説明

容器に中身を充填するための充填装置

【課題】食品産業における容器に中身を充填するための充填装置であり、充填量を決定するための少なくとも一つの計量手段を具備し、充填量に関し、正確でより信頼性の高い充填装置を提供すること。
【解決手段】上記少なくとも一つの計量手段は少なくとも一つの圧電素子203を具備し、充填されるべき容器201の質量、特に質量の増加を前記少なくとも一つの圧電素子を利用して決定可能なように、とりわけ設計及び/または配置され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填量を決定するための少なくとも一つの計量手段を具備する、食品産業における容器に中身を充填するための充填装置に関係する。
【背景技術】
【0002】
食品産業において、充填作業は、容器の充填量に基づいて充填中に制御されることが多い。例えば、容器の充填は、所定の充填量に達すると終了可能にされる。充填中に充填量を測定する一つの可能性は、歪みゲージを用いて充填されるべき容器の質量を測定し、その測定質量から充填量を算定する計量手段を使用することである。
【0003】
このためには、変形時に自らの電気抵抗を変える歪みゲージが、特別な接着剤である構成部分に接着され、この構成部分は充填作業中に荷重を受けて最小変形する部分である。この変形(膨張)は、それに呼応した歪みゲージの抵抗の変化を引き起こし、次いで、この抵抗の変化から充填されるべき容器の質量または重量が算定され得る。
【0004】
このような充填装置は、例えば、特許文献1または特許文献2から知られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第1025424号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102008030721(A)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、歪みゲージの耐用寿命は予め決められた測定回数に、通常、およそ1000万回の測定回数に制限されることが上記の充填装置の不利点である。この寿命点を超えた歪みージの使用は、素材疲労による誤った測定結果を生じさせる可能性があり、それに伴い、不正確な充填量が結果的に生じる恐れがある。本発明の目的は、したがって、食品産業における容器に中身を充填するための、より信頼性の高い充填装置を提供することである。この目的は請求項1による充填装置によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
食品産業における容器に中身を充填するための本発明の充填装置は、充填量を決定するための少なくとも一つの計量手段を具備し、上記少なくとも一つの計量手段は少なくとも一つの圧電素子を具備する。
【0008】
圧電素子は、本質的に、疲労することなく動作できるものであるので、上記少なくとも一つの圧電素子の使用によって、上記少なくとも一つの計量手段ひいては本充填装置の信頼性が向上可能である。
【0009】
したがって、本充填装置は、特に、食品産業における、例えば、飲料などの液体の媒体または粘性のある媒体を容器に充填するための計量充填器、計量セル充填器または重量充填器であり得る。
【0010】
本充填装置は、特に、飲料産業における容器に中身を充填するための充填装置であり得る。
【0011】
本充填装置は、上記少なくとも一つの計量手段が充填動作中に充填量を決定し、その決定された充填量に基づいて充填動作を制御するように設計及び/または構成可能である。例えば、本充填装置は、所定の充填量に達すると充填動作が停止されるように設計及び/または構成可能である。
【0012】
上記容器は、例えば、ボトル、特に、プラスチック製及び/またはガラス製のボトルであり得る。プラスチック製のボトルは、特に、ポリエチレン・テレフタレート(PET)を含んでなるものまたはPETからなるものであり得る。
【0013】
設計に応じて、本充填装置は、一方では、例えば、ミルクまたはジュースといった無菌で充填されるべき製品に使用可能であり、他方では、例えば、食用油などの無菌処理せずに充填されるべき製品にも使用可能であり、あるいは、いわゆるESL(長期保存可能)製品、すなわち、例えば、ミルクセーキ、飲めるヨーグルト等の低温流通体系で流通される充填製品に使用可能である。
【0014】
上記少なくとも一つの圧電素子は、充填されるべき容器の質量、特に質量の増加を前記少なくとも一つの圧電素子を利用して決定可能なように、とりわけ設計及び/または配置され得る。
【0015】
上記少なくとも一つの圧電素子は、具体的には、圧電センサーであり得る。上記少なくとも一つの圧電素子は、特に、少なくとも一つの圧電性結晶を含んでなるまたは少なくとも一つの圧電性結晶からなることができる。
【0016】
上記少なくとも一つの圧電素子は、充填動作中に容器の増加する質量が上記少なくとも一つの圧電素子の圧電性結晶を変形するように配置され得る。圧電性結晶のこの歪みまたは変形によって、結晶の相対的変形に正比例する電荷が結晶中で放出される。こうして発生した電荷は、電荷増幅器によって電圧に変換可能であり、次に、測定された電圧は、例えば、制御部によって評価され得る。このようにして、充填量を決定できる。ここで、好ましくは、決定は連続的にあるいは段階的に完遂可能である。
【0017】
言い換えれば、上記少なくとも一つの計量手段は、上記少なくとも一つの圧電素子で発生した電荷を電圧に変換するための少なくとも一つの電荷増幅器を具備できる。上記少なくとも一つの計量手段は、さらに、とりわけ、電荷増幅器によって生成された電圧に基づいて充填量を決定するための制御部を具備できる。
【0018】
上記少なくとも一つの圧電素子は、二酸化ケイ素 (SiO)を含んでなり得る。特に、上記少なくとも一つの圧電素子の圧電性結晶は、二酸化ケイ素を含んでなるまたは二酸化ケイ素からなることができる。しかし、ジルコニウム酸-チタン酸鉛(PZT)などの、その他のどんな圧電材料でも使用可能である。
【0019】
本充填装置は、少なくとも一つの充填動作部をさらに具備できる。上記少なくとも一つの充填動作部は、充填管と充填バルブを具備することができ、上記充填管は、必ずではないが、とりわけ、充填されるべき容器の内部へ少なくとも部分的に配置されることが可能であり、充填されるべき液体の媒体または粘性のある媒体の容器への導入は、上記充填バルブまたはその制御システムによって個々に制御可能である。
【0020】
本充填装置は、とりわけ、複数個の充填動作部を具備することができ、上記充填動作部の各々が少なくとも一つの圧電素子を備える計量手段を具備する。
【0021】
各充填動作部の上記計量手段は、別個の電荷増幅器及び/または別個の制御部を具備することができる。代替として、一つの電荷増幅器及び/または制御部が、複数個の充填動作部のそれぞれの上記少なくとも一つの圧電素子に対して装備されることが可能である。言い換えれば、上記制御部は中央制御部とすることができる。
【0022】
本充填装置は、少なくとも一つの搬送装置をさらに具備することができ、上記搬送装置は、本充填装置の充填動作部へ空の容器を運び、充填動作後に本充填装置から充填された容器を送り出すように設計される。
【0023】
本充填装置は、充填されるべき容器が上記少なくとも一つの圧電素子に機械的に接続されるように設計され得る。これによって、充填動作中に、容器の増加する質量が上記少なくとも一つの圧電素子の変形を生じさせることができる。上記に説明したとおり、この変形が、ここでも同じく、充填量を決定するために利用され得る。
【0024】
上記少なくとも一つの圧電素子は、とりわけ、充填動作中に圧縮及び/または膨張されるように配置され得る。
【0025】
本充填装置は、充填されるべき容器が上記少なくとも一つの圧電素子に少なくとも一つのレバーを介して接続されるように設計され得る。こうすることによって、特に、ESL充填または無菌充填などの衛生に対する高い要求があり、したがって必須になる衛生対処策を伴う充填動作によって製品の飛び散りによる不純物を最小限に抑えるまたは防止するような用途については、圧電素子は、充填動作部の飛散ゾーンの外に有利に保持可能とされる。
【0026】
本充填装置は、充填されるべき容器が上記少なくとも一つの圧電素子に直接接続されるまたは間接的に接続されるように設計され得る。
【0027】
本充填装置は、とりわけ、充填されるべき容器と上記少なくとも一つの圧電素子の間にカバー部材が配置されるように設計され得る。充填されるべき容器は上記少なくとも一つの圧電素子にこうして間接的にだけ接触するので、上記少なくとも一つの圧電素子は損傷から保護可能とされる。代替として、上記少なくとも一つの圧電素子は、上記カバー部材に固着または固定され得る。さらに、上記少なくとも一つの圧電素子は、上記カバー部材に固着または固定可能であり、上記カバー部材は交換可能であり得る。したがって、保守/修理のために、一つの計量手段のすべての圧電素子を一度に取外し、交換、及び/または再取付けすること可能である。
【0028】
上記カバー部材は、例えば、プラスチックを含んでなるまたはプラスチックからなることができる。これには、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)またはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)が有利であるとわかった。これらのプラスチックは、カバー部材を瓶詰工場で使用される洗浄剤や殺菌剤に反応しにくくする高い耐薬品性を示すからである。同じ理由で、ステンレス鋼もカバー部材用に使用可能である。
【0029】
本充填装置は、充填されるべき容器を保持するための取付け部をさらに具備することができ、上記少なくとも一つの圧電素子はこの取付け部の領域に配置される。
【0030】
取付け部は、具体的には、少なくとも一つのクランプ・アームをもつクランプとすることができ、上記少なくとも一つの圧電素子は上記クランプ・アームの内部及び/または表面に配置される。ここで、クランプ・アームの表面とは、とりわけ、上記少なくとも一つの圧電素子がクランプ・アームの所定の表面領域に配置されることを意味し得る。
【0031】
上記取付け部は、例えば、ボトルの首の部位でボトルを保持するためのネック・ハンドリング・クランプであり得る。ここで、上記ネック・ハンドリング・クランプは、少なくとも一つのクランプ・アームを具備することができ、上記少なくとも一つの圧電素子は上記クランプ・アームの内部及び/または表面に配置される。
【0032】
上記充填されるべき容器は、上記取付け部、特にネック・ハンドリング・クランプの所定の表面領域に載る支持用リングをとりわけ備えることできる。上記少なくとも一つの圧電素子は、この場合、上記取付け部、特にネック・ハンドリング・クランプの上記所定の表面領域に配置され得る。
【0033】
上記取付け部は、例えば、底を担持する部材であり得る。底を担持する部材は、充填動作中に充填されるべき容器の底が載る取付け部または受け台部材として定義され得る。上記少なくとも一つの圧電素子は、上記受け台部材、特に底を担持する部材の内部及び/または表面に配置される。
【0034】
上記少なくとも一つの計量手段は、少なくとも一つのバネ部材をさらに具備することができる。上記少なくとも一つのバネ部材によって、充填されるべき容器の空の重量を意味する風袋重量を補正できるまたは計算に入れることができる。上記バネ部材は、ぜんまいバネまたはその他の種類のバネ、エラストマーの成形体、及び空気圧で支持されたピストン‐シリンダー部材など、一定の圧力がかかるたびに所定の変形位置まで移行し、圧力負荷が終了すると同じ非変形状態の元の位置へ再び戻る、いずれかの弾性変形可能な部材または圧力を受けて規定の様態で変形可能な部材として定義され得る。
【0035】
上記少なくとも一つのバネ部材は、充填されるべき容器が上記少なくとも一つのバネ部材に間接的または直接的に機械的に接続されるように、とりわけ配置及び/または具現され得る。
【0036】
特に、上記少なくとも一つのバネ部材は、充填されるべき容器が上記少なくとも一つのバネ部材を変形するように、その結果、上記充填されるべき容器が上記少なくとも一つの圧電素子に機械的接触をするように配置及び/または具現され得る。適切に選択されたバネ部材によって、空の容器の質量はこうして対処可能であり、上記少なくとも一つの圧電素子が充填による容器の質量の増加の結果としてだけ変形され、したがって、充填重量を直接的に決定できる。
【0037】
好ましくは、上記バネ部材は、交換可能及び/または調整可能であり、特に、自動調整可能である。これによって、例えば、異なる充填バッチによる異なる空の容器の重量に対処できる。好ましくは、一つの計量装置のすべての交換可能なバネ部材は一度に交換され得る。好ましくは、自動調整可能なバネ部材は、充填手段のすべての計量装置に対して一斉に同時に自動的に調整可能であり得る。
【0038】
本充填装置は、所定の電圧が上記少なくとも一つの圧電素子に印加され得るように設計及び/または配置される電圧源をさらに具備することができる。これによって、上記少なくとも一つの圧電素子を変形させることができ、それに伴い、例えば、取付け部を開始位置に移動させることができる。
【0039】
本発明はさらに、食品産業における容器に中身を充填するための充填装置において、充填量を決定するための少なくとも一つの圧電素子の使用を提供する。
【0040】
上記少なくとも一つの圧電素子、上記充填装置及び/または上記容器は、上述した特徴の少なくとも一つを有し得る。
【0041】
本発明はさらに、下記のステップを有する、食品産業における容器に特に液体を充填するための方法を提供する。
【0042】
上述した充填装置を提供するステップ、
少なくとも一つの圧電素子の電荷を決定するステップ、及び
決定された電荷に基づいて、充填量を決定するステップ。
【0043】
上記少なくとも一つの圧電素子、上記充填装置及び/または上記容器は、上述した特徴の少なくとも一つを有し得る。
【0044】
例示的な図を参照して、本発明のさらなる特徴と利点を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】例示的な充填装置の一部分の平面図を示す。
【図2】例示的な充填装置の一部分の側面図を示す。
【図3】別の例示的な充填装置の一部分の側面図を示す。
【図4】別の例示的な充填装置の一部分の側面図を示す。
【図5】別の例示的な充填装置の一部分の側面図を示す。
【図6】別の例示的な充填装置の一部分の側面図を示す。
【図7】別の例示的な充填装置の一部分の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
ここに示す例示的な図では、ボトルが充填されるべき容器として示される。しかし、例えば、缶または合成カートン・パッケージといった食品産業で使用されるその他のどんな容器でも、例示的な充填装置によって中身を充填することができる。
【0047】
ここに示す図では、例示的な充填装置の一部をなすいくつかの部分だけが説明のために示される。例示的な充填装置は、具体的には、複数個のこのような部分とさらに図示されない構成要素をも含んで構成可能である。
【0048】
例示的な充填装置は、回転式の機械または直線状の機械として具現可能であり、複数個の充填動作部を含んで構成可能である。回転式の機械の場合には、これらの充填動作部は、好ましくは、ローターの外周に均等に分散配置され得る。これらの充填動作部は、好ましくは、連続的に作動可能である。直線状の機械は、好ましくは、不連続的に作動され得る。例えば、飲料などの液体の媒体または粘性のある媒体を充填可能とされる。充填されるべき媒体の温度は、高温充填での高温と低温充填での低温の間で可変である。
【0049】
図1と図2は、いわゆるネック・ハンドリングによって、ボトルの首の部位が取付け部に保持されるボトルに中身を充填するための例示的な充填装置を示す。
【0050】
図1は、ここでは、ネック・ハンドリング・クランプ102によって保持される例示的なボトル101を示す。このために、ボトル101は、ネック・ハンドリング・クランプ102の所定の表面区域に載置する支持用リングを備える。代替として、ネック・ハンドリング・クランプ102は、ボトルの首の部位を能動的につかむまたは受動的に固定する少なくとも一つのクランプ・アーム、好ましくは、少なくとも二つのクランプ・アームを備えることも可能である。
【0051】
図2は、図1に示した配置の側面図を示す。
【0052】
ボトル201は、ボトルの首の部位に支持用リング205とねじぶたでボトル201を閉めるためのねじ部206を備える。
【0053】
ネック・ハンドリング・クランプ202の領域には、具体的には、ネック・ハンドリング・クランプ202の上面に複数個の圧電素子203が配置される。4個の圧電素子203がここには示されるが、これより多い数のまたは少ない数の圧電素子203が、あるいは一つだけの圧電素子203が使用され得る。
【0054】
圧電素子203は、ネック・ハンドリング・クランプ202によって保持されたボトル201に機械的な接触をしている。具体的には、充填されるべきボトル201は、カバー部材204を介して圧電素子203に間接的に接続される。カバー部材204によって、圧電素子203は損傷から保護され得る、及び/または、ネック・ハンドリング・クランプ202の表面に少なくとも部分的に固定され得る。代替として、充填されるべきボトルは、少なくとも一つのクランプ・アーム、好ましくは、少なくとも二つのクランプ・アームをもつネック・ハンドリング・クランプによって、一つの圧電素子または複数の圧電素子に、カバー部材を介して、間接的に接続され得る。
【0055】
ボトル201に液体の媒体または粘性のある媒体が充填される場合には、ボトル201の質量または重量は、充填量に対応して増加する。それに応じて、圧電素子203は圧縮される。この変形によって圧電素子に電荷が発生し、この電荷はここに図示されない電荷増幅器によって電圧に変換され得る。これも図2には示されない中央制御部が、次に、この電圧を評価し、空の容器の質量を考慮に入れて容器中に存在する製品の質量または充填量を算定できる。プラント・オペレータが望む充填量に達すると即座に、充填装置の対応する液体バルブを閉じることができ、容器への充填動作を終了することができる。結晶変形によって発生された電圧は、作業中に連続的に測定、増幅、評価可能である。代替として、評価は非常に短い時間間隔で完遂可能であり、よってボトル中の質量増加を複数回の測定によって決定することができる。
【0056】
ボトルに中身を充填するために、充填装置は、具体的には、自由噴流充填を行なう充填動作部を備える。この場合、通常、ボトルは充填動作部の真下に置かれ、充填動作部の構成部分がボトル内に配置されることはない。代替として、ボトルと充填動作部の相対的な動きによって、充填管をボトル内に配置することが可能である。圧電素子の特性の故に、ボトル及び/または充填管が充填動作中に動くか否かは問題ではない。
【0057】
図3は、さらに別の例示的な充填装置の一部分を示す。ここでもやはり、ボトル301はネック保持クランプ302によってボトルの首の部位を保持される。ボトルは、先と同様に、首の部位に支持用リング305とねじ部306を備える。
【0058】
本充填装置、具体的には、充填装置の少なくとも一つの計量手段は、この例では2個の圧電素子303を含んでなる。さらに、可動に保持されたシリンダー307が圧電素子303の領域に配置される。これらのシリンダー307は、バネ部材308、この実施形態ではぜんまいバネによってバネで取り付けられる。バネ部材308によって、シリンダー307は、充填されるべきボトル301の縦軸に平行な方向に予め負荷がかけられることが可能であり、それによって特に、充填されるべき空の容器がバネ部材308を変形、特に圧縮するようにし、充填されるべき容器が圧電素子303と機械的な接触をするようにしている。
【0059】
言い換えれば、バネ部材308は、空のボトルが取り付けられた後には、シリンダー307が圧電素子303と同じ高さになる程度に圧縮される。ボトル301の空の質量、すなわち、風袋重量をこのようにして差し引くことができる。したがって、ボトル301は計量動作中に圧電素子303に直接接続される。
【0060】
それ以上の収縮に必要な質量は、フックの法則によって算出可能であり、圧電素子303にかかる質量に追加され得る。
【0061】
ボトル301の支持用リング305の直径は、支持用リング305が少なくとも2個のシリンダー307に接触するように選択され得る。
【0062】
図4は、別の例示的な充填装置を示す。図4では、全体を見やすくするために、充填されるべき容器は示されていない。ネック保持クランプ402が、図4でもやはり示される。ネック保持クランプ402は、ジョイント409において可動に保持される。図4には、充填動作部413の一部が、具体的には、気体障壁419が端部に付いた充填導管418とCIP(現場洗浄)導管420がさらに示される。図示されないボトルは、充填動作中に充填導管418の真下に位置付けられる。気体障壁419は、充填導管418の中に気体障壁419に対してある距離を置いて配置された遮断弁(図示せず)が閉じられるとき、充填されるべき液体が充填導管418から流出するのを防止する。CIP導管420と充填導管418は、図示されないCIPキャップの手動または自動挿入によって、周知の方法による流体接続で相互接続可能であり、それによって充填装置の定期的な内部洗浄のための洗浄サイクルが可能にされる。
【0063】
充填動作中、充填されるべき容器は、増加する充填量のためにより重くなり、それによって、 ジョイント409によって可動に保持されたネック保持クランプ402の容器が配置される側の端部は、垂直方向に下方に移動する。その結果、ネック保持クランプ402の反対側の端部に配置された基部410が上方に移動することによって、固定的な保持装置に固定されている圧電素子403を圧縮する。
【0064】
したがって、この例では、充填されるべき容器は、ネック保持クランプ402によって形成されたレバーを介して圧電素子403に接続される。
【0065】
ネック保持クランプ402が圧電素子403用に備えられた保持装置に接触せずに動くことを確実にするために、切欠き411を設けることができる。圧電素子403を固着するための保持装置は、接続部材412によって充填装置のさらに他の部分に接続可能である。回転式の機械の場合には、接続部材412は、具体的には、充填動作部の飛散ゾーン外に圧電素子403を保持し、液体の飛び跳ねから圧電素子を保護する充填装置の内壁であり得る。特に、衛生が重要になる低温無菌充填用の充填装置では、低温無菌充填が行なわれる無菌室または隔離体である無菌トンネル内の構成要素の数をできるだけ少なくすることが重要である。この場合、接続部材412は、充填動作部がある無菌領域を非無菌の周囲域、すなわち、充填ホールから隔てる隔離体である壁とすることができる。
【0066】
充填されるべきボトルの所望の風袋重量は、圧電素子403への短時の電圧印加によって得ることができる。このために、本充填装置は、圧電素子403に接続される、ここに図示されない電圧源を備えることができる。
【0067】
電圧の印加によって、圧電素子403は膨張可能とされ、その際、空のボトルによってすでに生じた収縮は補正され得る。
【0068】
代替としてまたは追加として、空の状態のボトルの質量の既知の値を制御部に設定し記憶させておくことができ、この値は圧電素子403による測定値から後で差し引かれる。これによって、ボトルの正味の充填重量が決定され得る。
【0069】
図5は、特に、ガラス製のボトルに中身を充填するための別の例示的な充填装置の一部分を示す。この場合の例示的な充填装置は、受け台部材514の形態の取付け部を具備する。受け台部材514は、ここでは底を担持する部材として具現される。言い換えれば、充填されるべきボトル501は、充填動作中に受け台部材514の上に配置される。ここで、受け台部材514は、代替的に、図示されない駆動手段によって垂直方向に移動可能であり得る。これは、充填管を有する充填動作部が使用される場合には特に有利である。この方式では、例えば、非常に泡立つ製品を底の層に充填することが可能である。
【0070】
受け台部材514は、さらに、圧電素子503を具備する。カバー部材504が、圧電素子503を保護するために、充填されるべきボトル501と圧電素子503の間に配置される。代替として、複数個の圧電素子が受け台部材514に配置可能である。
【0071】
図6は、さらに別の例示的な充填装置の一部分を示す。特に、図6は受け台部材614の形態の取付け部を示す。図5と同様に、受け台部材614は、充填動作中に充填されるべきボトル501がその上に配置される、底を担持する部材である。例示的なボトル601は、例えば、ねじぶたでボトル601を閉めるためのねじ部606を備えることができる。
【0072】
受け台部材614は、2個の圧電素子603と、バネ部材608、この実施形態ではぜんまいバネによってそれぞれがバネで取り付けられる、3個のシリンダー607を具備する。これによって、図3に関連して説明されるとおり、充填されるべきボトル601の空の重量を計算に入れることができる。上記の底を担持する実施形態(図5と図6)の代替として、圧電素子の取付け位置と容器の底の間に機械的仕切りを設けることがさらに可能であり、これは衛生に対する高い要求が求められる充填には有利でもある。例えば、機械的仕切りより上は無菌領域とし、仕切りより下は非無菌領域とし、圧電素子の取付け位置は非無菌領域に置かれる。その際、機械的仕切りに受け台部材がすべりばめされる通路となる、好適には無摩擦のスライディング・パッセージは、二つの隔たれた領域間を媒体が行き来することが不可能なように、例えば、ベロー(bellow)によって好ましくは密封可能にされる。
【0073】
図7は、さらに別の例示的な充填装置の一部分を示す。特に、図7は、支持用リング705とねじ部706を備える例示的なボトル701であり、具体的にはPETボトルを示す。支持用リング705によって、充填されるべきボトルはネック・ハンドリング・クランプ702の所定の表面領域に載る。ボトル701は、充填装置の充填動作部713によって充填可能とされる。
【0074】
ネック保持クランプ702は、この例では、引っ張り部材715に接続される。具体的には、引っ張り部材715が、第1の固定点716でその上に位置する充填装置の一部に接続され、第2の固定点717でネック保持クランプ702に接続される。引っ張り部材715は、さらに圧電素子703に接続される。
【0075】
充填動作中、ネック保持クランプ702は垂直方向に下方へ動く。これによって、圧電素子703が伸張される。この過程で生じる電荷が、先と同様に制御部によって評価され得る。
【0076】
上記に説明した圧電素子の使用は、さらに、先行技術において知られた歪みゲージよりも優れたいくつかのほかの利点を提供する。
【0077】
例えば、圧電素子は、本質的に、歪みゲージを用いた測定装置よりも小さいサイズで具現可能である。瓶詰工場においては、特に、追加のスペースによって得られる瓶詰工場にとって重要なさらに別の技術的機構を設置する可能性を考慮すると、スペースを節減することが重要な要素である。
【0078】
同じ測定範囲と同等の性能特性をもつ圧電変換器は、匹敵する歪みゲージに比べて30分の1の小ささになるように具現可能である。
【0079】
食品産業、特に飲料産業においては、通常、1時間当り数千個の容器に達する、非常に高い充填速度が達成される。1時間当り数千個の容器に中身を充填することによって、充填されるべき容器は、個々の計量手段において瞬時に、つまり動的に入れ替え可能にされる。圧電素子は高い固有周波数をもつので、圧電素子は動的用途に特に適する。
【0080】
さらに、圧電性結晶が電気出力信号をもつメカトロニック構成要素を予め形成するので、圧電センサーにおける測定経路は最小にできる。圧電センサーの測定感度は、そのサイズまたは圧電性結晶の体積に依存せず、使用材料とその形状にのみ依存する。
【0081】
圧電センサーはまた、例えば、飲料の高温充填中に発生し得る高い温度範囲においても使用可能である。
【0082】
圧電センサーは、一般に、過負荷になることなく動作し、容器の正確な充填をも可能にする大きな測定範囲をもつ。容器の過多充填が誤って起きた場合でも、こうした過負荷保護と大きな測定範囲のおかげで、計量手段の損傷を防止可能である。圧電性結晶は、安定して、本質的に長時間にわたり疲労耐性をもつように動作する。これによって、コストのかかる保守作業を最小にできる。
【0083】
まとめとして、圧電性結晶の最も重要な一般的な特性を以下に要約することができる。
【0084】
高い絶縁抵抗、
高い機械的強度、
高い弾性係数、
焦電気がない(結晶のタイプによる)、
ヒステリシスがない、
非常に高い線形性、
完全安定性。
【0085】
当然のことながら、上記に説明した実施形態で言及した特徴は、これらの特別な組み合わせに限定されず、その他のどのような組み合わせにおいても可能である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品産業における容器(101、201、301、501、601、701)に中身を充填するための充填装置であり、充填量を決定するための少なくとも一つの計量手段を具備し、前記少なくとも一つの計量手段は少なくとも一つの圧電素子(203、303、403、503、603、703)を具備する、充填装置。
【請求項2】
充填されるべき容器が前記少なくとも一つの圧電素子に機械的に接続されるように当該装置は設計される、請求項1に記載の充填装置。
【請求項3】
前記少なくとも一つの圧電素子は、充填動作中に圧縮及び/または膨張されるように配置される、請求項1または請求項2に記載の充填装置。
【請求項4】
充填されるべき容器が少なくとも一つのレバーを介して前記少なくとも一つの圧電素子に接続されるように当該装置は設計される、請求項1から請求項3のいずれかに記載の充填装置。
【請求項5】
充填されるべき容器と前記少なくとも一つの圧電素子の間にカバー部材(204、504)が配置されるように当該装置は設計される、請求項1から請求項4のいずれかに記載の充填装置。
【請求項6】
充填されるべき容器を保持するための取付け部(102、202、302、402、702、514、614)をさらに具備し、前記少なくとも一つの圧電素子は前記取付け部の領域に配置される、請求項1から請求項5のいずれかに記載の充填装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つの計量手段は少なくとも一つのバネ部材(308、608)をさらに具備する、請求項6に記載の充填装置。
【請求項8】
充填されるべき容器が前記少なくとも一つのバネ部材を変形するように、その結果、前記充填されるべき容器が前記少なくとも一つの圧電素子に機械的接触をするように、前記少なくとも一つのバネ部材は配置及び/または具現される、請求項7に記載の充填装置。
【請求項9】
前記少なくとも一つの圧電素子に所定の電圧が印加され得るように設計及び/または配置される電圧源をさらに具備する、請求項1から請求項8のいずれかに記載の充填装置。
【請求項10】
食品産業における容器に中身を充填するための充填装置において、充填量を決定するための少なくとも一つの圧電素子の使用。
【請求項11】
食品産業における容器に特に液体を充填するための方法であり、
請求項1から請求項9のいずれかに記載の充填装置を提供するステップと、
少なくとも一つの圧電素子の電荷を決定するステップと、
前記決定された電荷に基づいて、充填量を決定するステップと、
を少なくとも有する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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