投与する。本発明の方法は、また更に孵卵期の任意の時点で栄養剤、腸内調節剤又はその組み合わせを卵内に投与することを含むことができ、ここで栄養剤、腸内調節剤又はその組み合わせ、及び本組成物を同時に又は任意の順序で逐次的に投与する。
【0048】
胚を免疫の誘引標的とする鳥胚発生にはいくつかの側面がある。第1に、胚発生の最大時期は母体生殖器官外の卵内で起こることから、胚は本発明の免疫原性組成物などの組成物の導入にとって容易にアクセスできる。
【0049】
第2に、卵が多区画化構成単位であるという事実は、生物学的材料を特定の胎生期の位置に送達させるために利用し得る。例えば、初期の胚中の卵黄嚢は造血の機能を果たす。孵化の直前には、卵黄嚢は主として栄養機能を果たし、そして一部腸管に取り込まれ、それによって孵化中及び後に盲腸嚢に輸送される。従って、材料の卵黄嚢投与は、胚の盲腸又は血管系送達をもたらすことができる。加えて、本発明の組成物の投与は、絨毛尿膜上又は気室膜上への接種によって効率的に行ない得る。最後に、胚の筋肉組織区画へのアクセスは、孵卵の最終クォーターの移入時に直接胚接種することによって達成することができ、そしてニワトリでは、一般的に孵卵の17日から19日にかけて実施される。
【0050】
本免疫原性組成物は、気室、卵白、絨毛尿膜、卵黄嚢、卵黄、尿膜、羊膜を含む卵の任意の領域、又は胚の鳥類に直接導入してもよい。本発明の特定の実施態様において、本組成物は胚の鳥類の筋肉組織に導入され、また他の実施態様において、本組成物は骨格筋の筋肉組織に導入される。特定の実施態様において、免疫原性蛋白質を筋内細胞に直接かつ特異的に投与するために、筋肉細胞内に残存する蛋白質をコードする核酸分子の導入を使用することができる。あるいは、筋細胞から分泌される蛋白質をコードする核酸分子を導入でき、そしてこの方法は筋肉組織と血漿間の接触を介して鳥類の全身へ蛋白質を送達するのに使用できる。典型的な骨格筋組織の導入部位は、卵殻近傍にあり従って他の胚の構造に損傷を与えることなく接種装置により比較的容易に到達する胸筋及びピッピング筋組織である。
【0051】
本発明の組成物をインオボで導入するために、卵内接種、卵殻を通す高圧スプレー、及び組成物を担持する微粒子による卵の弾道衝撃を含む、如何なる適切な手段を用いてもよい。いくつかの実施態様において、本組成物は、注入しようとする本組成物が含有されている、水性の薬学的に許容される溶液を筋肉中に注入することによって投与される。
【0052】
卵内接種を使用する場合には、接種のメカニズムは重要ではないが、その方法は、その処置が孵化率を低下させないように、胚の組織及び器官又はその周囲の胚体外膜を必要以上に損傷させないことが望ましい。好ましい接種部位は筋肉内及び皮下である。好ましい筋肉組織接種部位は、骨格筋であり、そしてとりわけ卵殻の近傍に位置し、そしてそれ故に他の胚構造に損傷を与えることなくまた卵殻によって与えられる保護を損なうことなしに接種器が比較的容易に到達できる、胸筋及びピッピング筋組織である。約18から26ゲージの接種針を取り付けた接種シリンジがその目的に適切である。発生の正確な段階及び胚の位置に応じて、3/4から4インチの接種針は雛の上の流体に又は雛自体に止まると考えられる。針の損傷又は鈍磨を防止するために、接種針の挿入前に殻を通して予備孔をパンチかドリルで開けてもよい。必要なら、卵への望ましくない細菌のその後の侵入を防止するために、ワックス等の実質的に細菌非透過性のシーリング材で密封することができる。
【0053】
本発明の種々の実施態様において、本組成物は、約3/4から約4インチの長さ(例えば、1インチ、1.25インチ、1.5インチ、1.75インチ、2.0インチ、2.25インチ、2.5インチ、2.75インチ、3.0インチ、3.25インチ、3.5インチ、3.75インチ、又は4.0インチ)の接種針で胚体に投与される。更に、本発明の針は15ゲージから28ゲージまで(例えば、15ゲージ、16ゲージ、17ゲージ、18ゲージ、19ゲージ、20ゲージ、21ゲージ、22ゲージ、23ゲージ、24ゲージ、25ゲージ、26ゲージ、27ゲージ又は28ゲージ)の範囲のゲージを有することができる。いくつかの実施態様において、接種針は平滑末端を有してもよく、またいくつかの実施態様では、接種針は約10°から約45°(例えば、11°、12°、13°、14°、15°、16°、17°、18°、19°、20°、21°、22°、23°、24°、25°、26°、27°、28°、29°、30°、31°、32°、33°、34°、35°、36°、37°、38°、39°、40°、41°、42°、43°、44°、又は45°)の斜角を有する面とり末端を有することができる。
【0054】
本発明の特定の実施態様において、本発明の組成物を卵内投与する方法では、針は卵の鈍端の卵殻を卵の長軸に対して約1°から約20°(例えば、1°、2°、3°、4°、5°、6°、7°、8°、9°、10°、11°、12°、13°、14°、15°、16°、17°、18°、19°、又は20°)までのオフセット角で通過することができる。
【0055】
また、本発明によれば、本発明の組成物を自動接種装置によって卵内投与する方法が提供される。
【0056】
鳥類胚に対する高速自動接種システムが、本発明の実施に特に適している。多数のこのような装置が利用可能であり、その典型的なものは、EMBREX INOVOJECT(登録商標) システム (Hebrankに対する米国特許第4,681,063号に記載)、及びMillerに対する米国特許第4,040,388号、同第4,469,047号、及び同第4,593,646号である。これらの文献及び本明細書における全ての文献の記載内容は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明の実施に適合するそのような全ての装置は、本明細書に記載のDNAを収容する接種器を含み、その接種器は装置によって運ばれた卵にDNAを接種するように位置決めされている。更に、接種装置と動作可能に関連付けられた密封装置を、その接種後に卵の孔を密封するために設置してもよい。
【0057】
本発明を実施するための現時点で好ましい装置は、Hebrank に対する米国特許第4,681,063号及びHebrankに対する米国特許第4,903,625号に記載されており、その記載内容は、参照により本明細書に組み込まれる。この装置は、流体物質を複数の卵内に送達するための接種装置、及び複数の個々の卵を同時に固定し、上方に面している部分からそれらを引き上げ、そして卵が吸引装置によって保持されている間に卵に接種するために接種器と協調する吸引装置を含む。本装置の特徴は、本発明を実施するために上記した装置の特徴と組み合わせてもよい。当業者に当然のこととして、以下においてより詳細に論じられるように、本装置は接種器の侵入深度を調整することによって卵の任意の部分内への接種に適合させることができる。
【0058】
本発明で使用できる接種方法及び装置の実施態様は、米国特許第6,032,612号(マルチサイト卵内接種装置)、米国特許第6,244,214号 (卵内接種及び卵の内部に関する情報を検知する装置)、米国特許第6,176199号、 同第6,510,811号及び同第6,834,615号(卵内の尿膜腔液を局在化させる方法)、米国特許第7,089,879号(鳥卵内で気室を操作する方法) 及び米国特許第7,165,507号(卵の胚下腔内に器具を正確に位置決めする方法及び装置)に記載され、これらの特許の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0059】
このように、いくつかの実施態様において、本方法と装置は、基本的に上記に列挙された1つ又はそれ以上の特許に記載された通りであり、また上記卵の長軸に対してオフセット角(A)で、即ち接種針が上記の胚の肩又は胸部に向けられるように選択された角度で、卵の鈍端に細長い接種器又は接種針の位置決めすることを包含する。次いで接種針は、卵の殻を通して、本質的に直線走行経路に沿って胚の肩又は胸部に移行するのに十分な深度に挿入される。液体か又は接種シリンジ化可能な(例えば、接種可能な)固体(しかし、一般的には本明細書に記載の本発明の組成物を含む水溶液である)であってよい卵内に注入しようとする物質は、次に接種針を通して接種される。いくつかの実施態様において、針は本質的に直線走行経路に沿って引き抜かれ、そして物質の接種工程は、物質が卵内の直線走行経路に沿って投与されるように接種針の引き抜きの工程と同時に実施される。そのオフセット角(A)は、肩又は胸部の筋肉内への接種の確率を増加させるのに十分である。一般的に、その角度は、1から20度、そして好ましくはその角度は2から3度である。1例として、接種針は、卵殻下で胚の肩又は胸部に移行するか移行して貫通するのに十分な深度まで挿入することができる。その装置は、吸引装置に対してある角度で針を取り付けまた位置決めすることによるなど、上記の角度(A)を達成するため針に対してある角度で卵を位置決めする装置と動作可能に関連する手段を取り入れるため改変してもよい。
【0060】
特定の実施例において、本発明の方法は、Hebrankに対する米国特許第6,244,214号 (その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載の装置を用いて実施することができ、ここで卵殻を侵入した接種針と接触する卵内の特定の構造及び/又は区画を同定する装置(例えば、「高性能プローブ」)、及び組成物を卵内の特定の構造及び/又は区画に送達させるための装置を用いる方法が記載されている。
【0061】
このように、いくつかの実施態様において、本発明によれば、a)鶏卵が孵化前の孵卵の最終クォーターにあるニワトリ胚を含む該卵を取得すること;b)上記卵の長軸から約1から5度の角度オフセットで卵の鈍端で細長い接種針を位置決めすること、ここで上記の角度は、針が上記胚の肩又は胸部に向けられるように選択される;c)上記胚の肩又は胸部の約7/8から約1.5インチの深度に上記の卵の殻を通して本質的に直線走行経路に沿って上記の針を挿入すること;及びd)上記の針を通して上記の物質を卵内に接種することを含む、インオボでニワトリの筋肉内に物質を導入する方法が提供される。
【0062】
なお他の実施態様において、a)鶏卵が17〜19日のニワトリ胚を含む該卵を取得すること;b)上記の卵の長軸から約1から5度の角度オフセットで卵の鈍端に細長い接種針を位置決めすること、ここで上記角度は接種針が上記胚の肩又は胸部に向けられるように選択される;c)上記胚の肩又は胸部の約7/8から約1.5インチの深度に上記の卵の殻を通して本質的に直線走行経路に沿って上記の針を挿入すること;及びd)上記の針を通して上記の物質を卵内に接種すること
を含む、インオボでニワトリの筋肉内に物質を導入する方法が本発明により提供される。このような方法において、接種針は、上記の胚の肩又は胸部を通して移行するのに十分な深度に挿入することができる。
【0063】
また本発明によれば、ニワトリ胚の筋肉組織を孵卵の17から19日の間に複数の卵に同時に接種する装置が提供され、上記の装置は:上記の複数の卵を固定する固定手段;上記の胚の肩又は胸部の約7/8から約1.5インチの深度に上記の卵の殻を通して本質的に直線走行経路に沿って細長い接種針を挿入するための上記の固定手段と協調する接種手段;及び上記の接種針が上記の胚の肩又は胸部に向けられるように、上記の卵の長軸から約1から5度の角度で上記の卵の鈍端で上記の細長い接種針を位置決めする位置決め手段を含む。そのような装置において、固定手段は、複数の個々の卵を同時に引き上げる吸引手段を含むことができる。
【0064】
本発明の更なる実施態様において、組成物と方法は、鳥類の対象においてクロストリジウム 種に対する免疫応答を誘導するために提供される。1例として、鳥類の壊死性腸炎と呼ばれる急性腸毒血症は、クロストリジウムパーフリンジェンス (A型及びC型は鳥の疾病に関連している)によって引き起こされる。壊死性腸炎は、Clostridia汚染飼料及び敷料を鳥類が摂餌して、腸内に微生物が増殖し、その結果として胞子を形成する場合に起こり得る。この胞子形成過程が、腸管壊死(特に空腸及び回腸で)の原因であるαトキシン及びβトキシンの遊離を引き起こす。臨床徴候としては、機能低下、食欲減退及び下痢が含まれる。急性死亡が起こり得る。 クロストリジウムパーフリンジェンス感染症及び壊死性腸炎の素因としては、餌料及び腸粘膜の損傷が挙げられる。商業用家禽において、壊死性腸炎の大部分の症例は2から5週齢のブロイラー鶏で起こる。従って、本発明の特定の実施態様は、例えば、感染率を低下させることにより、及び/又は感染症及び/又は疾病の重症度を低減することにより、鳥類をクロストリジウムパーフリンジェンス及び壊死性腸炎から保護する免疫原性組成物及び方法に向けられている。
【0065】
ここで、本発明の特定の実施態様に基づきながら本発明について記載する。しかしながら、本発明は種々の形態で具現化され、また本明細書で説明される実施態様に限定されるものではないと解釈すべきである。むしろ、これらの実施態様は、この開示が徹底的かつ完全とするために与えられるものであり、また当業者に本発明の範囲を十分に伝えるものとなる。
【0066】
特に指示されないかぎり、本明細書で用いられる技術及び科学用語は、全て本発明が属する当業者によって一般的に理解されるものと同様の意味を有する。本明細書において、本発明の説明で使用される専門用語は、特定の実施態様を記載することのみを目的とするものであり、本発明を限定することを意図するものではない。
【0067】
本明細書に記載の全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
本明細書において本発明で使用される専門用語は、特定の実施態様を記載することのみを目的とするものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明及び添付の特許請求の範囲に使用される、単数形の「a」「an」及び「the」は、文脈がそれ以外を明確に指示しないならば、同様に複数形を含むものとする。
【0069】
本明細書で使用される「及び/又は」は、1つ又はそれ以上の関連の記載項目の任意でかつ全ての可能な組合せを意味し、また包含し、同様に選択すべきもの(「又は」)を用いて説明される場合は、組み合わせがないことを意味し、また包含する。
【0070】
更に、本発明の化合物又は薬剤の量、用量、時間、温度、等の測定可能な値を表す場合に本明細書で使用される、「約」の用語は、所定量に対し±20%、±10%、±5%、±1%、±0.5%、又は更に±0.1%の変動量を包含することを意味する。
【0071】
本明細書で使用される「鳥類」及び「鳥類の対象」又は「鳥(類)」及び「鳥(類)の対象」なる用語は、任意の鳥類又は鳥の種の雄性及び雌性を含むものとしており、そして特に、卵、食肉用に又はペットとして商業的に飼育される家禽を包含することを意図している。従って、「鳥類」及び「鳥類の対象」又は「鳥(類)」及び「鳥(類)の対象」なる用語は、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、キジ、インコ、オウム、コカトゥー(cokatoo)、オカメインコ、ダチョウ、エミュー等を包含する。特定の実施態様において、対象はニワトリ又はシチメンチョウである。商業家禽としては、それぞれ食肉及び卵生産用に飼育されるブロイラー鶏及び産卵鶏が含まれる。
【0072】
特定の実施態様において、対象は、クロストリジウム種 (例えばクロストリジウムパーフリンジェンスによる感染で引き起こされる壊死性腸炎)によって引き起こされる感染症又は疾病の危険性のある又は易罹患性のものである。壊死性腸炎のリスクファクターは当技術分野でよく知られており、飼料要因(例えば、小麦、大麦、ライ麦又は魚粉の多い飼料)、不良敷料状態、及び/又はEimeria (例えば、自然曝露又は生Eimeriaワクチン)への曝露が挙げられるが、これらに限定されない。従って、 特定の実施態様において、本発明の組成物及び方法は、コクシジウム症に対してワクチン接種している鳥類、及びコクシジウム症の発生を経験する鳥類の群において、壊死性腸炎の重症度及び/又は発生を減少させるのに有利に用いられる。
【0073】
クロストリジウムによる鳥感染症で引き起こされる他の疾病及び障害としては、壊死性腸炎、壊疽性皮膚炎、胆管肝炎、セルライト、潰瘍性腸炎、ボツリヌス中毒症及びティザー病が含まれるが、これらに限定されない。従って、本発明によれば、例えば、クロストリジウムパーフリンジェンス、クロストリジウムセプチカム、クロストリジウムソルデリー、クロストリジウムディフィシル、クロストリジウムノビイ、ボツリヌス菌、クロストリジウムコリヌム、気腫疽菌、クリストリジウムファラックス、クロストリジウムスポロゲネス及び/又はティザー菌による感染から鳥類を保護するために使用する、免疫原性組成物及びその方法が提供される。
【0074】
本発明の鳥類の対象は、卵内で生きている胎仔の鳥類であっても、又は孵化したて(即ち、孵化後約第1、2又は3日)の、未成体期の、及び成体の鳥類を含む、孵化した鳥類であってもよい。
【0075】
特定の実施態様において、鳥類は、約6、5、4、3、2、1週齢以下である。他の代表的な実施態様において、鳥類の対象は、無垢の対象であり、即ち、免疫が所望される抗原に未だ曝露されていないものである。
【0076】
本明細書に使用される「卵内(で)(in ovo)投与する」「卵内(で)(in ovo)投与」なる用語は、特に明示しない限り、生きている発生中の胚を含む鳥類卵に、卵殻に侵入し、免疫原性組成物(例えば、ワクチン)を導入する任意の手段によって、免疫原性組成物を投与することを意味する。このような投与の手段としては、免疫原性組成物の卵内接種が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0077】
本発明によれば、対象にクロストリジウム属の種に対する免疫応答を、場合によりに防御免疫応答を誘導する、免疫原性組成物を対象に投与する方法が提供される。免疫原性組成物を、卵の任意の適切な区画(例えば、尿膜、卵黄嚢、羊膜、気室及び/又は鳥胚自体に)に投与可能であることは、当業者によく知られている。胚への投与方法としては、特に制限されず、例えば、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内及び/又は関節内投与などの非経口投与が含まれる。特定の実施態様において、免疫原性組成物は、羊膜(例えば、卵の鈍端を通して軸方向に接種することにより)に投与される。
【0078】
免疫原性組成物は、任意の適切な方法により卵に投与することができる。特定の実施態様において、免疫原性組成物は接種により投与される。卵接種のメカニズムは重要ではないが、一般的にその方法は、その処置が必要以上に孵化速度を低下させる程度まで胚の組織及び器官又はその周囲の胚外膜を損傷しないように選択すべきである。約18から23ゲージの接種針を取り付けた接種器がその目的に適切である。本発明に適切な接種針の例としては、以下のゲージの接種針が含まれる:18、19、20、21、22、又は23ゲージ。本発明の接種針は少なくとも、1/2インチ、5/6インチ、3/4インチ、7/8インチ、1インチ、1と1/4インチ、1と3/8インチ、1と1/2インチ、1と5/8インチ、1と3/4インチ、1と7/8インチ又は2.0インチの長さを有する。本発明の接種針の斜角範囲の例は、約5度から約45度の範囲(例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44又は45度)である。本発明の特定の実施態様において、本発明の接種針の斜角範囲は約12度から約20度までである。接種針の損傷又は鈍磨を防止するために、接種針の挿入に先立って殻を通して予備孔をパンチ又はドリルで開けることができる。必要ならば、有害な細菌のその後の侵入を防止するために、ワックス等の実質的に細菌不透過性のシーリング材で密封することができる。
【0079】
鳥類の胚に対する高速自動卵接種システムは、本発明の実施に特に適している。多くのこのような装置が入手可能であり、典型的な装置は、Hebrankに対する米国特許第4,681,063号及び同第4,903,635号、及びMillerに対する米国特許第4,040,388号、同第4,469,047号、及び同第4,593,646号に記載されており、これらの各特許の全体は、本明細書に組み込まれる。本発明の実施に適合される装置は、一般的に免疫原性組成物を含有する接種器を含み、装置によって運ばれた卵に免疫原性組成物を接種できるように接種器が位置決めされる。その上、必要に応じて、接種装置と連動したシーリング装置を、その接種後に卵内の孔を密封するように設けることができる。
【0080】
1つの実施態様において、本発明を実施するための装置は、Hebrankに対する米国特許第4,681,063号及びHebrankに対する米国特許第4,903,625号に開示されており、その開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。この装置は、流体物質を複数の卵に送達する接種装置、及び複数の個々の卵を同時に固定し、それらの上方に面している部分から引き上げ、そして卵が吸引装置によって保持されている間に卵に接種する接種器と協調する吸引装置を含む。当業者には当然のことながら、この装置は、当技術分野でよく知られているように接種器の侵入深度を調整することによって卵の任意の部分内に接種することが可能である。本発明は、Hebrankに対する米国特許第6,244,214号(その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる)に記載される装置と方法によって実施することができ、ここで卵殻に侵入した接種針と接触する卵内の特定の構造及び/又は区画を同定する装置、及び組成物を卵内の特定の構造及び/又は区画に送達させるための装置を用いる方法が記載されている。
【0081】
投与しようとする免疫原性組成物の適切な容量は、鶏卵より明らかに大きな容量を取ることができるダチョウの卵では、処置する卵の大きさに依存する。特定の実施態様において、免疫原性組成物は、本明細書に明確に列挙されていなくても10から2,000との間の任意の数を含み、約10から約500、1,000又は2,000μl以上の容量で投与され、典型的な容量として、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、626、650、675、700、725、752、775、800、850、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900又は2,000μlが挙げられる。免疫原性組成物を送達するほかの適切な容量は、当業者によって容易に決定することができる。
【0082】
本発明の特定の実施態様によれば、免疫原性組成物を投与される卵(即ち、鳥類胚)は、卵内孵卵の(即ち、胚発生の)最終のハーフ又は最終のクォーターにある。例えば、鶏卵では、孵卵の最後のハーフは孵卵の約12日から20日まで(例えば、E12、E13、E14、E15、E16、E17、E17.5、E18、E18.5、E19、E19.5及び/又はE20)、また卵内孵卵の最終のクォーターは、孵卵の約15日から20日まで(例えば、E15、E15.5、E16、E16.5、E17、E17.5、E18、E18.5、E19、E19.5及び/又はE20)である。特定の実施態様において、卵は、本免疫原性組成物は、卵内孵卵の約18日(E18又はE18.5)又は19日(E19又はE19.5)に投与される。他の実施態様において、シチメンチョウ卵は、免疫原性組成物を孵卵の約14日から27日(E14、E15、E16、E17、E18、E19、E20、E21、E21.5、E22、E22.5、E23、E23.5、E24、E24.5、E25、E25.2、E26、E26.5及び/又はE27)に、孵卵の約25日から27日(例えば、E21、E21.5、E22、E22.5、E23、E23.5、E24、E24.5、E25、E25.5、E26及び/又はE27)に、又は孵卵の約25日(E25又はE25.5)に投与される。当業者には当然のことながら、本発明は、その投与が処置対象の中で必要以上のレベルの罹患率及び/又は死亡率がなく、免疫原性組成物に対して所望の免疫応答をもたらす限り、任意の所定時点においてインオボで実施することができる。
【0083】
代わりに又は更に、本発明は、免疫原性組成物を、孵化したての(即ち、孵化後約第1、2又は3日目)、未成体期の、及び/又は成体の鳥類を含む、孵化した鳥類に投与するために実施することができる。特定の実施態様において、投与は、孵化後約最初の第6、5、4、3及び/又は2週以内、及び/又は孵化後約第1週以内でも行なわれる。本発明の1つの側面によれば、投与は孵化後最初の第3週以内に行なわれる。他の実施態様において、免疫原性組成物は、卵内(例えば、卵内孵卵の最終クォーターに)投与され、また追加免疫は孵化後(例えば、孵化後第1、2若しくは3日目、又は第1、2、若しくは3週以内)に投与される。
【0084】
本発明の方法は、より上の齢の雌性鳥類(例えば約10〜15週齢の雌鶏)にその新生仔に受動免疫を付与する目的でワクチン接種する、母体ワクチン接種法と区別し得る。そのような鳥類は恐らく無垢ではなく、即ち、既にクロストリジウム種(例えば、クロストリジウムパーフリンジェンス)に曝されており、そしてワクチン接種された鳥類を保護する目的で免疫されておらず、代わりに抗体の受動伝達により新生仔を保護する目的である。
【0085】
本発明の免疫原性組成物は、如何なる適切な手段によっても孵化鳥類に投与することができる。典型的な手段は、経口投与(例えば、餌料又は飲用水で)、筋肉内接種、皮下接種、静脈内接種、腹腔内接種、点眼及び/又は鼻内噴霧である。更に、鳥類には、免疫原性組成物を噴霧キャビネット(spray cabinet)で、即ち鳥類を入れたキャビネットで、ワクチンを含むミストに曝露して、又はコース噴霧(course spray)によって投与することができる。
【0086】
本発明は、壊死性腸炎から鳥類を保護するために実施することができる。「保護すること」「保護する」、及び「保護」等の用語により、その保護が一部か完全かを問わず、処置した鳥類において疾病の発生率及び/又は重症度の低減を認めるような、死亡率の低下、外傷の軽減、体重改善、飼料転換比率の改善及び/又はその他疾病の有害な影響の低減などいずれの形にせよ、対象の集団に何らかの利益となる、壊死性腸炎からのいずれかのレベルの保護を意味する。当業者には当然のことながら、その保護は、たとえ個々の処置鳥類が保護されない場合でさえ、未処置鳥類と比較した複数の処置鳥類から評価され得る。特定の実施態様において、本発明によれば、本発明の免疫原性組成物が投与された複数の鳥類の中で、壊死性腸炎の発生率を低下させる方法が提供される。また、本発明に従って処置した複数の鳥類の中で、壊死性腸炎の発生率及び/又は死亡率を低下させる方法が提供される。
【0087】
本明細書に使用される「プライムする」「プライムされた」又は「プライミング」(及びその文法的バリエーション)により、第2用量(ブースター)が孵化後の後期に加えられるまでその保護以下となっている、能動免疫応答を開始させることを意味する。
【0088】
本明細書で使用される、「減少する」「減少した」「減少している」、及び「減少」(及びその文法的バリエーション)により、ユーザーにとってある種の価値又は利益(例えば、商業的価値)となる表示の感染症又は疾病関連パラメーター(例えば、感染、罹患率、死亡率、壊死性腸炎の発生率、病変等)の低下、例えば、未処置鳥類と比べて少なくとも約20%、25%、35%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%又はそれ以上の減少を意味する。
【0089】
また本発明によれば、処置鳥類内にクロストリジウム感染症の発生率及び/又は重症度の低減を認めるような、対象の集団に何らかの利益となるいずれかのレベルの保護をもたらす、クロストリジウム種による感染から鳥類を保護する方法が提供される。
【0090】
本発明は、またクロストリジウムに対する免疫応答を誘導するために実施することができる。本明細書で使用される、「クロストリジウムに対して免疫応答を誘導する(その文法的バリエーション)」なる用語は、受動移入又は能動免疫応答を用いて生物自体及び/又は生物によって産生されるトキシンに対する免疫応答を誘導する薬剤を包含するものとする。場合により、誘導される免疫応答は、例えば、ワクチン接種法における防御免疫応答である。免疫応答を誘導するある種の他の目的、例えば、研究目的又は受動免疫のため若しくは試薬(例えば、クロストリジウム種を検出し、分離し及び/又は同定するため)として抗体を産生させる場合には、防御は必要とされない。
【0091】
特に指示がない限り、本明細書で使用される「クロストリジウムパーフリンジェンス(C. perfringens)」とは、鳥類の壊死性大腸炎の病因に関与するクロストリジウムパーフリンジェンスA型及び/又はクロストリジウムパーフリンジェンスC型及び/又はその他のクロストリジウムパーフリンジェンスの型を含むものとしている。特定の実施態様において、本発明によれば、クロストリジウムパーフリンジェンスA型及び/又はクロストリジウムパーフリンジェンスC型による感染から鳥類を保護する方法が提供される。本発明によれば、またクロストリジウムパーフリンジェンスA型及び/又はクロストリジウムパーフリンジェンスC型に対する免疫応答を誘導する方法が提供される。種々の型のクロストリジウムパーフリンジェンス及びその変異株は、この技術でよく知られている。例えば、AMERICAN ASSOCIATION OF AVIAN PATHOLOGISTS, A LABORATORY MANUAL FORTHE ISOLATION AND IDENTIFICATION OF PATHOGENS (3d. ed. 1989)を参照されたい。
【0092】
特に指示がない限り、本明細書で使用される「免疫有効用量」なる用語は、非免疫鳥類の遺伝免疫より大きい処置鳥類に防御免疫応答を誘導するのに十分な免疫原性組成物の用量を意味する。卵内で処置した鳥類の例では、「免疫有効用量」は、卵内で免疫されなかった鳥類の遺伝免疫より大きい卵内で処置した孵化鳥類に防御免疫応答を誘導するのに十分な用量を示す。いずれかの特定の状況における免疫有効用量は、この技術でよく知られた方法を用いて日常的に決定できる。
【0093】
「免疫有効用量」は、望ましい保護レベルに到達するように、1つ又はそれ以上の(例えば、2つ又は3つの)用量の免疫原性組成物を含むことができる。個別の用量は卵内で及び/又は孵化後に投与することができる。
【0094】
上記で論じたように、当業者に当然のこととして、複数の鳥類(商業的家禽生産など)を処置する場合、その用量及び/又は本免疫原性組成物の有効性は、群れ全体に対するワクチン接種の効果を評価することによって判断することができる。言い換えると、群れ全体に対する免疫有効用量又は有効なワクチンは、それにも拘らず個々の鳥類において免疫応答を誘導しなくてもよく、及び/又は疾病に対して十分な保護効果をもたらさなくてもよい。
【0095】
「ワクチン接種(vaccination)」又は「免疫(化)(immunization)」なる用語は当
技術でよく知られており、また本明細書において互換性をもって使用される。例えば、ワクチン接種又は免疫(化)なる用語は、(能動免疫応答をもたらすことにより)抗原に対する対象の免疫応答、そしてその結果、感染からの抵抗、克服及び/又は回復するその能力(即ち、防御免疫応答)、を強化する工程と理解することができる。
【0096】
本明細書で使用される「防御免疫」又は「防御免疫応答」なる用語は、宿主動物が免疫原性組成物に対する能動免疫応答を高めること、及び/又は免疫原性組成物が受動免疫を賦与すること、それによりその後の曝露又は誘発時に動物が感染及び/又は疾病に抵抗し又は克服することができるようにすることを意味するものとする。従って、防御免疫応答は、処置した鳥類内で以後の病原体への曝露から罹患の発生率及び/又は死亡率を減少させることになる。
【0097】
「能動免疫応答」又は「能動免疫」は、「免疫原と接触後の宿主の組織と細胞の関与」によって特徴付けられる。これはリンパ細網組織中の免疫担当細胞の分化と増殖に関与し、それは抗体の合成若しくは細胞媒介反応性の発生、又はその両者の原因となる。Herbert B. Herscowitz, Immunophysiology: Cell Function and Cellular Interactions in Antibody Formation, in IMMUNOLOGY: BASIC PROCESSES 117 (Joseph A. Bellanti ed., 1985)。言い方を変えれば、能動免疫応答は、感染により又はワクチン接種により免疫原への曝露後の宿主によって高められる。能動免疫は、「能動免疫宿主から非免疫宿主への前形成物質(抗体、伝達因子、胸腺グラフト、インターロイキン−2)の移入」を介して獲得される、受動免疫と対比することができる。
【0098】
ワクチン及びワクチン接種戦略の効能を評価するための壊死性腸炎(NE)のモデルは、この技術分野で公知である。例えば、Hofacre et al. (2003, J. Appl. Poult. Res. 12:60−64) は、ニワトリに孵化後第0日目から第14日目まで26%の魚粉入りのトウモロコシ大豆飼料を給餌するモデルが記載された。魚粉が14日に餌料から除去された。鳥類は、14日に経口強制飼養によりコクシジウムで、次いで経口強制飼養によりクロストリジウムパーフリンジェンスで17〜19日から毎日負荷試験した。飼料転換比率、体重、及び腸病変スコアリングを用いて、負荷試験した鳥類の壊死性腸炎の存在及び重症度を評価した。NE病変は、22日又は28日に、0=無し、1=軽度、2=中等度及び3=著明/重度の尺度を用いて評価した。当技術で既知のワクチンの効能及びワクチンレジメンを評価するのに、他のモデルが使用できる。本発明の特定の実施態様において、本発明の組成物の投与(例えば、本発明の組成物の有効量)は、非免疫又は対照動物に比べて、このモデル又は他の既知若しくは技術公認モデルの動物における腸病変の約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、75、80、90、又は100%の減少又は体重の変化をもたらすことができる。
【0099】
本発明の更なる実施態様において、本発明の組成物及び方法は、少なくとも約0.5抗毒素単位/mL(例えば、鳥の抗血清のmL当りの抗毒素抗体の少なくとも約0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5又は10A.U.)より大きいか等しい、鳥類における抗体反応を誘導するために使用することができる。
【0100】
本発明の組成物及び方法が用いられる更なる実施態様において、本発明の組成物が胚体へ送達される卵の1集団の卵の割合は、本組成物が投与される卵の集団における卵の総数の約70%から約100%(例えば、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%)になり得る。
【0101】
本発明は、またクロストリジウムパーフリンジェンス(A型及び/又はC型を含む)に対する能動及び/又は受動免疫応答を誘導し、そして上記に詳細記載したクロストリジウムパーフリンジェンス感染から鳥類を保護し、また壊死性腸炎から保護するために、場合によって使用できる免疫原性組成物を包含する。
【0102】
本発明の免疫原性組成物は、クロストリジウムに対する免疫応答を誘導する薬剤を含み、実質的にその薬剤から成り、及び/又はその薬剤から成る。クロストリジウムの免疫剤は複製抗原及び/又は非複製抗原であり得る。本発明の複製及び非複製抗原は、羊膜、胚及び/又は羊膜と胚の両方にインオボで送達され得る。
【0103】
更に、本発明の免疫原性組成物は、薬学的に許容される担体中のクロストリジウム免疫剤の免疫有効用量を含み、実質的にその量から成り、又はその量から成る。典型的実施態様において、本免疫原性組成物はクロストリジウムトキソイド及び/又はバクテリンを用いて処方することができる。本実施態様によれば、本免疫原性組成物は場合により更にアジュバントを含むことができる(下記参照)。トキソイドは不活化トキシンであり、そして不活化トキシンであるトキソイドを含み、そして、αトキシン、βトキシン、β2トキシン、エンテロトキシン、イプシロントキシン、イオタトキシン、カッパトキシン、ラムダトキシン、及び/又はシータトキシンを含むクロストリジウムパーフリンジェンス由来のもの;出血性トキシン及び/又は致死性トキシンを含むクロストリジウムソルデリー(C. sordeilii)由来のもの;Aトキシン(エンテロトキシン)及びBトキシン(細胞変性トキシン)を含むクロストリジウムディフィシル由来のもの;αトキシンを含むクロストリジウムセプチカム由来のもの;αトキシン及び/又はβトキシンを含むクロストリジウムノビイ由来のもの;及び/又はC型トキシンを含むボツリヌス菌由来のものを含み、クロストリジウム トキシンから由来することができる。トキソイドの製造方法は当技術で既知であり、そして例えば、トキシンのホルムアルデヒド又は熱処理を含む (例えば、Walker, (1992) Vaccine 10:977−990を参照)。バクテリンは細菌の細胞成分であり、例えば、クロストリジウムパーフリンジェンスA型及び/又はクロストリジウムパーフリンジェンスC型由来などのクロストリジウム種から由来してもよい。クロストリジウムパーフリンジェンストキソイドワクチンは当技術で既知である(例えば、Zemlyakovaに対する米国特許第4,292,306号を参照) 。
【0104】
他の実施態様において、本免疫原性組成物は、場合により水中油中水型乳剤(例えば、Stoneに対する米国特許第5,817,320号を参照。この特許は油乳剤ワクチンによる鳥類胚の卵内免疫化を記載しており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)において、及び/又は薬学的に許容される担体中において、死菌(即ち、非複製)のクロストリジウム 細菌(即ち、バクテリン)を含み、実質的にその細菌から成り、又はその細菌から成る。他の実施態様において、本免疫原性組成物は、場合により水中油中水型乳剤及び/又は薬学的に許容される担体中において、死菌のクロストリジウム及びアジュバント(例えば、水酸化アルミニウムなどのアルミニウム由来アジュバント、QuilA QS21を含むQuil−Aなどのサポニン、又は完全若しくは不完全フロイントなどのオイル)を含み、実質的にそれから成り、及び/又はそれから成る。
【0105】
更なる別の実施態様として、本免疫原性組成物は、一般的に生弱毒(即ち、減弱した病原性の)クロストリジウムパーフリンジェンスであるクロストリジウム、例えば、生菌クロストリジウムパーフリンジェンスの複製免疫剤を含み、実質的にその免疫剤から成り、又はその免疫剤から成る(例えば、PCT Publication No. PCT WO 2005/053737を参照。そしてこの全内容は、ワクチン使用のための生弱毒菌の生産についての教示のため、参照により本明細書に組み込まれる)。弱毒菌の製造方法は当技術で既知であり、そして特に限定なしに、照射、化学処理、連続継代培養等を含む。本発明の特定の実施態様において、クロストリジウム生細菌(例えば、クロストリジウムパーフリンジェンス)は、生物の病理学的影響から対象を保護する薬剤の存在下に、例えば、Thoma et al. に対する米国特許
第 6,440,408号に記載の中和因子、又はPoston et al.に対する米国特許第6,506,385号に記載のインターフェロンの共投与により投与される。場合により、クロストリジウム及び中和因子及び/又はインターフェロンは同一製剤で投与される。
【0106】
免疫原性組成物の更なる例には、抗毒素(即ち、クロストリジウムのα及び/又はβトキシンに対する受動免疫を賦与する抗体;例えば、Carroll et al.に対する米国特許第5,719,267号を参照)、クロストリジウムに対して免疫応答を誘導する抗原ペプチド(クロストリジウムパーフリンジェンストキシンを含む; 例えば、Titball et al.に対する米国特許第5,817,317号及び同第5,851,827号;Segers et al.に対する米国特許第6,610,300号;McClane et al.に対する米国特許第5,695,956号を参照)、及びクロストリジウムに対して免疫応答を誘導する抗原ペプチド又は蛋白質をコードする核酸を送達する担体核酸(例えば、プラスミド又はウイルス)を含む組換えワクチンを含み、実質的にそれらから成り、又はそれらから成る免疫原性組成物が含まれる。
【0107】
典型的実施態様において、本免疫原性組成物は、クロストリジウムの組換えα及び/又はβトキシン、例えば、本明細書及び/又はTitball et al.に対する米国特許第5,817,317号及び同第5,851,827号に記載の、配列番号2[370アミノ酸の全長配列;GenBank Accession No. 1GYGB (Gl:21730290)、そのコード配列は本明細書では配列番号1として提示される]、配列番号4(Cpa247-370;配列番号2のアミノ酸247〜370;そのコード配列は本明細書では配列番号3として提示される)、配列番号6(配列番号2のアミノ酸1〜278;そのコード配列は本明細書では配列番号5として提示される)、配列番号8(Cpa261-300;配列番号2のアミノ酸261〜300;そのコード配列は本明細書では配列番号7として提示される)、又は配列番号10[398アミノ酸の全長配列、その配列は本明細書では配列番号9として提示される]、で示されるアミノ酸配列を有するαトキシンを含み、実質的にトキシンから成り、又はトキシンから成る。いくつかの実施態様において、本発明のトキシンは、クロストリジウムパーフリンジェンスのαトキシンの370アミノ酸配列(配列番号2)のアミノ酸1〜278を含む免疫原性組成物である。
【0108】
本発明の組成物及び方法で使用できるトキシン(その免疫原性フラグメントを含む)の更なる例は、クロストリジウムパーフリンジェンストキシン [例えば、αトキシン、アクセッション番号CAA35186 (Saint−Joanis et al. MoI. Gen. Genet. 219(3): 453−460 (1989) 0; βトキシン、アクセッション番号CAA58246 (Steinthorsdottir et al. FEMS Microbiol. Lett. 130(2−3): 273−278 (1995)); β2トキシン、アクセッション番号NP#150010 (Shimizu et al. Proc. Natl. Acad. Set. U.S.A. 99(2): 996−1001 (2002)); エンテロトキシン、アクセッション番号BAE79112 (Miyamoto et al. J. Bacteriol. 188(4): 1585−1598 (2006)); イプシロントキシン、アクセッション番号AAA23236 (Havard et al. FEMS Microbiol. Lett. 97:77−82 (1992); イオタトキシン、アクセッション番号CAA51959 (Perelle et al. Infect Immun. 61(12): 5147−5156 (1993)); カッパトキシン、アクセッション番号NP#561089, Shimizu et al. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 99(2):996−1001 (2002)); ラムダトキシン、アクセッション番号CAA35187 (Saint−Joanis et al. MoI. Gen. Genet. 219(3): 453−460 (1989)); 及びシータトキシン、アクセッション番号NP#561079 (Shimizu et al. Proc. Natl. Acad. Sci U.S.A. 99(2):9.96−1001 (2002))), クロストリジウムディフィシル トキシン [例えば、Aトキシン、 accession number A37052 (Wren et al. FEMS Microbiol. Lett 70: 1−6(1990)); 及びBトキシン、アクセッション番号CAA43299 (von Eichel−Streiber et al. Mol. Gen. Genet. 233(1−2): 260−268 (1992))]、 クロストリジウムセプチカム トキシン [αトキシン、アクセッション番号AAB32892 (Ballard et al. Infect. Immun. 63(1):340−344 (1995))] 及び クロストリジウムノビイ トキシン [例えば、αトキシン、アクセッション番号AAB27213 (Ball et al. Infect. Immun. 61 (7):2912−2918 (1993))] を含むが、これに限定されない。
【0109】
本明細書で使用される用語「トキシン」、「αトキシン」、「βトキシン」、「イプシロントキシン」(又は類似の用語)等は、対象においてクロストリジウム に対し免疫応答(場合により、防御免疫応答)を誘導する全長トキシン及びその抗原性若しくは免疫原性ペプチド又は免疫原性変異体(例えば、弱毒化した)を含む。特定の実施態様において、抗原ペプチドは、少なくとも約6、8、10、12、15、18、20、25、30、50、75又は100若しくはそれ以上の全長トキシンの隣接アミノ酸を含む(例えば、米国特許第5,817,317号と 同第5,851,827号の配列番号2及び本明細書の配列番号2に示される全長αトキシン配列を参照)。
【0110】
当然のことながら、本発明の免疫原性フラグメントは、如何なる順序又は量でも組み合わせ可能である。例えば、フラグメント1〜10はフラグメント10〜20と組み合わせて、アミノ酸1〜20のフラグメントを作製することが可能である。別の例として、フラグメント1〜20はフラグメント50〜60と組み合わせて、31のアミノ酸(AA10〜20及びAA50〜60)を有する本発明の単一フラグメントを作製することが可能である。また複数のフラグメントが、本発明のフラグメントに複数で及び任意の組み合わせで存在することもできる。従って、例えば、フラグメント1〜150を第2のフラグメント1〜150と組み合わせ、及び/又はフラグメント400〜500と組み合わせて本発明のフラグメントを作製することができる。
【0111】
いくつかの実施態様において、本発明のクロストリジウムトキシンの抗原性又は免疫原性フラグメントは、免疫原活性を有するフラグメントを生じさせるアミノ酸配列の任意の組み合わせで及び任意の重複量を有する、クロストリジウムパーフリンジェンスαトキシン(配列番号2のアミノ酸1〜246)のアミノ末端ドメイン、クロストリジウムパーフリンジェンスαトキシン(配列番号2のアミノ酸256〜370)のカルボキシ末端ドメイン及び/又はこれらのドメイン間のフラグメント(配列番号2のアミノ酸247〜255)を含み、実質的にそのドメインから成り、及び/又はそのドメインから成る。この用語は、本明細書に明確に示されるように、可能な全てのトキシンペプチド及びフラグメントを包含するものとする(例えば、米国特許第5,817,317号と同第5,851,827号の配列番号2、及び本明細書の配列番号2及び配列番号10に示される全長αトキシン配列の、少なくとも約6、8、10、12、15、18、20、25、30、50、75若しくは100又はそれ以上の隣接アミノ酸を含む任意のペプチド及びフラグメント)。特定の実施態様において、抗原ペプチドは、ホスホリパーゼC及び/又はスフィンゴミエリン加水分解活性を有するアミノ酸配列を欠失している(例えば、抗原性αトキシンペプチドはアミノ酸1〜240を欠くことができる)。いくつかのクロストリジウムパーフリンジェンスαトキシンエピトープの位置は決定されている (例えば、Logan et al., (1992) Infection and Immunity 59:4338−4382を参照されたい。その全内容は、αトキシンエピトープを教示するため、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0112】
本発明の方法に用いられる組換えクロストリジウムトキシンの更なる例は、クロストリジウムパーフリンジェンスβトキシン又はその免疫原性フラグメントを含むが、これに限定されるものではなく、ここでそのβトキシンは配列番号11に示されるアミノ酸配列を有する。配列番号11のβトキシンは、更にアミノ酸62,182,197で、若しくはアミノ酸数80〜103、145〜147、281〜291、295〜299間の領域の1つで、又はアミノ酸位置292の下流で変異を含み(米国特許第 6,610,300号に記載され、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる)、その結果としてトキシン又はそのフラグメントは免疫原活性を示す。
【0113】
クロストリジウムパーフリンジェンスα及びβトキシンの核酸及びアミノ酸配列は、この技術で既知であり、例えば、GenBank Accession Nos. DQ202275; NP#560952; NCJ303366; AY823400; AY277724; AF204209; X17300; X13608; L43548; L43547; L77965 and L13198を参照されたい。また、25羽のニワトリ由来のクロストリジウムパーフリンジェンス株のαトキシン配列の解析を示すSheedy et al., Highly Conserved Alpha−Toxin Sequences of Avian Isolates of Clostridium perfringens, J. Clin. Microbiol. 42:1345−1347 (2004)も参照されたい。
【0114】
本発明の更なる実施態様において、クロストリジウムトキシンは、配列番号12(328アミノ酸;又は配列番号13)に示されるアミノ酸配列を有する、クロストリジウムパーフリンジェンスのイプシロン(ε)トキシンであってよい。更なる実施態様において、εトキシンは、残基2がプロリンである配列番号13のアミノ酸配列を含むことができることが、米国特許第6,403,094号に記載され、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0115】
いくつかの実施態様において、本発明によれば、クロストリジウムバクテリン−トキソイド組成物の免疫有効用量を、孵卵の最終クォーター時点で卵内接種により鳥類の対象に投与することを含み、クロストリジウム による感染に対して鳥類の対象を免疫する方法が提供される。本発明の方法は、更にクロストリジウム バクテリン−トキソイド組成物の追加抗原用量を、孵化後鳥類の対象に投与することを含むことができる。本発明のクロストリジウム種は、クロストリジウムパーフリンジェンスを含むが、これに限定されない。特定の実施態様において、本組成物はVision CD(登録商標)ワクチンを含むことができる。対象がニワトリである特定の実施態様において、バクテリン−トキソイド組成物は、孵卵の18日の時点で20g、1.0インチの接種針によって、又は孵卵の18日に22g、1.0インチの接種針によって、羊水に投与することができる。
【0116】
本発明の更なる実施態様において、本方法は、クロストリジウムの組換えトキシン又はその免疫原性フラグメントの免疫有効用量を、孵卵の最終クォーター時点で鳥類の対象に卵内接種により投与することを含み、クロストリジウムによる感染に対し鳥類の対象を免疫するために提供される。いくつかの実施態様において、これらの方法は、更に組換えトキシン又はその免疫原性フラグメントの追加抗原用量を、孵化後の鳥類の対象に投与する工程を含むことができる。特定の実施態様において、これらの方法で用いられる本組成物は、Quil A及びフロイント不完全アジュバントであってよいアジュバントを含むことができる。対象がニワトリである実施態様において、バクテリン−トキソイド組成物は、孵卵の19日の時点で23g、1.25インチの接種針によって胚体に投与できる。
【0117】
なお更なる実施態様において、対象がニワトリの場合、本発明のトキシン又はその免疫原性フラグメントは、孵卵の19日の間に20g、1.5インチの接種針を介して胚体に投与することができる。また、本発明のワクチンとして使用されるトキシン(例えば、αトキシン)又はその免疫原性フラグメント、及び/又は他のサブユニット蛋白質若しくは糖蛋白質又は他のタイプの生物学的分子の投与量範囲は、1投与剤当り約1μgから約1,000μgであってよく、典型的な範囲は1投与剤当り約55μgから約60μgである。不活化ウイルスを含む本発明の組成物として、1投与剤当りのウイルス濃度は、約103EID50/TCID50から約1012EID50/TCID50(EID=卵感染用量;TCID=組織培養感染用量)であってよい。活性化ウイルスを含む実施態様において、1投与剤当りのウイルス濃度は、約100.1EID50/TCID50から約1012EID50/TCID50であってよい。本発明の特定の実施態様において、本発明のトキシンは、その如何なる組合せをも含み、配列番号2、4、6、8又は10のアミノ酸配列を含み、実質的にその配列から成り、及び/又はその配列から成る。
【0118】
本明細書で熟考されているように、本発明のいくつかの実施態様において、本発明の組成物は、更に特定の実施態様で、アルミニウム由来アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)、サポニン(例えば、QuilA QS21を含むQuil−A)、又はオイル(フロイント完全若しくは不完全アジュバントなど)などのいずれかの組み合わせのアジュバントであり得るアジュバントを含むことができる。本明細書に記載の本発明のいずれかの方法で使用可能なアジュバントの更なる例は、本明細書に示される。
【0119】
典型的な実施態様において、本発明の免疫原性組成物は、場合によりクロストリジウムパーフリンジェンスのα及び/又はβトキシンに加えて、クロストリジウムパーフリンジェンスのエンテロトキシン(CPE)、β−2トキシン、イプシロントキシン、カッパトキシン、ラムダトキシン、シータトキシン、及び/又はイオタトキシンを含み、実質的にそのトキシンから成り、又はそのトキシンから成る。
【0120】
他の典型的実施態様において、免疫原性組成物は、トキソイド又はトキソイド/バクテリンを含み、実質的にそのトキシンから成り、又はそのトキシンから成る。バクテリンは、クロストリジウムパーフリンジェンスのA型及び/又はC型バクテリンであってよい。例えば、典型的な免疫原性組成物は、αトキソイド及びクロストリジウムパーフリンジェンスのA型バクテリンを含み、実質的にそのトキシンから成り、又はそのトキシンから成る。場合により、本免疫原性組成物は、更にアルミニウム由来アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)、サポニン(例えば、QuilA QS21を含むQuil−A)、又はオイル(フロイント完全若しくは不完全アジュバントなど)などのアジュバントを含む。
【0121】
本発明の代表的免疫原性組成物は、水中油中水型乳剤(例えば、Stoneに対する米国特許第5,817,320号を参照)中に、場合により薬学的に許容される担体中にクロストリジウムパーフリンジェンス免疫剤の免疫有効用量を含み、実質的にその量から成り、又はその量から成る。
【0122】
本免疫原性組成物は、場合によりクロストリジウムパーフリンジェンスに対して免疫応答を誘導する2つ又はそれ以上の薬剤(例えば、上記薬剤のいずれかの組み合わせ)を含むことができる。
【0123】
特定の実施態様において、クロストリジウムパーフリンジェンス(例えば、トキソイド、バクテリン、弱毒クロストリジウムパーフリンジェンス及び/又はトキシン等)に対して免疫応答を誘導する薬剤は、鳥類由来、場合によりニワトリ由来のクロストリジウムパーフリンジェンス菌株である。
【0124】
本明細書に使用される「から本質的に成る」(及び文法的変形)なる用語は、本免疫原性組成物が、表示薬剤以外にもはや他の物質免疫原を含まないことを意味する。「から実質的に成る」なる用語は、アジュバント、免疫調節剤等などの他の成分の存在を排除しない。
【0125】
「薬学的に許容される」により、それは生物学的に又はその他の点で望ましくないことが存在しない物質を意味し、即ちこの物質は感知可能な望ましくない生物学的作用を引き起こすことなく対象に投与することができる。それ故、このような薬学的組成物は、例えば、免疫化用の組成物を製造するために使用してもよい。生理学的及び薬学的に許容される担体は、業界で既知の安定剤、塩類、緩衝剤、アジュバント及び/又は保存剤(例えば、抗細菌、抗真菌及び抗ウイルス薬)を含むが、これらに限定されない他の化合物を含有する。薬学的に許容される担体は無菌である必要はないが、一般的に鳥胚への卵内投与においては無菌である。
【0126】
特定の実施態様において、免疫原性組成物は更に免疫刺激剤を含む。代わりに、免疫刺激剤は別個の製剤で対象に投与することができる。本方法で使用できる免疫刺激剤としては、サイトカイン、成長因子、ケモカイン、リンパ球の細胞培養の上清、単球、又はリンパ器官由来の細胞、細胞標本若しくは細胞抽出物[例えば、固定化黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)又はリポ多糖類製剤]、マイトジェン、又は低分子量医薬を含むアジュバントを含むが、これらに限定されない。免疫刺激剤は、孵卵の如何なる時点においても卵内投与できる。場合により、免疫刺激剤及びクロストリジウムパーフリンジェンスに対して免疫応答を誘導する薬剤は、共に、場合により同一製剤で投与される。
【0127】
本明細書で使用される、「共に」なる用語は、併用効果をもたらすのに十分近い時間内を意味する(即ち、共には同時にであってよく、又は相互に前及び/若しくは後で短時間内に起きる2つ又はそれ以上のイベントであってもよい)。
【0128】
適切な如何なるワクチンアジュバントも本発明に従って使用することができ、抗原に対する免疫系の反応を強化する化学的及びペプチドの免疫賦活剤を含む。アジュバントは、アルミニウム由来アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)、リン酸アルミニウム、植物及び動物油(例えば、不完全若しくは完全フロイント)、サポニン(例えば、QuilA QS21を含むQuil−A)、Spur(登録商標) (Intervet)等を含むが、これらに限定されない。本発明の典型的アジュバントは、水酸化アルミニウムゲル(ミョウバン)、リン酸アルミニウム、又はアルガムリンなどのアルミニウム塩を含むがこれらに限定されるものではなく、カルシウム、マグネシウム、鉄又は亜鉛の塩若しくはミネラルゲルであってもよく、又はアシル化チロシン、又はアシル化糖、カチオン性若しくはアニオン性誘導体化多糖類、又はポリホスファゼン類の不溶性懸濁液、又はQuil−Aなどのサポニン類、又は油中水型及び水中油中水型などの油乳剤又は完全若しくは不完全フロイント又はそれらのいずれかの組合せであってよい。
【0129】
免疫原性組成物は、場合により1つ又はそれ以上の安定剤を含有することができる。適切な如何なる安定剤も使用可能であり、ソルビトール、マンニトール、澱粉、蔗糖、デキストリン、又はグルコースなどの糖質;アルブミン又はカゼインなどの蛋白質;及びアルカリ性金属リン酸塩等などの緩衝剤を含む。
【0130】
単一の処置コースで複数の疾病に対して鳥類を免疫することは、しばしば便利である。それ故、特定の実施態様において、免疫原性組成物は、他の鳥病原体(例えば、ウイルス性、細菌性及び真菌性)に対して免疫応答を誘導する1つ又はそれ以上の追加の薬剤、場合により防御免疫応答を誘導する免疫剤を含む。例えば、免疫原性組成物は、更にコクシジウム症(即ち、アイメリア)、伝染性ファブリキウス嚢病、マレック病、ニューカッスル病、鳥インフルエンザ、鶏痘、鳥レオウイルス、鳥メタニューモウイルス、鳥アデノウイルス、伝染性気管支炎、サルモネラ類、カンピロバクター類、パスツレラ類、Hemophilus paragallinarum 及び/又は マイコプラズマに対する免疫剤を含むことができる。卵内で又は孵化後の使用に適する鳥類ワクチンは当技術で既知であり、市販されている(例えば、ファブリキウス嚢病用のBursaplexTMワクチン; ニューカッスル病用のNewplexTM、及びコクシジウム症用のInovocoxTM、すべて Embrex, Inc.から入手可能、及び マレック病用 HVT−SB−1 ワクチン、Merialから入手可能)。コクシジウム症(即ち、アイメリア)及び壊死性腸炎 (即ち、クロストリジウムパーフリンジェンス)の両方に対するワクチン剤を含む免疫原性組成物は、アイメリア曝露が壊死性腸炎に対する鳥類の易感受性を、胃腸管環境を乱すことによって増強させることが知られていることから、特に有利である。
【0131】
従って、更なる詳細な態様として、本発明は、クロストリジウムパーフリンジェンスの免疫有効用量、及び1つ又はそれ以上の他の鳥疾患から保護する免疫剤の免疫有効用量を含み、実質的にその量から成り、又はその量から成る免疫原性組成物を共投与する方法を包含する(上記の通り)。複数の免疫剤が単一製剤で提供可能であり、又は別々の製剤で共に又は任意の順序で逐次的に投与することが可能である。上述のように、本発明のこの側面は、特にコクシジウム症及び壊死性腸炎ワクチンの共投与に適している。
【0132】
別の典型的実施態様において、鳥類の対象を先ず壊死性腸炎に対して免疫し、次いでコクシジウム症に対して免疫し、又はその逆も同様に行なわれる。その免疫化は両方が卵内で起こっても、両方が孵化後に起こっても、又は1つは卵内でまた1つは孵化後であってもよい。例えば、典型的な実施態様において、鳥類の対象を卵内でコクシジウム症に対して免疫し、次いで孵化後に壊死性腸炎に対して免疫する。
【0133】
本発明では、また卵内又は孵化後に鳥類の対象の「卵内給餌」(米国特許第6,592,878号を参照; その全体は、参照により本明細書に組み込まれる)と併せてクロストリジウムパーフリンジェンス免疫剤の投与を実施することもできる。例えば、いくつかの実施態様によれば、クロストリジウムパーフリンジェンス免疫剤及び栄養剤及び/又は腸内調節剤は、卵内で、場合により羊膜への送達により鳥類の対象に投与される。場合により、他の病原体に対するワクチンは、卵内で及び/又は孵化後に同様に投与される(上記の通り)。クロストリジウムパーフリンジェンス免疫剤及び栄養剤及び/又は腸内調節剤は、同一又は別々の組成物で共に投与することができ、及び/又は任意の順序で逐次的に投与することができる。
【0134】
本発明の更なる実施態様では、クロストリジウムパーフリンジェンスαトキソイド、クロストリジウムパーフリンジェンスαトキソイドの抗原フラグメント、クロストリジウムパーフリンジェンスαトキシンの不活性抗原フラグメント、及びその任意の組合せから成る群から選択される抗原を含む組成物が含まれ得る。ここで、その組成物の1投与剤当り約0.1から約1.0mL(例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1.0)の1つ又はそれ以上の投与剤は、ワクチンでワクチン接種した鳥類(例えば、ニワトリ)の抗血清のmL当りの抗αトキシン抗体の少なくとも0.5抗毒素単位(A.U.)を誘導するのに十分である。いくつかの実施態様において、本組成物は鳥類の抗血清のmL当りの抗トキシン抗体の少なくとも約0.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5又は10A.U.を誘導することができる。
【0135】
本明細書で使用される、抗血清のmL当りの抗毒素抗体の「抗毒素単位」即ち「A.U.」(「anti−Toxin Neutralizing Test」単位又は「TNT」単位で互換性をもって使用することができる)は、マウスのバイオアッセイでトキシンの毒作用を中和する血清の能力によって定義される。この試験において、当技術で既知の国際標準によって確立された既知量のトキシンを、ワクチン接種した動物の血清の連続希釈と混合する。混合物を室温で1時間インキュベートし、次いでマウスに静脈内注射する。このマウスは、トキシンが血清で完全に中和された場合は生存し、さもなければ死亡する。抗毒素単位又はタイターは、トキシンを中和した血清の最大希釈の逆数として決定される。
【0136】
更なる実施態様において、本組成物は無細胞標本中の抗原を含むことができる。他の実施態様において、抗原はクロストリジウムパーフリンジェンスαトキソイド上清中のαトキソイドであり得る。特定の実施態様において、本組成物は、クロストリジウムパーフリンジェンスA型αトキソイド及び/又はクロストリジウムパーフリンジェンスC型αトキソイドであってよい抗原を含み、実質的にその抗原から成り、及び/又はその抗原から成る。いくつかの実施態様において、本発明の組成物は、クロストリジウムパーフリンジェンスβトキシン、クロストリジウムパーフリンジェンスβ2トキシン、クロストリジウムパーフリンジェンスエンテロトキシン、クロストリジウムパーフリンジェンスεトキシン、クロストリジウムパーフリンジェンスιトキシン、クロストリジウムパーフリンジェンスκトキシン、クロストリジウムパーフリンジェンスλトキシン、クロストリジウムパーフリンジェンスθトキシン、クロストリジウムソルデリー 出血性トキシン、クロストリジウムソルデリー致死性トキシン、クロストリジウムディフィシルAトキシン、クロストリジウムディフィシルBトキシン、クロストリジウムセプチカムαトキシン、クロストリジウムノビイαトキシン、クロストリジウムノビイβトキシン及び/又はそれらの任意の組合せを含むことができる。このような組成物は、更に本明細書に記載の1つ又はそれ以上のウイルス性抗原、1つ又はそれ以上の細菌性抗原、及び/又は1つ又はそれ以上の寄生性抗原を含み、実質的にその抗原から成り、及び/又はその抗原から成ることができる。
【0137】
本発明を、以下の非限定的な実施例で更に説明する。これらの実施例において、「μL」はマイクロリットルを意味し、「μg」はマイクログラムを意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「cc」は立方センチメートルを意味し、「mM」はミリモル濃度を意味し、「mg」はミリグラムを意味し、「℃」は摂氏温度を意味し、そしてE18とE19はそれぞれ18日と19日の胚形成を意味する。
【実施例】
【0138】
〔実施例I〕
市販のクロストリジウムパーフリンジェンス C&D型ワクチン (Siteguard G & Vision CD)を用いた卵内ワクチン接種後の免疫応答
実験計画
ブロイラー卵を、市販のクロストリジウムパーフリンジェンストキソイド (Siteguard(登録商標)G) 及び バクテリン−トキソイドワクチン (Vision(登録商標)CD(登録商標)ワクチン) により卵内に手動で接種した。孵化した鳥類を成長させて抗体反応を測定した。接種部位評価を実施した。0日(孵化)に選択処置群に孵化後ワクチン接種を行なった。鳥は全てケージ内(5羽/ケージ)に収容した。各ケージにNormal Broiler Starterの飼料を供給した。14日にブロイラー育成餌料(Broiler Grower Feed)に切り替えた。鳥を放血させ、血清について血清−トキシン中和アッセイにより抗体反応を試験した。
【0139】
材料及び方法
接種材料 (Siteguard(登録商標)G):
Siteguard(登録商標)G(未知アジュバント)は、 Schering−Ploughによって製造されたクロストリジウムパーフリンジェンスC&D型トキソイドワクチンである。これは、C&D型トキシンで誘発された疾病からヒツジとウシを保護する。ワクチン接種では、4.0mL(ウシ)及び2.0mL(ヒツジ)のワクチンを、皮下投与(SQ)又は筋肉内投与(IM)した。追加ワクチン接種を、初回ワクチン接種の第3から第4週後、及び毎年投与した。
【0140】
接種材料 (Vision(登録商標)CD(登録商標)):
Vision(登録商標)CD(登録商標)(独自仕様アジュバント 'Spur(登録商標)'を伴う)は、Intervetによって製造される クロストリジウムパーフリンジェンスC&D型バクテリン−トキソイドワクチンである。これは、クロストリジウムパーフリンジェンスC&Dで誘発された腸毒血症からウシ、ヒツジ及びヤギを保護する。ワクチン接種では、2.0mLのワクチンを、動物(ウシ、ヒツジ、又はヤギ)に皮下投与した。初回ワクチン接種後第3から第4週に、その動物に追加の2.0mL(SQ)を投与し、その後年1回再度ワクチン接種された。
【0141】
接種プロトコール:
E19において、ブロイラー卵に、各卵の羊水か又は胚体を標的化する試験物質を接種した。さらに、孵化後0日に、いくつかの卵内及び非卵内注入処置群には、試験物質のワクチン接種又は追加免疫を行なった。孵化後ワクチン接種又は追加免疫において、0.5mLのワクチンを首の背部の皮下注射によって投与した。
【0142】
接種部位:
接種時に、接種部位評価に割り当てられた卵に色素を接種した。次いで卵を、安楽死させ、接種部位の評価のために剖検した。接種部位を尤度比カイ二乗によって解析した(表1)。
【0143】
放血:
孵化後7、14、21、及び28日に、それぞれ個別の鳥から血液を採取し個々のバキュテイナー(vacutainer)(処置群毎に)にプールした。7、14及び21日に、≦0.5mLの血液を翼か又は頚部を介して採取した。28日に、≧0.5mLの血液を心臓穿刺を介して採取した。次いで血液を室温で1時間インキュベートした。その後、血液試料をテーブルトップ遠心分離機に2,400RPMで10分間かけた。遠心分離が完了した時点で、血清をそれぞれの血液試料から取り出し、その後の免疫応答評価用に96ウェルのプレート(2〜8℃又は−70℃)で保存した。
【0144】
マウスでのクロストリジウムパーフリンジェンスC型(β)トキシン中和試験:マウス接種のための試料調製
A. 材料
1.クロストリジウムパーフリンジェンスC型(β)トキシン−CVBLロット番号IRP513(04)
2.クロストリジウムパーフリンジェンスC型(β)アンチトキシン−CVBLロット番号IRP486レシート(Receipt)
3.希釈剤−1%ペプトン、0.25%NaCl pH7.2、BBLロット番号051006、NBref.−NB140p.87
4. ニワトリ血清試料−EMHE1381、NB140p.80
a. 試料番号:7、8、9、10A、10B、11A、11B、12A、12B、13A、14A、15A
5. 滅菌した3ml及び1.8mlバイアル。
B. 方法:
1. 希釈液中に標準βアンチトキシンを1:50に希釈し、全体で10mlにする。
a. βアンチトキシンを室温で解凍する。
b. 200μlのβアンチトキシン及び9.8mlの希釈剤を混合する=1:50。
c. 氷上に保持する。
2. 希釈液中にβトキシンを1:120に希釈し、全体で12mlにする。
a. βトキシンを室温で解凍する。
b. 200μlのβトキシン及び1.8mlの希釈剤を混合する=1:10。
c. 1:10に希釈したβトキシンの1mlと11mlの希釈剤を混合する=1:120。
d. 氷上に保持する。
3.L0対照試料を調製する。
a. 0.5mlのβトキシン(1:120希釈)と0.5mlの希釈剤を混合する。
b. 1mlのβトキシン(1:50希釈)を加える。
c. 室温で1時間混合しインキュベートする。
d. 試料を氷上に保持する。
4.L+対照試料を調製する。
a. 0.8mlのβトキシン(1:120希釈)を0.2mlの希釈剤と混合する。
b. 1mlのβトキシンを加える(1:50希釈)。
c. 室温で1時間混合しインキュベートする。
d. 試料を氷上に保持する。
5.12個の試験血清試料を調製する。
a. 3.25mlのβトキシン(1:120希釈)を3.25mlの希釈剤と混合する。
b. 12本の1.8ml管の各々に、5. a.工程から0.5mlのトキシンを加える。
c. 各管に試料番号と処置群番号のラベルを貼る。
d. 各非希釈ニワトリ血清の0.5mlを適切にラベル表示した管に加える。
e. 室温で1時間混合しインキュベートする。
f. 試料を氷上で貯蔵する。
6. 未使用試料は全て2〜7℃で貯蔵する。
【0145】
試験前の活性
78匹の雌性Swiss white(CD−1)マウス(16〜20g体重)を本研究に使用するために購入した。マウスはベンダー(Charles River Laboratories)から発送され、臨床試験施設に輸送された。
マウスは、ニワトリ血清群ではケージ当り2匹のマウスを入れるケージに、及び対照群ではケージ当り5匹のマウスを4ケージに収容した。マウスは、0日の研究開始に先立って5日間の順化期間を設けた。マウスは、標準作業手順書に従って収容管理し、そして標準実験食餌で給餌し水は自由に与えた。
【0146】
0日
マウスの健常性及び外観を検査し、76匹のマウスを登録して試験にかけた。2匹のマウスは試験に登録せず、安楽死させた。研究計画(STUDY DESIGN)下に記載された処置群に従って、各マウスの尾静脈に26g×3/8注射針で静脈内注射(IV)を行なった。マウスについて、以下に示す発作、疼痛又は窮迫の徴候を1日2回観察した:
不活発
寄り合い行動
荒れた/乱れた被毛状態
猫背の姿勢
運動失調
食欲減退、又は餌料及び水への到達不能
瀕死のマウスは、標準作業手順書によりCO2の過量投与を介して安楽死させた。
【0147】
第1日(孵卵後約24時間)
マウスを観察し、死亡数が記録された。
【0148】
結果
特異抗体陽性反応を血清−トキシン中和アッセイを用いて、孵化後追加免疫(bost)の有り無しで市販クロストリジウムパーフリンジェンスバクテリン−トキソイドワクチンで卵内ワクチン接種(胚体標的化)した鳥の血清中、検出した。これらのデータは、卵内でのクロストリジウムパーフリンジェンスバクテリン−トキソイドワクチンの投与が部分保護を引き出し、また孵化後追加免疫を後で行なう卵内投与がクロストリジウムパーフリンジェンスからの完全保護をもたらすことを示す(表2)。
【0149】
〔実施例II〕
組換αトキシンを含む実験的ワクチン製剤による卵内ワクチン接種後の免疫応答
実験計画
上記研究は、体液性(抗体)免疫応答が、フロイント不完全アジュバント及びQuil−Aで
アジュバントされた、クロストリジウムパーフリンジェンス組換αトキシン(配列番号6)(Dr. Glenn Songer, Dept. of Veterinary Science and Microbiology, The University of Arizonaの提供による)による、卵内、卵内+孵化後又は孵化後ワクチン接種後に、ブロイラー鳥で検出し得るかどうかを明らかにするために実施された。免疫戦略には、E18での卵内胚体ターゲッティング、及び孵化後7日のワクチン接種が含まれた。抗体反応は28日齢に評価された。
【0150】
E18で、ブロイラー卵は、フロイント不完全アジュバント(IFA; Rockland, Lot # 16235)で乳化した対照物質(Quil A; Accurate Chemical & Scientific Corporation, Product # AP04991、アジュバントグレード、Batch # L77−238)、か又はクロストリジウムパーフリンジェンス組換えαトキシン(Quil A+IFA (13又は15μg/投与でアジュバントした55又は60μg/投与)を、手動で卵内で接種した。接種部位の評価を色素の注入により行なった。0日に、(孵化)鳥をケージ単位(5羽/ケージ)で収容した。鳥には通常幼雛飼料(Normal Broiler Starter)を与えた。更に、一部の鳥には、処置(頚部の後に0.2mLのワクチンを皮下注射)に従って7又は17日にワクチン接種した。次いで鳥の血清について、ウェスタンブロット法によって特異抗体反応を評価した。
【0151】
材料&方法
接種:
E18に、ブロイラー卵に、各卵の胚体を標的として試験物質(クロストリジウムパーフリンジェンス αトキシン+ワクチンアジュバント)を接種した。さらに、孵化後7又は17日に、いくつかの卵内及び非卵内接種処置群にワクチン接種を行った(表3)。
【0152】
接種部位(SOI):
接種時に、SOI評価用に割り当てられた卵に色素を注入した。次いで卵を安楽死させ、SOI評価のために剖検した(表4)。
【0153】
血清採取:
孵化後7、14、21、及び28日に、それぞれ個別の鳥から血液を採取し、個々のバキュテイナー(vacutainer)に入れた。7、14及び21日に、≦0.5mLの血液を翼か又は頚静脈を介して採取した。28日に、≧0.5mLの血液を心臓穿刺を介して採取した。次いで血液を室温で1時間インキュベートした。血液試料を遠心分離して血清を取り出し、そして免疫応答評価用に96ウェル貯蔵プレート(2〜8℃又は−70℃)に貯蔵した。
【0154】
ウェスタンブロット試験:
SDSスラブゲル電気泳動を、O'Farrell (J. Biol. Chem. 250:4007−4021 (1975)、二次元)により記載のLaemmli (Nature 227:680−685 (1970)) の方法に従って、25mm濃縮ゲルで重層した10%アクリルアミドスラブゲル(125mm長×150mm幅×0.75mm厚み)を用いて実施した。電気泳動は、12mAで約3.5時間、又はブロモフェノールブルーフロントがスラブゲルの末端に移動するまで実施した。スラブゲル電気泳動後、ブロッティング用のゲルを転写緩衝液(12.5mMトリス、pH8.8、96mMグリシン、20%MeOH)に置き、そして200mA及び約100ボルト/2ゲルで一夜PVDF膜上でトランスブロットした。次いで、PVDF膜をクマシーブルー(Coomassie blue)で染色し、フィルター紙のシート間で乾燥させた。
【0155】
PVDF膜をクマシーブリリヤントブルー(Coomassie Brilliant Blue)R−250 で染色し、それから個々のレーンにカッティングする前後にデスクトップスキャニングした。各ブロットレーンを別々の容器に入れ、そしてTween−20トリス緩衝生理食塩水(TTBS)中5%脱脂粉乳で2時間ブロックして、TTBSでリンスした。 次いで、ブロット
を一次抗体(TTBS中2%脱脂粉乳で1:100希釈した)で一夜インキュベートし、そしてTTBS中3×10分リンスした。
【0156】
次いで、ブロットレーン1(陽性対照)を、二次抗体[ウサギ抗ヤギIgG−HRP(Sigma Cat. # A−5420 及び Batch #034K4858)、TTBS中2%NFDMで1:5,000に希釈]中に2時間入れ、TTBS中で3×10分リンスし、ECLで処理して、そしてx線フィルムに曝した。
【0157】
次いで、残りのブロットレーンを個別に二次抗体[ウサギ抗ニワトリIgG−HRP(Bethyl Cat. # A30−107P 及び Batch # A30−107P−3)、TTBS中2%脱脂粉乳で1:2,000に希釈]中に2時間入れ、TTBSで3×10分リンスし、ECLで処理して、そしてx線フィルムに曝した。ウェスタンブロット検討の結果を、表5に記載する。
【0158】
結果
特異抗体反応を、孵化後追加免疫の有り無しの条件下Quil−A &IFAでアジュバントした組換えαトキシンで卵内で(胚体標的)ワクチン接種した鳥で検出した。これらのデータは、組換えαトキシンによる卵内ワクチン接種が、ブロイラーでクロストリジウムパーフリンジェンスαトキシンに対して免疫応答を引き出すことができることを実証する。
【0159】
〔実施例III〕
ニューカッスル病用の市販の不活化油乳剤ワクチンは、Maine Biological Laboratoriesから購入した。ワクチンを、E18に卵内での羊水経路を介して、又はE19に卵内での胚体経路を介して投与した。羊水及び胚体への部位特異的投与は、E18又はE19に色素を用いる接種部位解析を実施することによって確認された。羊水への部位特異的投与は、鈍端接種針を用いて達成された(群2)。胚体への部位特異的投与は、尖った先端の1.25インチ接種針を用いて行なわれた(群3)。血清を14、21及び28日齢に採取し、そしてELISA(Idexx, Inc.)を用いてニューカッスル病ウイルス(NDV)に特異的な抗体を測定した。異なる個々の鳥を各採血日に放血させた。
【0160】
E18での接種部位解析の結果、22/24の卵が羊水へ、22/24の卵が尿膜腔液、そして0/24の卵が胚体へ接種されたことが分かった。E19での接種部位解析の結果、7/10の卵が胚体へ、そして3/10の卵が羊水へ接種されたことが分かった。表6は、ニワトリの卵内ワクチン接種後のニューカッスル病ウイルスへの抗体反応を示す。表7はパーセント孵化データを示す。
【0161】
本研究は、発生中の胚の免疫応答が、不活化油乳剤ニューカッスル病ワクチンの卵内投与部位によって強く影響されることを示す(表6)。胚体を囲む羊水でワクチン接種した胚は、ニューカッスル病特異抗体に反応しなかった。他方、胚体中に直接ワクチン接種した胚は、28日齢で増加した強い抗体反応で反応した。総数で34羽の鳥が本研究の間に放血され、そして26/34がニューカッスル病ウイルスの抗体に陽性であった(表6)。26/34は76.5%であるが、これは、E19に免疫された胚の70%が胚体へ注入された、接種部位検討に非常に類似している。パーセント孵化は、処置又は非処置群で正常範囲内であった(表7)。
【0162】
〔実施例IV〕
ニューカッスル病用の市販の不活化油乳剤ワクチンは、Maine Biological Laboratoriesから購入した。ワクチンをE19に胚体経路を介して卵内で又は孵化時に皮下で投与した。胚体への部位特異的投与は、尖った先端の1.25インチ接種針を用いて行なった(群3)。孵化日のワクチン接種は、新孵化雛の上頚にワクチンを皮下接種することによって行なった。血清を21日齢に採取し、そしてELISA(Idexx, Inc.)を用いてNDVに特異的な抗体を測定した。その結果を表8に示す。
表8に示されるデータは、孵化経路の基準日によってワクチン接種した雛と同様に、ニューカッスル病の油乳剤ワクチンで胚体にワクチン接種した胚が応答したことを示す。パーセント孵化は、処置又は非処置群で正常範囲内であった(表8)。
上記の実施例III及びIVに示されるデータは、不活化抗原(この場合はニューカッスル病ウイルス)に対する能動免疫応答を刺激するために胚体を打つ必要があることを示す。これらのデータは、胚が、油乳剤アジュバント中の不活化抗原で胚体へ接種することによってネガティブに影響を受けないことをも示す。
【0163】
卵内(孵化に先立ち)での胚体接種は、接種器と接種針を用いて手動で、又は接種針を用いる自動接種機器によって行なってもよい。本明細書の実施例では、接種器と接種針を用いて、胚体又は胚体周囲の羊水(実施例IIIのみ)にワクチンを手動で投与した。胚体接種を達成するために、接種針を卵の気室端で卵殻の穴を介して挿入した。挿入した接種針は、気室膜、尿膜及び腔液へ、最終的には胚体が残存する羊膜腔へ貫通した。次いで、この接種針を胚体へ侵入させ、ワクチンを注入した。胚体接種は、胚体内の多くの部位で惹起することができ、そして皮下、皮内、静脈内、筋肉内及び腹腔内、並びにこれら部位の任意の組合せでのワクチン注入を含む。更に、胚体接種は、頭部、頚部、肩、翼、背部、胸部又は脚において、任意の組合せを含み起こり得る。胚体接種には、気室、尿膜腔、羊水又はアルブミンへの専らのワクチン注入を含まれない。
【0164】
卵内での胚体接種は、3/4インチから4インチまでの範囲の長さの接種針及び15から28ゲージの範囲のゲージの接種針を用いて行なってもよい。接種針先端は非常に尖ったもの(皮下注射)から鈍磨までの範囲であってよい。
【0165】
実施例III及びIVにおいて、ニューカッスル病ウイルスワクチンがモデル抗原として使用された。しかしながら、十分な抗原量をもち適切に製剤化された油乳剤ワクチンは、試験したニューカッスル病ワクチンに類似していることが期待される。従って、伝染性ファブリキウス嚢病、鳥インフルエンザ、伝染性気管支炎、雛伝染性貧血ウイルス、喉頭気管炎、鳥レオウイルス、アデノウイルス、ロタウイルス、アストロウイルス、封入体肝炎、産卵低下症候群、大腸菌、マイコプラズマ、サルモネラ類、カンピロバクター類、クロストリジウム類、ヘモフィルス類、パスツレラ類に対する不活化ワクチンは、本明細書に記載の方法に従って胚体へ卵内に直接送達させることができる。これらの薬剤から作製されるワクチンは、全細胞又はサブユニットであってもよい。これらの薬剤から作製されるワクチンは、通常、成長培地、卵又は組織培養で生産してもよく、及び/又はこの技術でよく知られた方法に従って組換え法によって生産してもよい。加えて、不活化して雛の孵化日に有効にワクチン接種し得る十分な抗原量を生産できる任意の疾病薬剤も、また胚体に直接送達されるならば、卵内で胚を効果的にワクチン接種することが期待される。
【0166】
これらの実施例で試験したワクチンに使用されるアジュバントは、典型的な市販油乳剤であった。オイル以外のアジュバントによる非油乳剤不活化ワクチンは、孵化に先立って胚体に直接送達させるならば、能動免疫応答を誘導することが期待できると考えられる。適切なアジュバントとしては、ミネラルゲル、ポリアニオン、プルロニック・ポリオール、サポニン誘導体、リゾレシチン及び他の類似の界面活性物質、グリコシド類、及びあらゆるタイプのオイル並びにその組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0167】
〔実施例V〕
特定病原体未感染(SPF)レグホン種を、卵内で以下のようにワクチン接種した。群1:リン酸緩衝生理食塩水(PBS);群2及び3:PBS中0.3×109不活化NDV EID50/投与;群4:ミョウバンデポ型アジュバント(Imject, Pierce; 水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウム)と混合した0.3×109不活化NDV EID50/投与;群5:NDV用の市販油乳剤。11日齢に、群3対象にPBS中NDVの第2投与剤を皮下注射によって与えた。卵内で与えられたワクチンは胚体を標的として、また色素を用いる接種部位解析を、胚体内に直接接種された胚のパーセントを測定するために卵様の個別のセットで実施した。卵内ワクチン接種を、孵卵の19日に23ゲージ、1.25インチの接種針で行なった。群当り14羽の鳥を、ケージに入れて21日齢まで発育させた。
【0168】
血清試料を21日齢時に採取し、ELISA(Idexx, Inc.)によりNDVに対するIgG抗体を試験した。2、4及び5群についても、4HA単位を用いて血球凝集抑制(HI)によりNDV特異抗体を試験した。HIによって試験した試料数は、いくつかの試料でHI試験を実施するほど十分な採血がされなかったために、ELISAで試験したものと異なった。鳥は、血清試料がELISAタイター≧200又はHIタイター≧3.0log2(即ち1:8の抗体価)を示す場合、ワクチン接種に対して測定可能な抗体反応(即ち、セロコンバージョンした)を示していると考えられた。
【0169】
結果
接種部位解析の結果は、胚体接種が総接種の78%を占めたことを示す(表10)。
【0170】
パーセント孵化及びELISAで測定したNDVへのセロコンバージョン率を表11に示す。表12では、HI試験を用いてセロコンバージョンした鳥類の数が記録されている。
【0171】
これらの研究から、以下のキーポイントが示された。1)PBS中のNDV抗原は、不活化NDV抗原を群3のように2回与えても(卵内で一度及び11日齢時に再度)、NDV ELISAにより測定可能な抗体反応を刺激しなかった;2)NDV−Alum(群4)はELISAで測定した8/14の鳥でセロコンバージョンを刺激したが、市販油乳剤ワクチン(群5)はELISAで測定した10/13の鳥でセロコンバージョンを刺激した;3)NDV−Alum(群4)はHIで測定した12/14の鳥でセロコンバージョンを刺激したが、市販油乳剤ワクチン(群5)はHIで測定した11/11の鳥でセロコンバージョンを刺激した;そして5)ニューカッスル病に対する市販油乳剤ワクチン(群5)は、NDV−Alumワクチン(群4)よりも強い抗体反応を刺激した。実施例IIIは、油乳剤デポ型アジュバントに存在する抗原の卵内投与が、ELISAによる測定可能な抗体反応を刺激するよう胚体にこのワクチンを送達させる必要があったことを示す。本実施例では、卵内接種部位解析の結果として、78%の卵が胚体に直接ワクチンの投与を受けたことを示した。
【0172】
〔実施例VI〕
SPFレグホンを用いて、ミョウバンデポアジュバントが、卵内投与した場合免疫応答を刺激するかどうかを明らかにする研究を実施した。試験群は次の通りであった:群1:卵内へのリン酸緩衝生理食塩水(PBS);群2及び3:卵内でPBS中1.2×109EID50のβプロピオラクトン不活化NDV/投与;群4:30%:70%のミョウバン/NDV比でミョウバンと混合した1.2×109EID50のβプロピオラクトン不活化NDV/投与の卵内投与。使用したミョウバンは、 水酸化アルミニウム及び水酸化マグネシウムの市販溶液であった(Imject, Pierce)。群3には、11日齢でPBS中NDV抗原の追加用量を皮下注射によって与えた。卵内ワクチン接種は、孵卵の19日に23ゲージ、1.25インチの接種針を用いて行なわれた。ワクチンは、卵内で胚体へ標的とし、また接種部位解析は、胚体へ直接接種された胚のパーセントを測定するために卵様の個別のセットで実施された。血清試料を21日齢に取り、ELISA(Idexx, Inc.)によりNDVに対する抗体を試験した。鳥は、ELISAが抗体価≧200を有した場合、測定可能な抗体反応(即ち、セロコンバージョンした)を示したものと考えられた。
【0173】
結果
接種部位解析の結果、81%の胚が胚体に直接接種されていた(表13)。パーセント孵化並びにニューカッスル病ウイルスに対するセロコンバージョンの率及び大きさを表14に示す。
【0174】
これらの研究は以下のキーポイントを示した:1)胚をE19で接種して、そして接種部位データの結果、81%の胚が胚体で接種されたことを示した;そして本研究では、ミョウバンは30%:70%比でβプロピオラクトン不活化NDVと混合され、またこれは、熱不活化NDVを50%ミョウバン:50%NDV抗原比で混合した実施例Vの本明細書に記載の研究と異なっていた。2つの研究における免疫応答の差は、使用したNDV抗原の差及び/又は試験したミョウバン対抗原の比の差並びに抗体を測定するために使用したELISAの差によると考えられる。
【0175】
実施例IIIでは、デポ型アジュバント油乳剤に存在する抗原が、ELISAによる測定可能な抗体反応を刺激するよう卵内で胚体へこのワクチンを送達させる必要があることが示された。本研究において、接種部位解析の結果、81%の卵が胚体に接種されたことを示し、またこれらのデータから、卵内にワクチン接種された14卵のうちほぼ11が抗体反応に反応したものと予測された。反応した実数は14のうち9であった。
【0176】
〔実施例VII〕
市販の油乳剤ニューカッスル病ワクチンは、卵内経路を介してブロイラーに与えられた。本研究は、羊水経路及び胚内経路により卵内で送達された場合において、不活化ニューカッスル病ウイルス抗原に対するブロイラーの応答能を明らかにした。鳥は13、21,26及び35日齢に放血され、NDVに対する抗体価をELISA(Idexx, Inc.)を用いて測定した。接種部位解析は、色素を用いてE18及びE19に実施した。
【0177】
孵化データを表16に示す。パーセント孵化は、油乳剤ワクチンが胚体に送達された場合正常であった。
【0178】
接種部位(表15)は、処置に適用した経路で接種した胚の90%以上と高く、非常に正確であった(表16)。
【0179】
ニューカッスル病ウイルス特異抗体反応データを、表17に示す。鳥は、ワクチンが胚体へ卵内で又は孵化時に皮下で送達された場合に、ニューカッスル抗原に反応したと見ることができる。NDVワクチンが羊水へ卵内で送達された場合は、抗体反応は起こらなかったことから、このワクチンは胚体に与えられ適切な免疫応答を刺激したことを示す。
【0180】
上記は本発明を説明するためのものであり、これに制限するものではない。本発明は、添付の特許請求の範囲、並びにその中に包含される請求範囲均等物によって明確に規定される。
【0181】
【表1】

【0182】
【表2】

【0183】
【表3】

【0184】
【表4】

【0185】
【表5】

【0186】
【表6】

【0187】
【表7】

【0188】
【表8】

【0189】
【表9】

【0190】
【表10】

【0191】
【表11】

【0192】
【表12】

【0193】
【表13】

【0194】
【表14】

【0195】
【表15】

【0196】
【表16】

【0197】
【表17】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
病原体に対する免疫応答を誘導する組成物の免疫有効用量を孵卵の最終クォーターの間に卵内投与することを含み、ここでその免疫原性組成物を卵内注入によって胚内に直接投与する、病原体に対して鳥類の対象を免疫する方法。
【請求項2】
組成物を胚の骨格筋組織内に直接投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
骨格筋組織が胸筋組織及びピッピング筋組織から成る群から選ばれる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
組成物を、胚の頭部、頚部、肩、翼、背部、胸部、脚又はそれらのいずれかの組合せに直接投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
組成物を皮下、皮内、静脈内、筋肉内、腹腔内又はそのいずれかの組合せで胚に投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
組成物を皮下で胚に投与する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
組成物を腹腔内で胚に投与する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
鳥類の対象がニワトリである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
組成物を孵卵の15日から20日に投与する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
組成物を孵卵の18日又は19日に投与する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
組成物を水中油中水型乳剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
組成物を3/4インチから4インチの長さを有する接種針で投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
接種針が15ゲージから28ゲージの範囲を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
接種針が平滑末端を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
接種針が尖った先端を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
接種針が約10°から約45°の範囲の角度の斜角を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
接種針が卵の鈍端の卵殻を卵の長軸に対して約1°から約20°のオフセット角で通過する、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
組成物の追加接種を孵化後の鳥類の対象体に投与する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
組成物がアジュバントを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
アジュバントがアルミニウム由来アジュバント、サポニン、ミネラルゲル、ポリアニオン、プルロニック・ポリオール、サポニン誘導体、リゾレシチン及び他の類似の界面活性物質、グリコシド、あらゆるタイプのオイル、及びそれらの組合せを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
組成物が、コクシジウム症、マレック病、伝染性ファブリキウス嚢病、ニューカッスル病、鶏痘感染症、クロストリジウム類感染症、鳥インフルエンザ、伝染性気管支炎、雛貧血ウイルス感染症、喉頭気管炎、鳥ニューモウイルス感染症、鳥レオウイルス感染症、鳥アデノウイルス感染症、ロタウイルス感染症、アストロウイルス感染症、封入体肝炎、産卵低下症候群、大腸菌感染症、マイコプラズマ類感染症、サルモネラ類感染症、カンピロバクター類感染症、ヘモフィルス類感染症、リステリア類感染症、パスツレラ類感染症、及びそれらのいずれかの併発を治療及び/又は予防するための免疫応答を誘導する、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
組成物が病原体に対する免疫応答を誘導する非複製剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
病原体に対する免疫応答を誘導する2つ又はそれ以上の組成物の免疫有効用量を胚に卵内投与し、ここで該2つ又はそれ以上の組成物を同時に又は任意の順序で逐次的に投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
病原体に対する免疫応答を誘導する2つ又はそれ以上の組成物の免疫有効用量を卵内投与し、そして少なくとも1つの組成物を胚に投与し、ここで該2つ又はそれ以上の組成物を同時に又は任意の順序で逐次的に投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
少なくとも1つの組成物を、羊膜、羊水、胚体、卵黄嚢又はそれらの任意の組合せに投与する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
孵卵の間の任意の時点で免疫刺激剤を卵内投与することを更に含む請求項1に記載の方法であって、ここで免疫刺激剤及び組成物を同時に又は任意の順序で逐次的に投与する方法。
【請求項27】
孵卵の間の任意の時点で栄養剤、腸内調節剤又はそれらの組合せを卵内投与することを更に含む請求項1に記載の方法であって、栄養剤、腸内調節剤又はそれらの組み合わせ、及び組成物を同時に又は任意の順序で逐次的に投与する方法。
【請求項28】
組成物を自動接種装置で卵内投与する、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
クロストリジウム属の種に対する免疫応答を誘導する免疫原性組成物の免疫有効用量を孵卵の最終クォーターの間に卵内投与することを含み、ここで、その免疫原性組成物を卵内接種によって投与する、クロストリジウム類感染症に対して鳥類の対象を免疫する方法。
【請求項30】
免疫原性組成物を羊膜に投与する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
免疫原性組成物を卵の鈍端を軸方向に通して羊水内に投与する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
免疫原性組成物を直接胚体に投与する、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
免疫原性組成物を胚に非経口的に投与する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
鳥類の対象がニワトリである、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
免疫原性組成物を孵卵の15日から20日に投与する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
免疫原性組成物を孵卵の18日又は19日に投与する、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
鳥類の対象がシチメンチョウである、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
免疫原性組成物がクロストリジウムパーフリンジェンストキソイドを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項39】
免疫原性組成物がクロストリジウムパーフリンジェンスバクテリンを含む、請求項29に記載方法。
【請求項40】
免疫原性組成物がクロストリジウムパーフリンジェンストキソイド及びクロストリジウムパーフリンジェンスバクテリンを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項41】
免疫原性組成物がクロストリジウムパーフリンジェンストキシンを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項42】
クロストリジウムパーフリンジェンストキシンがクロストリジウムパーフリンジェンスαトキシンである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
免疫原性組成物が弱毒化クロストリジウムパーフリンジェンスを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項44】
免疫原性組成物が水中油中水型乳剤を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項45】
免疫原性組成物がアジュバントを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項46】
アジュバントがアルミニウム由来アジュバント、サポニン、オイル、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
孵卵の間の任意の時点で免疫刺激剤を卵内投与することを更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項48】
コクシジウム症ワクチン、マレック病ワクチン、伝染性嚢病ワクチン、ニューカッスル病ワクチン、鶏痘ワクチン、又はこれらの任意の組み合わせを卵内投与することを更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項49】
免疫原性組成物及びワクチンを共に投与する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
免疫原性組成物及びワクチンを同一製剤で投与する、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
栄養剤、腸内調節剤、又はその組み合わせを卵内投与することを更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項52】
薬学的に許容される担体中に弱毒化クロストリジウムパーフリンジェンスの免疫有効用量を含む、免疫原性組成物。
【請求項53】
免疫原性組成物が水中油中水型乳剤を含む、請求項52に記載の免疫原性組成物。
【請求項54】
免疫原性組成物がアジュバントを含む、請求項52に記載の免疫原性組成物。
【請求項55】
免疫原性組成物が、コクシジウム症ワクチン、マレック病ワクチン、伝染性嚢病ワクチン、ニューカッスル病ワクチン、鶏痘ワクチン、又はこれらの任意の組み合わせを更に含む、請求項52に記載の免疫原性組成物。
【請求項56】
組成物が、栄養剤、腸内調節剤、又はこれらの組み合わせを更に含む、請求項52に記載の免疫原性組成物。
【請求項57】
薬学的に許容される担体中に:
(a)クロストリジウムパーフリンジェンストキソイド、クロストリジウムパーフリンジェンスバクテリン、クロストリジウムパーフリンジェンストキシン、又はこれらの任意の組み合わせの免疫有効用量;及び
(b)コクシジウム症ワクチン、マレック病ワクチン、伝染性嚢病ワクチン、ニューカッスル病ワクチン、鶏痘ワクチン、又はこれらの任意の組み合わせの免疫有効用量;
を含む免疫原性組成物。
【請求項58】
薬学的に許容される担体中に:
(a)クロストリジウムパーフリンジェンストキソイド、クロストリジウムパーフリンジェンスバクテリン、クロストリジウムパーフリンジェンストキシン、又はこれらの任意の組み合わせの免疫有効用量;及び
(b)水中油中水型乳剤;
を含む免疫原性組成物。
【請求項59】
薬学的に許容される担体中に:
(a)クロストリジウムパーフリンジェンストキソイド、クロストリジウムパーフリンジェンスバクテリン、クロストリジウムパーフリンジェンストキシン、又はこれらの任意の組み合わせの免疫有効用量;及び
(b)アルミニウム由来アジュバント、サポニン、オイル、又はこれらの任意の組み合わせを含むアジュバント;
含む免疫原性組成物。
【請求項60】
クロストリジウム類バクテリン−トキソイド組成物の免疫有効用量を、孵卵の最終クォーターの間に卵内接種により鳥類の対象に投与することを含む、クロストリジウム類による感染症に対して鳥類の対象を免疫する方法。
【請求項61】
クロストリジウム類バクテリン−トキソイド組成物の追加接種を、孵化後に鳥類の対象に投与する処置を更に含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
鳥類の対象がニワトリである、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
組成物がアジュバントを更に含む、請求項60に記載の方法。
【請求項64】
組成物がビジョンCD(Vision CD(登録商標))ワクチンを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項65】
クロストリジム類の組換型トキシン又はその免疫原性フラグメントの免疫有効用量を、孵卵の最終クォーターの間に卵内接種により鳥類の対象に投与することを含む、クロストリジウム類による感染症に対して鳥類の対象を免疫する方法。
【請求項66】
組換型トキシン又はその免疫原性フラグメントの追加接種を孵化後に鳥類の対象に投与する処置を更に含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
鳥類の対象がニワトリである、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
トキシンをアジュバントと共に投与する、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
アジュバントがQuil A 及びフロイント不完全アジュバントである、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
クロストリジウム属の種に対する免疫応答を誘導する免疫原性組成物の免疫有効用量を孵卵の最終クォーターの間に卵内投与することを含み、該免疫原性組成物を卵内接種によって投与する、壊死性腸炎に対して鳥類の対象を免疫する方法。

【公表番号】特表2009−532353(P2009−532353A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502948(P2009−502948)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/007569
【国際公開番号】WO2007/126816
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(508290932)エンブレックス・インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】