説明

容器の搬送装置

【課題】搬送が一定期間停止し、搬送が再開される場合でも、容器は適所に保持され続け、直ちに搬送の再開を行うことができる搬送装置を提供する。
【解決手段】容器の搬送装置は、二組のプーリーと、該各組のプーリーにわたされる各搬送ベルトであって、両搬送ベルトの間に容器が接触して搬送される経路を定め、容器を搬送するために周回する搬送ベルトと、経路を定める搬送ベルトの一部に、背後から接する位置に配置されるガイドと、を含む。搬送ベルトは丸ベルトであり、ガイドの搬送ベルトと接する面は、傾斜している。搬送の途中で、容器が停止したとき、搬送ベルトは、ガイドの傾斜している面にそって、容器から離れるように移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、容器を搬送ベルトにより搬送する搬送装置に関し、特に搬送中、容器の搬送が停止しても、容器が搬送経路から外れることのない搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シリンジ、アンプル、バイアルといった容器が、薬剤の充填、キャップ、ガスケットの装着、梱包のためなどに、ある場所から他の場所に搬送すべく、搬送装置が広く使用されている。
【0003】
この搬送装置には、容器が一列になって移動できるチャネルを設け、順次容器を押し入れて搬送するものがある(特許文献1を参照)。また、搬送経路にそって左右に搬送ベルトを設け、搬送ベルトの周回により順次容器を搬送する装置もある。
【特許文献1】特開平8-164994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チャネルを利用する搬送装置は、容器自身が倒れることなく立っていられるものでなければならない。また高さが不揃い容器に対しては適さない。さらに、容器同士は接していなければ搬送することができない。また、何らかの原因で、搬送が一定期間停止し、搬送が再開される場合があるが、このような搬送装置では、押し入れて搬送するために、先頭の容器は後続の容器より押されてチャネルから押し出される虞がある。
【0005】
容器を左右から搬送ベルトによりはさみ、搬送ベルトの周回により搬送する搬送装置は、シリンジのような立っていられない容器も搬送でき、また容器の高さが種々異なるものであっても搬送できるという利点がある。しかし、上記のように、容器の搬送を停止した状態で、搬送ベルトが引き続き周回していると、搬送ベルは容器に常に接して、搬送しようとするため、容器はもちあげられるようにして搬送ベルトから外れる虞がある。
【0006】
このように、従来技術の搬送装置は、搬送が一定期間停止し、搬送が再開される場合に、容器はチャネル内の適所になく、あるいは搬送ベルトで適所にはされておらず、容器を適切な位置に再配置しないかぎり、搬送の再開ができない。
【0007】
そこで、本発明は、搬送が一定期間停止し、搬送が再開される場合でも、容器は適所に保持され続け、直ちに搬送の再開を行うことができる搬送装置を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の他の目的は、容器の種々の高さに対応することができる上記搬送装置を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、容器が互いに接することなく容器の搬送を行うことができる上記搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の容器の搬送装置は、二組のプーリーと、該各組のプーリーにわたされる各搬送ベルトであって、両搬送ベルトの間に容器が接触して搬送される経路を定め、容器を搬送するために周回する搬送ベルトと、経路を定める搬送ベルトの一部に、背後から接する位置に配置されるガイドと、を含む。ここで、搬送ベルトは丸ベルトであり、ガイドの搬送ベルトと接する面は、傾斜している。
【0011】
上記ガイドに代えて、または一緒に、経路を定める搬送ベルトの一部に、背後から接する位置に配置されるガイドローラーを含んでもよい。
【0012】
ガイドローラーの搬送ベルトと接する面は、ガイドと同様に傾斜していることが望ましい。また、経路を定める搬送ベルトの上方に配置され、搬送ベルトが、ガイドまたはガイドローラーの傾斜している面から外れることを防止するガイド部材を設けることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の搬送装置により、容器は両搬送ベルトによりはさまれて、搬送ベルトの周回により経路にそって搬送される。搬送の途中で、容器が停止したとき、搬送ベルトは、ガイドまたは/およびガイドローラーの傾斜している面にそって、容器から離れるように移動する。そのため、搬送ベルトと容器との接触圧力が減少し、搬送ベルトが引き続き周回していても、容器には実質的な搬送力が作用せず、容器が搬送経路の適所に引き続き位置するこができる。また、容器は搬送ベルトによりはさまれて搬送されることから、種々の高さの容器に搬送動作を行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の搬送装置の平面図である。搬送装置1には、二組のプーリー2,3および4、5が回転軸を垂直にして設けられている。各組のプーリー2,3および4、5に、搬送ベルト7および8がわたされている。ここで、各搬送ベルトは断面が円形の丸ベルトである。搬送ベルト7および8は互いに向かい合って、シリンジSを搬送する搬送経路Pを定める。以下で説明するように、搬送経路Pにおいて、シリンジSは、両側から搬送ベルトにはさまれ、搬送ベルトの周回により搬送(図1では、右側から左へと)される。
【0015】
搬送ベルト7はエンドレスベルトであるが、その途中にローラ10、11を介して、駆動装置20が設けられ、この駆動装置20により、搬送ベルトは周回することができる。同様に搬送ベルト8の途中にも駆動装置21が設けられている。
【0016】
図2Aに示されているように、搬送経路Pを定める搬送ベルト7,8のそれぞれの下側で、フレーム40に取り付けられた基部プレート41、42に下方ガイド部材22、23が配置されている。下方ガイド部材22,23は互いに、シリンジSを通過させることができる程度の間隔が開けられている。そのガイド部材22,23のぞれぞれの上にさらに、搬送ベルト7、8を背後から接する位置にガイド24、25が配置される。
【0017】
ガイド24、25は、矩形の伸長した部材で、以下で説明し、図2Bに示されているガイドローラー同士の間に配置される長さをもつ。しかし、ガイドローラーが使用されないときは、搬送経路Pの長さ全体に沿った長さをもってもよい。この場合、一枚のガイドである必要はない。複数のガイドを搬送経路にそって連続して、あるいは間隔をあけながら設けられてもよい。
【0018】
ガイド24、25は、図2Aによく示されているように、搬送ベルトに接する面24’、25’は、互いに上に向かって開くように傾斜している。さらに、これらガイド24、25の上に、上方ガイド部材26、27が下方ガイド部材22,23とそれぞれ整合するように配置されている。上方ガイド部材も、下方ガイド部材と同様に、互いに、シリンジSを通過させることができる程度の間隔が開けられている。
【0019】
搬送ベルト7、8は、各上下ガイド部材22,23および26,27とガイド24、25の傾斜面24’、25’とにより囲まれる空間に位置するが、最下位に位置するとき、面24’、25’により背後が支持されているために、幾分搬送経路P側に突き出た状態にある。したがって、シリンジSが搬送経路P、すなわち、上下ガイド部材同士の間に位置すると、シリンジSは、両搬送ベルト7,8によりはさみ付けられるように保持される。この状態で、搬送ベルト7、8が駆動装置20,21により周回すると、シリンジSは搬送経路Pにそって搬送されることになる。
【0020】
図2Bに示されているように、ガイドローラー28、29がシャフト30、31により回転自在に、下方ガイド部材22、23を介して基部プレート41、42に取り付けられている。ガイドローラー28、29は、搬送ベルト7、8と背後から接する周囲面28’、29’を有する。これら周囲面28’、29’は、シャフト30、31に対して傾斜しており、その傾斜は、ガイド24、25の傾斜と一致する。したがって、傾斜した周囲面28’、29’は、搬送ベルト7、8を背後から接するように、そして幾分搬送経路P側に突き出すように支持する。
【0021】
ガイドローラー28、29は、搬送ベルトが周回すると、上記のように周囲面28’、29’と搬送ベルト7、8が接しているため回転することになる。すなわち、ガイドローラー28、29は回転しながら、搬送ベルトを背後から支持することになる。
【0022】
このようなガイドローラーは、上記したガイドに代えて、搬送経路Pの両側にそって列をなすように複数配置することもできる。
【0023】
動作
駆動装置20、21が駆動すると、搬送ベルト7、8はそれぞれ、搬送経路Pに関して対称的に周回する。その搬送経路Pの一方(図1では右側)からシリンジSを縦にして供給すると、シリンジSは搬送経路Pへと幾分突き出た搬送ベルト7、8によりはさまれるように保持され、搬送ベルトの周回とともに、搬送経路Pにそって移動する。ここで、シリンジSは図2に示されているように、後端(針を嵌める側でない端部)にはフランジがあり、そのフランジが上部ガイド部材26、27の縁に位置することから落下することはない。
【0024】
通常は、上記のようにしてシリンジは搬送(図1では右側から左側に)されるが、何らかの理由で、搬送ベルトの周回動作を停止することなく、シリンジの搬送を停止する場合がある。このような場合、図1において、破線で示す停止装置45によりシリンジの移動が停止する。この停止したシリンジに続くシリンジは、停止したシリンジに接するまで、搬送ベルトにより搬送される。
【0025】
従来技術では、搬送ベルトが断面が矩形のものであり、またこの搬送ベルトは面全体でシリンジに押し付けられるために、上記停止装置によりシリンジが停止しても、搬送ベルトは、停止したシリンジに対して常に移動するように力を作用させる。この場合、両搬送ベルトからシリンジに作用する力が完全に一致しているときは、シリンジは停止し続けるが、力のバランスが崩れると(たとえば、両搬送ベルトの表面の摩擦係数が異なっている場合、シリンジの周囲面が均等に滑らかでない場合など)、シリンジは上方へと押し上げられてしまう。このようなことが発生すると、搬送ベルトの周回を停止して、再度シリンジをセットし直さなければならない。
【0026】
本発明では、丸ベルトである搬送ベルト7、8は、図3に示されているように、ガイド24、25の傾斜した面24’、25’(ガイドローラー28,29の傾斜した周囲面28’、29’)は、搬送ベルトを斜め上方に支持することから、かかるシリンジの停止状況が発生した場合、搬送ベルト7、8はそれぞれの面に沿って上方に移動し、その結果、搬送ベルト7、8は停止したシリンジに対して力をほとんど作用させない。そのため、従来技術では、シリンジが上方へ押し上げられていたが、本発明の搬送装置では、シリンジは停止した位置に保持され、搬送が再開されると、直ちに、シリンダは搬送ベルトの周回とともに搬送経路にそって搬送される。
【0027】
このように、ガイド、ガイドローラーの傾斜した面の傾斜は、搬送ベルトが上方に押し上げられるように決定されるものであるが、好適には水平に対して45度である。
【0028】
上記のように、本発明の搬送装置がシリンジの搬送を例にとって説明されてきたが、シリンジの限らす、パンプル、バイアルといった種々の容器を搬送することができる。なお、シリンジのように後端にフランジがないときは、底部を下から支持する支持手段を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明にしたがった搬送装置の平面図である。
【図2】図2Aは、図1のA−A線にそった搬送装置の縦断面図である。 図2Bは、図1のB−B線にそった搬送位置の縦断面図である。
【図3】図3は、シリンジが停止状態にあるときに、搬送ベルトが傾斜した面にそって移動した状態を示す。
【符号の説明】
【0030】
7、8 搬送ベルト
22、23 下方ガイド部材
24、25 ガイド
26、27 上方ガイド部材
40 フレーム
41、42 基部プレート
S シリンジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の搬送装置であって、
二組のプーリーと、
該各組のプーリーにわたされる各搬送ベルトであって、両搬送ベルトの間に前記容器が接触して搬送される経路を定め、前記容器を搬送するために周回する搬送ベルトと、
前記経路を定める前記搬送ベルトの一部に、背後から接する位置に配置されるガイドと、
を含み、
前記搬送ベルトは丸ベルトであり、
前記ガイドの前記搬送ベルトと接する面は、傾斜している、ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
さらに、前記経路を定める前記搬送ベルトの一部に、背後から接する位置に配置されるガイドローラーを含み、
該ガイドローラの前記搬送ベルトと接する面が回転軸に対して傾斜している、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
容器の搬送装置であって、
二組のプーリーと、
該各組のプーリーにわたされる各搬送ベルトであって、両搬送ベルトの間に前記容器が接触して搬送される経路を定め、前記容器を搬送するために周回する搬送ベルトと、
前記経路を定める前記搬送ベルトの一部に、背後から接する位置に配置されるガイドローラーと、
を含み、
前記搬送ベルトは丸ベルトであり、
前記ガイドローラーの前記搬送ベルトと接する面は回転軸に対して傾斜している、ことを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
さらに、前記経路を定める前記搬送ベルトの一部に、背後から接する位置に配置されるガイドを含み、
該ガイドの前記搬送ベルトと接する面が、傾斜している、請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記ガイドローラーの傾斜している面は、前記ガイドの傾斜している面と同じに傾斜している、請求項2または4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記経路を定める前記搬送ベルトの上方に配置されるガイド部材を、さらに有する、請求項1または3に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記ガイドの傾斜している面は、水平に対して45度である、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記ガイドローラーの傾斜している面は、水平に対して45度である、請求項3に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−124082(P2006−124082A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−313193(P2004−313193)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(594063407)株式会社鈴木製作所 (2)
【Fターム(参考)】