説明

容器のエア抜き構造及びそれを用いたウォーターサーバー

【課題】タンク内がエアレス状態となるまでに時間を大幅に短縮できる容器のエア抜き構造及びそれを用いたウォーターサーバーを提供する。
【解決手段】ウォーターサーバー1は、飲料水の入った袋体4から、飲料水を袋体4の下方に設置された冷水タンク5と、冷水タンク5のさらに下方に設置された温水タンク6とに順に供給するように構成された容器のエア抜き構造を備えており、エア抜き構造は、冷水タンク5内の頂部付近と温水タンク6内とを連通する連通管102と、袋体4から冷水タンク5に飲料水を供給したときに、連通管102を介して冷水タンク5から温水タンク6内に排出された空気又は飲料水を温水タンク6の頂部付近から排出する排出管63とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器のエア抜き構造及びそれを用いたウォーターサーバーに関し、詳しくは、飲料用液体の入った第一容器から、該飲料用液体を前記第一容器の下方に設置された第二容器と、この第二容器のさらに下方に設置された第三容器とに送るように構成された容器のエア抜き構造及びそれを用いたウォーターサーバーに係るものである。
【背景技術】
【0002】
飲料水の入ったウォーターボトルから、該飲料水を前記ウォーターボトルの下方に設置された冷水タンクと、この冷水タンクのさらに下方に設置された温水タンクとに送るときに、これらのウォーターボトルや冷水タンクや温水タンク内において、特に衛生面を考慮して、飲料水と空気とが触れにくいようにした、いわゆるエアレス構造のウォーターサーバーが種々開発されている。そのウォーターサーバーでは、ウォーターボトルから冷水タンク内に飲料水を送り出す際、その内部の飲料水の減少とともに縮小変形可能な柔軟なフィルムで構成されたウォーターボトルが用いられることがある。
【0003】
ところが、ウォーターサーバーの使用開始時などには、冷水タンク及び温水タンク内に空気だけが入っており、この空気を冷水タンク及び温水タンク外に排出する必要がある。このため、例えば特許文献1では、冷水タンクの上部に、排気手段として手動操作される排気弁を設けて、その排気弁から空気が冷水タンク外に排出されると、その排出後の空気を満たすように、飲料用液体が冷水タンクに流下するような構成が開示されている。
【0004】
上記特許文献1によれば、排気弁を手動操作するのは面倒であるし、その操作を忘れてしまうことがある。また、冷水タンクの排気弁が故障等により機能しなくなった際に、その排気弁から飲料用液体が漏れ続けるおそれがある。さらに、排気弁は可動部を有しているため、その可動部が確実に機能するように、定期的なメンテナンスが必要であるといった問題もある。
【0005】
そこで、例えば特許文献2では、図6に示すように、ウォーターボトル4aからニードル8a等を介して飲料水Wが供給される冷水タンク5aを備えており、その冷水タンク5a内から前記冷水タンク5a外に排出管51aを引き出して、その排出管51aを通じて前記冷水タンク5a内の飲料水Wを前記冷水タンク5a外へ排出可能としたウォーターサーバーにおいて、前記排出管51aは、前記冷水タンク5a内への開口部51bを有する主管部51cとその主管部51cから前記冷水タンク5内で分岐して前記タンク5a内の上部に臨む誘導管部53aとを備えたものが開示されている。
【0006】
上記特許文献2によれば、冷水タンク5aの上部に空気Aが介在している場合に、排出管51aを通じて内部の飲料水Wを外部に排出すると、排出管51aの主管部51c内を飲料水Wが移動し、その主管部51c内の飲料水Wの流れによって、冷水タンク5aの上部に介在する空気Aが、誘導管部53aを通じて主管部51c側へ引かれる現象が起きる。これにより、冷水タンク5aの上部に介在する空気Aを、冷水タンク5aの飲料水Wとともに冷水タンク5a外へ排出することができる。その結果、冷水タンク5a内において、飲料水Wと空気Aとが接触する機会を減らしつつ、その冷水タンク5aに設けられる排気手段を、故障が少なく、メンテナンスの必要が少ないものとすることができる、と記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2では、冷水タンク5a内の液位が低いときには、排出管51aの主管部51c内を飲料水Wが移動しにくくなり、その主管部51c内の飲料水Wの流れによって、冷水タンク5aの上部に介在する空気Aが、誘導管部53aを通じて主管部51c側へ引かれる現象が起きにくくなる。その結果、冷水タンク5a内に溜まった空気Aが外部に排気されにくくなる。
【0008】
これでは、ウォーターサーバーの使用開始時などの最も空気を排出する必要がある場合(初期空気の排出時)に対応しておらず、冷水タンク5a内がエアレス状態となるまで長時間かかってしまうという不具合がある。また、図示はしていないが、冷水タンク5aのさらに下方に設置された温水タンクについても、上記とまったく同様の不具合がある。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、容器内がエアレス状態となるまでに時間を大幅に短縮できる容器のエア抜き構造及びそれを用いたウォーターサーバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第一の発明は、飲料用液体の入った第一容器から、該飲料用液体を前記第一容器の下方に設置された第二容器と、この第二容器のさらに下方に設置された第三容器とに順に供給するように構成された容器のエア抜き構造であって、前記第二容器内の頂部付近と前記第三容器内とを連通する連通管と、前記第一容器から、前記第二容器内の前記連通管の先端よりも下方でかつ該先端から離間した部位に飲料用液体を供給するラインと、前記ラインから飲料用液体を供給したときに、前記連通管を介して前記第二容器から前記第三容器内に排出された空気又は飲料用液体を該第三容器の頂部付近から排出する排出管とを備え、前記第一容器から前記第二容器内の前記連通管の先端よりも下方でかつ該先端から離間した部位に飲料用液体が前記ラインを介して供給されると、前記第二容器内の空気が圧縮され、この圧縮された空気が前記連通管を介して前記第三容器内に排出され、この第三容器内に排出された空気が前記排出管を介して前記第三容器から外部に排出されることにより前記第二容器内に飲料用液体が満たされ、この第二容器内に満たされた液体が前記連通管を介して前記第三容器内に排出されることにより前記第三容器に飲料用液体が満たされるように構成するとともに、前記第二容器内の飲料用液体を該第二容器の底部付近から排出する排液管を先下がりに設けたことを特徴とするものである。
【0011】
第一の発明によれば、前記第二容器内の頂部付近と前記第三容器内とを連通する連通管と、前記第一容器から、前記第二容器内の前記連通管の先端よりも下方でかつ該先端から離間した部位に飲料用液体を供給するラインと、前記ラインから飲料用液体を供給したときに、前記連通管を介して前記第二容器から前記第三容器内に排出された空気又は飲料用液体を該第三容器の頂部付近から排出する排出管とを備え、前記第一容器から前記第二容器内の前記連通管の先端よりも下方でかつ該先端から離間した部位に飲料用液体が前記ラインを介して供給されると、前記第二容器内の空気が圧縮され、この圧縮された空気が前記連通管を介して前記第三容器内に排出され、この第三容器内に排出された空気が前記排出管を介して前記第三容器から外部に排出されることにより前記第二容器内に飲料用液体が満たされ、この第二容器内に満たされた液体が前記連通管を介して前記第三容器内に排出されることにより前記第三容器に飲料用液体が満たされるように構成したので、第一容器から第二容器内の前記連通管の先端よりも下方でかつ該先端から離間した部位に飲料用液体が前記ラインを介して飲料用液体が供給されると、第二容器内の空気が圧縮され、この圧縮された空気が前記連通管を介して第三容器内に空気が排出され、この第三容器内に排出された空気が排出管を介して第三容器から外部に排出されることにより前記第二容器内に飲料用液体が満たされ、この第二容器内に満たされた液体が前記連通管を介して前記第三容器内に排出されることにより前記第三容器に飲料用液体が満たされる。その結果、特に初期空気の排出時における、第二容器及び第三容器内がエアレス状態となるまでの時間を大幅に短縮することができる。
【0012】
ところで、上記初期空気の排出後であっても、何らかの原因で容器内に空気が入り込むことが考えられる。この点、前記特許文献2では、冷水タンク5a内の液位がある程度高くなると、排出管51aの主管部51c内を飲料水Wが移動し、その主管部51c内の飲料水Wの流れによって、冷水タンク5aの上部に介在する空気Aが、誘導管部53aを通じて主管部51c側へ引かれる現象が起きるものの、やがて誘導管部53aから飲料水Wが主管部51c側へ引かれる現象も起きることとなる。すると、冷水タンク5aの底部付近にある比較的冷たい飲料水Wを、その上方の比較的温かい空気Aや飲料水Wが該冷水タンク5a内の誘導管部53aで吸引される間に温めることとなり、冷却効率が低下して、省エネルギーの要請に反するものとなる。
【0013】
この点、本第一の発明によれば、前記第二容器内の飲料用液体を該第二容器の底部付近から排出する排液管を先下がりに設けたので、特に第二容器が冷水タンクの場合には、底部付近にある比較的冷たい飲料水を、頂部付近の比較的温かい飲料水と混合させることなく冷水タンク外に排出できるので、冷却効率の向上を図ることができる。
【0014】
また、前記第二容器内の頂部付近に該頂部から突出するように凸部を形成するとともに、該凸部内に連通管の上端を開放し、前記ラインは、前記第一容器から、前記第二容器内の前記凸部から離間した部位に飲料用液体を供給するものであることが好ましい。
【0015】
この場合、前記第二容器内の頂部付近に該頂部から突出するように凸部を形成するとともに、該凸部内に連通管の上端を開放し、前記ラインは、前記第一容器から、前記第二容器内の前記凸部から離間した部位に飲料用液体を供給するものであるので、第二容器内の空気が凸部内に集められて連通管から排出されやすくなる。
【0016】
第二の発明は、請求項1又は2記載の容器のエア抜き構造を備え、前記第一容器が伸縮性の袋体、前記第二容器が飲料用液体としての飲料水を冷却する冷水タンク、第三容器が飲料用液体としての飲料水を暖める温水タンクであることを特徴とするウォーターサーバーに係るものである。
【0017】
第二の発明によれば、請求項1又は2記載の容器のエア抜き構造を備え、前記第一容器が伸縮性の袋体、前記第二容器が飲料用液体としての飲料水を冷却する冷水タンク、第三容器が飲料用液体としての飲料水を暖める温水タンクであるので、上記第一の発明におけるごとき作用効果を奏するものとなる。
【発明の効果】
【0018】
前記第二容器内の頂部付近と前記第三容器内とを連通する連通管と、前記第一容器から、前記第二容器内の前記連通管の先端よりも下方でかつ該先端から離間した部位に飲料用液体を供給するラインと、前記ラインから飲料用液体を供給したときに、前記連通管を介して前記第二容器から前記第三容器内に排出された空気又は飲料用液体を該第三容器の頂部付近から排出する排出管とを備え、前記第一容器から前記第二容器内の前記連通管の先端よりも下方でかつ該先端から離間した部位に飲料用液体が前記ラインを介して供給されると、前記第二容器内の空気が圧縮され、この圧縮された空気が前記連通管を介して前記第三容器内に排出され、この第三容器内に排出された空気が前記排出管を介して前記第三容器から外部に排出されることにより前記第二容器内に飲料用液体が満たされ、この第二容器内に満たされた液体が前記連通管を介して前記第三容器内に排出されることにより前記第三容器に飲料用液体が満たされるように構成したので、第一容器から第二容器内の前記連通管の先端よりも下方でかつ該先端から離間した部位に飲料用液体が前記ラインを介して飲料用液体が供給されると、第二容器内の空気が圧縮され、この圧縮された空気が前記連通管を介して第三容器内に空気が排出され、この第三容器内に排出された空気が排出管を介して第三容器から外部に排出されることにより前記第二容器内に飲料用液体が満たされ、この第二容器内に満たされた液体が前記連通管を介して前記第三容器内に排出されることにより前記第三容器に飲料用液体が満たされる。その結果、特に初期空気の排出時における、第二容器及び第三容器内がエアレス状態となるまでの時間を大幅に短縮することができる。
【0019】
また、本第一の発明によれば、前記第二容器内の飲料用液体を該第二容器の底部付近から排出する排液管を先下がりに設けたので、特に第二容器が冷水タンクの場合には、底部付近にある比較的冷たい飲料水を、頂部付近の比較的温かい飲料水と混合させることなく冷水タンク外に排出できるので、冷却効率の向上を図ることができる。
【0020】
第二の発明に係るウォーターサーバーによれば、請求項1又は2記載の容器のエア抜き構造を備え、前記第一容器が伸縮性の袋体、前記第二容器が飲料用液体としての飲料水を冷却する冷水タンク、第三容器が飲料用液体としての飲料水を暖める温水タンクであるので、上記第一の発明におけるごとき作用効果を奏するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態1に係るウォーターサーバーの側面図である。
【図2】本実施形態1に係る冷水タンク及び温水タンクのエア抜き構造の概念図である。
【図3】本実施形態1に係る冷水タンクの凸部まわりの斜視図である。
【図4】本実施形態2に係る冷水タンク及び温水タンクのエア抜き構造の概念図である。
【図5】本実施形態2に係る冷水タンクの凸部まわりの斜視図である。
【図6】従来例における冷水タンクのエア抜き構造の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係るウォーターサーバー1の全体構成を模式的に示す側面図である。なお、同図中の左側が正面、右側が背面をそれぞれ示している。また、ウォーターサーバー1の材料としては、主に合成樹脂、ゴム、金属などが適所に使用されている。
【0023】
図1に示すように、このウォーターサーバー1は、ボトルホルダ2と本体3とからなっている。ボトルホルダ2は、飲料用液体としての飲料水の入った袋体(第一容器に相当する。)4を内部にセットし、或いは、このセットした袋体4を外部に取り出すために、本体3上で開閉自在に取り付けられている(図1中の符号2は閉状態、符号2’は開状態をそれぞれ示している)。また、本体3の内部には、飲料水を冷却する冷水タンク(第二容器に相当する。)5と、飲料水を温める温水タンク(第三容器に相当する。)6とが上下に配置されている。
【0024】
袋体4は、例えば多層構造のナイロンフィルムなどの伸縮性に富む材料からなり、その内部に充填された飲料水の減少につれて縮小変形可能なものである。そして、飲料水が充填された初期状態では、全体として丸みを帯び、かつ、やや扁平な六面体状をなしている。ここでは、この袋体4を、支持部7で略立ち姿勢にて支持するようになっている。袋体4の初期状態における形状としては、例えば正方形や円筒形状など他の形状であってもよい。
【0025】
支持部7は、袋体4の縮小変形をできるだけ邪魔しないように、背面から正面寄りにかけて比較的大きなアールを設けるとともに、正面で比較的小さなアールを設けている。そして、両アール間で、袋体4の内部に充填された飲料水の取り出し時に、その袋体4が無理なねじれを生じることなく縮小変形するようにセットできるようになっている。なお、図示はしていないが、支持部7の左右両側にも適当なアールを設けて、同様の作用効果を奏するようになっている。
【0026】
支持部7で支持された袋体4は、その正面側の底面付近において、ニードル8を水平或いは若干先下がりとなるような向きに突き刺すことにより、その部位に孔を開けることができる。ニードル8は、正面側の支持部7に取り付けられて前記袋体4に突き刺すようになっている。
【0027】
そして、ニードル8の基部に接続された例えばシリコンゴム製の可撓性ホース9と、このホース9にさらに接続されたライン10とを介して、袋体4から取り出された飲料水が冷水タンク5に供給されるようになっている。また、冷水タンク5に供給された飲料水の一部が連通管102を介して、温水タンク6にも供給されるようになっている。
【0028】
冷水タンク5には、飲料水を冷却するための冷凍機等の冷却手段50が備わっており、袋体4から供給された飲料水は、この冷却手段50で冷却されることにより、冷水タンク5内で4〜10℃程度の温度に維持されるようになっている。
【0029】
温水タンク6には、飲料水を加熱するためのバンドヒータやシーズヒータ等の加熱手段60が備わっており、袋体4から供給された飲料水は、この加熱手段60で加熱されることにより、温水タンク6内で80〜90℃程度の温度に維持されるようになっている。
【0030】
また、冷水タンク5で冷された飲料水と、温水タンク6で温められた飲料水とは、それぞれの給水口11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれるようになっている。
【0031】
図2は本実施形態1に係る冷水タンク5及び温水タンク6のエア抜き構造の概念図、図3はその凸部101まわりの斜視図である。
【0032】
図2に示すように、冷水タンク5の頂部付近に凸部101を設けるとともに、この凸部101内と温水タンク6内とを連通する連通管102を備えている。具体的には、図3に示すように、略円筒状の凸部101を冷水タンク5の頂部から若干突出させるとともに、連通管102の上端を凸部101内に挿入して開口させることにより、いわゆる二重管状構造としている。そして、ライン10を、この凸部101から離間した部位に接続することで、ライン10から供給される飲料水Wが、連通管102から直接流出しないようになっており、これにより、冷水タンク5内の空気Aを温水タンク6内に流出しやすいようにもなっている。
【0033】
また、冷水タンク5内の飲料水Wを該冷水タンク5の底部付近から先下がりで排出する排液管51を設けるとともに、温水タンク6内の飲料水Wを該温水タンクの頂部付近から排出する排出管63を設けている。
【0034】
以下、本実施形態1に係る冷水タンク5及び温水タンク6のエア抜き構造の動作手順(ステップS1〜S3)を説明する。なお、ステップS1に入る前に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、支持部7上に袋体4を略立ち姿勢で支持することにより、その袋体4を所定位置にセットしているものとする。
【0035】
ステップS1では、袋体4から冷水タンク5内への飲料水Wの供給を開始する。まず、ニードル8を支持部7にセットする。ユーザはニードル8を袋体4に押し込むように手動操作する。すると、ニードル8の先端部が、袋体4の正面下方を突き破って、その内部にまで到達する。
【0036】
すると、袋体4が縮小する向きに働く張力と、該袋体4内に充填された飲料水W自身の重量とが同時に作用することによって、袋体4内の飲料水Wが、ニードル8からホース9内へと排出される。ホース9に排出された飲料水Wは、さらにライン10を通って、冷水タンク5に供給される。しかる後に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2’を閉めて、ボトルホルダ2のようにした状態とする。ただし、ボトルホルダ2は必ずしも開閉可能とする必要はなく、例えば本体3上に載置しただけでもよい。
【0037】
ところで、初期状態においては、冷水タンク5の給水口11と、温水タンク6の給水口12がともに閉じられている。そうすると、袋体4から冷水タンク5及び温水タンク6内に飲料水Wを供給しようとしても、冷水タンク5内と温水タンク6内とにそれぞれ大量の空気Aが入っているために、両タンク5,6内に飲料水Wが供給されにくい。そこで、ステップS2では、温水タンク6の給水口12だけを開くと、冷水タンク5内の空気Aが凸部101に集められ、そこから連通管102を通って、温水タンク6内へと流出される。温水タンク6内に流出した空気Aは排出管63を介して給水口12から外部に排出される。このため、ライン10から冷水タンク5内に飲料水Wが供給されるようになる。
【0038】
そして、冷水タンク5内が飲料水Wで満たされると、今度は連通管102から温水タンク6へ飲料水Wが流出する。温水タンク6がこの飲料水Wで満たされるまで、給水口12から空気Aが出てくるので、それまでは、給水口12は開いたままとする。温水タンク6が飲料水Wで満たされた後のそれぞれのタンク5,6からの使用分は、各タンク5,6に個別に供給されるようになる。
【0039】
このようにして、冷水タンク5内に飲料水Wが供給される際に、この供給される飲料水Wで冷水タンク5内の初期空気が連通管102を通じて温水タンク6に排出されることにより、冷水タンク5内を速やかにエアレス状態とすることができる。しかる後に、給水口12を閉じる。
【0040】
その後、ステップS3では、冷水タンク5で冷された飲料水Wと、温水タンク6で温められた飲料水Wとは、それぞれの給水口11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれる。
【0041】
袋体4内の飲料水Wを使いきってしまうと、それを飲料水Wが充填された別の袋体4と交換する必要があるが、このときには、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を再び開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、ニードル8を袋体4から引きぬくことになる。そして、別の袋体4を所定位置にセットした後、再度前記各ステップS1〜S3を順に繰り返すことにより、給水を行うことができるようになる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態1によれば、冷水タンク5内の頂部付近と温水タンク6内とを連通する連通管102と、袋体4から冷水タンク5に飲料水Wを供給したときに、連通管102を介して冷水タンク5から温水タンク6内に排出された空気A又は飲料水Wを該温水タンク6の頂部付近から排出する排出管63とを備えたので、袋体4から冷水タンク5内に飲料水Wが供給されると、冷水タンク5内の空気Aが圧縮され、この圧縮された空気Aが前記連通管102を介して温水タンク6内に排出され、この温水タンク6内に排出された空気Aが排出管63を介して温水タンク6から外部に排出される。その結果、特に初期状態時において、冷水タンク5及び温水タンク6内がエアレス状態となるまでの時間を大幅に短縮することができる。
【0043】
また、本実施形態1によれば、冷水タンク5内の飲料水Wを該冷水タンク5の底部付近から排出する排液管51を先下がりに設けたので、冷水タンク5の底部付近にある比較的冷たい飲料水Wを、頂部付近の比較的温かい飲料水Wと混合させることなく冷水タンク5外に排出できるので、冷却効率の向上を図ることができる。
(実施形態2)
【0044】
図4は本実施形態2に係る冷水タンク5及び温水タンク6のエア抜き構造の概念図、図5はその凸部101まわりの斜視図である。
【0045】
本実施形態2では、図4に示すように、冷水タンク5の頂部付近に前記袋体4から飲料水Wが供給される凸部101を設けるとともに、この凸部101内と温水タンク6内とを連通する連通管102を備えている。具体的には、図5に示すように、略円筒状の凸部101を冷水タンク5の頂部から若干突出させるとともに、連通管102の上端を凸部101内に挿入して開口させることにより、いわゆる二重管状構造としている。そして、ライン10を、この凸部101の側壁の適宜部位に接続することで、ライン10から供給される飲料水Wが、連通管102から直接流出しないようになっている。また、凸部101におけるライン10が接続された部位とは異なる部位(例えば図5中の手前側)で、連通管102に上端の一部をU字状に切り欠くことにより、切り欠き部103を形成しており、冷水タンク5内の空気Aを温水タンク6内に流出しやすいようにもなっている。
【0046】
また、冷水タンク5内の飲料水Wを該冷水タンク5の底部付近から先下がりで排出する排液管51を設けるとともに、温水タンク6内の飲料水Wを該温水タンクの頂部付近から排出する排出管63を設けている。
【0047】
以下、本実施形態2に係る冷水タンク5及び温水タンク6のエア抜き構造の動作手順(ステップS11〜S13)を説明する。なお、ステップS11に入る前に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、支持部7上に袋体4を略立ち姿勢で支持することにより、その袋体4を所定位置にセットしているものとする。
【0048】
ステップS11では、袋体4から冷水タンク5内への飲料水Wの供給を開始する。まず、ニードル8を支持部7にセットする。ユーザはニードル8を袋体4に押し込むように手動操作する。すると、ニードル8の先端部が、袋体4の正面下方を突き破って、その内部にまで到達する。
【0049】
すると、袋体4が縮小する向きに働く張力と、該袋体4内に充填された飲料水W自身の重量とが同時に作用することによって、袋体4内の飲料水Wが、ニードル8からホース9内へと排出される。ホース9に排出された飲料水Wは、さらにライン10を通って、冷水タンク5の凸部101に供給される。しかる後に、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2’を閉めて、ボトルホルダ2のようにした状態とする。ただし、ボトルホルダ2は必ずしも開閉可能とする必要はなく、例えば本体3上に載置しただけでもよい。
【0050】
ところで、初期状態においては、冷水タンク5の給水口11と、温水タンク6の給水口12がともに閉じられている。そうすると、袋体4から冷水タンク5及び温水タンク6内に飲料水Wを供給しようとしても、冷水タンク5内と温水タンク6内とにそれぞれ大量の空気Aが入っているために、両タンク5,6内に飲料水Wが供給されにくい。そこで、ステップS12では、温水タンク6の給水口12だけを開くと、冷水タンク5内の空気Aが凸部101に集められ、そこから連通管102を通って、温水タンク6内へと流出される。温水タンク6内に流出した空気Aは排出管63を介して給水口12から外部に排出される。このため、凸部101と連通管102との隙間から冷水タンク5内に飲料水Wが供給されるようになる。
【0051】
そして、冷水タンク5内が飲料水Wで満たされると、今度は連通管102から温水タンク6へ飲料水Wが流出する。温水タンク6がこの飲料水Wで満たされるまで、給水口12から空気Aが出てくるので、それまでは、給水口12は開いたままとする。温水タンク6が飲料水Wで満たされた後のそれぞれのタンク5,6からの使用分は、各タンク5,6に個別に供給されるようになる。
【0052】
このようにして、冷水タンク5内に飲料水Wが供給される際に、この供給される飲料水Wで冷水タンク5内の初期空気が連通管102を通じて温水タンク6に排出されることにより、冷水タンク5内を速やかにエアレス状態とすることができる。しかる後に、給水口12を閉じる。
【0053】
その後、ステップS13では、冷水タンク5で冷された飲料水Wと、温水タンク6で温められた飲料水Wとは、それぞれの給水口11,12を開閉することにより、図示しないコップ等に所定量だけ注がれる。
【0054】
袋体4内の飲料水Wを使いきってしまうと、それを飲料水Wが充填された別の袋体4と交換する必要があるが、このときには、ウォーターサーバー1のボトルホルダ2を再び開いて、ボトルホルダ2’のようにした状態で、ニードル8を袋体4から引きぬくことになる。そして、別の袋体4を所定位置にセットした後、再度前記各ステップS11〜S13を順に繰り返すことにより、給水を行うことができるようになる。
【0055】
以上説明したように、本実施形態2によれば、凸部101内に袋体4からの飲料水Wを供給するように構成したので、上記実施形態1の作用効果に加え、さらに冷水タンク5の頂部付近のノズル配置が容易となるといったメリットがある。
【0056】
なお、上記実施形態1,2では、飲料用液体として飲料水Wを例示しているが、その他の飲料用液体として、ジュース、酒類等のあらゆる飲料用液体であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 ウォーターサーバー
2,2’ ボトルホルダ
3 本体
4 袋体(第一容器に相当する。)
5 冷水タンク(第二容器に相当する。)
50 冷却手段
51 排液管
6 温水タンク(第三容器に相当する。)
60 加熱手段
63 排出管
7 支持部
8 ニードル
9 ホース
10 ライン
101 凸部
102 連通管
103 切り欠き部
11,12 給水口
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特開2009−35322号公報
【特許文献2】特開2011−37479号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料用液体の入った第一容器から、該飲料用液体を前記第一容器の下方に設置された第二容器と、この第二容器のさらに下方に設置された第三容器とに順に供給するように構成された容器のエア抜き構造であって、
前記第二容器内の頂部付近と前記第三容器内とを連通する連通管と、
前記第一容器から、前記第二容器内の前記連通管の先端よりも下方でかつ該先端から離間した部位に飲料用液体を供給するラインと、
前記ラインから飲料用液体を供給したときに、前記連通管を介して前記第二容器から前記第三容器内に排出された空気又は飲料用液体を該第三容器の頂部付近から排出する排出管とを備え、
前記第一容器から前記第二容器内の前記連通管の先端よりも下方でかつ該先端から離間した部位に飲料用液体が前記ラインを介して供給されると、前記第二容器内の空気が圧縮され、この圧縮された空気が前記連通管を介して前記第三容器内に排出され、この第三容器内に排出された空気が前記排出管を介して前記第三容器から外部に排出されることにより前記第二容器内に飲料用液体が満たされ、この第二容器内に満たされた液体が前記連通管を介して前記第三容器内に排出されることにより前記第三容器に飲料用液体が満たされるように構成するとともに、
前記第二容器内の飲料用液体を該第二容器の底部付近から排出する排液管を先下がりに設けたことを特徴とする容器のエア抜き構造。
【請求項2】
前記第二容器内の頂部付近に該頂部から突出するように凸部を形成するとともに、該凸部内に連通管の上端を開放し、前記ラインは、前記第一容器から、前記第二容器内の前記凸部から離間した部位に飲料用液体を供給するものであることを特徴とする請求項1記載の容器のエア抜き構造。
【請求項3】
請求項1又は2記載の容器のエア抜き構造を備え、前記第一容器が伸縮性の袋体、前記第二容器が飲料用液体としての飲料水を冷却する冷水タンク、第三容器が飲料用液体としての飲料水を暖める温水タンクであることを特徴とするウォーターサーバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−86878(P2013−86878A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−125539(P2012−125539)
【出願日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【分割の表示】特願2011−228387(P2011−228387)の分割
【原出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【特許番号】特許第5069810号(P5069810)
【特許公報発行日】平成24年11月7日(2012.11.7)
【出願人】(303024851)橋本精工 株式会社 (3)
【出願人】(511250873)
【Fターム(参考)】