説明

家電用塗装部品、塗料及び家電製品

【課題】本発明の課題は、基材に対する密着性、光沢、硬度及び薬品耐性に優れる塗膜を有する家電用塗装部品を提供することにある。
【解決手段】本発明の家電用塗装部品としての蓋体1は、樹脂製の基材3と、前記基材3の表面に形成された塗膜2と、を有するものであって、前記塗膜2は、架橋性官能基を一分子中に3以上有する多官能(メタ)アクリレートの重合物、及び(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンを含み、前記塗膜2中の、前記多官能(メタ)アクリレートの重合物の質量(Ma)及び前記(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの質量(Mb)の合計量に対する前記(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの質量(Mb)の質量百分率(100Mb/(Ma+Mb))が、40%以上、60%以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家電用塗装部品、及びこれに使用する塗料、並びにこれを使用する家電製品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、家電製品の外装部材には、塗装された鋼板やガラス、樹脂等の多くの家電用部品が使用されている。特に樹脂は、他の材料に比較して安価でしかも軽量であるため、家電製品の部位に応じて様々なものが使用される。中でもポリプロピレンは、耐薬品性に優れ、高強度であることから家電用部品として多用されている。しかしながら、樹脂(特にポリプロピレン)は、塗装を施すのが困難であるという課題がある。
【0003】
従来、樹脂の着色技術としては、樹脂自体に顔料を分散させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この着色技術によれば、顔料由来の風合いを有する樹脂製の家電用部品を得ることができる。
しかしながら、この着色技術は、顔料の使用量が多くなるために、成形性の点で大型の家電用部品への適用が難しいという課題がある。また、この着色技術によって得られた家電用部品は、顔料を多く含むために、リサイクル性が悪くなる課題がある。
【0004】
一方、樹脂(例えば、ポリプロピレン)の塗装方法としては、塩素化ポリオレフィン等のプライマー(下塗り)を樹脂に施してから塗装するものが広く知られている。この塗装方法によれば、樹脂と塗膜との双方に付着性があるプライマーを選択することで、多種多様の塗料を樹脂上に塗装を施すことが可能となる。
しかしながら、プライマーを使用する塗装方法は、下塗り工程が増加するだけでなく、使用する溶剤量が増加することによる環境負荷への影響が新たな課題となる。
【0005】
そこで、この課題を解決するために、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート変性プロピレン系重合体と、ウレタン変性プロピレン系重合体とを含むポリプロピレン用の塗料が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
この塗料によれば、プライマーを使用せずに樹脂上に直接塗布することができる。したがって、このプライマーレス塗料によれば、プライマーに含まれる分の溶剤を使用しなくてもよいので環境負荷を低く抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−83608号公報
【特許文献2】特開2003−313331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、
従来のプライマーレス塗料(例えば、特許文献2参照)の塗膜は、洗剤、漂白剤等に対する薬品耐性や硬度が不十分となる新たな課題もある。
したがって、従来のプライマーレス塗料(例えば、特許文献2参照)は、十分な薬品耐性及び硬度を有することが要求される家電用部品に適用することができなかった。
【0008】
そこで、本発明の課題は、樹脂製の基材上にプライマーを介さないで密着性に優れた1コートの塗膜を有し、従来のプライマーレス塗料で得られた塗膜よりも硬度及び薬品耐性に優れる塗膜を有する家電用塗装部品、及びこれに使用する塗料、並びにこれを使用する家電製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決した本発明は、樹脂製の基材と、前記基材の表面に形成された塗膜と、を有する家電用塗装部品であって、前記塗膜は、架橋性官能基を一分子中に3以上有する多官能(メタ)アクリレートの重合物、及び(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンを含み、前記塗膜中の、前記多官能(メタ)アクリレートの重合物の質量(Ma)及び前記(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの質量(Mb)の合計量に対する前記(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの質量(Mb)の質量百分率(100Mb/(Ma+Mb))が、40%以上、60%以下であることを特徴とする。
【0010】
また、前記課題を解決した本発明は、架橋性官能基を一分子中に3以上有する多官能(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンと、前記多官能(メタ)アクリレートの重合反応を開始させる重合開始剤と、を含む樹脂成形体用の塗料であって、前記(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの配合量は、前記多官能(メタ)アクリレート及び前記(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの合計量100質量部に対して、40質量部以上、60質量部以下であることを特徴とする。
【0011】
また、前記課題を解決した本発明は、樹脂製の基材と、前記基材の表面に形成された塗膜と、を有する家電用塗装部品を使用した家電製品であって、前記塗膜は、架橋性官能基を一分子中に3以上有する多官能(メタ)アクリレートの重合物、及び(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンを含み、前記塗膜中の、前記多官能(メタ)アクリレートの重合物の質量(Ma)及び前記(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの質量(Mb)の合計量に対する前記(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの質量(Mb)の質量百分率(100Mb/(Ma+Mb))が、40%以上、60%以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、樹脂製の基材上にプライマーを介さないで密着性に優れた1コートの塗膜を有し、従来のプライマーレス塗料で得られた塗膜よりも硬度及び薬品耐性に優れる塗膜を有する家電用塗装部品、及びこれに使用する塗料、並びにこれを使用する家電製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は、本発明の家電用塗装部品(蓋体)を備える家電製品としての洗濯乾燥機の斜視図、(b)は、本発明の家電用塗装部品(蓋体)の部分断面図であり、(a)のIb−Ib断面を部分的に示す部分断面図である。
【図2】(a)から(c)は、図1(b)に示す家電用塗装部品(蓋体)の製造工程を模式的に示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態について適宜図面を参照しながら詳細に説明する。ここでは、まず本発明の洗濯乾燥機(家電製品)に使用する蓋体(家電用塗装部品)について説明した後に、蓋体に使用する塗料について説明する。以下の説明において、前後上下の方向は、図1(a)に示す前後上下の方向を基準とする。
【0015】
(家電製品及び家電用塗装部品)
図1(a)に示すように、洗濯乾燥機Lは、ベース4の上部に鋼板と樹脂成形品で組合わされて構成された外枠5が載せられている。外枠5の上方には洗濯物を出し入れする開口(図示省略)を開閉自在に塞ぐ蓋体1が配置されている。
なお、洗濯乾燥機Lは、特許請求の範囲にいう「家電製品」に相当し、蓋体1は、特許請求の範囲にいう「家電用塗装部品」に相当する。
【0016】
図1(a)中、符号6は、トップカバーであり、トップカバー6は、外枠5の上縁部に固定されている。このトップカバー6は、洗濯物を出し入れする前記した開口を形成すると共に、その開口縁の後部両側に一対の第1ヒンジ7a,7aを介して蓋体1を取り付けている。ちなみに、図示しないが、外枠5の内側には、洗濯・脱水槽が設けられ、蓋体1は、この洗濯・脱水槽上に所定の内蓋を介して配置されることとなる。
【0017】
本実施形態での蓋体1は、図1(a)に示すように、平面視で略矩形を呈しており、操作パネル8が上面に配置された前半体1aと、後半体1bとが第2ヒンジ7bを介して連結されて構成されている。
【0018】
この蓋体1は、第1ヒンジ7a,7a周りに後半体1bが後方に回動すると、第2ヒンジ7b部分で山折れになりつつ、前半体1aの前端が後方にスライド移動することで、前記した開口が開かれることとなる。
【0019】
蓋体1は、図1(b)に示すように、基材3と、この基材3の表面に形成された塗膜2とで形成されている。
【0020】
基材3は、ポリプロピレンで形成された板体である。
このポリプロピレンとしては、ゴム成分が少なく、薬品耐性に優れるグレードのものが望ましい。ちなみに、一般に、ゴム成分が少ないポリプロピレンは、特に塗膜の密着性が悪いとされている。
なお、図1(b)は、基材3の上側、つまり図1(a)に示す蓋体1の上側のみを部分的に示している。また、図1(b)には、次に説明する塗膜2が基材3の上側面にのみ形成された様子を示しているが、この塗膜2は、基材3の表面の全て(表裏、及びエッジを含む全て)を覆うように形成されている。
【0021】
塗膜2は、基材3の表面に塗布された本発明の塗料の硬化物、言い換えれば、後に詳しく説明するように、一分子中に3以上の架橋性官能基を有する多官能(メタ)アクリレートを重合させた重合物と、(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンとを含むものである。
【0022】
本実施形態での多官能(メタ)アクリレートは、詳しくは後記するように、例えば(メタ)アクリル基、ビニル基、アリル基等の重合性炭素間二重結合を有する架橋性官能基を有するものであり、この重合物は、主に塗膜2の硬度、耐候性、及び薬品耐性を向上させるものと考えられる。ちなみに、多官能(メタ)アクリレートの3以上の架橋性官能基は、重合物中で多官能(メタ)アクリレートあたり3以上の架橋性官能基が結合に関与していることが望ましい。
【0023】
また、本実施形態での(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンは、主に塗膜2の基材3(ポリプロピレン)に対する密着性を向上させるものと考えられる。しかしながら、塗膜2中における多官能(メタ)アクリレートの重合物及び(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの作用効果は、これらが協働して発揮するものと考えられ、多官能(メタ)アクリレートの重合物及び(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンは、次のような比率で塗膜2中に含まれる必要がある。
【0024】
具体的には、塗膜2は、多官能(メタ)アクリレートの重合物の質量(Ma)及び(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの質量(Mb)の合計量に対する(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの質量(Mb)の質量百分率(100Mb/(Ma+Mb))が、40%以上、60%以下でなければならない。
【0025】
このように塗膜2中の(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの比率を前記した範囲に設定することによって、塗膜2は、基材3(ポリプロピレン)に対する密着性、硬度及び薬品耐性の全てに優れたものとなる。
【0026】
また、塗膜2は、顔料を更に含むことができる。
顔料としては、特に制限はなく、公知の顔料を使用することができる。中でも、厚さ0.01mm以下の鱗片状の金属箔や、粉末状の無機物は、少ない使用量で塗膜2に金属色や反射輝度の高い表面状態を付与することができ、家電用塗装部品の意匠性を多様にすることができるので特に好ましい。
【0027】
鱗片状の金属箔としては、例えば、アルミフレーク、ステンレスフレーク、ニッケルフレーク等が挙げられる。
粉末状の無機物としては、例えば、マイカ、チタニア、ガラス等が挙げられる。
【0028】
本実施形態での塗膜2における顔料の比率は、多官能(メタ)アクリレートの重合物の質量(Ma)及び前記(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの質量(Mb)の合計量に対する前記顔料の質量(Mc)の比(100Mc/(Ma+Mb))で、50以下となるように設定することが望ましい。
このような範囲で顔料を含む塗膜2は、基材3(ポリプロピレン)に対する密着性、硬度及び薬品耐性が阻害されることなく、顔料による風合いを発現することができる。
【0029】
また、顔料は、その表面が有機分子で被覆されており、この有機分子が前記した多官能(メタ)アクリレートの重合物と化学的に結合しているものが望ましい。
このような有機分子としては、顔料の粒子の表面に存在する官能基と共有結合する官能基と、前記した多官能(メタ)アクリレートの架橋性官能基と重合する架橋性官能基とを有するものが望ましい。
【0030】
このような有機分子としては、例えば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を主として挙げられるがこの他にチオール系、カルボン酸系、リン酸系、アルミキレート、チタネート等の顔料との結合成分と(メタ)アクリレートとの架橋性官能基を有する各種カップリング剤が挙げられる。
なお、このような有機分子の顔料に対する被覆量としては、顔料の表面に有機分子の単分子膜が形成される程度でよい。
【0031】
このような有機分子で被覆された顔料は、塗膜2中で多官能(メタ)アクリレートの重合物と化学結合を形成することで塗膜2全体の硬化度合いを改善すると共に、塗膜2全体の耐久性を高めることができる。
【0032】
また、このような有機分子で被覆された顔料は、次に説明する塗料中の多官能(メタ)アクリレートや、(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィン、又はこれらの混合物中で、良好な分散性を発揮することができる。
【0033】
また、このような有機分子で被覆された顔料は、次に説明する塗料に含まれる多官能(メタ)アクリレートの重合が紫外線照射や電子線照射によって行われる場合(以下、単に「光重合」ということがある)に、顔料を含むことで塗料内部(深部)に存在する多官能(メタ)アクリレートに対する紫外線等の照射量が低減したとしても、顔料を被覆する有機分子によって重合反応を促進することができるので好ましい。
【0034】
以上のような塗膜2の厚さは、家電製品の塗装に係る分野で通常行われる厚さに設定することができる。
【0035】
(塗料)
本実施形態に係る塗料は、ポリプロピレンの塗装に最も適したものであって、後記するように、本実施形態では、特許請求の範囲にいう「樹脂成形体」としてのポリプロピレン製の基材3(図2(a)参照)に適用される。
この塗料は、前記したように、架橋性官能基を一分子中に3以上有する多官能(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンと、多官能(メタ)アクリレートの重合反応を開始させる重合開始剤と、を含んでいる。
【0036】
本実施形態での多官能(メタ)アクリレートは、前記したように、例えば、(メタ)アクリル基、ビニル基、アリル基等の重合性炭素間二重結合を有する架橋性官能基を一分子中に3以上有するものである。
【0037】
具体的な多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、リン酸トリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、及びこれらの誘導体等が挙げられる。また、本実施形態での多官能(メタ)アクリレートとしては、モノマー以外に、例えば、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリブタジエンアクリレート等の重合性炭素間二重結合を3以上含むオリゴマーを用いることもできる。
【0038】
(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンとしては、例えば、(メタ)アクリルモノマーを、過酸化物の存在下で、塩素化ポリオレフィンにグラフト重合させて得られるものが挙げられる。
(メタ)アクリルモノマーとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられる。
また、(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンは、水酸基含有(メタ)アクリルモノマーを、過酸化物存在下で、塩素化ポリオレフィンにグラフト重合させて得られる、水酸基含有(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンであってもよい。
ここで使用される水酸基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0039】
このような(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの数平均分子量(Mn)は、1000から50万の範囲内に設定されたものが望ましい。
また、(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの塩素化度(塩素含有率)は、1〜50質量%の範囲内に設定されたものが望ましい。
ちなみに、(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの数平均分子量(Mn)、塩素化度(塩素含有率)、グラフト重合条件等のパラメータは、前記した多官能(メタ)アクリレートや後記する重合開始剤、溶剤等の塗料の他の成分に対する相溶性、更には塗膜2(図1(b)参照)に付与する硬度等の物性を考慮して適宜に設定することができる。
このような本実施形態での(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンとしては、上市品を使用することもできる。
【0040】
塗料中の多官能(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの配合量としては、(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの配合量が、多官能(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの合計量100質量部に対して、40質量部以上、60質量部以下とする。
ちなみに、本実施形態での多官能(メタ)アクリレートの配合量は、多官能(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの合計量100質量部に対して、40質量部以上、60質量部以下となるが、この配合量は全ての多官能(メタ)アクリレートが重合した場合の配合量で規定している。
【0041】
この塗料においては、多官能(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの配合量を前記した範囲とすることで、図1(b)に示す基材3(ポリプロピレン)に対する密着性、硬度及び薬品耐性の全てに優れた塗膜2(図1(b)参照)を形成することができる。
【0042】
重合開始剤は、熱、光等のエネルギーによって塗料中の多官能アクリレートの重合(架橋)を開始して塗料を硬化させるものである。
この重合開始剤としては、例えば、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤、遷移金属系の各種重合触媒等が挙げられる。また、光重合を行う際には、光源としてのメタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、紫外線LED等の種別に応じて、ベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサンソン系、パーオキシド系の各種光重合開始剤(ラジカル重合開始剤)を適宜選択して使用することができる。
本実施形態での重合開始剤としては、上市品を使用することもできる。
【0043】
塗料中の重合開始剤の配合量は、熱重合又は光重合のいずれの重合方法を選択するか、又は重合速度等に応じて適宜に設定することができるが、多官能(メタ)アクリレート100質量部に対して、0.01質量部以上、20質量部以下の範囲内に設定することが望ましい。
このような範囲で重合開始剤を含む塗料は、より良好な耐久性及び物性を有する塗膜2(図1(b)参照)を形成することができる。
【0044】
また、塗料には、前記した顔料を含めることができる。
塗料中の顔料の配合量は、多官能(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの配合量の合計量100質量部に対して、50質量部以下であることが望ましい。
この塗料においては、顔料の配合量を前記した範囲とすることで、図1(b)に示す基材3(ポリプロピレン)に対する密着性、光沢、硬度及び薬品耐性が阻害されることなく、顔料による風合いを発現することができる。
【0045】
また、本実施形態に係る塗料は、各種溶媒を含むことができる。
この溶媒としては、例えば2−ブタノン、ジメチルアセトアミド、トルエン、キシレン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−メチルプロパノール、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等が挙げられる。これらの溶媒は、塗料を調製する環境の温度や湿度に応じて1種、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、これらの溶媒と併せて又は単独で、単官能(メタ)アクリレート、ビニルモノマー等の反応性希釈剤を溶媒として使用することもできる。
【0046】
本実施形態での溶媒は、前記した多官能(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの粘度を調製することができ、塗料を調製する際にこれらの取り扱い(溶解度の調整等)を容易にする。また、これらの溶媒によれば、得られた塗料の流動性や乾燥速度を調整することができる。
【0047】
また、本実施形態に係る塗料は、可塑剤、乾燥剤、分散剤、沈降防止剤、防カビ剤、レベリング剤、安定化剤等の他の成分を含むことができる。
【0048】
本実施形態に係る塗料は、以上のような構成成分が均一となるように、公知の混合機等によって混合することで得ることができる。
【0049】
(家電用塗装部品の製造方法)
次に、家電用塗装部品としての蓋体1(図1(b)参照)の製造方法について説明する。次に参照する図2(a)から(c)は、蓋体1の製造工程を模式的に示す工程図である。
図2(a)に示すように、この製造方法では、まず基材3を用意する。この基材3は、図1(a)に示す蓋体1(後半体)の外形と略同じ形状を呈したポリプロピレンの成形体である。この基材3は、特許請求の範囲にいう「樹脂成形体」に相当する。
【0050】
次に、この基材3の表面に、前記した塗料による塗装が施されるが、この塗装に先立って、基材3には表面処理を施すことができる。
この表面処理としては、例えば、水、エタノール、ヘキサン等による洗浄処理、火炎処理、紫外線照射、コロナ放電、プラズマ等による洗浄処理が挙げられる。
【0051】
次に、図2(b)に示すように、基材3に前記した塗料10による塗装が施される。ちなみに、図2(b)は、溶剤を含む塗料10を使用した場合を想定した工程を模式的に示しているが、溶剤を含まない塗料を使用して基材3に塗装を施してもよい。
なお、塗装方法としては、特に制限はなく、スプレー法等の公知の塗装方法を使用することができる。
【0052】
次に、基材3に塗布した塗料10を乾燥させて塗料中の溶媒を除去した後に、塗料10に含まれる多官能(メタ)アクリレートを重合させることによって塗料10を硬化させる。多官能(メタ)アクリレートの重合方法としては、前記したように、熱重合及び光重合のいずれの重合方法をも使用することができる。
その結果、図2(c)に示すように、基材3上に塗膜2を有する家電用塗装部品としての蓋体1が得られる。
なお、硬化した塗膜2は、多官能(メタ)アクリレートの重合物中に、(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンが均一に存在することとなる。
【0053】
なお、図2(b)に示す塗料10の厚さと、図2(c)に示す塗膜2の厚さとの差は、塗料10を乾燥させて溶媒を除去した様子を模式的に示したものであり、図2(b)及び(c)は、塗料10の厚さと塗膜2の厚さとの相対的な差を示したものではなく、また、溶媒を除去した後の塗料10(以下の説明ではこの符号を省略する)の現実の厚さを示すものでもない。
【0054】
以上のような、本実施形態に係る塗料によれば、従来のプライマーレス塗料(例えば、特許文献2参照)で得られた塗膜と比較して、密着性、硬度及び薬品耐性の全てに優れた塗膜2を有する蓋体1(家電用塗装部品)、及びこの蓋体1を使用した洗濯乾燥機L(家電製品)を得ることができる。
また、本実施形態に係る塗料によれば、基材3(ポリプロピレン)上に、プライマーを介さないで1コートの塗膜2を有する蓋体1(家電用塗装部品)、及びこの蓋体1を使用した洗濯乾燥機L(家電製品)を得ることができる。
したがって、本実施形態に係る塗料、蓋体1(家電用塗装部品)、及び洗濯乾燥機L(家電製品)によれば、プライマーを使用しないので、製造工程及び製造コストが低減して生産性が向上すると共に、プライマーに含まれる分の溶剤を使用しなくてもよいので環境負荷を低く抑えることができる。特に、本実施形態に係る塗料は、特にゴム成分の少ないポリプロピレンにも塗膜2を密着させることができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、種々の形態で実施することができる。
前記実施形態では、ポリプロピレン用の塗料、及びポリプロピレン製の基材3を有する蓋体1(家電用塗装部品)、及びこの蓋体1を使用した洗濯乾燥機L(家電製品)について説明したが、本発明の塗料は、ポリスチレン等の他のポリオレフィンや、その他の樹脂(例えばABS樹脂等)からなる基材3にも使用することができ、その塗膜2は、基材3に対する密着性、硬度及び薬品耐性に優れるものとなる。
【0056】
また、前記実施形態では、家電製品としての洗濯乾燥機L、及び家電用塗装部品としての洗濯乾燥機Lの蓋体1について説明したが、本発明が適用される家電製品及び家電用塗装部品はこれに限定されるものではなく、少なくとも塗装を施すことが望まれる樹脂製の家電用塗装部品、具体的には、掃除機、炊飯器、エアーコンディショナー、空気清浄機等の家電製品に使用される家電用塗装部品に適用することができる。そして、本発明は、前記した洗濯乾燥機Lのほか、洗濯物との摩擦や、洗剤、漂白剤等との接触が常に起こりうる苛酷な環境で使用される洗濯機、乾燥機等の家電製品及びその家電用塗装部品に適用されることが好ましい。
【0057】
また、前記実施形態では、基材3に顔料を含まないものを想定しているが、本発明は基材3に顔料を含むものであってもよい。
【実施例】
【0058】
次に、本発明の作用効果を確認した実施例について図1(a)及び(b)の符号を適宜参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1から実施例5)
本実施例では、蓋体1(後半体1b)と略同じ形状を有する樹脂製の板状部材(基材3)を射出成形法により作製した。
樹脂には、ポリプロピレン(サンアロマー社製、商品名PM970W)を使用した。
その一方で、実施例1から実施例5で使用した塗料をそれぞれ調製した。
塗料は、以下の表1に示す多官能アクリルモノマー、アクリル変性塩素化ポリオレフィン(日本製紙ケミカル社製、商品名スーパークロン(登録商標)223M)、及び重合開始剤(長瀬産業社製、商品名イルガキュア(登録商標)184)を表1に示す配合量で含むと共に、更に、溶剤としてのトルエンを100質量部含み、これらが均一に混合されたものを使用した。
【0059】
【表1】

【0060】
なお、表1中、多官能アクリルモノマーとして「DPHA」と略記したジペンタエリスリトールヘキサアクリレートは、架橋性官能基を6つ有し、多官能アクリルモノマーとして「PETeA」と略記したペンタエリスリトールテトラアクリレートは、架橋性官能基を4つ有し、多官能アクリルモノマーとして「TMPETA」と略記したトリメチロールプロパンエトキシトリアクリレートは、架橋性官能基を3つ有するものである。
【0061】
また、アクリル変性塩素化ポリオレフィンとしてのスーパークロン(登録商標)223Mは、塩素化ポリプロピレン(塩素化率25%)であって、アクリル樹脂比が20/80(固形分比)、重量平均分子量が100000である。また、重合開始剤としてのイルガキュア(登録商標)184は、ラジカル系光重合開始剤である。
【0062】
次に、実施例1から実施例5では、前記した樹脂製の板状部材(基材3)に、調製した塗料をスプレー法により塗装し、5分間のセッティング時間経過後に、80℃の条件で防爆式乾燥炉中にて10分間の熱処理を施すことで塗料中の溶剤を揮発させて塗料を乾燥させた。
【0063】
次いで、乾燥させた塗料に、高圧水銀ランプ(ウシオ電機社製)で紫外線照射を行って塗料を硬化させた。なお、紫外線照射は、窒素雰囲気中で1000mJ/cmの積算光量となる条件で行った。
その結果、実施例1から実施例5では、樹脂製の板状部材(基材3)の表面に平均厚さが15μmのクリアな塗膜2が形成され、家電用塗装部品としての蓋体1(後半体1b)が得られた。
【0064】
次に、実施例1から実施例5では、得られた塗膜2に対して、次の密着性試験、光沢判定、硬度試験、及び薬品耐性試験を行った。
【0065】
<密着性試験>
この密着性試験では、JIS−K5600−5−6に準拠したクロスカット法により、基材3に対する塗膜2の密着性を評価した。粘着テープには、ニチバン社製、商品名セロテープ(登録商標)No.405を使用した。その評価結果を表1に示す。
密着性の評価は、塗膜2の剥離が認められなかったものを「○」とし、クロスカットの角部の塗膜2が剥離したものを「△」とし、塗膜2のほとんどが剥離したものを「×」とした。
【0066】
<光沢判定>
この光沢判定では、塗膜2を自然昼光のもとで目視にて観察することで光沢の有無を判定した。その結果を表1に示す。光沢判定は、光沢が認められたものを「○」とし、認められなかったものを「×」とした。
【0067】
<硬度試験>
この硬度試験では、JIS−K5600−5−4に準拠した引っかき硬度(鉛筆硬度)を評価した。鉛筆には、三菱鉛筆社製、商品名Hi−uniを使用した。その結果を硬度として表1に示す。
【0068】
<薬品耐性試験>
この薬品耐性試験では、塗膜2に、洗濯用液体柔軟剤(ライオン社製、商品名アクロン)及び洗濯用液体洗剤(花王社製、商品名アタック)の原液をそれぞれ塗膜2に滴下し、40℃にて24時間放置した後の外観の変化を目視で観察した。その結果を表1に示す。薬品耐性の評価は、洗濯用液体柔軟剤及び洗濯用液体洗剤の両方に対して外観の変化を生じなかったものを「○」とし、洗濯用液体柔軟剤及び洗濯用液体洗剤のいずれかに対して、僅かに曇りを生じたものを「△」とし、洗濯用液体柔軟剤及び洗濯用液体洗剤のいずれかに対して、明確な曇りを生じたものを「×」とした。
【0069】
(比較例1から比較例5)
本比較例では、表1に示す多官能アクリルモノマー、アクリル変性塩素化ポリオレフィン(日本製紙ケミカル社製、商品名スーパークロン(登録商標)223M)、及び重合開始剤(長瀬産業社製、商品名イルガキュア(登録商標)184)を表1に示す配合量で含むと共に、更に、溶剤としてのトルエンを100質量部含み、これらが均一に混合された塗料を使用した以外は、実施例1から実施例5と同様に、塗料を調製し、この塗料を使用して、実施例1から実施例5と同様に、基材3上に塗膜2を形成した。
なお、表1の比較例5において、多官能アクリルモノマーとして「HDDA」と略記した1,6−ヘキサンジオールジアクリレートは、架橋性官能基を2つ有するものである。
そして、得られた塗膜2について、実施例1から実施例5と同様に、密着性試験、光沢判定、硬度試験、及び薬品耐性試験を行った。その結果を表1に示す。
【0070】
(実施例6及び実施例7)
本実施例では、表1に示す多官能アクリルモノマー、アクリル変性塩素化ポリオレフィン(日本製紙ケミカル社製、商品名スーパークロン(登録商標)223M)、及び重合開始剤(長瀬産業社製、商品名イルガキュア(登録商標)184)を表1に示す配合量で含むと共に、溶剤としてのトルエンを100質量部、更には表1に示す顔料を5質量部含み、これらが均一に混合された塗料を調製した。
【0071】
顔料としては、表面処理を施したアルミフレークを使用した。
実施例6の表面処理アルミフレークは、次の手法で得られたものである。
この手法では、まず3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製、商品名KBM503)0.01gをトルエン50gに溶解したシランカップリング剤溶液を調製した。次に、70℃に加熱したシランカップリング剤溶液に、アルミフレーク(東洋アルミ社製、商品名5660NS)1gをトルエン50gに分散させた分散液を加えて10分間攪拌混合した。その後、この混合物を室温まで冷却して沈殿物を分離し、この沈殿物をトルエンで洗浄し、乾燥することで表面処理アルミフレークを得た。
【0072】
また、実施例7の表面処理アルミフレークは、実施例6の3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製、商品名KBM503)に代えて、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製、商品名KBM5103)を使用した以外は、実施例6と同様のプロセスで得られたものである。
【0073】
次に、調製した塗料を使用して、実施例1から実施例5と同様にして、基材3上に塗膜2を形成した。塗膜2は、メタリックの色調を呈していた。
そして、得られた塗膜2について、実施例1から実施例5と同様に、密着性試験、光沢判定、硬度試験、及び薬品耐性試験を行った。その結果を表1に示す。
【0074】
(塗膜の評価結果)
実施例1から実施例5の塗膜2は、表1に示すように、密着性試験、光沢判定、硬度試験、及び薬品耐性試験のいずれにおいても良好な結果を示している。
また、(メタ)アクリル基を有するシランカップリング剤で表面処理された顔料を含む実施例6及び実施例7の塗膜2は、密着性試験、光沢判定、硬度試験、及び薬品耐性試験のいずれにおいても特に良好な結果を示している。
【0075】
これに対して、比較例1及び比較例2では、塗膜2中の樹脂成分(多官能アクリレートの重合物及びアクリル変性塩素化ポリオレフィンの合計量)に対するアクリル変性塩素化ポリオレフィンの質量百分率が60%を上回っており、その結果、この塗膜2の硬度及び薬品耐性は実施例1から実施例5と比較して劣るものとなっている。
【0076】
また、比較例3及び比較例4では、塗膜2中の樹脂成分(多官能アクリレートの重合物及びアクリル変性塩素化ポリオレフィンの合計量)に対するアクリル変性塩素化ポリオレフィンの質量百分率が40%を下回っており、その結果、この塗膜2の基材3に対する密着性は実施例1から実施例5と比較して劣るものとなっている。
【0077】
また、比較例5では、架橋性官能基の数が3つに満たない多官能アクリレートを使用していることから、この塗膜2の硬度及び薬品耐性は実施例1から実施例5と比較して劣るものとなっている。
【0078】
以上のように、本発明に係る塗料によれば、ポリプロピレン製の基材3に対する密着性、光沢、硬度、及び薬品耐性の全てに優れた塗膜2を得ることができることが確認された。
【符号の説明】
【0079】
1 蓋体(家電用塗装部品)
1a 前半体(家電用塗装部品)
1b 後半体(家電用塗装部品)
2 塗膜
3 基材(樹脂成形体)
10 塗料
L 洗濯乾燥機(家電製品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製の基材と、
前記基材の表面に形成された塗膜と、
を有する家電用塗装部品であって、
前記塗膜は、架橋性官能基を一分子中に3以上有する多官能(メタ)アクリレートの重合物、及び(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンを含み、
前記塗膜中の、前記多官能(メタ)アクリレートの重合物の質量(Ma)及び前記(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの質量(Mb)の合計量に対する前記(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの質量(Mb)の質量百分率(100Mb/(Ma+Mb))が、40%以上、60%以下であることを特徴とする家電用塗装部品。
【請求項2】
前記塗膜は、顔料を更に含み、
前記塗膜中の、前記多官能(メタ)アクリレートの重合物の質量(Ma)及び前記(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの質量(Mb)の合計量に対する前記顔料の質量(Mc)の比(100Mc/(Ma+Mb))が、50以下であることを特徴とする請求項1に記載の家電用塗装部品。
【請求項3】
前記顔料の粒子の表面は、有機分子で被覆されており、
前記有機分子は、前記多官能(メタ)アクリレートの重合物と化学的に結合していることを特徴とする請求項2に記載の家電用塗装部品。
【請求項4】
架橋性官能基を一分子中に3以上有する多官能(メタ)アクリレートと、
(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンと、
前記多官能(メタ)アクリレートの重合反応を開始させる重合開始剤と、
を含む樹脂成形体用の塗料であって、
前記(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの配合量は、前記多官能(メタ)アクリレート及び前記(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの合計量100質量部に対して、40質量部以上、60質量部以下であることを特徴とする塗料。
【請求項5】
前記顔料の配合量は、前記多官能(メタ)アクリレート及び前記(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの配合量の合計量100質量部に対して、50質量部以下であることを特徴とする請求項4に記載の塗料。
【請求項6】
前記顔料の粒子の表面は、前記多官能(メタ)アクリレートの架橋性官能基と重合する架橋性官能基を有する有機分子で被覆されていることを特徴とする請求項5に記載の塗料。
【請求項7】
樹脂製の基材と、
前記基材の表面に形成された塗膜と、
を有する家電用塗装部品を使用した家電製品であって、
前記塗膜は、架橋性官能基を一分子中に3以上有する多官能(メタ)アクリレートの重合物、及び(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンを含み、
前記塗膜中の、前記多官能(メタ)アクリレートの重合物の質量(Ma)及び前記(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの質量(Mb)の合計量に対する前記(メタ)アクリル変性塩素化ポリオレフィンの質量(Mb)の質量百分率(100Mb/(Ma+Mb))が、40%以上、60%以下であることを特徴とする家電製品。
【請求項8】
洗濯乾燥機、洗濯機又は乾燥機であることを特徴とする請求項7に記載の家電製品。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−132290(P2011−132290A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290675(P2009−290675)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】