説明

容器のブロー成形方法およびブロー成形装置

本方法および装置は、容器のブロー成形加工に用いられるものである。そこではブロー成形金型に挟まれた、熱処理によるコンディショニング工程を施した後のパリソンが、ブローガの賦形圧力の作用により、容器の形状に成形加工される。それに必要なブローガスは、接続要素に通してパリソンの内部空間に導入される。ブロー成形工程の終了後には、掃気用ガスが、容器の内部空間に通して導かれる。複数のブロー成形ステーションが使用され、前記各ブロー成形ステーションの内の少なくとも一つを対象として、掃気用ガスの必要量の少なくとも一部が、このブロー成形ステーションだけに対して割り当てられているリザーバ容積の内部に貯蔵される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理によるコンディショニング工程を施した後のパリソン(プリフォーム)を、ブロー成形ステーションの領域に配置されたブロー成形金型に挟み付けて、ブローガスの賦形圧力の作用下で容器の形状に成形加工する工程、その際にはブローガスを接続要素に通してパリソンの内部空間に導入する工程、およびブロー成形工程の終了後に掃気用ガスを容器の内部空間に通して導く工程から成る、複数のブロー成形ステーションを使用して実行される、容器のブロー成形方法に関する。
【0002】
それ以外にも本発明は、少なくとも二つの、それぞれにブロー成形金型が少なくとも一つずつ備えられたブロー成形ステーションを有しており、容器のブロー成形加工用のブローガスのための流路が、一つの接続要素を貫通して延びており、さらに、それぞれのブロー成形ステーションが、一つの掃気用ガス供給装置に接続されている、容器のブロー成形装置にも関する。
【背景技術】
【0003】
ブローガスの賦形圧力を作用させることにより容器を成形する際には、熱可塑性材料製のパリソン、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)製のパリソンが、ブロー成型機の内部で様々な加工ステーションに送られる。そのようなブロー成形機は、類型的に加熱装置と吹込み装置とを有しており、それぞれの領域内で事前に調温したパリソンを二軸延伸ブロー成形により膨張させて容器の形状を得るようにしている。この膨張は、膨張されることになるパリソンの内部に導入される圧縮空気を利用して行われる。パリソンのそのような膨張工程のプロセスエンジニアリング上の進行過程については、特許文献1に解説されている。冒頭で言及した加圧下にあるガスの導入工程には、ブローアップ過程にある袋状のパリソンの内部に圧縮ガスを導入する工程も、またブロー成形工程開始時にパリソン内部に圧縮ガスを導入する工程も含まれている。
【0004】
容器を成形するためのブロー成形ステーションの基本構造については、特許文献2に記載される。パリソンの調温を行うための様々な可能性については、特許文献3に説明される。
【0005】
ブロー成形装置の内部では、パリソンの搬送も、またブロー成形後の容器の搬送も、様々なハンドリング装置を使用して行うことができるようになっている。特に定評を博しているのが搬送用マンドレルの使用であり、それぞれの搬送用マンドレルの上からパリソンがはめ合されるようになっている。しかしパリソンのハンドリングは、別の担持装置を用いて行うこともできる。同様にパリソンのハンドリングのためにプライヤを使用したり、保持のためにパリソンの口部領域に差し込むことができるエキスパンディング・マンドレルを使用したりすること、実際に使用に供することができる構成形態に数えられるものである。
【0006】
移送ホイールを使用した容器のハンドリング方法については、例えば特許文献4に、ブロー成形ホイールと搬出路の間への位相ホイールの配置方式について、説明がなされている。
【0007】
パリソンの上述のハンドリング工程は、一方では、パリソンをまず射出成形方案で製造した後、続いて一時保管し、その後で初めて、その温度に関してコンディショニング処理を施した後にブロー成形工程により容器を得るという、二段階方式のいわゆるコールドパリソン法で行われるものである。上述のハンドリング工程は、他方では、パリソンを、射出成形によりこれを製造し、十分に固化させた直後に、適宜調温を行い、引き続いてブロー成形するという、一段階方式のいわゆるホットパリソン法において適用される。
【0008】
使用されるブロー成形ステーションに関して、各種各様の実施形態が知られている。複数のブロー成形ステーションが回転式の搬送ホイール上に配置される場合、金型支持体は本のように開閉可能であるように構成されることが多い。しかし互いに向かってスライド可能な、またはその他の方式で案内される金型支持体を採用することも可能である。容器を成形するためのキャビティを複数有している多数個取りに適した固定式ブロー成形ステーションの場合は類型的に、互いに対して平行に配置される複数の型プレートが金型支持体として使用されるようになっている。
【0009】
特に高温の液体の充填用として予定されている容器を製造する場合は、雰囲気温度よりも高温に加熱されたブロー成形金型が使用される。ブロー成形金型をこのように高温とする結果、ブロー成形された容器の材料の固化は、比較的緩慢にしか行われないことになる。したがってそのような製法の場合は、多くはブロー成形工程の実行後に掃気用のガスを容器の内部に導入し、このガスにより容器の冷却をもたらすことによって、ブロー成形金型からの容器完成品のより急速な取り出しを支援している。
【0010】
そのような掃気用空気の供給は、例えば相応の流出口が複数備えられた延伸ロッドにこれを通すことにより行われるようにするとよい。しかし基本的にはそれとは別の方式で掃気用ガスを供給することも可能である。掃気用ガスの供給を制御するために、一般には複数の専用管路と弁配列を備えた回路が使用される。それ以外にも掃気用ガスには、通常は低い予備賦形圧力にも、また主賦形圧力にも一致しないある一定の圧力レベルが設定されるようになっている。このため、それに対応した圧力レベルを、圧力調整器により別途準備してやるか、または予備賦形圧力や主賦形圧力に追加して別途供給してやらなければならない。したがってこの掃気用ガスを準備するためには、装置面で、標準機にかなりの改造を加えたり、その時々の適用例に合わせて完全に特殊化された専用のコントロールユニットを用意したりすることが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第4340291号明細書
【特許文献2】ドイツ特許出願公開第4212583号明細書
【特許文献3】ドイツ特許出願公開第2352926号明細書
【特許文献4】ドイツ特許出願公開第19906438号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以上のような背景から本発明の課題は、簡素化した装置によりブロー成形工程を実行する一助となるように、冒頭に記した種類の方法を改良することにある。
本発明のさらにもう一つの課題は、設計構造の簡素化の一助となるように、冒頭に記した書類の装置を構成することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の課題は、方法については、本発明にしたがって、ブロー成形ステーションの内の少なくとも一つのために、掃気用ガスの必要量の少なくとも一部を、このブロー成形ステーションだけに対して割り当てられているある一定のリザーバ容積の内部に貯蔵することにより、解決される。
【0014】
上述の課題は、装置については、本発明にしたがって、ブロー成形ステーションの内の少なくとも一つが、このブロー成形ステーション専用として割り当てられている、掃気用ガスの少なくとも一部を貯蔵するための一つのリザーバに接続されることにより、解決される。
【0015】
それぞれのブロー成形ステーションに対してリザーバを一つずつ個別に割り当てることによって、ブロー成形装置の本格的なモジュラー構造が実現されることになる。特に、ブロー成形装置の基本構造を実質的に標準仕様に準じた設計とし、掃気用ガスを用意する必要がある場合に限り、必要な部品を追加することにより、この基本構造を拡充してやることが可能となる。それにより、標準機の初回組付け作業が容易になる上に、場合により標準機の改造や後付けを行う際には、その作業も容易になる。
【0016】
それ以外にも、それぞれのブロー成形ステーションに対してリザーバを個別に割り当てることにより、複雑な回路網による各ブロー成形ステーションの接続や結合が回避されるようになる。
【0017】
ブロー成形工程を実行する間に、掃気用ガスによるリザーバ容積の少なくとも部分的な充填を実行することにより、リザーバの充填目的での別枠での制御を回避している。
非常に簡単な設計構造を実現する一助として、リザーバ容積の充填は、少なくとも部分的に、リザーバ容積と容器の内部空間との流れの連絡部を通して行われるようになっている。
【0018】
リザーバ容積の少なくとも一部に入口弁を利用して圧縮ガスを充填することにより、リザーバを簡単に冷却する可能性を達成している。
リザーバの充填および排出を制御する一助として、リザーバ容積の内部への圧縮ガスの供給も、またリザーバ容積からの圧縮ガの排出も、それぞれ少なくとも一つの弁を利用して制御されるようにしている。
【0019】
掃気用ガスを、側方から延伸ロッドの壁面を通り抜けるように、延伸ロッドの内部空間に導入することにより、可動式の供給要素を回避することができる。
ホースを使用して掃気用ガスを延伸ロッドに供給することにより、一段と簡素化された実施形態が提供されることになる。
図面には本発明の幾つかの実施例が略図で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】パリソンから容器を製造するために使用されるブロー成形ステーションの透視図である。
【図2】内部に挟み付けられたパリソンを延伸して膨張させるためのブロー成形金型の縦断面図である。
【図3】容器のブロー成形装置の基本構造を解説するための概略図である。
【図4】修正後の熱容量が増大されている加熱ライン示す図である。
【図5】弁が接続されていない掃気ガス用のリザーバを備えた実施形態を示す概略図である。
【図6】掃気用ガスを供給するための弁が追加されている、図5に対して変形された実施形態を示す図である。
【図7】掃気用ガスの放出を制御するためのさらにもう一つの弁が備えられている、再度変形された実施形態を示す図である。
【図8】リザーバと延伸ロッドがフレキシブルホースを介して互いに接続されている、再度変形された実施形態を示す図である。
【図9】制御弁の配置方式が変更されている、図8に示される実施形態に対する変形例を示す図である。
【図10】リザーバの入口領域にも、また出口領域にも弁が使用されている、図8および図9に示される実施形態に対するさらにもう一つの変形例を示す図である。
【図11】掃気工程を実行するために使用済みの吹込み空気を使用する、空気圧方式により実現されるさらにもう一つの実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1および図2には、パリソン(1)を成形加工して容器(2)を得るための装置の基本構造が示されている。
容器(2)の成形装置は実質的に、内部にパリソン(1)を挟み付けることができるブロー成形金型(4)を具備したブロー成形ステーション(3)から成っている。このパリソン(1)は、ポリエチレンテレフタレート製の射出成形品であるとよい。ブロー成形金型(4)の内部にパリソン(1)を挟み付けられるようにするとともに、容器完成品(2)を取り出せるようにするために、ブロー成形金型(4)は、二つの金型半部(5,6)と一つの底面部材(7)とから成っているが、この底面部材(7)の位置決めは、昇降装置(8)により行えるようになっている。パリソン(1)は、このブロー成形ステーション(3)の領域内では一つの搬送用マンドレル(9)により保持されているとよいが、この搬送用マンドレル(9)は、パリソン(1)ともども装置内の複数の処理ステーションを通り移動するようになっている。しかし、例えばプライヤまたはその他のハンドリング手段を用いて、パリソン(1)をブロー成形金型(4)の内部に直接はめ込むようにしてもよい。
【0022】
圧縮空気を送り込めるようにするために、搬送用マンドレル(9)の下側には、パリソン(1)に圧縮空気を供給すると同時に、搬送用マンドレル(9)に対するシール機能を引き受けるようになっている、一つの連接用ピストン(10)が配置されている。しかし基本的には、その変形構成例として、固定式の圧縮空気供給ラインを使用することも考えられる。
【0023】
パリソン(1)の延伸は、図示の実施例においては延伸ロッド(11)を利用して行われるが、その位置決めはシリンダ(12)により行われるようになっている。別の実施形態においては、この延伸ロッド11の位置決めが、カムローラにより付勢される複数のカムセグメントを介して、機械方式で行われるようになっている。特に一つの回転式ブロー成形ホイール上に複数のブロー成形ステーション(3)が配置される場合は、カムセグメントを使用した方が得策である。
【0024】
図1に示される実施形態においては、二つのシリンダ(12)から成るタンデム配列がもたらされるように、延伸システムが構成されている。延伸ロッド(11)は、本来の延伸工程を開始する前にまず、プライマリシリンダ(13)によりパリソン(1)の底部(14)領域まで繰り出される。本来の延伸工程の間の、延伸ロッド(11)が繰り出された状態にあるときのプライマリシリンダ(13)の位置決めは、プライマリシリンダ(13)を担持しているキャリッジ(15)ともども、セカンダリシリンダ(16)を介して、または何らかのカム制御機構を介して、行われるようになっている。特に延伸工程を実行する間、カム軌道に沿って摺動するガイドローラ(17)により実際の延伸位置が設定されるように、カム制御方式のセカンダリシリンダ(16)を導入することが想定されている。ガイドローラ(17)は、セカンダリシリンダ(16)によりガイド軌道に対して押し付けられるようになっている。キャリッジ(15)は、二つのガイド要素(18)に沿って摺動する。
【0025】
支持体(19,20)の領域に配置される金型半部(5,6)を閉じた後、ロック装置(20)を使用して支持体(19,20)は互いに対してロックされる。
パリソン(1)の口部(21)の様々な形状に適合させるために、図2に示されるように、ブロー成形金型(4)の領域には別体のねじ切りインサート(22)が使用されるようになっている。
【0026】
図2には、ブロー成形後の容器(2)に加え、パリソン(1)が破線で記入される以外にも、ブローアップ過程にある袋状の容器(23)が書き込まれている。
図3にブロー成型機の基本構造を示すが、これには加熱ライン(24)とならび、回転式ブロー成形ホイール(25)が備えられている。パリソン(1)は、パリソン搬入口(26)を始点として、移送ホイール(27,28,29)により加熱ライン(24)の領域に搬送される。この加熱ライン(24)に沿って、パリソン(1)の調温を行うために、複数の放熱装置(30)ならびにブロア(31)が配置されている。パリソン(1)は、調温が十分に行われた後、ブロー成形ホイール(25)に引き渡されるが、その領域には複数のブロー成形ステーション(3)が配置されている。ブロー成形容器完成品(2)は、さらに別の複数の移送ホイールによって搬出ライン(32)に供給される。
【0027】
容器(2)に瓶詰めされた食品、特に飲料を、長期にわたり飲用可能であることを保証する材料特性を、容器(2)が持ち合わせているように、パリソン(1)を容器(2)に成形加工できるようにするためにも、パリソン(1)の加熱および延伸に際しては、特殊な工程段階を遵守することが要求される。それ以外にも寸法諸元に関する特殊規定を遵守することにより、有利な効果を達成することができる。
【0028】
熱可塑性材料としては、様々なプラスチックを使用することができる。導入可能であるのは、例えばPET、PENまたはPPである。
延伸工程の間のパリソン(1)の膨張は、圧縮空気を供給することにより行われる。この圧縮空気の供給は、圧力レベルが低いガス、例えばエアが供給される予備ブロー成形期と、それに続く、ガスがより高い圧力レベルで供給される主ブロー成形期とに分けて行われるようになっている。予備ブロー成型期の間は、類型的には圧力が10barから25barまでの間である圧縮空気が使用され、主ブロー成形期の間は、圧力が25barから40barまでの間である圧縮空気が供給される。
【0029】
同様に図3から確認することができるように、図示の実施形態においては、加熱ライン(24)が、チェーン状に一列に並べられた、転向用スプロケット(34)にかけわたされて周回するように案内される多数の搬送要素(33)により構成されている。特にチェーン状の配列により、実質的に矩形の基本輪郭形状が張り巡らされるようにすることを想定している。図示の実施形態においては、移送ホイール(29)および搬入ホイール(35)と対向した領域に延びている加熱ライン(24)のところに、比較的大型に諸元決定された転向用スプロケット(34)を一つだけ使用しており、比較的小型に諸元決定された二つの転向用スプロケット(36)を、その両隣の転向部のところに使用している。しかし基本的には、それ以外の任意の案内手段を設けることも考えられる。
【0030】
移送ホイール(29)と搬入ホイール(35)とを、可能な限り互いに近接させて配置できるようにするためには、図示の配置方式が極めて有用であることが判明している。というのも、当の領域に延びている加熱ライン24のところには、三つの転向用スプロケット(34,36)が配置されているからであり、それも、小さい方のスプロケット(36)がいずれも、加熱ライン(24)が直線状に延びる部分への移行領域に配置され、大きい方のスプロケット(34)が、移送ホイール(29)および搬入ホイール(35)への引渡し領域に直接配置されているからである。チェーン状の搬送要素(33)を使用する代わりに、例えば一つの回転式加熱ホイールを使用することも可能である。
【0031】
容器(2)は、ブロー成形工程の完了後に、排出ホイール(37)によりブロー成形ステーション(3)の領域外に搬出され、移送ホイール(28)および搬出ホイール(38)を中継して搬出ライン(32)に搬送される。
【0032】
図4に示される修正後の加熱ライン(24)では、放熱装置(30)の台数を増やしたことにより、単位時間当たりより大量のパリソン(1)を調温できるようにしている。ブロア(31)は、ここでは冷却用空気をそれぞれの冷却用空気ダクト(39)の領域内に導入するようになっているが、これらの冷却空気用ダクト(39)は、それぞれに付属している放熱装置(30)と対向するように配置されており、冷却用空気を複数の流出口からそれぞれの放熱装置(30)に放出するようになっている。流出口の配置方式により流出する向きを規定することによって、パリソン(1)の搬送方向に対して実質的に横向きに流れる冷却用空気を実現している。それぞれの冷却空気用ダクト(39)の放熱装置(30)と対向している表面領域により、熱放射線を反射するためのリフレクタが提供されるようにするとよいが、同様に放出される冷却用空気を利用して、各放熱装置(30)の冷却を実現することもできる。
【0033】
図5に、延伸ロッド11が内部に挿入された状態にあるブロー成形容器完成品(2)を示す。この延伸ロッド(11)は、少なくとも部分的に中空に構成され、一つの内部空間(41)を有している。延伸ロッド(11)は、容器(2)内に挿入されて延びている領域に、一つの流出口(42)、好ましくは複数の流出口(42)を有している。延伸ロッド(11)は、一つのガイド要素(43)を貫通して延びている。図5に示される実施形態においては、延伸ロッド(11)が、図示の位置をとるときにはこのガイド要素(43)の内部空間(45)の領域に位置している複数の流入口(44)を有している。この内部空間(45)は、シール(46,47)により周囲に対して封止されている。
【0034】
ガイド要素(43)の内部空間(45)は、内部空間(49)を有するリザーバ(48)と連通されている。図5に示される実施例において、このリザーバ(48)は、間隔保持要素(50)を介在してガイド要素(43)に接続されている。
【0035】
図5に示される実施例においては、容器(2)を成形するために必要な吹込み空気が、容器(2)もしくはパリソン(1)の内部空間に、延伸ロッド(11)の周囲の環状隙間を通り供給されるようになっている。容器(2)の成形工程の間、この吹込み空気は、それぞれの流出口(42)を通り延伸ロッド(11)の内部空間(41)に流れ込んで、それぞれの流入口(44)および内部空間(45)を経由して最後にはリザーバ(48)の内部空間(49)の領域に入り込むようになっている。それによりリザーバ(48)には、リザーバ容積により予め正確に規定されている量の、圧力がブローガスの最大賦形圧力とほぼ等しくなっている圧縮空気が充填されることになる。
【0036】
ブロー成形工程が終了し、容器(2)の領域内の圧力が低下した後には、この圧縮空気が掃気用ガスとしてリザーバ(48)から流れ出て、延伸ロッド(11)の各流出口(42)から容器(2)の内部空間に入り込む。それにより掃気工程に加え、特に容器(2)の壁面の冷却がもたらされるようにしている。
【0037】
図5からは特に、極端に単純な構成原理を確認することができる。掃気用のガスを提供するという機能を実行するために、ガイド要素(43)をリザーバ(48)に連結さることだけが必要である。このシステムは自律制御式であるために、動作の間に何らかの制御機能が必要とされることはない。
【0038】
ブローガスが環状隙間(51)からではなく、延伸ロッド(11)の内部空間(41)から供給されるようになっている変形実施例においては、ガイド要素(43)に、ブローガス供給用のポートを追加して備えることだけが必要である。それ以外では、同じ機能性が与えられていることになる。
【0039】
図6には、図5に対して変形された実施形態が示されるが、そこではリザーバ(48)がほかにもさらに一つの入口弁(52)を介して圧縮ガス源(53)に連結されている。類型的にこの圧縮ガス源(53)は、一段と高い賦形圧力のための圧縮ガス源と同一であるが、しかし必要とされる掃気用空気の少なくとも一部については、使用済みの吹込み空気により調達するようにしてもよい。
【0040】
この入口弁(52)を利用して、既に圧縮されている圧縮ガスをリザーバ(48)の内部に導入することができるが、このガスは、リザーバ(48)の内部に流入する際に一部減圧されるのが通例である。この減圧の結果、ガスはある程度冷却されることになるが、それによりリザーバ(48)の一定の冷却をもたらすことができる。それ以外にも入口弁(52)を使用した場合は、リザーバ(48)の内部空間(45)により規定される量以上に大量の掃気用ガスを必要に応じて用意することが可能となる。あるいはその代わりに、またはそれに補足して、別の冷媒を利用してリザーバを冷却することも可能である。例えばリザーバ(48)の金属ケースに、冷却用の流体用、特に冷却水用の、複数の冷却通路が備えられるようにするとよい。
【0041】
図7に示される実施形態においては、リザーバ(48)の領域に、入口弁(52)に追加してさらにもう一つの出口弁(54)も配置されている。この出口弁(54)により、入口弁(52)の使用時にも、掃気用ガスの予め厳密に定められた量を配量添加することができる。それにより特に、不要なコストの要因ともなりかねない、掃気用ガスの大量準備を回避することができる。
【0042】
図8には、掃気用空気がガイド要素(43)を使用して延伸ロッド(11)の内部空間(41)に供給されるのではなくて、リバーザ(48)がホース(55)を介して延伸ロッド(11)に接続されている実施形態が示されている。類型的にこのホース(55)は、延伸ロッド(11)の容器(2)とは反対側の端部に接続されるようになっている。
【0043】
図8には、リザーバ(48)に一つの出口弁(54)だけしか備えられていない実施形態が示されている。この出口弁は、この実施形態においてはホース(55)と延伸ロッド(11)との間に配置されている。図示されないさらにもう一つの実施例として、この出口弁(54)の代わりに一つの入口弁(52)をリザーバ(48)に連結してもよいかもしれない。
【0044】
図9に示される変形実施例においては、図8に示される出口弁(54)が、その位置を変更されて、ここではホース(55)とリザーバ(48)との間に配置されている。そのような配置方式により、出口弁(54)を延伸ロッド(11)と一緒に配置する必要性を回避している。それにより出口弁(54)は、この実施形態においてはリザーバ(48)に対する相対運動を不能として配置されることになる。
【0045】
プロセスが相応に実行されるように準備されるブロー成形ステーション(3)は類型的に、本来の金型半部(5,6)とならび、これらの金型半部(5,6)と支持体(19,20)との間に配置されるアウタシェルを有している。製品を入れ替える際の金型半部(5,6)の段取り作業を簡単に実行できるようにする一助となるように、それぞれの調温媒体の通路または発熱体は、これらのアウタシェルの領域に配置されると好適である。別の実施例においては、高温での瓶詰めが可能な容器(2)を製造するために、これらのアウタシェルは約120℃の温度に加熱されるようになっている。これに対して底部用金型と、口部(21)を取り囲んでいる構成部品は、12〜14℃の温度に冷却される。掃気用空気を使用してブロー成形後の容器2の冷却を行うことにより、調温媒体の供給が要求されるのは、金型半部(5,6)の加熱と、その他の構成部品の冷却のためだけとなる。逆に、液状の第3の調温媒体の供給は不要となる。
【0046】
図10に、図7から図9に示される実施形態に類似した実施形態が示されている。そこには、ブローガスの賦形圧力の供給方式の一例が事細かに示されている。予圧弁(56)を利用して、圧力レベルが3barから20barまでである第1の予備賦形圧力P1の供給が行われ、主圧力弁(57)を利用して、圧力が類型的には20barから40barまでである主賦形圧力P2の供給が行われる。再循環弁(58)を利用して、使用後の吹込み空気の還流を支援している。ベント弁(59)を利用して、再循環弁(58)を通り排出されることもなければリザーバ(48)に供給されることもない、それ以上はもはや必要とされない吹込み空気の排出を行うことができる。
【0047】
リザーバ(48)には、この実施形態では、入口弁(52)もまた出口弁(54)も備えられている。入口弁(52)もまた出口弁(54)も使用する場合は、容器(2)の内部空間から再び流れ出る吹込み空気をリザーバ(48)に供給することを、場合によっては完全に放棄することができる。それにより、圧縮ガス源(53)を使用して、掃気用ガスの必要量を適用例に応じて0〜100%の割合で準備できるようになる。
【0048】
それ以外にも図10には、リザーバ(48)が複数の個々のリザーバ部分(60)から成っている変形実施例が示されている。これらのリザーバ部分(60)は、その時々の適用事例にとり最適のリザーバ容積を提供できるようにするために、個別に起動できるようになっている。例えば個々のリザーバ部分(60)には、いずれも0.1lのリザーバ容積が備えられるようにするとよい。起動は、締切り弁を利用して手動により行われるか、または電気制御方式で行われるようにするとよい。
【0049】
図11に示される実施形態においては、使用後の吹込み空気(AR)が再循環弁(65)を通り貯蔵タンク(61)に供給されるようになっている。使用後の吹込み空気の供給と取出しが時間的に同期で行われることはないために、この貯蔵タンク(61)は釣合い空気だめとして利用されるようになっている。貯蔵タンク(61)は、制御弁(62)を介して賦形圧力供給部に接続されている。これは、例えば一段と高い賦形圧力を供給するための賦形圧力供給部であるとよい。したがってこの制御弁(62)は、機能上は図10に示される弁(52)に当該する。制御弁(62)は、貯蔵タンク(61)の内圧が、接続されている賦形圧力供給部の内圧を下回るときには閉弁される一つの逆止弁(63)によりバイパスされているとよい。
【0050】
貯蔵タンク(61)は、掃気弁(64)を介して中空延伸ロッド(11)に接続されている。延伸ロッド(11)と掃気弁(64)との接続は、ホース(55)を介して行われると好適である。
【0051】
容器の成形加工のための賦形圧力が弁(56,57)を利用して供給される、図10に示される実施形態とは対照的に、図11では掃気工程を実行するための圧縮ガスの供給が、この制御弁(62)を利用して、図10に示される入口弁(52)の機能にならって行われるようになっている。図10に示される再循環弁(58)は、使用後のブローガスを容器(2)から排出するために利用され、図11に示される再循環弁(65)は、ブロー成形容器完成品(2)の掃気のために再利用される使用後のブローガスを制御するために利用される。
【符号の説明】
【0052】
1 パリソン
2 容器
3 ブロー成形ステーション
4 ブロー成形金型
5 金型半部
6 金型半部
7 底面部材
8 昇降装置
9 搬送用マンドレル
10 接続用ピストン
11 延伸ロッド
12 シリンダ
13 プライマリシリンダ
14 底部
15 キャリッジ
16 セカンダリシリンダ
17 ガイドローラ
18 ガイド要素
19 支持体
20 支持体
21 口部
22 ねじ切りインサート
23 袋状の容器
24 加熱ライン
25 ブロー成形ホイール
26 パリソン搬入口
27 移送ホイール
28 移送ホイール
29 移送ホイール
30 放熱装置
31 ブロア
32 搬出ライン
33 搬送要素
34 転向用スプロケット
35 搬入ホイール
36 転向用スプロケット
37 排出ホイール
38 搬出ホイール
39 冷却空気用ダクト
41 内部空間
42 流出口
43 ガイド要素
44 流入口
45 内部空間
46 シール
47 シール
48 リザーバ
49 内部空間
50 間隔保持要素
51 環状隙間
52 入口弁
53 圧縮ガス源
54 出口弁
55 ホース
56 予圧弁
57 主圧力弁
58 再循環弁
59 ベント弁
60 リザーバ部分
61 貯蔵タンク
62 制御弁
63 逆止弁
64 掃気弁
65 再循環弁
AR 吹込み空気
P1 予備賦形圧力
P2 主賦形圧力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のブロー成形ステーションを使用する、容器のブロー成形方法であって、
熱処理によるコンディショニング工程を施した後のパリソンを、ブロー成形ステーションの領域に配置されたブロー成形金型内で、ブローガスの賦形圧力の作用下で容器の形状に成形加工する工程、その際には
ブローガスを接続要素に通してパリソンの内部空間に導入する工程、および
ブロー成形工程の終了後に掃気用ガスを容器の内部空間に通して導く工程
から成る、容器のブロー成形方法において、
前記ブロー成形ステーション(3)の内の少なくとも一つを対象として、掃気用ガスの必要量の少なくとも一部を、このブロー成形ステーション(3)だけに対して割り当てられている或る一定のリザーバ容積の内部に貯蔵する工程を特徴とする、方法。
【請求項2】
ブロー成形を実行する間に、掃気用ガスにより前記リザーバ容積の少なくとも部分的な充填を実行することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リザーバ容積の充填を、少なくとも部分的に、前記リザーバ容積と容器(2)の内部空間との流れの連通部を通して行うことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記リザーバ容積の少なくとも一部に、入口弁(52)を介して圧縮ガスを充填することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記リザーバ容積の内部への圧縮ガスの供給も、また前記リザーバ容積からの圧縮ガスの排出も、それぞれ少なくとも一つの弁(52,54)を介して制御することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
掃気用ガスを、側方から延伸ロッド(11)の壁面を通り抜けるように前記延伸ロッド(11)の内部空間(41)に導入することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ホース(55)を使用して掃気用ガスを前記延伸ロッド(11)に供給することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
リザーバ(48)を、前記リザーバ容積に関して冷却することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
容器のブロー成形装置であって、
それぞれにブロー成形金型が少なくとも一つずつ備えられた少なくとも二つのブロー成形ステーションを有しており、
容器のブロー成形加工用ブローガスのための流路が、接続要素を貫通して延びており、
前記各ブロー成形ステーションが、掃気用ガス供給装置に接続されている、
ブロー成形装置において、
前記ブロー成形ステーション(3)の内の少なくとも一つが、このブロー成形ステーション(3)だけに付設されているリザーバであって、掃気用ガスの少なくとも一部を貯蔵するためのリザーバ(48)に接続されていることを特徴とする、装置。
【請求項10】
前記リザーバ(48)が、入口弁(52)を介して圧縮ガス源(53)に接続されていることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記リザーバ(48)が、出口弁(54)を介して容器(2)の内部空間と連通可能であることを特徴とする、請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記リザーバ(48)に冷却システムが備えられることを特徴とする、請求項9〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記リザーバ(48)が、使用後の吹込み空気を貯蔵するための貯蔵タンク(61)として構成されていることを特徴とする、請求項9〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記掃気用ガスのための供給部が、少なくとも部分的に中空の延伸ロッド(11)として構成されていることを特徴とする、請求項9〜13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記延伸ロッド(11)がホース(55)を介して前記リザーバ(48)に接続されていることを特徴とする、請求項14に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2013−518748(P2013−518748A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−552254(P2012−552254)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【国際出願番号】PCT/DE2011/000047
【国際公開番号】WO2011/095151
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(509017365)カーハーエス コーポプラスト ゲーエムベーハー (15)
【Fターム(参考)】