説明

容器のチャック機構及びこれを備えたスターホイール装置

【課題】容器を適切な力で把持することが可能でかつ小型軽量化に有利なチャック機構、を提供することを目的とする。
【解決手段】チャック機構20には、第1回転軸31の軸線を中心として回転可能な第1アーム21と、第1回転軸31と平行な第2回転軸32の軸線を中心として回転可能な第2アーム22と、爪部25、26が閉じる方向にアーム21、22を駆動する捩りコイルばね38とを設ける。第1アーム21には、第1回転軸31の後方に向かって操作レバー50を設け、レバー50には爪部25が開く方向に第1アーム21を回転させる駆動力の入力部としてカムフォロア52を設けるとともに、その駆動力を第2アーム22に伝達して爪部26が開く方向にアーム22を回転させる伝達ローラ63とを設ける。第2アーム22には、ばね38の力で伝達ローラ63に押し付けられる突起部65を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトル等の容器の被把持部を把持するチャック機構に関する。
【背景技術】
【0002】
スターホイールの外周にて容器を保持するためのチャック機構として、一対のアームの先端の爪を開閉させてそれらの間に容器のネック部等を挟み込むチャック機構が使用されている。アームを開閉させる機構としては、例えば、アームをそれらの爪が閉じる方向にばねにて付勢し、それらの爪間に対する容器の押し込み力を利用して爪を押し開くようにした機構が知られている(例えば特許文献1及び2参照)。一対のアームのそれぞれに平行な回転軸を連結し、それらの回転軸を歯車機構を利用して互いに逆方向に回転駆動することによりアーム先端の爪を開閉する機構も知られている(例えば特許文献3参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平11−314752号公報
【特許文献2】特開2005−29225号公報
【特許文献3】特開2005−89182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
容器の押し込み力を利用して爪を押し開くようにした従来のチャック機構では、構成が簡素である反面、爪を閉じるためのばね力が制限され、用途が限られる。一方、回転軸を歯車で駆動して爪部を開閉するチャック機構では、構成が大型化して設置スペースが嵩み、あるいは重量が増加して剛性の低い容器には過剰剛性になるといった欠点がある。
【0005】
そこで、本発明は、容器を適切な力で把持することが可能でかつ小型軽量化に有利なチャック機構、及びこれを用いたスターホイール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のチャック機構は、容器(BT、PF)の被把持部(NK)を把持するための容器のチャック機構(20)であって、第1回転軸(31)の軸線を中心として回転可能であり、かつ先端には前記被把持部の外周の一方の側に噛み合う爪部(25)が設けられた第1アーム(21)と、前記第1回転軸と平行な第2回転軸(32)の軸線を中心として回転可能であり、かつ先端には前記被把持部の外周の他方の側に噛み合う爪部(26)が設けられた第2アーム(22)と、前記第1回転軸及び前記第2回転軸のそれぞれの軸線を中心として、前記爪部が閉じる方向に各アームを駆動するばね手段(38)と、を具備し、前記第1アームには、前記第1回転軸を越えて後方に延ばされる操作部(50)が設けられ、前記操作部には、前記第1アームを前記爪部が開く方向に回転させる駆動力の入力部(52)と、前記駆動力を前記第2アームに伝達して、該第2アームを前記爪部が開く方向に回転させる伝達部(63)とがそれぞれ設けられ、前記第2アームには、前記第2回転軸の後方に位置して前記ばね手段によるばね力で前記伝達部に押し付けられる当接部(65)が設けられているものである。
【0007】
本発明のチャック機構によれば、操作部に駆動力が入力されない状態では、第1アーム及び第2アームがばね手段のばね力で駆動されて爪部が閉じる。操作部に駆動力を入力すると、爪部が開く方向に第1アームが回転し、かつその回転に伴って伝達部から第2アームの当接部にも駆動力が伝達されて爪部が開く方向に第2アームが回転する。すなわち、爪部をばね力で閉じる方向に付勢し、爪部を開く際には第1アームの操作部に駆動力を入力するだけで足りる。これにより、まずばね力の調整により、爪部間における容器の把持力を適宜に増減させることができる。しかも、爪部を開く際には、第1アーム上の伝達部から第2アームの当接部へと駆動力を伝達して第2アームを駆動し、かつ、入力部、伝達部及び当接部が第1回転軸及び第2回転軸の後方に位置しているので、構成が簡素でかつアームの側方への構成部品の突出を抑えることができる。これにより、軽量小型化を容易に図ることができる。
【0008】
本発明のチャック機構においては、前記ばね手段として、少なくとも第2回転軸の外周に捩りコイルばね(38)が設けられ、前記捩りコイルばねの捩り変形に対する復元力により、前記爪部が閉じる方向に前記第1アーム及び第2アームが駆動されてもよい。このように、ばね手段を回転軸上に配置すればチャック機構をさらにコンパクトに構成することができる。
【0009】
本発明のチャック機構においては、前記第1アーム及び前記第2アームのそれぞれの爪部は前記第1回転軸と第2回転軸との中間点を通過するチャック中心線(CL)を挟んで前記回転軸の並び方向に隣り合うように設けられ、かつ、前記伝達部は、前記第1回転軸及び前記第2回転軸よりも後方であって、前記並び方向に関しては前記回転軸間に位置していてもよい。これによれば、伝達部及びこれに突き当てられる当接部を回転軸の後方でかつアーム間に収めることができる。よって、アームの側方への伝達部及び当接部の突出をなくしてチャック機構をさらにコンパクトに構成することができる。
【0010】
さらに、前記入力部が前記伝達部よりも後方でかつ前記並び方向には、前記チャック中心線を越えて前記第2回転軸側の領域に配置されてもよい。これによれば、入力部を回転軸側に押し出すと、その動作で爪部が開く方向に両アームが回転する。伝達部及び当接部に加えて、入力部も回転軸の後方でかつアーム間に配置されることから、チャック機構のさらなるコンパクト化を図ることができる。
【0011】
本発明のチャック機構においては、前記伝達部としてローラ(65)が設けられてもよい。これによれば、第1アームから第2アームへ駆動力を円滑に伝達することができる。
【0012】
本発明のスターホイール装置(3、5、7)は、スターホイール(9、13、14)の外周にて容器を把持するための手段として、上述した本発明又はその一形態に係るチャック機構(20)が設けられているものである。これによれば、本発明のチャック機構の作用効果を活かして、容器を適切な力で把持でき、しかも構成が簡素でかつコンパクトなスターホイール装置を実現することができる。
【0013】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0014】
以上に説明したように、本発明によれば、容器を把持する力をばね力によって調整することができ、かつ、爪部を開く際には第1アームの入力部に駆動力を与えて、これを第1アーム上の伝達部から第2アームの当接部へと伝達するだけで足り、これらの駆動力の入力及び伝達がアームの回転軸から後方に離れた領域で行われるため、構成を簡素化し、かつアームの側方への構成部品の突出を抑えてチャック機構をコンパクトに構成することができる。これにより、容器を適切な力で把持することが可能で、しかも、小型軽量化に有利なチャック機構及びこれを利用したスターホイール装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は本発明の一形態に係る容器のチャック機構が使用されるスターホイール装置を備えた容器検査の概略平面図である。検査装置1は、検査対象の容器である複数のボトルBTが順次搬入される搬入部2と、搬入されたボトルBTを中継する第1スターホイール装置3と、第1スターホイール装置3から中継されたボトルBTを側面や口部の検査工程に沿って搬送するロータ等の搬送装置4と、搬送装置4からボトルBTを受け取ってボトルBTの底部検査等の検査工程に沿ってボトルBTを搬送する第2スターホイール装置5と、第2スターホイール装置5からボトルBTを受け取って搬出部6に順次受け渡す第3スターホイール装置7とを備えている。搬入部2は、前工程から搬送されたボトルBTを検査装置1の内部に導入させるコンベア8を備えている。ボトルBTはコンベア8で等間隔に配置される。
【0016】
搬入部2から搬送装置4へボトルBTを中継する第1スターホイール装置3には、鉛直方向の軸線を中心として旋回するスターホイール9が設けられ、そのスターホイール9の外周には、複数の半円弧状のポケット9aが周方向に等間隔で設けられている。コンベア8によって等間隔に揃えられたボトルBTは、ポケット9aに順次取り込まれて搬送装置4へと搬送される。
【0017】
搬送装置4は、外周に複数の容器台12が設けられた回転テーブル11を備えている。回転テーブル11は鉛直方向の中心線の回りに図中の矢印方向へ回転する。ボトルBTは、容器台12上の保持領域12aに対して、当該保持領域12aの一方の側から搬入されて搬送される。回転テーブル11の周囲には、図示しない照明装置とカメラとが設置されている。その照明装置により各ボトルBTが照射され、照射されたボトルBTの画像がカメラに取り込まれ、この画像に基づいてボトルBTの側部や口部等の欠陥の有無が検査される。
【0018】
第2スターホイール装置5には、鉛直方向の軸線を中心として旋回するスターホイール13が設けられ、そのスターホイール13の外周にも、複数の半円弧状のポケット13aが周方向に等間隔で設けられている。回転テーブル11上での検査が終了したボトルBTは、第2スターホイール装置5のスターホイール13のポケット13aに順次取り込まれて保持される。第2スターホイール装置5上では、例えば、ボトルBTの底部の欠陥等の検査が行われる。
【0019】
第3スターホイール装置7には、鉛直方向の軸線を中心として旋回するスターホイール14が設けられ、そのスターホイール14の外周にも、複数の半円弧状のポケット14aが周方向に等間隔で設けられている。第2スターホイール装置5上での検査を終えたボトルBTは、そのポケット14aに順次取り込まれる。第3スターホイール装置7上において、欠陥の発見されなかった良品は搬出部6へ搬送され、欠陥の発見された不良品はリジェクト部15へ送り出される。
【0020】
上述したスターホイール9、13、14のうち、少なくとも一部のスターホイールの外周には、ポケット内に取り込まれたボトルBT、特にそのネック部(被把持部)を把持する手段としてチャック機構が取り付けられている。以下では、一例としてスターホイール9にチャック機構が取り付けられるものとして説明する。
【0021】
図2〜図5はチャック機構の一形態を示している。図2はチャック機構の平面図、図3は図2のIII−III線に沿った断面図、図4はチャック機構の上面側の斜視図、図5はその裏面側の斜視図である。なお、図4では、ボトルBTに代えて、プリフォーム容器PFをチャック機構にて把持した状態を示している。これらの図に示すように、チャック機構20は、第1アーム21と、第2アーム22とを備えている。
【0022】
第1アーム21及び第2アーム22は、アーム本体23、24の先端部に板状の爪部25、26をボルト27a、28a及びナット27b、28bにて固定した組み立て部品として構成されている。爪部25、26のそれぞれの先端部には、ボトルBTのネック部NKの外周の一方の側及び他方の側とそれぞれ噛み合い可能な半円弧状の凹部25a、26aが設けられている。なお、アーム本体23、24と爪部25、26とは、幅が漸次変化するくさび状の突起部23b、24bと、テーパ溝25、26とを噛み合わせることによって位置ずれが生じないように組み合わされている。従って、アーム本体23、24と爪部25、26とをそれぞれ1本のボルト27a、28aにて結合することができる。爪部25、26は、把持すべきネック部NKの形状及び寸法に応じて適宜に交換されてよい。
【0023】
第1アーム21は第1回転軸31の軸線の回りに回転可能であり、第2アーム22は第2回転軸32の軸線の回りに回転可能である。これらの回転軸31、32の間の中間点を通過するチャック中心線CLに対して爪部25、26は回転軸31、32の並び方向に隣り合うようにして設けられている。そして、アーム21、22がチャック中心線CLを挟んで対称的に回転することにより、爪部25、26が開閉してネック部NKの導入、排出、及びそのネック部NKの把持が切り替えられる。図2では、爪部25、26が閉じているときのアーム21、22を実線で、開いているときのアーム21、22を想像線でそれぞれ示している。但し、アーム21、22及びそれらの開閉動作はチャック中心線CLに対して厳密に左右対称でなくてもよい。すなわち、チャック機構20が適用されるスターホイール装置の都合等に応じて、アーム21、22及びその開閉動作のチャック中心線CLに対する対称性が幾らか緩和される場合もある。
【0024】
図3に示すように、第1回転軸31は、チャック機構20のチャック基板33に対して転がり軸受34を介して回転自在に取り付けられている。チャック基板33は、チャック機構20をスターホイール9に連結する基礎となる部品である。なお、スターホイール9の一部をチャック基板33として機能させてもよい。
【0025】
第1回転軸31の上部にはアーム取付軸31aが設けられ、そのアーム取付軸31aと第1アーム21のアーム本体23とは第1回転軸31上のねじ軸31bとナット35とを利用して一体回転可能に連結されている。第1回転軸31の外周にはばねホルダ36が相対回転可能に嵌め合わされ、そのばねホルダ36はチャック基板33の下面にボルト37を利用して固定されている。ばねホルダ36の外周にはばね手段としての捩りコイルばね38が装着されている。その捩りコイルばね38の一端部38aは、ばねホルダ36に固定されたピン39に掛け止めされている(図5参照)。
【0026】
第1回転軸31の下端にはねじ軸31cが設けられ、そのねじ軸31aにはばね受け40がナット41を利用して固定されている。ばね受け40にはピン42が固定され、そのピン42に捩りコイルばね38の他端部38bが掛け止めされている。捩りコイルばね38は、ピン39、42間にて幾らか捩られた状態でばねホルダ36の外周に装着されている。捩りコイルばね38の捩り変形に対する復元力により、第1アーム21はその爪部25が閉じる方向に駆動される。なお、図3では第1回転軸31のチャック基板33に対する取付構造を示しているが、第2回転軸32も同様の構造でチャック基板33に対して回転自在に取り付けられ、かつ第2回転軸32の外周には捩りコイルばね38が幾らか捩られた状態で装着されている。図5には第2回転軸32の周囲の構成が一部示されている。チャック基板33を基準としたとき、回転軸31、32の軸線方向に関してアーム21、22の爪部25、26は同一高さに配置されている。
【0027】
捩りコイルばね38の捩り変形に対する復元力により、第2アーム22もその爪部26が閉じる方向に駆動される。図2に示したように、アーム21、22間には、ローラ状のストッパ43が設けられている。ストッパ43はチャック基板33にボルト44を利用して取り付けられている。捩りコイルばね38の力でアーム21、22がストッパ43に突き当たることにより、爪部25、26が閉じる方向へのアーム21、22の回転範囲が制限される。なお、ストッパ43はアーム本体23、24の溝23a、24aにそれぞれ入り込んでいる。図2では、ストッパ43の中心線がチャック中心線CL上に位置しているが、ストッパ43は回転軸31、32よりもアーム21、22の先端側の領域でかつアーム21、22間にあればよく、必ずしもチャック中心線CL上に位置していることを要しない。
【0028】
図2〜図4から明らかなように、第1アーム21のアーム本体23には、第1回転軸31を越えて後方に延びる操作レバー(操作部)50が一体に形成されている。操作レバー50は、第1回転軸31の位置からチャック中心線CLの方向に幾らか延び、さらに、回転軸31、32の並び方向に関しては第2回転軸32側に折れ曲がった形状を有している。操作レバー50の後端部(図2及図3の右端部)は、チャック中心線CLを越えて第2回転軸32側の領域まで延ばされており、その後端部の下面側には、カラー51及びカムフォロア52がボルト53及びナット54を利用して取り付けられている。カムフォロア52は、アーム21、22をそれらの爪部25、26が開く方向に回転させる駆動力の入力部として機能する部品であり、その外周にはボルト53の軸線の回りに回転自在なローラ部52aが設けられている。なお、ボルト53及びカラー51は、チャック基板33に設けられた貫通孔33aを貫いてチャック基板33の下面側に延ばされている。貫通孔33aの内径は、操作レバー50の第1回転軸31を中心とした回転動作を阻害しないように、カラー51の外径よりも十分に大きい。
【0029】
操作レバー50の中間、すなわち、カムフォロア52の取付位置と第1回転軸31の取付位置との間には、転がり軸受60がボルト61及びナット62を利用して取り付けられている。その転がり軸受60の外周には、伝達部としての伝達ローラ63が設けられている。伝達ローラ63は転がり軸受60を介して操作レバー50上に支持されることにより、ボルト61の軸線の回りに回転自在である。図2から明らかなように、伝達ローラ63の回転中心線(すなわち、ボルト61の軸線)はチャック中心線CL上に位置している。但し、伝達ローラ63は必ずしもチャック中心線CL上にあることを要しない。伝達ローラ63は、回転軸31、32の後方であって、回転軸31、32の並び方向に関してはそれらの回転軸31、32間に位置していればよい。
【0030】
一方、第2アーム22には、第2回転軸32の後方からチャック中心線CL側に折れ曲がるようにして延びる当接部としての突起部65が設けられている。その突起部65のローラ63と対向する端面にはカム面65aが設けられている。第2アーム22が第2回転軸32の回りに図1の反時計方向に駆動されることにより、カム面65aはばね力で伝達ローラ63に押し付けられている。
【0031】
以上の構成のチャック機構20は、そのチャック中心線CLがスターホイール9の回転中心とポケット9aの中心とを結ぶ半径方向中心線と概略一致するようにしてスターホイール9に取り付けられる。スターホイール9の旋回経路には、爪部25、26が開かれる範囲に対応して固定カムCが設けられている(図3参照)。その固定カムCにカムフォロア52が接してスターホイール9の半径方向外周側に押し出されることにより、操作レバー50に駆動力が入力されて操作レバー50が図2の実線位置から想像線の位置へと駆動される。それにより、第1アーム21は第1回転軸31の回りに時計方向に回転する。また、操作レバー50の動作に連係して伝達ローラ63が第2アーム22の突起部65を図2の実線位置から想像線の位置へと押し出す。これにより、第2アーム22は第2回転軸32の回りに反時計方向に回転する。その結果、爪部25、26が開かれる。カムフォロア52が固定カムCから離れると、捩りコイルばね38のばね力で第1アーム21及び第2アーム22がストッパ43に突き当たる位置に復帰し、爪部25、26が閉じられる。爪部25、26間にネック部NKが取り込まれている場合には、アーム21、22がストッパ43に突き当たる前の段階で爪部25、26がネック部NKに突き当たる。この場合には、捩りコイルばね38のばね力でネック部NKが爪部25、26間に挟持される。但し、ストッパ43にアーム21、22が突き当たったときに爪部25、26の凹部25a、26aがネック部NKと接するようにストッパ43の位置を調整することにより、ネック部NKにばね力が殆ど作用しないようにしてもよい。なお、スターホイール13、14にチャック機構20が取り付けられる場合でも、チャック機構20の動作は同じである。
【0032】
本形態のチャック機構20によれば、入力部としてのカムフォロア52及び伝達部としての伝達ローラ63がいずれも回転軸31、32の後方に配置されているので、アーム21、22の側方への構成部品の突出を抑えてチャック機構20を幅方向(回転軸31、32の並び方向)に関してコンパクトに構成することができる。これにより、スターホイールの外周に複数のチャック機構を周方向に並べて取り付ける場合でも、チャック機構間に必要なスペースを削減することができる。ばね手段としての捩りコイルばね38を回転軸31、32に取り付けているので、さらなる小型化を図ることができる。また、チャック機構20においては、アーム21、22及びそれらの回転軸31、32上に配置された部品のみで爪部25、26を開閉させる構成であるため、構成が簡素で、かつ大きな剛性を必要としないことから軽量化を達成することができる。従って、剛性の低い薄肉のPETボトル等を把持する場合、そのネック部NKを傷付けたり、押し潰すおそれのない、小型軽量で過剰剛性を排除した合理的なチャック機構を提供することができる。
【0033】
本発明のチャック機構は、上述した形態に限定されることなく種々の形態にて実施することができる。例えば、上記の形態では第1回転軸31及び第2回転軸32の両者にばね手段としての捩りコイルばね38を設けているが、その捩りコイルばね38は少なくとも第2回転軸32上に設けられていればよい。第1回転軸31上の捩りコイルばね38を着脱可能とすることにより、爪部25、26を閉じる力を切り替えられるようにしてもよい。例えば、空のボトルを把持する場合には第1回転軸31上から捩りコイルばね38を取り外して把持力を小さく設定し、内容物が充填されたボトルを把持する場合には両回転軸31、32に捩りコイルばね38を装着して把持力を増加させてもよい。
【0034】
伝達部はローラ63に限ることなく、操作部としての操作レバー50の動作を利用して、当接部としての突起部65を押し出せるものであればよく、例えば操作レバー50と一体の突起部を伝達部として設けてもよい。但し、ローラ63を利用した場合には、第1アーム21から第2アーム22に駆動力を円滑に伝達することができる利点がある。
【0035】
本発明のチャック機構は、ボトルやプリフォーム等の容器のネック部を把持する用途に限らず、各種の用途に適用することができる。なお、上記形態のチャック機構20のように、平板状の爪部にてネック部を挟み込んでこれを把持する構成とした場合には、スターホイール装置の搬送基準をネック部の高さに設定することができる。これにより、容器の形状や高さの相違に応じた型替えの必要性を低減することができる。また、容器を移送する関係にある一対のスターホイール装置のそれぞれにネック部を把持するチャック機構を設けた場合には、一方のスターホイール装置のチャック機構ではネック部のリングの上方を把持し、他方のスターホイール装置のチャック機構では、ネック部のリングの下方を把持することにより、ボトルの高さを変化させることなくこれをスターホイール間で受け渡しすることが可能である。スターホイール装置も検査装置に適用される例に限らず、適宜の装置に適宜のレイアウトで組み込まれてよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一形態に係る容器のチャック機構が使用されるスターホイール装置を備えた容器検査の概略平面図。
【図2】本発明の一形態に係るチャック機構の平面図。
【図3】図2のIII−III線に沿った断面図。
【図4】チャック機構の上面側の斜視図。
【図5】チャック機構の裏面側の斜視図。
【符号の説明】
【0037】
1 検査装置
3 第1スターホイール装置
5 第2スターホイール装置
7 第3スターホイール装置
9、13、14 スターホイール
20 チャック機構
21 第1アーム
22 第2アーム
23、24 アーム本体
25、26 爪部
31 第1回転軸
32 第2回転軸
33 チャック基板
38 捩りコイルばね(ばね手段)
43 ストッパ
50 操作レバー(操作部)
52 カムフォロア(入力部)
63 伝達ローラ(伝達部)
65 突起部(当接部)
65a カム面
BT ボトル(容器)
C 固定カム
CL チャック中心線
NK ネック部(被把持部)
PF プリフォーム容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の被把持部を把持するための容器のチャック機構であって、
第1回転軸の軸線を中心として回転可能であり、かつ先端には前記被把持部の外周の一方の側に噛み合う爪部が設けられた第1アームと、
前記第1回転軸と平行な第2回転軸の軸線を中心として回転可能であり、かつ先端には前記被把持部の外周の他方の側に噛み合う爪部が設けられた第2アームと、
前記第1回転軸及び前記第2回転軸のそれぞれの軸線を中心として、前記爪部が閉じる方向に各アームを駆動するばね手段と、を具備し、
前記第1アームには、前記第1回転軸を越えて後方に延ばされる操作部が設けられ、
前記操作部には、前記第1アームを前記爪部が開く方向に回転させる駆動力の入力部と、前記駆動力を前記第2アームに伝達して、該第2アームを前記爪部が開く方向に回転させる伝達部とがそれぞれ設けられ、
前記第2アームには、前記第2回転軸の後方に位置して前記ばね手段によるばね力で前記伝達部に押し付けられる当接部が設けられている、
ことを特徴とする容器のチャック機構。
【請求項2】
前記ばね手段として、少なくとも第2回転軸の外周に捩りコイルばねが設けられ、前記捩りコイルばねの捩り変形に対する復元力により、前記爪部が閉じる方向に前記第1アーム及び第2アームが駆動されることを特徴とする請求項1に記載のチャック機構。
【請求項3】
前記第1アーム及び前記第2アームのそれぞれの爪部は前記第1回転軸と第2回転軸との中間点を通過するチャック中心線を挟んで前記回転軸の並び方向に隣り合うように設けられ、かつ、前記伝達部は、前記第1回転軸及び前記第2回転軸よりも後方であって、前記並び方向に関しては前記回転軸間に位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載のチャック機構。
【請求項4】
前記入力部が前記伝達部よりも後方でかつ前記並び方向には、前記チャック中心線を越えて前記第2回転軸側の領域に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のチャック機構。
【請求項5】
前記伝達部としてローラが設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のチャック機構。
【請求項6】
スターホイールの外周にて容器を把持するための手段として、請求項1〜5のいずれか一項に記載のチャック機構が設けられていることを特徴とするスターホイール装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−161294(P2009−161294A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−340881(P2007−340881)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(390014661)キリンテクノシステム株式会社 (126)
【Fターム(参考)】