家禽類の疾病の原因である新規バクテリアおよびそれに由来するワクチン
【課題】ニワトリの上気道および生殖管の疾病に対するワクチンを提供する。
【解決手段】グラム-陰性、条件的嫌気性、多形性桿菌である、パスツレラ・トレハロシおよびマンハイミア・ヘモリチカから選ばれ、ベータ溶血-陽性、オキシダーゼ-陽性、カタラーゼ-陽性、ウレアーゼ-陰性、硝酸塩-陽性およびインドール-陰性、マッコンキー陽性、グルコース-陽性、シュークロース-陽性、マンニトール-陽性、アラビノース-陰性、セロビオース-陰性、キシロース-陽性、サリシン-陰性、オルニチン-陰性、エスクリン-陰性、α-フコシダーゼ陰性、β-ガラクトシダーゼ-陽性であるバクテリアを含む、ニワトリの上気道および生殖管の疾病に対するワクチン。
【解決手段】グラム-陰性、条件的嫌気性、多形性桿菌である、パスツレラ・トレハロシおよびマンハイミア・ヘモリチカから選ばれ、ベータ溶血-陽性、オキシダーゼ-陽性、カタラーゼ-陽性、ウレアーゼ-陰性、硝酸塩-陽性およびインドール-陰性、マッコンキー陽性、グルコース-陽性、シュークロース-陽性、マンニトール-陽性、アラビノース-陰性、セロビオース-陰性、キシロース-陽性、サリシン-陰性、オルニチン-陰性、エスクリン-陰性、α-フコシダーゼ陰性、β-ガラクトシダーゼ-陽性であるバクテリアを含む、ニワトリの上気道および生殖管の疾病に対するワクチン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動物の健康の分野、特に新規なバクテリア性トリ疾病の病原因子、パスツレラ・トレハロシ(Pasteurella trehalosi)および/またはマンハイミア・ヘモリチカ(Mannheimia haemolytica)に関する。本発明は前記Pasteurella trehalosiおよび/または
Mannheimia haemolyticaバクテリア、不活性化Pasteurella trehalosiおよび/または
Mannheimia haemolyticaを含むワクチン、およびニワトリにおける前記疾病を予防するためにニワトリを免疫する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
過去10年間、生産性を上げるための家禽の集約的な飼育方法は主要な家禽生産国のすべてにおいて疾病の出現増加を生じさせてきた。このことにより、新規かつより優れたワクチンおよびこれらの疾病を抑制するための予防接種計画に対する需要が増加している。現在、大部分の動物はウイルスおよびバクテリアが原因の種々の疾病に対して免疫されている。
家禽のウイルス性疾病の例として、ニューカッスル病、伝染性気管支炎、トリ肺炎ウイルス病、鶏痘、伝染性ファブリキウス嚢病等がある。
バクテリア性疾病の例には、ヘモフィルス・パラガリナルム(Haemophilus paragallinarum)(上気道)、ボルデテラ・アビウム(Bordetella avium)(上気道)、オルニトバクテリウム・リノトラケレ(Ornithobacterium rhinotracheale)(下気道)によって生じるトリ コリーザ、サルモネラ感染(消化管)、家禽コレラ(敗血性)の病原因子であるパスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)および大腸菌感染がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の背景にある技術的課題は新規なバクテリア性トリ疾病を明らかにし、その疾病の病原因子を提供し、その疾病を予防するためのワクチンを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、第1の実施態様において、家禽の上気道および生殖管の新規な疾病を生じさせるグラム陰性、条件的嫌気性、多形性桿菌に関する。それらのバクテリアは、Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaからなる群より選ばれる。
【0005】
前述の本発明のバクテリアは感染した気管、口蓋裂(palatine cleft)、卵巣、肝臓、心臓、腎臓および生殖腺(ブロイラー)から単離することができる。それらは以下に列挙した試験に基づき、本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaとして同定することができる。
ベータ 溶血 +
グラム染色 −
オキシダーゼ +
カタラーゼ +
ウレアーゼ −
硝酸塩 +
インドール −
【0006】
本発明は更に、ワクチンに使用するための、生きた、および/または弱毒化した生きた、および/または不活性化した本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica、および/または前記Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの画分に関する。
本発明は更に新たに同定された、上述のバクテリアから得られるワクチンを提供する。従って、本発明は更に、生きた、および/または弱毒化した生きた、および/または不活性化した本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica、および/または前記Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの画分を含むワクチン組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】野外発生、ブロイラー:鼻漏および目の周りの腫脹領域。
【図2】野外発生、ブロイラー:心臓および冠状脂肪(coronary fat) における出血。
【図3】野外発生、ブロイラー:結膜炎および目の周囲の炎症。
【図4】野外発生、採卵鶏(Layer):鼻漏およびチアノーゼを起こしたトサカ。
【図5】野外発生、採卵鶏:目の周囲の炎症および出血。
【図6】野外発生、採卵鶏:聴覚開口部入り口裏の皮膚組織における出血。
【図7】野外発生、採卵鶏:腎臓における炎症。
【図8】野外発生、採卵鶏:輸卵管における出血。
【図9】野外発生、採卵鶏:変形した卵巣濾胞。
【図10】野外発生、採卵鶏:前胃と砂嚢の接合部における出血。
【図11】野外発生、採卵鶏:輸卵管における鬱血および出血。
【図12】実験的感染、採卵鶏:腎臓における炎症および出血。
【図13】実験的感染、SPF:衰弱。
【図14】実験的感染、採卵鶏:関節および筋肉における出血。
【図15】実験的感染、採卵鶏:鼻漏および蒼白なトサカ。
【図16】実験的感染、採卵鶏:筋肉における出血。
【図17】実験的感染、SPF:心臓および冠状脂肪(coronary fat)における出血。
【図18】実験的感染、採卵鶏:健康な鳥(左側)および羽毛を逆立てた病気の鳥(右側)。
【図19】実験的感染、採卵鶏:緑便下痢。
【図20】実験的感染、SPF:筋肉における出血。
【図21】実験的感染、SPF:衰弱(運動障害)および緑便性下痢。
【図22】実験的感染、採卵鶏:出血を伴う肥大した肝臓。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書に使用する用語の定義:
本発明の実施態様を記載する前に、本明細書および請求の範囲で使用する単数形は文脈上特に断らない限り複数形も含まれることを述べておかなければならない。従って、例えばPateurella Trehalosi(単数)への言及は複数のPasteurella Trehalosiバクテリアを含み、「細胞」への言及は1以上の細胞および当業者に知られたその等価物への言及を含む。単語が大文字であるかそうでないかは無関係である。従って、Arabinose(アラビノース)およびarabinose(アラビノース)は特に断らない限り同じ意味である。特に定義しない限り、本明細書に用いる全ての技術用語および科学的用語は本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載の方法および材料に類似又は等価な方法および材料は本発明の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法、装置および材料をここに記載した。本明細書で言及した全ての刊行物は、その刊行物中に記載され、本発明との関連で使用されるかも知れない細胞株、ベクターおよび方法論を記載し開示するために引用により本明細書に取り込まれるものとする。このことを本発明が従前の発明によるそのような開示に先行する資格がないことを認めるものであると解してはならない。
【0009】
驚くべきことに、本発明の発明者らは、レイアー(採卵鶏)に主として起こり、より頻度は低いがブロイラーにおこる新規なバクテリア性家禽疾病を見出した。この疾病はバクテリア、Haemophilus paragallinarum(トリ コリーザの原因病原体)およびPasteurella multocida(家禽コレラの病原体)に対して予防接種されていたニワトリで見られた。この新規な疾病の症状はコリーザの特異的な症状とは異なっている。新たに発見された疾病が以下に記載したように上気道感染の臨床的症状を明瞭に示すという事実から、病原因子としてH.paragallinarumを排除することができる。
本発明は、第1の実施態様において、家禽の上気道および生殖管の新規な疾病を生じさせるグラム陰性、条件的嫌気性、多形性桿菌に関する。それらのバクテリアは、Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaからなる群より選ばれる。
【0010】
前述の本発明のバクテリアは感染した気管、口蓋裂(palatine cleft)、卵巣、肝臓、心臓、腎臓および生殖腺(ブロイラー)から単離することができる。それらは以下に列挙した試験に基づき、本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaとして同定することができる。
ベータ 溶血 +
グラム染色 −
オキシダーゼ +
カタラーゼ +
ウレアーゼ −
硝酸塩 +
インドール −
【0011】
バクテリア単離株はJaworskiら(1)に記載された方法に従って精製および生物型決定することができる。この方法は実施例にも例示されている。バクテリアを分類するための重要な方法はDNA-DNAハイブリダイゼーション、REA(制限酵素解析、例えば、J. Clinical Microbiol, 1993, 31:831-835を参照せよ)およびリボタイピング(ribotyping)である。当業者はこの方法を適用してバクテリアが本発明の範囲内にあるかどうかを調べることができる。コッホの仮説を確認するための攻撃感染モデルも実施例中に例示する。
このように、本発明の重要な実施態様は、パスツレラ・トレハロシ(Pasteurella trehalosi)および/またはマンハイミア・ヘモリチカ(Mannheimia haemolytica)であって、前記Pasteurellaおよび/またはMannheimiaはベータ(β)-溶血-陽性、グラム-陰性、オキシダーゼ-陽性、カタラーゼ-陽性、ウレアーゼ-陰性、硝酸塩-陽性およびインドール-陰性である。本発明の前記Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaは好ましくはマッコンキー(MacConkey)-陽性でもある。さらに好ましくは、本発明の前記Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaは更にグルコース-陽性、シュークロース-陽性、マンニトール-陽性、アラビノース-陰性、セロビオース-陰性、キシロース-陽性、サリシン-陰性、オルニチン-陰性、エスクリン-陰性、α-フコシダーゼ-陰性、β-ガラクトシダーゼ-陽性である。最も好ましいのは、本発明のPasteurella trehalosiであり、前記Pasteurellaはアラビノース-陰性およびトレハロース-陽性でもある。本発明のPasteurella trehalosiはまた好ましくは生物型に依存してベータ(β)-グルコシダーゼ-陰性または陽性でもある。また本発明のMannheimia haemolyticaも最も好ましく、前記Mannheimia haemolyticaは更にアラビノース-陰性およびトレハロース-陰性である。好ましくは、前記本発明のMannheimia haemolyticaはβ-グルコシダーゼ陰性でもある。
【0012】
本発明のバクテリアのこれらの特徴的な性質により、本発明のバクテリアは既知のバクテリア性家禽病原体(Disease of Poultry, 第10版、B.W. Calnek, Iowa State University Press, Iowa, U.S.A. 1997)に対して新規なものとなる。
本発明の別の好ましい実施態様は、前記家禽がニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ダブ(dove)、ハト(pigeon)およびウズラからなる群より選ばれる、本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaである。
本発明は、新規なグラム-陰性、条件的嫌気性、多形性桿状の新規な型のバクテリアを提供し、前記新規な型のバクテリアはアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)、1081、University Boulevard, Manassas, VA 20110-2209, USA に下記の受託番号の下に寄託されているバクテリアによって特徴付けられる:
−Pasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3667(内部表示 BIV-4985);
−Pasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3668(内部表示 BIV-AVICOR);
−Mannheimia haemolytica ATCC No. PTA-3669 (内部表示 BIV-07990);
寄託日は2001年8月22日である。
【0013】
従って、本発明の最も好ましい実施態様は、受託番号ATCC No. PTA-3667の下に寄託されたPasteurella trehalosi(パスツレラ・トレハロシ)である。これらのバクテリアは更に実施例1の表3に例示されている。
本発明の別の最も好ましい実施態様は、受託番号ATCC No. PTA-3668の下に寄託されたPasteurella trehalosiである。これらのバクテリアは更に実施例1の表2に例示されている。
本発明の別の最も好ましい実施態様は、受託番号ATCC No. PTA-3669の下に寄託されたMannheimia haemolytica(マンハイミア・ヘモリチカ)である。これらのバクテリアは更に実施例1の表1に例示されている。
実施例中のAおよびBのテスト結果(表1,2および3)により、バクテリアBIV-4895;ATCC No. PTA-3667およびBIV-AVICOR;ATCC No. PTA-3668 はパスツレラ科(Pasteurellaceae)に属するが(トレハロース陽性およびアラビノース陰性であるPasteurella trehalosi)、バクテリアBIV-07990;ATCC No. PTA-3669はマンハイミア科(Mannheimia)に属する(トレハロース陰性およびアラビノース陰性であるMannheimia haemolytica)ことが確認された。
【0014】
本発明はまた、上述した本発明のバクテリアを含む微生物学的培養物に関する。本培養物は35℃〜37℃の温度にて前述のバクテリアを生育させることによって作製することができる。本バクテリアは通常の大気酸素圧下で生育させることができる。本バクテリアは当業者に既知の種々の汎用バクテリア増殖促進培地、例えば、トリプトース培地(TB)、ダイズトリプチカゼイン培地(Soy Trypticasein Broth)またはブレインハートインフュージョン培地またはどんな富裕な培地にても増殖させることができる。本バクテリアはヒツジ血寒天上で37℃にて24時間生育させることもできる。
この技術分野において、バクテリアを不活性化させる種々の物理的および化学的方法が知られている。物理的不活性化の例はUV-照射、X-線照射、γ照射および加熱である。不活性化化学物質の例はβ-プロピオラクトン、グルタルアルデヒド、β-エチレンイミンおよびホルムアルデヒドである。
好ましくは、本発明のバクテリアはホルムアルデヒドで不活性化される。驚くべきことに、最終濃度0.2%でホルムアルデヒドを使用することは本発明のバクテリアを不活性化する優れた方法である。
従って、別の重要な側面において、本発明は、最終濃度0.2%にてホルムアルデヒドを使用することを含む、本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの不活性化する方法に関する。
【0015】
上述した方法および当業者に知られた他のバクテリア不活性化方法によって不活性化した本発明のバクテリアは本発明に包含される。従って、他の重要な側面は、本発明の方法によって、またはこの技術分野で既知の方法によって得られる不活性化Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaである。好ましくは、本発明の不活性化Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaはPasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3667、Pasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3668および/またはMannheimia haemolytica ATCC No. PTA-3669からなる群より選ばれる。
従って、別の重要な側面はこの技術分野で既知の方法によって得ることのできる、生弱毒化Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaである。好ましくは、本発明の生弱毒化Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaはPasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3667、Pasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3668および/またはMannheimia haemolytica ATCC No. PTA-3669からなる群より選ばれる。本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaは適切な培地中で多数回継代することにより、またはこの分野で知られた他の方法によって弱毒化される。
本明細書において、不活性化とは、本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaが死滅しており、臨床的疾病を生じさせる複製能を有しない事を意味すると理解される。
本明細書において、弱毒化とは、本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaが複製能を有する生きたバクテリアであるが臨床的疾病を生じさせないバクテリアであることを意味すると理解される。
【0016】
さらに別の重要な側面は、この分野で知られた方法によって得ることのできる、Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの画分または断片である。前記断片は本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの変性剤可溶化またはこの分野で知られた他のどのような方法によっても調製することができる。好ましくは、この画分または断片は本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの精製抗原である。好ましくは、前記画分/断片は本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの外膜タンパク質である。
本発明の「断片」は前記本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaのあらゆる免疫原性サブユニット、すなわち、あらゆるポリペプチドサブセットである。
従って、本発明は、本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの少なくとも一つの抗原を含む断片に関する。より好ましくは、前記断片はPasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3667、Pasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3668および/またはMannheimia haemolytica ATCC No. PTA-3669からなる群より選ばれるバクテリアの少なくとも一つの抗原を含む。前記断片は前記菌株のバクテリア細胞全体を含んでもよく、バクテリア抽出物、外膜画分、バクテリアエキソトキシンおよび/またはエンドトキシン、および精製タンパク質を含んでもよい。抗原性ポリペプチドまたはそれらの断片は例えば精製バクテリアタンパク質から、または対応する遺伝物質をある種の原核発現系または真核発現系で発現させることによって、または有機化学合成によって得ることができる。それらの方法は当業者には知られたものである。
【0017】
本発明は更に、ワクチンに使用するための、生きた、および/または弱毒化した生きた、および/または不活性化した本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica、および/または前記Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの画分に関する。
本発明は更に新たに同定された、上述のバクテリアから得られるワクチンを提供する。従って、本発明は更に、生きた、および/または弱毒化した生きた、および/または不活性化した本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica、および/または前記Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの画分を含むワクチン組成物に関する。
本明細書において、用語「ワクチン」は、抗原性物質を含み、前記Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaによって引き起こされる疾病に対する特異的な能動若しくは受動免疫を誘導する目的で投与される、脊椎動物用のワクチンとして理解される。本発明の生きた、または生弱毒化Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaは、それに含まれる免疫原および時々は抗原的に関連した生物に対する移行抗体を介して受動的に移行し得る能動免疫を与える。本発明の不活性化Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica、および/または前記Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの画分は受動免疫を付与する。免疫応答を増強するための追加的構成成分は、一般にアジュバントと称される、例えば水酸化アルミニウム、ミネラル油またはその他の油、またはワクチンに添加される補助分子、またはそのような補助的成分による誘導後に身体によって生成されるインターフェロン、インターロイキンまたは増殖因子(これらに限定されない)のような成分である。
【0018】
好ましい実施態様において、前記ワクチンは不活性化バクテリアを含む。好ましくは、本発明のワクチンは上述した、免疫学的に活性な成分の一つが生きたPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaであるワクチンをいう。用語「生ワクチン」は分裂/増殖可能な粒子を含むワクチンを言う。
また、好ましくは、本発明のワクチンは弱毒化した本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaおよび製薬的に許容できる担体または賦形剤を含む。前記ワクチンは2以上の前記生きた、および/または生きた弱毒化、および/または不活性化Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica株、および/または2以上の前記Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica株の画分を含む、混合ワクチンとして投与することもできる。最も好ましくは、ワクチン中の前記生きた、および/または生弱毒化、および/または不活性化Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica株、および/または前記Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica株の画分は、Pasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3667、Pasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3668および/またはMannheimia haemolytica ATCC No. PTA-3669からなる群より選ばれる。
【0019】
また好ましくは、本発明のワクチンは本発明の不活性化Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica、並びに製薬的に許容できる担体または賦形剤を含む。前記ワクチンは2以上の前記不活性化Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica株を含む混合ワクチンとして投与することもできる。
さらに、全細胞の画分も本発明のワクチン中で関連免疫原として使用することができる。従って、本発明のワクチンは好ましくは本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの画分、並びに製薬的に許容できる担体または賦形剤を含む。前記ワクチンは2以上の前記不活性化Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica株を含む混合ワクチンとして投与することもできる。特に、本発明は、本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの少なくとも一つの抗原を含む断片を含むワクチンに関する。最も好ましくは、本発明は、Pasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3667、Pasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3668および/またはMannheimia haemolytica ATCC No. PTA-3669からなる群より選ばれるバクテリアの少なくとも一つの抗原を含む断片を含むワクチンに関する。前記断片はバクテリア細胞全体、バクテリア抽出物、外膜画分、バクテリアエキソおよび/またはエンドトキシン、および精製タンパク質を含んでいて良い。抗原性ポリペプチドまたはそれらの断片は、例えば、精製バクテリアタンパク質から、または対応する遺伝物質の原核発現系または真核発現系における発現により、または有機化学合成によって得ることができる。それらの方法は当業者には知られたものである。
【0020】
好ましくは、本発明のワクチンはまたアジュバントを含む。従って、本発明は更に、1以上の適切なアジュバントおよび/または賦形剤および/または担体を更に含む本発明のワクチン組成物に関する。
本明細書において、アジュバントには注射された動物の免疫応答を増強する物質が含まれる。この分野において多数の異なるアジュバントが知られている。本明細書においてアジュバントにはフロイントの完全アジュバントおよび不完全アジュバント、ビタミンE、非イオン性ブロックポリマー、ムラミルジペプチド、クィルA(Quil A)、ミネラル油および非-ミネラル油、植物油およびカルボポール(Carbopol)(ホモポリマー)が含まれる。好ましい実施態様において、本発明のワクチンは油中水エマルジョンアジュバントを含む。前記ワクチンはまた、不活性化した(死菌)本発明のバクテリアおよび油中水エマルジョンアジュバントを含むバクテリンとも称される。バクテリアをアジュバント化する当業者に知られた他の方法も本発明に包含される。
【0021】
また好ましくは、本発明のワクチンは1以上の適切な乳濁化剤、例えばSpanまたはTweenを含んでも良い。
また好ましくは、本ワクチン中の前記生きた、および/または生弱毒化、および/または不活性化Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica、および/または前記Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの画分は、Pasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3667、Pasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3668および/またはMannheimia haemolytica ATCC No. PTA-3669からなる群より選ばれる。
好ましくは、本発明のワクチンはPasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3667、Pasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3668および/またはMannheimia haemolytica ATCC No. PTA-3669からなる群より選ばれるバクテリアの少なくとも一つの抗原を含む。前記ワクチンは前記株のバクテリア細胞全体、バクテリア抽出物、外膜画分、バクテリアエキソおよび/またはエンドトキシン、および精製タンパク質を含んでいて良い。抗原性ポリペプチドまたはそれらの断片は、例えば、精製バクテリアタンパク質から、または対応する遺伝物質の原核発現系または真核発現系における発現により、または有機化学合成によって得ることができる。それらの方法は当業者には知られたものである。
【0022】
最も好ましくは、本発明はさらに、家禽に対して病原性のあるウイルスまたは微生物由来の1以上の抗原を更に含む本発明のワクチン組成物に関する。好ましくは、前記抗原は生きた、弱毒化された、または不活性化されたウイルスまたは微生物、またはそれらの断片の形態である。前記断片は、バクテリア細胞またはウイルス粒子全体、バクテリア抽出物、ウイルス抗原、ウイルスサブユニット、外膜画分、バクテリアエキソおよび/またはエンドトキシン、および精製タンパク質を含んでいて良い。抗原性ポリペプチドまたはそれらの断片は、例えば、精製バクテリアタンパク質から、または対応する遺伝物質のある原核発現系または真核発現系における発現により、または有機化学合成によって得ることができる。それらの方法は当業者には知られたものである。
最も好ましくは、本発明はさらに、家禽に対して病原性のあるウイルスまたは微生物の1以上の抗原を更に含む本発明のワクチンであって、前記ウイルスまたは微生物が伝染性気管支炎ウイルス、ニューカッスル病ウイルス、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(疾病:Gumboro)、ニワトリ貧血病原体、トリレオウイルス、マイコプラズマ・ガリセプチカム、トリ肺炎ウイルス、ヘモフィルス・パラガリナルム(疾病:コリーザ)、ニワトリポックスウイルス、トリ脳脊髄炎ウイルス、パスツレラ・ムルトシダおよび大腸菌から選ばれる(これらに限定されない)前記ワクチンに関する。
【0023】
「医薬組成物」は、それが投与される生物、またはその生物内またはその生物上で生存する生物の生理学的機能、例えば免疫学的機能を改変することのできる1以上の成分から本質的になる。この用語は、抗生物質または抗寄生虫物質(これらに限定されない)、および、例えば経口、経鼻的、静脈内、筋肉内、皮下、経皮的または他の適切な経路で投与するための処理特性、滅菌性、安定性、投与後の耐性、徐放特性(これらに限定されない)のような他のある種の目的を達成するために一般に使用される他の成分を含む。従って、本発明の別の重要な側面において、本発明は生きた、および/または生弱毒化、および/または不活性化した本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica、および/または前記Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの画分を含む医薬組成物に関する。
【0024】
本発明は、家禽に属する、Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica感染動物(例えば、上述した生バクテリア)の治療方法に関する。前記治療方法において、前記生弱毒化、不活性化Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica、および/または上述した本発明のそれらの画分および/または断片は必要としている家禽に当業者に知られた適切な用量で投与され、前記Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica感染によって生じた症状が監視される。前記治療は好ましくは繰り返される。
更に別の重要な実施態様は、本発明のワクチンの免疫学的に効果的な量を投与し、Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica感染によって生じる症状の低減を監視することを含む、前記Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica(例えば上述した生きたバクテリア)によって生じる気道および生殖管の疾病に対して家禽を免疫する方法である。
別の重要な実施態様は、Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica感染の予防用のワクチン製造における、不活性化した本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica、および/または、生きた本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica、および/または弱毒化した生きた本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica、および/または前記本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの断片または画分の使用である。
【0025】
本発明はまた、家禽からサンプルを得る工程であって、前記サンプルが血液、血清、血漿、組織掻爬物、洗浄物、スワブ、組織から選ばれる前記工程、および、前記サンプルを本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの存在について分析する工程を含む、疾病の診断方法に関する。
好ましい実施態様において、Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの存在は免疫テストによって決定される。免疫テストはPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaに特異的なモノクローナル抗体またはポリクローナル抗血清を使用する。モノクローナル抗体の作製はこの分野で知られたものである(3,4)。
【0026】
免疫テストはELISAテスト(酵素結合免疫吸着アッセイ)またはいわゆるサンドイッチELISAテスト、ドットブロット、免疫ブロット、ラジオイムノテスト(ラジオイムノアッセイRIA)、拡散オクタロニーテストまたはロケット免疫蛍光アッセイ、または凝集テスト(迅速プレートまたはマイクロプレート凝集テスト)のようなこの分野で知られた検出方法を含む。その他の免疫テストはいわゆるウェスタンブロット(ウエスタントランスファー法またはウエゥタンブロッティングとしても知られる)である。ウェスタンブロットの目的はポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離されたタンパク質またはポリペプチドをニトロセルロースフィルターまたは他の適切な支持体上に転写し、同時にゲル電気泳動から得られるタンパク質またはポリペプチドの相対的位置を維持することである。次に考慮しているタンパク質またはポリペプチドに対して特異的に結合する抗体とウェスタンブロットをインキュベーションする。当業者はこれらの検出方法を容易に利用して本明細書に記載の発明を実施することができる。当業者が上述の方法および他の方法を見いだすことのできる参考文献を以下に列挙する:An introduction to Radioimmunoassay and Related Techniques, Elsevier Science Publishers, Amsterdam, The Netherlands (1986);Bullockら、Techniques in Immunocytochemistry, Academic Press, Orlando, FL 第1巻 (1982)、第2巻(1983)、第3巻(1985);Tijssen, Practice and Theory of Enzyme Immunoassays: Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, Elsevier Science Publishers, Amsterdam, The Netherlands (1985)。
【0027】
別のより具体的な実施例において、上述のサンプルはPasteurella trehalosi および/またはMannheimia haemolyticaに特異的な抗体とインキュベーションされ、それにより形成される抗原/抗体複合体が測定される。
本発明の方法の特に好ましい実施態様において、上述したサンプル中のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの存在は分子生物学的方法によって決定される。本明細書において分子生物学的方法とは、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)またはノーザンブロット若しくはサザンブロットを含む検出方法を意味し、これらは標準的な教科書に見ることができる(例えば、Sambrookら(1989) Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New YorkおよびBertran, S.とGassen, H.G. Gentechnische Methoden, G. Fischer Verlag, Stuttgart, New York, 1991)。
【0028】
本発明はまた、Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaを検出するための全ての必要な構成要素を含むことを特徴とする診断テストキットを含む。
診断テストキットは本発明の診断方法を実行するための全ての構成要素を集めたものである。本発明の方法を実施するための他の要素のいくつかの例(網羅的なリストではないが)には、容器、例えば96穴プレートまたはマイクロプレート、試験管、他の適切な容器、表面および基材、ニトロセルロースフィルターのような膜、洗浄試薬およびバッファーが含まれる。診断テストキットは結合した抗体を検出できる試薬、例えば標識二次抗体、発色団、酵素(例えば抗体に結合した酵素)、および、それらの基質または抗体に結合し得る他の基質を含んでもよい。
【0029】
本発明はさらに、Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica特異的DNAまたはRNAを検出するためのPCRまたはRT-PCRを行うために必要な全ての構成要素を含むことを特徴とする診断テストキットに関する。本キットは試験管または96穴プレート若しくはマイクロタイタープレートに加えて、他の適切な容器、表面および基材、ニトロセルロースフィルターのような膜、洗浄試薬および反応バッファー(pHおよびマグネシウム濃度が異なる種々のバッファー)、滅菌水、ミネラル油、BSA(ウシ血清アルブミン)、MgCl2、(NH4)2SO4、DMSO(ジメチルスルホキシド)、メルカプトエタノール、ヌクレオチド(dNTP)、Taqポリメラーゼおよび逆転写酵素のような酵素、およびDNAマトリックスとして、Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaに特異的なDNA若しくはcDNA、Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica DNA若しくはRNAに特異的なオリゴヌクレオチド、対照鋳型、DEPC-水、DNAse、RNAseを含んでもよいが、これらに限定されず、当業者に知られた更なる化合物を含んでもよい。本発明のオリゴヌクレオチドは約15〜約100ヌクレオチド長の短い核酸分子であり、ストリンジェントな条件下でPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaタンパク質に相補的な核酸配列に結合する核酸分子である。当業者によればストリンジェントな条件とは、85%以上のホモロジー、より好ましくは90%以上のホモロジーを選抜するための条件を意味する(参考:Sambrookら、(1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual第2版、Cold Sppring Harbor Labolatory Press, Cold Spring Harbor, New YorkおよびBertram, S.とGassen, H.G. Gentechnische Methoden, G. Fischer Verlag, Stuttgart, New York, 1991)。
【0030】
以下の実施例は本発明を更に説明するためのものである;しかしながら、ここに開示した本発明の範囲を限定するものとこれを解してはならない。
【実施例1】
【0031】
実施例I
Pasteurella trehalosiおよびMannheimia haemolyticaと関連した野外疾病発生
臨床的徴候
野外観察より
【0032】
【0033】
グラム−陰性、条件的嫌気性、多形性桿菌の新規な3つの株をアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)、1081、University Boulevard, Manassas, VA 20110-2209, USAに寄託した。受託番号は以下の通りである:BIV-4985 Pasteurella trehalosiについてはATCC No. PTA-3667;BIV-AVICOR Pasteurella trehalosiについてはATCC No. PTA-3668およびBIV-07990 Mannheimia HaemolyticaについてはATCC No. PTA-3669。寄託日は2001年8月22日である。
寄託バクテリアは標準的な決定方法に従い、Bergey's Manual of Systematic Bacterilogy(系統的微生物学に関するバージェィのマニュアル)第1巻(1984、WilliamsとWilkins、428、East Preston Street. Baltimore, USA)を用いてタイピングした。
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
AおよびBのテストの結果(表1、2および3)により、バクテリアBIV-4895;ATCC No. PTA-3667およびBIV-AVICOR;ATCC No. PTA-3668はPasteurella科に属する(Pasteurella trehalosi,トレハロース陽性およびアラビノース陰性)が、バクテリアBIV-07990;ATCC No. PTA-3669はMannheimia科に属する(Mannhemia haemolytica,トレハロース陰性およびアラビノース陰性)ことが確認された。
【0038】
病原因子の同定
感染気管、口蓋裂(palatine cleft)、卵巣、肝臓、心臓、腎臓および生殖腺(ブロイラー)からバクテリアを単離した。それらは以下の表に掲げたテストに従ってPasteurella trehalosiおよびMannheimia haemomlyticaとして同定された。
【0039】
ウイルスまたは他のバクテリアの単離はなされなかった。
【0040】
生物型決定:
バクテリア単離株を精製し,Jaworskiら(1)に記載された方法に従って生物型決定を行った。3つの生物型(4、2、1)が明らかになった。
簡単に言うと、精製した単離株から単一コロニーを3mlのトリプトース培地を含む試験管に接種し、37℃にて8時間インキュベーションした。その試験管からの1ループ接種物(20μl)を3mlのテストすべき1%糖類を含む別の試験管に移し、37℃にて7日間インキュベーションし結果を記録した。
【0041】
攻撃感染モデル:
バクテリアの精製後、単離株をトリプトース培地中で増殖させ、大量の純粋な病原体を得た。コッホ仮説を確認するため、13週齢の特定病原体除去(SPF)ニワトリの異なる3つのグループ(各グループ20羽のトリ)を各生物型で(0.2ml/トリ;3x108CFU/ml)で静脈内経路により感染させた。トリは3日間毎日罹病率および死亡率について観察した。3日目の終わりに、全てのトリを犠牲にし、死後病巣を記録し、器官サンプル(肝臓および生殖腺)を集めて再単離した。死亡したトリの死後病巣も記録した。
【0042】
結果
臨床的症状:衰弱、跛行、トサカ位置異常、逆立った羽毛、トサカの先端のチアノーゼ。
病巣:
【0043】
【実施例2】
【0044】
実施例II
本発明のバクテリアの生育、ワクチンの調製およびSPFトリの予防接種
菌株をトリプトース培地(TB)上で生育させた。菌株に依存して接種後およそ6〜8時間後、対数増殖期に収穫を行った。力価測定のためヒツジ血寒天においてプレート計数を行った。ミリリットルあたりのコロニー形成単位(CFU/ml)を回収物の1:10希釈を用いて決定した。ホルムアルデヒドを最終濃度0.2%で加えて細胞を死滅させた。この懸濁物の滅菌性を調べた後、最小力価108 CFU/mlを最終的なワクチンに添加した。
2つの菌株(BIV-4895、ATCC No. PTA-3667およびBIV-AVICOR、ATCC No. PTA-3668)とオイル-アジュバント(ミネラル油を基本にした、60%油/40%水の比率の油中水エマルジョン)を最小濃度107.0 CFU/株/mlで混合することによりワクチンを調製した。
2、5および9週齢の特定病原体除去(SPF)ニワトリに0.5mlのワクチンを首の途中に皮下注射することにより予防接種した。
【実施例3】
【0045】
実施例III
攻撃感染菌株の調製並びに予防接種群および対照群の攻撃感染
バクテリア株BIV-4895、ATCC No. PTA-3667およびBIV-AVICOR、ATCC No. PTA-3668をヒツジ血寒天上で37℃にて24時間生育させた。540nmの波長の分光器を用いて光学密度2.0の懸濁液が得られるまで細胞をトリプトース培地(TB)中で収穫した。攻撃感染のため、以下の数の細胞を最終的な攻撃感染体積中に含む調製物を作製した:
3x109 CFU/ml BIV-AVICOR;ATCC No. PTA-3668
1.45x1010 CFU/ml BIV-4895;ATCC No. PTA-3667
13週齢にて、20羽の予防接種したトリと20羽の非予防接種トリを0.2mlの接種物(少なくとも108.0 CFU/トリ)により静脈内経路で攻撃感染させた。トリを3日間罹病率および死亡率について監視した。3日間の観察後、全ての残ったトリを犠牲にし、各トリの肝臓および生殖腺からバクテリアを再単離した。死亡したトリの死亡後病巣も記録した。
【0046】
【実施例4】
【0047】
実施例IV
本発明のバクテリアの生育、ワクチンの調製およびSPFトリの予防接種
菌株をトリプトース培地(TB)上で生育させた。菌株に依存して接種後およそ6〜8時間後、対数増殖期に収穫した。力価測定のためヒツジ血寒天においてプレート計数を行った。ミリリットルあたりのコロニー形成単位(CFU/ml)を回収物の1:10希釈を用いて決定した。ホルムアルデヒドを最終濃度0.2%で加えて細胞を死滅させた。この懸濁物の滅菌性を調べた後、最小力価108 CFU/mlを最終的なワクチンに添加した。
3つの菌株(BIV-4895、ATCC No. PTA-3667、BIV-AVICOR、ATCC No. PTA-3668およびBIV-07990、ATCC No.PTA-3669)とオイル-アジュバント(ミネラル油を基本にした、60%油/40%水の比率の油中水エマルジョン)を最小濃度107.0 CFU/株/mlで混合することによりワクチンを調製した。
2、5および9週齢の特定病原体除去(SPF)ニワトリに0.5mlのワクチンを首の途中に皮下注射することにより予防接種をした。
【実施例5】
【0048】
実施例V
攻撃感染菌株の調製並びに予防接種群および対照群に対する攻撃感染
バクテリア株BIV-4895、ATCC No. PTA-3667;BIV-AVICOR、ATCC No. PTA-3668および、BIV-07990、ATCC No. PTA-3669をヒツジ血寒天上で37℃にて24時間生育させた。540nmの分光光度計を用いて光学密度2.0に達するまでトリプトース培地(TB)中で細胞を収穫した。攻撃感染のため、最終攻撃感染体積中に以下の数の細胞を含む調製物を調製した:
8.3x109 CFU/ml BIV-AVICOR;ATCC No. PTA-3668
2.2x109 CFU/ml BIV-4895;ATCC No. PTA-3667
1.0x1010 CFU/ml BIV-07990;ATCC No. PTA-3669
13週齢にて、20羽の予防接種したトリおよび20羽の非予防接種トリを0.2mlの摂取物(少なくとも108.0 CFU/トリ)で静脈内経路により攻撃感染した。3日間トリを罹病率および死亡率について観察した。3日間の観察後、全ての残ったトリを犠牲にし、各トリの肝臓および生殖腺からのバクテリアの単離を行った。死んだトリの死後病巣も記録した。
【0049】
【0050】
血清学的テスト
各生物型を代表する単離株を用いて、Bibersteinら(2)の方法に従って過免疫血清をウサギで作製した。
単離株を血液寒天上で一晩生育させ、0.3%ホルマリンを含む生理食塩水中に収穫した。細胞を1回洗浄し、注射のため575nmにて10%透過率に調整した。注射は4日間の間隔をおいて0.5ml、1.0、2.0、3.0、3.0、3.0という日程に従ってIV経路で行い、全てのウサギから最後の注射の4日後に採血した。
3つの生物型の株を用いて過免疫血清を特異性についてテストし、迅速プレート凝集により同種および異種ウサギ抗血清(2倍希釈)とこれらの株と反応させた。
各生物型の抗血清を終点に達するまで希釈し、陽性である最も高希釈を決定した。
【0051】
【0052】
【0053】
この生物型特異的過免疫血清をマイクロプレート血清凝集テストにおける陽性対照として用いた。
【実施例6】
【0054】
実施例VI
攻撃感染菌株の調製並びに予防接種群および対照群の攻撃感染
バクテリア株BIV-4895、ATCC No. PTA-3667;BIV-AVICOR、ATCC No. PTA-3668および、BIV-07990、ATCC No. PTA-3669をヒツジ血寒天上で37℃にて24時間生育させた。540nmの分光光度計を用いて光学密度2.0に達するまでトリプトース培地(TB)中で細胞を収穫した。攻撃感染のため、最終攻撃感染体積中に以下の数の細胞を含む調製物を調製した:
1.5x1010 CFU/ml BIV-AVICOR;ATCC No. PTA-3668
1.7x1010 CFU/ml BIV-4895;ATCC No. PTA-3667
1.6x1010 CFU/ml BIV-07990;ATCC No. PTA-3669
13週齢にて、20羽の予防接種したトリおよび20羽の非予防接種トリを0.2mlの摂取物(少なくとも108.0 CFU/トリ)で静脈内経路により攻撃感染した。3日間トリを罹病率および死亡率について観察した。3日間の観察後、全ての残ったトリを犠牲にし、死後病巣を記録し、各トリの肝臓、心臓および生殖腺からのバクテリアの単離を行った。
結果
【0055】
【0056】
【0057】
【技術分野】
【0001】
本発明は動物の健康の分野、特に新規なバクテリア性トリ疾病の病原因子、パスツレラ・トレハロシ(Pasteurella trehalosi)および/またはマンハイミア・ヘモリチカ(Mannheimia haemolytica)に関する。本発明は前記Pasteurella trehalosiおよび/または
Mannheimia haemolyticaバクテリア、不活性化Pasteurella trehalosiおよび/または
Mannheimia haemolyticaを含むワクチン、およびニワトリにおける前記疾病を予防するためにニワトリを免疫する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
過去10年間、生産性を上げるための家禽の集約的な飼育方法は主要な家禽生産国のすべてにおいて疾病の出現増加を生じさせてきた。このことにより、新規かつより優れたワクチンおよびこれらの疾病を抑制するための予防接種計画に対する需要が増加している。現在、大部分の動物はウイルスおよびバクテリアが原因の種々の疾病に対して免疫されている。
家禽のウイルス性疾病の例として、ニューカッスル病、伝染性気管支炎、トリ肺炎ウイルス病、鶏痘、伝染性ファブリキウス嚢病等がある。
バクテリア性疾病の例には、ヘモフィルス・パラガリナルム(Haemophilus paragallinarum)(上気道)、ボルデテラ・アビウム(Bordetella avium)(上気道)、オルニトバクテリウム・リノトラケレ(Ornithobacterium rhinotracheale)(下気道)によって生じるトリ コリーザ、サルモネラ感染(消化管)、家禽コレラ(敗血性)の病原因子であるパスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)および大腸菌感染がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の背景にある技術的課題は新規なバクテリア性トリ疾病を明らかにし、その疾病の病原因子を提供し、その疾病を予防するためのワクチンを提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、第1の実施態様において、家禽の上気道および生殖管の新規な疾病を生じさせるグラム陰性、条件的嫌気性、多形性桿菌に関する。それらのバクテリアは、Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaからなる群より選ばれる。
【0005】
前述の本発明のバクテリアは感染した気管、口蓋裂(palatine cleft)、卵巣、肝臓、心臓、腎臓および生殖腺(ブロイラー)から単離することができる。それらは以下に列挙した試験に基づき、本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaとして同定することができる。
ベータ 溶血 +
グラム染色 −
オキシダーゼ +
カタラーゼ +
ウレアーゼ −
硝酸塩 +
インドール −
【0006】
本発明は更に、ワクチンに使用するための、生きた、および/または弱毒化した生きた、および/または不活性化した本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica、および/または前記Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの画分に関する。
本発明は更に新たに同定された、上述のバクテリアから得られるワクチンを提供する。従って、本発明は更に、生きた、および/または弱毒化した生きた、および/または不活性化した本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica、および/または前記Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの画分を含むワクチン組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】野外発生、ブロイラー:鼻漏および目の周りの腫脹領域。
【図2】野外発生、ブロイラー:心臓および冠状脂肪(coronary fat) における出血。
【図3】野外発生、ブロイラー:結膜炎および目の周囲の炎症。
【図4】野外発生、採卵鶏(Layer):鼻漏およびチアノーゼを起こしたトサカ。
【図5】野外発生、採卵鶏:目の周囲の炎症および出血。
【図6】野外発生、採卵鶏:聴覚開口部入り口裏の皮膚組織における出血。
【図7】野外発生、採卵鶏:腎臓における炎症。
【図8】野外発生、採卵鶏:輸卵管における出血。
【図9】野外発生、採卵鶏:変形した卵巣濾胞。
【図10】野外発生、採卵鶏:前胃と砂嚢の接合部における出血。
【図11】野外発生、採卵鶏:輸卵管における鬱血および出血。
【図12】実験的感染、採卵鶏:腎臓における炎症および出血。
【図13】実験的感染、SPF:衰弱。
【図14】実験的感染、採卵鶏:関節および筋肉における出血。
【図15】実験的感染、採卵鶏:鼻漏および蒼白なトサカ。
【図16】実験的感染、採卵鶏:筋肉における出血。
【図17】実験的感染、SPF:心臓および冠状脂肪(coronary fat)における出血。
【図18】実験的感染、採卵鶏:健康な鳥(左側)および羽毛を逆立てた病気の鳥(右側)。
【図19】実験的感染、採卵鶏:緑便下痢。
【図20】実験的感染、SPF:筋肉における出血。
【図21】実験的感染、SPF:衰弱(運動障害)および緑便性下痢。
【図22】実験的感染、採卵鶏:出血を伴う肥大した肝臓。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書に使用する用語の定義:
本発明の実施態様を記載する前に、本明細書および請求の範囲で使用する単数形は文脈上特に断らない限り複数形も含まれることを述べておかなければならない。従って、例えばPateurella Trehalosi(単数)への言及は複数のPasteurella Trehalosiバクテリアを含み、「細胞」への言及は1以上の細胞および当業者に知られたその等価物への言及を含む。単語が大文字であるかそうでないかは無関係である。従って、Arabinose(アラビノース)およびarabinose(アラビノース)は特に断らない限り同じ意味である。特に定義しない限り、本明細書に用いる全ての技術用語および科学的用語は本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載の方法および材料に類似又は等価な方法および材料は本発明の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法、装置および材料をここに記載した。本明細書で言及した全ての刊行物は、その刊行物中に記載され、本発明との関連で使用されるかも知れない細胞株、ベクターおよび方法論を記載し開示するために引用により本明細書に取り込まれるものとする。このことを本発明が従前の発明によるそのような開示に先行する資格がないことを認めるものであると解してはならない。
【0009】
驚くべきことに、本発明の発明者らは、レイアー(採卵鶏)に主として起こり、より頻度は低いがブロイラーにおこる新規なバクテリア性家禽疾病を見出した。この疾病はバクテリア、Haemophilus paragallinarum(トリ コリーザの原因病原体)およびPasteurella multocida(家禽コレラの病原体)に対して予防接種されていたニワトリで見られた。この新規な疾病の症状はコリーザの特異的な症状とは異なっている。新たに発見された疾病が以下に記載したように上気道感染の臨床的症状を明瞭に示すという事実から、病原因子としてH.paragallinarumを排除することができる。
本発明は、第1の実施態様において、家禽の上気道および生殖管の新規な疾病を生じさせるグラム陰性、条件的嫌気性、多形性桿菌に関する。それらのバクテリアは、Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaからなる群より選ばれる。
【0010】
前述の本発明のバクテリアは感染した気管、口蓋裂(palatine cleft)、卵巣、肝臓、心臓、腎臓および生殖腺(ブロイラー)から単離することができる。それらは以下に列挙した試験に基づき、本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaとして同定することができる。
ベータ 溶血 +
グラム染色 −
オキシダーゼ +
カタラーゼ +
ウレアーゼ −
硝酸塩 +
インドール −
【0011】
バクテリア単離株はJaworskiら(1)に記載された方法に従って精製および生物型決定することができる。この方法は実施例にも例示されている。バクテリアを分類するための重要な方法はDNA-DNAハイブリダイゼーション、REA(制限酵素解析、例えば、J. Clinical Microbiol, 1993, 31:831-835を参照せよ)およびリボタイピング(ribotyping)である。当業者はこの方法を適用してバクテリアが本発明の範囲内にあるかどうかを調べることができる。コッホの仮説を確認するための攻撃感染モデルも実施例中に例示する。
このように、本発明の重要な実施態様は、パスツレラ・トレハロシ(Pasteurella trehalosi)および/またはマンハイミア・ヘモリチカ(Mannheimia haemolytica)であって、前記Pasteurellaおよび/またはMannheimiaはベータ(β)-溶血-陽性、グラム-陰性、オキシダーゼ-陽性、カタラーゼ-陽性、ウレアーゼ-陰性、硝酸塩-陽性およびインドール-陰性である。本発明の前記Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaは好ましくはマッコンキー(MacConkey)-陽性でもある。さらに好ましくは、本発明の前記Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaは更にグルコース-陽性、シュークロース-陽性、マンニトール-陽性、アラビノース-陰性、セロビオース-陰性、キシロース-陽性、サリシン-陰性、オルニチン-陰性、エスクリン-陰性、α-フコシダーゼ-陰性、β-ガラクトシダーゼ-陽性である。最も好ましいのは、本発明のPasteurella trehalosiであり、前記Pasteurellaはアラビノース-陰性およびトレハロース-陽性でもある。本発明のPasteurella trehalosiはまた好ましくは生物型に依存してベータ(β)-グルコシダーゼ-陰性または陽性でもある。また本発明のMannheimia haemolyticaも最も好ましく、前記Mannheimia haemolyticaは更にアラビノース-陰性およびトレハロース-陰性である。好ましくは、前記本発明のMannheimia haemolyticaはβ-グルコシダーゼ陰性でもある。
【0012】
本発明のバクテリアのこれらの特徴的な性質により、本発明のバクテリアは既知のバクテリア性家禽病原体(Disease of Poultry, 第10版、B.W. Calnek, Iowa State University Press, Iowa, U.S.A. 1997)に対して新規なものとなる。
本発明の別の好ましい実施態様は、前記家禽がニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ダブ(dove)、ハト(pigeon)およびウズラからなる群より選ばれる、本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaである。
本発明は、新規なグラム-陰性、条件的嫌気性、多形性桿状の新規な型のバクテリアを提供し、前記新規な型のバクテリアはアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)、1081、University Boulevard, Manassas, VA 20110-2209, USA に下記の受託番号の下に寄託されているバクテリアによって特徴付けられる:
−Pasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3667(内部表示 BIV-4985);
−Pasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3668(内部表示 BIV-AVICOR);
−Mannheimia haemolytica ATCC No. PTA-3669 (内部表示 BIV-07990);
寄託日は2001年8月22日である。
【0013】
従って、本発明の最も好ましい実施態様は、受託番号ATCC No. PTA-3667の下に寄託されたPasteurella trehalosi(パスツレラ・トレハロシ)である。これらのバクテリアは更に実施例1の表3に例示されている。
本発明の別の最も好ましい実施態様は、受託番号ATCC No. PTA-3668の下に寄託されたPasteurella trehalosiである。これらのバクテリアは更に実施例1の表2に例示されている。
本発明の別の最も好ましい実施態様は、受託番号ATCC No. PTA-3669の下に寄託されたMannheimia haemolytica(マンハイミア・ヘモリチカ)である。これらのバクテリアは更に実施例1の表1に例示されている。
実施例中のAおよびBのテスト結果(表1,2および3)により、バクテリアBIV-4895;ATCC No. PTA-3667およびBIV-AVICOR;ATCC No. PTA-3668 はパスツレラ科(Pasteurellaceae)に属するが(トレハロース陽性およびアラビノース陰性であるPasteurella trehalosi)、バクテリアBIV-07990;ATCC No. PTA-3669はマンハイミア科(Mannheimia)に属する(トレハロース陰性およびアラビノース陰性であるMannheimia haemolytica)ことが確認された。
【0014】
本発明はまた、上述した本発明のバクテリアを含む微生物学的培養物に関する。本培養物は35℃〜37℃の温度にて前述のバクテリアを生育させることによって作製することができる。本バクテリアは通常の大気酸素圧下で生育させることができる。本バクテリアは当業者に既知の種々の汎用バクテリア増殖促進培地、例えば、トリプトース培地(TB)、ダイズトリプチカゼイン培地(Soy Trypticasein Broth)またはブレインハートインフュージョン培地またはどんな富裕な培地にても増殖させることができる。本バクテリアはヒツジ血寒天上で37℃にて24時間生育させることもできる。
この技術分野において、バクテリアを不活性化させる種々の物理的および化学的方法が知られている。物理的不活性化の例はUV-照射、X-線照射、γ照射および加熱である。不活性化化学物質の例はβ-プロピオラクトン、グルタルアルデヒド、β-エチレンイミンおよびホルムアルデヒドである。
好ましくは、本発明のバクテリアはホルムアルデヒドで不活性化される。驚くべきことに、最終濃度0.2%でホルムアルデヒドを使用することは本発明のバクテリアを不活性化する優れた方法である。
従って、別の重要な側面において、本発明は、最終濃度0.2%にてホルムアルデヒドを使用することを含む、本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの不活性化する方法に関する。
【0015】
上述した方法および当業者に知られた他のバクテリア不活性化方法によって不活性化した本発明のバクテリアは本発明に包含される。従って、他の重要な側面は、本発明の方法によって、またはこの技術分野で既知の方法によって得られる不活性化Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaである。好ましくは、本発明の不活性化Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaはPasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3667、Pasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3668および/またはMannheimia haemolytica ATCC No. PTA-3669からなる群より選ばれる。
従って、別の重要な側面はこの技術分野で既知の方法によって得ることのできる、生弱毒化Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaである。好ましくは、本発明の生弱毒化Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaはPasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3667、Pasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3668および/またはMannheimia haemolytica ATCC No. PTA-3669からなる群より選ばれる。本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaは適切な培地中で多数回継代することにより、またはこの分野で知られた他の方法によって弱毒化される。
本明細書において、不活性化とは、本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaが死滅しており、臨床的疾病を生じさせる複製能を有しない事を意味すると理解される。
本明細書において、弱毒化とは、本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaが複製能を有する生きたバクテリアであるが臨床的疾病を生じさせないバクテリアであることを意味すると理解される。
【0016】
さらに別の重要な側面は、この分野で知られた方法によって得ることのできる、Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの画分または断片である。前記断片は本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの変性剤可溶化またはこの分野で知られた他のどのような方法によっても調製することができる。好ましくは、この画分または断片は本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの精製抗原である。好ましくは、前記画分/断片は本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの外膜タンパク質である。
本発明の「断片」は前記本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaのあらゆる免疫原性サブユニット、すなわち、あらゆるポリペプチドサブセットである。
従って、本発明は、本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの少なくとも一つの抗原を含む断片に関する。より好ましくは、前記断片はPasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3667、Pasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3668および/またはMannheimia haemolytica ATCC No. PTA-3669からなる群より選ばれるバクテリアの少なくとも一つの抗原を含む。前記断片は前記菌株のバクテリア細胞全体を含んでもよく、バクテリア抽出物、外膜画分、バクテリアエキソトキシンおよび/またはエンドトキシン、および精製タンパク質を含んでもよい。抗原性ポリペプチドまたはそれらの断片は例えば精製バクテリアタンパク質から、または対応する遺伝物質をある種の原核発現系または真核発現系で発現させることによって、または有機化学合成によって得ることができる。それらの方法は当業者には知られたものである。
【0017】
本発明は更に、ワクチンに使用するための、生きた、および/または弱毒化した生きた、および/または不活性化した本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica、および/または前記Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの画分に関する。
本発明は更に新たに同定された、上述のバクテリアから得られるワクチンを提供する。従って、本発明は更に、生きた、および/または弱毒化した生きた、および/または不活性化した本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica、および/または前記Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの画分を含むワクチン組成物に関する。
本明細書において、用語「ワクチン」は、抗原性物質を含み、前記Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaによって引き起こされる疾病に対する特異的な能動若しくは受動免疫を誘導する目的で投与される、脊椎動物用のワクチンとして理解される。本発明の生きた、または生弱毒化Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaは、それに含まれる免疫原および時々は抗原的に関連した生物に対する移行抗体を介して受動的に移行し得る能動免疫を与える。本発明の不活性化Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica、および/または前記Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの画分は受動免疫を付与する。免疫応答を増強するための追加的構成成分は、一般にアジュバントと称される、例えば水酸化アルミニウム、ミネラル油またはその他の油、またはワクチンに添加される補助分子、またはそのような補助的成分による誘導後に身体によって生成されるインターフェロン、インターロイキンまたは増殖因子(これらに限定されない)のような成分である。
【0018】
好ましい実施態様において、前記ワクチンは不活性化バクテリアを含む。好ましくは、本発明のワクチンは上述した、免疫学的に活性な成分の一つが生きたPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaであるワクチンをいう。用語「生ワクチン」は分裂/増殖可能な粒子を含むワクチンを言う。
また、好ましくは、本発明のワクチンは弱毒化した本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaおよび製薬的に許容できる担体または賦形剤を含む。前記ワクチンは2以上の前記生きた、および/または生きた弱毒化、および/または不活性化Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica株、および/または2以上の前記Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica株の画分を含む、混合ワクチンとして投与することもできる。最も好ましくは、ワクチン中の前記生きた、および/または生弱毒化、および/または不活性化Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica株、および/または前記Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica株の画分は、Pasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3667、Pasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3668および/またはMannheimia haemolytica ATCC No. PTA-3669からなる群より選ばれる。
【0019】
また好ましくは、本発明のワクチンは本発明の不活性化Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica、並びに製薬的に許容できる担体または賦形剤を含む。前記ワクチンは2以上の前記不活性化Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica株を含む混合ワクチンとして投与することもできる。
さらに、全細胞の画分も本発明のワクチン中で関連免疫原として使用することができる。従って、本発明のワクチンは好ましくは本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの画分、並びに製薬的に許容できる担体または賦形剤を含む。前記ワクチンは2以上の前記不活性化Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica株を含む混合ワクチンとして投与することもできる。特に、本発明は、本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの少なくとも一つの抗原を含む断片を含むワクチンに関する。最も好ましくは、本発明は、Pasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3667、Pasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3668および/またはMannheimia haemolytica ATCC No. PTA-3669からなる群より選ばれるバクテリアの少なくとも一つの抗原を含む断片を含むワクチンに関する。前記断片はバクテリア細胞全体、バクテリア抽出物、外膜画分、バクテリアエキソおよび/またはエンドトキシン、および精製タンパク質を含んでいて良い。抗原性ポリペプチドまたはそれらの断片は、例えば、精製バクテリアタンパク質から、または対応する遺伝物質の原核発現系または真核発現系における発現により、または有機化学合成によって得ることができる。それらの方法は当業者には知られたものである。
【0020】
好ましくは、本発明のワクチンはまたアジュバントを含む。従って、本発明は更に、1以上の適切なアジュバントおよび/または賦形剤および/または担体を更に含む本発明のワクチン組成物に関する。
本明細書において、アジュバントには注射された動物の免疫応答を増強する物質が含まれる。この分野において多数の異なるアジュバントが知られている。本明細書においてアジュバントにはフロイントの完全アジュバントおよび不完全アジュバント、ビタミンE、非イオン性ブロックポリマー、ムラミルジペプチド、クィルA(Quil A)、ミネラル油および非-ミネラル油、植物油およびカルボポール(Carbopol)(ホモポリマー)が含まれる。好ましい実施態様において、本発明のワクチンは油中水エマルジョンアジュバントを含む。前記ワクチンはまた、不活性化した(死菌)本発明のバクテリアおよび油中水エマルジョンアジュバントを含むバクテリンとも称される。バクテリアをアジュバント化する当業者に知られた他の方法も本発明に包含される。
【0021】
また好ましくは、本発明のワクチンは1以上の適切な乳濁化剤、例えばSpanまたはTweenを含んでも良い。
また好ましくは、本ワクチン中の前記生きた、および/または生弱毒化、および/または不活性化Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica、および/または前記Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの画分は、Pasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3667、Pasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3668および/またはMannheimia haemolytica ATCC No. PTA-3669からなる群より選ばれる。
好ましくは、本発明のワクチンはPasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3667、Pasteurella trehalosi ATCC No. PTA-3668および/またはMannheimia haemolytica ATCC No. PTA-3669からなる群より選ばれるバクテリアの少なくとも一つの抗原を含む。前記ワクチンは前記株のバクテリア細胞全体、バクテリア抽出物、外膜画分、バクテリアエキソおよび/またはエンドトキシン、および精製タンパク質を含んでいて良い。抗原性ポリペプチドまたはそれらの断片は、例えば、精製バクテリアタンパク質から、または対応する遺伝物質の原核発現系または真核発現系における発現により、または有機化学合成によって得ることができる。それらの方法は当業者には知られたものである。
【0022】
最も好ましくは、本発明はさらに、家禽に対して病原性のあるウイルスまたは微生物由来の1以上の抗原を更に含む本発明のワクチン組成物に関する。好ましくは、前記抗原は生きた、弱毒化された、または不活性化されたウイルスまたは微生物、またはそれらの断片の形態である。前記断片は、バクテリア細胞またはウイルス粒子全体、バクテリア抽出物、ウイルス抗原、ウイルスサブユニット、外膜画分、バクテリアエキソおよび/またはエンドトキシン、および精製タンパク質を含んでいて良い。抗原性ポリペプチドまたはそれらの断片は、例えば、精製バクテリアタンパク質から、または対応する遺伝物質のある原核発現系または真核発現系における発現により、または有機化学合成によって得ることができる。それらの方法は当業者には知られたものである。
最も好ましくは、本発明はさらに、家禽に対して病原性のあるウイルスまたは微生物の1以上の抗原を更に含む本発明のワクチンであって、前記ウイルスまたは微生物が伝染性気管支炎ウイルス、ニューカッスル病ウイルス、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス(疾病:Gumboro)、ニワトリ貧血病原体、トリレオウイルス、マイコプラズマ・ガリセプチカム、トリ肺炎ウイルス、ヘモフィルス・パラガリナルム(疾病:コリーザ)、ニワトリポックスウイルス、トリ脳脊髄炎ウイルス、パスツレラ・ムルトシダおよび大腸菌から選ばれる(これらに限定されない)前記ワクチンに関する。
【0023】
「医薬組成物」は、それが投与される生物、またはその生物内またはその生物上で生存する生物の生理学的機能、例えば免疫学的機能を改変することのできる1以上の成分から本質的になる。この用語は、抗生物質または抗寄生虫物質(これらに限定されない)、および、例えば経口、経鼻的、静脈内、筋肉内、皮下、経皮的または他の適切な経路で投与するための処理特性、滅菌性、安定性、投与後の耐性、徐放特性(これらに限定されない)のような他のある種の目的を達成するために一般に使用される他の成分を含む。従って、本発明の別の重要な側面において、本発明は生きた、および/または生弱毒化、および/または不活性化した本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica、および/または前記Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの画分を含む医薬組成物に関する。
【0024】
本発明は、家禽に属する、Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica感染動物(例えば、上述した生バクテリア)の治療方法に関する。前記治療方法において、前記生弱毒化、不活性化Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica、および/または上述した本発明のそれらの画分および/または断片は必要としている家禽に当業者に知られた適切な用量で投与され、前記Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica感染によって生じた症状が監視される。前記治療は好ましくは繰り返される。
更に別の重要な実施態様は、本発明のワクチンの免疫学的に効果的な量を投与し、Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica感染によって生じる症状の低減を監視することを含む、前記Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica(例えば上述した生きたバクテリア)によって生じる気道および生殖管の疾病に対して家禽を免疫する方法である。
別の重要な実施態様は、Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica感染の予防用のワクチン製造における、不活性化した本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica、および/または、生きた本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica、および/または弱毒化した生きた本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica、および/または前記本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの断片または画分の使用である。
【0025】
本発明はまた、家禽からサンプルを得る工程であって、前記サンプルが血液、血清、血漿、組織掻爬物、洗浄物、スワブ、組織から選ばれる前記工程、および、前記サンプルを本発明のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの存在について分析する工程を含む、疾病の診断方法に関する。
好ましい実施態様において、Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの存在は免疫テストによって決定される。免疫テストはPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaに特異的なモノクローナル抗体またはポリクローナル抗血清を使用する。モノクローナル抗体の作製はこの分野で知られたものである(3,4)。
【0026】
免疫テストはELISAテスト(酵素結合免疫吸着アッセイ)またはいわゆるサンドイッチELISAテスト、ドットブロット、免疫ブロット、ラジオイムノテスト(ラジオイムノアッセイRIA)、拡散オクタロニーテストまたはロケット免疫蛍光アッセイ、または凝集テスト(迅速プレートまたはマイクロプレート凝集テスト)のようなこの分野で知られた検出方法を含む。その他の免疫テストはいわゆるウェスタンブロット(ウエスタントランスファー法またはウエゥタンブロッティングとしても知られる)である。ウェスタンブロットの目的はポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離されたタンパク質またはポリペプチドをニトロセルロースフィルターまたは他の適切な支持体上に転写し、同時にゲル電気泳動から得られるタンパク質またはポリペプチドの相対的位置を維持することである。次に考慮しているタンパク質またはポリペプチドに対して特異的に結合する抗体とウェスタンブロットをインキュベーションする。当業者はこれらの検出方法を容易に利用して本明細書に記載の発明を実施することができる。当業者が上述の方法および他の方法を見いだすことのできる参考文献を以下に列挙する:An introduction to Radioimmunoassay and Related Techniques, Elsevier Science Publishers, Amsterdam, The Netherlands (1986);Bullockら、Techniques in Immunocytochemistry, Academic Press, Orlando, FL 第1巻 (1982)、第2巻(1983)、第3巻(1985);Tijssen, Practice and Theory of Enzyme Immunoassays: Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology, Elsevier Science Publishers, Amsterdam, The Netherlands (1985)。
【0027】
別のより具体的な実施例において、上述のサンプルはPasteurella trehalosi および/またはMannheimia haemolyticaに特異的な抗体とインキュベーションされ、それにより形成される抗原/抗体複合体が測定される。
本発明の方法の特に好ましい実施態様において、上述したサンプル中のPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaの存在は分子生物学的方法によって決定される。本明細書において分子生物学的方法とは、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)またはノーザンブロット若しくはサザンブロットを含む検出方法を意味し、これらは標準的な教科書に見ることができる(例えば、Sambrookら(1989) Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New YorkおよびBertran, S.とGassen, H.G. Gentechnische Methoden, G. Fischer Verlag, Stuttgart, New York, 1991)。
【0028】
本発明はまた、Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaを検出するための全ての必要な構成要素を含むことを特徴とする診断テストキットを含む。
診断テストキットは本発明の診断方法を実行するための全ての構成要素を集めたものである。本発明の方法を実施するための他の要素のいくつかの例(網羅的なリストではないが)には、容器、例えば96穴プレートまたはマイクロプレート、試験管、他の適切な容器、表面および基材、ニトロセルロースフィルターのような膜、洗浄試薬およびバッファーが含まれる。診断テストキットは結合した抗体を検出できる試薬、例えば標識二次抗体、発色団、酵素(例えば抗体に結合した酵素)、および、それらの基質または抗体に結合し得る他の基質を含んでもよい。
【0029】
本発明はさらに、Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica特異的DNAまたはRNAを検出するためのPCRまたはRT-PCRを行うために必要な全ての構成要素を含むことを特徴とする診断テストキットに関する。本キットは試験管または96穴プレート若しくはマイクロタイタープレートに加えて、他の適切な容器、表面および基材、ニトロセルロースフィルターのような膜、洗浄試薬および反応バッファー(pHおよびマグネシウム濃度が異なる種々のバッファー)、滅菌水、ミネラル油、BSA(ウシ血清アルブミン)、MgCl2、(NH4)2SO4、DMSO(ジメチルスルホキシド)、メルカプトエタノール、ヌクレオチド(dNTP)、Taqポリメラーゼおよび逆転写酵素のような酵素、およびDNAマトリックスとして、Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaに特異的なDNA若しくはcDNA、Pasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolytica DNA若しくはRNAに特異的なオリゴヌクレオチド、対照鋳型、DEPC-水、DNAse、RNAseを含んでもよいが、これらに限定されず、当業者に知られた更なる化合物を含んでもよい。本発明のオリゴヌクレオチドは約15〜約100ヌクレオチド長の短い核酸分子であり、ストリンジェントな条件下でPasteurella trehalosiおよび/またはMannheimia haemolyticaタンパク質に相補的な核酸配列に結合する核酸分子である。当業者によればストリンジェントな条件とは、85%以上のホモロジー、より好ましくは90%以上のホモロジーを選抜するための条件を意味する(参考:Sambrookら、(1989) Molecular Cloning: A Laboratory Manual第2版、Cold Sppring Harbor Labolatory Press, Cold Spring Harbor, New YorkおよびBertram, S.とGassen, H.G. Gentechnische Methoden, G. Fischer Verlag, Stuttgart, New York, 1991)。
【0030】
以下の実施例は本発明を更に説明するためのものである;しかしながら、ここに開示した本発明の範囲を限定するものとこれを解してはならない。
【実施例1】
【0031】
実施例I
Pasteurella trehalosiおよびMannheimia haemolyticaと関連した野外疾病発生
臨床的徴候
野外観察より
【0032】
【0033】
グラム−陰性、条件的嫌気性、多形性桿菌の新規な3つの株をアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)、1081、University Boulevard, Manassas, VA 20110-2209, USAに寄託した。受託番号は以下の通りである:BIV-4985 Pasteurella trehalosiについてはATCC No. PTA-3667;BIV-AVICOR Pasteurella trehalosiについてはATCC No. PTA-3668およびBIV-07990 Mannheimia HaemolyticaについてはATCC No. PTA-3669。寄託日は2001年8月22日である。
寄託バクテリアは標準的な決定方法に従い、Bergey's Manual of Systematic Bacterilogy(系統的微生物学に関するバージェィのマニュアル)第1巻(1984、WilliamsとWilkins、428、East Preston Street. Baltimore, USA)を用いてタイピングした。
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
AおよびBのテストの結果(表1、2および3)により、バクテリアBIV-4895;ATCC No. PTA-3667およびBIV-AVICOR;ATCC No. PTA-3668はPasteurella科に属する(Pasteurella trehalosi,トレハロース陽性およびアラビノース陰性)が、バクテリアBIV-07990;ATCC No. PTA-3669はMannheimia科に属する(Mannhemia haemolytica,トレハロース陰性およびアラビノース陰性)ことが確認された。
【0038】
病原因子の同定
感染気管、口蓋裂(palatine cleft)、卵巣、肝臓、心臓、腎臓および生殖腺(ブロイラー)からバクテリアを単離した。それらは以下の表に掲げたテストに従ってPasteurella trehalosiおよびMannheimia haemomlyticaとして同定された。
【0039】
ウイルスまたは他のバクテリアの単離はなされなかった。
【0040】
生物型決定:
バクテリア単離株を精製し,Jaworskiら(1)に記載された方法に従って生物型決定を行った。3つの生物型(4、2、1)が明らかになった。
簡単に言うと、精製した単離株から単一コロニーを3mlのトリプトース培地を含む試験管に接種し、37℃にて8時間インキュベーションした。その試験管からの1ループ接種物(20μl)を3mlのテストすべき1%糖類を含む別の試験管に移し、37℃にて7日間インキュベーションし結果を記録した。
【0041】
攻撃感染モデル:
バクテリアの精製後、単離株をトリプトース培地中で増殖させ、大量の純粋な病原体を得た。コッホ仮説を確認するため、13週齢の特定病原体除去(SPF)ニワトリの異なる3つのグループ(各グループ20羽のトリ)を各生物型で(0.2ml/トリ;3x108CFU/ml)で静脈内経路により感染させた。トリは3日間毎日罹病率および死亡率について観察した。3日目の終わりに、全てのトリを犠牲にし、死後病巣を記録し、器官サンプル(肝臓および生殖腺)を集めて再単離した。死亡したトリの死後病巣も記録した。
【0042】
結果
臨床的症状:衰弱、跛行、トサカ位置異常、逆立った羽毛、トサカの先端のチアノーゼ。
病巣:
【0043】
【実施例2】
【0044】
実施例II
本発明のバクテリアの生育、ワクチンの調製およびSPFトリの予防接種
菌株をトリプトース培地(TB)上で生育させた。菌株に依存して接種後およそ6〜8時間後、対数増殖期に収穫を行った。力価測定のためヒツジ血寒天においてプレート計数を行った。ミリリットルあたりのコロニー形成単位(CFU/ml)を回収物の1:10希釈を用いて決定した。ホルムアルデヒドを最終濃度0.2%で加えて細胞を死滅させた。この懸濁物の滅菌性を調べた後、最小力価108 CFU/mlを最終的なワクチンに添加した。
2つの菌株(BIV-4895、ATCC No. PTA-3667およびBIV-AVICOR、ATCC No. PTA-3668)とオイル-アジュバント(ミネラル油を基本にした、60%油/40%水の比率の油中水エマルジョン)を最小濃度107.0 CFU/株/mlで混合することによりワクチンを調製した。
2、5および9週齢の特定病原体除去(SPF)ニワトリに0.5mlのワクチンを首の途中に皮下注射することにより予防接種した。
【実施例3】
【0045】
実施例III
攻撃感染菌株の調製並びに予防接種群および対照群の攻撃感染
バクテリア株BIV-4895、ATCC No. PTA-3667およびBIV-AVICOR、ATCC No. PTA-3668をヒツジ血寒天上で37℃にて24時間生育させた。540nmの波長の分光器を用いて光学密度2.0の懸濁液が得られるまで細胞をトリプトース培地(TB)中で収穫した。攻撃感染のため、以下の数の細胞を最終的な攻撃感染体積中に含む調製物を作製した:
3x109 CFU/ml BIV-AVICOR;ATCC No. PTA-3668
1.45x1010 CFU/ml BIV-4895;ATCC No. PTA-3667
13週齢にて、20羽の予防接種したトリと20羽の非予防接種トリを0.2mlの接種物(少なくとも108.0 CFU/トリ)により静脈内経路で攻撃感染させた。トリを3日間罹病率および死亡率について監視した。3日間の観察後、全ての残ったトリを犠牲にし、各トリの肝臓および生殖腺からバクテリアを再単離した。死亡したトリの死亡後病巣も記録した。
【0046】
【実施例4】
【0047】
実施例IV
本発明のバクテリアの生育、ワクチンの調製およびSPFトリの予防接種
菌株をトリプトース培地(TB)上で生育させた。菌株に依存して接種後およそ6〜8時間後、対数増殖期に収穫した。力価測定のためヒツジ血寒天においてプレート計数を行った。ミリリットルあたりのコロニー形成単位(CFU/ml)を回収物の1:10希釈を用いて決定した。ホルムアルデヒドを最終濃度0.2%で加えて細胞を死滅させた。この懸濁物の滅菌性を調べた後、最小力価108 CFU/mlを最終的なワクチンに添加した。
3つの菌株(BIV-4895、ATCC No. PTA-3667、BIV-AVICOR、ATCC No. PTA-3668およびBIV-07990、ATCC No.PTA-3669)とオイル-アジュバント(ミネラル油を基本にした、60%油/40%水の比率の油中水エマルジョン)を最小濃度107.0 CFU/株/mlで混合することによりワクチンを調製した。
2、5および9週齢の特定病原体除去(SPF)ニワトリに0.5mlのワクチンを首の途中に皮下注射することにより予防接種をした。
【実施例5】
【0048】
実施例V
攻撃感染菌株の調製並びに予防接種群および対照群に対する攻撃感染
バクテリア株BIV-4895、ATCC No. PTA-3667;BIV-AVICOR、ATCC No. PTA-3668および、BIV-07990、ATCC No. PTA-3669をヒツジ血寒天上で37℃にて24時間生育させた。540nmの分光光度計を用いて光学密度2.0に達するまでトリプトース培地(TB)中で細胞を収穫した。攻撃感染のため、最終攻撃感染体積中に以下の数の細胞を含む調製物を調製した:
8.3x109 CFU/ml BIV-AVICOR;ATCC No. PTA-3668
2.2x109 CFU/ml BIV-4895;ATCC No. PTA-3667
1.0x1010 CFU/ml BIV-07990;ATCC No. PTA-3669
13週齢にて、20羽の予防接種したトリおよび20羽の非予防接種トリを0.2mlの摂取物(少なくとも108.0 CFU/トリ)で静脈内経路により攻撃感染した。3日間トリを罹病率および死亡率について観察した。3日間の観察後、全ての残ったトリを犠牲にし、各トリの肝臓および生殖腺からのバクテリアの単離を行った。死んだトリの死後病巣も記録した。
【0049】
【0050】
血清学的テスト
各生物型を代表する単離株を用いて、Bibersteinら(2)の方法に従って過免疫血清をウサギで作製した。
単離株を血液寒天上で一晩生育させ、0.3%ホルマリンを含む生理食塩水中に収穫した。細胞を1回洗浄し、注射のため575nmにて10%透過率に調整した。注射は4日間の間隔をおいて0.5ml、1.0、2.0、3.0、3.0、3.0という日程に従ってIV経路で行い、全てのウサギから最後の注射の4日後に採血した。
3つの生物型の株を用いて過免疫血清を特異性についてテストし、迅速プレート凝集により同種および異種ウサギ抗血清(2倍希釈)とこれらの株と反応させた。
各生物型の抗血清を終点に達するまで希釈し、陽性である最も高希釈を決定した。
【0051】
【0052】
【0053】
この生物型特異的過免疫血清をマイクロプレート血清凝集テストにおける陽性対照として用いた。
【実施例6】
【0054】
実施例VI
攻撃感染菌株の調製並びに予防接種群および対照群の攻撃感染
バクテリア株BIV-4895、ATCC No. PTA-3667;BIV-AVICOR、ATCC No. PTA-3668および、BIV-07990、ATCC No. PTA-3669をヒツジ血寒天上で37℃にて24時間生育させた。540nmの分光光度計を用いて光学密度2.0に達するまでトリプトース培地(TB)中で細胞を収穫した。攻撃感染のため、最終攻撃感染体積中に以下の数の細胞を含む調製物を調製した:
1.5x1010 CFU/ml BIV-AVICOR;ATCC No. PTA-3668
1.7x1010 CFU/ml BIV-4895;ATCC No. PTA-3667
1.6x1010 CFU/ml BIV-07990;ATCC No. PTA-3669
13週齢にて、20羽の予防接種したトリおよび20羽の非予防接種トリを0.2mlの摂取物(少なくとも108.0 CFU/トリ)で静脈内経路により攻撃感染した。3日間トリを罹病率および死亡率について観察した。3日間の観察後、全ての残ったトリを犠牲にし、死後病巣を記録し、各トリの肝臓、心臓および生殖腺からのバクテリアの単離を行った。
結果
【0055】
【0056】
【0057】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカからなる群より選ばれる、家禽の上気道および生殖管の疾病を生じさせるグラム-陰性、条件的嫌気性、多形性桿菌。
【請求項2】
ベータ溶血-陽性、グラム-陰性、オキシダーゼ-陽性、カタラーゼ-陽性、ウレアーゼ-陰性、硝酸塩-陽性およびインドール-陰性である、パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ。
【請求項3】
マッコンキー陽性である、請求項2記載のパスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ。
【請求項4】
グルコース-陽性、シュークロース-陽性、マンニトール-陽性、アラビノース-陰性、セロビオース-陰性、キシロース-陽性、サリシン-陰性、オルニチン-陰性、エスクリン-陰性、α-フコシダーゼ陰性、β-ガラクトシダーゼ-陽性である、請求項2または3記載のパスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ。
【請求項5】
アラビノース-陰性およびトレハロース-陽性である、請求項2〜4のいずれか1項記載のパスツレラ・トレハロシ。
【請求項6】
アラビノース-陰性およびトレハロース-陰性である、請求項2〜4のいずれか1項記載のマンハイミア・ヘモリチカ。
【請求項7】
家禽が、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ダブ、ハトおよびウズラからなる群より選ばれる、請求項2〜6のいずれか1項記載のパスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ。
【請求項8】
ATCC No. PTA-3667の受託番号の下に寄託されているパスツレラ・トレハロシ。
【請求項9】
ATCC No. PTA-3668の受託番号の下に寄託されているパスツレラ・トレハロシ。
【請求項10】
ATCC No. PTA-3669の受託番号の下に寄託されているマンハイミア・ヘモリチカ。
【請求項11】
ホルムアルデヒドを最終濃度0.2%で用いることを含む、請求項1〜10のいずれか1項記載のパスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカを不活性化する方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法または既知の他の方法により得られる不活性化パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ。
【請求項13】
請求項12記載の不活性化パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカであって、前記パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカがパスツレラ・トレハロシATCC No. PTA-3667、パスツレラ・トレハロシATCC No. PTA-3668およびマンハイミア・ヘモリチカATCC No. PTA-3669からなる群より選ばれる、前記不活性化パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか1項記載のパスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカが弱毒化されている、生弱毒化パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ。
【請求項15】
請求項14記載の生弱毒化パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカであって、前記パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカがパスツレラ・トレハロシATCC No. PTA-3667、パスツレラ・トレハロシATCC No. PTA-3668およびマンハイミア・ヘモリチカATCC No. PTA-3669からなる群より選ばれる、前記生弱毒化パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ。
【請求項16】
請求項1〜10のいずれか1項記載のパスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカの少なくとも一つの抗原を含む断片又は画分。
【請求項17】
パスツレラ・トレハロシATCC No. PTA-3667、パスツレラ・トレハロシATCC No. PTA-3668およびマンハイミア・ヘモリチカATCC No. PTA-3669からなる群より選ばれるバクテリアの少なくとも一つの抗原を含む、請求項16記載の断片または画分。
【請求項18】
請求項12または13記載の不活性化パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ、および/または生きた請求項1〜10のいずれか1項記載のパスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ、および/または請求項14または15記載の生弱毒化パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ、および/または請求項16または17記載のパスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカの断片または画分、を含むワクチン組成物。
【請求項19】
更に1以上の適切なアジュバントおよび/または賦形剤および/または担体を含む、請求項18記載のワクチン組成物。
【請求項20】
請求項18または19記載のワクチン組成物であって、不活性化パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカを含み、前記パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカがパスツレラ・トレハロシATCC No. PTA-3667、パスツレラ・トレハロシATCC No. PTA-3668およびマンハイミア・ヘモリチカATCC No. PTA-3669からなる群より選ばれる前記ワクチン組成物。
【請求項21】
請求項1〜10および12〜15記載の、2以上の生きた、および/または生弱毒化、および/または不活性化パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ株、および/または、2以上の前記パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ株の請求項16または17記載の画分、を含む請求項18〜20のいずれか1項記載のワクチン組成物。
【請求項22】
請求項18〜21のいずれか1項記載のワクチン組成物であって、ワクチン中の、生きたおよび/または生弱毒化および/または不活性化パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ、および/または、前記パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカの画分が、パスツレラ・トレハロシATCC No. PTA-3667、パスツレラ・トレハロシATCC No. PTA-3668およびマンハイミア・ヘモリチカATCC No. PTA-3669からなる群より選ばれる、前記ワクチン組成物。
【請求項23】
家禽に対して病原性であるウイルスまたは微生物由来の少なくとも一つの他の抗原を更に含む、請求項18〜22のいずれか1項記載のワクチン組成物。
【請求項24】
ウイルスまたは微生物が、伝染性気管支炎ウイルス、ニューカッスル病ウイルス、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス、ニワトリ貧血病原体、トリレオウイルス、マイコプラズマ・ガリセプチカム、トリ肺炎ウイルス、ヘモフィルス・パラガリナルム、ニワトリポックスウイルス、トリ脳脊髄炎ウイルス、パスツレラ・マルトシダおよび大腸菌からなる群より選ばれる、請求項18〜23のいずれか1項記載のワクチン組成物。
【請求項25】
請求項12または13記載の不活性化パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ、および/または生きた請求項1〜10のいずれか1項記載のパスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ、および/または請求項14または15記載の生弱毒化パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ、および/または請求項16または17記載のパスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカの断片または画分の、パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ感染に対する予防のためのワクチン製造における使用。
【請求項26】
請求項18〜24のいずれか1項記載のワクチンの免疫学的効果量、および前記パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカによって生じる症状の低減を監視することを含む、請求項1〜10のいずれか1項記載のパスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカによって生じる気道および生殖管の疾病に対して家禽を免疫する方法。
【請求項27】
血液、血清、血漿、組織掻爬物、洗浄物、スワブおよび組織からなる群より選ばれるサンプルを家禽から得る工程、および、前記サンプルを請求項1〜10のいずれか1項記載のパスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカの存在について分析する工程を含む、疾病の診断方法。
【請求項28】
パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカの存在が免疫テストによって決定される、請求項27記載の診断方法。
【請求項29】
パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカの存在が分子生物学的方法によって決定される、請求項27記載の診断方法。
【請求項30】
請求項27〜29のいずれか1項記載の方法を行うために必要な全ての構成要素を含む診断テストキット。
【請求項1】
パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカからなる群より選ばれる、家禽の上気道および生殖管の疾病を生じさせるグラム-陰性、条件的嫌気性、多形性桿菌。
【請求項2】
ベータ溶血-陽性、グラム-陰性、オキシダーゼ-陽性、カタラーゼ-陽性、ウレアーゼ-陰性、硝酸塩-陽性およびインドール-陰性である、パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ。
【請求項3】
マッコンキー陽性である、請求項2記載のパスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ。
【請求項4】
グルコース-陽性、シュークロース-陽性、マンニトール-陽性、アラビノース-陰性、セロビオース-陰性、キシロース-陽性、サリシン-陰性、オルニチン-陰性、エスクリン-陰性、α-フコシダーゼ陰性、β-ガラクトシダーゼ-陽性である、請求項2または3記載のパスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ。
【請求項5】
アラビノース-陰性およびトレハロース-陽性である、請求項2〜4のいずれか1項記載のパスツレラ・トレハロシ。
【請求項6】
アラビノース-陰性およびトレハロース-陰性である、請求項2〜4のいずれか1項記載のマンハイミア・ヘモリチカ。
【請求項7】
家禽が、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ダブ、ハトおよびウズラからなる群より選ばれる、請求項2〜6のいずれか1項記載のパスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ。
【請求項8】
ATCC No. PTA-3667の受託番号の下に寄託されているパスツレラ・トレハロシ。
【請求項9】
ATCC No. PTA-3668の受託番号の下に寄託されているパスツレラ・トレハロシ。
【請求項10】
ATCC No. PTA-3669の受託番号の下に寄託されているマンハイミア・ヘモリチカ。
【請求項11】
ホルムアルデヒドを最終濃度0.2%で用いることを含む、請求項1〜10のいずれか1項記載のパスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカを不活性化する方法。
【請求項12】
請求項11記載の方法または既知の他の方法により得られる不活性化パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ。
【請求項13】
請求項12記載の不活性化パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカであって、前記パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカがパスツレラ・トレハロシATCC No. PTA-3667、パスツレラ・トレハロシATCC No. PTA-3668およびマンハイミア・ヘモリチカATCC No. PTA-3669からなる群より選ばれる、前記不活性化パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれか1項記載のパスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカが弱毒化されている、生弱毒化パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ。
【請求項15】
請求項14記載の生弱毒化パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカであって、前記パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカがパスツレラ・トレハロシATCC No. PTA-3667、パスツレラ・トレハロシATCC No. PTA-3668およびマンハイミア・ヘモリチカATCC No. PTA-3669からなる群より選ばれる、前記生弱毒化パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ。
【請求項16】
請求項1〜10のいずれか1項記載のパスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカの少なくとも一つの抗原を含む断片又は画分。
【請求項17】
パスツレラ・トレハロシATCC No. PTA-3667、パスツレラ・トレハロシATCC No. PTA-3668およびマンハイミア・ヘモリチカATCC No. PTA-3669からなる群より選ばれるバクテリアの少なくとも一つの抗原を含む、請求項16記載の断片または画分。
【請求項18】
請求項12または13記載の不活性化パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ、および/または生きた請求項1〜10のいずれか1項記載のパスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ、および/または請求項14または15記載の生弱毒化パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ、および/または請求項16または17記載のパスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカの断片または画分、を含むワクチン組成物。
【請求項19】
更に1以上の適切なアジュバントおよび/または賦形剤および/または担体を含む、請求項18記載のワクチン組成物。
【請求項20】
請求項18または19記載のワクチン組成物であって、不活性化パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカを含み、前記パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカがパスツレラ・トレハロシATCC No. PTA-3667、パスツレラ・トレハロシATCC No. PTA-3668およびマンハイミア・ヘモリチカATCC No. PTA-3669からなる群より選ばれる前記ワクチン組成物。
【請求項21】
請求項1〜10および12〜15記載の、2以上の生きた、および/または生弱毒化、および/または不活性化パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ株、および/または、2以上の前記パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ株の請求項16または17記載の画分、を含む請求項18〜20のいずれか1項記載のワクチン組成物。
【請求項22】
請求項18〜21のいずれか1項記載のワクチン組成物であって、ワクチン中の、生きたおよび/または生弱毒化および/または不活性化パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ、および/または、前記パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカの画分が、パスツレラ・トレハロシATCC No. PTA-3667、パスツレラ・トレハロシATCC No. PTA-3668およびマンハイミア・ヘモリチカATCC No. PTA-3669からなる群より選ばれる、前記ワクチン組成物。
【請求項23】
家禽に対して病原性であるウイルスまたは微生物由来の少なくとも一つの他の抗原を更に含む、請求項18〜22のいずれか1項記載のワクチン組成物。
【請求項24】
ウイルスまたは微生物が、伝染性気管支炎ウイルス、ニューカッスル病ウイルス、伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス、ニワトリ貧血病原体、トリレオウイルス、マイコプラズマ・ガリセプチカム、トリ肺炎ウイルス、ヘモフィルス・パラガリナルム、ニワトリポックスウイルス、トリ脳脊髄炎ウイルス、パスツレラ・マルトシダおよび大腸菌からなる群より選ばれる、請求項18〜23のいずれか1項記載のワクチン組成物。
【請求項25】
請求項12または13記載の不活性化パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ、および/または生きた請求項1〜10のいずれか1項記載のパスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ、および/または請求項14または15記載の生弱毒化パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ、および/または請求項16または17記載のパスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカの断片または画分の、パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカ感染に対する予防のためのワクチン製造における使用。
【請求項26】
請求項18〜24のいずれか1項記載のワクチンの免疫学的効果量、および前記パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカによって生じる症状の低減を監視することを含む、請求項1〜10のいずれか1項記載のパスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカによって生じる気道および生殖管の疾病に対して家禽を免疫する方法。
【請求項27】
血液、血清、血漿、組織掻爬物、洗浄物、スワブおよび組織からなる群より選ばれるサンプルを家禽から得る工程、および、前記サンプルを請求項1〜10のいずれか1項記載のパスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカの存在について分析する工程を含む、疾病の診断方法。
【請求項28】
パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカの存在が免疫テストによって決定される、請求項27記載の診断方法。
【請求項29】
パスツレラ・トレハロシおよび/またはマンハイミア・ヘモリチカの存在が分子生物学的方法によって決定される、請求項27記載の診断方法。
【請求項30】
請求項27〜29のいずれか1項記載の方法を行うために必要な全ての構成要素を含む診断テストキット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2010−51324(P2010−51324A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275445(P2009−275445)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【分割の表示】特願2003−539709(P2003−539709)の分割
【原出願日】平成14年10月24日(2002.10.24)
【出願人】(504165096)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【分割の表示】特願2003−539709(P2003−539709)の分割
【原出願日】平成14年10月24日(2002.10.24)
【出願人】(504165096)
【Fターム(参考)】
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