説明

容器の振動試験方法および試験装置

【課題】危険物を収納して輸送する容器の振動試験を容易に行うようにする。
【解決手段】この振動試験装置は、上下方向に一定の振幅で駆動されて液体が充填された試験容器10が配置される振動台11を有し、危険物を収納する容器の耐振強度を試験するために使用される。振動台11を振動させて試験容器10が底部支点20を中心に振動したときの側面変位H1をレバー型変位計16により測定し、振動周波数を変化させながら側面変位H1が飛び跳ね判定量H0に対応した設定変位量となったときの振動周波数を試験周波数として探査する。探査された試験周波数により試験容器10を試験時間に渡って振動試験が実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学品等を収容して輸送する容器、特に液状の危険物を収納して輸送する容器の振動試験を行うための容器の振動試験方法および試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
化学品や食料品を収容して輸送したり貯蔵したりするために用いられる容器には、IBC(Intermediate Bulk Container)つまり中型容器と言われるものがある。この中型容器は、容量が500リットルから2000リットル程度のサイズの容器であり、1000リットルのサイズのものが一般的となっている。中型容器には、その材質としてステンレス等の金属を用いた金属製容器、金属製のカゴ状の外装部材により保護された樹脂製容器などがある。
【0003】
このような中型容器に液状の危険物を収納して陸上輸送や海上輸送をするには、輸送途中に中型容器が破損しないようにする必要がある。そこで、液状の危険物を収納して運搬する中型容器を製品化するには、危険物が輸送中に遭遇する衝撃、荷役、振動の影響に十分耐えられる強度を有しているか否か、つまり中型容器の形状や構造が一定の耐振性能ないし耐振強度を有しているか否かを試験している。この振動試験により安全性が確認された型式の中型容器についてのみ製品化が可能となっている。
【0004】
危険物を収納して運搬する中型容器の振動試験は、最大容量の98%まで水が充填された試験容器を振動台の上に配置して上下に振動させることにより行っており、振動台の上で試験容器を一定時間飛び跳ねるように振動させても試験容器が破損しなければ、所望の耐振強度を有していると判定するようにしている。この振動試験における具体的な試験条件は、「危険物の容器及び包装の検査試験基準」に規定されるように、振動台により試験容器に正弦波形で垂直方向に両振幅で25mm±5%の振動を与えることが条件となっている。このときの振動数は、試験容器の側面から少なくとも100mm入り込んだところにおける容器底面と振動台との間の隙間つまり飛び跳ね量が1.6mm以上となるような振動数とすることになっている。この振動試験においては、一定の飛び跳ね量以上となるように試験容器に振動を加え、この振動を1時間継続させるという過酷な試験を行う必要があり、試験の結果、容器が破損しなければ、その型式の容器は所望の耐振強度を有していると判定している。所望の耐振強度を有すると判定された型式の中型容器を用いて危険物を輸送すれば、輸送中に内部の危険物が洩れる等の事故の発生を防止することができる。
【0005】
このような振動試験を行うには、飛び跳ね量が一定値以上となるまで試験容器が加振されているか否かを外部から観察するために、試験容器の変位を測定することになる。例えば、特許文献1には、門形の支持構造体を振動させたときにおける支持構造体の変位量を測定するために使用する変位計測装置が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−210398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のような振動試験を試験容器について行って破損が発生しなければ、危険物を収納するための中型容器としての耐久性を具備していると判定している。しかし、上下方向に25mm程度の振幅で試験容器を振動させ、内部に充填された液体の存在により飛び跳ね量が一定値以上となる程度まで試験容器を振動させるには、このような試験条件を満たす特定の振動周波数で試験容器を振動させる必要がある。この振動周波数は、試験すべき中型容器のサイズや構造等によって相違しているので、中型容器の耐振試験を行うときには、試験すべき容器毎に相違させて振動周波数を設定しなければならない。このため、中型容器の振動試験を行うには、飛び跳ね量が一定値以上となる振動周波数を検出する必要があるが、容器の底面と振動台との間の隙間寸法つまり飛び跳ね量を測定することは容易ではなく、容器の振動試験を容易に行うことが困難であった。
【0008】
本発明の目的は、化学品等を収容して輸送する容器、特に液状の危険物を収納して輸送する容器の振動試験を容易に行うようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の容器の振動試験方法は、危険物を収納する容器の耐振強度を試験する容器の振動試験方法であって、上下方向に一定の振幅で振動アクチュエータにより駆動される振動台の上に、液体が充填された試験容器が配置された状態のもとで前記振動台を振動させる始動工程と、前記振動台の上下振動により前記試験容器がその底部支点を中心に前記振動台の上で振動したときの飛び跳ね側の側面の前記振動台からの上下方向の側面変位を測定する変位測定工程と、前記振動アクチュエータの振動周波数を一定時間毎に徐々に変化させながら前記側面変位が設定変位量となるときの試験周波数を探査する試験周波数探査工程と、探査された前記試験周波数に基づいて設定された試験時間が経過するまで前記振動アクチュエータを駆動する振動試験工程とを有することを特徴とする。本発明の容器の振動試験方法は、前記側面変位の設定変位量を、前記試験容器の前記飛び跳ね側の側面から所定の判定距離の位置における前記試験容器の底面の飛び跳ね判定量と前記試験容器の幅寸法とに基づいて設定することを特徴とする。
【0010】
本発明の容器の振動試験装置は、危険物を収納する容器の耐振強度を試験する容器の振動試験装置であって、液体が充填された試験容器が配置されるとともに、上下方向に一定の振幅で振動アクチュエータにより駆動される振動台と、前記振動アクチュエータの振動周波数を変化させる周波数制御部と、前記振動台の上下振動により前記試験容器がその底部支点を中心に前記振動台の上で振動したときの飛び跳ね側の側面の前記振動台からの上下方向の側面変位を測定する変位測定手段と、前記振動アクチュエータの振動周波数を一定時間毎に徐々に変化させながら前記側面変位が設定変位量となるときの試験周波数を探査する試験周波数探査手段と、探査された前記試験周波数に基づいて設定された試験時間が経過するまで前記振動アクチュエータを駆動するアクチュエータ駆動手段とを有することを特徴とする。本発明の容器の振動試験装置は、前記側面変位の設定変位量を、前記試験容器の前記飛び跳ね側の側面から所定の判定距離の位置における前記試験容器の底面の飛び跳ね判定量と前記試験容器の幅寸法とに基づいて設定することを特徴とする。本発明の容器の振動試験装置は、前記変位測定手段を前記振動台に複数個設けることを特徴とする。本発明の容器の振動試験装置は、前記変位測定手段が前記試験容器の側面に設けられた当接板に先端が接触し、基端部が前記振動台に固定される台座に取り付けられたレバーを有し、当該レバーに歪みゲージを用いたカンチレバー型変位計であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、試験容器を振動させたときの試験容器の側面変位を測定し、その変位量が設定変位量となったときには、振動試験として必要な底面の飛び跳ね量が判定値となるときに対応することになり、そのときの振動周波数が試験周波数として探査される。探査された試験周波数で振動台により試験容器を、振動試験として必要な時間に渡って振動試験が実行される。このように、試験周波数を自動的に探査することができるので、中型容器、特に危険物を収納して運搬するための中型容器の耐振強度ないし性能を容易に試験することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態である容器の振動試験装置の外観を示す斜視図である。
【図2】容器の振動試験装置により振動試験を行っている状態を示す断面図である。
【図3】(A)はデータ収録装置を示すブロック図であり、(B)は容器の振動試験装置の制御回路を示すブロック図である。
【図4】容器の振動試験装置により試験手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。本発明の容器の振動試験装置は、図1に示されるように試験容器10が配置される振動台11を有している。試験容器10は、前後方向、左右方向および高さ方向の各寸法が1m程度の立方体に近い六面体形状となっており、前後左右の4つの側壁10aと底壁10bと天壁10cとを有している。振動台11は、図2に示されるように、振動アクチュエータ12によって上下方向に一定の振幅で駆動されるようになっており、振動アクチュエータ12は、一定の上下の往復動ストロークで駆動ロッド13を駆動する油圧シリンダにより形成されている。
【0014】
振動台11を用いて種々の振動試験を行う場合には、振動台11を傾斜方向に振動させたり、これに併せて水平方向に振動させたりすることがあるが、液状の危険物を収納する中型容器の振動試験においては、試験容器10を上下方向にのみ振動させるだけである。したがって、液状の危険物を収納する中型容器の振動試験のみを行う振動試験装置であれば、振動台11は上下方向に振動させるだけで良い。図2に示されるように、振動台11には複数の振動アクチュエータ12が設けられているが、単一の振動アクチュエータ12により振動台11を上下動させるようにしても良い。振動台11を上下に振動させるための振動アクチュエータとしては、油圧シリンダに限られず、電動モータ等の他のタイプのものを使用するようにしても良い。
【0015】
振動台11には試験容器10を支持するための板状の治具14が図1に示されるように配置されている。この治具14には、図2に示されるように、試験容器10を振動試験する際に、試験容器10の水平移動を防止するために、水平移動防止用のガイドロッド14aが取り付けられている。ガイドロッド14aは、試験容器10の前後左右の4つの側壁10aに対応させて4つ設けられているが、便宜的に図2には1つのガイドロッド14aのみが示され、図1には2つのガイドロッド14aが示されている。
【0016】
試験容器10の前後左右の4つの側壁10aには、角部に寄せて金属製の当接板15が予め固定されており、それぞれの当接板15は下面が水平となっている。図1には、3つの当接板15が示されているが、図1において背面側の側壁10aにも当接板15が固定されている。
【0017】
4つの当接板15に対応させて振動台11にはカンチレバー型変位計とも言われるレバー型変位計16が変位測定手段として4つ取り付けられている。それぞれのレバー型変位計16は、先端に当接板15に接触する接触子17が設けられたレバー18を有している。レバー18の基端部は振動台11に固定される台座19に取り付けられており、レバー18には歪みゲージが設けられている。このタイプのレバー型変位計16は、接触子17の上下方向の変位量に応じてレバー18に設けられた歪みゲージの電気抵抗が変化することから、接触子17の変位量を検出することができる。なお、図2においては、1つの当接板15と1つのレバー型変位計16のみが示されており、他の当接板15とレバー型変位計16は図示省略されている。
【0018】
液状の危険物を収納する中型容器について型式認定を受けるための試験は、試験容器10内にその最大容量の98%まで水を充填した状態のもとで、振動台11により試験容器10を垂直方向に25mm±5%の両振幅Mを加えて上下に振動させる。このときの振動周波数は、試験容器10の底面の特定の部位が振動台から判定量以上飛び跳ねるように試験容器10を振動させることが条件となっている。
【0019】
この振動試験としては、試験容器10が図2に示す方向に振動したときにおける飛び跳ねた側の側壁からの飛び跳ね判定距離をL0とし、この判定距離L0の位置における試験容器10の底面の飛び跳ね判定量をH0とすると、側壁から100mmの判定距離L0における飛び跳ね判定量H0が1.6mmとなるようにして試験容器を1時間振動させることが条件となっている。
【0020】
このように、振動試験を行うには、試験容器10の側面から少なくとも100mm入り込んだ判定距離L0における試験容器10の底面と振動台11との間の隙間つまり飛び跳ね判定量H0が1.6mm以上となるまで試験容器10を振動させる必要がある。図2に示すように、試験容器10が図2において左側に傾斜するように振動したとすると、試験容器10は底壁10bの左側の側辺を底部支点20としてこれを中心に振動してこれと反対側の右側の側辺が上昇することになり、判定距離L0の位置は右側の側壁面から100mmとなる。試験容器10が図2とは逆方向に振動すれば、試験容器10は底壁10bの右側の側辺を底部支点としてこれを中心に振動し、これと反対側の左側の側辺が上昇することになり、判定距離L0の位置は左側の側壁面から100mmとなる。図2に示した振動方向に対して直角方向に振動する場合にも、判定距離L0は同様である。
【0021】
判定距離L0における飛び跳ね量が飛び跳ね判定量H0となったか否かを測定することは容易ではない。そこで、当接板15の上下方向の変位、つまり試験容器10の側面変位H1が設定変位量となったときに、判定距離L0における飛び跳ね量が飛び跳ね判定量H0である1.6mmとなったことを探査するようにしている。
【0022】
図2に示すように、底部支点20から接触子17までの距離をL1とし、試験容器10の図2における幅寸法をWとすると、底面の飛び跳ね判定量H0と幅寸法Wとに基づいて、側面変位H1の設定変位量は、H1=(L1×H0)/(W−L0)の関係から求められる。したがって、底面の飛び跳ね判定量H0と幅寸法Wとに基づいて、側面変位H1が設定変位量となったときには、飛び跳ね判定量H0だけ試験容器10が飛び跳ねたことを判定することができる。
【0023】
図3(A)はレバー型変位計16により得られた変位データを収納して出力するデータ収録装置を示すブロック図であり、図3(B)は振動台制御装置を示すブロック図である。
【0024】
変位測定手段としての4つのレバー型変位計16からはデータ収録装置本体21に検出信号が送られるようになっている。このデータ収録装置本体21からは、常時監視装置つまりモニタ22とプリンタ23とに信号が送られる。モニタ22には変位データが常時表示され、プリンタ23を操作することにより変位データをプリントすることができる。このように、モニタ22にはレバー型変位計16からの信号に基づいて振動台11からの試験容器10の上下方向の側面変位を測定する変位測定手段を構成するとともに、その側面変位が設定変位量となるときの試験周波数を探査する試験周波数探査手段を構成している。
【0025】
振動台制御装置は、振動台制御部としてのオペコン24を有し、オペコン24には操作盤25が接続されている。操作盤25に設けられたスイッチやキーを操作することにより、試験装置のオンオフが入力される。オペコン24は、振動アクチュエータ12の振動周波数を変化させる周波数制御部を有しており、振動アクチュエータ12の駆動周波数はオペコン24からの信号により制御される。
【0026】
振動試験を行う際には、振動試験開始が操作盤25のキー操作により入力されると、振動アクチュエータ12の作動を制御するコントローラとしてのオペコン24から振動アクチュエータ12に対して駆動信号が送られる。振動アクチュエータ12は往復振動ストロークMが25mm±5%となるように駆動ロッド13を駆動する。振動アクチュエータ12は一定の振動数を一定時間振動台11に加えるとともに、一定時間毎に振動数を徐々に増加させるように変化させる。このように、段階的に振動数を増加させる。このときには、レバー型変位計16からの測定信号に基づいて側面変位H1が求められる。この側面変位H1の値はモニタ22に表示されており、側面変位H1が飛び跳ね判定量H0に対応する設定変位量となったことがモニタ22の目視により判断されたら、そのときの振動数が試験周波数として探査される。操作盤25を操作することにより、探査された試験周波数のもとで振動台11を1時間継続的に振動させる。
【0027】
1時間の振動試験が終了する前に試験容器10が破損した場合には、作業者が操作盤25のキーを操作することにより振動台11は停止される。一方、測定を開始している状態のもとで、側面変位H1が設定変位量以下となったことがモニタ22の表示から判明したときには、操作盤25を操作して試験時間のカウントを中断する。カウントを中断したら、振動周波数を増加させて設定変位量となったときに測定時間のカウントを継続させることになる。試験時間のカウントを中断している状態のときには、その状態であることがモニタ22に表示される。
【0028】
このように、図3に示すように、レバー型変位計16からの検出信号によりモニタ22に側面変位H1の値を表示し、振動アクチュエータ12をオペコン24により駆動させるようにした場合には、側面変位H1の値を作業者がモニタ22を目視してモニタ22に表示される試験周波数探査結果に基づいて振動アクチュエータ12を駆動させることになる。
【0029】
一方、レバー型変位計16からの信号に基づいて、オペコン24により自動的に振動アクチュエータ12を一定時間駆動するようにしても良い。
【0030】
図4は上述した振動試験装置により試験容器10の振動試験を行った場合の試験手順を示すフローチャートである。型式認定を受けるための試験容器10には、予め4つの側壁10aのそれぞれに当接板15が固定され、試験容器10の内部には水が充填される。試験容器10の幅寸法Wや距離L1等の容器情報は操作盤25により予め入力される。このように試験準備が完了した試験容器10は振動台11の上に配置される。
【0031】
操作盤25の開始スイッチを作業者が操作して振動台11を始動させることが入力されると、振動アクチュエータ12に駆動信号が送られ、ステップS1において振動台11は初期の振動数で始動を開始する。始動が開始された状態のもとで、ステップS2ではレバー型変位計16からの信号に基づいて側面変位H1が測定されて測定結果がモニタ22に表示される。次いで、側面変位H1が設定変位量となっていない場合には、振動周波数を増加させるように変更される(ステップS3,S4)。振動周波数を徐々に増加させることによって側面変位H1が飛び跳ね判定量H0(1.6mm)に対応する設定判定量となったら、そのときの振動数により振動試験の時間のカウントを開始する(ステップS5)。このように側面変位H1を測定してその値が設定変位量となったときの振動周波数が試験周波数であり、ステップS3で試験周波数が探査されたときには、その試験周波数により振動試験が実行される。振動試験が実行されると、振動試験中に設定変位となっているか否かが判定される。設定変位となっている状態のもとで、振動試験が設定時間(1時間)行われたと判定されたら、振動台11を停止させて振動試験が終了する(ステップS7,S8)。一方、ステップS6において振動試験中に設定変位となっていないと判定されたら、カウントを中断し(ステップS4)、再度振動周波数が変更される。最大容量1000リットルの金属製の中型容器を振動試験した場合に、継続的に容器に加えられる試験周波数は3Hz程度である。
【0032】
このように、振動台11を始動させた後に一定時間毎にステップ的に徐々に振動周波数を増加させ、側面変位H1の測定値が飛び跳ね判定量H0に対応した設定変位量となったことが判定されたならば、そのときの振動周波数が試験周波数として探査される。探査された試験周波数により試験時間に渡って振動試験が継続される。一方、1時間の振動試験が終了する前に試験容器10の溶接部や締結具が破損したり、側壁が破裂したり、内部の液体が漏出した場合には、振動試験を中止して容器の材料や溶接強度の見直しを行うことになる。この試験にパスした中型容器はその内部に危険物を収容して輸送しても輸送の安全性を確保することができる。
【0033】
振動試験装置は4つのレバー型変位計16を有しているので、4つの側壁10aのいずれかの側面変位H1が設定変位量となったときには、振動測定を開始するようにする。
【0034】
振動試験を行うには、振動によって試験容器10の判定距離L0の位置における隙間が飛び跳ね判定量H0となったことを、側面変位H1を測定してこの変位が設定変位量となったときに判定探査するようにしたので、振動試験条件の判定を確実に行うことができる。側面変位H1の測定を歪みゲージを用いた取り扱いが簡単なレバー型変位計16を用いたので、振動台11に対するレバー型変位計16の据え付けを容易に行うことができ、サイズが異なる多種の試験容器10について、長い準備時間を設けることなく、連続的に振動試験を行うことができる。ただし、変位測定手段としてはレバー型変位計16に限られず、レーザー変位計、渦電流式変位センサ、直線型ポテンショメータ等を使用することも可能である。
【0035】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、本発明の振動試験装置は、危険物を収容するための中型容器のみならず、中型容器であればいずれの用途の中型容器についても振動試験を行うことができる。
【符号の説明】
【0036】
10 試験容器
10a 側壁
10b 底壁
10c 天壁
11 振動台
12 振動アクチュエータ
13 駆動ロッド
14 治具
14a ガイドロッド
15 当接板
16 レバー型変位計
17 接触子
18 レバー
19 台座
20 底部支点
21 データ収録装置本体
22 モニタ
23 プリンタ
24 オペコン
25 操作盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
危険物を収納する容器の耐振強度を試験する容器の振動試験方法であって、
上下方向に一定の振幅で振動アクチュエータにより駆動される振動台の上に、液体が充填された試験容器が配置された状態のもとで前記振動台を振動させる始動工程と、
前記振動台の上下振動により前記試験容器がその底部支点を中心に前記振動台の上で振動したときの飛び跳ね側の側面の前記振動台からの上下方向の側面変位を測定する変位測定工程と、
前記振動アクチュエータの振動周波数を一定時間毎に徐々に変化させながら前記側面変位が設定変位量となるときの試験周波数を探査する試験周波数探査工程と、
探査された前記試験周波数に基づいて設定された試験時間が経過するまで前記振動アクチュエータを駆動する振動試験工程とを有することを特徴とする容器の振動試験方法。
【請求項2】
請求項1記載の容器の振動試験方法において、前記側面変位の設定変位量を、前記試験容器の前記飛び跳ね側の側面から所定の判定距離の位置における前記試験容器の底面の飛び跳ね判定量と前記試験容器の幅寸法とに基づいて設定することを特徴とする容器の振動試験方法。
【請求項3】
危険物を収納する容器の耐振強度を試験する容器の振動試験装置であって、
液体が充填された試験容器が配置されるとともに、上下方向に一定の振幅で振動アクチュエータにより駆動される振動台と、
前記振動アクチュエータの振動周波数を変化させる周波数制御部と、
前記振動台の上下振動により前記試験容器がその底部支点を中心に前記振動台の上で振動したときの飛び跳ね側の側面の前記振動台からの上下方向の側面変位を測定する変位測定手段と、
前記振動アクチュエータの振動周波数を一定時間毎に徐々に変化させながら前記側面変位が設定変位量となるときの試験周波数を探査する試験周波数探査手段と、
探査された前記試験周波数に基づいて設定された試験時間が経過するまで前記振動アクチュエータを駆動するアクチュエータ駆動手段とを有することを特徴とする容器の振動試験装置。
【請求項4】
請求項3記載の容器の振動試験装置において、前記側面変位の設定変位量を、前記試験容器の前記飛び跳ね側の側面から所定の判定距離の位置における前記試験容器の底面の飛び跳ね判定量と前記試験容器の幅寸法とに基づいて設定することを特徴とする容器の振動試験装置。
【請求項5】
請求項3または4記載の容器の振動試験装置において、前記変位測定手段を前記振動台に複数個設けることを特徴とする容器の振動試験装置。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか1項に記載の容器の振動試験装置において、前記変位測定手段は、前記試験容器の側面に設けられた当接板に先端が接触し、基端部が前記振動台に固定される台座に取り付けられたレバーを有し、当該レバーに歪みゲージを用いたカンチレバー型変位計であることを特徴とする容器の振動試験装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−61181(P2013−61181A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198547(P2011−198547)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(304035975)株式会社MTI (46)