説明

家電機器収納用扉

【課題】家電機器を家具内に収納した状態であっても赤外線リモコンでの操作が可能であり、かつ家具内に収納した状態が見えないような家電機器収納用扉を提供すること。
【解決手段】家電機器を収納する家具用の扉であって、前記扉の基材が透明樹脂板及び/またはガラス板からなり、前記基材に、粘着剤からなるバインダー層を解して、隠蔽率95〜97%となるように、少なくとも着色熱可塑性樹脂層と絵柄模様層とからなるシート層を、絵柄模様層側がバインダー層側と接するようにして積層してなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は家電機器を収納する家具用の扉に関し、特に収納した状態でも赤外線リモコンによる操作が可能であって、かつ収納していることがわからないような家電機器収納用扉に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多くのテレビ、ビデオなどの家電機器は赤外線リモコンにより操作されるようになってきている。しかしながら、これら家電機器を家具内に収納した状態では、赤外線受光部が露出していないために、赤外線リモコンでの操作が出来ないという問題があった。透明樹脂板やガラス板の扉のものもあるが、中に家具が収納されているのが見えてしまい、収納の意味が薄らいでしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、すなわちその課題とするところは、家電機器を家具内に収納した状態であっても赤外線リモコンでの操作が可能であり、かつ家具内に収納した状態が見えないような家電機器収納用扉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はこの課題を解決したものであり、その請求項1記載の発明は、家電機器を収納する家具用の扉であって、前記扉の基材が透明樹脂板及び/またはガラス板からなり、前記基材に、粘着剤からなるバインダー層を解して、隠蔽率95〜97%となるように、少なくとも着色熱可塑性樹脂層と絵柄模様層とからなるシート層を、絵柄模様層側がバインダー層側と接するようにして積層してなることを特徴とする家電機器収納用扉である。
【発明の効果】
【0005】
本発明では、隠蔽率を95%以上とすることで、家具が収納されているのが見えないくらいの十分な隠蔽性を保つことが可能となる。さらに隠蔽率を97%以下としかつ絵柄模様層側がバインダー層側と接するようにしてバインダー層を介して透明樹脂板及び/またはガラス板からなる基材と積層するという構成にすることで、5m程度離れた距離からのリモコン操作が可能となるという効果が得られる。
【0006】
また、機器を収納するリビングボード及びサイドキャビネットなどの収納扉材として使用可能になる。スモークガラスなどで目隠しとして使用していたものが、絵柄模様層を設けたシートを用いることで、デザインの可能性が増し、木目柄、石目柄など多彩な表現が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の家電機器収納用扉の一実施例の断面の構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を図面に基づき詳細に説明する。
本発明における透明樹脂板及び/またはガラス板からなる基材1は、樹脂としてはポリエチレン、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂などが挙げられ、ガラスとしては生ガラス、熱厚ガラス、強化ガラスなどが挙げられ、これらを用途に応じて適宜選択し、使用すれば良い。厚みは1〜30mmが好適である。
【0009】
本発明におけるバインダー層2に用いる粘着剤としては、前記基材1に用いた材料と後述するシート層3における絵柄模様層4に用いるインキとを接着できるものから選択され、透明性を有し、赤外線の透過に影響を与えないものであれば特に限定されるものではないが、具体的にはアクリル系の粘着剤が好適に用いられる。層厚は20〜50μmが好適である。
【0010】
本発明におけるシート層3は絵柄模様層4と着色熱可塑性樹脂層5とからなり、絵柄模様層3側をバインダー層側に設ける。絵柄模様層4を反対側に設けると表面に露出することになりの耐性に問題があり好適でない。また原因は色々考えられるが、絵柄模様層4を反対側に設けると、バインダー層側に設けた場合と同様の隠蔽率であっても赤外線が透過しないかあるいはかなり近づかないと透過しない。絵柄模様層4は設ける絵柄模様に会わせ、隠蔽率が保てる範囲で従来公知のインキを印刷により設けることが出来る。塗布厚としては1〜5μmが好適である。
【0011】
着色熱可塑性樹脂層5は従来の化粧シートの基材が使用可能であり、前記隠蔽率と絵柄模様層4の印刷適性が得られるものであれば特に限定するものではない。従来公知の塩化ビニル製シートが挙げられるが、近年の環境問題からポリオレフィン系樹脂、特にはポリプロピレン系樹脂シートが好適に用いられる。層厚は50〜100μmが好適である。
【実施例1】
【0012】
着色熱可塑性樹脂層5として厚さ70μmのポリプロピレンシートを用い、これにグラビア印刷にてウレタン系インキ(「V−351UR−T」東洋インキ製造(株)製)を用いて乾燥後の塗布厚が2g/m2となるようにして絵柄模様層4として設け、シート層3を得た。隠蔽率は96%であった。
【0013】
基材1として厚み10mmの強化ガラスを用い、これにアクリル系粘着剤を厚み30μmとなるように塗布してバインダー層2とした。そしてバインダー層2を設けた面と前記シート層3の絵柄模様層4側とを貼りあわせ、本発明の家電機器収納用扉を作成した。
【実施例2】
【0014】
前記絵柄模様層4として絵柄を変えた以外は実施例1と同様にして家電機器収納用扉を作成した。隠蔽率は97%であった。
【0015】
<比較例1〜5>
以下、絵柄模様層の隠蔽率を変えた以外は実施例1と同様にして家電機器収納用扉を作成した。それぞれの隠蔽率については後述する表1に示す。
【0016】
<性能比較>
実施例1、2、比較例1〜5の家電機器収納用扉にて作成した収納にPANASONIC NV−VP30 液晶付きダイレクトチャンネルリモコン(Gコード付)を入れて扉を閉じ、リモコンで操作を試みた。遠距離から近づいて操作可能となった距離を記録した。結果を表1に示す。
【0017】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明の家電機器収納用扉は、赤外線リモコンで操作する機器を収納するリビングボード及びサイドキャビネットなどの収納扉材として利用可能である。
【符号の説明】
【0019】
1…基材
2…バインダー層
3…シート層
4…絵柄模様層
5…着色熱可塑性樹脂層





【特許請求の範囲】
【請求項1】
家電機器を収納する家具用の扉であって、前記扉の基材が透明樹脂板及び/またはガラス板からなり、前記基材に、粘着剤からなるバインダー層を解して、隠蔽率95〜97%となるように、少なくとも着色熱可塑性樹脂層と絵柄模様層とからなるシート層を、絵柄模様層側がバインダー層側と接するようにして積層してなることを特徴とする家電機器収納用扉。

【図1】
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【公開番号】特開2010−185203(P2010−185203A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29454(P2009−29454)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(593173840)株式会社トッパン・コスモ (243)
【Fターム(参考)】