説明

容器のラベル検査装置

【課題】検査対象の容器に隣接した容器のラベルからの反射光等の影響が少なく、破れと破れの周辺のラベル部分とのコントラストの低下を抑えることができる容器のラベル検査装置を提供する。
【解決手段】コンベヤ10の一側に配置されるとともに、コンベヤ10の搬送方向に沿って配置され、搬送される容器1に投光する照明ユニット3と、コンベヤ10の搬送方向の前方側と後方側に離間して配置され、照明ユニット3から投光されて容器1を透過した透過光を撮像する2つのCCDカメラ4A,4Bと、照明ユニット3においてコンベヤ10の搬送方向の前端側から所定の範囲までの照明とコンベヤ10の搬送方向の後方側にあるCCDカメラ4Aとが対をなし、照明ユニット3においてコンベヤ10の搬送方向の後端側から所定の範囲までの照明とコンベヤ10の搬送方向の前方側にあるCCDカメラ4Bとが対をなし、照明の照明幅は変更可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器のラベル検査装置に係り、特にペットボトル等の容器に巻き付けられたラベルの破れを撮像により検出する容器のラベル検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、飲料が充填されたペットボトル等の容器に、文字、模様、色彩などが印刷されたラベル(シュリンクラベル等)を巻き付けることが行われている。この場合、ペットボトル等の容器に巻かれたラベルに破れがあるか否かを検査する装置として、容器の側方から容器に投光する照明を設け、照明の反対側から容器およびラベルをカメラにより撮像し、画像処理によりラベルの破れを検出するようにしたラベル検査装置がある。
【0003】
上述したラベル検査装置においては、照明から容器に投光された光は容器およびラベルを透過し、この透過光がカメラにより撮像される。ラベルに破れがある場合には、この破れを透過してくる透過光の透過光量は他のラベル部分の透過光量より多いので、撮像した画像を走査して明るい部分をラベルの破れと判定する。
【0004】
図10は、従来のラベル検査装置を示す模式的平面図である。図10に示すように、ペットボトル1は、コンベヤ10によって直線上の搬送系路に沿って搬送されるようになっている。ペットボトル1の外面にはラベルが巻き付けられており、コンベヤ10によって搬送される隣接するペットボトル1,1間には所定の間隔が形成されている。コンベヤ10の一側には、2つの照明3A,3Bが配置されており、コンベヤ10の他側には、2つのCCDカメラ4A,4Bが配置されている。照明3AとCCDカメラ4Aとは、コンベヤ10を挟んで対向して配置されており、照明3Aからペットボトル1に投光された光はペットボトル1を透過し、この透過光がCCDカメラ4Aにより撮像される。照明3BとCCDカメラ4Bとは、コンベヤ10を挟んで対向して配置されており、照明3Bからペットボトル1に投光された光はペットボトル1を透過し、この透過光がCCDカメラ4Bにより撮像される。
【0005】
前記照明3A,3BとCCDカメラ4A,4Bにより、ペットボトル正面(ペットボトルのカメラ側の面)側の180°分のラベル検査を行う画像を取込む。図10と同様の照明撮像系をコンベヤ搬送方向の前方であってコンベヤ搬送方向に線対称位置に設置し、ペットボトル裏面側の180°分のラベル検査を行う画像を取込む。この場合、ラベルは不透明であるから、ラベルの部分は全体がやや暗い画像となる。ラベルに破れがあるときは、破れによって形成された開口部から光が漏れるために、この漏れた光がCCDカメラに入射し、暗い背景の内で明るい部分のある画像となる。画像処理装置(図示せず)により、得られた画像を走査して背景よりも明るい部分を破れと判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−193599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ペットボトル容器に巻き付けられたラベルに破れがないかの自動検査において、ストレート搬送方式の検査装置で単位時間当たりに検査できるボトル本数をより多くしたいという要望がある。この要望を満足するには、単位時間当たりに検査装置を通過するボトル本数を多くしなければならない。このため、コンベヤ速度を上げる必要があるが、安定したペットボトル搬送にはコンベヤ速度の上限がある。コンベヤ速度の上限を超える場合には、ペットボトルピッチを短くして対応する必要がある。
本発明者らの実験によれば、コンベヤ速度の上限は90m/分(min)である。コンベヤをこれ以上に高速化するとペットボトルの自転が発生し、搬送に支障が生じることが判明した。
【0008】
安定したペットボトル搬送が可能なコンベヤ上限速度にてペットボトルピッチを短くし、この短いペットボトルピッチで通常の透過照明系を使用して撮像すると、検査対象のペットボトルに隣接したペットボトルのラベルからの反射光やペットボトル内液体により散乱した光の影響で、検査対象のペットボトルが明るく照らされる現象がある。特に、検査対象のペットボトルの進行方向の面は、隣接ペットボトルに近いために、反射光や散乱光の影響を最も受けやすい。こうした反射光や散乱光の影響を受けると、破れと周辺ラベルのコントラストが低下し、破れの検査に支障を来すことが判明した。
【0009】
本発明は、上述の事情に鑑みなされたもので、コンベヤによって搬送される容器の容器間のピッチが狭い場合にも、検査対象の容器に隣接した容器のラベルからの反射光等の影響が少なく、破れと破れの周辺のラベル部分とのコントラストの低下を抑えることができる容器のラベル検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成するため、本発明の第1の態様は、容器に巻き付けたラベルの破れを検出する容器のラベル検査装置において、容器を直線上の搬送系路に沿って搬送するコンベヤの一側に配置されるとともに、前記コンベヤの搬送方向に沿って配置され、搬送される容器に投光する照明ユニットと、前記コンベヤの他側に配置されるとともに、前記コンベヤの搬送方向の前方側と後方側に離間して配置され、前記照明ユニットから投光されて容器を透過した透過光を撮像する2つのCCDカメラと、前記照明ユニットにおいて前記コンベヤの搬送方向の前端側から所定の範囲までの照明と前記2つのCCDカメラのうち前記コンベヤの搬送方向の後方側にあるCCDカメラとが対をなし、前記照明ユニットにおいて前記コンベヤの搬送方向の後端側から所定の範囲までの照明と前記2つのCCDカメラのうち前記コンベヤの搬送方向の前方側にあるCCDカメラとが対をなし、前記照明の照明幅は変更可能であることを特徴とするものである。
【0011】
本発明によれば、容器は、コンベヤにより相隣接する容器間に間隔を形成して直線上の搬送系路に沿って搬送される。この搬送中に、容器は照明ユニットの前方を移動していく。検査対象の容器が照明ユニットの中心部に到達したとき、照明ユニットにおいてコンベヤの搬送方向の前端側から所定の範囲までの照明が点灯し、この照明から容器に投光された光は容器を透過し、この透過光がコンベヤの搬送方向の後方側にあるCCDカメラにより撮像される。この撮像中には、照明ユニットにおいてコンベヤの搬送方向の後端側から所定の範囲までの照明は消灯している。前記CCDカメラによる撮像が終了した後に、照明ユニットにおいてコンベヤの搬送方向の後端側から所定の範囲までの照明が点灯し、この照明から容器に投光された光は容器を透過し、この透過光がコンベヤの搬送方向の前方側にあるCCDカメラにより撮像される。この撮像中には、照明ユニットにおいてコンベヤの搬送方向の前端側から所定の範囲までの照明は消灯している。このように、2つのCCDカメラによる撮像により、容器正面(容器のカメラ側の面)側の少なくとも180°分のラベル検査を行う画像を取込む。照明ユニットにおける照明の点灯範囲を制限して照明幅を制限することにより、検査対象の容器に隣接する容器から検査対象の容器への反射光や透過拡散光の影響を軽減できる。これにより、検査対象の容器における容器進行方向(コンベヤ搬送方向)のラベル部分は、他のラベル部分と同様にやや暗い画像部分となり、ラベルの破れは明るい画像部分となり、容器進行方向のラベル部分と破れのコントラストの低下を抑えることができる。したがって、画像処理装置により画像を走査してやや暗い背景の中に明るい画像部分を識別することにより、ラベルに「破れ」があることを検出することができる。
【0012】
本発明の好ましい態様によれば、前記照明は、多数のLEDを縦横に配列することにより構成されたLEDブロックを複数個コンベヤの搬送方向に配列して構成され、前記照明幅は、複数のLEDブロックにおける点灯ブロック数を調整することにより変更可能であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様によれば、前記照明は、複数のLEDを縦方向に配列することにより構成されたLED列を複数個コンベヤの搬送方向に配列して構成され、前記照明幅は、複数個のLED列における点灯列数を調整することにより変更可能であることを特徴とする。
【0013】
本発明の好ましい態様によれば、前記コンベヤにより搬送される容器間の間隔に応じて前記照明幅を変更することを特徴とする。
本発明によれば、搬送される容器間の間隔が広い場合には、照明幅を広くして容器を撮像しても検査対象の容器が隣接する容器の影響を受けることはない。これに対して、搬送される容器間の間隔が狭い場合には、照明幅が広いと、検査対象の容器は隣接する容器の影響を受けて容器全体が明るくなってしまう。特に、コンベヤ搬送方向のラベル部分は、隣接する容器に近いため、隣接する容器からの反射光等を受けて明るくなり過ぎ、ラベルの破れ部分とのコントラストが低下する。したがって、搬送される容器間の間隔が狭い場合には、照明幅を制限することにより隣接する容器からの反射光や透過拡散光の影響を軽減する。これにより、検査対象の容器における容器進行方向(コンベヤ搬送方向)のラベル部分は、他のラベル部分と同様にやや暗い画像部分となり、破れの部分は明るい画像部分となり、容器進行方向のラベル部分と破れのコントラストの低下を抑えることができる。
【0014】
本発明の好ましい態様によれば、前記照明ユニットにおいて前記コンベヤの搬送方向の前端側から所定の範囲までの照明と前記照明ユニットにおいて前記コンベヤの搬送方向の後端側から所定の範囲までの照明とは、時間差をもって容器を照明するように設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、検査対象容器の搬送経路に沿って単一の照明ユニットを直線状に設置し、単一の照明ユニット内で照明幅を変化させ調整することができるため、検査対象容器の容器間のピッチが狭い場合にも、破れと破れ周辺のラベル部分とのコントラストの低下を抑えることができ、ラベルの破れを確実に検出することができる。したがって、単位時間あたりの容器の検査処理数を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の容器のラベル検査装置の全体構成を示す模式的平面図である。
【図2】図2は、ボトル間ピッチが広い場合において照明AのLEDブロックA1,A2,A3を点灯してCCDカメラで撮影した画像である。
【図3】図3は、ボトル間ピッチが狭い場合において照明AのLEDブロックA1,A2,A3を点灯してCCDカメラで撮影した画像である。
【図4】図4は、ボトル間ピッチが狭い場合において照明AのLEDブロックA1,A2のみを点灯してCCDカメラで撮影した画像である。
【図5】図5は、ボトル間ピッチが狭い場合において照明AのLEDブロックA1,A2,A3を点灯してCCDカメラで撮影した画像である。
【図6】図6は、ボトル間ピッチが狭い場合において照明AのLEDブロックA1,A2のみを点灯してCCDカメラで撮影した画像である。
【図7】図7は、図1の要部拡大図である。
【図8】図8は、ボトル面のラベル破れとラベル部分のコントラストを照明幅を変更して測定した結果を示すグラフである。
【図9】図9は、本発明の他の実施形態における容器のラベル検査装置の全体構成を示す模式的平面図である。
【図10】図10は、従来のラベル検査装置を示す模式的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る容器のラベル検査装置の実施形態について図1乃至図9を参照して説明する。なお、図1乃至図9において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図1は、本発明の容器のラベル検査装置の全体構成を示す模式的平面図である。本実施形態においては、容器の一例としてペットボトルの場合を説明する。ペットボトルは円形の断面を有し、ペットボトルの胴部には略全面に亘ってラベルが巻き付けられている。ラベルには各種の文字、模様、色彩等が印刷されている。ペットボトル内には、飲料等の液体が充填されている。
【0018】
図1に示すように、複数のペットボトル1は、コンベヤ10により、相隣接するペットボトル間に所定の間隔を形成して直線上の搬送系路に沿って搬送されるようになっている。本発明の容器のラベル検査装置は、コンベヤ10の一側に配置されペットボトルを側方から照明する単一の照明ユニット3と、コンベヤ10の他側に配置されペットボトル1を透過した透過光を受光する2つのCCDカメラ4A,4Bとを備えている。照明ユニット3は、ペットボトルの搬送方向に沿って配列された2つの照明A,Bを備えている。照明Aはペットボトルの搬送方向に沿って配列された3つのLEDブロックA1,A2,A3からなり、照明Bはペットボトルの搬送方向に沿って配列された3つのLEDブロックB1,B2,B3からなっている。各LEDブロックA1〜A3,B1〜B3は、多数のLEDを縦横に配列することにより構成されている。照明A,B間には仕切り板は無く、また隣接する2つのLEDブロック間にも仕切り板は無い。また、照明ユニット3の前面には、拡散板3aが設けられている。拡散板3aは、進入した光線をあらゆる角度に屈折させる作用を有する材質からなる板状体で構成され、樹脂材(例えば、アクリル樹脂)に光を屈折される粒子を添加して成形した板材からなっている。CCDカメラ4A,4Bは画像処理装置(図示せず)に接続されている。
【0019】
次に、図1に示す実施形態において、コンベヤ10の中心位置にある検査対象となるペットボトル1の軸心Oを中心として、各機器の配置関係を説明する。
検査対象となるペットボトル1の軸心Oを通りコンベヤの搬送方向の軸線をX軸とし、前記軸心Oを通りX軸と直交する軸線をY軸とする。図1に示すように、矩形状の単一の照明ユニット3は、長手方向がX軸と平行になるように配置されており、照明ユニット3の拡散板3aはコンベヤ10の側縁に近接した位置に配置されている。CCDカメラ4Aの光軸AXは検査対象のペットボトル1の軸心Oを通り、CCDカメラ4Aの光軸AXがX軸となす角度(θ)は、ペットボトルピッチとペットボトルの形状・寸法、検出したい最小のラベル破れ寸法などの要因により決められる。CCDカメラ2台でペットボトル正面180°分のラベル検査を行う場合には通常θ=45°に設定する。しかし、検査するボトル本数を増やすためにペットボトルピッチを短くすると、θ=45°では進行方向の破れが隣接ボトルの影となり、θを45°よりも小さくすると進行方向の破れの検出が徐々に困難となる。要望されるペットボトルピッチとペットボトルの形状・寸法から、進行方向の破れが隣接ボトルの影となり検出が困難とならず、かつ45°に近いθを選択する。通常θは45°〜65°程度に設定されている。図1に示す例においては、θ=55°に設定されている。また、CCDカメラ4Bの光軸BXはペットボトル1の軸心Oを通り、CCDカメラ4Bの光軸BXがX軸となす角度(θ)も、通常は45°〜65°程度に設定されている。図1に示す例においては、θ=55°に設定されている。
【0020】
すなわち、CCDカメラ4Aをコンベヤ搬送方向(X軸)に対して所定の角度(θ)をなすように設置し、照明Aをコンベヤ10と平行にCCDカメラ4Aと反対側に設置する。コンベヤ搬送方向の法線(Y軸)に対して線対称位置にCCDカメラ4Bと照明Bとを設置する。そして、対をなす照明AとCCDカメラ4Aおよび対をなす照明BとCCDカメラ4Bとにより、ペットボトル正面(ペットボトルのカメラ側の面)側の少なくとも180°分のラベル検査を行う画像を取込むようにする。さらに、図1と同様の照明撮像系をコンベヤ搬送方向の前方であってコンベヤ搬送方向(X軸)に対して線対称位置に配置する。すなわち、照明ユニット3をコンベヤ10の手前側に配置し、CCDカメラ4A,4Bをコンベヤ10の奥側に配置することにより、対をなす照明AとCCDカメラ4Aおよび対をなす照明BとCCDカメラ4Bとにより、ペットボトル裏面側の少なくとも180°分のラベル検査を行う画像を取込むようにする。照明ユニット3における照明Aと照明Bは、時間差をもって点灯するように設定されており、互いに干渉することがないようにしている。すなわち、CCDカメラ4Aで画像取込を行うタイミングでは、照明Aが点灯し、照明Bは消灯している。また、CCDカメラ4Bで画像取込を行うタイミングでは、照明Bが点灯し、照明Aは消灯している。
【0021】
また、照明Aを構成する3つのLEDブロックA1,A2,A3のうち、LEDブロックA1,A2は同一のタイミング、点灯時間で点灯・消灯するように設定されており、LEDブロックA3はLEDブロックA1,A2とは独立のタイミング、点灯時間で点灯・消灯するように設定されている。なお、LEDブロックA1、LEDブロックA2、LEDブロックA3は、それぞれ独立のタイミング、点灯時間で点灯・消灯するように設定することもできる。照明Bを構成する3つのLEDブロックB1,B2,B3のうち、LEDブロックB1,B2は同一のタイミング、点灯時間で点灯・消灯するように設定されており、LEDブロックB3はLEDブロックB1,B2とは独立のタイミング、点灯時間で点灯・消灯するように設定されている。なお、LEDブロックB1、LEDブロックB2、LEDブロックB3は、それぞれ独立のタイミング、点灯時間で点灯・消灯するように設定することもできる。
【0022】
次に、図1に示すように構成された容器のラベル検査装置の動作について図2乃至図8を参照して説明する。
図1に示すように、複数のペットボトル1は、相隣接するペットボトル間に所定の間隔を形成して直線上の搬送系路に沿って搬送される。この搬送中に、ペットボトル1は照明ユニット3の前方を移動していく。検査対象のペットボトル1がペットボトル1の軸心Oと図1に示すY軸とが一致する位置に到達したとき、照明Aが点灯し、照明Aからペットボトル1に投光された光はペットボトル1を透過し、この透過光がCCDカメラ4Aにより撮像される。この撮像中には、照明Bは消灯している。CCDカメラ4Aによる撮像が終了した後に、照明Bが点灯し、照明Bからペットボトル1に投光された光はペットボトル1を透過し、この透過光がCCDカメラ4Bにより撮像される。この撮像中には照明Aは消灯している。このように、CCDカメラ4A,4Bによる撮像により、ペットボトル正面(ペットボトルのカメラ側の面)側の少なくとも180°分のラベル検査を行う画像を取込む。
【0023】
図2は、直径60mm、容量500mlの丸型のペットボトル1について照明AのLEDブロックA1,A2,A3を点灯してCCDカメラ4Aで撮影した画像である。検査対象のペットボトルは無色透明であり、ペットボトルには、ボトルの底部近傍から肩部に至るまでラベルが巻き付けられている。ラベルの生地は白色であり、白色の生地に文字や模様が印刷されているものである。ラベルの生地部には、検出すべき「破れ」に相当する矩形状の開口が多数形成されている。ペットボトルには白色の液体(飲料)が充填されている。搬送されるペットボトルのボトル間ピッチは110mmである。したがって、相隣接するボトル間には、50mmの間隔が形成されている。
【0024】
図2に示すように、LEDブロックA1,A2,A3を点灯してCCDカメラ4Aで撮影した画像では、ラベル生地部はやや暗い画像部分であるのに対し、「破れ」に相当する矩形状の開口の部分は明るい画像部分となり、ラベル生地部と開口の部分とでコントラストがある画像になっている。
したがって、画像処理装置により画像を走査してやや暗い背景の中に明るい画像部分を識別することにより、ラベルに「破れ」があることを検出することができる。
【0025】
図3は、搬送されるペットボトルのボトル間ピッチが83mmの場合で照明AのLEDブロックA1,A2,A3を点灯してCCDカメラ4Aで撮影した画像である。搬送されるペットボトルのボトル間ピッチが83mmで相隣接するボトル間の間隔が23mmと狭いため、図3に示すように、検査対象のペットボトルに隣接するペットボトルも撮像されている。そして、検査対象のペットボトルは、隣接するペットボトルの影響を受けて、ボトル間ピッチが広い場合(図2)に比べて、ボトル全体が明るくなっている。LEDブロックA1,A2,A3を点灯すると、コンベヤ搬送方向のラベル部分は、隣接するペットボトルに近いため、隣接するペットボトルからの反射光等を受けて明るくなり過ぎ、ラベルの破れ部分とのコントラストが低下する。すなわち、検査対象のペットボトルにおけるペットボトル進行方向(コンベヤ搬送方向)のラベル部分(図3において左側部分)の全体が明るい画像になってしまい、ラベルの破れ部分と峻別できなくなる。
【0026】
そこで、本発明においては、照明ユニット3における照明A(又は照明B)の点灯する照明幅を制限する。すなわち、搬送されるペットボトルのボトル間ピッチが狭い場合には、照明A内のLEDブロックA1,A2のみ点灯する。
図4は、搬送されるペットボトルのボトル間ピッチが83mmの場合で照明AのLEDブロックA1,A2のみを点灯してCCDカメラ4Aで撮影した画像である。照明Aの点灯する照明幅を制限することにより隣接するペットボトルからの反射光や透過拡散光の影響を軽減できる。これにより、図4に示すように、検査対象のペットボトルにおけるペットボトル進行方向(コンベヤ搬送方向)のラベル部分は、他のラベル部分と同様にやや暗い画像部分となり、「破れ」に相当する矩形状の開口の部分は明るい画像部分となり、ペットボトル進行方向のラベル生地部と開口の部分のコントラストの低下を抑えることができる。したがって、画像処理装置により画像を走査してやや暗い背景の中に明るい画像部分を識別することにより、ラベルに「破れ」があることを検出することができる。
【0027】
図5は、搬送されるペットボトルのボトル間ピッチが73mmの場合で照明AのLEDブロックA1,A2,A3を点灯してCCDカメラ4Aで撮影した画像である。図5に示すように、搬送されるペットボトルのボトル間ピッチが73mmで相隣接するボトル間の間隔が13mmと狭いため、検査対象のペットボトルは隣接するペットボトルの影響を受けて、ボトル全体が明るくなっている。LEDブロックA1,A2,A3を点灯すると、ペットボトル進行方向(コンベヤ搬送方向)のラベル部分は、隣接するペットボトルからの反射光等を受けて明るくなり過ぎ、ラベルの破れ部分とのコントラストが低下する。すなわち、検査対象のペットボトルにおけるペットボトル進行方向(コンベヤ搬送方向)のラベル部分(図5において左側部分)の全体が明るい画像になってしまい、ラベルの破れ部分と峻別できなくなる。
【0028】
図6は、搬送されるペットボトルのボトル間ピッチが73mmの場合で照明AのLEDブロックA1,A2のみを点灯してCCDカメラ4Aで撮影した画像である。照明Aの点灯する照明幅を制限することにより隣接するペットボトルからの反射光や透過拡散光の影響を軽減できる。これにより、図6に示すように、検査対象のペットボトルにおけるペットボトル進行方向(コンベヤ搬送方向)のラベル部分は、他のラベル部分と同様にやや暗い画像部分となり、「破れ」に相当する矩形状の開口の部分は明るい画像部分となり、ペットボトル進行方向のラベル生地部と開口の部分のコントラストの低下を抑えることができる。したがって、画像処理装置により画像を走査してやや暗い背景の中に明るい画像部分を識別することにより、ラベルに「破れ」があることを検出することができる。
ただし、図6に示す例においては、相隣接するボトル間の間隔が13mmときわめて狭いため、画像中では、検査対象のペットボトルの画像部分と隣接するペットボトルの画像部分との間にほとんど隙間がない状態であり、73mm程度のボトルピッチが検査限度であることがわかる。
【0029】
次に、図1及び図1の要部拡大図である図7を参照して、コンベヤ10の中央に位置する検査対象のペットボトル1について、CCDカメラ4Aにより撮像する場合に検査対象のペットボトル1に入射する入射光と透過する透過光および隣接するペットボトルによる反射光を、照明AのLEDブロックA1、A2,A3との関係をもとに説明する。
照明Aを構成する3つのLEDブロックA1,A2,A3のうちA1,A2,A3を同一のタイミング、点灯時間で点灯・消灯する場合と、照明幅を変えてA1,A2を同一のタイミング、点灯時間で点灯・消灯する場合とを比較する。
【0030】
照明AのLEDブロックA1,A2から拡散板3aを通り中央にある検査対象のペットボトル1に入射する光は入射光IL−1から入射光IL−2までの範囲である。照明AのLEDブロックA1,A2,A3から拡散板3aを通り検査対象のペットボトル1に入射する光は入射光IL−1から入射光IL−3(図中、一点鎖線で示す)までの範囲である。検査対象のペットボトル1に入射したのちペットボトル1を透過してCCDカメラ4Aに入射する透過光のうち最外側の透過光は、透過光TL−1およびTL−2で示され、LEDブロックA1,A2を使用した場合とLEDブロックA1,A2,A3を使用した場合とでは略同一である。
【0031】
次に、図3および図5を参照して説明したように、隣接するペットボトルの影響を受けて検査対象のペットボトル全体が明るくなってしまう場合を説明する。ペットボトル間の間隔が所定間隔以下であるときであって、LEDブロックA1,A2,A3を使用した場合、検査対象である中央のペットボトル1とともに進行方向にあるペットボトルにLEDブロックA3から光があたり、検査対象のペットボトルの撮像結果に影響を与えてしまう現象について説明する。
この場合、LEDブロックA3から隣接するペットボトル1に入射する入射光IL−4はペットボトル表面上の点S1に入射し、この入射光は透過および乱反射以外に鏡面反射(正反射)して検査対象のペットボトル1の表面上の点S2に入射する。そして、点S2においても鏡面反射(正反射)して反射光RLとしてCCDカメラ4Aに入射する。反射光RLは、透過光TL−2よりもCCDカメラ4Aの光軸AX側に位置し、CCDカメラ4Aの焦点に向かうためCCDカメラで撮影された画像において、検査対象のペットボトル1の左側がより明るい画像部分になってしまう。
【0032】
図4および図6は、上述したようにLEDブロックA1,A2のみを点灯して撮影した画像である。検査対象である中央のペットボトル1よりも進行方向にあるペットボトルにLEDブロックA2から光があたる場合を考えてみる。LEDブロックA2から隣接するペットボトル1に入射する入射光IL−5の光路はペットボトル表面上の点S1に入射し、この入射光の一部は鏡面反射(正反射)して検査対象のペットボトル1の表面に入射(図示省略)するが、ここで反射した反射光はCCDカメラ4Aの撮像範囲に入らない。したがって、検査対象のペットボトル1の左側がより一層明るくなることはなく、ラベルの破れ部分とラベル生地部とを峻別することが可能となる。
隣接するペットボトルであって検査対象のペットボトルよりも進行方向後方にあるペットボトルについては、A1,A2,A3のいずれのLEDブロックから照明されてもその反射光等によってCCDカメラ4Aの撮像結果に悪影響を及ぼすことはない。
【0033】
図8は、搬送されるペットボトルのボトル間ピッチが83mmの場合で、照明AのLEDブロックA1,A2,A3を点灯した場合と、照明AのLEDブロックA1,A2のみを点灯した場合とで、ペットボトル進行方向にあるラベル破れとラベル部分のコントラストを測定した結果を示すグラフである。図8において、横軸はラベル破れの明るさ(55〜215)を示し、縦軸はコントラストを示す。図8はLEDブロックA1,A2,A3を点灯した照明幅が広い場合を点線で示し、LEDブロックA1,A2を点灯した照明幅が狭い場合を実線で示す。ここで、コントラストは以下の関係式より計算した。
コントラスト=100×(破れの明るさ−破れ周辺のラベルの明るさ)/(破れの明るさ+破れ周辺のラベルの明るさ)
図8から明らかなように、破れの明るさが55〜215の領域では、照明幅を狭くしたほうがコントラストが大きくなる。
【0034】
図9は、本発明の他の実施形態における容器のラベル検査装置の全体構成を示す模式的平面図である。
図9に示すように、複数のペットボトル1は、コンベヤ10により、相隣接するペットボトル間に所定の間隔を形成して直線上の搬送系路に沿って搬送されるようになっている。本発明の容器のラベル検査装置は、コンベヤ10の一側に配置されペットボトルを側方から照明する単一の照明ユニット3と、コンベヤ10の他側に配置されペットボトル1を透過した透過光を受光する2つのCCDカメラ4A,4Bとを備えている。照明ユニット3は、ペットボトルの搬送方向に沿って配列された単一の照明Aを備えている。照明Aは、ペットボトルの搬送方向に沿って配列された6つのLEDブロックA1,A2,A3,A4,A5,A6からなっている。隣接する2つのLEDブロック間には仕切り板は無い。各LEDブロックA1〜A6は、多数のLEDを縦横に配列することにより構成されている。また、照明ユニット3の前面には、拡散板3aが設けられている。拡散板3aは、進入した光線をあらゆる角度に屈折させる作用を有する材質からなる板状体で構成され、樹脂材(例えば、アクリル樹脂)に光を屈折される粒子を添加して成形した板材からなっている。CCDカメラ4A,4Bは画像処理装置(図示せず)に接続されている。
【0035】
図9に示す実施形態において、照明ユニット3は単一の照明Aから構成されているが、コンベヤ10の中心位置にある検査対象となるペットボトル1の軸心Oを中心としたCCDカメラ4A,4Bなどの各機器の配置関係は、図1に示すものと同様であるので説明を省略する。
【0036】
照明Aを構成する6つのLEDブロックA1,A2,A3,A4,A5,A6のうち、LEDブロックA1,A2は同一のタイミング、点灯時間で点灯・消灯するように設定されており、LEDブロックA5,A6は同一のタイミング、点灯時間で点灯・消灯するように設定されており、LEDブロックA3,A4はそれぞれ独立のタイミング、点灯時間で点灯・消灯するように設定されている。なお、6つのLEDブロックA1,A2,A3,A4,A5,A6は、それぞれ独立のタイミング、点灯時間で点灯・消灯するように設定することもできる。
【0037】
検査対象となるペットボトル1のコンベヤ上におけるボトル間の間隔が十分に確保できる場合には、LEDブロックA1,A2,A3,A4,A5,A6のうち4つのLEDブロックA1,A2,A3,A4を点灯し(照明幅1)、CCDカメラ4Aにより画像を取り込む。CCDカメラ4Bで画像の取込を行うタイミングでは、LEDブロックA1,A2,A3,A4,A5,A6のうち4つのLEDブロックA3,A4,A5,A6を点灯する(照明幅2)。
検査するペットボトル1のボトル間の間隔を狭くする場合には、3つのLEDブロックA1,A2,A3を点灯し(照明幅3)、CCDカメラ4Aにより画像を取り込む。CCDカメラ4Bで画像の取込を行うタイミングでは、3つのLEDブロックA4,A5,A6を点灯する(照明幅4)。また、ペットボトル1のボトル間の間隔を更に狭くする場合には、2つのLEDブロックA1,A2を点灯し(照明幅5)、CCDカメラ4Aにより画像を取り込む。CCDカメラ4Bで画像の取込を行うタイミングでは、2つのLEDブロックA5,A6を点灯する(照明幅6)。このように、複数のLEDブロックの点灯個数を適宜調整することにより、照明幅を調整することができ、ペットボトルのボトル間ピッチに合わせてペットボトルのラベルの破れの検査を行うことができる。
【0038】
さらに、本発明における他の実施形態においては、照明としてLEDブロックではなく、例えば縦方向に配置したLED列を多数列使用することができる。この場合には、上記LEDブロックA1,A2,A3,A4,A5,A6に相当する多数のLED列を使用し、所定数のLED列を点灯して照明幅を調整する。
【0039】
上述の実施形態においては、ペットボトル間の間隔に応じて照明幅を変更する例を主として説明したが、ペットボトルの形状、ラベル色、内容液種等の違いに応じて照明幅を適宜調整し、かつ照明の点灯時間を制御する。これにより、破れとラベル部分のコントラストの低下を抑え、破れの検出がより容易になる。
【0040】
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0041】
1 ペットボトル
3 照明ユニット
3a 拡散板
3A,3B 照明
4A,4B CCDカメラ
10 コンベヤ
A,B 照明
A1,A2,A3,B1,B2,B3 LEDブロック
IL−1,IL−2,IL−3,IL−4,IL−5 入射光
TL−1,TL−2 透過光
RL 反射光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に巻き付けたラベルの破れを検出する容器のラベル検査装置において、
容器を直線上の搬送系路に沿って搬送するコンベヤの一側に配置されるとともに、前記コンベヤの搬送方向に沿って配置され、搬送される容器に投光する照明ユニットと、
前記コンベヤの他側に配置されるとともに、前記コンベヤの搬送方向の前方側と後方側に離間して配置され、前記照明ユニットから投光されて容器を透過した透過光を撮像する2つのCCDカメラと、
前記照明ユニットにおいて前記コンベヤの搬送方向の前端側から所定の範囲までの照明と前記2つのCCDカメラのうち前記コンベヤの搬送方向の後方側にあるCCDカメラとが対をなし、前記照明ユニットにおいて前記コンベヤの搬送方向の後端側から所定の範囲までの照明と前記2つのCCDカメラのうち前記コンベヤの搬送方向の前方側にあるCCDカメラとが対をなし、
前記照明の照明幅は変更可能であることを特徴とする容器のラベル検査装置。
【請求項2】
前記照明は、多数のLEDを縦横に配列することにより構成されたLEDブロックを複数個コンベヤの搬送方向に配列して構成され、前記照明幅は、複数のLEDブロックにおける点灯ブロック数を調整することにより変更可能であることを特徴とする請求項1記載の容器のラベル検査装置。
【請求項3】
前記照明は、複数のLEDを縦方向に配列することにより構成されたLED列を複数個コンベヤの搬送方向に配列して構成され、前記照明幅は、複数個のLED列における点灯列数を調整することにより変更可能であることを特徴とする請求項1記載の容器のラベル検査装置。
【請求項4】
前記コンベヤにより搬送される容器間の間隔に応じて前記照明幅を変更することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の容器のラベル検査装置。
【請求項5】
前記照明ユニットにおいて前記コンベヤの搬送方向の前端側から所定の範囲までの照明と前記照明ユニットにおいて前記コンベヤの搬送方向の後端側から所定の範囲までの照明とは、時間差をもって容器を照明するように設定されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の容器のラベル検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−17617(P2011−17617A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162387(P2009−162387)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(390014661)キリンテクノシステム株式会社 (126)
【Fターム(参考)】