説明

家禽飼料用添加剤及び家禽飼料

【課題】 夏期の暑熱下における家禽、特に採卵用家禽の食下量、産卵率及び日卵量を向上せしめることができる家禽飼料用添加剤及び家禽飼料の提供。
【解決手段】 重炭酸ソーダ及び有機クロムを含有することを特徴とする家禽飼料用添加剤及び家禽飼料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、夏期の暑熱下における家禽、特に鶏等の採卵用家禽の食下量、産卵率及び日卵量を向上せしめる家禽飼料用添加剤及び家禽飼料に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、家禽、特に採卵用家禽は、夏期の暑熱下において種々のストレスを受け、食下量、産卵率、日卵量等が減少し、また斃死率も増加することが知られている。これらの防止を目的として、例えば、グルコースと重炭酸ソーダを配合した飼料を給与する方法が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、有機クロムを添加した飼料が、鶏の体重や飼料要求率の増加に有効であることも知られている(非特許文献1,2参照)。
【0004】
しかしながら、斯かる従来の飼料によっても依然として夏期の暑熱による悪影響は避けられず、食下量、産卵率及び日卵量の減少防止については、未だ十分満足の行く結果が得られていなかったのが実状であった。
【特許文献1】特許第2916880号公報
【非特許文献1】畜産の研究 第52巻 第11号、1207−1212、“家禽における有機クロム”
【非特許文献2】畜産の研究 第52巻 第12号、1307−1310、“家禽における有機クロム”
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の如き従来の実状に鑑み、夏期の暑熱下における家禽、特に採卵用家禽の食下量、産卵率及び日卵量を向上せしめることができる飼料を提供することを課題とする。
【0006】
本発明者は、当該課題を解決すべく種々研究を重ねた結果、重炭酸ソーダ及び有機クロムを給与すれば、特に優れた食下量、産卵率及び日卵量の減少防止効果が得られることを見出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、重炭酸ソーダ及び有機クロムを含有することを特徴とする家禽飼料用添加剤により、上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の家禽飼料用添加剤を配合した飼料を給与すれば、夏期の暑熱下においても、家禽、特に採卵用家禽の食下量、産卵率及び日卵量を向上せしめ、かつ体重の減少を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明において用いられる重炭酸ソーダは、通常、市販されているものを使用することができ、特に限定されない。
【0010】
本発明において用いられる有機クロムとしては、例えば、クロム酵母、ピコリン酸クロム、ニコチン酸クロム、プロピオン酸クロム、GTF(Glucose Tolerance Factor)クロム等が挙げられ、特にクロム酵母が好適に使用される。また、本発明において、これらの有機クロムは1種又は2種以上を適宜混合して用いることもできる。
【0011】
本発明の家禽飼料用添加剤中における重炭酸ソーダと有機クロムの配合割合は
【0012】
【数1】

【0013】
の範囲が好ましい。
【0014】
本発明の家禽飼料用添加剤においては、重炭酸ソーダ及び有機クロムの他、必要に応じて、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類、香料、酸味料、調味料、乳化剤、安定剤等を適宜添加配合することができる。
【0015】
このようにして得られる本発明の家禽飼料用添加剤を配合した飼料を家禽に与える際の量は例えば、重炭酸ソーダとして0.1〜1.0質量%及び有機クロム由来のクロムとして50〜5,000ppbの範囲で給与することが好ましい。
【0016】
本発明の家禽飼料用添加剤を配合した飼料は、特に採卵用の鶏やアヒル等の家禽に効果的である。
【0017】
また本発明の飼料原料としては、とうもろこし、マイロ、ふすま、大麦、からす麦、魚粉、アルファルファミール、フィッシュソリュブル、小麦粉、大豆粕、脱脂米ぬか、なたね油粕、綿実油粕、サフラワー油粕、動物性油脂、ビタミン・ミネラル類、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム等が用いられる。
【実施例】
【0018】
次に、本発明をさらに具体的に説明するために実施例を掲げるが、本発明は、以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0019】
実施例1〜3並びに比較例1
表1に示した配合原料を均一に混合して、それぞれ飼料を得た。尚、表1中、基礎飼料の配合組成は表2に示したとおりである。
【0020】
【表1】

【0021】
【表2】

【0022】
試験例
供試鶏(鶏種ジュリア、336日令〜371日令)を1区あたり10羽として4区設け、基礎飼料のみ、並びに実施例1〜3及び比較例1で得た各飼料をそれぞれ給与した。試験開始から7日間、平均温度18.0℃(最高温度28.1℃、最低温度10.7℃)および平均湿度45.3%(最高湿度72.0%、最低湿度17.0%)の条件下で飼育した後、8日目以降28日目迄の間、平均温度32.3℃(最高温度45.3℃、最低温度25.8℃)および平均湿度34.1%(最高湿度57.0%、最低湿度12.0%)の条件下で飼育した。
飼育終了後、各区における食下量、産卵率、日卵量を調べた。その結果は表3のとおりであった。
【0023】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
重炭酸ソーダ及び有機クロムを含有することを特徴とする家禽飼料用添加剤。
【請求項2】
重炭酸ソーダと有機クロムの配合割合が
【数1】

であることを特徴とする請求項1記載の家禽飼料用添加剤。
【請求項3】
請求項1又は2記載の添加剤を含有することを特徴とする家禽飼料。